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2020年9月7日月曜日

トランプ氏「逆転再選」で安倍首相“3度目登板”も!? 外交・安全保障で存在感大きく 民主主義の敵・中国と対峙するための「日本のリーダー」に誰を望むかは明らか―【私の論評】安倍晋三氏が次の次の総裁選に出馬するということは、十分にありえるシナリオ(゚д゚)!

トランプ氏「逆転再選」で安倍首相“3度目登板”も!? 外交・安全保障で存在感大きく 民主主義の敵・中国と対峙するための「日本のリーダー」に誰を望むかは明らか

安倍首相(右から2人目)の後継が有力視される菅官房長官(左)。その次は…

 安倍晋三首相が辞任を表明して以降、世界各国の首脳から長年の労をねぎらうメッセージが寄せられている。リーダーシップを発揮してきた安倍首相の不在が国際社会に与える影響は小さくない。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米中対立など多くの難題を抱えるなかで、「3度目の首相登板」の日も遠くないと大胆予測する。


 安倍首相は8月28日午後5時から記者会見を開き「辞意」を表明した。

 「悪夢の民主党政権」で疲弊した日本を成長軌道に戻し、体調を悪化させる原因にもなったと思われる「不眠不休」の新型コロナウイルス対策で爆発的流行が起こらなかったことなど、日本のために尽力されたことにまずは「ありがとうございます」と述べたい。

 菅義偉官房長官が後継総裁として有力視されているが、もしそうなれば、後世の歴史に間違いなく残るであろう傑出した大宰相の路線が引き継がれると期待できる。

 忘れてならないのは、「日本国首相」が日本国民の代表であるとともに、「世界の主要国日本の顔」であることだ。

 蜜月時代を築いたドナルド・トランプ米大統領だけではない。世界中の首脳からのメッセージは、安倍首相のリーダーシップへの評価がどれほど高かったのかを如実に示している。

 特に米国が離脱した後の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を11カ国でまとめ上げたことは、その中に米英など5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」構成国が3カ国入っていることを考えても、日本が第6番目の国として参加する可能性を高めたと言える。

 辞任後も「世界が安倍晋三を求めている」。体力的に当面は外務大臣等の職務は難しいであろうが「元首相」や「外交特別顧問」としての活躍は期待できるのではないだろうか。

 さらには、今回の辞任で3度目の安倍政権の可能性はむしろ高まったと言えるかもしれない。難病を抱え激務で疲労困憊している中で本人がそこまで考えたかどうかはわからないが、残り1年の任期に執着せず、潔く決断したことは間違いなく「次につながる」行動だ。何事も安倍首相のせいにする「アベノセイダーズ」たちに、「安倍首相以外」の政治家がどのような結果をもたらすのかを体験させる良い機会であるともいえる。

 先読みしすぎかもしれないが、安倍首相復活の鍵はトランプ大統領再選にあると言える。

 偏向メディアは日本でも米国でも、とにかく反トランプ一色だが、そうしたメディアが行うアンケートでもトランプ氏がバイデン氏を急速に追い上げ、互角と言ってよい戦いになっている。

 黒人差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」と結び付いた反トランプ勢力を恐れて、「トランプ支持」を公然と述べない人が多い。それを考えれば、前回の大統領選と同じように、世論調査に関わらず、トランプ氏が有利な状況ではないだろうか。

 景気の落ち込みは現職にかなり不利だが、それを補って余りあるのが民主党のジョー・バイデン前副大統領のお粗末さだ。ウクライナや中国など息子を含めた金銭疑惑は晴れておらず、認知症疑惑も深刻だ。

 大統領選の山場は、9月29日から始まるトランプ氏とバイデン氏の3回のテレビ討論会だ。熾烈な言葉のやりとりが全国民に向かって放映される中で、バイデン氏の「失言」が続けば、勝敗は明らかであろう。

 もしトランプ氏が再選されれば、民主主義の敵・中国と対峙するための最大の同盟国である日本のリーダーに誰を望むかは明らかだ。

 日本の懸念は安全保障だけではない。習近平国家主席が「食べ残しを厳しく戒める」ほど、中国の食糧難到来の可能性は高いが、日本は中国から多くの食品を輸入している。大半が中国からの輸入だったマスクのような「品不足騒動」が起こったら、国民の生命が危険にさらされる。

 食糧が戦略物資となり世界中で争奪戦が起こる可能性が高い。世界最大級の食糧生産国である米国などとの友好関係を盤石にするためにも、安倍首相にはまだまだ頑張ってもらわなければ困る。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍晋三氏が次の次の総裁選に出馬するということは、十分にありえるシナリオ(゚д゚)!

自民党内では安倍総理が辞任を表明する前から、「プーチン方式」という言葉が冗談交じりで語られていたそうです。ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は、2000年に大統領就任。ロシアは大統領連続3選が禁じられているので彼は、2期8年務めた2008年、メドベージェフ氏を後継指名しました。

安倍総理とプーチン露大統領

メドベージェフ氏が大統領になると、プーチン氏は指名を受ける形で首相になりました。もちろんロシアのトップは大統領ですがプーチン首相は事実上の院政を敷き、メドベージェフ氏をあごで使いました。そして次の2012年大統領選で大統領に復帰。さらに今年の大統領選でも勝ち2024年まで大統領にとどまることになりました。

「プーチン方式」を日本の政治に当てはめれば、2021年3期を終える安倍氏は後輩にいったん首相の座を譲り、後継者が1期を終えたところで返り咲くということになります。「プーチン方式」で安倍氏が2024年9月に首相に返り咲いたとします。9月21日の誕生日までに総裁選が行われれば安倍氏は69歳。若いとは言えないですが、十分首相を務められる年齢です。

安倍総理ご自身は、現在65歳(誕生日が来れば66歳)、菅氏は71歳です。岸田氏、石破両氏は63歳です。

安倍氏とプーチン氏は気が合って、首脳会談も重ねています。安倍氏はプーチン氏のことを「ウラジーミル」とファーストネームで呼びます。そういう間柄であることも、プーチン氏の手法を参考にするのではないか、との臆測の根拠の1つとなっています。

3年間、首相の座を「レンタル」する人物として、最近「ポスト安倍」候補として注目度が高まっている加藤勝信・党総務会長の名を上げる人物までいました。

しかし、安倍総理の体調が崩れず辞任を公表することもなければ、わざわざ3年間、他人に首相の座を譲るような、まどろっこしい方法をとる必要があったでしょうか。もし、2021年以降も権力の座にとどまろうと考えるのなら、ブランクはつくらず、首相を続けて4選を狙う方が手っ取り早いです。今の自民党の党則は4選を禁じているが、党則は変えられます。安倍総理が体調を崩さなければ、こうした道を歩んだ可能性もあります。

以上は一見乱暴な議論のように聞こえるかもしれません。しかし2015年、安倍氏が無投票で再選を果たした時、党則で3選は禁じられていました。この段階では、安倍氏は2018年、9月に首相から退くことが党則で決まっていました。

3選できるようにしようという機運が高まり始めたのは、翌2016年の夏ごろ。2020年の東京五輪を「安倍首相」で迎えようという意見とともに党則改正論が台頭しました。

2016年8月、リオデジャネイロ五輪の閉会式で、安倍氏が「スーパーマリオブラザーズ」のマリオに扮して出席した時、感想を求められた二階俊博幹事長が「(3選の)意欲がなければリオには行かないだろう」と語ったあたりから流れができました。同年秋から党内で党則改定の議論が始まり、翌年3月の党大会で正式決定しました。



当然、石破茂氏、岸田文雄氏ら「次」を狙う議員の周辺からは「なぜ今なのか」と異論も出ましたが、それほど大きな声になりませんでした。あまり反対論を唱えると、逆に安倍氏を封じ込めて自分が総裁になりやすくしようとしていると思われるのを気にしたのです。

当時の党内の議論で、注目すべきことがあります。議論が始まった時から3選に道を開くことでは大筋固まっていたのですが、具体的な方法として2案あったのです。

1つ目は「連続3期9年」まで可能にする案。もう1つは「多選制限撤廃」案。つまり3期にとどまらず4期でも5期でも無制限でできるようにする案です。

最終的には党の議論をリードした高村正彦氏の持論である「3期9年」で落ち着いたのですが、「多選制限撤廃」は2年前の議論でも有力な案の1つでした。再燃する素地は十分あります。

安倍氏は3選された後、さかんに「残る3年」という言葉を繰り返しました。4選など全く想定していないことを強調しているように聞こえます。実際、安倍氏は現段階で4選を基軸に考えていたわけではないでしょう。

ただ、周辺が4選の機運を高めていった時、どう考えるべきでしょうか。その時の政治情勢も勘案しながら、2年前のように、野心を抱き始めることもあるでしょう。

もちろん、4選という力技を実現するには前提条件が必要です。安倍氏が安定的に政権運営し、その上で「安倍氏にしか進めることができない」という政治課題が存在することが条件となるでしょう。

昨年の参院選で、自民党が勝利を収めたので、安倍総理の4選論の出発点となるはずでした。。

この時点で憲法改正の道筋がつかず「改憲が決着するまで」という理屈で続投の理由をつけられる状態ではありませんでした。もし、昨年時点で改憲の方向性が出ていれば、拉致問題や北方領土などの外交課題を持ち出して「安倍氏にしか解決できない」ということもできたかもしれません。4選を目指すことさえ決まれば、理屈は後からついてきたでしょう。

こういった噂が出る背景には、安倍氏の後継候補がなかなか見えてこないという事情があります。石破氏は先の総裁選の地方票で健闘して「ポスト安倍」レースで一歩抜けた印象があるが、肝心の国会議員票では2割も満たせませんでした。

その他は岸田氏、茂木氏の名があがっていましたが、政治的力量、知名度、人望ともに心もとないです。石破氏、岸田氏は、いずれも60歳代。64歳の安倍氏とほぼ同世代です。菅氏は71歳です。これでは、対外的に世代交代したというアピールができません。

ならば、39歳と若い小泉進次郎・環境大臣等がもう少し経験を積むまでの間、安倍氏に続けてもらったらどうか。そういう考えを抱いた議員が自民党内に少なからずいたはずです。

そこで、安倍総理の電撃辞任が起こったわけです。この突然の辞任で、それまでの考えは変更せざるをえなくなりました。それまで、菅氏が大臣という声もないわけではありませんでしたが、それでも本当に菅氏が、総裁に出馬する日がやってくることを、本人はもとより、党内でも誰も思っていませんでした。

しかし、党内では、安倍総理の政策を継承するという意味では、菅氏は、安倍総理の政策を実行に移してきた菅氏が次期総理にふさわしいと考える勢力がいまのところ最大になっており、現状では総裁選は菅氏が最も優勢です。そうして、おそらくそうなるでしょう。

先程述べたように、昨年の参院選の勝利の後、安倍総理は「憲法改正」の動きをつくろうとしましたが、現実はそれどころではありませんでした。いわゆる「もりかけ桜問題」では、結局現在に至るまで野党は安倍総理を辞任に追い込めるような物証をあげることはできませんでした。

