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2020年7月19日日曜日

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策— 【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

トランプ:「経済全体と生活様式そのもの」を脅かすバイデン6つの方策

<引用元:ワシントン・エグザミナー 2020.7.17>ワシントン・シークレット論説

マスクをしたトランプ大統領

2016年にドナルド・トランプが突然の称賛を受けたせりふは、新規制を1つ提案するごとにオバマ時代の規制を2つ廃止するという約束だった。

現在、1つの新規制ごとにコストのかかる7つ以上の規制を撤廃することでその約束の3倍を遂行した後、トランプ大統領は撤廃した規制をジョー・バイデン政権が復活させ―さらに増やしさえするだろうと、2020年大統領選に向けて警告している。

「我々の経済全体と生活様式そのものが、今までに見たこともないような切れ味の悪い連邦政府規制の手段によって、国を転換して地域社会を従属させるというバイデンの計画に脅かされている」とトランプは16日、規制撤廃の先触れをするためのホワイトハウスのイベントで語った。

「彼らは過去に課したものを何倍にもしたいと考えている」とトランプは続けた。

一方民主党の大統領対抗候補者のバイデンは、自身の計画で米国人の安全が高まり、雇用が増加すると主張している。

政権当局は本紙に、規制撤廃の取り組みによって政府と世帯のコスト削減が実現してきたと述べた。歳出では2千億ドルが削減され、家庭では年間3,100ドルの節約となったと彼らは述べた。また、処方薬の費用は10パーセント削減され、自動車の潜在的コストは2,000ドル削減されたと付け加えた。

イベントでトランプは、バイデンの下ではそれが消え、(コストが)増えてしまうだろうと述べた。「彼らは私がここに来る前のように、ワシントンの官僚主義という息の詰まるような、容赦ない土砂の下に経済を埋めたいと思っている」とトランプは語り、民主党が提案した6つの変化の例を示した。


  1. パリ気候協定の復活。「彼らは雇用を損なう、不公正なパリ協定に再加入することを提案しているが、そのために国に何兆ドルもの費用が課せられ、世界に比べて競争力がとても、とても悪化することになる」とトランプは語った。
  2. ゼロエミッション建築の義務付け。「私はたくさんの家、たくさんのビルを建設する者だ。これを見たら、良さそうに見えない。まだ売る必要があるでしょう?まだ売る必要がある。だが彼らは手の届かないようにしてしまう。コストの観点から。現実的でないし、良くないし、うまく行かない」とトランプは語った。
  3. エネルギーでの二酸化炭素排出の廃止。「この連邦政府停止命令の結果、エネルギー産業全体と他の多くの産業が大規模に破滅し、地域社会全体の経済的な機能停止状態となり、我々の何百万もの最高の雇用を外国と外国の汚染者に自由にオフショアリングすることになる」とトランプは警告した。
  4. グリーンニューディール。「あれは何と狂っていることだろうか?だが彼らは実際にそれを実行しようとしている。この国の終わりを意味することになるだろう」とトランプは語った。
  5. 郊外住宅規則の書き換え。「D.C.の民主党ははるかに高いレベルで、ワシントンの極左官僚に地域の都市計画の決定を任せることで、我々の美しく成功した郊外を破壊してきたし、そうしたいと望んでいる。彼らは単一家族の都市計画を撤廃し、すでに建てられている家と地域社会の価値を破壊しようと実に堅く決心している」とトランプは語った。
  6. 警察活動の規則変更。「バイデン・バーニー計画では、連邦政府規制という武器を使用して、現金の保釈金を廃止することで警察署の自由も奪うつもりだ―考えてみて欲しい。考えてみて欲しい:保釈金のことだ。『問題ない。誰かを殺したって?釈放しろ』という話だ」とトランプは語った。


トランプは選挙運動をテーマにした掛け声でこう締めくくった。

「社会主義者と違い、我々が正当性を信じるのは人々のルールであって、自分たちのやっていることが分かっていない非選出の官僚のルールではない。我々が正当性を信じるのは個人の尊厳であって、国の強い支配力ではない。我々の規制改革は経済の発展だけでなく、民主主義の力と自由そのものの存続のために不可欠だ」

