左寄り、トランプ米大統領、豪モリソン首相、安倍日本首相 |
11月の大統領選挙を控え、国内対立が激化している米国だが、ドナルド・トランプ政権はそんな国内問題に足を引っ張られるどころか、コロナ危機の最中も「アフター・コロナ」の国際社会を見据えた大胆な手を次々と打っている。
トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略、それは自由主義に基づく国際秩序を断固として守るために、米国を経済的軍事的に強くし、日本をはじめとする同盟国との関係を強化し、中国「共産党」政権の暴走を抑止する、ということだ。
その世界戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ(United States Strategic Approach to the People’S Republic of China)」が5月下旬、発表された。
日本のマスコミの扱いは小さいが、16ページからなるこの報告書は、経済、通商、安全保障、人権、環境など多岐にわたって中国の問題点を列記し、それらの課題への対抗策を列記している。
その冒頭にはこう記されている。
米国は1979年の中国との国交樹立以来、懸命に経済協力を行い、民主化を促してきたが、そうした対中関与政策は中国自身によって否定された。
特に2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した際、加盟国は、中国が経済改革の道を歩み、市場志向の経済・貿易体制へと変貌していくことを期待していたが、こうした期待は実現されなかった。
それどころか13年、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べた習近平総書記(国家主席)のもと中国は「一帯一路」を掲げてアジア太平洋諸国を影響下に置こうとする一方で、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海、台湾海峡、中印国境地域で挑発的で強圧的な軍事・準軍事活動を繰り広げている。
よって「過去20年間の対中関与政策は『誤り(false)』」だったと、トランプ政権は総括している。
トランプ政権が描く「アフター・コロナ」の世界戦略、それは自由主義に基づく国際秩序を断固として守るために、米国を経済的軍事的に強くし、日本をはじめとする同盟国との関係を強化し、中国「共産党」政権の暴走を抑止する、ということだ。
その世界戦略をまとめた報告書「中国に対する米国の戦略的アプローチ(United States Strategic Approach to the People’S Republic of China)」が5月下旬、発表された。
日本のマスコミの扱いは小さいが、16ページからなるこの報告書は、経済、通商、安全保障、人権、環境など多岐にわたって中国の問題点を列記し、それらの課題への対抗策を列記している。
その冒頭にはこう記されている。
米国は1979年の中国との国交樹立以来、懸命に経済協力を行い、民主化を促してきたが、そうした対中関与政策は中国自身によって否定された。
特に2001年に中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した際、加盟国は、中国が経済改革の道を歩み、市場志向の経済・貿易体制へと変貌していくことを期待していたが、こうした期待は実現されなかった。
それどころか13年、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べた習近平総書記(国家主席)のもと中国は「一帯一路」を掲げてアジア太平洋諸国を影響下に置こうとする一方で、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海、台湾海峡、中印国境地域で挑発的で強圧的な軍事・準軍事活動を繰り広げている。
よって「過去20年間の対中関与政策は『誤り(false)』」だったと、トランプ政権は総括している。
その歴史的な総括を踏まえて、トランプ政権は、米国を含む自由主義陣営の体制を強化し、同盟国を中国から守るため、今後、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているのだ。
こうしたトランプ政権の動向に対して、日本では「親中派が横行する日本は果たして米国と協調できるのか。このままだと米国に見捨てられるのではないか」という声が聞こえてくる。
だが意外なことに、トランプ政権のこの報告書には、米国と連携して日本とオーストラリアが、中国の横暴に懸命に立ち向かっている姿が描かれている。
日本はもっと旗幟(きし)を鮮明にしてほしいと思うが、その一方で少なくともトランプ政権は、「日米豪」対「中国」という構図で国際社会を見ていることは理解しておきたいものである。
