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2020年8月22日土曜日

対中国機密包囲網『ファイブ・アイズ』に日本参戦へ! 自由と民主主義を守るための戦い…英も独仏より日本の参加を待望 ―【私の論評】他のメディアが教えない、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットを教えよう(゚д゚)!


「ファイブ・アイズ」入りに前向きな姿勢の河野防衛相

 中国による「香港国家安全維持法」施行をきっかけに、共産主義対民主主義の構図が鮮明になってきた。「自由の砦(とりで)」を守るために何が必要なのか。国際投資アナリストの大原浩氏は寄稿で、米英など5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」に日本も6番目の国として参加することだと主張する。


 香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏が、香港国家安全維持法違反の容疑で10日に逮捕された。しかし、日本のメディアやネットなどで強い批判が起こり、そのせいもあってか、翌日の深夜に釈放された。

 日本以外の国でも抗議の声は上がったが、われわれが「民主主義の敵」に対して、彼女と一緒に戦う姿勢を見せるだけでも十分な効果があった。15世紀のフランスでは、当時まだ10代だったとされる、オルレアンの少女ことジャンヌ・ダルクがフランス軍の兵士を鼓舞して勝利に導いた。

 周庭氏は香港における「共産主義と民主主義の戦い」の象徴的存在だが、ほかにも逮捕され大陸に送還された数千人以上とも言われる人々を含めた「自由の闘士」が頑張っている。彼らを支援し、日本にも迫る「民主主義の敵」と対峙(たいじ)するにはどうしたら良いのだろうか。

 一つの答えが「日本のファイブ・アイズへの加盟」である。ファイブ・アイズは1940年からナチス・ドイツの暗号「エニグマ」を解読するために米国陸海軍の暗号部と英国の政府暗号学校が協力したことが発端だ。46年にソ連の共産主義に対抗するための協定も結び、その後、カナダとオーストラリア、ニュージーランドが参加した。ファシズムや共産主義から民主主義を守る「自由の砦」なのだ。



 日本が一方的に参加したいというわけではなく、ファイブ・アイズの方からも、日本に「打診」が行われている。

 英国のトム・トゥゲンハート下院議員は、河野太郎防衛相が日本を含む「シックス・アイズ」を提案したことについて歓迎の意を示したと報道された。同国のトニー・ブレア元首相は産経新聞の電話インタビューに、自由主義諸国が連携して中国の脅威に対抗する必要があるとし、「ファイブ・アイズ」への日本の参加を「われわれは検討すべきだ」と述べている。

 実際、日本と英国には明治維新以来浅からぬ縁がある。明治維新の際には、英国が新政府を支持したし、第一次世界大戦を挟んで「日英同盟」も結んだ。不幸なことに第二次世界大戦ではドイツと組んだために英国を敵に回したが、この紳士の国は、過去のことをネチネチと掘り返して嫌がらせをする日本の近隣の国々とは全く違う。

 一方で、ファイブ・アイズの中心ともいえる米国だが、11月の大統領選でのドナルド・トランプ大統領の再選が微妙な情勢だ。歴史的に「反日」の民主党政権になれば日本にとっては大打撃である。万が一の時の保険としても英国との関係は極めて重要だ。

 2018年からは、日本、ドイツ、フランスが中国のサイバー活動を念頭に会合を開き、ファイブ・アイズとこの3国の連携で情報共有の新たな枠組みが作られている。日本加盟への道筋は既につけられているし、ドイツやフランスよりも日本の方が6番目の加盟国としてふさわしいと、少なくとも英国からは思われているのだ。このことは民主主義国家として誇っても良いと思う。

 日本、韓国、フランスが参加した枠組みが発足したとの報道もあったが、駐留米軍1万2000人削減を行ったトランプ氏と犬猿の仲であるアンゲラ・メルケル氏率いるドイツが入っていない。韓国については、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を安全保障とは関係のない政治交渉に使う国であるから、ファイブ・アイズ加盟国から信頼があるのではなく「中国と手を切るべし」という踏み絵だと考えるべきだろう。

 もっとも、正式にファイブ・アイズに加盟するためには、国内での機密保持がまず大事であるから、まともなスパイ防止法がなく「スパイ天国」と揶揄(やゆ)される現状を早急に改善しなければならない。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】他のメディアが教えない、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットを教えよう(゚д゚)!

ファイブアイズとは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの五ヶ国を言いこれらの国々が情報を共有している関係を言います。正式にはUKUSA協定といいます。2018年から日本、ドイツ、フランスがこの組織の会合に参加し、中共のサイバー攻撃を念頭に会議を重ねています。現在では韓国もこの会議に参加しています。

日本は今までもファイブアイズと連携を深めてきたが・・・・

現在の世界情勢、特に中共の危険な膨張を考えたとき、日本がこの組織に正式参加することはそれなりにメリットがあると思います。現実には上記の様にある意味すでに参加しているともいえるかもしれません。しかし、正式参加と今までの会合参加とどう違うのでしょうか。

様々な報道によれば河野大臣は参加に前向きだそうですが、現時点では正式参加の必要は無いとも言っているとのことです。ただし、これは正式な政府のコメントでは無いので、あくまでこのような事を言っているらしいというだけのことです。

ただ、現実問題として本当に日本が参加する可能性がどれほどあるのかと考えると、日本国内で得られる公開情報だけで考えると、かなり問題があるようにみえます。

日本側の問題としては、ブログ冒頭の記事のように、日本にはスパイ防止法が無いということがあります。少なくとも先進国と言われる国々で、諜報活動を禁止し、国家機密を探りあるいは第三国に渡した者はかなりの重罪を課せられます。しかし、日本にはそれに当たる法律がありません。

かつて自民党がこの法案を提出したことがありますが、成立には至りませんでした。主としてマスコミが報道の自由、表現の自由を盾にこの法案に対しキャンペーンを張って大反対し、国民がそれを受け入れた結果です。

しかし、どのような国家にも国家機密はあります。全ての国家の機密、特に他国との協定内容を全て公表しなければならないとすれば、まず他国が日本との協定を結ばないでしょうし、どのような約束もしないでしょうし、日本の提案など絶体に受け入れないでしょう。

さらに、特に国家防衛に関する面では軍事機密があって当然であり、それまで公表できるわけがありません。ところが、日本のマスコミはそれを国民の知る権利を侵していると言っているわけです。

この様な日本が他国との機密を前提とした協約を結べるわけがありません。日本はスパイ天国であり、多くの国家機密が支那やロシア北朝鮮に流れ出ています。ところが、その情報を持ちだした人間が仮に判明しても極論を言えばスパイ行為そのものを処罰できないのです。

ただし、スパイがスパイ行為をする過程において、国内法に違反した場合は、その範囲内で、最も重い刑罰を与えることはできますし、実際行われています。しかし、スパイ行為そのものは、明白であっても、それをもって刑罰を与えることはできないのです。