【私の論評】バイデン圧倒的有利とは米国メディアが作り出した幻想! 実態は五分五分と認識すべき!(◎_◎;)

バイデン氏に関しては、上にトランプ氏が示したことのほかに、2つほど残念なことがあります。この2点において、私はトランプ大統領の再選は、日米のメディアで言われているように、バイデンが圧倒的に有利ということはなく、現時点では互角であると思われます。

バイデン氏の残念なところの第一は、増税を表明したことです。というより、民主党の大統領候補者は、全員が増税を掲げていたのですが、バイデン氏は最近さらに踏み込んだ増税に言及しました。



バイデン前副大統領は9日、新型コロナウイルス危機に見舞われた米製造業の復活に向け、4年間で総額7000億ドル(約75兆円)の公共投資計画を発表しました。投資額は「第2次世界大戦以来で最大規模」と強調。財源確保のため将来の増税に言及し、減税を掲げるトランプ大統領との違いを鮮明にしました。

具体的には、再生可能エネルギーやインフラ整備に絡む米国製品購入に4000億ドル、次世代技術の研究開発に3000億ドルを投じます。公共投資に大きな比重を置き、減税や規制緩和を通じた民間企業支援に注力するトランプ氏との差別化を図りました。世論調査では、経済に限ってはトランプ氏がほぼリードしており、てこ入れを狙った形です。

一方、公共投資には財源問題も付きまといます。バイデン氏は「トランプ減税」を撤廃して連邦法人税率を現行の21%から前政権時代の28%に戻すと改めて主張しました。これまでに富裕層課税や所得税増税も取り沙汰され、金融市場では「バイデン氏勝利」への警戒感がくすぶっています。

バイデン氏はこの日、民主党の急進左派が提唱する高齢者向けの医療保険改革や環境規制には一切触れませんでした。「反ビジネス」色の強い政策を打ち出せば、「トランプ氏の離反票や無党派層を取り込めない」(バイデン陣営関係者)と判断したからです。2016年の前回大統領選では、党内対立が敗因の一つに挙げられており、政策の擦り合わせが大きな課題になりそうです。

この増税発言は致命的だったと思います。この発言さえなければ、先ほど述べたように、バイデン氏とトランプ氏は互角などとはとても言えなかったと思います。

コロナ禍で相当ダメージを受けている米国経済ですが、こうした大規模な災害の直後には米国等欧米においては、積極財政と無制限の金融緩和をすることが定番になっています。

日本では、これが定番となっておらず、東日本大震災の後に復興税を導入し、その後も日本経済が、デフレから完全に脱却していないにも関わらず、2014年と2019年の二回にわたって消費税の増税をしました。

日銀は、安倍内閣が成立時より、金融緩和に転じていましたが、数年前からは、物価目標をいまだに達成していないにも関わらず、イールドカーブ・コントロールを実施し、緩和は実行しているものの、抑制的な緩和に転じていました。

日銀は先月15-16日の金融政策決定会合で現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和の継続を賛成多数で決めました。ただ、このブログでも述べたように、10万円の所得制限なしの給付金の実施をめぐって、日銀と政府自民党との連合軍ができたようで、今後どのような展開を見せるか注目です。

いずれにせよ、日本では積極財政と無制限の金融緩和を同時に進行するということが、定番になっていないことは確かです。なぜ金融緩和を同時に行わなければならないかと言えば、ざっくりといえば、災害時の復興では、お金への需要が高まるのは当然のことで、これを放置しておけば、結果として円高となり、復興から立ち直ろうとしている経済に悪影響を与えるからです。

米国では、定番となっている、経済政策である積極財政すべきという王道の政策を、バイデン氏は増税すると発表することで、この政策を真っ向から否定してしまったのですから、金融業界や産業団体、それに国民から不興を買うのは当然のことです。

さて、第二は、バイデン氏の「アルツハイマー症疑惑です」。平たくいうと、バイデン氏のボケ問題です。これは私自身も、バイデン私の演説をテレビで視聴したときに、危惧の念を抱きました。

米国人口は、約3億人ですが、バイデン氏はこの事実を認識していれば、間違えるはずのない、統計数値を、演説の中で二度、三度と間違えていました。明らかに桁を間違えていたです。


