2020年8月22日土曜日

対中国機密包囲網『ファイブ・アイズ』に日本参戦へ! 自由と民主主義を守るための戦い…英も独仏より日本の参加を待望 ―【私の論評】他のメディアが教えない、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットを教えよう(゚д゚)!


「ファイブ・アイズ」入りに前向きな姿勢の河野防衛相

 中国による「香港国家安全維持法」施行をきっかけに、共産主義対民主主義の構図が鮮明になってきた。「自由の砦(とりで)」を守るために何が必要なのか。国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、米英など5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」に日本も6番目の国として参加することだと主張する。


 香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏が、香港国家安全維持法違反の容疑で10日に逮捕された。しかし、日本のメディアやネットなどで強い批判が起こり、そのせいもあってか、翌日の深夜に釈放された。

 日本以外の国でも抗議の声は上がったが、われわれが「民主主義の敵」に対して、彼女と一緒に戦う姿勢を見せるだけでも十分な効果があった。15世紀のフランスでは、当時まだ10代だったとされる、オルレアンの少女ことジャンヌ・ダルクがフランス軍の兵士を鼓舞して勝利に導いた。

 周庭氏は香港における「共産主義と民主主義の戦い」の象徴的存在だが、ほかにも逮捕され大陸に送還された数千人以上とも言われる人々を含めた「自由の闘士」が頑張っている。彼らを支援し、日本にも迫る「民主主義の敵」と対峙(たいじ)するにはどうしたら良いのだろうか。

 一つの答えが「日本のファイブ・アイズへの加盟」である。ファイブ・アイズは1940年からナチス・ドイツの暗号「エニグマ」を解読するために米国陸海軍の暗号部と英国の政府暗号学校が協力したことが発端だ。46年にソ連の共産主義に対抗するための協定も結び、その後、カナダとオーストラリア、ニュージーランドが参加した。ファシズムや共産主義から民主主義を守る「自由の砦」なのだ。



 日本が一方的に参加したいというわけではなく、ファイブ・アイズの方からも、日本に「打診」が行われている。

 英国のトム・トゥゲンハート下院議員は、河野太郎防衛相が日本を含む「シックス・アイズ」を提案したことについて歓迎の意を示したと報道された。同国のトニー・ブレア元首相は産経新聞の電話インタビューに、自由主義諸国が連携して中国の脅威に対抗する必要があるとし、「ファイブ・アイズ」への日本の参加を「われわれは検討すべきだ」と述べている。

 実際、日本と英国には明治維新以来浅からぬ縁がある。明治維新の際には、英国が新政府を支持したし、第一次世界大戦を挟んで「日英同盟」も結んだ。不幸なことに第二次世界大戦ではドイツと組んだために英国を敵に回したが、この紳士の国は、過去のことをネチネチと掘り返して嫌がらせをする日本の近隣の国々とは全く違う。

 一方で、ファイブ・アイズの中心ともいえる米国だが、11月の大統領選でのドナルド・トランプ大統領の再選が微妙な情勢だ。歴史的に「反日」の民主党政権になれば日本にとっては大打撃である。万が一の時の保険としても英国との関係は極めて重要だ。

 2018年からは、日本、ドイツ、フランスが中国のサイバー活動を念頭に会合を開き、ファイブ・アイズとこの3国の連携で情報共有の新たな枠組みが作られている。日本加盟への道筋は既につけられているし、ドイツやフランスよりも日本の方が6番目の加盟国としてふさわしいと、少なくとも英国からは思われているのだ。このことは民主主義国家として誇っても良いと思う。

 日本、韓国、フランスが参加した枠組みが発足したとの報道もあったが、駐留米軍1万2000人削減を行ったトランプ氏と犬猿の仲であるアンゲラ・メルケル氏率いるドイツが入っていない。韓国については、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を安全保障とは関係のない政治交渉に使う国であるから、ファイブ・アイズ加盟国から信頼があるのではなく「中国と手を切るべし」という踏み絵だと考えるべきだろう。

 もっとも、正式にファイブ・アイズに加盟するためには、国内での機密保持がまず大事であるから、まともなスパイ防止法がなく「スパイ天国」と揶揄(やゆ)される現状を早急に改善しなければならない。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】他のメディアが教えない、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットを教えよう(゚д゚)!