最近、米国では中共に米国の機密を渡した人間が逮捕され、かなりの長期刑を申し渡されたといいます。

米国は以前からかなり機密の保持に神経を使っていますが、それでもかつて原爆の製法をソ連に盗まれたりしています。これは、有名なローゼンバーグ事件ですが、これは当初、米国によるユダヤ人迫害(ローゼンバーグ夫妻はユダヤ人)だとかなり世論の反発を買ったといわれていましたが、実際に彼等がソ連に原爆の情報を渡していたことが証明されています。なお、夫妻は死刑になっています。

ピカソも冤罪だと信じたローゼンバーグ夫妻は本当にスパイだった

この様な事件は無数にあり、金で情報を売った者、ハニートラップにかかった者、最初からスパイとして代々米国に住み着いていた移民などが逮捕されいずれも重罪になっています。そうして、情報が中共に渡ったため、中共に潜伏していた米国情報員が多数処刑されているといわれています。

日本では、海外に派遣されている大使館員などがハニートラップに引っかかる例はかなりあるようで、たとえば2004年の上海総領事館員自殺事件等が知られています。これは、領事館員がハニートラップにかかり、情報を明かすように脅迫されて自殺した事件です。

現在でも、政治家などが突然親中派になったかのような事が度々起きていますが、ほとんどがハニートラップだと言われています。また、自衛隊幹部の妻が多く中国人だとの噂さえあります。無論公式発表ではありませんが、「自衛隊員妻に中国人600人」等で検索してみると、かなり引っかかります。

そのような状況で、日本がファイブアイズに正式に加入できるか、というより加入しても欧米が本来の自分たちと同じ立場に日本を置くかと言えばそれはかなり疑わしいです。というより、あり得ないと思えます。

1980年代から90年代初頭における、アメリカ合衆国連邦政府の度重なるダンピング提訴や、日本企業と米国企業との間の受注合戦や訴訟合戦において、米国の国益を守るために、三沢飛行場、ワシントン州、ニュージーランド、オーストラリア、香港(現在は撤去)のエシュロンをフル稼働させた可能性があり、それが日本の企業活動に大きな損害を与えたとされています。

その一方、施設を提供している見返りとして、日本政府の求めに応じて、エシュロンから得られた情報が提供されたと推定される例がいくつかあります。朝鮮民主主義人民共和国の金正男が成田空港で入国拒否された件がそれであり、事前に日本に対して通報があったとされています。

また、日本赤軍最高幹部であった重信房子が極秘裏に日本に帰国して潜伏しているという情報もエシュロンによって情報が得られ、日本政府に通報されたと噂されている。

上で述べたように、ファイブアイズは、日本にはスパイ防止法が無い現在の状態でなぜ日本に参加を呼びかけたのかは疑問です。しかし、その目的の一つには、日本が独自に集めた中共の情報を吸い上げるということが考えられます。

ファイブアイズ自体は、旧ソ連や現ロシアの情報に関しては、かなりの蓄積があると考えられますが、中共が脅威となったのは、最近のことで、これに対する蓄積は意外と少ないと考えられます。

ファイブアイズの国々において、中共が本格的に脅威として認識されたのは、米国でトランプ大統領が登場して以降と考えられます。

しかし、日本は良かれ悪しかれ、中国は隣国であり、たとえスパイ防止法がなくても、かなりの情報を戦前戦後から現在に至るまで蓄えていると考えらます。いや、それどころが、スパイ防止法がないことに中国などのスパイが安心して無警戒になり、常識では考えられないような情報をもたらしている可能性があります。

これは、良く警察が重大犯を、釈放して自由に行動させその過程で様々な情報を得るということに似ています。これらの情報の蓄積こそ、現在ファイブアイズが求めているものと考えられます。だからこそ、ファイブアイズは日本に期待していると考えられます。これ意外ににファイブアイズが日本に期待する理由はみあたりません。

日本の情報機関として有名なものに内閣官房の内部組織の内閣情報調査室(内調)があります。内調は主に情報の集約やオシント(公開されている情報を情報源とする情報収集活動)を行っています。オシントというと、「なーんだ」と思う人は、諜報活動に疎いです。実はスパイ活動のうち007のような派手な活動は、ほんの一部で、スパイ活動の大部分は一見地味に見えるこのオシントによるものです。CIAもかつてのソ連のKGBの活動も大部分は、オシントです。ヒューミント(人を介して行う超包活動)はごく一部です。

内閣情報官だった北村滋氏は。2019年9月より国家安全保障局長、内閣特別顧問となった

世界中の様々な情報をつなぎ合わせると、様々なことがわかってきます。たとえば、第二次世界大戦中に、新聞その他の公開情報から、たとえばドイツの高官がある町の結婚式に参加した等の情報を丹念につみあげていき、独ソ戦の開始日をあてた諜報員がいます。このように、内調は、戦前の情報を引き継ぎ、戦後から今にいたるまで様々な情報を蓄積しているのです。

日本には、内調その他の情報機関として、警察庁警備局(公安警察)、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、法務省公安調査庁、海上保安庁警備救難部などが挙げられます。

日本の情報機関において特徴的なのは、警察(公安警察)が人事面で優勢である点です。日本の情報機関における取りまとめ的な位置づけである内閣情報調査室には警察官僚やノンキャリアの警察官が数多く出向しており、トップの内閣情報官は創設時から警察官僚が代々務めています。また、外務省国際情報統括官組織、防衛省情報本部、公安調査庁、海上保安庁警備救難部にも警察官僚が出向しています。

ただし、日本では様々な組織に情報が分散して蓄積されたり、それぞれの組織が他の組織がはりあうなどのことをしているため、情報が一本化されていないという欠点がります。

現在、中共はファイブアイズの敵となりました。無論日本の敵ともなりました。利害が一致するところが大きくなりました。

日本に、スパイ防止法がないということは、スパイが摘発できないという欠点はありますが、それでもスパイを自由に泳がせて、その行動を把握しやすくするという、ファイブアイズの国々にはない利点を生み出しています。中共側が露呈してないと思っていることでも、日本側がすでに把握していることはかなりあると思います。

もし、日本がファイブアイズに加入した場合、ファイブアイズは日本の長期に渡る濃密な中共の情報を得ることができます。そうして日本としては、まずはファイブアイズ加入を契機として、日本国内の中共スパイ情報を統一する良い機会となります。

それと、ファイブアイズに加入するには、少なくとも日本はスパイ防止法とまでいかなくとも、最低限ファイブアイズから得られた情報を漏洩した人間を摘発するための法整備をしなくてはならないことでしょう。これには、多くの国民も賛同することでしょう。そうして、これが実質的に日本のスパイ防止法に発展していく可能性もあります。

さらに、今までは情報を収集して、国内法に違反した場合にのみスパイを摘発できたのですが、今度はファイブアイズの他の国々が、摘発して処罰できることになります。

たとえば、日本の情報組織がある政治家が、確実にスパイであるという情報をつかんだとします。いままでだと、その政治家がスパイ活動をするために、国内法に違反した場合だけ、摘発することができましたが、その情報をファイブアイズと共有しておき、当該政治家がファイブアイズのスパイ防止法等に違反した行為をしていれば、その政治家をファイブアイズの国々が摘発することもできます。

日本がファイブアイズに入った後に、それまで頻繁にファイブアイズの国々に入国した政治家が入国しなくなったとしたら、これはかなり怪しいということになります。それも、日本だけではなく、ファイブアイズのスパイ活動にも加担している可能性が高いです。

これは、双方にとって良いことです。日本としては、今まで蓄積してきた濃密なスパイ情報を一本化できるだけではなく、有効に使える道ができることになります。また、ファイブアイズはその情報を有効に使うことができます。

これこそが、日本がファイブアイズに入ることの本当のメリットなのです。

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2019年1月6日日曜日

本物のシビリアン・コントロール 「マティス氏退任」は米の民主主義が健全な証拠 ―【私の論評】トランプ大統領は正真正銘のリアリスト(゚д゚)!

