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2020年5月2日土曜日

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」―【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」

4月30日、モスクワ郊外の公邸に滞在中のプーチン・ロシア大統領(左)に新型コロナウイルス
感染をオンラインで報告するミシュスチン首相(画面)=ロシア大統領府提供

ロシアの新型コロナウイルス感染者数が急速に拡大している。一日には十一万四千人余に達し、対策で陣頭指揮を執っていたミシュスチン首相(54)の陽性も確認された。早期に中国との国境を封鎖するなど厳しい予防措置にもかかわらず、ここ数日、五千~八千人の感染者が出る日が続き、世界ワースト八位に。地方でもデモが相次ぐなど、市民は不満を募らせている。

ミシュスチン氏から陽性の報告を受けたプーチン大統領は三十日夜、「あなた抜きで重要な政策決定は行われない」と述べ、今後もテレワークで会議に参加するよう指示した。だが一部報道ではミシュスチン氏は医療施設で自主隔離後、高熱に見舞われているという。首相代行にはベロウソフ第一副首相が就いた。

ミシュスチン氏は一月に内閣総辞職したメドベージェフ前首相の後任で、コロナ対策本部を指揮。感染がまん延していた中国からの入国を西欧諸国より早く、二月二十日から禁止し、三月からは外国人の入国を止めた。外出禁止や商店の強制休業などでも徹底した隔離措置を断行してきた。

ロシアは検査を積極的に行い、累計で三百七十万件と米国に次ぐ規模。死者も約1%の千百人超と他国と比べると少ない。感染者の洗い出しと隔離による「封じ込め作戦」が進んでいるとの見方もあるが、拡大に歯止めがかかっていない。プーチン氏も四月二十八日、「ピークはこれからで危険な状態だ」と指摘した。

これに対し、モスクワなど都市部ではネット上で政権批判をしたり、シベリアでは鉱山労働者らによるデモが発生。独立系世論調査機関「レバダ・センター」が三十日に公表した調査では、市民の48%が政権に対してコロナ対策で不満を表明した。

このため、二〇二四年に任期が満了するプーチン氏の続投を可能にする憲法改正の全国投票についても、政権批判票を封じるため、コロナ禍が落ち着くと予想される冬まで先延ばしにするとの報道も出ている。政権は経済活動の維持と感染食い止めを巡り、難しいかじ取りを求められている状態だ。


【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシアでは、各地の軍施設や医療機関にも広がっています。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めています。

ロシアは、中国ウイルス禍の最中他国に対して、フェイクニュースを流すなどの工作活動を行ってきました。

ガーディアン(3月18日)はEEASが3月に出したレポートをもとに、ロシア政府系メディアが西側諸国の中国ウイルス危機を悪化させる目的でデマを拡散していたと指摘しています。

同紙によると、1月半ばから3月半ばまでの2カ月間に、ロシアが発信源のデマが80件確認されたといいます。内容は「新型ウイルスは中国、アメリカ、イギリスの生物兵器」「感染の発生源は移民」「製薬会社の陰謀」「中国ウイルス自体がデマ」などでした。

ガーディアンが指摘するフェイク情報の拡散は、ロシア政府系メディアのスプートニク、RIA-FAN通信、レン・テレビ(REN TV)などでみられたましたが、その多くは米国の陰謀論サイトや中国、イランのネット上にある陰謀論的書き込みをシェアする形で行われました。

「リトアニアで米軍兵士が感染した」とのデマもSNS経由で拡散されましたが、その引用元として多かったのは、ロシア政府系メディアのRT(ロシア・トゥデイ)スペイン語版でした。

このように政府系メディアとSNSの相互引用で情報発信源を隠しつつ、信ぴょう性を持たせてデマを拡散する手法はロシア情報機関の得意技で「メディア・ミラージュ」と呼ばれます。イランでも同様の手法で「アメリカの生物兵器」「イスラエルの生物兵器」といったデマが拡散されました。

ニューヨーク・タイムズ(3月28日)は、ロシアと中国とイランのデマ拡散工作が互いに連動して、アメリカ社会の分断と弱体化が促されていると指摘しています。

同記事によれば、今回はとりわけ中国が積極的だといいます。これまで中国は、台湾や香港、チベット問題などに関する政治的プロパガンダには積極的に資金を投入してきましたが、陰謀論の拡散にはあまり関与してきませんでした。

にもかかわらず、今回は「ウイルスの発生源は米国」「ウイルス封じ込めに成功した中国共産党のシステムは優れている」といった言説を、発信源を隠して拡散しています。中国ウイルス問題で責任の矢面に立つきわめて不利な立場に追い込まれたことで、ロシアの情報戦略の有効性を認識し、模倣を始めたということでしょう。

そのためか、中国がデマ情報拡散に活用しているサイトは、カナダの親ロシア系陰謀論サイト「グローバル・リサーチ」や、親イラン・ロシア反米系の陰謀論サイト「ベテランズ・トゥデイ」など、もともとロシアが陰謀論を拡散するのに利用してきたところが多いようです。

最後に、ロシアや中国が意図的に拡散したフェイク情報を、EEASレポートから紹介しておきます。

▽「牛乳がCOVID-19に効く」説(presentnews.biz.ua、ウクライナ語)

▽「そもそも中国ウイルス感染は起きていない」説(Der Fehlende Part、ドイツ語、動画)



▽「大手製薬会社の金儲けが目的のアメリカ製人工ウイルス」説(NewsFront、スペイン語)

▽「ビル・ゲイツとロックフェラーによる人口削減の陰謀」説(Journal of New Eastern Outlook、英語)

▽「手洗いは効かない」説(RT、ドイツ語)

▽「亜鉛が中国ウイルスに効く」説(RT、アラビア語)

▽「大手製薬会社と手を組んだ欧米メディアは、中国でビタミンCによる治療に成功したことを無視している」(South Front、英語)

▽「パンデミックは誇張された陰謀。ファシスト国家を作るのが目的」(スプートニク、ドイツ語版)

また、中国の一連のデマ拡散工作について、各所からの分析報告を紹介しておきます。

▽「中国の国営メディアが新型中国ウイルスのパンデミックに関して、国際的な認識に影響を与えようとしている」(Recorded Future)

▽「中国はどのようにツイッターによるプロパガンダの仕組みを構築し、中国ウイルスを解き放ったか」(プロパブリカ)

▽「中国がトランプ非難のプロパガンダ広告~国営メディアは中国のパンデミックへの対応を称賛し、アメリカの過ちを攻撃する広告を多数購入」(テレグラフ)

中露は、世界の中国ウイルス危機に乗じて、これだけの工作を実施しているのです。日本国内でも当然様々な工作を行っているでしょう。日本のマスコミにもいろいろ、直接的間接的に働きかけているでしょうし、政治家などにも働きかけているでしょう。当然SNSでも工作をしているとみるべきです。

彼らの目的は、日本国内を分断させること、アジア内の分断、日豪分断、日欧分断、日米同盟の分断など様々です。私達は、これらに騙されないように中国ウイルス報道や、SNSなどの内容には十分気をつける必要があります。

日本では、脳内がお花畑的な人が多く、こうした中露の工作があるなどとはつゆほども疑わない人も多いようで、特にマスコミで中露の「メディアミラージュ」を取り上げているところはありません。

ロシアがこのような「メディア・ミラージュ」をチャンス到来として、各国に対して工作しているうちに、ロシア自体の感染者が増え、抜き差しならぬ状態になったのは皮肉です。

感染したとされる、ミシュスチン首相といえば、今年の1月に、就任したばかりです。これについては、このブログでも掲載しています。この記事では、プーチンがミシュスチンを首相に据えたのには、それなりの背景があることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。 
だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。 
しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。
プーチン(左)と習近平(右)
そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。 
中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。 
こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。 
だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。 
さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。 
その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。
今回の中国ウイルス禍では、ロシアは中国ウイルス感染そのもので相当疲弊するはずです。特に、ロシアの最大の主要産業は、 鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等)であり、これらは、中国ウイルス禍によってかなり価格が下がっています。

中国ウイルス禍で、経済が疲弊するのは確実ですが、それによる失業や生活困窮などに、対処するのは今日のロシアにとっては困難です。

そもそも、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より、2千万人多いのですが、GDPは国でいえば、韓国と同等、日本国内の都市でいえば、東京都なみです。ロシアと日本は人口は大差はないですが、中国ウイルス感染者数5月1日現在では、ロシアは12.4万人です。死者は、1,222人です。日本は同時で、感染者数1.4万人、死者数は493人です。ロシアの被害が酷いことがわかります。

日本全体の経済が東京都なみだとしたら、どうなるか想像してみてください。現在政府は、国民一人あたり10万円の給付を決めました、休業補償については財務省が渋ってはいますが、日本の経済力(そもそも財務省の言う、国民一人当たりの借金が1000万円であるとは、財務省の大嘘)であれば、やろうと思えば実行可能です。

しかし、ロシアは違います。日本の東京都と同等の経済のロシアの軍事力は米国に次いで、世界第二位です。宇宙開発も手広く行っています。そうなると、国民の雇用や、困窮者に対する補助するための資金を捻出するのはかなり難しいです。

そうなると、プーチン政権の求心力はかなり落ちることになります。そうなると、プーチンの夢でもある、ロシアが中国の属国的地位から脱するという目論見は水疱に帰し、ロシアはますます中国の属国的な立場から逃れなくなります。

それは、プーチンとしては潔しとしないでしょう。これを解決するには、日本に北方領土を返還し、手厚い経済協力を得るしか方法はないかもしれません。

かつて、丸山穂高衆院議員は、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言してトラブルになりました。

しかし、戦争で取られたものは、戦争で取り返すしかないというのは、厳然たる事実です。これが、国際社会の現実です。

ところが、現在ロシアで起こっている中国ウイルス禍はまさに、戦争と匹敵するほどの非常事態です。

今のロシアは、どこまでも疲弊し、これも沈みつつある中国の属国的地位から、真の属国に成り下がるか、あるいは、日本の支援を受けてロシアが中国の属国的地位から脱するかのいずれか一つです。

このような大きな取引は、残念なが米国とはできないでしょう。米露には、北方領土のような大きな懸案事項はないからです。日本としては、素早く中国ウイルス禍から脱却して、世界情勢も国内情勢も疎く、省益のためだけに突っ走る財務省の干渉を押さえつけて、経済を急速に回復して、ロシアに見せつけるときです。

その時こそ、北方領土交渉は今まで一番やりやすくなります。このようなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれませんが、かつてのソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破り、日本領に侵攻して、北方領土を掠め取ったのです。それどころか、何の法的根拠もないのに、シベリアに多数の日本人を抑留し、多数の死亡者がでました。占守島の戦いで、日本軍が奮戦しなければ、北海道もソ連領になっていたかもしれません。

検索結果

ウェブ検索結果占守島の戦い

我々日本人は、それを忘れるべきではありません。日本としては、中国ウイルスが終息すれば、すぐにでも北方領土交渉を再開すべきです。そうして、北方領土を返還させるだけでなく、ロシアを中国に対峙する日米側に取り込むべきです。

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2020年1月17日金曜日

プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!