■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。自著・共著に『危うい国・日本』(ワック)、『インテリジェンスと保守自由主義-新型コロナに見る日本の動向』(青林堂)など多数。
【私の論評】米大統領選は、トランプ若干優勢と見ておくのが妥当!(◎_◎;)
なぜなら、「米国は、自由で開かれたルールに基づく国際秩序を弱める北京の行動には応じないし、応じるつもりもない」と明言しているからです。
現在の米国は、中国に対抗することで、政府も議会も超党派でまとまっています。次の大統領選挙で有力視させているバイデン氏もその点では、変わりないように見えます。
「中国に俺たちの昼飯を食べられてしまう(やっつけられてしまう)って? 冗談じゃない!」 トランプ大統領の対中強硬姿勢に対抗する意味で発言したものでしたが、逆にバイデン氏が中国に対して「弱腰」と批判されました。
その対中姿勢に関連して、副大統領時代の2013年に中国を公式訪問した際、二男のハンター氏を同道させ中国側の要人に紹介したのですが、帰国後ハンター氏が経営する投資会社に中国銀行から15億ドル(約1500億円)が振り込まれたという話があり、トランプ陣営は選挙戦が本格化するとこの話でバイデン氏を攻撃することが目に見えています。
「副大統領候補の内、スーザン・ライスがバイデンと最も良い関係を築けるかもしれない」(ザ・ウィーク電子版5日)
バイデン氏の副大統領にはアフリカ系女性が有望とされる中で、ライスの下馬評が高くなってきています。オバマ政権での安全保障問題担当補佐官としてバイデン副大統領とも通ずるところが多かったライスさんは、副大統領でなくとも国務長官として外交を仕切るのではないかと噂されていますが、これは日本とっては悪夢です。
ライスは2013年に補佐官就任直後の講演で「中国とは新たな大国関係を機能させようとしている」と言って注目されまし。習近平主席の太平洋を米中で2分割しようというG2論を容認したと受け取られたからです。
また同じ講演会で記者から尖閣列島問題を訊かれると「米国は主権の問題には立ち入らない」と従来の米国政府の立場から後退した考えを示しました。 さらにライスは補佐官当時三回中国を単独訪問して習近平主席と会談しており「ライスにとって中国問題は最も重要な個人的課題になった」(ワシントン・ポスト紙)と言われました。
大統領選は3ヶ月先のことですが、政権が交代した場合の日本への影響と対策をも考えるべきです。
ただ、実際にはバイデンが圧倒的に有利とは言えないようです。米国調査会社トラファルガー・グループ(ジョージア州)は2016年の前回大統領選で激戦州ミシガンなどの結果を言い当て、トランプ氏勝利を予測した数少ない世論調査会社です。
同グループの、ロバート・カヘリー上級調査員は取材に対し「トランプ支持でも、そうとは言いにくい空気が4年前より強い」と指摘しています。
米国調査会社トラファルガー・グループのロバート・カヘリー上級調査員 |
カヘリー氏によると、電話など人対人の世論調査では、社会的に望ましいとみられる回答に反する場合、対象者がうそをつくことがあります。4年前、同社は「あなたはトランプ支持か」という質問に加え、「あなたの隣人の大半はトランプ支持か」を尋ねました。後者が本心を聞き出すための質問で、より実態を捉える効果があったといいます。
1日現在、各種調査の平均でバイデン氏の支持率はトランプ氏を7ポイント上回っていますが、同社の調査では、五分かトランプ氏やや有利の展開といいます。カヘリー氏は「人々がバイデン氏の楽勝を信じ、結果が異なれば、選挙の公正さを疑われかねない」と語り、精度向上の必要性を訴えています。
隠れトランプ支持者の存在をめぐっては論争があります。4年前、激戦州の直前世論調査の平均は、実際の選挙結果と最大7ポイント違っていました。米世論調査協会は半年後の17年5月、「なぜ間違ったのか」を検証する報告書を公表しました。
態度未定の有権者の多くが最終盤でトランプ氏に流れたことなどを理由に挙げましたが、「隠れ支持者」の存在は「証拠がない」として認めませんでした。
私は、このブログで先月バイデンが圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想にすぎなく、 実態は五分五分と認識すべきだと主張しました。この考えは、今でも変わりありません。そのため、ロバート・カヘリー氏の主張は、まさに我が意味を得たりという思いがしました。
米国で連日のように行われているトランプ政権に対する抗議デモや暴動は実は、選挙にはほとんど関係がありません。なぜなら、黒人の若年層は投票権がないか、投票所に行かないからです。