本物のシビリアン・コントロール 「マティス氏退任」は米の民主主義が健全な証拠 


トランプ大統領とマティス氏

ジェームズ・マティス氏は昨年12月31日付で、ドナルド・トランプ政権の国防長官を退任した。マティス氏は退役海兵隊大将であり、米国統合戦力軍司令官、NATO(北大西洋条約機構)変革連合軍最高司令官、米国中央軍事司令官などの要職を歴任した人物だ。

 2017年1月20日のトランプ政権発足と同時に、第26代国防長官に就任した。本来は「シビリアン・コントロール(文民統制)」の観点から、元軍人は退役後7年経過しないと国防長官になれない。だが、上院が承認すれば就任できる。議決は「賛成98票、反対1票」だった。

 マティス氏は間違いなく米国のヒーローであり、世論やメディアの評価はいまなお高い。私自身、彼のキャラクターが大好きだし、尊敬している。

 だが、生粋の軍人であるマティス氏と、ビジネスマン出身のトランプ氏は、価値観に大きな食い違いがあったと感じる。

 トランプ氏がビジネスで成功を収めた要因の1つは、「合理主義の追求」である。人事面では、有能な人材を年齢や社歴と関係なく抜擢(ばってき)し、能力給と成功報酬を与える。逆に、無能と判断した人間は過去と関係なく解雇する。いわば人間関係も「損切り」するのだ。

 一方、マティス氏が人生を捧げた海兵隊では、戦場で傷付いた戦友を見捨てることは許されない。米軍でも、特に海兵隊は日本的な「義理人情」に厚いという印象がある。

 今回、シリアからの米軍完全撤退という決定を契機に、マティス氏は辞意を固めた。米軍が撤退すれば、IS(過激派組織・イスラム国)掃討作戦に全面協力したクルド人勢力は、再びアサド政権下で弾圧されるだろう。この厳しい「損切り」の責任者になることが、マティス氏にはとても許容できなかったのだと思う。

 私は、クリスマス前から年始まで米国で過ごしてきた。今回、信頼が厚くて人気の高いヒーローの退任に、多くの米国人が強いショックを受けたかといえば、実はそうでもない。トランプ支持者が愛想を尽かしたかといえば、それもなかった。

 なぜなら、米国民が選挙を通じて自ら選んだのはトランプ大統領だからだ。マティス氏は大統領が選んだ人物に過ぎない。

 大統領の方針に異議があり、説得したが失敗した。健全な民主主義国なら、方針に従うか、退任しか選択肢はない。それが本物の「シビリアン・コントロール」である。

 ちなみに、シリア国内にISの残党がいたら、すぐたたけるように、米軍はシリアからは撤退しても、イラクには残る。この文章の「シリア」が「韓国」に、「イラク」が「日本」になる日は、そう遠くないのかもしれない。

 ■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

【私の論評】トランプ大統領は正真正銘のリアリスト(゚д゚)!

冒頭の記事で、ケント・ギルバート氏は以下のように述べています。
トランプ氏がビジネスで成功を収めた要因の1つは、「合理主義の追求」である。人事面では、有能な人材を年齢や社歴と関係なく抜擢(ばってき)し、能力給と成功報酬を与える。逆に、無能と判断した人間は過去と関係なく解雇する。いわば人間関係も「損切り」するのだ。
トランプ大統領のイラク撤退の考えが合理的であることは以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
もう“カモ”ではない、トランプの世界観、再び鮮明に―【私の論評】中東での米国の負担を減らし、中国との対峙に専念するトランプ大統領の考えは、理にかなっている(゚д゚)!
昨年末電撃的イラク訪問をしたトランプ大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事からシリアから撤退することを決断したトランプ大統領の考え方が、合理的であると説明した部分を引用します。
この判断には、合理性があります。アサド政権の後ろにはロシアが控えていますが、そのロシアは経済的にはGDPは東京都より若干小さいくらいの規模で、軍事的には旧ソ連の技術や、核兵器を受け継いでいるので強いですが、国力から見れば米国の敵ではありません。

局所的な戦闘には勝つことはできるかもしれませんが、本格的な戦争となれば、どうあがいても、米国に勝つことはできません。シリアやトルコを含む中東の諸国も、軍事的にも、経済的にも米国の敵ではありません。

一方中国は、一人あたりのGDPは未だ低い水準で、先進国には及びませんが、人口が13億を超えており、国単位でGDPは日本を抜き世界第二位の規模になっています。ただし、専門家によっては、実際はドイツより低く世界第三位であるとするものもいます。

この真偽は別にして、現在のロシアよりは、はるかに経済規模が大きく、米国にとっては中国が敵対勢力のうち最大であることにはかわりありません。

トランプ政権をはじめ、米国議会も、中国がかつてのソ連のようにならないように、今のうちに叩いてしまおうという腹です。

であれば、トルコという新たな中東のプレイヤーにシリアをまかせ、トルコが弱くなれば、トルコに軍事援助をするということで、アサド政権を牽制し、中東での米国の負担を少しでも減らして、中国との対峙に専念するというトランプ大統領の考えは、理にかなっています。 
物事には優先順位があるのです、優先順位が一番高いことに集中し、それを解決してしまえば、いくつかの他の問題も自動的に解決してしまうことは、優れた企業経営者や管理者なら常識として知っていることです。
無論、このような論評の前提には、そもそもシリアにはアサド政権を含めて、クルド人勢力などの反政府勢力も元々反米的という前提があります。クルド人勢力が反政府勢力となったのは、一時的に米国と利害が一致していたに過ぎません。その証左として、米軍引き上げという 窮地に、トルコと敵対するアサド・シリア政権に庇護を求め、手を結んでいます。

結局、シリアには、アサド政権は無論のこと、クルド人勢力のような反政府勢力も反米的なのです。

だとすれば、いずれが勝利したとしても、米国の勝利にはならないのです。だから、米国の戦略家であるルトワック氏は、米国の対シリア政策は、アサド政権と反政府勢力を拮抗させておくべきというものでした。