   ロシア下院は16日、内閣総辞職したメドベージェフ首相の後任としてプーチン大統領が指名した
   ミシュースチン連邦税務局長官(左)を賛成多数で承認した。2017年4月撮影

ロシア下院は16日、内閣総辞職したメドベージェフ首相の後任としてプーチン大統領が指名したミシュスチン連邦税務局長官(53)を賛成多数で承認した。これを受けプーチン氏はミシュスチン氏を正式に首相に任命した。

投票結果は、賛成383票、棄権41票。反対票はなかった。

ミシュスチン氏は連邦税務局のトップを務めた経験があるが、政治経験はほとんどない。首相に抜てきされるまで知名度は低かった。同氏は近く新内閣の組閣人事を発表すると明らかにした。

プーチン氏は15日、首相を含む政府の要職選定の権限を議会下院に移管することなどを柱とした「政治制度の大幅な改革」を表明、議会の権限強化に向け憲法改正を提案した。

新首相の任命を含め、今回の一連の改革は20年来政治を支配してきたプーチン氏が2024年の任期満了後も影響力を保持するための布石とみられる。

こうした中、ロシアの有力紙コメルサントは16日、プーチン氏の改革を「1月革命」と評した上で、今後さらに多くの変革が続くとの見通しを示した。

突然の内閣総辞職からわずか1日で新首相が誕生したことで、プーチン氏は、数年にわたる緊縮財政措置や年金受給年齢の引き上げなどに対する国民の不満に耳を傾けているということをアピールできる。

欧米諸国による制裁や原油価格の下落で国内経済が低迷するなか、国民の批判の矛先は2012年から首相を務めていたメドベージェフ氏に向かっていた。

実質賃金はここ5年下落し続け、政権支持率も落ち込む中、プーチン氏の支持率にも影響が出るとの懸念が浮上していたと専門家は分析する。

【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

プーチンは何のために、院政をするのでしょうか。それは、外交は全くの素人であり実績のないミシュースチン氏を首相に据えたとということで、予測することができると思います。

1966年生まれのミシュスチン氏はシステム工学を学んだ後、経済学の分野で博士号を取得した。税制改革には手堅い実績のある人物です。

プーチン氏は国内政治に関しては、ミスチュスチン氏にまかせて、様々な改革を実現させようとしているのです。さらに、ミスチュチン氏は仮に改革に失敗したとしても、面倒な後ろ盾等もなく、容易に取り替えが聞く人物でもあるのでしょう。

そうして、プーチンは院政を敷いて、自らは国際政治を主に担当しようとしているとみて間違いないでしょう。その国際政治の最優先順位は無論隣国の中国でしょう。

はやい話が、将来本格化する中国との対峙に備えて、それに取り組みやすい最善の体制を築いたのです。

中露の関係は、現在まるでロシアが中国の属国であるかのような状況になっています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の属国へと陥りつつあるロシア―【私の論評】ロシアの中国に対する憤怒のマグマは蓄積される一方であり、いずれ、中国に向かって大きく噴出する(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 エリツィンは、プーチンを改革者であると考えて後継者に選び、自分の家族を訴追などから守ってくれることを期待した。
 プーチンは、後者の役割は義理堅く果たしたが、ユーラシア主義者として欧米に対抗する路線をとった。そういう経緯で、プーチンは必然的に中国に近づいた。それが今の中露の蜜月関係につながっている。 
 しかし、プーチン後は、この蜜月関係が続く可能性よりも、ロシアの指導者が欧米重視主義者になり、この蜜月は続かない可能性の方が高いと思われる。 
 プーチン政権の上記のような傾向にもかかわらず、中露間にくさびを打つという人がいるが、プーチンがいる限り、そういうことを試みてもうまくいかないだろう。北方領土で日本が妥協して、中露間にくさびを打つことを語る人もいたが、ピント外れである。

 7月27日付の英エコノミスト誌は、ロシアが中国の属国になってきていると指摘している。その指摘は正しい。ロシアがそれから脱したいと思う日は来るだろう。そうなったときには、ロシアとの関係を考える時であろう。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。

だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。

しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。

プーチン(左)と習近平(右)

そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。

中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。

こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。

だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。

さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。

その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。

北方領土

それはプーチンとしては、是が非でも避けたいところでしょう。日米とも手を結び、中国の属国的地位からの脱却を望むに違いありません。

その時こそが、まさに北方領土が我が国に返還される可能性が最大限に高まるのです。我が国としても、今後のロシアの動きに最大限に注意を払い、その機会を逃すべきではありません。

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2019年4月28日日曜日

米、WTO抗議の日本を全面支持 首脳会談で首相が謝意 改革連携で一致―【私の論評】日本は、TPP協定の規定をWTOに採用させるべき(゚д゚)!

米、WTO抗議の日本を全面支持 首脳会談で首相が謝意 改革連携で一致

夕食会を前に記念殺意するトランプ大統領とメラニア婦人(右側)、安倍首相と昭恵夫人=26日、
ワシントンのホワイトハウス

 ジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関の会合で、韓国による福島など8県産水産物輸入禁止措置をめぐってWTOの上級委員会で主張が退けられ、抗議した日本の立場について、米国が全面的に支持していたことが分かった。安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日午前)、米ワシントンで行った日米首脳会談でトランプ大統領に謝意を伝えた。両首脳はWTO改革で日米が連携していく方針も申し合わせた。

 複数の政府関係者によると、韓国のほか米国、中国など164の加盟国・地域が参加した26日のWTOの非公式会合で、米国の代表が「日本は科学的根拠に基づき、韓国の措置がWTO協定に非整合的であることを示している」と指摘した。その上で「上級委員会が実質的な理由なく判断を覆したのは遺憾だ」と述べたという。

12日、水産物輸入禁止措置を巡り、WTOで韓国勝訴の判断が出たことを喜ぶ市民団体=2019年
4月12日 ソウル

 会合で、伊原純一駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は「被災地の復興の努力に水を差す。極めて残念だ」などと抗議していた。

 WTOのあり方をめぐっては、首相は米国に先立ち訪問したベルギーで「産業で大きな変化が起こっているが、WTOは変化に追いついていない」と批判していた。上級委員会に関し「議論を避ける形で結論が出たり、結論が出るまでに時間がかかりすぎる」とも語り、6月に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)でWTO改革を議論する意向を示した。

◇WTO訴訟をめぐる経緯

 東京電力福島第1原発事故後、韓国が福島など8県産水産物の輸入を禁止していることに対し、日本政府は2015年8月、不当だとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。1審に当たる紛争処理小委員会(パネル)は昨年2月、禁輸は「不当な差別」と認めて是正を勧告したが、上級委員会は今月11日、1審の判断を破棄する報告書を出し、日本側の「逆転敗訴」が確定した。

【私の論評】日本は、TPP協定の規定をWTOに採用させるべき(゚д゚)!
4月12日、WTOの紛争解決上級委員会は、日本国政府が、放射能汚染を理由に課してきた韓国政府による日本産水産物の輸入規制を不服として訴えた件について、日本国側の主張を認めた小委員会の判決を取り消す決定を下しました。


WTOの紛争解決の仕組みでは、上級委員会が最終審となりますので、現行の制度では同決定を覆すことはできないのですが、この一件から今日のWTO、否、国際経済について議論すべき幾つかの論点が見えて来るようにも思えます。
第一の論点は、言わずもがな、WTOの紛争解決メカニズムの不備です。現代国家において採用されている三審制、あるいは、二審制の司法制度では、仮に上級審において下級審の裁判過程における不備が問題とされた場合には、同訴訟は下級審に差し戻されます。

つまり、差し戻しを受けた下級審において改めて同案件は審理され、判断が下されるのです。この場合、前判決が維持されるケースもあれば、逆の判断に至るケースもあります。ところが、現行のWTOのパネル方式の仕組みでは、差し戻しの制度が設けられておらず、下級審における不備はイコール判決の取り消しを意味してしまいます。

これでは、たとえ‘原告側’の言い分が正当であり、また、多大な被害や損害が生じていても救済の道が閉ざされているに等しく、司法面においてWTOは制度改革を要すると言わざるを得ないのです。

第二の論点は、自由貿易の推進機構として設立されたはずのWTOが、国家の輸出入規制に対して寛容な態度に転じた点です。米国のトランプ政権は、グローバリズムの原動力となってきたWTOに対しては脱退を示唆するほどに批判的でしたが、今般に見られるWTOの判決は、加盟国による貿易制限に対して好意的なのです。

上級委員会の説明によれば、第一の論点で述べたように、韓国側の規制を容認した理由は第一審である小委員会の判決手続きにありますが、仮に、自由貿易の推進を最優先とするならば、小委員会の手続き上の問題点を指摘しつつも自らが判断して然るべきです。

そうして、第三の論点は、農水産物分野における貿易規制の是非です。実のところ、韓国政府による放射能汚染を理由とした日本産水産物の輸入規制は、日本国民にとりましては、必ずしもマイナスではありません。

国民の生命に関わる食糧安全保障、並びに、国民生活と直結する農水産物の市場価格といった側面からしますと、輸出の拡大は、マイナス方向に働く傾向にあるからです。GATT時代におけるケネディ・ラウンドにあって、農産物も工業製品と等しく自由化の対象となったものの、完全なる自由化には農業の壊滅や食糧依存体質の深刻化といったリスクがあります(食糧輸入が途絶えた途端、国民は飢餓状態に…)。

日本国政府も、WTOの交渉に際しては常々高関税率を維持すべく苦心惨憺をしていますが、穀物輸出国以外の諸国にとりましては、自国の存亡にも関わるいわば‘防衛線’なのです。

こうした農産物の特殊性からすると、WTOにおける‘農産物も例外扱いせず’の姿勢が現状に適しているのか疑問なところです。むしろ、方向を転換して農産物を例外化し、自国優先の原則を認めた方が、よほど、世界は安定化するかもしれないのです。

以上に幾つかの主要な論点を述べてきましたが、WTOもまた、自由貿易原理主義的な従来の方針を見直さざるを得ない局面に至っているのかもしれません。貿易とは人々を豊かにこそすれ、食糧不安や経済的な危機を招く元凶となってはならないと思うのです。