3月2日テキサス州で開かれた集会でもバイデン前副大統領は「スーパー・チューズデー(火曜日)」を「スーパー・サースデー(木曜日)」と言いかけたり、演説の決定的な部分で引用するはずだった米国の独立宣言の有名な一節「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造者によって、生命、自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている・・・」を思い出せませんでした。

「すべての男性も女性も生まれながらにして・・・・ほらあれだよ。分かるだろう」

ボケは、かつては日本では「老人性痴呆症」と呼ばれました。痴呆では差別的だ、という批判が起こり、その後「認知症」に言い換えられたのですが、正確には「認知困難症」ではないでしょうか。「認知症」というのは意味不明だと思うのは、と思うのは私だけでしょうか。

米国の大統領選挙では、かねてからトランプの劣勢が伝えられていますが、このブログでも何度か説明させて頂いた通り、メディアのほとんどは、民主党に押さえられていますから、共和党に有利な情報は報道しません。

そのため、いわゆる情弱の人たちの間では「バイデンが必ず勝つ」と思い込んでいるようです。しかし、白人富裕層は本音を押し隠しているようです。前回の大統領選挙では、ヒラリー有利で、絶対勝つとメディアが煽っていましたが、蓋を開けたらトランプの勝利に終わったではありませんか。

米国の白人の多くは、今でもトランプに心酔しています。やっと白人層の意見を代弁してくれる大統領が戻ってきた、と。また、白人に有利ということだけではなく、トランプ氏が大統領に就任してから、黒人の失業率がかなり改善されました。

現在トランプが経済政策上批判を受けているのは、もっぱら彼に落ち度のない武漢ウイルスのせいによるものです。無論、感染後の不手際もあるのでしょうが、私は米国の黒人養護デモで集まった多数の人々の様子を見て絶句しました。

感染の最中にあれほどの人が集まるのですから、感染が爆発的に広がるのは当然といえば、当然です。最近は、共和党側の人が「マスクをつけない権利」を主張しているのが、テレビで報道していますが、どの組織にも変わり者はいるもので、私自身はあれは、トランプ氏に対するネガティブキャンペーンの一環だと思います。

感染拡大がトランプ政権だけの責任であるとはとても思えません。日本では、感染症に関する識者とされる人が、米国にはCDC(アメリカ疾病予防管理センター)という、感染症の専門組織があるので、感染症に強いなどと、なぜか得意げに解説していましたが、CDCは一体何をしていたのでしょうか。

このような状況では、仮にヒラリー政権であったとしても、同じような結果になっていたのではないでしょうか。

バイデン氏は、77歳です。バイデン氏は、民主党の候補者の中でも、一番穏健な左派であり、かつては副大統領を務めた経験から大統領選挙の候補者として指名を受けたのですが、彼がどうやら認知症を患い、とんちんかんなコメントを連発しているのは米国で広く知られています。

トランプ氏は、年齢は74歳であり、バイデン氏と比較して、格段に若いというわけではありません。どちらが勝っても大統領選出最高齢の新記録となります。これまでの記録はトランプ現大統領が4年前に当選した時の70歳でした。驚くべきことに、トランプ氏もバイデン氏も直近3人の元大統領(オバマ、G・W・ブッシュ、クリントン)の現在の年齢よりも年上です。

そのため、トランプ氏にも、「認知症」疑惑はありました。しかし、これは先にも述べたように、ほとんどのメディアが民主党指示であることを考えると、誇張されている点は否めません。

私自身は、「認知症」といえるほどの間違いを連発してしているとは思えません。それに、これは長年職業政治家として過ごしてきたのではなく、実業家として過ごしたきたゆえの、知識不足に由来するものだったと思います。

しかし、現在は武漢ウイルスがバイデンには幸いし、大統領選挙集会を大きく開催できない事態がバイデン氏のボロを広めずに済ませているようです。民主党によって入場は厳しくコントロールされ、純粋な党員でなければ入場を許されないのだそうです。バイデン氏がボケ発言を繰り広げても、SNSなどに上げないよう指示されているに違いないと思います。

先日バイデンの副大統領候補に、黒人女性を指名するのでは、と言った記事が出ていましたが、おそらくバイデンは認知症なのですから、誰であろうと自分で指名する事はできないと思います。おそらく、副大統領指名を含め全部スタッフが実施するのでしょう。バイデンはただの民主党の操り人形状態にあるのでしょう。