であれは、新たな拮抗勢力として、トルコが名乗りをあげたのです。これからトルコがシリアを攻撃して、勝利を収めたとしても、米国としてはアサド政権よりははるかにましです。であれば、シリアから撤退すべきと考えるのが合理的です。

トランプ氏の考え方は、どこまでも合理的なのです。そうして、トランプ大統領はリアリストなのかもしれません。

日本で「リアリスト」というと、あえて大雑把にいえばいわゆる「現実派」というイメージになります。汚い仕事からも目をそらさず実行するという「実務派」という意味でとらえられがちです。

これは米国でも同じであり、時と場合によっては政治信条などを度外視して、生臭い権力闘争や、利権の力学で政治をおこなう実務派たちを「リアリスト」と呼ぶことがあります。例えば、チェイニー元副大統領などがその代表的な人物であり、血の通わない冷酷な人物である、とみられがちです。トランプ氏はそのような側面があることは否めないと思います。

しかし、「リアリスト」にはもう一つの意味があります。それは、「国際関係論」(International Relations)という学問の中の「リアリズム」という理論を信じる人々のことも意味します。

「リアリズム」というと、美術などの分野では「写実主義」のような意味になりますが、
国際政治を理論的に分析しようとする「国際関係論」という学問では、「国際関係を、主に『権力(パワー)』という要素にしぼって分析、予測する理論」です。

ハイパーリアリズムの絵画 もはや写真にしか見えない

つまり、「リアリズム」とは、「国際政治というのはすべて権力の力学による闘争なのだ!」と現実的(realistic)に考える理論です。よってリアリズム(現実主義)となるのです。

さて、この理論の中核にある「権力=パワー」というコンセプトがまずクセものです。「リアリズム」学派では、伝統的に、「権力=パワー」というのは、主に「軍事力」によって支えられると考えられています。

よって、彼らにとってみれば、国際政治を動かす「パワー(power)」というのは、
「軍事力による脅しや実際の行動(攻撃)によって、相手の国を自国の意思にしたがわせる能力」ということなのです。

究極的にいえば、「リアリズム」では、この「パワー」こそが国際社会を動かす唯一最大の要素なのです。ですから、ここに注目してさえいれば、概ね相手の動きは読めてしまう、ということなのです。

このような考え方は、平和信仰の強い日本人にしてみれば、「なんとえげつない理論だ」と思われるかもしれません。

ところが欧米の国際関係論の学界では、この「リアリズム」という概念が一番説得力のある強い理論だとされており、あえて刺激的な言い方をしますと、これを知らない、いや、知っていても認めないし、知ろうともしないアカく染まった日本の学者や知識人たちだけとも言える状況なのです。

国際関係学においては、「リアリズム(現実主義派)」と「リベラリズム(自由主義)」
がメジャーな存在ですが、その他にも、「マルクス主義」や、「コンストラクティビズム」などがあります。


リアリストたちが「国際社会はパワーの闘争によって動かされている!」と考えていることはすでに述べたとおりですが、その彼らにすれば、「平和」というのは単なる「闘争の合間の小休止」、もしくは「軍事バランスがとれていて、お互いに手出しできない状態」ということになります。

よって、軍事バランスがくずれれば、世界の国々はいつでも戦争を始める、というのが彼らの言い分なのです。

では、国際社会を「平和」に保つためにはどうしたらいいのか?彼ら「リアリスト」に言わせれば、そんなことは単純明快であり、「軍事バランスを保つこと」なのです。

より具体的に言えば、世界中のライバル国家たちに軍事力でバランスをとらせて、お互いに手出しさせないようにする、ということなのです。

そうして、現在トランプ政権は、軍事パランスを崩そうとする中国に対して、武力ではなく経済制裁を中心とした、冷戦Ⅱ(ペンス副大統領の言葉)を挑んでいます。

こうしてみると、トランプ氏は、正真正銘の「リアリスト」なのかもしれません。すくなくと「マティス流」の「義理人情」で動くのではなく、あくまでも合理的な判断で政治を行い、「国際関係を、主に『権力(パワー)』という要素にしぼって考えて行動しているのではないでしょうか。

そうなると、トランプ氏は、「リアリスト」と考えるのが妥当だと思います。

最近の韓国 レーダー照射問題においては、言い訳がコロコロ変わっています。これは、軍としては致命的です。 自衛隊記録動画に反証する動画を公表しましたが反証証拠を出せず、レーダー照射そのものは認めざるえなくなっています。

韓国の反証動画。サムネイルに「自衛隊機の低空飛行」を見せかける加工がなされている。

自衛隊はデータリンクを通じて、他国(特に米国)とも情報共有しているわけで、いくらでも証明できるでしょう。特に米国は、日本海で艦船を恒常的に航行させていますから、その一部始終をすでに分析していることでしょう。

韓国の今回の対応は、まさに最悪のクレーム対応の見本のようなものです。これをリアリストのトランプ氏が見れば、韓国の信用度はますます低下したに違いありません。慰安婦問題や、徴用工問題における韓国の妄想による捻じ曲げられた理屈など、トランプ氏には通用しません。

これは、冒頭の記事の最後で、ケント・ギルバート氏が"この文章の「シリア」が「韓国」に、「イラク」が「日本」になる日は、そう遠くないのかもしれない"と語ったように、米軍韓国撤退の日は近いかもしれません。

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2016年5月28日土曜日

【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」―【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」

金慶珠(キム・キョンジュ)東海大学教授 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
東京・有楽町のよみうりホールで19日、「南シナ海情勢フォーラム」(主催・産経新聞社 月刊「正論」)が開かれた。第1部は、軍事ジャーナリストの井上和彦氏の基調講演。第2部は、井上氏と、東海大学の山田吉彦教授、同大の金慶珠(キム・キョンジュ)教授、私の4人で、パネルディスカッションを行った。7月1日発売の月刊「正論」で詳報される。

金氏とは報道番組などで何度か共演したが、祖国を愛する韓国人なので、日本と韓国の主張が対立する場面では、原則として韓国側に立つ。日本側の立場で見れば、乱暴で腹が立つ主張も行う。結果、彼女は「反日」と思われているが、かなりの誤解がある。

金氏と私は、長期滞在の在日外国人であり、祖国の政治家や官僚以上に日本の歴史や国民感情に精通している共通点がある。当然、2人とも日本と祖国との良好な関係を常に願っている。

他方、金氏と私には決定的に違う点が1つある。私の祖国・米国は「言論の自由」を重視する国だが、韓国は違うという点である。

韓国人評論家の金完燮(キム・ワンソプ)氏は、日韓併合を肯定的に書いた『親日派のための弁明』(草思社)を出版したが、韓国では「青少年有害図書」に指定され、逮捕された。刑事・民事両方の名誉毀損(きそん)で何度も訴えられ、罰金刑や損害賠償の判決を受けた。韓国政府はパスポートの更新に応じないので、事実上の出国禁止状態にある。