結局どの案件でも、安倍政権にマイナスイメージを与えることにはある程度成功したものの、倒閣には程遠い状況でした。

安倍総理自身も、倒閣に至るようなことはありえないと考えていたと思いますが、それにしても、国会は「もりかけ桜」一色に染まり、野党はこれらの問題を追求し続け、挙げ句の果てに審議拒否を何度も繰り返し、国会は事実上立法府という機能を停止したも同然となりました。それでも、安倍総理等の閣僚は国会出続けなければなりませんでした。

これでは「改憲が決着するまで」という理屈で続投の理由をつけられる状態ではありませんでした。そこで、安倍総理は体調を崩すことになってしまったのですか、これは持病の潰瘍性大腸炎がなかったにしても、140日間の激務を続ければ体調がおかしくなるのは当然です。

私自身も、会社の役員として過去にこれ以上連続して勤務をした経験がありますが、一般の人からは想像できないほどの激務です。それでも、仕事がうまくいけば良いのでしょうが、役員がそのようなことをしなければならないという背景には、様々な問題かあるからであり、憔悴感も半端ではありません。

これは、経験のない人には想像もつかないでしょう。ましてや、総理大臣という立場では、責任の度合いが違います、安倍総理がかなり消耗されたのは間違いないです。

そもそも、無意味な国会に出続け、無意味な質問に丁寧に答えなければならないということは、本当に苦痛だったと思います。しかし、体調が悪かったのは事実でしょう。安倍総理としては、一時休んで麻生副総理にその間は任せ、今回の任期を勤め上げるということも考えたでしょうが、それでは大多数の国民にとっても、党にとって、自分にとっても、未来に何の展開も考えられないわけですから、現状では将来に様々な含みを残して、辞任するという道を選んだものと思います。

だとすれば、菅氏が来年9月まで総理大臣として勤めた後、もしくはもう一期勤めたあとで、安倍晋三氏の総裁選3度目登板も十分ありえるということです。今回の総裁選挙は任期途中の辞任に伴うものであるため、新総裁の任期は安倍の残任期間である2021年9月までとなります

誰が総理大臣になっても、新総裁の任期が切れる来年の9月までの間には確実に解散総選挙に踏み切るでしょう。

菅氏が総理大臣である間も、安倍氏は党内の最大派閥の領袖として、党内で大きな力を発揮できます。先日も、このブログにも掲載したように、安倍氏は党内で、フィクサーとして動くということは十分に考えられます。

ただし、かつての金丸信のようなタイプのフィクサーにはならないでしょう。経済を回復させるだけではなく、成長軌道にのせること、憲法改正、拉致問題、北方領土など解決すべき問題は山積しています、安倍晋三氏はこれらへの対策を実行するため、党内のかなり有力な調整役となることでしょう。

フィクサーと言われた男 金丸信


菅氏が総理大臣になった場合には、安倍氏を最も頼りにすることでしよう。菅氏は実直な人柄であり、安倍総理を影で支えてきました。しかし、今回の辞任劇をはじめとして、いわゆる政治の流れをつくるということでは、菅氏にはあまり経験がありません。

だから、総理大臣の業務を遂行するにおいては、安倍晋三氏の考えを参考にしたり、相談することになるでしょう。菅氏がそれで総理大臣として成長し総理大臣を続けられるというのなら、菅政権は長期政権になるかもしれません。

そうはいいながらも、菅氏の年齢が71歳ということから、長期とはいっても来年の9月までとその後のもう一期がせいいっぱいでしょう。

菅総理一期目期間中に、総理大臣にふさわしい人物が育っていない、フィクサーとしての立場には無論限界があること、党内で支援輪が広がる可能性があるかどうかを見定めて、場合によっては安倍晋三氏が次の次の総裁選に出馬するということは、十分にありえるシナリオです。

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2020年9月6日日曜日

トランプが最初から正しかったとFRBが認める―【私の論評】トランプの経済対策はまとも、バイデンの対策は異常、日本は未だ準備段階(゚д゚)!

トランプが最初から正しかったとFRBが認める


<引用元:FOXビジネス 2020.9.4>スティーブン・ムーア氏による論説

ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長

ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、ジャクソンホールでの「バーチャル」シンポジウムで、FRBが過去数年の間に一貫して2パーセントのインフレ目標に到達しなかったことを認めた。

FRBは、そのデフレ金融政策が成長を抑制し賃金を押し下げたことをそれとなく認めている。

今FRBは、もっとドルの流動性を経済にもたらすためにより高い目標を設定することを約束している。

パウエルの3,000語の演説は、次のたった1つの文章で要約できたことだろう。「トランプ大統領が正しかったのであり、我々は間違っていた」

パウエルは最近知識人として有頂天になっており、中には雑誌タイムの今年の人になるべきだと示唆する者もいる。

だが過去数年の間で、トランプこそがFRBは引き締め過ぎていると警鐘を鳴らしてきた人物であり、物価と長期金利(市場価格)の下落からも分かるように、期待インフレ率はFRBの目標の半分となっていることを示している。

トランプはエコノミストとしての訓練を受けていないかもしれないが、成長を作り出すということに関して、この不動産王は不思議な直観を持っている。

今年の初めのパンデミック以前、経済は今世紀最高のペースで前進していた。

だが、FRBがトランプの(そして我々の)助言に従っていたら、実質GDPと賃金はもっと高い成長の潮流に乗っていただろう。トランプは近代経済学に浸透する成長モデルに対する間違った考え方の制限を本能的に拒否していた―我々と同様に。

今世紀のこれまでの成長は、1つには世界中の中央銀行のこうした成長恐怖症が原因で不足している。

1.6パーセントというブッシュとオバマの時代の平均GDP(実質)成長率は、20世紀の平均(3.5パーセント)の半分以下だった。

2008年から2009年の世界的金融不況からのぬるい回復とは著しく対照的に、ケネディとレーガンの拡大時代は5パーセント以上の成長率の時代だった。

過去20年の緩やかな成長の言い訳として、労働力の伸びの減速が我々に新たな「長期停滞」を強いているのだと主張するエコノミストもいた。

パウエル任命の際、トランプはFRB新議長が成長志向の金融政策を実施すると期待していた。しょっぱなからほど遠い結果だった。

2018年2月に、パウエルがFRBの頑迷な「フィリップ曲線」思考という成長と賃金上昇がインフレを引き起こすと断定する考え方を受け入れたために、FRBはおろかにも力強い完全雇用・賃金上昇の回復を押しつぶした。

FRBは実体のないインフレと戦っている、とトランプが立腹したのは正しかった。

一方、株式市場は暴落して成長は行き詰まった。FRBが2019年初期にトランプの助言を受け入れずに逆行していたら、経済は転覆していただろう。

ここ数カ月のインフレ率のわずかな上昇でも、物価はまだ2年前の水準から21パーセント下回っている。

5年TIPSのスプレッドは、まだPCEインフレ率1.35パーセントを示しており、FRBの2パーセントの目標をはるかに下回っている。こうした状態がもう長年続いている。

FRBは(おそらく)その「手段」の全て――ゼロに近い金利と数兆ドルの資産買収――を実行しているにもかかわらず古いもっと低い目標に到達できなかったというのに、パウエルは新たな高いPCEインフレ目標にどうやって到達できると予測しているのかを話していない。

だが新しい考え方は、貫くのであれば歓迎すべき知らせだ。我々は決して悪性インフレを望んでいないが、成長と人々の労働はインフレを引き起こさない―それらはインフレに対抗するものだ。物の生産が増えるということは、価格が上昇ではなく低下することを意味する。

我々は今後数年、数十年で実質成長率が低下するのではなく上昇することを目指すべきだ。貿易、技術、そして革新は生産性を大幅に上昇させ、インフレを殺す。

グーグル、アップル、ウォルマート、そしてアマゾンがどれほどインフレを縮小させたか考えてみて欲しい。情報のカタログによるデータ検索には、かつて何百、何千ドルの費用が掛かっていた。今やそれは速くて無料だ。

携帯電話の費用は2,000ドルだった。今、10倍の計算力を持つ電話の費用は200ドルだ。米国ではウォルマートに行って、Tシャツと食べ物とおもちゃが99セントで買える。

現在、インフレではなくデフレに傾くことが成長の敵であり、トランプは4年間そう言ってきた。

こうした厳しい時代であっても、世界の投資家はまだ米国を自由市場の成長と革新の震源地だとみなしているので、ドルに対する世界的需要が尽きることはない。

世界はドルを求めており、世界の豊かさを回復するための1つの鍵は、FRBがドルを供給することだ。

スティーブン・ムーアは、ドナルド・トランプ大統領の経済回復タスクフォースのメンバーであり、Committee to Unleash Prosperityの共同創設者である。

ルイス・ウッドヒルはCommittee to Unleash Prosperityの上級研究員である。

【私の論評】トランプの経済対策はまとも、バイデンの対策は異常、日本は未だ準備段階(゚д゚)!

上の記事にもあるように、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、この日発表された8月の米雇用統計について「良好な内容」との認識を示しました。同時に、こうした勢いが今後減速する公算が大きいとし、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた景気の回復を後押しするため、向こう数年におよぶ低金利の継続を約束しました。

パウエル議長は、米公共ラジオ局(NPR)とのインタビューで「雇用統計は良好だった」と評価。同時に、旅行やレジャー産業など、経済の複数の分野が引き続き「コロナのパンデミック(世界的大流行)の直接的な影響を受けており、今後は一層厳しい道のりになる」と語りました。

その上で「経済活動を下支えるため、長期にわたる低金利が必要になる。それは何年にも及ぶだろう」とし、「どれほど長期間になったとしても、FRBは支援していく」と言明しました。

さらに「われわれは経済に必要とみられる支援を性急に解除はしない」と強調しました。

また、景気回復にはFRBだけでなく、議会からの支援も必要との認識を改めて示しました。

8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比137万1000人増と、伸びは前月の173万4000人から鈍化したほか、予想の140万人を下回りました。失業率は8.4%と、前月の10.2%から改善しました。

11月の大統領選では、雇用が大きな争点になります。トランプ氏は「景気が劇的にV字回復しており、来年は素晴らしい年になる」と、経済重視の姿勢を一段と強めています。


一方で、失業給付に週600ドル(約6万4000円)を上乗せする制度は、加算額の維持を求める野党民主党と、減額を目指す与党共和党の対立で7月末に失効しました。経済への悪影響を懸念するトランプ氏は、週最大400ドルに減らした上で、給付を継続する暫定措置を命じました。

トランプ氏の狙いは、給付を減らして失業者の就労を促し、大統領選に合わせて雇用改善の実績を強調するつもりのようです。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は4日、雇用情勢の改善を受け、民主党が主張する大規模な経済対策が「なくてもやっていける」と明言しました。

これに対し、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、経済は回復途上であり、失業給付を含む「追加財政策が必要だ」と警告しています。政府支援の大幅削減は「消費と景気回復を圧迫する」(エコノミスト)との分析もあり、雇用改善を急ぐトランプ氏のもくろみは綱渡りともみられています。

