2020年8月25日火曜日

米大統領選、トランプ氏が肉薄! “バイデン旋風”は起こらず? 「反トランプ」のCNN、驚愕の世論調査結果 ―【私の論評】米国内では「バイデン圧倒的に優勢」との確信が揺らぐような内容の報道も(゚д゚)!


永田町・霞が関インサイド

バイデン氏(左)とトランプ氏(右)

 筆者は度々、わが国メディアのワシントン発の記事に対して疑問を呈し、不満を口にしてきた。残暑厳しい日が続くなか恐縮ではあるが、本稿でまた言及する。

 米民主党は8月18日夜(日本時間19日午前)、大統領候補にジョー・バイデン前副大統領を正式に指名した。そして遡(さかのぼ)る11日にはバイデン氏が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んでいる。

 「反トランプ」を旗幟(きし)鮮明にするCNNテレビは12~15日に米大統領選について世論調査を実施、その結果を民主党大会前日の16日夜にホームページで公表した。驚愕(きょうがく)の調査結果だった。

 バイデン氏支持が、前回調査(6月2~5日)比5ポイント減の50%、ドナルド・トランプ大統領支持は5ポイント増の46%で、その差は僅か4ポイントである。トランプ氏が誤差の範囲内にまで肉薄したのだ。

 世論調査の時期を見てほしい。ハリス氏が副大統領候補に指名された翌日12日から党大会開催前々日の15日までの期間である。

 本来であれば、バイデン陣営にとって追い風の好機である。正副大統領候補の正式決定で、民主党支持層の歓喜の声に沸き返って支持率が急上昇するタイミングでの世論調査だった。

 それだけではない。各質問項目のなかでも重要項目とされた「経済運営(政策)」については、バイデン氏支持が45%(前回比1ポイント減)、トランプ氏支持は53%(同2ポイント増)であり、「大統領にふさわしいスタミナと鋭さ」という質問でも、トランプ氏がバイデン氏を2ポイント上回った。

 「スタミナ」に続く、「鋭さ(sharpness)」という表現がくせ者である。当選すれば78歳と最高齢で大統領となるバイデン氏には当初から健康不安説が指摘され、とりわけ「初期認知症」疑惑が取り沙汰されてきた。だが、CNNは「鋭さ」と質問することで問題をぼかしたのである。

 この世論調査が、保守系のFOXテレビが行ったのであれば、この結果は「やはりそうか」である。

 平たく言えば、党内左派のバーニー・サンダース上院議員を推した若者たちの支持が得られず、バイデン旋風が巻き起こっていない証と見るべきである。

 トランプ氏は残る選挙期間で、新型コロナウイルスのためのワクチン開発に成功したと言い募り、対中強硬策を相次いで繰り出すことで「弱腰バイデン」をプレイアップするはずだ。

 なぜかCNN調査を一紙以外は報じない日本の新聞は「バイデン優勢」を決め打ちすべきではない。 (ジャーナリスト・歳川隆雄)

【私の論評】米国内では「バイデン圧倒的に優勢」との確信が揺らぐような内容の報道も(゚д゚)!

上の記事の通り、日本のメディアでは、米国のメディアの報道をそのまま垂れ流し、「バイデン優勢」の決め打ちをしています。

このブログでも何度か掲載してきましたが、米国の大手メディアのうち新聞は全部がリベラル系で、民主党よりです。全米ネットワークの大手テレビ局は、FOXTVのみが保守で、あとはすべてリベラルです。

日本人の中にはウォール・ストリート・ジャーナル紙を保守メディアと勘違いするむきもありますが、これもリベラル系です。ただし、歴史は古く、比較的まともな報道をしています。

だから、米メディアがどうしても「バイデン」寄りになるのは当然なのです。2016年の大統領選挙では、米メディアは最後の最後まで、「ヒラリー推し」をして、結果としてどのメディアもトランプ大統領の誕生を予測できませんでした。

2016年トランプ大統領の誕生を伝える朝日新聞の号外

この「ヒラリー推し」の報道を鵜呑みにして報道した、日本のメディアも右に倣えで、トランプ大統領の誕生を予測できませんでした。

今回の大当選でも、同じことが起ころうとしているようです。「バイデン優勢」との確信が揺らぐような内容の報道もなされています。

実は、CNNは8月6日にも「バイデンは引き続き優位に立っているが、トランプは低迷を脱してきた。新型コロナウイルスの感染が収まらず死亡者も増えている中で、トランプはバイデンをstriking distancing(射程内)に捉えた」との記事をウェブサイトに掲載していました。

記者はCNNの政治アナリストであるハリー・エンテン氏です。各種の世論調査を分析して、5~6月にはトランプ大統領への支持が立ち直れないほど低迷しながらも、7月になると底打ちして回復してきていることに注目するとつとは言えCNNのことなので、こう付け加えることも忘れていませんでした。

 「現在の世論調査を見る限りでは、バイデンが比較的安定した優位を保っており、明らかに勝者と考えられるが、全てに前例のない異常な状況に直面している時に、トランプが虎視淡々と逆転を狙っているのも確かだ」

この記事は、8月16日の調査結果の正式に先立ち、調査の内容の概要がわかった段階で発表したものと思われます。そのため、支持率などの正確な数値自体は8月16日に発表されたようです。