済州(チェジュ)島出身で、日本に帰化した拓殖大学の呉善花(オソンファ)教授は2013年7月、韓国への入国を完全拒否された。

『韓国人による恥韓論』(扶桑社新書)など、韓国批判の一連の著作が累計40万部に及ぶシンシアリー氏は韓国在住の歯科医だそうだが、素性を明かせば平穏な生活は二度と戻らない。

これほど厳しい言論環境の下でも、前出の金慶珠氏は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判した。日本人は一定の敬意を払うべきだと思う。

自分と意見が違う人物を深く考察せず、全否定して排除しようとする傾向が、「自称・保守派」の一部に見られる。二元論的に「敵か味方か」と決め付けるのは、子供か全体主義者の思考回路である。民主主義の根本理念は「是々非々」なのだ。「昨日の敵は今日の友」になる場合もある。

少し考えてから行動しないと、安倍晋三政権の政策に、脊髄反射で反対する勢力と大差ない。

■ケント・ギルバート

【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

ケント・ギルバート氏の上の主張もっともだと思います。このブログでも、誰が正しい、誰が間違いなどという考えはすべきではなく、何が正しくて、何が間違いであるべきかを議論すべきことを何度か掲載しました。本当に、誰が正しくて、誰が間違いという議論の仕方ほど不毛で、危険なことはないと思います。

どんなに優秀な人だって、間違うこともあれば、どんなに愚かな人だって、正しいことを言っている場合もあります。

危険であるとは言い過ぎという人もいるかもしれませんが、考えてみてください、全体主義の国家では、トップが絶対に正しいということにするということを思い出すべきです。

パルチザンに射殺され逆さ吊りにされたムッソリーニらの遺体
かつてのソ連では、スターリンは何が何でも全部正しく、ナチス・ドイツではヒトラーが何が何でも正しく、現在の北朝鮮では、金正恩が何が何でも、全部正しいのです。

ムッソリーニは独裁者でしたが、敗戦後パルチザンにつかまり、裁判もなしで射殺され逆さ吊りにされました。パルチザンからすれば、ムッソリーニは悪いやつなので、殺すのは当然だったのかもしれません。しかし、本来ならば、ムッソリーニの行った何が悪かったのか、それを裁判などで明らかにすべきでした。「誰が悪い」という主張は極端になるとここまでいってしまうのです。

上の記事で、ケント・ギルバート氏が語っているように、誰の言っていることは間違い、誰の言っていることは正しいという論法を好んでする人は、全体主義に走りやすい性向を持つ人だと思います。

呉善花氏や、朴裕河氏はとりあげたことがあるのですが、金慶珠(キム・キョンジュ)氏に関しては、このブログでははじめてとりあげました。この方、時々テレビに出るのを見たことがあります。今月はじめ頃の「そこまで言って委員会NP」に出演されていました。

この番組でも司会の辛坊氏に指摘されていたのですが、とにかくよく喋る方です。番組内でそれを辛坊氏に指摘されると、金慶珠氏は「私は考えながら喋る」と語っていました。実際この方がテレビに出ている時には、かなり喋るので、焦点がぼやけてしまって、結局何が言いたかったのか記憶に残っていないというのが正直な感想です。

ただし、一つだけ記憶に残っていることがあります。それは、上の記事でも指摘されていたように、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判したことです。これには、正直驚きました。だからこそ、記憶に残っているのだと思います。



この一点をもっても、ケント・ギルバート氏は金慶珠氏を日本人は一定の敬意を払うべきとしています。これは、正しい指摘だと思います。私達日本人はテレビなどの日本語の流暢な外国人の発言を、彼らの背景をあまり考えずに、日本人などと同じレベルで考えてしまいます。

しかし、同じ外国人の発言であっても、米国やEU内等の人の発言であれば、日本人と同じく自由に発言できるのですが、韓国や中国、ましてや北朝鮮などともなれば、なかなか自由には話すことはできません。場合によっては、危険をおかしてまでも話していることを忘れるべきではありません。

それと、これは外国人ではないですが、私は常々このブログの中で旧民主党や現民進党を批判しますが、その民主党の中でも尊敬する議員がいらっしゃいます。それは、金子洋一先生です。先生がかねてから主張しておられる、経済政策は本当に正しいです。民進党の幹部も金子先生の主張する経済政策に耳を傾けるべきです。そのことについてはこのブログに以前も掲載したことがあります。

金子洋一参議院議員
さらに、私はマルクス主義経済学を信奉するものではありませんが、松尾匡・立命館大教授の左派の立場こそ本来、金融緩和を重視するべきだとの主張には大賛成です。これに関しては、朝日新聞でもその主張が掲載されているので、是非ごになってください。

立命館大経済学部の松尾匡教授
私は、どうして左派やリベラルの人たちが、上の二人の主張を無視するのか全く理解に苦しみます。これは、左派やリベラルの人たちの多くが、ケント・ギルバート氏がいうように是々非々でものごとを考えないからです。安倍総理の提唱する経済政策である金融政策には絶対にくみしないということです。

このようなことは、保守派にもみられることで、ケント・ギルバート氏は、以前にもブログ冒頭の記事と似たようなことを語っていたことがあります。それもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ニッポンの新常識】SEALDsだからおかしい、との主張に私は与しない―【私の論評】誰が正しい間違いという考え方は、そもそも大間違い!成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論せよ(゚д゚)!
ケント・ギルバート氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事でケント・ギルバート氏は以下の2つを主張していました。
「誰の主張か?」ではなく、「主張内容は合理的か?」を検証すべきだ。

学習や変化、進歩を拒むのは個人の自由だが、私はさび付いた常識に基づいて生きるつもりはない。
この主張も正しいです。特にこの2番目の主張は、「昔のケントはあんなことは言わなかった」と批判する人に向けてのものですが、これも正しいものと思います。世の中は変わっていきます。昔のままと何もかわらぬ主張をしていれば、一部の人は「ぶれない」などと評価するかもしれませんが、それでは何の進歩もありません。かといって、いつも革新・改革というのも考えものです。

だからこそ、保守的な考えが必要になってくるわけです。ケント・ギルバート氏は保守を自認していますが、まさしく、保守とは上の記事などでケント・ギルバート氏の主張していることを実践する人や考え方のことをいうのだと思います。

保守派というと、自民党が保守で野党は革新などという人もいますが、ご存知のように、このような分類は今や無意味になりました。さらに、人によっては、このような主張をする人が保守で、あのような主張をする人が革新やリベラルなどという人もいます。

しかし、このような考えは根本的に間違いだと思います。主義主張そのものは、保守であるかないかを明確に区分するものではありません。

それよりも、世の中の仕組みをどうするかというときに、「ステップを踏むなんてもどかしい」と「ウルトラCに賭ける」のが急進派、革命派であり、「ウルトラCなんかない」から「ステップを踏んでいくしかない」と考えるのが(反動ではない正しい意味での)保守派であり、中庸派であるということです。