ファイブアイズとは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五ヶ国を言いこれらの国々が情報を共有している関係を言います。正式にはUKUSA協定といいます。2018年から日本、ドイツ、フランスがこの組織の会合に参加し、中共のサイバー攻撃を念頭に会議を重ねています。現在では韓国もこの会議に参加しています。

日本は今までもファイブアイズと連携を深めてきたが・・・・

現在の世界情勢、特に中共の危険な膨張を考えたとき、日本がこの組織に正式参加することはそれなりにメリットがあると思います。現実には上記の様にある意味すでに参加しているともいえるかもしれません。しかし、正式参加と今までの会合参加とどう違うのでしょうか。

様々な報道によれば河野大臣は参加に前向きだそうですが、現時点では正式参加の必要は無いとも言っているとのことです。ただし、これは正式な政府のコメントでは無いので、あくまでこのような事を言っているらしいというだけのことです。

ただ、現実問題として本当に日本が参加する可能性がどれほどあるのかと考えると、日本国内で得られる公開情報だけで考えると、かなり問題があるようにみえます。

日本側の問題としては、ブログ冒頭の記事のように、日本にはスパイ防止法が無いということがあります。少なくとも先進国と言われる国々で、諜報活動を禁止し、国家機密を探りあるいは第三国に渡した者はかなりの重罪を課せられます。しかし、日本にはそれに当たる法律がありません。

かつて自民党がこの法案を提出したことがありますが、成立には至りませんでした。主としてマスコミが報道の自由、表現の自由を盾にこの法案に対しキャンペーンを張って大反対し、国民がそれを受け入れた結果です。

しかし、どのような国家にも国家機密はあります。全ての国家の機密、特に他国との協定内容を全て公表しなければならないとすれば、まず他国が日本との協定を結ばないでしょうし、どのような約束もしないでしょうし、日本の提案など絶体に受け入れないでしょう。

さらに、特に国家防衛に関する面では軍事機密があって当然であり、それまで公表できるわけがありません。ところが、日本のマスコミはそれを国民の知る権利を侵していると言っているわけです。

この様な日本が他国との機密を前提とした協約を結べるわけがありません。日本はスパイ天国であり、多くの国家機密が支那やロシア北朝鮮に流れ出ています。ところが、その情報を持ちだした人間が仮に判明しても極論を言えばスパイ行為そのものを処罰できないのです。

ただし、スパイがスパイ行為をする過程において、国内法に違反した場合は、その範囲内で、最も重い刑罰を与えることはできますし、実際行われています。しかし、スパイ行為そのものは、明白であっても、それをもって刑罰を与えることはできないのです。

最近、米国では中共に米国の機密を渡した人間が逮捕され、かなりの長期刑を申し渡されたといいます。

米国は以前からかなり機密の保持に神経を使っていますが、それでもかつて原爆の製法をソ連に盗まれたりしています。これは、有名なローゼンバーグ事件ですが、これは当初、米国によるユダヤ人迫害(ローゼンバーグ夫妻はユダヤ人)だとかなり世論の反発を買ったといわれていましたが、実際に彼等がソ連に原爆の情報を渡していたことが証明されています。なお、夫妻は死刑になっています。

ピカソも冤罪だと信じたローゼンバーグ夫妻は本当にスパイだった

この様な事件は無数にあり、金で情報を売った者、ハニートラップにかかった者、最初からスパイとして代々米国に住み着いていた移民などが逮捕されいずれも重罪になっています。そうして、情報が中共に渡ったため、中共に潜伏していた米国情報員が多数処刑されているといわれています。

日本では、海外に派遣されている大使館員などがハニートラップに引っかかる例はかなりあるようで、たとえば2004年の上海総領事館員自殺事件等が知られています。これは、領事館員がハニートラップにかかり、情報を明かすように脅迫されて自殺した事件です。

現在でも、政治家などが突然親中派になったかのような事が度々起きていますが、ほとんどがハニートラップだと言われています。また、自衛隊幹部の妻が多く中国人だとの噂さえあります。無論公式発表ではありませんが、「自衛隊員妻に中国人600人」等で検索してみると、かなり引っかかります。

そのような状況で、日本がファイブアイズに正式に加入できるか、というより加入しても欧米が本来の自分たちと同じ立場に日本を置くかと言えばそれはかなり疑わしいです。というより、あり得ないと思えます。

1980年代から90年代初頭における、アメリカ合衆国連邦政府の度重なるダンピング提訴や、日本企業と米国企業との間の受注合戦や訴訟合戦において、米国の国益を守るために、三沢飛行場、ワシントン州、ニュージーランド、オーストラリア、香港(現在は撤去)のエシュロンをフル稼働させた可能性があり、それが日本の企業活動に大きな損害を与えたとされています。

その一方、施設を提供している見返りとして、日本政府の求めに応じて、エシュロンから得られた情報が提供されたと推定される例がいくつかあります。朝鮮民主主義人民共和国の金正男が成田空港で入国拒否された件がそれであり、事前に日本に対して通報があったとされています。

また、日本赤軍最高幹部であった重信房子が極秘裏に日本に帰国して潜伏しているという情報もエシュロンによって情報が得られ、日本政府に通報されたと噂されている。

上で述べたように、ファイブアイズは、日本にはスパイ防止法が無い現在の状態でなぜ日本に参加を呼びかけたのかは疑問です。しかし、その目的の一つには、日本が独自に集めた中共の情報を吸い上げるということが考えられます。