さて、WTOは上でも述べたように、明らかに大きな欠点があります。私は、WTOは、日米が主導しつつ新たなものにつくりかえていくべきものと思います。特に、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けるべきと思います。

TPPというと、現状の中国は入りたくても入れません。中国はTPPに加入するということになれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化という構造改革を実施しなければなりません。これを実行しなければ、TPPには加入できません。

この構造改革を実施することになれば、中国共産党は、統治の正当性を失うことになるでしょう。それは中共の崩壊を意味します。

米国や中国がTPPに参加しない場合でも、1993年以降の世界貿易の変化を反映したTPP協定の規定をWTOに採用するように働き掛けることができます。これには、EUも賛成するでしょう。

TPPのルールを世界のルールにするのです。単なる先進国だけの提案ではなく、アジア太平洋地域の途上国も合意したTPPの協定をWTOに持ち込むことには中国も反対できないでしょう。

TPPのルールが世界の貿易ルートとなれば、中国は中共を解体してもTPP協定を含む新WTOに入るか、中共を解体せず新WTOにも入らず、内にこもることになります。内にこもった場合は、中国が待つ将来は、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。その時には他国に対する影響力はほとんどなくなっているでしょう。

いずれにせよ、TPPは加盟国だけではなく世界にとって、有用な協定になる可能性が高まってきたのは事実です。

ライトハイザーUSTR代表は12日、世界貿易機関(WTO)の指針は「時代遅れ」との認識を示しました。 ライトハイザー代表は、中国の台頭やインターネットの進化など、状況が変化しているにも関わらず、WTOがなお1990年代初期の指針に基づき運営されており、「時代遅れ」と指摘。

米国はこうした問題に対処するため、WTOの改革に向け取り組んでいると語りました。 また、米国が引き続き中国との貿易ルール改善に向け取り組んでいるとしたほか、貿易問題を巡り日本や英国などと進展していきたいとの考えを示しました。

米国には、このような考え方があるわけですから、日本がWTOを改革のため、TPP協定の規定をWTOに採用するように働きかければ、元々オバマ大統領時代に、米国がTPPを推進しようとしたわけですから、これに対して米国も賛同せざるを得ないと思います。



TPP協定の規定をWTOが採用することを決めた場合、トランプ大統領がTPPに入らないとする根拠は薄弱になります。

そうなると、米国はTPPに入る可能性もでてくることになります。日本としては、米国とともにTPP協定の規定をWTOに採用するように努力すべきと思います。TPPが加盟国だけではなく米国を含む世界にとって、有用な協定になるように日本は努力すべきです。

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2017年10月31日火曜日

立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿―【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!

立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿

枝野氏は「首相の解散権制約」を主張する前にやるべきことがあるのでは
 立憲民主党の枝野幸男代表らが、憲法改正に関して「首相の解散権制約」を主張している。天皇の国事行為を定めた憲法7条に基づく衆院解散を問題視するもので、賛同する意見とともに、「総理大臣のパワーが落ちて、霞が関官僚が増長する」という意見もある。元経産官僚で、政策コンサルタントの宇佐美典也氏が緊急寄稿した。


 首相の解散権の制約に関する論議が活発化している。

 発端は、立憲民主党の枝野氏が24日の日本テレビの番組で、「(憲法9条改正論議を)したいと言う人がいるなら、そのこと自体は否定できない。その代わりに、首相の解散権制約も俎上に載せてもらわないといけない」と発言したことだ。

 「自衛隊は違憲」という学者すら多数いる憲法9条の論議と違い、「総理大臣が解散の決定権を持つ」ことには、現行の憲法解釈上ほぼ異論がない。

 つまり安倍晋三首相が提案している自衛隊の明記による憲法9条の解釈の確定は何も現状を変えるものではないが、「首相の解散権制約」は憲法に完全に新しい作用を付け加えることになる。この2つをてんびんにかけて交渉しようという枝野氏の態度は理解に苦しむ。

 実際、1952年の吉田茂首相以降、数々の首相が20回以上にわたり「解散権の行使」をしており、その中には、もちろん民主党政権の野田佳彦首相も含まれる。

それにも関わらず、ここに来て枝野氏が「解散権の制約」を唱えはじめたのは、今回の衆院選をめぐる民進党の分裂騒動の責任を、安倍首相の「大義なき解散」のせいにしたいからであろう。「安倍首相の大義なき解散のせいで、われわれは分裂させられたんだ」というわけである。

 何という被害妄想であろう。

 民進党が分裂したのは、思想も信条もバラバラの人が集まっていた野合政党であったことが原因で、今回の解散は分裂のきっかけに過ぎない。本当に民進党に大義があったならば、前原誠司代表が希望の党との合流を提案したところで、所属議員が止めたはずである。

 大体、首相の解散権を制約したところで、はっきり言って国民生活は何も変わらない。せいぜい、野党が首相の解散を恐れずにすむようになり、国会を好き勝手にかき回せるようになるくらいである。

 そんなことよりも、立憲民主党が今すべきことは、すでにゾンビと化した民進党に解党を迫り、残った100億円の政党交付金は国庫に返還させることだろう。

 人に大義を求めるなら、まず自分たちが大義を貫くべきである。

【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!

上記の見方は、政治論による見方であり、この見方に意義を唱えるつもりは全くありません。しかし、このような見方は、全体の半分しかみていません。もう一つの見方とは、立憲主義による見方です。

今回の解散は合憲か違憲かを判断すると、明らかに合憲です。違憲だとすると日本国憲法の何条に違反するのでしょうか。枝野氏はそれを明確に示すべきです。

そもそも、これまで日本国憲法での衆議院解散は7条に基づいて行われてきました。それを何をいまさら違憲とするのでしょうか。解釈変更でもするのでしょうか。それこそ、護憲派の連中が批判してきた解釈改憲であり、立憲主義の蹂躙です。

このようなことを、立憲民主党という名称の党の代表が、言い出すこと自体が、異様です。
首相が何の制約も無く好き勝手に自分の都合の良いときに解散する。これは、立憲主義なのか非立憲主義なのでしょうか。明らかに立憲主義です。なぜでしょうか。今回のような解散に異議があれば、総選挙で自民党を敗北させればよいのです。そもそも、立憲主義とは総選挙によって示された民意によって多数を形成する政治なのです。
今回の選挙でも、有権者の多くが、今回の解散に反対であれば、自民党が大勝することはなかったでしょう。選挙の結果によれば、国民の多数が解散に反対ではなかったと判断していることは明らかです。
イギリス憲法を中途半端にかじって、「世界の趨勢は首相の自由な解散権を縛る方向にある」と主張する論者もいます。これは、本当に我が国にもあてはめることができるのでしょうか。解散には主に3つの方法がありますが、以下に述べるように、我が国ではいずれの運用にしても問題が発生してしまいます。
まず第一の方法である、解散権は首相の専管事項とすれば、首相が選挙に勝てると思うときに解散することになりがちです。確かに、弊害はあるでしょう。とはいいながら、他の方式にしても弊害があるのです。
第二の方法として、解散は与野党合意ですることすれば、現職与野党の談合を正当化することになります。記憶に新しいのは、三党合意による増税法案です。与野党の談合を正当化すると、国会の場で十分審議がされないまま、重要な法案が成立することを助長することになります。
第三の方法として、不信任された場合のみ解散ということになれば、行政と立法がねじれた場合、停滞することになります。さらに、これができるための前提条件として、与野党ともに近代政党でなければなりません。
ねじれ国会の状態では、衆参両院で政権与党が過半数を維持している状況とは違い、政権与党が参院で過半数を有する野党を納得させないと法案は成立しないために、参議院で衆議院と異なる議決が起こりやすくなります。これは、参議院の独自性の発揮とみなすことができますが、ねじれ国会が問題とされるのは、衆議院とは異なる議決が、政治および行政が停滞することになり、その損失が重視されるからです。


近代化政党とは聞き慣れない言葉だと思います。毎年のように、年末になると政党助成金を目当てに新党が結成されます。そもそも政党助成金は金権政治の温床となる無理な資金集めを解消するとともに、政党を近代化する条件で導入された制度です。ところが、「政党の近代化」という言葉はとっくに死語になっています。
 
近代政党には、三つの要素があります。

綱領、組織、議員です。

明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成されます。全国の政党支部が議員を当選させます。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決めます。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下します。この条件に当てはめると、自民党は近代政党ではありません。無論、他の野党も、近代政党とは言い難い状況にあります。

自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(実体は財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。
イギリスなどでは、自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。政治の世界の実体は、政党と官僚は化かし合いです。
フォン=ヒッペル英国王立防衛安全保障研究所 (英国の著名なシンクタンク略称RUSI)所長 
このようにいずれにしても、問題があることを前提として、我が国では日本国憲法での衆議院解散は7条に基づいて行われてきたのです。
今更この慣習だけを変えるということになれば、上記にあげたような弊害がおこるだけです。
特に日本では、総理の権限を奪ったとしたら結果として大喜びするのは官僚(その中でも特に財務省主計局)です。解散がスケジュール化されれば、官僚は総理のコントロールがより簡単になります。2014年のように消費増税を吹っ飛ばす解散もなくなります。総理の権限を落とせば官僚は各省大臣を籠絡するのは簡単なので、官僚内閣制は揺るぎないものになります。

安倍政権を許すまじということで、憎しのあまりに総理の解散権制約を言い出したら本当に危険です。憎かったら総選挙で勝つしかないのです。選挙で勝てないから総理の権限をしばりたいというのは邪道に過ぎないです。

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2017年10月28日土曜日

【日本の解き方】5年たってもアベノミクスをまともに分析できない人たち、マクロ経済知らずけなすだけ ―【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!


アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない  写真はブログ管理人挿入
衆院選後の各メディアのアベノミクスに関する報道では、「金融緩和の出口や財政再建が課題」「景気の実感が薄い」「雇用の劣化が進んでいる」といったものがみられた。安倍晋三政権発足から5年が近づくが、いまだにアベノミクスをまともに分析できているとは思えない。

 今や海外の経済ニュースが、そのまま衛星放送などで見られる時代だ。日本の総選挙での安倍政権の勝利も報道されていたが、その理由として「金融緩和が継続された結果」と分析されていた。

 筆者の米国滞在経験では、金融政策が雇用政策であるという認識は、マスコミだけでなく一般人にもあった。米連邦準備制度理事会(FRB)が「物価安定」と「雇用確保」の2つを目標としているからだ。

 マスコミも「雇用を良くするために金融を緩和し、物価を過度に上げないために金融を引き締める」という認識で報道していた。金融緩和は実質金利を下げるので、民間需要が増えるとともに、人への投資増、つまり雇用が増えるという経済理論の裏付けがあるものだ。

 しかし、これを日本でわかっている政治家、学者、マスコミはごく少なく、特に日本の左派・リベラルでは皆無に近い。

 米国では、2008年のリーマン・ショック直後から量的緩和政策が行われており、既に9年が経過した。失業率は4・2%まで改善しており、これ以上の低下は期待できず、インフレ率が上がろうとしている。そこで、量的緩和の「出口」に向かっている。

 日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう。

 「金融緩和の出口」は、マクロ経済政策としては緊縮であるが、「財政再建が課題」というのも同種の緊縮策だ。今の段階でこれを叫ぶ人は、マクロ経済オンチをさらけ出している。

 「景気回復の実感がわかない」というのもマスコミでしばしば聞かれるが、1980年代後半のバブル景気でも同じような声がよく聞かれた。そこで、どうなると景気の実感がわくのか、と質問すると、「自分の給料が倍になったら」という答えが多い。そういう意味では、多くの人が「景気の実感がわく」というのはあり得ないので、この種の報道は今の景気をけなす意味しかない。

 「雇用の劣化」という言い方は、2、3年前までは、「有効求人倍率が改善していても、非正規雇用が多い」と批判する意味合いで使われていた。ところが、正規雇用の有効求人倍率も1倍を超えてしまったので、この論法は使えなくなった。

 今では、賃金が上がらないことを「雇用の劣化」と表現しているのだが、賃金が上がらないのは、失業していた人が職に就くときには低い賃金になり、平均値を押し下げるためだ。

 失業率がこれ以上下げられない構造失業率に近づき、人手不足が本格化すると賃金は上がり出す。残念ながら、こうしたメカニズムを把握した報道にお目にかかることはめったにない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】首相は正統保守的立場から金融政策を手持ちの道具にした(゚д゚)!

日本では5年たっても、アベノミクスをまともに分析できる人が少ない一方、CNBCのシーマ・モーディという女性レポーターが、日本の総選挙の与党の大勝について「安倍首相が勝利したのは金融緩和が続いた結果です」と解説しています。ブログ金融緩和が雇用政策であるのは欧米では常識です。日本の新聞やテレビはあまりにもポンコツすぎて、こうい分析が全くできないようです。

冒頭の記事で、高橋洋一氏は「日本では、アベノミクスによる異次元緩和は、まだ5年もたっていない。今の段階で「出口」を主張するのは、よほど経済が分かっていない人か、量的緩和に反対してきて、バツが悪く居場所のない人だろう」と語っています。

この主張は正しいと思いますが、もっと詳細に言ってしまえば、元々経済がよくわかっておらず、「 政権や権力と戦うのが自分たちの使命」と思いこんでしまった、左派やリベラル(新左翼)のメディアや政治家が、とにかく「安倍には反対」という姿勢に凝り固まり、金融緩和にまで反対してしまったというのが真相だと思います。

一方保守と見られている、安倍総理はどうして欧米では左派がとる政策である金融緩和政策をとったのでしょうか。

それは、保守の本来の意味を認識していないと理解できないかもしれません。保守とは本来「安全保証では、○○」、「経済では、△△」という立場を取っているから保守などというものではありません。それについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドラッカーの言う「改革の原理としての保守主義」とは何か ―【私の論評】 保守主義の本質は 左右、新旧とは関係ない。自由で機能する社会を前提として、その都度具体的な問題を解決していくという原理だ!!
若い頃のドラッカー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に保守に関する部分のみを引用します。
それは、第1に、過去のためのものではない。正統保守主義とは、「明日のため」のものである。あくまでも未来志向のものである。 
正統保守主義とは、第2に、なんらかの青写真に沿って社会を形成しようとするものではない。なんらかの万能薬を服さしめようとするものでもない。 
それは、ケース・バイ・ケースで問題を解いていこうとするものである。医学にしても、万能薬を求めているあいだは進歩しなかった。風邪には風邪、腹痛には腹痛の治療を求めてから急速な進歩が見られた。したがって、それは、「具体的な問題を解決していくものである」。 
正統保守主義とは、第3に、手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具を使って問題を解こうとするものである。理想的な道具を新たに発明しようとしても無理である。「それは、既に存在するものを基盤とし、既に知られているものを使うものである」。 
かくしてドラッカーは、改革のための原理は、保守主義たるべしとする。 
「第一に、過去は復活しえないことを認識することが必要である。第二に、青写真と万能薬をあきらめ、目前の問題に対する有効な解決策をみつけるという、控え目で地味な仕事に満足することを知ることが必要である。第三に、使えるものは既に手にしているものだけであることを知ることが必要である」(『産業人の未来』)
古今東西で、景気が悪い時、雇用情勢が悪い時には、金融緩和を実行すると良いということがすでに幾多の例で実証されています。欧米でも、過去の歴史をたどるとそれが良い結果をもたしたことが知られています。

日本でも、過去の歴史を調べると、景気の悪いときに、通貨の量を増やす今でいうと金融緩和策を実行した場合には、良い結果を招いたことが記録されています。

反対に、景気の悪い時に、通貨の量を増やすこともせず、質素倹約例などを出すとかえって景気がさらに落ち込んだことが、歴史に記録されています。

日本では、最も良い事例は、高橋是清による、いまでいうところの金融緩和策、積極財政策です。世界恐慌のときには、日本も昭和恐慌と呼ばれる大恐慌に見舞われましたが、日本は高橋是清のこれらの政策によって、世界で一番はやく恐慌から脱出することができました。

高橋是清
歴史上では、不況時には金融緩和策、積極財政の試みがされて成功していましたが、それを最初に理論的にまとめたのはケインズです。

ケインズは、有効需要に基いてケインズサーカスを率いてマクロ経済学を確立させました。日本では、過去においては、なぜかケインズは財政政策についてのみ語っているような認識のされかたがしていましたが、それは間違いです。金融政策が大事であることも語っています。

ケインズによりマクロ経済学の基本が設立され、その上にさらなる様々な学者の努力が積み重ねられたものが、現代のマクロ経済学です。


現在では、労働者の雇用を良くするということから、世界では左派系の人々がこの政策を推進すべきであると唱えていることが多いので、これは左派系の政策であると見られることもありますが、これはの歴史をたどっていけばいくほど、ドラッカーのいうとろの「手持ちの道具、役に立つことが実証ずみの道具」であることが理解できます。

安倍総理は、デフレ脱却のための実証済みの道具である金融緩和政策を用いて、成功を収めたのです。これは、正統保守主義者の立場からすれば、当然といえば当然です。一方、安倍総理は、デフレ脱却のためには、悪手とされた道具である増税をして大失敗をしました。そのため、その後増税は延期しています。

一方、いわゆる日本の左派・リベラル(新左翼)は、これら歴史的に実証されている方法は否定し、枝野氏のように「金利をあげる」とか、構造改革を主張するなど実証済みでない道具に固執し、まともに実効性のある政策提案ができません。

最近では、日本以外の国々のリベラル・左派が主張し、正統保守主義者である安倍総理が手持ちの道具とした、デフレのときの金融緩和策という道具は、日本のマスコミや多くの政治家にはなかなか理解できないようです。

ドラッカーは、保守主義について以下のようにも語っています。
保守主義とは、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していくという原理である。これ以外の原理では、すべて目を覆う結果をもたらすこと必定である。(ドラッカー名著集(10)『産業人の未来』)
「すべてめを覆う結果」については、私達は痛いほど経験しています。そうです。失われた20年です。後から考えると、これはデフレであるにも関わらず、日銀は金融引締めを行い、政府は緊縮財政を実行し続けたからです。本来ならば、この時期には、すでに知られている方法である金融緩和政策と、積極財政を実行すべきだったのです。

現在リベラル・左派の主張する経済政策を実行すれば、「すべて目を覆う結果」になることは必定です。

政治改革には、明日のために、すでに存在するものを基盤とし、すでに知られている方法を使い、自由で機能する社会をもつための必要条件に反しないかたちで具体的な問題を解決していく姿勢を貫くべきなのです。これをマスコミと政治家も理解すべきです。

【日本の選択】今の日本に必要な「ガラパゴス左翼」との決別 本来の「リベラル」とかけ離れた思想は国民にとって不幸―【私の論評】意味が理解出来ない言葉を平気つかう人はまともな社会人にさえなれない(゚д゚)!


「ポスト安倍」も問題だらけだ! 財務省や日銀の言い分信じて財政や雇用理論を間違える人―【私の論評】今のままでは再びデフレスパイラルの無間地獄にまっしぐら(゚д゚)!

2017年7月3日月曜日

小池都知事の急所と安倍政権の「これからの秘策」を明らか にしよう―【私の論評】都議選敗退で国政に影響なし、首相憲法改正まっしぐら(゚д゚)!

小池都知事の急所と安倍政権の「これからの秘策」を明らか
にしよう

原点回帰」がキーワードだ



  妙手連発

2日に行われた東京都議選は、小池新党である都民ファーストの会の圧勝だった。

都民ファーストは、選挙前勢力の5からほぼ10倍の49議席をとった。都民ファーストと選挙協力を行った公明党は選挙前23と同じ23、自民党は選挙前57から大幅減の23、民進党は選挙前18から激減しての5、共産党は選挙前17とほぼ同じ19だった。

都民ファーストの大躍進は、自民と民進を食った形だ。

東京都議選は、1人区(小選挙区)と2~8人区(大選挙区)の並立制で行われている。1人選挙区は千代田区など7区、大選挙区はそのほか35区だ。これは、普通ならそれほど大きく変動の起こらない選挙制度であるが、1人選挙区7つのうち、都民ファーストは6人、大選挙区でも43人が当選した。

都民ファーストの勝因は、何にも増して小池都知事の魅力である。これは、大阪維新の会が橋下氏の人気で持っているのと同じである。政策と言うより、行政を変えていこうという姿勢や、この人なら何かをやってくれるという期待からの指示であることは言うまでもない。

地方行政の選挙の場合、たとえば公約をみると細かく生活に密着している話は多いが、テーマが多種多様にわたっているので、ワンイシューにまとめにくく、なかなか政策議論になりにくい。

東京の場合、2020年の東京五輪を控えているので、五輪の顔として小池都知事は絶対的な存在になる。であれば、議会も小池都知事をサポートするような体制が望ましいと、多くの都民が考えたのだろう。