ボルトン前補佐官や、トランプの実の姪までもが、かつての上司や実のおじの暴露本を出しています。それも、トランプ氏が大統領選挙戦の真っ最中にです。これは、人としてどうなのかと思います。しかし、そういった本を、莫大な札束と交換に書かせているのも、また民主党なのかもしれません。たとえ、それが真実でないにしても、多くの人はそう解釈する可能性が高いです。

ボルトン暴露本の表紙 アベマニュースより

これが民主党内のことなら「77歳だし、物忘れもするよね」で済むかもしれないですが、トランプ大統領との討論では徹底的に叩かれることは間違いないでしょう。

そのようなことを考えると、現時点でバイデン氏が圧倒的有利であるとの、米国の報道や、それを真に受けて報道している日本のメディアなど信用できません。

バイデン圧倒的に有利とは、米国メディアが作り出した幻想に過ぎないと思います。実態は、五分五分で、いまだどちらになるかなど、判定できない状態だと思います。今後の推移を見極めていくべきものと思います。

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2017年2月1日水曜日

「日本は円安誘導」=トランプ氏、為替政策批判-日銀緩和も不満?―【私の論評】変動相場制国間の通貨戦争は単なる幻想に過ぎない(゚д゚)!


大統領令にサインしたトランプ大統領
トランプ米大統領は31日、ホワイトハウスでの医薬品大手トップらとの会談で「他国は通貨安誘導に依存している。支那は行っているし、日本は何年も行ってきた」と語り、日中の為替政策を批判した。大統領就任後に日本の為替政策に言及したのは初めて。2月10日の日米首脳会談を前に日本をけん制する意図があるもようだ。

 31日の欧米外国為替市場では、トランプ氏の発言直後、1ドル=113円台だった円相場が2カ月ぶりの高値となる112円付近まで急伸した。

 トランプ氏は「他国は通貨安を享受し、米国がばかを見ている」「他国は通貨安や通貨供給量で有利な立場を取っている」と主張し、円安・ドル高基調を批判。日銀などが量的金融緩和を実施し、市場に大量の資金を供給していることにも不満をにじませた。

 先進7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の首脳会議などは、通貨安誘導の回避の原則を確認。一方で、通貨安をもたらす日銀などの金融緩和は、自国経済の安定が目的だとして、容認してきた。トランプ氏が他国の金融政策を批判し続ければ、G7、G20会議の議論にも波紋を広げそうだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は貿易赤字の削減に向け、自国製品の輸出に不利なドル高の進行を抑制したい考え。日米首脳会談では、トランプ氏の関心が強い自動車貿易に加え、円安・ドル高も議題に上る可能性がある。日本は2011年以降、円売り介入を避けてきたことを説明し、理解を求める構えだ。
 
 一方、英紙フィナンシャル・タイムズは31日、トランプ政権高官がユーロ安・ドル高を批判したと伝えた。報道によると、国家通商会議トップのナバロ氏は米国と欧州連合(EU)間の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)交渉について、ドイツに対する巨額の貿易赤字が「障害になる」と述べ、ユーロ安をけん制した。

【私の論評】変動相場制国間の通貨戦争は単なる幻想に過ぎない(゚д゚)!

上の記事の内容からは、トランプ氏は、金融政策を正確に理解していないとろがあります。そうそも、通貨戦争なるものは存在しません。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中通貨戦争、敗者は支那―【私の論評】支那を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうが大きな役割を果たした!!
米中通貨戦争の勝者はアメリカ?
 この記事は、2013年11月3日のものです。この時期は、アメリカの金融緩和政策(QE)が続いていました。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、そもそも金融緩和による通貨戦争など成り立ち得ないことを示した部分をこの記事から引用します。
そもそも、通貨戦争など本来あまり成り立ちにくいものです。ある国がどこまでも金融緩和を続ければ、確かに当面の通貨戦争には勝つかもしれませんが、そのまま続けていれば、国内がインフレになってしまいます。それでも続けていれば、ハイパーインフレになってしまいます。そうなれば、金融緩和策はやめざるを得なくなります。こういうことから、通貨戦争をやり続けることは現実には無理です。
日本の場合、2013年4月からそれまで頑なに緩和をしてこなかった日銀が金融緩和に転じました。それによって、確かに円安状況にはなりましたが、その後2014年4月から、経済的には悪手である、消費税増税8%にするというとんでもないことを実施してしまいました。