ファイブアイズ自体は、旧ソ連や現ロシアの情報に関しては、かなりの蓄積があると考えられますが、中共が脅威となったのは、最近のことで、これに対する蓄積は意外と少ないと考えられます。

ファイブアイズの国々において、中共が本格的に脅威として認識されたのは、米国でトランプ大統領が登場して以降と考えられます。

しかし、日本は良かれ悪しかれ、中国は隣国であり、たとえスパイ防止法がなくても、かなりの情報を戦前戦後から現在に至るまで蓄えていると考えらます。いや、それどころが、スパイ防止法がないことに中国などのスパイが安心して無警戒になり、常識では考えられないような情報をもたらしている可能性があります。

これは、良く警察が重大犯を、釈放して自由に行動させその過程で様々な情報を得るということに似ています。これらの情報の蓄積こそ、現在ファイブアイズが求めているものと考えられます。だからこそ、ファイブアイズは日本に期待していると考えられます。これ意外ににファイブアイズが日本に期待する理由はみあたりません。

日本の情報機関として有名なものに内閣官房の内部組織の内閣情報調査室(内調)があります。内調は主に情報の集約やオシント(公開されている情報を情報源とする情報収集活動)を行っています。オシントというと、「なーんだ」と思う人は、諜報活動に疎いです。実はスパイ活動のうち007のような派手な活動は、ほんの一部で、スパイ活動の大部分は一見地味に見えるこのオシントによるものです。CIAもかつてのソ連のKGBの活動も大部分は、オシントです。ヒューミント(人を介して行う超包活動)はごく一部です。

内閣情報官だった北村滋氏は。2019年9月より国家安全保障局長、内閣特別顧問となった

世界中の様々な情報をつなぎ合わせると、様々なことがわかってきます。たとえば、第二次世界大戦中に、新聞その他の公開情報から、たとえばドイツの高官がある町の結婚式に参加した等の情報を丹念につみあげていき、独ソ戦の開始日をあてた諜報員がいます。このように、内調は、戦前の情報を引き継ぎ、戦後から今にいたるまで様々な情報を蓄積しているのです。

日本には、内調その他の情報機関として、警察庁警備局(公安警察)、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、法務省公安調査庁、海上保安庁警備救難部などが挙げられます。

日本の情報機関において特徴的なのは、警察(公安警察)が人事面で優勢である点です。日本の情報機関における取りまとめ的な位置づけである内閣情報調査室には警察官僚やノンキャリアの警察官が数多く出向しており、トップの内閣情報官は創設時から警察官僚が代々務めています。また、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、公安調査庁、海上保安庁警備救難部にも警察官僚が出向しています。

ただし、日本では様々な組織に情報が分散して蓄積されたり、それぞれの組織が他の組織がはりあうなどのことをしているため、情報が一本化されていないという欠点がります。

現在、中共はファイブアイズの敵となりました。無論日本の敵ともなりました。利害が一致するところが大きくなりました。

日本に、スパイ防止法がないということは、スパイが摘発できないという欠点はありますが、それでもスパイを自由に泳がせて、その行動を把握しやすくするという、ファイブアイズの国々にはない利点を生み出しています。中共側が露呈してないと思っていることでも、日本側がすでに把握していることはかなりあると思います。

もし、日本がファイブアイズに加入した場合、ファイブアイズは日本の長期に渡る濃密な中共の情報を得ることができます。そうして日本としては、まずはファイブアイズ加入を契機として、日本国内の中共スパイ情報を統一する良い機会となります。

それと、ファイブアイズに加入するには、少なくとも日本はスパイ防止法とまでいかなくとも、最低限ファイブアイズから得られた情報を漏洩した人間を摘発するための法整備をしなくてはならないことでしょう。これには、多くの国民も賛同することでしょう。そうして、これが実質的に日本のスパイ防止法に発展していく可能性もあります。

さらに、今までは情報を収集して、国内法に違反した場合にのみスパイを摘発できたのですが、今度はファイブアイズの他の国々が、摘発して処罰できることになります。

たとえば、日本の情報組織がある政治家が、確実にスパイであるという情報をつかんだとします。いままでだと、その政治家がスパイ活動をするために、国内法に違反した場合だけ、摘発することができましたが、その情報をファイブアイズと共有しておき、当該政治家がファイブアイズのスパイ防止法等に違反した行為をしていれば、その政治家をファイブアイズの国々が摘発することもできます。

日本がファイブアイズに入った後に、それまで頻繁にファイブアイズの国々に入国した政治家が入国しなくなったとしたら、これはかなり怪しいということになります。それも、日本だけではなく、ファイブアイズのスパイ活動にも加担している可能性が高いです。

これは、双方にとって良いことです。日本としては、今まで蓄積してきた濃密なスパイ情報を一本化できるだけではなく、有効に使える道ができることになります。また、ファイブアイズはその情報を有効に使うことができます。

これこそが、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットなのです。

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