しかし、これは本当に綱渡りなのでしょうか。私はそうとばかりは言えないと思います。トランプ大統領は、マンデル・フレミング効果を意識しているのではないかと思います。

マンデルフレミング効果を簡単にいうと次のようになります。

通貨制度には固定相場制と変動相場制の2つ制度があります。固定相場制のもとでは景気を刺激する政策では財政政策が有効であり、金融政策は無効となります。中国のような固定相場制の国において、財政政策が有効です。

変動相場制のもとでは、財政赤字が拡大すると実質長期金利が上昇し、設備投資や住宅投資が減少します(クラウディング・アウト効果)。また、実質長期金利が上昇すると国内への資本流入圧力が生じて自国通貨が増価し、輸出が減少して輸入が増加するためGDPが減少します。

よって、変動相場制のもとで景気回復や雇用を増やすには、財政政策よりも金融政策が効果的だという理論。ロバート・A・マンデルとJ・マルコス・フレミングが1963年に発表した理論で、1999年に両名ともノーベル経済学賞を受賞しています。

マンデル・フレミングモデルから導かれる結論

マンデル・フレミングモデルからいっても、コロナ禍で、景気が悪化したのですから、当初は積極財政と無制限の緩和をするのは、当然のことです。特に積極財政は、コロナ禍で失業した人等をすぐに救済するという意味でも重要です。

しかし、ある程度経済が回復してきたときには、金融政策のほうが有効になります。ただし、経済が本調子になるまでは、両方とも実施したほうが良いです。

トランプ政権の経済政策では、かなりの減税を実施しています。この減税は継続した上で、週最大400ドルに減らした上で、給付を継続する暫定措置を実行しつつ、低金利金政策を継続し、量的緩和をも実施するというのですから、トランプ氏の目論見は成功する可能性が高いです。

8月の米雇用統計では、雇用の伸びは前月の173万4000人から鈍化したほか、予想の140万人を下回っています。これは、財政政策による景気回復の限界を示しているのかもしれません。


であれば、金融緩和に力を入れるというのは当然の措置です。現在FRBが、もっとドルの流動性を経済にもたらすためにより高い目標を設定することを約束するのは当然のことと思います。

バイデン前副大統領は7月9日、新型コロナウイルス危機に見舞われた米製造業の復活に向け、4年間で総額7000億ドル(約75兆円)の公共投資計画を発表しました。投資額は「第2次世界大戦以来で最大規模」と強調。財源確保のため将来の増税に言及し、減税を掲げるトランプ大統領との違いを鮮明にしました。

バイデン氏のこの政策は明らかに間違いです。来年経済がコロナ以前に戻っていることは考えられず、このタイミングで増税を公表するのは、いかがなものかと思います。

総じて、経済政策に関してはトランプ氏のほうがまともであり、バイデン氏は疑問符がつきます。トランプ氏は、バイデン氏の経済対策の間違いを公開討論会で指摘するのは間違いないです。そうして、そのときには米国雇用が改善している可能性が大です。

私は、バイデン氏が増税を主張した時点で、大統領の目は消えたと思います。

さて、日本に目を転じると、トランプ氏のように雇用を重大視する考え方をする政治家や官僚はほとんどいません。自民党の中でも理解しているのは、安倍総理、菅官房長官と、その他ごく少数に過ぎません。野党にも理解している人はごく少数の例外を除いてほんの数人しかいません。

日本の「緊縮馬鹿」と極悪組織財務省は、減税などの積極財政を大々的にすると財政破綻するとか、久しくマイナス金利の国債を発行すると国債が暴落するなどの増税のための屁理屈を叫ぶのはやめるべきです。本当に、日本ではマンデル・フレミングモデルに基づいた、経済対策をいつできるようになるのか、暗澹たる気持ちになります。

トランプに倣い、必要とあらば国債を大量発行して「日銀に大量購入(=通貨の流通拡大)」を実施できる体制を一日でもはやくつくるべきです。それは一部、第二次補正で実現されましたが、今後も必要があれば、すぐにこれが実行できるようにすべきです。

とにかく、現在の日本は、米国の現状とは違い、とにかくすぐにでも、積極財政、無制限の金融緩和を大々的に実施し、雇用を安定させ、景気を良くすべきです。その後にはじめて、日本ではまともな経済対策ができる準備が整うという、段階です。

とにかく、日本では景気対策というと、財政政策だけとか、金融緩和だけと考える人が多すぎです、マンデルフレミング効果も視野にいれで、その時々で財政政策と金融緩和の両方を考える人がほとんどいません。

ただ、以前にも述べたように、アベノミクスの金融緩和政策があったからこそ、現在の日本はコロナ禍でも踏ん張れるのです。これがなければ、今頃日本経済は風前の灯のようになっていたでしょう。

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2020年8月17日月曜日

イスラエル・UAE和平合意はトランプの中東政策が有効な証拠―【私の論評】この和平は世界とって良いこと、トランプ氏の大統領選の一環などと矮小化すべきではない(゚д゚)!


イスラエル ネタ二アフ首相(左)とUAE の支配者とされるムハンマド・ビン・ザーイド氏(右)

<引用元:デイリー・シグナル 2020.8.14>ジェームズ・カラファノ氏による論説

13日のイスラエルとアラブ首長国連邦(UEA)の間の「歴史的な和平合意」―米国が四半世紀かけて仲介してきたイスラエルとアラブ国家の間の最初の関係正常化への合意―の発表は、ドナルド・トランプ大統領が長年の間で米国・中東政策を間違わずに正しく行った最初の大統領であることをさらに示す証拠だ。

合意の下で、イスラエルとUEAは「完全な関係の正常化」を達成することとなり、それには大使館、貿易、観光旅行、直行便の開設や他の合意も含まれる。アラブ国家でそれ以外にイスラエルと外交関係を持つのはエジプトとヨルダンの2カ国のみだ。

トランプ、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、そしてUEA指導者が出した共同声明によると、大幅な譲歩としてイスラエルは、同国のネタニヤフ首相が併合を計画していたウェストバンク(ヨルダン川西岸)の一部に対する「統治権の宣言を停止」して、今後はアラブ・イスラム世界の他の国々との関係を拡大する努力に集中する。

21世紀のこれまでの米国の中東政策の歴史は次の通りだ。

ジョージ・W・ブッシュ大統領:全てを修復しようと熱心に取り組み始める。結果:失敗。

バラク・オバマ大統領:できるだけ速く逃げ、全てを無視しようと努める。結果:大失敗。

トランプ大統領:固執し、火を消し、友人の友人となる―が、彼らが自分達の近辺を安全にするために公平な負担を負うことを主張。結果:成功。

外交的躍進を宣言した共同声明は、それが「トランプ大統領の要求」で実現されたものだとしている。これはまさに、トランプがイスラエルと隣国との間の和平がうまく収まるように計画しているということを示す最新の証しだ。

率直な話をしよう。トランプ政権はダウのついてない日よりも速く崩れ落ちていたオバマ政権の中東政策を引き継いだ。

イランは核合意後にさらに好戦的になり、その代理人は所かまわず行進していた。ISISはシリアとイラクの一部で残忍なカリフの支配権を握っていた。シリアは内戦で崩壊した。イラクは瀬戸際だった。イスラエルは国際的な孤立が高まろうとしていた。

だがトランプは即座に、こうした米国の政策による失敗からことごとく脱した。

その後トランプ政権は、米国の不可欠な利益を守っていた中東での持続可能な存在を発展させるためのキャンペーンを開始した。

特にトランプ政権は、イスラエル・パレスチナ和平交渉の進展のためにイスラエルに対する支持を制限することを止めた。パレスチナが交渉を拒否していたために暗礁に乗り上げたためだ。

さらにトランプ政権は、エジプト、トルコ、サウジアラビアといった戦略パートナーとの関係を維持した―彼らが悪戦苦闘し、つまずき、時には互いに、地域の他国と、そしてワシントンと衝突することがあったとしても。

それからトランプ政権は、中東戦略的同盟のビジョンを追加した。同盟は最終的にイスラエルとアラブ国家を、地域の安定と繁栄のための勢力となる共同体制へと団結させるよう意図されていた。

同盟は中東のNATOとはならない。それは米国の支持と関与を受けた集団となり、イランを追い詰め、イスラム主義の多国籍テロと戦い、地域紛争と人道上の危機を未然に食い止め、経済的統合を推進するものだ。

トランプはそのとても野心的な目標を達成していない―全くもって。だが13日に発表されたUEAとイスラエル間の合意は、トランプが持続可能な安全保障体制のためのブロックの整備を進展させていることを裏付けている。

UEA・イスラエル合意は、トランプが中東で必要とされることについて正しかったことを示している。アラブのリーダーは、パレスチナ政権が要求してるように関係改善のための外交努力をボイコットするのではなく、イスラエルに外交的に関与したほうが、より多くの事を達成できる。

トランプの仕事は終わっていない。他のアラブ国家は先行するUEAに倣い、イスラエルとの関係正常化合意を結ぶだろう。米国はすでに、ペルシャ湾岸の他の国の高官から個人的に肯定的な反応を受けている。実際にバーレーンが次にイスラエルとの恒久的和平を結ぶ可能性がある。

トランプ政権は、後戻りができないほどに米国の未来の政策を計画する上での転換点を越えた可能性がある。11月の大統領選でトランプが再選を果たしても、ジョー・バイデン元副大統領が勝ったとしても。

この証拠として、バイデンはあらゆる点でトランプを即座に批判しているのに、この民主党指名確実候補者はイスラエル・UAE合意を称賛する声明を出した。

「今日、イスラエルとアラブ首長国連邦は中東の大きな分断に橋渡しをする歴史的な一歩を踏み出した。UAEがイスラエルの国を公式に認定すると申し出たことは、歓迎すべき、勇敢で、大いに必要とされる政治的手腕の行為だ。またイスラエルが中東の活気に満ちた欠くことのできない、生活に浸透した一部であるというのは重要な認識だ。イスラエルは、歓迎する全てにとって貴重な戦略的・経済的パートナーとなる可能性があり、そうなっていくだろう」とバイデンは、声明の中で述べた。

バイデン氏

つまり、米国が1月にトランプ大統領、またはバイデン大統領のどちらに主導されたとしても、イラン合意の復帰はないだろう。その上、ワシントンの多くの人はある範囲の、現実・想像上の懸念をめぐって、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、そしてエジプトに対して喜んで断固たる行動を取るだろうが、実際には米国は地域の権力者に反対するよりも協力したほうが得るものが大きい。

トランプは冷戦の終結以来で、もっとすばらしい中東への肯定的な道を築くのに最高の可能性をもたらした。選挙の競争でトランプが勝つにせよ、バイデンが勝つにせよ、次期政権がこの約4年の進展を最後までやり通す以外の道を取ることは、自己破滅となるだろう。

またトランプの下での米国の政治手腕の業績を認めないとすれば、それは間違いで、気難しく、党派心に偏ったことだ。

ジェームズ・ジェイ・カラファノは、ヘリテージ財団外交防衛政策研究所の副所長

【私の論評】この和平は世界とって良いこと、トランプ氏の大統領選の一環などと矮小化すべきではない(゚д゚)!