金融緩和は継続してはいるものの、この増税によって、消費が落ち込み、またデフレにもどってもおかしくない状況になってしまいました。雇用はかなり良くはなったものの、日銀が金融緩和を実施する前に定めた物価目標2%はいまだに達成できない状況です。

それとこのブログにも掲載したように、日本の構造的失業率は過去の統計数値などから2.7%程度と考えられるにもかかわらず、現在の失業率は3%台であり、本来は追加の量的緩和をする必要性があると考えられるのですが、日銀はそれに踏み切らないため、実質賃金なども上昇しつつはあるのですが、目立って上がっている状況にはありません。

そのため、トランプ氏の語る「他国は通貨安誘導に依存している。支那は行っているし、日本は何年も行ってきた」という発言はこと日本に関しては間違いです。

日本は、通貨誘導のために何年も金融緩和政策を続けてきたわけではありません。あくまで、デフレから脱却するために実行してきたものであり、その結果として円安傾向になったものです。

これは、過去のアメリカも実施してきたことです。以下に、アメリカの金融緩和を示すグラフを掲載します。


2014年10月末に、米国連邦準備制度理事会(FRB)は量的金融緩和(quantitative easing : QE)による金融機関等からの資産追加購入を停止することを発表しました。その意味や今後の影響に関してはすでに沢山の解説や論評が出ていますので、ここでは長く続けられた量的金融緩和の実績と結果について、FRBのデータからマネタリーベース(Monetary Base)の推移を現したグラフを掲載しました。

リーマン・ショックのあたりから、かなり大規模な金融緩和を行ってきたことがわかります。それも、現在の日銀と同じように、資産の購入によって実行してきました。そうして、米国の場合は、雇用の改善度合いを目標値として、それを達成したので、QEをやめたのです。これをいつまでも続けていれば、いずれはインフレ、それでもまだ続けていれば、ハイパー・インフレになったことでしょう。

この間、日本の日銀は、金融緩和を行わなかったため、日本は超円高となり、国内では深刻なデフレスパイラルの深みに陥りました。

米国に限らず、他国の中央銀行が大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、当時の日銀はそれを実行しなかったため、こうした事態を招いてしまったのです。

2013年4月以降の日本も、円安誘導をするために、金融緩和政策を実行してきたわけではありません。しかし、2%の物価目標では、インフレになる可能性はありませんが、それでも量的追加金融緩和を拡大し続ければ、いずれインフレになり、それでもさらに続ければハイパー・インフレに陥り、とんでもないことになります。

そのため、金融緩和はいずれかの時点で、取りやめることになります。そうして、普通の国ならば、ハイパー・インフレにならないため、金融緩和政策をいつまでも続けるなどということはあり得ません。

2010年日本は為替介入を実施したが、その後はほとんど行っていない
通貨安誘導には、為替介入(外国為替市場介入)という方式もありますが、これは通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。

わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされており、実施の決断のほか、タイミングや金額等の決定は財務大臣が行います。日本銀行は、外国為替資金特別会計法および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。

この為替介入についても、いつまでも続けるわけにはいきません。たとえば、円安を誘導するのであれば、ドルを売って円を買うということで確かにできますが、これも長期にわたって継続することは困難です。いつまでも、続けていればドルが枯渇してしまいます。これもいずれ収束することになります。

そのため、為替介入の目的は為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることであると認識すべきです。

しかし、これは無論のこと、変動相場制をとっている国の通貨にあてはまることです。


支那は、そうではありません。支那の人民元は変動相場制に対応していません。ですから、通貨の需要と供給の関係によって相場が決定されるという市場メカニズムが働いていません。

厳密に言えば、人民元は確かに完璧な固定相場制ではありません。ただ、現状では自由に売買できる通貨でもありません。うまい表現ではないかもしれませんが、「ちょっと上下する固定相場制」と言った方が良いのかもしれません。