豊洲移転問題は確かに争点であったが、これについても小池都知事は絶妙なハンドリングを行った。筆者は、本コラムで書いていたように、サンクコスト論と豊洲・築地の科学的なリスク評価のみで考えても、豊洲に移転するのが合理的な帰着であると主張してきた。

ところが、小池都知事の老獪なところは、この単純明快な答えをすぐには出さずに、政治的なタイミングをはかって、都議選の直前に打ち出したことだ。これは「一周遅れ」との批判を招いたが、そのとき同時に、「築地を再開発する」ともいっている。豊洲と築地の両方にいい顔をしただけと見ることもできるが、これが効果的だったということだ。

政策論としては、「築地再開発」は筋悪である。食のテーマパークを作るという主張についても、無理して施設を作ることは可能だが、問題はその後どのように黒字経営できるかの見通しを示せてはいない。思いつきレベルの話で、どこまで収支計算ができるかわからないし、実際、詳しい収支計算はやっていないようだ。

選挙前の話なので、方向性だけを示しておいて、その後、「やっぱりやめます」と取り消すことも可能なしろものである。しかし、選挙向けと考えれば、実に計算された「政治的な妙手」である。

なにより、小池都知事はメディアの動向を読むのがうまい。国政レベルで、森友・加計学園問題が「もりそば・かけそば」と揶揄され、本コラムで書いたようにいずれも「総理の関与」も「総理の意向」もないにもかかわらず、イメージだけは確実に悪くなるような報道がなされた。

それだけではたいしたことはなかったはずだが、都議選終盤において、豊田真由子議員の信じられない暴言、稲田朋美防衛相の失言は、あまりにわかりやすく、これが決定的に都議選へ悪影響を及ぼしたといわざるをえない。これらの暴言・失言は、小池都知事の豊洲移転の失敗を覆い隠すとともに、自民党の自滅を誘った。小池氏はとにかく運がいい。

さて、この都議選が国政へなにか影響を及ぼすのだろうか。

   結局、国政には影響なし…?

無論、自民党はこれだけの大敗をしたのだから、影響がないはずない。有権者は、国政選挙が当分ない安倍政権への「お灸」をすえたのだろう。

一方で、この影響が国政に直接響くとは言えないだろう。そもそも都議選は地方選挙であり、国政選挙でない(当たり前のことで恐縮だが)。民進党、共産党が大躍進でもしない限りは、国政での自公連立は揺らがないだろう。というのは、都民ファーストが勝ったのは、公明党の勝利という見方もできるからだ。

かなり乱暴な言い方であるが、自公連立政権としては、都民ファーストが勝っても自民が勝ってもどちらでも良かったともいえる。

都民ファーストが勝利したが、2020年の東京五輪を控えて、小池都知事が国政で自公政権と対立するとは思えず、むしろ協力関係を築くことになるだろう。都民ファーストの勝利は、自民党都議の議席を減らすと同時に、民進党にとっては「虎の子の民進党都議」を小池都知事にとられただけ、になる可能性が高いのだ。

東京都における都民ファーストの躍進は、大阪における維新の台頭と表面的には似ているとも言える。大阪では維新の会は自民党と競合しているが、大阪万博やカジノ誘致のために、国政では安倍政権と協力関係にある。小池都知事が率いる都民ファーストは、2020年東京五輪があるので、同じように安倍政権と協力関係にならざるを得ないだろう。

実際、小池都知事の発言をよく読むと、安倍政権の批判はしていない。安倍首相も、小池都知事を名指しで批判していない。このあたりは、今後の協力関係を想定しているかのようだ。

それでは、国政は今後どうなるのだろうか。安倍首相は、2020年に憲法改正を施行するというスケジュールで進めており、当然のことながら、これを中心として、今後の政治スケジュールが進んでいくだろう。

「2020年憲法改正施行」から逆算すると、憲法改正の国民投票は遅くとも2019年夏までに行われることになる。国民投票だけで憲法改正の賛否を問うことも可能であるが、政治的な常識からは、2019年夏の参院選か、2018年12月に任期終了する衆議院と同じタイミングで国民投票にぶつけるのだろう。

初めての憲法改正であるので、周知期間を長くとるために、2018年中のおそらく後半に衆議院解散をして、国民投票と総選挙との「ダブル選挙」を行うことがメインシナリオではないかと筆者は考えている。そのとき、2019年10月から予定されている10%への消費増税の是非も争点になるはずだ。安倍政権は、憲法改正、消費増税凍結で、国民投票と総選挙のダブルを仕掛けてくると筆者はにらんでいる。

国民投票の手続きには、国会の発議が必要だ。衆院議員100人以上、参院議員50人以上の賛成により、憲法改正案の原案が発議され、衆参両院の憲法審査会で審査したうえで、両院の本会議に送られる。ここで両院議員のそれぞれ3分の2以上が賛成し、可決されると、国会での憲法改正の発議となる。国民投票は発議の日から起算して60日以後180日以内に行われるが、ここも初めてのことなので、最大の180日を採ることにになるだろう。

であれば、憲法改正の発議は、2018年6月までに行われることとなる。つまり、来年の通常国会中に発議するというわけだ。

   政局を起こしたいならば…

こういう今後のスケジュールをみれば、先日、安倍首相が「秋の臨時国会で自民党の憲法改正案を示したい」と発言したのはうなずける。秋の臨時国会までに、各党の憲法改正案を示して、来年の通常国会での発議を目指しているのだ。

さて、秋の臨時国会までに必要なのが内閣改造だ。今年の通常国会では、閣僚の失言などが目立ったので、秋の臨時国会に備えて、内閣の体制強化が求められている。もっとも、内閣改造すると、どうしても「適齢期」などを考慮して処遇せざるを得ない人物も出てくるので、必ずしもいいことばかりでない。

内閣改造の後、第二次安倍政権の原点回帰ともいうべき経済政策の強化のために、秋の臨時国会で補正予算が打ち出されるだろう。通常国会では、森友学園・加計学園と、国政ではどうでもいいような話題に対してマスコミ・野党の激しい思い込みが炸裂し、政策論争が行われなかった。

秋の臨時国会では、実りある政策論争をするために、補正予算を出すだろう。と同時に、来年後半の国民投票・衆院選のダブル選に向けた環境整備も行われるだろう。

もっとも、政局的には、都議選での自民党惨敗によって、自民党内での安倍政権への逆風が吹くことのほうが、民進党、共産党等の野党の動きよりも不気味だろう。それが見えてくるのは、秋の臨時国会までに行われる内閣改造のタイミングである。

ここで、反安倍の動きが出るかどうか、ここが正念場である。強い逆風が吹くようであれば、2018年後半での、国民投票と衆院選のダブル選のメインシナリオも変化する可能性も出てくる。

しかし、ここでひとつ釘を刺しておきたいのは、政権に対して逆風を吹かせるにしても、それに政策論が伴うかどうかが重要、ということだ。政策論としては、安倍政権下の雇用環境は歴代政権の中でも最高のパフォーマンスであり、これでは政局を起こそうにも、大義名分が生じない。

政局を仕掛けるなら、アベノミクス(特に金融緩和)の成果を上回る雇用を生み出し、それを提示しなければ、国民から見ればいい迷惑であることも付け加えておこう。

【私の論評】都議選敗退で国政に影響なし、首相憲法改正まっしぐら(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるように、今後の安倍政権の動きとしては、やはり憲法改正が最大のものとなることでしょう。以下に、2020年に改正憲法を施行する場合そうていされるいくかつのスケジュールを掲載しておきます。


安倍政権としては、その時々で政局をみながら、いずれかのスゲシュールで20年の改正憲法の施行をやり遂げることでしょう。

そうして、いずれのスケジュールを採用するにしても、憲法改正のためには、政権を安定させる必要があります。なるべく支持率が高い時に、国民投票にぶつけたいと考えるのは間違いないです。

そのためには、国民投票が行われる時期には、経済がかなり上向いているか、あるいは上向きつつあることが多くの国民に実感できるようになっている必要があります。

そのため、2019年10月から予定されている10%への消費増税は、延期もしくは景気が上向くまで無期限延期にすることが考えられます。いずれにせよ、これに関してはいずれかの国政選挙での公約にすることでしょう。

このあたりは、大規模な政局に発展する可能性があります。昨日のこのブログでも述べたように、骨太の方針から「増税」という言葉がいっさい消えました。

この動きに、消費増税を「省是」としている財務省は神経を尖らせています。表立っては動けないのですが、いろいろと手を回しているようです。その一例が、このブログでもとりあげた自民党内の「反アベノミクス」勉強会の発足支援です。

安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に否定的な自民党有志による「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」(野田毅会長)が15日、2回目の会合を国会内担当で開き、石破茂前地方創生相ら議員約30人が出席しました。講師の早川英男元日銀理事は「デフレ脱却による高成長は幻想だ」とアベノミクスを批判し、石破氏は記者団に「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」と述べました。

講師の早川氏は、「金融緩和するとハイパーインフレになる」と言っていたエコノミスです。今のところそのようなことは起こっていません。

一方安倍政権は、ノーベル賞学者であるスティグリッツ氏やシムズ氏の意見を参考にし、必要なのは財政健全化よりもむしろ財政出動である、としています。彼らは、政府の財政状況を見るとき、実質の「子会社」といえる日銀を含めた「統合政府」のバランスシートで見るべきで、そうすれば特に財政上の問題はないことがわかると主張しています。

ここのところ、政権と「反安倍」の政治闘争が過熱してきています。「骨太方針」で消費増税の文言が消えたのは、本格的な政治闘争が幕を切った合図であると考えられます。

この政治闘争に当然のことながら、野党、マスコミ、自民党の反対派も参戦します。いかに、安倍政権側が多勢に無勢であるか理解できます。しかし、自民党内の反対派の活動も意外と小さなものになるのではないかと思います。

何しろ、都議選では大敗したものの、国政では内閣支持率が低下したとはいうものの、まだまだ安倍自民党は強いです。最近は下がったとはいえ、過去の内閣支持率の推移をみると、特に政権末期にはどの内閣もかなり支持率を落としています。安倍第二次政権が成立以来、三年以上の月日がたっていますが、これを考えるとまだまだ驚異的に高いです。


今回の都議選では、民進党も大敗を喫しました。そうして、高橋洋一氏は今回の都議選の結果は、自民党にとっては国政にはあまり影響はないだろうとしたものの、民進党では国政レベルでも大きな影響が出てくるのは必至だと思います。

民進党は4月に党内きっての実力者である細野豪志氏が代表代行を辞任。さらに都連幹事長の長島昭久氏も党を離れました。都議選を仕切る立場の人間が直前に党を離れるようでは、勝ち目などあるわけがありません。その後も次々と離党者が相次ぐさまは、まさに沈む船からネズミが逃げるような状況です。