コマネチ、オリンピックで10点満点。機械のように、
正確に技をこなすところはある意味怖いくらいだった。

そうして、民主主義の根本理念はケント・ギルバート氏が語るように「是々非々」であることを忘れるべきではないのです。世の中の仕組みを変えるときに、極端に走らず「是々非々」の民主主義というステップを踏む中庸主義が、保守主義と言えるでしょう。

そういうステップを踏まずに、「誰の主張か」で物事を判断して、事を進めようとする人はそもそも保守ではないのです。

それは、結局のところ真の保守ではないのです。世の中には、本当は保守はではないにもかかわらず、あたかも保守であるように振る舞う偽装保守などといわれる人々もいますし、そうではないまでも、主義主張がいわゆる保守派といわれる人々に似ているので、自分を保守とする自称保守という人もいます。

偽装保守、自称保守の見分け方は簡単です。一見保守のように振る舞いながらも、「誰の主張か」にもとづき物事を考え、変化や進歩に対応するのに、ステップを踏まずに一挙に「変革」を求めるようなことをする人です。特に、この変革に際しては、社会や現実をよく確かめもせずに「制度設計」等で性急に対応しようとします。

私たちは、このようなことにならないように、頭を使うべきです。そうでないと、「安倍死ね」と語る人々と大差がなくなってしまいます。

あるいは、単純な陰謀論者になってしまいます。SEALDsと日本会議が、日本を裏で動かす勢力であると考える陰謀脳の皆さんたちにはつきあいきれません。

このような考え方をする人たちは、結局多数の敵を作ることはできますが、味方を作ることはできません。

このような人たちは、断じて保守ではありません。真の保守とは、たとえ立場が違った人とも、一致できるところは一致し、妥協できるところは妥協し、敵よりも味方を多く作ろうとする人々のことです。それによって、順次世の中の仕組みを変えたり、良い方向に持っていこうとする人々のことです。

ソロモン王の裁き 半分のパンは役にたつが半分の赤ん坊は遺体に過ぎない
そうして、妥協と言った場合、無論半分の赤ん坊ではなく、半分のパンの妥協であるべきというソロモン王の裁きの故事を忘れるべきではありません。世の中には、妥協の仕方がわからず、いつまでも妥協できずに何も変えられないとか、半分のパンを得ることもかなわず、結局半分の赤ん坊を得てしまう事ばかりで失敗する人も多いですが、無論そのような妥協をする人も真の保守とはいえません。

妥協には正しい妥協というものがあります。というより、保守を自認する人は正しい妥協を厭いません。そもそも、民主主義とは妥協の連続です。何もかも、スパっと自分の思い通りにできるのは、全体主義のトップだけです。ただし、それも束の間の事にすぎません。

最後に、ケント・ギルバート氏は、ご自分のブログも公開されています。これは、日本語と英語で書かれています。ブログ冒頭の記事も英語と日本語で書かれています。これは、本当に英語の勉強になります。特に保守的な考えかたをされている人には、格好の英語の教材になると思います。以下にリンクを掲載しておきます。是非こちらもご覧になってください。
http://ameblo.jp/workingkent/
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2014年10月21日火曜日

【アゴラ】政治 なぜ日本の組織のトップは無能なのか? 大石 哲之―【私の論評】本当に必要なのは、政治システム改革だ、今のまま放置しておけば、これからも団扇問題は発生し続ける!今こそ、戦前から日本にあった民主主義を旨とする政治システム改革が必要だ(゚д゚)!

【アゴラ】政治 なぜ日本の組織のトップは無能なのか? 大石 哲之 

大石哲之氏

松島大臣がうちわ問題で辞任した。

しかし、ほんとうにこの手のくだらないスキャンダルで大臣がやめることが多すぎる。うちわなんてせいぜい十数円のものだとはおもうのだが、くだらない。

低レベルな打ち合いばかりだ。

この低レベルな打ち合いが続くとどうなるか。こういうレベルの打ち合いをすると、ほんとうにバタバタと倒れて、誰もいなくなってしまう。

ちょと目立ったことをしたり、標的になると、過去のちょっとしたスキャンダルを掘り起こされて失脚していく。

こうして、残るのは誰かというと、無能だが、まったくスキャンダルとは無縁で、無垢の白木のような人が残る。

バタバタと打ち合いをした結果、実力者が同士討ちして、最後にのこったのは無能でいままでなにもしてこなかったがゆえに何も経歴に傷がないひとだけがのこるというわけだ。

東條英機が首相に選ばれたのも、このパターンだといわれている。

日本の組織のトップがおしなべて無能なのもこれで説明できる。トップになる50代の半ばくらいまでに、おおきなミスをせず守りをかためてきたひとがトップになる。有能かどうかは関係ない。ミスをして脱落したひとのなかで、ミスをせず生き残ればいいので、有能か無能かはかんけいなく、ミスをしたかしなかったかが問われる。

そういうトップなので、当然トップになっても大きなミスをするようなことはしない。経歴に木津がつかないように、前例を踏襲し、無難に任期を終えて引退する。そしてその後釜も、そういう無難に残った人が着く。これが無限ループで繰り返される。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】本当に必要なのは、政治システム改革だ、今のまま放置しておけば、これからも団扇問題は発生し続ける!今こそ、戦前から日本にあった民主主義を旨とする政治システム改革が必要だ(゚д゚)!

今回の二人の閣僚の辞任は、多くの国民の話題になったと思います。小渕さんの、辞任は、脇の甘さあって、いたしかたないという部分もありますが、松島大臣の辞任劇については、大石氏のような感想を持った人も多いのではないかと思います。

大石氏の略歴と、書籍については、以下のリンクをご覧になって下さい。


この団扇に関しては、松島大臣の他にも配布していた人はたくさんいます。

これは、ツイッターなどのSNSを閲覧しているとすぐに目につきます。以下に目についたものの写真を掲載します。



選挙のときに蓮舫陣営は、Tシャツ のぼり 団扇を配った

インターネットのオークションでは、蓮舫団扇が高値で取引

特に、上の写真のうち、蓮舫のものは完璧に松島法相のものよりも、もっと大掛かりで、組織的に配布されていたことをうかがわせます。

蓮舫は、このことは重々承知で、国会で松島法相を団扇で追求したのだと思います。なにしろ、蓮舫は今は、閣僚でも何でもないので、たとえ追求を受けたとしても、軽傷ですみます。松島大臣の場合そうはいきません。

小渕大臣の辞任も同じことです。政治資金に関しては、菅元総理をはじめとして、民主党でも問題のある人は大勢います。また今は民主党をやめた、小沢氏や、鳩山氏にも問題はありました。しかし、現状では閣僚になっている人は皆無であり、たとえ追求されたとしても、軽傷で済むし、政治資金に関する疑いが生じた時点で、いろいろと証拠隠しに奔走したため、今ではなかなか追求できない状況になっていると思われます。