イスラエル(左)とUAE(右)[の国旗

UAEは、イスラエルと国交を持つアラブ諸国として1979年のエジプト、1994年のヨルダンに次ぐ3例目となります。

イスラエルとUAEの国交正常化を国際社会が歓迎する中、「裏切り者!」とUAEを非難したのはやはりイランとトルコでした。パレスチナ人はMBZ( UAE の支配者とされるムハンマド・ビン・ザーイドの写真)に靴をぶつけたり、燃やしたりしています。イスラム教を政治に持ち込み続ける限り、紛争も殺戮も憎悪も終わり尽きることはありません。

中東地域で孤立するイスラエルは以前からアラブ諸国との国交正常化に前向きで、特にUAEとは最近、COVID-19対策(共同でのワクチン開発)やIT分野で協力関係を築くことで合意し、官民双方で関係強化が進んでいました。

この点、イスラエル・UAEの国交正常化は寝耳に水の話題ではありません。もっとも、米国が仲介役をアピールするように、本合意はイスラエル・UAEの二国間関係のみで成り立ったわけではなく、既に進展していた非公式な関係深化が今のタイミングで公式化したことにも相応の事情が考えられます。

対イラン関係

イスラエル・UAE・米国は、イランを中東の安全保障上における脅威と捉え、その軍事的影響力を削減するという目標を共有しています。この点で本合意は「イラン包囲網」としての意味を持ち得ます。一方、「包囲」を経た対イラン関係については、3国間で異なる青写真を用意していると考えられます。

少なくともUAEは、地理的に極めて近いイランが政治的にも経済的にも一定程度の安定性を保ち、この上でサウジやバハレーンといったUAEの友好国とイランとの間の緊張が緩和されるのが理想でしょう。

 西岸併合

西岸併合については「一部」「延期」「停止」等、様々な表現が用いられており、国交正常化と引き換えに西岸併合を取りやめると考えるのは早計かもしれません。実際、イスラエルのネタニヤフ首相は国内向けの会見で、一部西岸地域への主権適用の計画は進めると発言しました。

本合意は、あくまで現時点でイスラエル・UAEは経済的実利を優先した結果と考えられます。あるいは、西岸併合を必ずしもバーターとしない国交正常化に合意したUAEは、西岸併合を暗黙裡に了解したとも言えます。

イスラエルの思惑

西岸併合は現内閣のマニフェストとして注目されてきました。しかし外相・国防相等の側近から慎重論が出ている他、COVID-19対策に予算・労力を割くべき中で、西岸併合は次第に非現実的な様相を帯び始めました。

こうして、一時的とはいえ西岸併合を持て余している状況下、これを引き換え(に見える形)としたUAEとの国交正常化は、現内閣の安定性を維持しつつ、経済外交を進展させ、さらに有言不実行(マニフェストの不履行)との誹りを免れるという、イスラエル政府にとって好都合なタイミングと言えます。

さらにこれによって、中東地域での孤立を解消し、パレスチナ問題でイスラエル側の主張を支持するアラブ諸国を増やすことで西岸地区での主権維持が見込め、これが中長期的には国内右派・極右勢力の支持を維持することにもつながります。以上を考慮すれば、本合意はイスラエルにとって「コストなきディール」だと言えます。

UAEの思惑

世界有数のハイテク産業を有するイスラエルと経済・技術協力を推進できる点で、UAEにとって本合意の経済的利点は疑いがありません。一方、イスラエルとの国交正常化には、パレスチナやこれを支持する勢力から「裏切り者」との非難を浴び、アラブ諸国としての体面を保つ上で不都合だという事情もありました。

このため、西岸併合をイスラエルに放棄させたという物語の筋を強調することで、UAEは本合意を「裏切り」には該当しない、むしろパレスチナを支持する行動としてアピールする向きが見られます。もっとも、こうした評価をパレスチナ側から得ていないは既述の通りてすが、そもそもUAEに限らず、多くのアラブ諸国が「パレスチナ支援」を自国のプレゼンスを示すアジェンダとして(のみ)利用している現状は暗黙の事実であり、パレスチナ側の批判をUAEが考慮する可能性は低いです。

米国の思惑

11月に大統領選挙を控える状況下、トランプ大統領には今のタイミングでなされた本合意を「歴史的な平和貢献」と表現し、これを自身の業績としてアピールする狙いが見て取れます。逆に言えば、大統領選挙後を見据えたパレスチナ問題への政策が用意されているかどうかは未知数です。

それは、さておき、米国としては中東が平和になれば、現在継続中の中国との対峙に専念できるわけで、これは米国にとってもかなり良いことです。無論日本にとっても良いことです。

中国と本格的に対峙しているときに、中東で問題が起これば、米国としてもこれを放置できず、軍隊などを派遣すれば、二正面作戦になってしまうおそれもあります。このブログにも以前述べたように、米軍でさえ二正面作戦は負担が大きいです。

      13日、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化を
      発表するトランプ米大統領=ホワイトハウス

イスラエル・パレスチナ関係への影響


通常、国際社会で国交正常化が批判されることはないとの考えに立てば、イスラエル・UAEの国交正常化によって中東地域で孤立するのは、皮肉にもパレスチナの側となります。西岸併合計画への抵抗で協力を発表したパレスチナ自治政府(PA)とハマースは、本合意を受けてさらなる協力体制を構築するかもしれません。

しかしながら、パレスチナは外国からの政治的支援なくして独立を実現できません。パレスチナ諸派を蚊帳の外にした「歴史的成果」は、彼らを着実に八方塞がりな状況に追い込んでいくことになります。

さらに、これまで水面下で進んでいたアラブ諸国とイスラエルとの関係が、本合意をきっかけに地域レベルで立て続けに公式化する可能性もあります。こうなると、二国家解決の実現可能性はますます低くなり、逆に一国家解決の実現可能性が高まることになります。

今回の和平合意は、メディアによっては、トランプ大統領の再戦に向けたパフォーマンスとして矮小化するものもありますが、間違いなく世界にとって良いことです。

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2020年8月4日火曜日

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 — 【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

【国家の流儀】「日米豪」対「中国」の対立構図が鮮明に! トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略 

左寄り、トランプ米大統領、豪モリソン首相、安倍日本首相
 11月の大統領選挙を控え、国内対立が激化している米国だが、ドナルド・トランプ政権はそんな国内問題に足を引っ張られるどころか、コロナ危機の最中も「アフター・コロナ」の国際社会を見据えた大胆な手を次々と打っている。

 トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略、それは自由主義に基づく国際秩序を断固として守るために、米国を経済的軍事的に強くし、日本をはじめとする同盟国との関係を強化し、中国「共産党」政権の暴走を抑止する、ということだ。

 その世界戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ(United States Strategic Approach to the People’S Republic of China)」が5月下旬、発表された。

 日本のマスコミの扱いは小さいが、16ページからなるこの報告書は、経済、通商、安全保障、人権、環境など多岐にわたって中国の問題点を列記し、それらの課題への対抗策を列記している。

 その冒頭にはこう記されている。

 米国は1979年の中国との国交樹立以来、懸命に経済協力を行い、民主化を促してきたが、そうした対中関与政策は中国自身によって否定された。

 特に2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した際、加盟国は、中国が経済改革の道を歩み、市場志向の経済・貿易体制へと変貌していくことを期待していたが、こうした期待は実現されなかった。

 それどころか13年、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べた習近平総書記(国家主席)のもと中国は「一帯一路」を掲げてアジア太平洋諸国を影響下に置こうとする一方で、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海、台湾海峡、中印国境地域で挑発的で強圧的な軍事・準軍事活動を繰り広げている。

 よって「過去20年間の対中関与政策は『誤り(false)』」だったと、トランプ政権は総括している。

 その歴史的な総括を踏まえて、トランプ政権は、米国を含む自由主義陣営の体制を強化し、同盟国を中国から守るため、今後、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているのだ。

 こうしたトランプ政権の動向に対して、日本では「親中派が横行する日本は果たして米国と協調できるのか。このままだと米国に見捨てられるのではないか」という声が聞こえてくる。

 だが意外なことに、トランプ政権のこの報告書には、米国と連携して日本とオーストラリアが、中国の横暴に懸命に立ち向かっている姿が描かれている。

 日本はもっと旗幟(きし)を鮮明にしてほしいと思うが、その一方で少なくともトランプ政権は、「日米豪」対「中国」という構図で国際社会を見ていることは理解しておきたいものである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。

【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)

日本の報道では、何やらトランプが大統領戦で、再選されなければ良いような報道が多いですが、上の記事を見ていると、そうではないようです。

なぜなら、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているからです。

現在の米国は、中国に対抗することで、政府も議会も超党派でまとまっています。次の大統領選挙で有力視させているバイデン氏もその点では、変わりないように見えます。

しかしバイデン氏は、 大統領選への出馬を表明した直後の昨年5月2日、集会で次のように発言しました。

「中国に俺たちの昼飯を食べられてしまう(やっつけられてしまう)って? 冗談じゃない!」 トランプ大統領の対中強硬姿勢に対抗する意味で発言したものでしたが、逆にバイデン氏が中国に対して「弱腰」と批判されました。

 その対中姿勢に関連して、副大統領時代の2013年に中国を公式訪問した際、二男のハンター氏を同道させ中国側の要人に紹介したのですが、帰国後ハンター氏が経営する投資会社に中国銀行から15億ドル(約1500億円)が振り込まれたという話があり、トランプ陣営は選挙戦が本格化するとこの話でバイデン氏を攻撃することが目に見えています。

さらに、オバマ政権で対中政策の采配をふるっていたスーザン・ライスが要職に付くと見られています。

「副大統領候補の内、スーザン・ライスがバイデンと最も良い関係を築けるかもしれない」(ザ・ウィーク電子版5日)

 バイデン氏の副大統領にはアフリカ系女性が有望とされる中で、ライスの下馬評が高くなってきています。オバマ政権での安全保障問題担当補佐官としてバイデン副大統領とも通ずるところが多かったライスさんは、副大統領でなくとも国務長官として外交を仕切るのではないかと噂されていますが、これは日本とっては悪夢です。

ライスは2013年に補佐官就任直後の講演で「中国とは新たな大国関係を機能させようとしている」と言って注目されまし。習近平主席の太平洋を米中で2分割しようというG2論を容認したと受け取られたからです。

 また同じ講演会で記者から尖閣列島問題を訊かれると「米国は主権の問題には立ち入らない」と従来の米国政府の立場から後退した考えを示しました。 さらにライスは補佐官当時三回中国を単独訪問して習近平主席と会談しており「ライスにとって中国問題は最も重要な個人的課題になった」(ワシントン・ポスト紙)と言われました。

大統領選は3ヶ月先のことですが、政権が交代した場合の日本への影響と対策をも考えるべきです。

ただ、実際にはバイデンが圧倒的に有利とは言えないようです。米国調査会社トラファルガー・グループ(ジョージア州)は2016年の前回大統領選で激戦州ミシガンなどの結果を言い当て、トランプ氏勝利を予測した数少ない世論調査会社です。