都議会では、『東京改革議員団』という会派名に改称し、“民進”という名前を消しましたが、民進党といえば蓮舫氏。知名度が抜群なのは政治家にとって大きな武器ですが、彼女の二重国籍問題がまだ尾をひいています。

蓮舫代表の地元・東京での敗北は結果責任をまぬがれないとの見方がありましたが、自民党への逆風が強まり、民進党は選挙前よりわずかに党勢を回復しました。党内の非主流派が「蓮舫降ろし」に動く気配はなく、蓮舫氏は代表を続投する方針です。

民進党の野田佳彦幹事長は3日の記者会見で、東京都議選で現有議席を下回った情勢に対する蓮舫代表の責任に関し「『選挙の顔』がそんなに他にいるのかどうか。(蓮舫氏は)責任を果たし続けて結果を次に渡すという確固たる決意を持っている」と述べ、引責辞任の必要はないとの認識を明らかにしました。


当初は『議席ゼロ』の予測もありましたが、それは免れたため、代表を降ろす口実はなくなったということのようです。知名度が高い彼女を切れば、民進党は本気だとアピールできたと思いますが、このまま蓮舫代表が続投ということですから、民進党が国政レベルで勢いを増すということは当面あり得なくなりました。

もし民進党が大きな力を持てば、当然のことながら、自民党内にもこれに脅威を感じて、安倍おろしなどの風も吹きかねませんが、この状況だと、少なくとも自民党内の安倍政権反対派がさほど大きな力を持つということは考えにくいです。

さらに、昨日にも述べたように、小池百合子氏は、積極財政にはあまり関心がないので、やはり小池氏を中心とする勢力も国政にはあまり大きな影響を及ぼすには至らないこととが予想できます。

そうなると、安倍政権が初心にもどり、さらなる量的金融緩和を実施したり、大規模な積極財政に踏み切れば、経済が安定し、国民の支持も増え、憲法改正はかなりやりやすくなると考えられるとともに、安倍政権が長期政権になる可能性も開けてくることになります。

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2017年6月1日木曜日

加計問題「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えだ―【私の論評】加計問題で首相を辞任させられるなら、一般企業の取締役、従業員全員をすぐクビにできる(゚д゚)!

加計問題「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えだ

加計学園の学部新設計画で首相官邸が文部科学省に圧力を掛けたされる文書
 加計学園問題について、筆者はメディアで各種の発言をしているが、本コラムでもまとめておこう。そして野党の批判やマスコミ報道のあり方も考えてみたい。

 この問題の大きな構図は、安倍政権が掲げた国家戦略特区をめぐる「規制緩和推進」と「反対」の争いであると、筆者は考えている。そこに、前川・前文科事務次官の“告発”の記者会見があったので、俄然、世の中の関心も盛り上がってきた。この時の発言で、規制緩和推進と反対の構図はよりよく見えただろう。ただし、この会見を伝えたマスコミ報道を見ている限り、マスコミは、加計問題の全体構図はおろか、前川氏の記者会見での致命的なミスすらわからないようだ

 そして、加計学園の獣医学部新設が認可されるまでを時系列で整理すれば、野党やマスコミが意気込む「総理の意向」が働いたことをことさらに疑ってかかることは、まったく無関係であることがわかる。

 文科省は獣医師の需要見通しを
 出せなかったから負けた


 前川氏が、「行政が歪められた」として言及している閣議決定は、2015年6月30日に「日本再興戦略」(改訂)や規制改革実施計画などが決まった時のものだ。

 ここに書いたのは、文科省関係だけであるが、他省庁分もあるので、全体では膨大な分量であることがわかるだろう。このうち、獣医学部のところは、以下のとおりだ。


 この閣議決定では、獣医学部新設の条件として、獣医師の需要見通しなど4条件をあげている。

 当時、規制緩和を進めようとした内閣府に対し、文科省が抵抗したわけだが、この閣議決定にある需要見通しを文科省が出せなかった段階で、内閣府の勝ちである。新設が不要というなら、それを裏づける獣医師の需要見通しを示す「挙証責任」は許認可権のある文科省にあるからだ。

 許認可というのは、自由が原則であるのに、一定の条件を課して許認可をかけるわけだ。それなのに、前川氏は、「条件に合致しているかを判断すべき内閣府は十分な根拠のある形でその判断をしていない」と、他人事のように記者会見でしゃべってしまった。

 マスコミもこのことを指摘したところは皆無だった。許認可権のことがわからなくても、仮に、内閣府がすべての規制緩和で挙証責任を持ったら、閣議決定の膨大な量を見ても、事務的にできるはずないと考えられないのだろうか。この程度の質問ができないとすれば、記者会見の存在意義も問われるのではないか。

 なお、文科省には、需要見通しを作成できる人員がいるとは思えないので、2015年6月に閣議決定がされた段階で、文科省の負けは予想できた。

 加計学園、「1校認可」は
 不自然だとは思わない


 もともと獣医学部は52年間も新設がなかったので、いろんなところで歪みが出ていた。一部地域で産業関係の獣医師不足も指摘されていたので、文科省で人員をそろえても、需要見通しでは分が悪かっただろう。

 そうした中、規制緩和に反対する省庁などの後ろにいる獣医師会も新設反対だけではもたないと考えたのだろう。1校であれば容認というスタンスになったという。

 これは、ちょっと取材すればわかるはずで、「総理の意向」が働いたことばかりを疑うマスコミはこうした地道な取材をしないことがわかってしまう。

 本当に獣医師会が抵抗するなら、関係の深い国会議員に働きかけて阻止しようとするので、動きはわかるはずだ。そうした動きがない以上、1校容認ということだったのだと、推測できる。

 そうなると、獣医師の需給をつかさどる農水省も無駄な作業はしたくないだろうから、需要見通しを文科省に示さない。このあたりも、前川氏は記者会見で話している。

 いずれにしても、こうした行政のプロセスを追っておけば、なぜ獣医学部新設が認められたのか、加計学園1校になったのかもわかる。まず、獣医師会の1校容認の意向が大きく、加計学園がかなり前から要望していたこともあるだろう。筆者が霞が関で働いていた時の記憶でも、加計学園は小泉政権時代から要望していたように思う。それに、地理的な需給の配慮もあるかもしれない。

 役人の思考プロセスは単純なので、おそらく複雑な背景や理由はないだろうし、外部の者として見ても、加計学園1校となったのは筆者には不自然ではない。

 規制緩和、新規参入の立場から、1校に限定する必要はないので、獣医師会さえ納得すれば何校でもOKのはずで、その場合、前からの要望があって、今でも要望しているところが優先されるだろう。

 しばしば加計学園問題に批判的なマスコミは、安倍政権になってから認可などのスピードが速まったという。だがそれ自体は問題ない。仮に問題があるとすれば、ウェイティング・リストの順番を変えることだ。まあ、病院での診察順番待ちでも時々順番が前後するが、前後した場合に合理的な説明が必要になってくる。

 この点についても、野党やマスコミが、一方の当事者だけから示された「文書」や「会見発言」に過ぎないものを金科玉条のように取り上げるから、真相につながる質問がされず、解明にほど遠くなるのだろう。

 「総理の意向」ありき
 野党やマスコミは学んでいない


 なぜ、真相に行き着かないのか。これはマスコミが、目の前の現象のみに注目するからだ。加計学園の前には、森友学園問題があった。両者は似ていて、確かに加計学園問題は「第二の森友遠学園問題」の様相を呈しているが、森友学園問題が空振りになった教訓を、野党やマスコミはまったく学んでいない。

 ともに共通するのは、思い込みとベンチマークの欠如だ。

 その思い込みとは、森友学園問題では「総理の関与」で、今回の加計学園問題では「総理の意向」である。それがあるはずという前提で、目の前の現象を追い続けるというのが、野党やマスコミである。

 こういうときには、別の事象の「ベンチマーク」を探すといい。これは、プロの数学者がしばしば使う方法だ。

 これまで誰も解いたことのない難問の場合、似たような構造を持った別の事象で問題を置き換える。そうすると、まったく別の事象であれば簡単に解けることがある。詳しくは省くが、300年以上、誰も解けなかった「フェルマー最終定理」も、別のところで問題を解いて、その結果、フェルマー最終定理が解けている。

 社会問題の真相の解明でも、同時並行的に起こっている事件がしばしば役にたつ。

 森友学園問題では、森友学園の土地ではなく、同じ一筆の東側の土地である。これは、森友学園に先行して豊中市に売却されている。そこでは、土中のゴミが発見されている。それにもかかわらず、この事実を知り得るうる立場のはずの財務局は、森友学園への売却では当初、その事実を相手方に伝えていない。ここが問題の本質だ

  行政のプロセスを
  検証すれば真相はわかる


 加計学園問題の場合は、同じ国家戦略特区に認められた成田市の医学部新設での国際医療福祉大のケースだ。医学部新設も38年ぶりである。もし、「総理の意向」が働いていれば、両者のプロセスに差があるはずだ。

 ところが、国際医療福祉大の方が先行事例で、加計学園の方が後になっている。これを加計学園が追い越したというのであれば問題であるが、そうしたことはなく、筆者の見るところ、両者のプロセスに顕著な差はない。ということは、「総理の意向」は外部から認められないということになる。

 こういうと、「忖度」があったのではないかと、野党やマスコミはいうだろう。「忖度」は内面の話であるので、外からはよくわからない。問題があるとすれば、行政プロセスが歪められ、プロセスに変化があることだ。それがなければ、内心の「忖度」はどうでもいい。

 繰り返すが、筆者の見る限りでは、加計学園と国際医療福祉大では差があるように見えない。そこで、筆者には、規制緩和推進と反対の争いで負けた文科省側の前川氏が吠えているだけと見える。閣議決定にある需要見通しを文科省が出せない段階で、内閣府の勝ちで、内閣府が「総理の意向」を持ち出すだすことなく、ゲームオーバーになっている。文科省があまりに惨めな負け方なので、前川氏から「総理の意向」を言い出した可能性すらあるのではないか。

 野党やマスコミは「総理の意向」と主張したいのであれば、両者のプロセスの差を指摘すればいいと筆者は思うが、どうであろうか。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】加計問題で首相を辞任させられるなら、一般企業の取締役、従業員全員をすぐクビにできる(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の主張は、さすがにもと官僚ということもあり、正しいもと思います。今後、加計問題も野党の追求は何の効果もないでしょう。ただ、時間を無駄にするだけです。