民主党としては、「肉を切らせて骨を断つ」ということで、このようなことを実施させたのでしょうが、それにしても、これは民主党にとっても、上の記事の大石氏のような感想を持つ国民多数存在することから、マイナス・イメージもかなり大きくなったものと思います。

これでは、民主党は万年野党の道を歩むことは必定です。こういうネガティブキャンペーンは、ここぞというときに、とっておくべきものであり、今の状況で使うようなものではないと思います。

しかし、場合によっては、自分にブーメランとして帰ってくるかもしれない、この禁じ手を使わざるを得ない程の民主党の危機状況というのもあるのだと思います。今のままの民主党だと、万年野党の道を突き進むのは必定であり、いずれは社民党のような存在になってしまうことでしょう。

とにかく、今の民主党、国民生活に資する重要なことはそっちのけで、とにかく存在感を増すために、このような挙動に出ているだけです。

これでは、先日もこのブログで、掲載したように、現状の日本の左翼と同じような道を歩むしかありません。その記事のURLを以下に掲載します。
安倍総理が賃金に口を出す「本当の理由」―【私の論評】現在日本で主流の左翼は本当の意味での左翼ではない。もうその社会的使命はすでに終わっている!左翼から転向した人々は新しい視座を持て(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から、民主党に関わる部分をピックアプして、コピペさせていただきます。
民主党は、政権交代のときに二大政党制を目論んでいたようですが、二大政党制はまず日本のような政治風土ではできません。なぜなら、左翼の自覚があまりにも足りなすぎるからです。
残念ながら、今のままでは、日本ではどの政党も万年野党です。民主党が駄目だからといって、社民党や共産党ではなおさら駄目で、私達は自民党が万年与党になることを認めざるをえない状況にあります。
現状では残念ながら、自分たちの理念や理想を旨とする左翼ではなく、保守や、その時々の政権与党に対する反逆としての思想しか持ちあわせない左翼が主流となっています。理念・理想を持たず、時々の政府に対する反骨精神しかない左翼に、魅力など誰も感じません。
反骨精神というと聴こえが良いですが、これなど、今やただの頑固者と言い換えても差し支えない侮蔑の言葉です。なぜなら、社会は変化していくのがあたり前であり、ただ反対しているだけでは、変わっていく社会に対応できないからです。社会に対応していくためには、どんな組織であれ、自ら変貌を遂げなくてはなりません。
そうして今日本で主流となっている、左翼は時々の与党に対して反対勢力として存在しているどころか、自虐的歴史観の発信源ともなっています。その時々の政権与党などに反対するだけではなく、日本そのものを完全否定、破壊するのが正しいと考える、EUなどの左翼では考えられないような考え方で運営されています。

現在の日本の左翼の主流は反骨精神のみで創造性は失われた
本来「左翼は革新、革新は革新を呼ぶ」という理念の下に運営されるべきものであったはずです。しかしも、左翼の自覚があまりにも足りなすぎるため、左翼=革新、右翼=保守という考え方はなりたたなくなってしまいました。今の左翼の頭中身は、まるで化石のようです。 
本来的には、左翼は新しい左翼を常に追及し、国政の内部システムを監査するという役目もあったはずです。 
本来まともな、左翼政党の存在価値は、考え方は右翼や、保守などとは異なっていたにしても、現代主権国家における国益重視にあるべきなのです。 
その本来の姿を忘れた左翼は、日本の国益に敵対する特ア3国(中国・韓国・北朝鮮)の擁護者になってみたり、朝日新聞をはじめとする日本の大手マスコミなどもそれを擁護し、ともに自虐史観を流布したりするという愚劣な行動を繰り返しています。 
単なる反逆者としての左翼は、本来の左翼としての自覚もなく、誇りも捨て去ったものと見えます。
民主党には、左翼系の人も多いですし、そういう人々が高い地位を占めています。この人達が、現代日本の主流となっている左翼と同じ考えを持っています。だから、反骨精神だけで、創造性がまるでありません。

だからこそ、このような団扇騒ぎで、存在感をアピールするしか仕方ないのかもしません。

それに、この問題は、さらに日本の政治システムの稚拙さが追い打ちをかけています。というより、こちらの問題のほうが、より根本的なものかもしれません。

アメリカでは財務長官就任の際の身体検査は、想像を絶するくらい厳しく、なりたがる人が少なく第一次オバマ政権のときは、半年以上もこのポストが空いたままになっていたと、記憶しています。こういう厳しい身体検査を通り抜けた、財務長官は真っ白木といっても良いほど、チリもホコリもでない人に違いありません。

それでも、日本の歴代の財務大臣よりは有能だと思います。無論、歴代の財務長官の中には、無能のそしりを受けた人もいますが、少なくとも、誰も、デフレの真っ最中に増税しろなどと発言する人はいません。

だから、スキャンダルの有無と、有能さとの間には、特に相関関係や因果関係などないと思います。

ただし、団扇の件については、本当にくだらなさすぎると思います。日本政府のトツプが無能に見えるのは、政治システムの稚拙さに起因していると思います。このような政治システムの中に組み入れられたら、誰もが無能になってしまいます。

これは、政府などに民間の人を導入しても、半年もたてば、既存の政治家と同じようになってしまうことからもうかがい知ることができます。

もう、日本の政治システムは、制度疲労を起こしているのだと思います。抜本的な改革が必要ですが、その前にできることから改革していくべきと思います。まずは、憲政の常道などを復活するなどのことから始めたらいかがでしょうか。