同グループの、ロバート・カヘリー上級調査員は取材に対し「トランプ支持でも、そうとは言いにくい空気が4年前より強い」と指摘しています。

米国調査会社トラファルガー・グループのロバート・カヘリー上級調査員
カヘリー氏によると、電話など人対人の世論調査では、社会的に望ましいとみられる回答に反する場合、対象者がうそをつくことがあります。4年前、同社は「あなたはトランプ支持か」という質問に加え、「あなたの隣人の大半はトランプ支持か」を尋ねました。後者が本心を聞き出すための質問で、より実態を捉える効果があったといいます。

1日現在、各種調査の平均でバイデン氏の支持率はトランプ氏を7ポイント上回っていますが、同社の調査では、五分かトランプ氏やや有利の展開といいます。カヘリー氏は「人々がバイデン氏の楽勝を信じ、結果が異なれば、選挙の公正さを疑われかねない」と語り、精度向上の必要性を訴えています。

隠れトランプ支持者の存在をめぐっては論争があります。4年前、激戦州の直前世論調査の平均は、実際の選挙結果と最大7ポイント違っていました。米世論調査協会は半年後の17年5月、「なぜ間違ったのか」を検証する報告書を公表しました。

態度未定の有権者の多くが最終盤でトランプ氏に流れたことなどを理由に挙げましたが、「隠れ支持者」の存在は「証拠がない」として認めませんでした。

私は、このブログで先月バイデンが圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想にすぎなく、 実態は五分五分と認識すべきだと主張しました。この考えは、今でも変わりありません。そのため、ロバート・カヘリー氏の主張は、まさに我が意味を得たりという思いがしました。

米国で連日のように行われているトランプ政権に対する抗議デモや暴動は実は、選挙にはほとんど関係がありません。なぜなら、黒人の若年層は投票権がないか、投票所に行かないからです。

若年層に投票権がないのには、二つの理由があります。一つは、無論18歳未満で、そもそも選挙権がないということです。もう一つは、選挙人名簿への登録を行っていない者が多いからです。

米国には日本のような住民基本台帳が無いため、自動的に選挙人名簿に登録されることは無く、選挙人名簿(Voter registrationがこれにあたる)に自己申告で登録しなければ選挙人名簿には登録されず、投票資格が生じないのです。 なお選挙権が無いにも関わらず選挙人登録をすると刑法犯罪になります。

以上のようなことを考えると、バイデン優勢どころか、トランプがリードしている可能性すらあるのです。その理由を以下にあげます。
(1)一般的な世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領を7ポイント程度リードしています。しかし「投票する」と答えた有権者への調査では、逆に3~5ポイント、トランプ優勢。 
(2)選挙資金の潤沢さ(トランプ2億5000万ドル、バイデン6000万ドル)。選挙戦では高額なTVスポット広告で、攻撃されたら直ちに反撃できます。この差は大きいです。 
(3)中国たたき。米国民の67%が習近平体制に反感を持ち、反中政策は人気。特に共和党びいきの93%がトランプ支持です。
トランプ政権の中国攻撃は、民主党をたたくことにつながります。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(2020年4月22日)によると、バイデンの息子が中国との間に持つ利権をトランプ陣営は調査中です。同時に、民主党幹部の中に、中国に利権を持つ人物が複数浮上しています。

バイデン氏(左)と息子
トランプ政権発足直後に、フリン大統領補佐官が辞任。その後、ロシア大使に接触したとして起訴されましたが、5月7日、司法省は起訴を取り下げました。

FBI(米連邦捜査局)がうそを強要したメモが見つかったとされ、トランプ大統領は「オバマゲート」と呼んでいます。トランプ政権にとって大勝利です。

5月12日、ワシントン連邦地裁は、起訴取り下げの承認を見送りました。今後、第三者の意見を参考に、事実関係を精査して結論を出す。2~3カ月かかるとみられていますが、トランプ側が有利な材料を手にしていることに変わりはないです。それに、もう8月です。今月にも結論が出されるかもしれません。

民主党指導部によるフリン起訴の仕掛けも、問題視されています。

2016年大統領選当時、ヒラリー・クリントン候補を勝たせるべく、国家権力を使ってトランプ陣営を妨害したとされます。しかし、トランプ当選で思惑は狂い、FBIを使ってフリン氏に罪を着せ、同時にトランプを陥れようとしたというのです。

司法省は「オバマ側がスパイ行為をしていた証拠を握っている」と発言。これも11月の大統領選の前に結論が出れば、トランプ側に有利になります。

オバマ氏
ただ、トランプ再選への大きな不安は、連邦最高裁に上がっているトランプの納税・銀行取引記録の開示問題です。

下院とニューヨーク市検察当局がトランプ取引銀行に開示を求め、大統領側は拒否しています。

米連邦最高裁は先月9日、トランプ大統領はニューヨーク州の検察当局が求めた納税申告書を含む財務記録の提出を拒否できないとの判断を示しました。一方で下院の調査委員会が求めていた開示は認めず、下級審に審理を差し戻しました。

いずれも最終決着までには時間がかかる見通しで、11月の米大統領選の前にトランプ氏の財務記録が公になる可能性は低くなりました。

以上のようなことを考えると、大統領選挙でトランプが不利で、バイデンが有利とは言えないと思います。いまだ五分五分どころか、トランプに若干有利かもしれません。

しかし、選挙は、水ものですから、蓋を開けてみるまでは、何とも言えないところがあります。そのため、バイデンが大統領、ライスが副大統領となった最悪の場合も想定しておくべきです。

そうして、それ以前に、米国は抜きにして、日本としては中国にどう対処するのか、戦略を立てておくべきです。そうすれば、大統領がトランプになろうが、バイデンになろうが、進むべき道ははっきりするはずです。

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2020年7月19日日曜日

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策— 【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2020.7.17>ワシントン・シークレット論説

マスクをしたトランプ大統領

2016年にドナルド・トランプが突然の称賛を受けたせりふは、新規制を1つ提案するごとにオバマ時代の規制を2つ廃止するという約束だった。

現在、1つの新規制ごとにコストのかかる7つ以上の規制を撤廃することでその約束の3倍を遂行した後、トランプ大統領は撤廃した規制をジョー・バイデン政権が復活させ―さらに増やしさえするだろうと、2020年大統領選に向けて警告している。

「我々の経済全体と生活様式そのものが、今までに見たこともないような切れ味の悪い連邦政府規制の手段によって、国を転換して地域社会を従属させるというバイデンの計画に脅かされている」とトランプは16日、規制撤廃の先触れをするためのホワイトハウスのイベントで語った。

「彼らは過去に課したものを何倍にもしたいと考えている」とトランプは続けた。

一方民主党の大統領対抗候補者のバイデンは、自身の計画で米国人の安全が高まり、雇用が増加すると主張している。

政権当局は本紙に、規制撤廃の取り組みによって政府と世帯のコスト削減が実現してきたと述べた。歳出では2千億ドルが削減され、家庭では年間3,100ドルの節約となったと彼らは述べた。また、処方薬の費用は10パーセント削減され、自動車の潜在的コストは2,000ドル削減されたと付け加えた。

イベントでトランプは、バイデンの下ではそれが消え、(コストが)増えてしまうだろうと述べた。「彼らは私がここに来る前のように、ワシントンの官僚主義という息の詰まるような、容赦ない土砂の下に経済を埋めたいと思っている」とトランプは語り、民主党が提案した6つの変化の例を示した。


  1. パリ気候協定の復活。「彼らは雇用を損なう、不公正なパリ協定に再加入することを提案しているが、そのために国に何兆ドルもの費用が課せられ、世界に比べて競争力がとても、とても悪化することになる」とトランプは語った。
  2. ゼロエミッション建築の義務付け。「私はたくさんの家、たくさんのビルを建設する者だ。これを見たら、良さそうに見えない。まだ売る必要があるでしょう?まだ売る必要がある。だが彼らは手の届かないようにしてしまう。コストの観点から。現実的でないし、良くないし、うまく行かない」とトランプは語った。
  3. エネルギーでの二酸化炭素排出の廃止。「この連邦政府停止命令の結果、エネルギー産業全体と他の多くの産業が大規模に破滅し、地域社会全体の経済的な機能停止状態となり、我々の何百万もの最高の雇用を外国と外国の汚染者に自由にオフショアリングすることになる」とトランプは警告した。
  4. グリーンニューディール。「あれは何と狂っていることだろうか?だが彼らは実際にそれを実行しようとしている。この国の終わりを意味することになるだろう」とトランプは語った。
  5. 郊外住宅規則の書き換え。「D.C.の民主党ははるかに高いレベルで、ワシントンの極左官僚に地域の都市計画の決定を任せることで、我々の美しく成功した郊外を破壊してきたし、そうしたいと望んでいる。彼らは単一家族の都市計画を撤廃し、すでに建てられている家と地域社会の価値を破壊しようと実に堅く決心している」とトランプは語った。
  6. 警察活動の規則変更。「バイデン・バーニー計画では、連邦政府規制という武器を使用して、現金の保釈金を廃止することで警察署の自由も奪うつもりだ―考えてみて欲しい。考えてみて欲しい:保釈金のことだ。『問題ない。誰かを殺したって?釈放しろ』という話だ」とトランプは語った。


トランプは選挙運動をテーマにした掛け声でこう締めくくった。

「社会主義者と違い、我々が正当性を信じるのは人々のルールであって、自分たちのやっていることが分かっていない非選出の官僚のルールではない。我々が正当性を信じるのは個人の尊厳であって、国の強い支配力ではない。我々の規制改革は経済の発展だけでなく、民主主義の力と自由そのものの存続のために不可欠だ」

【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

バイデン氏に関しては、上にトランプ氏が示したことのほかに、2つほど残念なことがあります。この2点において、私はトランプ大統領の再選は、日米のメディアで言われているように、バイデンが圧倒的に有利ということはなく、現時点では互角であると思われます。

バイデン氏の残念なところの第一は、増税を表明したことです。というより、民主党の大統領候補者は、全員が増税を掲げていたのですが、バイデン氏は最近さらに踏み込んだ増税に言及しました。



バイデン前副大統領は9日、新型コロナウイルス危機に見舞われた米製造業の復活に向け、4年間で総額7000億ドル(約75兆円)の公共投資計画を発表しました。投資額は「第2次世界大戦以来で最大規模」と強調。財源確保のため将来の増税に言及し、減税を掲げるトランプ大統領との違いを鮮明にしました。

具体的には、再生可能エネルギーやインフラ整備に絡む米国製品購入に4000億ドル、次世代技術の研究開発に3000億ドルを投じます。公共投資に大きな比重を置き、減税や規制緩和を通じた民間企業支援に注力するトランプ氏との差別化を図りました。世論調査では、経済に限ってはトランプ氏がほぼリードしており、てこ入れを狙った形です。

一方、公共投資には財源問題も付きまといます。バイデン氏は「トランプ減税」を撤廃して連邦法人税率を現行の21%から前政権時代の28%に戻すと改めて主張しました。これまでに富裕層課税や所得税増税も取り沙汰され、金融市場では「バイデン氏勝利」への警戒感がくすぶっています。

バイデン氏はこの日、民主党の急進左派が提唱する高齢者向けの医療保険改革や環境規制には一切触れませんでした。「反ビジネス」色の強い政策を打ち出せば、「トランプ氏の離反票や無党派層を取り込めない」(バイデン陣営関係者)と判断したからです。2016年の前回大統領選では、党内対立が敗因の一つに挙げられており、政策の擦り合わせが大きな課題になりそうです。