それにしても、今回のいわゆる加計学園問題の発端となった文書がありますが、そもそもあの文書が明るみに時点で、今回のこの問題は全く無意味であることが最初からはっきりしていました。ただし、このあまりにもはっきりしていることを、なぜか野党やマスコミが気づいていないのか、気づいていても、気づかないふりをしているのか、わからないので、再度このブログで扱います。

この問題については、一部このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
出会い系バー通いを注意され「逆恨み」か…和田政宗議員、加計学園「怪文書」犯人を告発―【私の論評】加計問題を最大の攻撃材料にする野党は、犯罪者を応援することになる(゚д゚)!
文科省の前川喜平前事務次官を告発した和田政宗参院議員

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、いわゆる加計学園問題の発端となった、文書について、以下のように論評しました。
ところで、あの怪文書ですが、最初に公開されたもの(2頁のもの)と後から公開されたもの(8頁のもの)とがありますが、両方とも公文書としては、書式も内容かなりお粗末なものでした。これは、レク資料というものであると、前川氏が説明しています。ということは、公文書ではないということです。 
特に、最初に公開されたものは、宛先も発信者の部署名や、所属も、発信日時すら明記されておらず、とても官公庁内の公式の文書であるとは考えられませんでした。これでは、まともな会社の公文書であるとも主張できないです。これについては、ネット上に添削した内容を掲載していましたので、その添削をした内容の画像を以下に掲載します。
この後に公開された8頁のものは、一部だけ公開されています。それを以下に掲載します。

さて、この記事では指摘しませんでしたが、これらの文書には、文書番号すらありません。

一般の企業では、企業内の文書では、宛先、発信部署、発信者名、発信日時、文書番号を掲載します。 回覧する場合には、閲覧者の押印欄もあります。このような正式な公文書の体裁は、当然文部省の文書でもあります。

以下に一般企業内の文書の事例を掲載します。


企業でもある程度規模が大きくなると、文書管理規程、文書管理マニュアルなどが存在して、企業内外へ文書のやりとりを厳しく制限、規制しています。

たとえば、ある企業では、「通達」は営業時間を変えるとか、基本方針を変えるなどのときに発信するものとしています。これは、年間でも最大で4〜5通しか発信されないのが普通です。さらに、紙の色も赤色にして、他の文書と明確に区別できるようにしたりしています。

本社から支社や支店に対して発信する文書もいろいろと制限を受けます。支社や支店で、報告や調査を必要とするものは、原則として調査開始日の2週間以上前に発信するなどの規則があったりします。この場合は、紙の色を黄色にしています。その他、文書の発信頻度なども縛りがあります。さらに、ファイルなどへの入れ方や、その後の処分までの期間などにも決まりがあります。

無論、企業で正式に定められたこのような取り決めがないと、社内が大混乱してしまいます。たとえば、本部の各部署から支店や店舗などに、文書が何の制御もなく発信され、文書の洪水になってしまい、発信した文書がほとんど読まれなくなったりします。だから、発信者は無論文書を発信するときには、企業で定められた通りに体裁を整えて発信するのが普通です。

書類の色といえば、租税関係の催告状なども最終のものは赤のものを使用しています。以下にその写真を掲載します。これは、ネットにあったものです。


いわゆる加計学園問題の発端となった文書に関しては、当然一般企業にもみらるし、当然のことながら文部省にもみられるであろう体裁が整っていません。これはどうみても、公式なものではありません。

しかし、前川氏はこれを文部省内で存在した文書であると、記者会見で主張しました。しかし、その存在というのが問題です。しかし文部省は調査した結果、そのような文書は存在しなかったとしています。

ただし、文書の体裁からみて、公式のものではないことははっきりしています。にもかかわらず、前川氏は存在していたというこの認識のズレはどこからきているのでしょうか。

それは、文部省側はあくまで、文部省内で流通していた正式な文書の範囲の中にはなかったということを言っているのです。これに対して、前川氏は、正式ではないのですが、文部省内に過去に流通していたということを言っているのだと考えられます。

衆院予算委員会で挙手する参考人の前川喜平前文部
科学省事務次官、左は文科省人事課OBの嶋貫和男氏
企業の中でも、いわゆる正式な体裁を整えない文書もあるにはあります。それは、たとえば、上司が部下に命じて、たとえば新たな技術に関する内容を短くわかりやすくまとめた資料などの類です。上司としては、その内容をどこにも発信するつもりはないので、この場合は、体裁を整える必要はありません。だから、企業内でも体裁を整えていない文書は存在するといえば、存在するものと思います。

しかし、ここでただしというところがあります。この文書を企業内の誰かに発信することになった場合には、文書番号、発信部署、発信者名新たな文書を作成して、先の文書を添付する形式にして発信します。だから、企業内ではよほど出ない限り、いわゆる公式でない文書などあまり存在しないのです。あったにしても、それはあくまで、単なる資料に過ぎず、その資料をもって社内で何らの効力も持たないのです。

仮に、企業内で何か不正行為などの問題がおこったとします。その場合、総務などが内偵を行い、ある常務取締役が怪しいということになったとします。

総務が、不正行為が「常務のご意向」であるとの文書を発見したとして、その文書が正式の体裁をしていなければ、それだけを取締役会などに提出することはできません。正式なものであれば、無論提出できます。そうして、取締役会で諮られ、その常務は辞任させられることになるかもしれません。

ある企業の取締役会
しかし、正式なものでなければ、当然のことながら、提出することはできません。もしどうしても提出するというのなら、その文書とともに、それが明白に犯罪に関係しているという内容のものも提出しなければなりません。

これは、何も一般企業だけではなく、文部省も同じことです。正式な文書ならともかく、正式ではない文書の場合は、その文書に書かれていることが、正しいと判断できる証拠がなけば、何の意味もありません。

これは、一般社会常識の範囲だと思います。一般企業で、正式な文書でもない文書だけをもとに、不正行為があったなかったなどと、取締役会や会議などで判断などできるわけがありません。そのようなことをすれば、犯罪行為にもなりかねません。

だから、もし加計学園問題で、首相を辞任させることができるというのなら、一般企業でも取締役や従業員を全員すぐにクビにできるということになってしまいます。

これは、どう考えても辻褄があいません。しかし、野党やマスコミがやっていることはこれに等しいのです。

特にマスコミは、大きな企業組織であることがほとんどです。大きな企業組織であれば、文書管理規程や、文書管理マニュアルが存在して、その枠組みの中で文書を発信したり、受信しているはずです。

であれば、文書管理はどのようなものなのか、身をもって知っているはずです。にもかかわらず、上記のような観点も報道しないというのであるとすれば、知りながら悪意で、加計学園問題を報道しているとしか思えません。

悪意があってもなくても、これは非常に問題です。それに、野党の議員の中には、企業に勤めた経験のない人もいるかもしれませんが、上記で掲載した企業の文書管理の実態など知っておくべきです。そうでなければ、政治家はつとまりません。

いずれにしても、文書の面からも、ブログ冒頭の高橋洋一氏の主張からも、どう考えても加計学園問題における「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えとしかいえない代物であることは間違いないようです。

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2016年12月13日火曜日

蓮舫・民進党の「体たらく」が、首相の解散判断に影響を与える可能性―【私の論評】嘘吐き蓮舫砲が轟きつづける限り、安倍政権は安泰(゚д゚)!

蓮舫・民進党の「体たらく」が、首相の解散判断に影響を与える可能性

時間が経つほど、自民党がトクをする?

田崎 史郎

最近とみにブーメランに見舞われる民進党代表蓮舫氏
衆院解散・総選挙時期をめぐる報道がまた、にぎわしくなってきた。産経新聞が12月8日付朝刊で「首相、年内解散見送り 外交優先 来秋ずれ込みか」と打てば、日経新聞は「早期解散巡り臆測 年内?年明け? 真珠湾訪問で与野党に警戒感」(同9日付朝刊)、朝日新聞は「1月解散論 自民に浮上 真珠湾訪問 支持率上昇期待 年明け情勢調査へ」(同10日付朝刊)と報じた。「年内・年明け解散」の有無をめぐって、朝日、日経両紙と産経新聞が真っ向から対立する構図だ。

衆院解散・総選挙時期の見立ては首相退陣と同じくらい、各社政治部の力量が問われる。その戦いに、私も加わってみよう。

     「自民60議席減」の予測もあるなか…

衆院解散は首相の専権事項だから、解散時期を予測するには、安倍晋三、およびその側近にどれだけ食い込んでいるかが試される。と同時に、衆院解散・総選挙をめぐる情勢への認識が問われる。

まず、今、解散するべき時期なのか。2014年12月14日投票の衆院選から2年が経過したので、いつ解散が行われても不思議ではない時期に入った。だから今後、政局は解散の可能性がつねに1割程度はある展開になる。

だが、解散には、国民がなるほどと思う一定の理解が必要だ。米国で来年1月、大統領にトランプが就任。トランプがどんな政策を打ち出すかによって世界が大きく変わる。今年6月、英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まった。今月、イタリアでは憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、敗れた首相・レンツィは辞意を表明した。

来年4~5月にフランス大統領選、来秋にはドイツで連邦議会(下院)選がある。その結果次第では、ドイツ首相・メルケルが続投できるかどうか分からない。世界が不安定化している中で、先進7カ国( G7)首脳会議(サミット)参加国で安定した政権運営を長期に続けているのは日本だけである。こんな時に解散して、国民が納得するだろうか。

国内の政治日程を見ても、安倍は来年1月中旬に豪州、東南アジア訪問を検討し、下旬には訪米してトランプと正式な日米首脳会談を行うことも計画している。そんな時期に衆院解散を行うのは日程的に厳しい。政権の命運がかかった衆院選を行うには、選挙態勢づくり、公約作成、争点設定など緻密な作業が求められるからだ。

また、衆院議員の定数削減・是正は4月の衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)の勧告を経て、6月ごろ実現する見込み。このため、年明け解散だと「定数削減・是正逃れ」と批判されるようになるだろう。

次期衆院選で、自民党が議席を減らすのは必至とみられていることも、解散を判断する重要な要素だ。自民党が衆院選で続けて290を上回る議席を獲得したのは12年、14年しか例がない。次期衆院選では、野党統一候補が増える一方、自民党の12年当選組の選挙準備不足などによって、自民党は少なくとも30議席、多い場合には60議席近く減るとみられている。

    解散先延ばしの原因は「民進党」にアリ 

安倍は18年の自民党総裁選で3選され、21年まで続投する可能性が高い。これが現実となるなら、21年までにもう1回、衆院を解散することができる。

その場合、可能性が高いのは20年夏の東京オリンピック・パラリンピック直後の20年秋だ。年明け解散だと当選した議員の任期は21年2月ごろとなり、任期満了近くになってしまう。来秋以降の解散なら、任期満了までに余裕を持つことができる。

安倍官邸が衆院解散を急いでいない最大の理由は、9月に民主党代表に就任した蓮舫の人気が沸かないことだ。7日の党首討論で蓮舫は安倍を「息をするようにウソをつく」となじった。蓮舫の発言は前大阪市長・橋下徹が「人格攻撃」と指摘したように度を超えており、反安倍の人たちには受けても、分厚い保守層は民進党からますます離れただろう。

蓮舫の任期は19年9月まで。蓮舫を見る党内外の目は冷ややかであっても、当分、辞めそうにない。政権中枢部はこう言う。

「蓮舫の支持は今後も伸びず、民進党はもっと落ちていくだろう。解散は先に延ばした方が有利ではないか」

民進党の体たらくが解散時期を先延ばした方が有利という安心感をもたらしている。新聞社の攻防は産経の勝利になるのではないか。

(文中敬称略)

【私の論評】嘘吐き蓮舫砲が轟きつづける限り、安倍政権は安泰(゚д゚)!