ちなみに、憲政の常道については、倉山満氏が憲政史家という専門家なので、この方の説明を以下に掲載しておきます。

憲政史家 倉山満氏
おさらいー「憲政の常道」とは
「憲政の常道」とは、以下の三つの要素から成立します。 
一、衆議院第一党の総裁が総理大臣になること。 
二、政権交代の前か後には総選挙があり、国民が選択する機会が与えられること。 
三、慣例として認められること。 
 学術的に定義すると、「二大政党による議院内閣制という憲法習律」となります。どうです、難しいでしょう?これ、言うは難しく、やるのはさらに難しいのです。詳しく説明すると、それこそ1000頁ではきかないので要点のみを。(笑) 
 この三つの原則から派生して、色々と難しい話が出るのです。 
 一からは、「病気でもない総裁を次々と変えてはいけない」「総理大臣より強い与党実力者がいてはならない。なぜならばその人は権力をふるうだけで責任をとらないから」「第一党がこぞって他の党の党首に投票してはいけない」「総裁でない人を総理大臣にしようなどという陰謀は許さない」とか。 
 ニからは、「自党の都合で総裁総理を変えたのならば総選挙で国民に信を問わなければならない」「総選挙ができないのなら簡単に総理を変えてはいけない」「政権担当能力をなくして総辞職するなら、第二党に政権を譲らなくてはならない」とか。 
 三からは、「法律の条文に書いてあるかないかだけを言い訳にしてはならない」「結果としても手続としても政治家は民主制を守り国民を納得させなければならない」「政治家には守らねばならない規範がある」とか、ですね。 
 三から派生する話に至っては、「政治家にそんなことできるの?」と疑問に思うかもしれません。でもそれは天に唾する行為です。その政治家を選んでいるのは国民なのですから。「民主主義」などを建前にした以上、政治家どころか官僚のやった失敗まで「主権者である国民の皆様の決めたことですから」と言い逃れされてしまいますから。 
 もうひとつ大事なことを。英国人はそれができているのです。彼らは数百年かけて(色々計算はありますが、私の計算では早めに見積もって約二百年、遅くて七百年)、それを自らの手で勝ち取ったのです。同様に、大日本帝国も、約六十年でそれを自らの手で勝ち取ったのです。しかも本家の英国よりも早く、彼らに負けないだけの立派なものを。 
 どうせ何もできない、何をやっても無駄、勝つ奴と負ける奴は最初から決まっている。そんな子供じみた戯言をしたり顔で吹聴する輩は多い。そういうことを言う人こそ子供である。 
 今の日本、駄目なのは子供だってわかっているのである。それを言う言説に何の価値があるのか。 
 今の日本、真の大人は、こうすればよくなる!を具体的に提示できる人だと思います。私の仕事は、その為の材料を提供することです。大学の授業のように一方的な受身ではなく、皆様の参加をお待ちしています。
今回の、民主党の団扇さわぎは、倉山氏上の文章にもでている、子供のようです。それは、程度の差あれ、自民党や他の党も同じようなところがあります。そうして、なぜ子供じみたようなことになるといえば、先に述べたように、「へたれ左翼」のせいもありますが、日本の政治システムが制度疲労を起こしていることもあります。

戦前は無論のこと、戦中でさえ最初の頃は、日本の独自の民主主義がまさに花ひらかんとしていました。しかし、今の政治システムでは、せっかくのこの素晴らしい日本の民主主義に基づく、政治システムが継承されず、発展もしてきませんでした。

この伝統は、戦後少しの間はまだ保たれていました、あの三木武夫氏ですら、憲政の常道は意識していしまた。

これも、倉山満氏がブログに掲載していますので、そこから引用して以下にまとめます。

三木武夫とマッカーサー
昭和二十三年九月。片山社会党に続き、芦田民主党の連立内閣は崩壊寸前でした。しかし、マッカーサーと側近のケージス大佐は反対党の吉田茂に政権を渡したくない。そこで、三党連立の残る一党である国民協同党党首の三木武夫を呼び出し、政権を担当するよう命令しました。 
マッカーサーは二度に渡り三木を呼び出しましたが総理の座を蹴り、その後26年間も少数派の悲哀を味わうことになります。ここで重要なのは、三木の台詞です。 
アメリカにデモクラシーがあるなら、日本には憲政の常道がある! 
我が国では国民の意思を無視して最高権力者を選ぶことは許されない。権力者が交代するならば、総選挙で国民に審判をあおがねばならない。それが戦前日本人がたどりついた日本流民主制です。 
後年の三木武夫は、倉山氏も、防衛費1%枠から、靖国神社まで、三木武夫の恐怖政治が自民党を壊したと、酷評しているように決して良い政治家とはいえなかっのですが、この当時の三木武夫をはじめとする、日本の政治家には、憲政の常道という考え方が根付いていたのです。

今こそ、日本独自の民主主義を再興させ、それを政治システムに取り込み、維持発展していく時だと思います。そうでないと、いつまでも団扇騒ぎのような馬鹿騒ぎが日本の政治を駄目にしていきます。

ちなみに、倉山満氏はFacebookにおいて、以下のようなコメントをしています。


確かに、首相は、最近増税に関する慎重宣言をしました。それは、このブログでも昨日掲載したばかりです。
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!

この記事では、安倍総理がイギリスのフィナンシャル・タイムズへのインタビューで、消費税増税の延期を示唆したことを掲載しました。

この記事の結論は、表題どおりですが、記事の最後は以下にように締めくくりました。
総理は、今後アメリカの新聞や、政府に対して働きかけをし、日本の増税は、世界経済に悪影響を及ぼすということで、反対の世界的世論を盛り上げてもらうようになるかしれません。 
しかし、そんなことで良いのでしょうか。省益を再優先に追求する財務省は、そんなことは、おかまいなしに、増税に突き進み自殺者を増やし「殺人マシーン」と化してしまうのでしょうか。 
本来は、このような問題は日本の国内で解決すべき問題と思います。外圧によって、増税が延期されるようにでもなったら、本当に情けないことだと思います。 
日本のことは、日本でまともに、常識的にできるようになるべきと思います。この記事では、財務省ばかりに非があるような書き方をしていますが、私はこのようなことになるのは、多くの政治家にも問題があると思います。 
財務省が出鱈目を言ってきたら、その場で論破してやれば、財務官僚も、赤っ恥をかき、ブライドの高い彼らは、二度とそのようなことはしなくなると思います。そうして、これは何もそんなに難しいことではないと思います。マクロ経済を大括りで知っていれば良いだけです。経済の専門家のように、細かいことまで知る必要はないし、何も細かい計算や、シミレーションができなくても、おかしなことは指摘できるはずです。そのくらいのことは、勉強して欲しいです。
倉山満氏のコメントの真偽は、わかりませんが、日本の政治システムがこれだけ、制度疲労を起こしている現状では、官僚などが、容易に政治に口をはさみ、干渉しやすく、裏工作で団扇問題等でで閣僚が辞任しなければならなくなるような状況をやすやすと招いていることは事実だと思います。

財務省の官僚からすれば、今の政治システムは、非常に介入しやすい、穴だらけのシステムであり、少し頭を使えば、自分に有利に事を運ぶことなど簡単だと思います。

今のまま、日本の政治システムをそのまま放置しておけば、様々な勢力から、簡単に日本の政治に干渉できる余地が残されてしまいます。そうして、団扇問題はこれからも発生し続けます。彼らは、いつまでも政治システムを改革しない政治家らを「心の底から愚鈍な馬鹿」と思っているに違いありません。

憲政の常道が息づいていた時代には、マッカーサーですら、三木武夫を自分の意のままに動かすことはできませんでした。これが、本来の日本の民主主義であり、その民主主義に基づいた政治システムが息づいていたということです。

しかし、今では、これもすっかり破壊されたようで、多くの政治家が制度疲労をおこした政治システムに翻弄されています。確かに、政治家の不勉強という側面も否めませんが、いかに、有能な人が政界に入ったとしても、政治システムがまともで無い限り、団扇問題と似たようなことはいつまでも繰り返されます。このままでは、いつまでたっても、モグラたたきのような状況になります。

経営学の大家である、ドラッカー氏は、頻繁に同じような問題が発生する場合は、それは最早人の問題ではなく、システムの問題であり、システムを変更する必要があると語っています。

まさに、日本の政治システムもそうなのです。

日本の政治システムの変更は、日本のデフレからの脱却と並ぶ、現在の日本の最優先課題だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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