この増税発言は致命的だったと思います。この発言さえなければ、先ほど述べたように、バイデン氏とトランプ氏は互角などとはとても言えなかったと思います。

コロナ禍で相当ダメージを受けている米国経済ですが、こうした大規模な災害の直後には米国等欧米においては、積極財政と無制限の金融緩和をすることが定番になっています。

日本では、これが定番となっておらず、東日本大震災の後に復興税を導入し、その後も日本経済が、デフレから完全に脱却していないにも関わらず、2014年と2019年の二回にわたって消費税の増税をしました。

日銀は、安倍内閣が成立時より、金融緩和に転じていましたが、数年前からは、物価目標をいまだに達成していないにも関わらず、イールドカーブ・コントロールを実施し、緩和は実行しているものの、抑制的な緩和に転じていました。

日銀は先月15-16日の金融政策決定会合で現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決めました。ただ、このブログでも述べたように、10万円の所得制限なしの給付金の実施をめぐって、日銀と政府自民党との連合軍ができたようで、今後どのような展開を見せるか注目です。

いずれにせよ、日本では積極財政と無制限の金融緩和を同時に進行するということが、定番になっていないことは確かです。なぜ金融緩和を同時に行わなければならないかと言えば、ざっくりといえば、災害時の復興では、お金への需要が高まるのは当然のことで、これを放置しておけば、結果として円高となり、復興から立ち直ろうとしている経済に悪影響を与えるからです。

米国では、定番となっている、経済政策である積極財政すべきという王道の政策を、バイデン氏は増税すると発表することで、この政策を真っ向から否定してしまったのですから、金融業界や産業団体、それに国民から不興を買うのは当然のことです。

さて、第二は、バイデン氏の「アルツハイマー症疑惑です」。平たくいうと、バイデン氏のボケ問題です。これは私自身も、バイデン私の演説をテレビで視聴したときに、危惧の念を抱きました。

米国人口は、約3億人ですが、バイデン氏はこの事実を認識していれば、間違えるはずのない、統計数値を、演説の中で二度、三度と間違えていました。明らかに桁を間違えていたです。


3月2日テキサス州で開かれた集会でもバイデン前副大統領は「スーパー・チューズデー(火曜日)」を「スーパー・サースデー(木曜日)」と言いかけたり、演説の決定的な部分で引用するはずだった米国の独立宣言の有名な一節「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造者によって、生命、自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている・・・」を思い出せませんでした。

「すべての男性も女性も生まれながらにして・・・・ほらあれだよ。分かるだろう」

ボケは、かつては日本では「老人性痴呆症」と呼ばれました。痴呆では差別的だ、という批判が起こり、その後「認知症」に言い換えられたのですが、正確には「認知困難症」ではないでしょうか。「認知症」というのは意味不明だと思うのは、と思うのは私だけでしょうか。

米国の大統領選挙では、かねてからトランプの劣勢が伝えられていますが、このブログでも何度か説明させて頂いた通り、メディアのほとんどは、民主党に押さえられていますから、共和党に有利な情報は報道しません。

そのため、いわゆる情弱の人たちの間では「バイデンが必ず勝つ」と思い込んでいるようです。しかし、白人富裕層は本音を押し隠しているようです。前回の大統領選挙では、ヒラリー有利で、絶対勝つとメディアが煽っていましたが、蓋を開けたらトランプの勝利に終わったではありませんか。

米国の白人の多くは、今でもトランプに心酔しています。やっと白人層の意見を代弁してくれる大統領が戻ってきた、と。また、白人に有利ということだけではなく、トランプ氏が大統領に就任してから、黒人の失業率がかなり改善されました。

現在トランプが経済政策上批判を受けているのは、もっぱら彼に落ち度のない武漢ウイルスのせいによるものです。無論、感染後の不手際もあるのでしょうが、私は米国の黒人養護デモで集まった多数の人々の様子を見て絶句しました。

感染の最中にあれほどの人が集まるのですから、感染が爆発的に広がるのは当然といえば、当然です。最近は、共和党側の人が「マスクをつけない権利」を主張しているのが、テレビで報道していますが、どの組織にも変わり者はいるもので、私自身はあれは、トランプ氏に対するネガティブキャンペーンの一環だと思います。

感染拡大がトランプ政権だけの責任であるとはとても思えません。日本では、感染症に関する識者とされる人が、米国にはCDC(アメリカ疾病予防管理センター)という、感染症の専門組織があるので、感染症に強いなどと、なぜか得意げに解説していましたが、CDCは一体何をしていたのでしょうか。

このような状況では、仮にヒラリー政権であったとしても、同じような結果になっていたのではないでしょうか。

バイデン氏は、77歳です。バイデン氏は、民主党の候補者の中でも、一番穏健な左派であり、かつては副大統領を務めた経験から大統領選挙の候補者として指名を受けたのですが、彼がどうやら認知症を患い、とんちんかんなコメントを連発しているのは米国で広く知られています。

トランプ氏は、年齢は74歳であり、バイデン氏と比較して、格段に若いというわけではありません。どちらが勝っても大統領選出最高齢の新記録となります。これまでの記録はトランプ現大統領が4年前に当選した時の70歳でした。驚くべきことに、トランプ氏もバイデン氏も直近3人の元大統領(オバマ、G・W・ブッシュ、クリントン)の現在の年齢よりも年上です。

そのため、トランプ氏にも、「認知症」疑惑はありました。しかし、これは先にも述べたように、ほとんどのメディアが民主党指示であることを考えると、誇張されている点は否めません。

私自身は、「認知症」といえるほどの間違いを連発してしているとは思えません。それに、これは長年職業政治家として過ごしてきたのではなく、実業家として過ごしたきたゆえの、知識不足に由来するものだったと思います。

しかし、現在は武漢ウイルスがバイデンには幸いし、大統領選挙集会を大きく開催できない事態がバイデン氏のボロを広めずに済ませているようです。民主党によって入場は厳しくコントロールされ、純粋な党員でなければ入場を許されないのだそうです。バイデン氏がボケ発言を繰り広げても、SNSなどに上げないよう指示されているに違いないと思います。

先日バイデンの副大統領候補に、黒人女性を指名するのでは、と言った記事が出ていましたが、おそらくバイデンは認知症なのですから、誰であろうと自分で指名する事はできないと思います。おそらく、副大統領指名を含め全部スタッフが実施するのでしょう。バイデンはただの民主党の操り人形状態にあるのでしょう。

ボルトン前補佐官や、トランプの実の姪までもが、かつての上司や実のおじの暴露本を出しています。それも、トランプ氏が大統領選挙戦の真っ最中にです。これは、人としてどうなのかと思います。しかし、そういった本を、莫大な札束と交換に書かせているのも、また民主党なのかもしれません。たとえ、それが真実でないにしても、多くの人はそう解釈する可能性が高いです。

ボルトン暴露本の表紙 アベマニュースより

これが民主党内のことなら「77歳だし、物忘れもするよね」で済むかもしれないですが、トランプ大統領との討論では徹底的に叩かれることは間違いないでしょう。

そのようなことを考えると、現時点でバイデン氏が圧倒的有利であるとの、米国の報道や、それを真に受けて報道している日本のメディアなど信用できません。

バイデン圧倒的に有利とは、米国メディアが作り出した幻想に過ぎないと思います。実態は、五分五分で、いまだどちらになるかなど、判定できない状態だと思います。今後の推移を見極めていくべきものと思います。

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2020年6月18日木曜日

トランプ大統領「ウイグル人権法案」署名 中国反発必至の情勢— 【私の論評】「ウイグル人権法」は中共が主張するような内政干渉ではないし、国際法に違反でもなく前例もある!(◎_◎;)

トランプ大統領「ウイグル人権法案」署名 中国反発必至の情勢

トランプ米大統領=17日、ホワイトハウス

アメリカのトランプ大統領は、中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」に署名し、法律が成立しました。

「ウイグル人権法」は、中国の新疆ウイグル自治区で、大勢のウイグル族の人たちが不当に拘束されているとして、アメリカ政府に対しウイグル族の人権侵害に関わった中国の当局者に制裁を科すよう求める内容で、先にアメリカ議会の上下両院で可決されていました。

これについて、トランプ大統領は17日、法案に署名し、「ウイグル人権法」が成立しました。

トランプ大統領を巡っては、元側近のボルトン前大統領補佐官が近く出版予定の著書のなかで中国の習近平国家主席に対し、ウイグル族を拘束する施設の建設を容認した疑いがあると記すなど中国国内の人権問題を軽視する姿勢が明らかになり、関心を集めています。

一方、アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大で中国への反発が広がっていて、トランプ大統領は、このところ秋の大統領選挙に向けて強硬姿勢を示しています。

ウイグル人権法について、中国政府は法律が成立すれば対抗措置を取る可能性を示唆していて、反発を強めるのは必至の情勢です。

中国外務省「内政干渉で強い憤慨」

アメリカのトランプ大統領が中国でウイグル族への人権侵害があるとして、これに関わった中国の当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」に署名したことについて、中国外務省は、声明を発表し「このいわゆる法案は、中国政府の新疆ウイグル自治区への政策に悪質な攻撃をし、中国の内政に乱暴に干渉するものだ。中国政府は強い憤慨と断固とした反対を表明する」と激しく反発しました。

そして、「アメリカが直ちに間違いを正すよう再度忠告する。さもなければ中国は必ず反撃し、生じるすべての結果はアメリカが完全に負わなければならない」として対抗措置を取ることも辞さない考えを示しました。


【私の論評】「ウイグル人権法」は中共が主張するような内政干渉ではないし、国際法に違反でもなく前例もある!(◎_◎;)

中国ではウイグルの建物や街が廃墟化され、文化、言語、信仰が破壊され、男性は収容所に送り込まれて労働させ、女性は中国男と強制結婚させらています。

民族浄化した末にウイグル文化園なるものを作り出して「文化の保存に尽力」とプロパガンダを打っています。このような悲惨な状況に終止符を打つためにも、ウイグル人権法の成立が待望されていました。

     両親が投獄され路上生活者となった男の子。寒さで凍死してしまった…
     中国によるウイグル族迫害をなぜマスゴミは報道しないのか?