米国には日本のような住民基本台帳が無いため、自動的に選挙人名簿に登録されることは無く、選挙人名簿(Voter registrationがこれにあたる)に自己申告で登録しなければ選挙人名簿には登録されず、投票資格が生じないのです。 なお選挙権が無いにも関わらず選挙人登録をすると刑法犯罪になります。
以上のようなことを考えると、バイデン優勢どころか、トランプがリードしている可能性すらあるのです。その理由を以下にあげます。
(1)一般的な世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領を7ポイント程度リードしています。しかし「投票する」と答えた有権者への調査では、逆に3~5ポイント、トランプ優勢。
(2)選挙資金の潤沢さ(トランプ2億5000万ドル、バイデン6000万ドル)。選挙戦では高額なTVスポット広告で、攻撃されたら直ちに反撃できます。この差は大きいです。
(3)中国たたき。米国民の67%が習近平体制に反感を持ち、反中政策は人気。特に共和党びいきの93%がトランプ支持です。
トランプ政権の中国攻撃は、民主党をたたくことにつながります。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(2020年4月22日)によると、バイデンの息子が中国との間に持つ利権をトランプ陣営は調査中です。同時に、民主党幹部の中に、中国に利権を持つ人物が複数浮上しています。
トランプ政権発足直後に、フリン大統領補佐官が辞任。その後、ロシア大使に接触したとして起訴されましたが、5月7日、司法省は起訴を取り下げました。
FBI(米連邦捜査局)がうそを強要したメモが見つかったとされ、トランプ大統領は「オバマゲート」と呼んでいます。トランプ政権にとって大勝利です。
5月12日、ワシントン連邦地裁は、起訴取り下げの承認を見送りました。今後、第三者の意見を参考に、事実関係を精査して結論を出す。2~3カ月かかるとみられていますが、トランプ側が有利な材料を手にしていることに変わりはないです。それに、もう8月です。今月にも結論が出されるかもしれません。
民主党指導部によるフリン起訴の仕掛けも、問題視されています。
2016年大統領選当時、ヒラリー・クリントン候補を勝たせるべく、国家権力を使ってトランプ陣営を妨害したとされます。しかし、トランプ当選で思惑は狂い、FBIを使ってフリン氏に罪を着せ、同時にトランプを陥れようとしたというのです。
司法省は「オバマ側がスパイ行為をしていた証拠を握っている」と発言。これも11月の大統領選の前に結論が出れば、トランプ側に有利になります。
バイデン氏(左)と息子 |
FBI(米連邦捜査局)がうそを強要したメモが見つかったとされ、トランプ大統領は「オバマゲート」と呼んでいます。トランプ政権にとって大勝利です。
5月12日、ワシントン連邦地裁は、起訴取り下げの承認を見送りました。今後、第三者の意見を参考に、事実関係を精査して結論を出す。2~3カ月かかるとみられていますが、トランプ側が有利な材料を手にしていることに変わりはないです。それに、もう8月です。今月にも結論が出されるかもしれません。
民主党指導部によるフリン起訴の仕掛けも、問題視されています。
2016年大統領選当時、ヒラリー・クリントン候補を勝たせるべく、国家権力を使ってトランプ陣営を妨害したとされます。しかし、トランプ当選で思惑は狂い、FBIを使ってフリン氏に罪を着せ、同時にトランプを陥れようとしたというのです。
司法省は「オバマ側がスパイ行為をしていた証拠を握っている」と発言。これも11月の大統領選の前に結論が出れば、トランプ側に有利になります。
オバマ氏 |
ただ、トランプ再選への大きな不安は、連邦最高裁に上がっているトランプの納税・銀行取引記録の開示問題です。
下院とニューヨーク市検察当局がトランプ取引銀行に開示を求め、大統領側は拒否しています。
下院とニューヨーク市検察当局がトランプ取引銀行に開示を求め、大統領側は拒否しています。
いずれも最終決着までには時間がかかる見通しで、11月の米大統領選の前にトランプ氏の財務記録が公になる可能性は低くなりました。
以上のようなことを考えると、大統領選挙でトランプが不利で、バイデンが有利とは言えないと思います。いまだ五分五分どころか、トランプに若干有利かもしれません。
しかし、選挙は、水ものですから、蓋を開けてみるまでは、何とも言えないところがあります。そのため、バイデンが大統領、ライスが副大統領となった最悪の場合も想定しておくべきです。
そうして、それ以前に、米国は抜きにして、日本としては中国にどう対処するのか、戦略を立てておくべきです。そうすれば、大統領がトランプになろうが、バイデンになろうが、進むべき道ははっきりするはずです。
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