そうして、このような報道がどのような状況のもとに行わているかも注目に値します。

監視機関「メディア・リサーチ・センター(Media Research Center)」のプロジェクトである「ニュースバスターズ(NewsBusters)」のプロジェクトである「ニュースバスターズ(NewsBusters)」調査によると、アメリカの夕方のニュースはドナルド・トランプ大統領に対する否定的な報道を大量に流す一方で、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏を事実上無視していることが明らかになりました。

「ニュースバスターズ(NewsBusters)」は6月1日~7月31日までのABC、CBS、NBCによる夕方のニュースを分析しました。その結果、トランプ氏に関する報道時間は512分で、バイデン氏の58分の9倍でした。

ところが、トランプ氏に関する報道はほとんどがネガティブなものだったのです。

トランプ氏に対してネガティブな報道をする米メディア

同センターの分析によると、大統領に対する評価的陳述の668件のうち634件が否定的で、これに対してバイデン氏は12件のうち4件が否定的でした。

米国のメディアは、ジョー・バイデン氏に大統領を任せることより、自らがドナルド・トランプ氏の反対者になることを選んでいるようです。

このような調査を見るまでもなく米国の主流メディアは公然とトランプ大統領に偏見を持っているようであり、多くの米国民がそれを見抜けないと思っているのなら、自らを欺いていることになるでしょう。

通常の選挙シーズンでは、ニュースは両候補者をともに報道します。この不均衡は、バイデン氏が中共ウイルス(新型コロナウイルス)の大流行期間に何カ月もキャンペーン・イベントを開催しなかったことが一因でしょうが、それでもバイデン氏は依然として毎日発言を続け、公約も立てていました。また性的暴行疑惑などのスキャンダルもあります。

バイデン氏に焦点を当てた報道の40% (23.5分) は、バイデン氏がトランプ氏を批判する内容でした。一方、トランプ氏に焦点を当てた報道はわずか0.25% (88秒) が、トランプ氏のバイデン氏に対する批判を伝えるものだったといいます。

まるで米国メディアは、両方を報道すると、大衆は正しい決断が出来ないと思っているかのようです。

この調査では、記者やキャスター、あるいは専門家や有権者といった超党派の人たちによる、トランプ氏やバイデン氏についての明確な評価的陳述を対象にしました。党派的な人物からの評価やコメント、そして中立的な陳述は含まれていません。

トランプ氏は、多くの記者が彼に偏見を持っていると繰り返し述べてきました。

トランプ氏は8月17日、「フォックス&フレンズ」との電話インタビューで、「私の最大の敵はバイデン氏でも民主党でもなく、腐敗したメディアだ。この国には今まで誰も見たことのないような腐敗したメディアがある」と述べました。

民主党全国大会の期間中に選挙キャンペーンをしている理由について尋ねられたトランプ氏は、メディアのせいで「仕方なく」やっていると述べました。

「地下室から出てこない男(バイデン氏)がいて、メディアは彼を報道している」とトランプ氏は述べ、「彼ら(メディア)が私に質問する時、私は彼らの目に火が燃えているのが見える。私は彼らを見ながら、本当にどうしてそんなに大きな憎しみを持っているのだろうかと思う」と付け加えました。

バイデン氏は3月に自宅で隔離を始めて以来、記者会見をほんの数回しか行っておらず、自宅隔離は夏の間に終了しました。バイデン氏と新しく発表された副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員 (カリフォルニア州選出、民主党) は、8月11日に副大統領候補が発表されて以来、あまり質問を受けていません。
トランプ氏がバイデン氏に肉薄していること、米国メディアがトランプ氏に対して、かなりのネガティブな情報を流していることを考えると、実体はトランプ氏のほうが優勢なのかもしれません。

いずれにしても、「バイデン圧倒的に優勢」と決め打ちするのは、時期尚早です。

日本では、安倍総理が病院で検査ということで、ネガティブな報道がされています。テレビ局は、安倍総理検査入院で、嬉しくてしょうがないようで、まるでお祭り騒ぎのように沸き立っています。



自分の健康について、総理自らが確認するのは、当然のことです。それに、検査入院ということになれば、周りの人間の本音が見え、敵と見方の区別がつきやすくなるし、使えない馬鹿と使える利口の見分けもしやすくなります。

それに野党は、合流話など馬鹿真似ばかりをしていて、しかも「政権奪還」などというばかりで、政権を奪還した後にどのような具体的な政策を実施するのか、まったく見えません。次の選挙で自民党が勝つのは、確実です。その意味では、現状では野党は自民党政権の最大の応援団です。安倍総理は、その意味では、今後続投するにしても、もしそうでなくても心安らかかもしれません。

【関連記事】

イスラエル・UAE和平合意はトランプの中東政策が有効な証拠―【私の論評】この和平は世界とって良いこと、トランプ氏の大統領選の一環などと矮小化すべきではない(゚д゚)!

【アメリカ発】憂慮すべきバイデン親子の中国ビジネス―【私の論評】バイデン氏の大統領への道は閉ざされたと見るのが妥当(゚д゚)!


0 件のコメント:

トランプ氏「シリアでトルコが鍵握る」、強力な軍隊保有―【私の論評】トランプ政権トルコのシリア介入許容:中東地政学の新たな局面

トランプ氏「シリアでトルコが鍵握る」、強力な軍隊保有 まとめ トランプ次期大統領は、アサド政権崩壊後のシリアでトルコが鍵を握るとの見解を示した。 トルコの軍事力は「戦争で疲弊していない」とし、エルドアン大統領との良好な関係を強調した。 米国はシリア東部に約900人の部隊を駐留させ...