トランプ氏がウイグル人権法案に署名。これで弾圧に関わった中国当局者の資産凍結やビザ発給停止が可能になります。180日以内に共産党幹部を含む関わった人物リスト作成 入国禁止、資産凍結、世界中の銀行口座廃止されます。習近平によるウイグル族に対する指示文書がリークされているので、習近平も対象になる可能性もあります。

トランプ大統領は、ハワイでの米中外相会議の会議中に、ウイグル人権法に署名成立させました。これは、無論意図的なことと考えられます。

中国外交トップが米国領ハワイへ出向いて会談しにへ行ったのはそもそも、習政権が追い詰められていることの証拠だと言えますが、会談の最中、トランプ大統領がウイグル人権法に署名、G7が香港国家安全法を「懸念」 する声明を出し、さらに中国を追い詰めたと言えます。

習近平の面子も、共産党の面子も丸潰れです。もう米国は中国の面子など気にせず、できるだけ潰して、恥をかかせ、意図的に怒らせ平静さを失わせ、徹底的に中国共産党を追い詰めようとしているようです。

日頃、人種差別や人権を叫ぶ文化人や芸能人が中国相手となると途端に大人しくなるの異常です。野党議員も声を上げるべきです。なぜ彼らは中国の人権弾圧とは闘わないのでしょうか。

もうすでに日本政府得意の「誠に遺憾」がこの世界で通用しないのは明らかになっています。日本もこの問題に関して腹をくくるべき時が来たようです。

中国外務省の華春瑩報道局長は10日の記者会見で、中国による香港への国家安全法導入方針に対して安倍晋三首相が先進7カ国(G7)による共同声明の発表を目指していると述べたことについて、「日本側に重大な懸念を表明した」と語り、日本政府に抗議したと明らかにしました。

中国外務省の華春瑩報道局長
華氏は、国家安全法の導入に関して「完全に中国内政に属し、いかなる外国も干渉する権利はない」と主張し、香港問題をめぐる国際社会の批判に反発しました。

安倍晋三首相は、G7で香港だけではなく、ウイグル問題も含めた、中共の人権侵害についても、G7で共同発表を実現して、日本の存在感を増すべきです。

中共は、人権に関わることで。米国などが何か行動を起こすと、その度に「内政干渉」として退けようとしてきました。しかし、それは中共の思い違いです。

世界には大小190余りの国があります。力の強い国、弱い国、豊かな国、貧しい国と様々です。これらの国が集まっているのが国際社会です。そこでは国同士が守らなければならない「きまり」があります。

それが国際法です。第二次世界大戦後にできた国際連合(国連)では、様々な国であっても、それぞれ独立して、互いに平等であること、自国のことはほかの国に干渉されないでその国が決めることを、すべての国連加盟国が守るべき原則として定めました。

この原則のために国際連合は、はじめのうちは、「内政干渉になる」ということを主張する国があったために、特定の国の人権問題に口出しできませんでした。これが変るきっかけになったのが、南アフリカの人種差別問題とパレスチナでの人権問題でした。

その後、いろいろの国の人権問題の現地調査などが行われるようになるにつれて、「特定の国の人権問題は、その国の内政問題ではあっても、国際社会の関心事でもあり国際連合がこれに関わることをさまたげられない」という考えが広く受け入れられるようになったのです。

この考えは、1993年オーストリアのウィーンで開かれた世界人権会議で採択されたウィーン宣言および行動計画で、「すべての人権の伸長及び保護は国際社会の正当な関心事項である。」と文書で確認されました。

今では特定の国の人権問題について意見を述べたり批判したりすることを「内政干渉である」と主張する国はありません。むしろ、そのような国は、自国に人権問題は存在しない、その国をおとしめるために嘘の情報を流していると、人権問題があるのを否定することにやっきになるのです。

国際連合は現在、世界の人権問題について積極的に討議し、調査し、報告を公表しています。簡潔にいえば、人権侵害の情報が根拠のある確かなものである限り、他国の人権に懸念を表明したり批判することは内政干渉とは考えられません。

さらに、今回のように米国が「ウイグル人権法」を定め、弾圧に関わった中国当局者の資産凍結やビザ発給停止することも、国際法的に見れば合法です。すでにこのようなことは、「ウイグル人権法」に比べれば、規模は遥かに小さいですが、「マグニツキー法」により、ロシアに対して実施されています。

「マグニツキー法」とは、ロシア人弁護士だったセルゲイ・マグニツキー氏が顧問をしていた英国人投資家が、ロシア国営企業の大規模不正を暴露した際に、代理人として逮捕されたマグニツキー氏が投資家に不利な証言を迫られたもののそれを拒否した結果、一年以上拘留されながら暴力を受け続け、結局2009年に獄中死したことに端を発します。

セルゲイ・マグニツキー氏 享年37歳

この事件には、ロシアの官僚たちも多数関わっていました。そのゴロツキ官僚たちが、マグニッキー氏を逮捕させ、勾留したのです。米国投資家らの運動により、「弁護士の死とロシアにおける人権侵害に関わった全ての者に制裁を科す」として2012年に成立したのが同法です。

人権侵害を行なった者への制裁の内容は、ビザ発給禁止や資産凍結などです。同法は、ロシアにとって極めて厄介である一方、自由や民主主義を標榜する米国にとっては、ロシア側に改善が見られない以上、その撤回は国家の威信をかけてできないのです。

当時ロシアは、グアンタナモ湾とアブグレイブに関与した11人のビザ発給を停止して、報復措置に出ました。しかし、ロシアに入国を拒否されても困ることはほとんどないので、これは報復としては弱いものでした。なお、米国人がロシアに資産を蓄えることなどは、滅多にないことなので、無論資産凍結などはやりようもありませんでした。

中共は、中国は「ウイグル人権法」に必ず反撃するとしていますが、「マグニッキー法」に報復したロシアのように、ほとんど何もできない可能性のほうが大きいです。

まずは、米中冷戦たけなわの現在、米国から中国に入国できなくなることは、さほど困ることはありません。いまは、コロナ禍もあり、そもそも行き来はできないし、将来的にも行けなくなること事態に関してさほど困ることないでしょう。

そうして、そもそも米国人大多数が、中国に資産を蓄えるなどの習慣はないし、中国の人民元は、事実上中国のドル保有が信用の裏付けとなっていることからも、中国が米国人の資産凍結などできません。

中共ができることとしては、中国国内にある米国企業や米国人に対する嫌がらせでしょうが、そんなことをすれば、ますます多くの企業が中国から逃げ出すことになるだけで、それは、中国の損失になるだけです。

中共は、ロシアと同じく、米国に報復するための有効な手立てはありません。それどころか、中共がウイグル弾圧をやめなければ、「マグニツキー法」に似たような法律が他の多くの先進国でも作られように、他の先進国でも「ウイグル人権法」に似たように法律が施行されることになるかもしれません。

日本も「誠に遺憾」と表明するばかりではなく、日本版「ウイグル人権法」を検討して、成立させるべきです。

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2020年6月1日月曜日

トランプ、暴力的抗議を受けアンティファをテロ組織に指定と発表―【私の論評】暴力集団は、日本でも許されるものではない(゚д゚)!

トランプ、暴力的抗議を受けアンティファをテロ組織に指定と発表

<引用元:FOXニュース 2020.5.31

「アメリカ合衆国はアンティファをテロ組織に指定することになる」とツイートしたトランプ大統領

トランプ大統領は31日、米国政府は極左団体のアンティファをテロ組織に指定すると発表した。

トランプが、ジョージ・フロイドの死を受けて全国で起きている暴動をアンティファのせいだとする中での動きだ。黒人男性のフロイドは武器を持っていなかったが、5月25日もミネソタ州ミネアポリスで警官に拘束された際に警官に8分以上膝で首を抑えられた後死亡し、その様子はビデオにとらえられていた。

「アメリカ合衆国はアンティファ(ANTIFA )をテロ組織に認定することになるだろう」とトランプは31日の午後ツイートした。

警察に対する平和的な抗議として始まったものがエスカレートした背景に誰がいるのかは明確になっておらず、極左過激派と白人至上主義者の両方に非難が向けられている。

「アンティファと極左勢力だ。他のせいにするな!」とトランプは30日にツイートしていた。

マイク・ポンペオ国務長官は、略奪、放火、暴力の背後に誰がいるのかについて決定的な態度で語るのを控えている。長官はFOXニュースの「Sunday Morning Futures」出演中に暴動を「アンティファ的」と呼んだが、平和的な抗議から全く異なるものに発展したのが「厳密にどのような状況だったのか分かるのはまだこれからだと思う」と述べた。

ミネソタ州司法長官のキース・エリソンは「Fox News Sunday」で、州外から来ている人々がミネアポリスの暴力行為に関与しているという証拠があると述べたが、特定の団体や思想と関連があるかどうかについては明言しなかった。

2019年には上院でアンティファを国内テロ組織に指定する決議案が提出され、アンティファは「平和的な集会と言論の自由という民主主義の理想とは正反対に相当する」とされた。

ビル・カシディー上院議員(共和党、ルイジアナ)とテッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサス)が共同で提案した法案は、アンティファに関連する人物がICE職員とジャーナリストのアンディ・ンゴに対して起こした脅迫と行為を受けて提出された。

【私の論評】暴力集団は、日本でも許されるものではない(゚д゚)!

C.R.A.C.(元レイシストしばき隊)の米国版ともいえる集団で、保守系の人間が大学で講演会をすると聞くと、その大学に押しかけて妨害するなどの活動を繰り返しています。もっともアンティファの方が歴史は古く、C.R.A.C.にもアンティファを真似ている部分が多いです。

第二次世界大戦前の欧州にルーツを持つアンティファは、ナチズムと人種差別主義に対抗することを標榜しており、その基本指針は「ファシストが政府や社会に根を張って第2のナチスドイツを誕生させることを阻止する」です。

もっとも、表現・宗教の自由などをうたった憲法修正第1条を軽視し、暴徒を動員して「ヤジで相手を黙らせる」ので、これではファシストと変わらないという批判もあります。

アンティファの組織としての実態は謎に包まれており、全米各地に200もの拠点があるとされますが、支部として明確に認知できるのはオレゴン州ポートランド市内の事務所だけだといいます。

アンティファのイデオロギー面での代弁者はマーク・ブレイという政治活動家で、『アンティ・ファシスト・ハンドブック』という著書を出して、アンティファの政治理念などを説明しています。

立憲民主党・杉並区議会議員のひわき岳が2019年10月にツイッターに投稿した動画は新宿で行われたデモの様子を撮影しており、アンティファの旗が映っています。


東京渋谷でもアンティファの旗を掲げた左翼組織がデモを行った他、2019年8月のあいちトリエンナーレの展示「表現の不自由展・その後」が中断された件では、アンティファ名古屋支部が展示の再開を要求する団体に主張の場を提供しています。

ごく最近も東京都渋谷区では5月30日、警察官の対応に抗議するデモがありました。同月23日、渋谷警察署の警官が職務質問を拒否したクルド人男性を、取り押さえたことが発端となりました。男性は当時、路上駐車していた。別のクルド人男性がその模様を撮影した映像をネットに投稿し、複数のネットユーザーが米国の騒乱と関連付けて転載していました。

30日のデモには、このクルド人男性を含む180人近くが参加したとされます。一部の参加者は「ANTIFA」の旗を掲げていました。このデモへの参加を呼び掛けるため、多言語のANTIFA関連のアカウントもデモ参加を呼び掛けました。

現地取材のフリージャーナリスト・Gregor Wakounig氏は、デモ参加者について「自発的な反ファシスト、特定政党の支持者、無政府主義者、他の政治的見解の人々が集まった」とツイートしています。

立憲民主党の石川大我議員がデモに参加しています。公開された映像によると、石川議員はデモ終了時に、騒動について「国会で大きく取り上げる」と述べました。

この出来事について、政治学者の岩田温が以下の動画で解説しています。


アンティフアの危険性については、この岩田氏の動画で十分におわかりいただけたものと思います。

日本では、左翼と言われる人たち、吉良よし子(日本共産党)、有田芳生(立憲民主)、辛淑玉が、ANTIFA(アンティファ)のロゴが入ったTシャツを着て、アピールしています。このことに関して、危険な匂いを感じるのは、岩田氏だけではないでしょう。