野党共闘により、次期衆院選では自民党がかなり議席数を減らすことは、産経新聞も予測の記事を出しています。その予測では、47議席を失う可能性を指摘しています。

その産経新聞の予測記事のリンクを以下に掲載します。
【衆院選シミュレーション】4野党共闘ならば47選挙区で当落逆転 与党326→279 全野党共闘ならば84選挙区で逆転…
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事に掲載されていた、チャートと表を掲載します。



この記事の、結論部分を以下に掲載します。
 試算では、4野党共闘と距離を置く維新の党(現日本維新の会)や次世代の党(現日本のこころを大切にする党)を第三勢力として別枠としたが、維新など全野党が共闘した場合、計83選挙区で与野党の勝敗が逆転する。この場合、与党は243議席と過半数(238議席)をわずかに上回る勢力まで落ち込み、政権運営は極めて不安定となる。
この状況をみると、田崎史郎氏が予想するように、確かに来年早々の解散はないかもしれません。

上の記事で、田崎氏は、"蓮舫の任期は19年9月まで。蓮舫を見る党内外の目は冷ややかであっても、当分、辞めそうにない"としています。

実際にそうです。特に最近の蓮舫代表は、大ブーメランの連続です。政策論争など抜きで、舌鋒鋭く自民党や、安倍首相を攻撃するたびに、鋭く大ブーメランが蓮舫氏を突き刺すことになっています。

特にカジノ法案については、蓮舫代表は党首討論でも、舌鋒鋭くギャンブル依存症の酷さを指摘しましたが、この指摘は非常に矛盾に満ちたものでした。

なぜなら、日本ではカジノは解禁されておらず、現在日本でギャンブル依存症に陥った人々の大多数が、パチンコでそのような依存症に陥っていることは明らかなのに、蓮舫代表はパチンコによる被害に関しては何もいいませんでした。

「パチンコでこのくらい酷い被害があるのだから、カジノを解禁すればもっと酷くなる可能性もある」というのならわかるのですが、パチンコについては一切述べず、まだ解禁になってもいないカジノの危険性を指摘するにとどまっています。これは、大きな矛盾です。

そうして、カジノといえば、カジノに猛烈に反対する蓮舫氏が、実は過去にカジノを日本に導入しようとしていた張本人であることが分かっています。

12月8日の民進党蓮舫代表定例会見において、ある記者が質問をしていました。



この動画の、11分16秒あたりで、フリーの記者の佐藤りょうへいという方が質問をしています。この動画また民進党に削除されるかもしれないので、以下に質問の要旨のみ掲載しておきます。

2011年、民主党はカジノ導入を成長戦略として考えていました。カジノ解禁に向けてつくられた資料は証拠として残っており、当時の行政改革担当大臣を調べるとなんと蓮舫氏。記者はこの点について「蓮舫氏の方針が当時と変わったという理解でよろしいでしょうか?」と質問しました。

これに対し、蓮舫氏は「カジノ解禁は当時たくさんあった規制改革案の一つにすぎない。私がカジノ解禁について議員立法に力を入れたことはない。政府として一つの選択としてあったという程度の認識です」と回答しました。

しかしこれは真っ赤な嘘。この受け答えはあまりにも卑怯です。

蓮舫氏のこわばった表情が全てを物語っています。要するに過去に自分自身もカジノをつくろうとしていたのに、安倍総理がやろうとするとたちまち反対派にまわったということです。

当時の民主党政権下でつくられた「国土交通省成長戦略」の資料によると、観光戦略としてカジノを中心に総合リゾート開発を推し進めることが力説されており、しかも数年以内の実現を目指すと具体的なスケジュールまで明記されています。

さて、その資料の一部を掲載します。

▼「2~3年後の実現を目指すもの」にカジノが挙げられています。治安が悪くなるリスクに配慮しながら、実施すると書かれています。


▼「早期の実現を目指すもの」に新しい観光アイテムとしてカジノが挙げられている。



党首討論において蓮舫氏は安倍総理を嘘つき呼ばわりすることで見事な自虐ネタを披露し盛大な笑いをとってました。蓮舫氏が投げるブーメラン攻撃がことごとく投げた本人に当たるものだから見ていて滑稽です。

この党首討論については、このブログでも紹介しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫代表、醜悪ブーメラン直撃 首相相手に罵詈雑言連発の党首討論デビュー―【私の論評】パチンコ業界守護神の蓮舫民進党は風前の灯火(゚д゚)!
7日の党首討論で、安倍晋三首相への口汚い批判を繰り返した蓮舫民進党代表
民主党政権時代の大臣としてカジノをつくろうとしていたのに、今では涼しい顔でカジノ反対派に転身です。白々しい以下のツイートをご覧頂きたいです。


多くの有権者は、そもそも戸籍謄本も公開できない日本人かどうかすら怪しい人に「世界に誇る美しい国」などと言われたくないでしょう。これぞ息をするように嘘をつく、蓮舫氏の嘘のつきっぷりはまさに神ってます。

それにかなり心配というか、蓮舫氏に関しては"大丈夫なのか?"と言いたくなります、わずか5年くらい前のことも記憶にない、記憶になかったとしても、党首討論などに備えるためには、その頃のことを調べてみたりするのが当たり前だと思います。私自身は、民主党政権は、カジノ法案を推進していた事は、うっすらとですが覚えています。

政治の世界は、本来少なくとも3年〜5年くらいのスパンで物事を考えてもらわないと困ります。民間会社ですら、最近では3年〜5年くらいの長期経営計画を立案して、会社の舵取りをしています。政治の世界では、10年、20年場合によっては、50年くらいのスパンで物事を考えなければならないことがあるはずです。

たとえば、総務省が11月29日発表した10月の労働力調査によると、正社員は前年同月に比べ74万人増え3405万人となりました。非正規は31万人増の2028万人でした。正社員の増加が非正規を上回るのは2カ月連続です。


企業は年末の繁忙期を前に、待遇のよい正社員でないと人手が集めにくくなっています。

厚生労働省が同日発表した正社員の有効求人倍率(原数値)は0.92倍と過去最高になった。全体の有効求人倍率(季節調整値)も1991年8月以来となる1.40倍の高水準に達しています。

10月の完全失業率は前月と同じ3.0%。総務省の同月の家計調査によると、実質消費支出は前年同月比0.4%減でした。正社員化による待遇改善が続けば、消費の活性化につながる可能性があります。

雇用に関してほとんど、無知と言っても良い、民進党は、雇用と金融政策との相関関係について全く理解していません。だから、雇用に関する質問や、発言はいつも頓珍漢です。

一般に金融緩和の過程で、雇用状況が改善していく過程において、最初はパート・アルバイトなどの雇用が増えます。そのため、実質賃金が下がるのですが、さらに雇用状況がよくなると、正社員の雇用も増え、実質賃金も増えるようになります。しかし、このようになるには少なくとも3年はかかります。

そのことを認識しない民進党は、金融緩和を始めて一年も経っていない時から、やれ「非正規ばかり増えている」とか「実質賃金が下がっている」挙げ句の果てに「民主党政権の時代のほうが正規雇用が多かった」などと大騒ぎをしていました。

民進党は、雇用に関しては、ほんとうに数ヶ月くらいのスパンでしか物事を見ていないようです。これは、民進党だけではなく、他の野党も大同小異です。野党はもつそろそろ、雇用と金融政策との関係を認識して雇用に関してもっと前向きでまともな論議をすべきです。

普通の会社ですら、業績が一端低下すると、それを元に戻したり、さらに成長させるためには、数年の年月を必要とします。

私は、最初は民進党のこの愚かな振る舞いや、蓮舫代表の愚かな発言に関して、何でも政争の道具にしようとするからあのようなことになると思っていたのですが、最近ではそうではないと思うようになりました。

雇用情勢や経済に対する民進党の発言をみていたり、わずか5年前に、カジノを推進していたことをきれいさっぱり、忘れている蓮舫代表などを見ていると、本当に数ヶ月単位でしか物事を考えていないのだと思います。まるで、脊髄反射のようです。

脊髄反射を起こすための刺激の伝導路、脊髄反射弓
この状況が続く限り、民進党には政権与党に返り咲く資格など全くないと思います。返り咲けば、雇用も経済もぶち壊しになり、日本はまた酷いデフレスパイラルのどん底に舞い戻ることになります。

このようなことは、一般に周知されるにはある程度時間がかかるようです。だとすれば、来年早々衆院解散選挙をするよりは少し伸ばしたほうが、選挙戦は有利になるかもしれません。これからも、蓮舫代表はブーメランを繰り返し、民進党の支持率はさらに下がるでしょうから、その頃に選挙に踏み切るべきなのかもしれません。

しかし、もう一つ圧倒的に有利なやり方があります。それは、現在3%程度の失業率を2.7%程度に下げることです。そのためには、さらなる追加金融緩和が必要です。

さらに、GDPをもっと上向かせる必要があります。そのためには、機動的な財政政策が必要です。そのためには、減税なども視野にいれるべきです。そのためには、増税一辺倒で国民の敵である財務省を完膚なきまでに打ち砕く必要があります。

これらのことを実行して、経済を完璧に上向かせるためには、それなりにある程度の時間を要します。経済が上向きつつあり、これからかなり良くなることがはっきり見えてきた段階で選挙にすれば、大勝利は間違いないです。

経済のことを考えれば、どう考えても、他の党では駄目で、やはり今のところは自民党に大勝利してもらう以外にありません。何とか、頑張って、次の選挙では大勝利していただきたいものです。

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