足立康史衆議院議員(54)が1日、ツイッターで話題になったアンティファに言及しました。
 
アンティファ(Antifa)は上でも述べたように、左派の反ファシズム団体。米国では警察官に拘束された黒人男性が死亡した事件をきっかけに全米で広がる抗議デモが過激化し、暴徒と化しています。

これをあおっているのがアンティファだとして、トランプ大統領は31日テロ組織として指定すると発表。日本も無関係ではないとして1日、420万ツイートを超えるほど話題になりました。

これについて足立議員は「日本には、スパイ防止法もちゃんとした情報機関もないから、なかなか面倒だけど、破防法を含めて当局の適切な対応が求められますね」と慎重なコメントを残しています。

アンティファのような極左暴力集団は普段は、あまり見向きもされないのですが、現在のようにコロナウイルスなどで、多くの人が疲弊しているときなどに、活動を活発化させ、多くの人々を自分たちの味方につけたり、自分たちにとって有利になるように、社会を作り変えたりしようとします。

米国の暴動にアンティファが関与したり、日本でも姿をみせるということは、アンティファなどの極左暴力集団が、コロナ禍に乗じて活動を活発させようとしている兆候かもしれません。

我々としても、今後アンティファの動きには、注目し彼らが暴力を行使することがないように監視を続けていくべきと思います。

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2020年5月27日水曜日

2カ月半遅れの中国全人代 経済ガタガタ、外交は…トランプ氏「中国は無能」 コロナ第2波なら共産党のメンツ丸つぶれ? ―【私の論評】日本をはじめ先進国が中国に対しては、厳しい対処をするのが当然(゚д゚)!

2カ月半遅れの中国全人代 経済ガタガタ、外交は…トランプ氏「中国は無能」 コロナ第2波なら共産党のメンツ丸つぶれ? 

高橋洋一 日本の解き方

中国全人代の開幕式にマスクを着けずに臨む習近平国家主席(下)=22日、北京の人民大会堂

中国の全国人民代表大会(全人代)は22日、新型コロナウイルスの感染拡大により、2カ月半遅れで北京で始まった。

 中国経済はガタガタだ。1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6・8%減と発表された。それだけに、全人代は低迷からの脱却をアピールする絶好のチャンスといえる。

 これまで全人代ではその年の経済成長目標を数字で掲げてきた。今回は数字を提示できるかどうかがポイントだったが、明記できなかった。中国の統計数字は信用できないが、全人代の数字は中国政府の目標なので、政治的な意味は十分にある。

 中国経済は厳しい。1~3月期の数字は公表され、4月から経済活動は戻りつつあるとしている。中国経済は外需依存が高いにもかかわらず、世界経済は相変わらず低迷したままだ。しかも、対外部門の統計はごまかしにくい。ここで目標数字を公表すると、かえってやぶ蛇になりかねなかった。

 国内経済対策では、新型コロナウイルス対策のための特別国債1兆人民元(約15兆円)発行など、20年の財政赤字率を前年より0・8ポイント高い3・6%以上に設定した。これは、典型的なマクロ経済対策である。

 対外関係では、特に米国との対立が激化する中で、経済で強調する材料がない。ただし、国防予算は前年比6・6%増で、コロナ騒動の中でも過去最高額だ。また、国内引き締めの意味を込め、香港の反政府活動を摘発するための治安法制「国家安全法」が審議される予定だ。

 ただ、香港をめぐっては、昨年11月に米国で「香港人権・民主主義法」が成立した経緯もあり、予断を許さない。その後、新型コロナウイルスを巡り米中対立は激化した。

 トランプ米大統領は20日、「この『世界規模の大量殺人』をもたらしたのはほかでもない、『中国の無能さ』だ」とツイートした。

 今や、米中は貿易戦争どころか「準戦争」状態のようだ。新型コロナウイルスについて、初期段階で情報を隠蔽した中国に対し、米国を含む世界で損害賠償請求が続出しているくらいなので、トランプ大統領も少なくとも11月の大統領選までは強気の姿勢を崩せない。

 そうした中で、一国二制度を完全に骨抜きにする「国家安全法」が全人代で取り上げられることは、米中対立の火に油を注ぐことになるだろう。

 それにしても、2カ月半遅れたとはいえ、中国は全人代の開催を急ぎすぎている感が否めない。会期を例年の半分の1週間に短縮し、全人代代表や報道陣のPCR検査など感染対策は万全だと強調しているが、中国全土から3000人近い代表が北京に集まる。それらのスタッフを含めれば、数万人が地方から北京に来るわけで、それが感染第2波の引き金となればシャレにならず、中国共産党のメンツ丸つぶれだ。

 それでも開催したということは、コロナ封じ込めに自信があるのか、それとも、仮にそのような事態が起きても報道されないということなのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本をはじめ先進国が中国に対しては、厳しい対処をするのが当然(゚д゚)!

中国の隠蔽体質からいって、中国全土から3000人近い代表が北京の全人代に集まり、それらのスタッフを含めれば、数万人が地方から北京に来るわけで、それが感染第2波の引き金となるでしょうが、中国はこれを隠蔽することでしょう。油断すると、第二派、第三派の感染拡大が中国を起点として世界中に広がるかもしれません。

そもそも、中国では、中国ウイルスもしくは、武漢ウイルス感染者数や死者の統計を何度も変更しています、最終的にはコロナに感染したとしても、症状が出ない場合は、感染者に含めないということまでしています。

これから、中国では武漢ウイルスの感染者も死者も出ないでしょう。ただし、現実には出るでしょうから、それらは強制隔離して、隔離された人たちが死亡しても、武漢ウイルス以外で亡くなったと、して虚偽の死亡診断書が作成されることでしょう。

中国の保健当局、国家衛生健康委員会は23日、新型コロナウイルスの感染者について、「きのうは新たな感染者は確認されなかった」と発表しました。


中国の保健当局が中国本土で新たな感染者が確認されなかったと発表したのは、中国政府が対策を本格化させた、ことし1月20日以降、初めてです。

一方で、保健当局は感染しながらも症状がないことを理由に、統計に加えていない「無症状」の感染者について、22日に新たに28人確認されたと発表しています。

実際中国の習近平指導部は28日閉幕の全国人民代表大会(全人代=国会)で、新型コロナウイルス感染症対策の評価を巡り共産党や軍の内部で意見の不一致が生じないよう思想統一を図ったようです。これは、はやい話が、今後武漢ウイルスの感染者が出たとしても、出なかったことにして隠蔽することを暗に徹底したものとみられます。

出席者は競うように習国家主席に忠誠を誓い、1週間にわたる会議は事実上、感染症対応への批判を封じ込めるための場となりました。

「全軍が思想と行動を共産党中央の政策決定と一致させなければならない」。習氏は26日、全人代の軍関連の会議に出席。新型コロナ対策で党の指導に従うよう命じました。新華社電が伝えました。

22日開幕の全人代は新型コロナが最大の議題で、習氏の指導力を礼賛する声が相次いだとされています。

国内では、このような徹底もできるでしょうか、国外はそうはいきません。トランプ大統領をはじめ、中国への批判はすさまじく、とどまるところを知りません。

そんな中で、中国外務省が異常な反発をしてきました。安倍晋三首相が25日の記者会見で、「新型コロナウイルスが中国から世界に広がった」と語ったところ、激しく噛みついてきたのです。

中国は、世界全体で34万人以上の死者を出している「死のウイルス」について、発生国として、初動対応の失敗が指摘されていることなどに、問題意識を感じていないのでしょうか。これでは、日本国民は、習近平国家主席の「国賓」来日を歓迎できません。

「ウイルス起源の問題を政治化し、(中国に)汚名を着せることに断固として反対する!」

中国外務省の趙立堅報道官は26日の記者会見で、安倍首相の発言にこう反発しました。ウイルスの起源については「厳粛な科学の問題だ」と言い放ちました。

趙氏といえば今年3月、自身のツイッターで「米軍が武漢に感染症を持ち込んだのかもしれない」と投稿し、ドナルド・トランプ米政権の猛反発を受けた、いわくつきの人物です。ただ、中国外務省高官の正式発信だけに放置できるものではありません。

そもそも、安倍首相は中国に汚名を着せていません。

25日の記者会見で安倍首相は、対中姿勢も明確にした

米ウォールストリート・ジャーナルの記者に、「今、米国と中国がウイルスなどをめぐり激しく対立している。日本はどっち側につくでしょうか?」と突然聞かれ、冒頭の前置きをしたうえで、次のように続けました。

「日本の外交・安全保障の基本的立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国である。基本的価値を共有している。日本は米国と協力しながら、さまざまな国際的な課題に取り組んでいきたい」

「中国も、世界において経済的にも重要な国であり、プレーヤーだ。国際社会は『日本と中国がそれぞれ、地域や世界の平和や安定、繁栄に責任ある対応を取っていくこと』が期待されている」

外交的に極めてバランスのいい発言といえます。

新型コロナウイルスの世界的大流行をめぐっては、米国や英国、ドイツ、フランス、オーストラリアなどで、中国政府の責任を追及し、損害賠償を求める動きが高まっています。

日本は現時点で、こうした動きと一線を画していますが、中国外務省の異常な反発は看過できるものではありません。

この方にはお越しいただかなくてもよろしいのでは・・・・・

中国が、世界保健機関(WHO)をスポークスマンのように手なずけ、当初からウイルスについて正しい発信をせず、世界全体に被害を広めたことは事実です。米国では与野党を超えて『中国発』との認識を持っています。

安倍首相が記者会見で、同様の認識を発信したことは日米連携のためにも重要です。日本の経済界には『習主席の機嫌を損ないたくない』という思惑があるようです。

国会議員からも中国を強く批判する声はあまり聞こえてきません。しかし、人権問題や尖閣諸島での身勝手な行動を考えれば、国民がもっと強い姿勢を示さなければならないです。習主席の『国賓』来日を歓迎すべきではないのです。

ここで、日本としては、習近平の意向で国内では、どうにもでもなることから、海外でもそれが通用すると思わせてはならないのです。

中国は、元々対外関係など重視せず、自国の内部の都合だけで動く習性がありました。かつての世界は、中国市場の大きさに目を奪われ、中国が経済的に発展して豊かになれば、いずれ先進国等と同じ様になり、まともになるだろうと、それを許容してきました。

しかし、それが中国を勘違いさせてきたようです。中国は比較的豊かになっても、先進国のようになることはありませんでした。それどころか、最近の中国は世界秩序を中国にとって都合の良いように作り変えることを公言しました。これは、このブログでも何度か述べたことです。

今の中国にそのようなことをされれば、世界は闇に覆われることになります。だからこそ、日本をはじめ先進国が中国に対しては、厳しい対処をするのが当然なのです。今後、中国が世界で自分勝手、わがまま勝手をすれば、世界中から厳しい仕打ちを受けることを身をもって体験させるべきなのです。



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