支那は元々、資本主義国ではありませんから、自由貿易と言うものを行ってきませんでした。ですから我々のように、貿易をするのにあたって互いの国の通貨が必要となり、売買したりする必要がありませんでした。

東西冷戦が崩壊し、支那が国際舞台に再び登場してくると、加工貿易を基礎とした急速な経済発展が続きました。すると、外貨と人民元の需給バランスを考えなければならなくなります。そこで登場したのが管理フロート制の採用です。これによって、まったくの固定相場ではなくなりましたが、未だ固定相場に近いのです。

こうした特殊事情から、支那の場合は、元を不当に低くして、為替操作をすることもできます。だから、支那の場合は完璧に変動相場制に移行していないため、為替操作国の謗りを免れないかも知れません。

しかし、日本をはじめとする、変動相場制に移行している国々を、為替操作しているなどというのはトランプ氏の言いがかり以外の何ものでもありません。

貿易赤字に関しても、貿易赤字そのものを家計の赤字と同じようにそれだけで悪いと思い込むのは間違いです。それについては、以下の記事を御覧ください、ここでは解説しません。
支那:1月の貿易黒字は過去最高-内需の弱さ浮き彫りに―【私の論評】安倍政権批判のためには何でもする日本の敵マスコミ諸氏! 支那は貿易黒字で大躍進ではないのですか! 嘘つき日本マスコミの実体が良く理解できる記事(゚д゚)!
貿易統計や、国際収支のみでものを語る愚かな人々?
さて、日本を為替操作しているなどとみる、トランプ大統領にはやはり、その間違いをはっきりと指摘しなければなりません。

トランプ米大統領が日本の為替政策を批判したことを受け、日本政府は反論しました。菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で、トランプ氏の発言について「全く当たらない。金融緩和は国内の物価安定目標のためで、円安誘導を目的としたものではない」と強調しました。

菅氏は為替について(1)市場で決定される(2)通貨の競争的な切り下げを回避する(3)為替レートを目標にしない――など主要7カ国(G7)をはじめとする過去の国際的な合意に基づいて政策を進めていると説明。今後もその方針に変わりはないと強調しました。

浅川雅嗣財務官も財務省内で記者団に「日本の金融政策はデフレ脱却という国内政策目的のためにやっている。為替を念頭に置いたものでは全くない」と指摘。「(為替)介入を日本は最近していない」と説明しました。「為替相場はマーケットで動いている。操作しているわけではない。もう少し説明がないと分からない」とも述べました。

いずれにせよ、自国の経済や雇用を良くするために、金融緩和をすれば自国通貨流通量が増えるので、通貨安になるのは当然のことです。しかし、上にも述べたように、金融緩和は限度超えていつまでも実行できるものでありません。為替操作も長期間継続できるものでもありません。

その意味では、変動相場制の国々の間での通貨戦争は単なる幻想です。これをトランプ大統領に理解させないと、日本に限らず、いずれの変動相場制の国でも、金融政策に齟齬を生じる危険性さえあります。

安倍総理は、トランプ大統領と会談するときにこれをわかりやすく説明して、納得してもらうべきです。



2014年6月9日月曜日

「成長戦略」には、幻想を抱くな―【私の論評】政府主導の成長戦略は必ず失敗する。もし成功するというのなら、共産主義も成功していたはず! 経済成長はバストの成長を参照すべし、余計なことはするな(゚д゚)!

【私の論評】政府主導の成長戦略は必ず失敗する。もし成功するというのなら、共産主義も成功していたはず! 経済成長はバストの成長を参照すべし、余計なことはするな(゚д゚)!

株の相場観などについては、村上氏の上の記事をご覧いただくものとして、タイトルに「成長戦略」には、幻想を抱くべきではないということ、このブログでも過去に何度か掲載しているので、本日はこれについて掲載しようと思います。



これは、ひとりの少女のバストがおとなのバストになるまでをアニメーションにしたもの­です。
バストは3つのステップで"かたち"と"かたさ"が変化し、約4年間で大人のバストへ成長します。そして、その変化の順序はみんな同じだったのです。

そうして、なぜここにこのような動画を掲載したかといえば、経済成長をバストの成長たとえるためです。まさに、バスト自体に何をするというわけでなく、バストの持ち主の少女が、きちんと栄養をとったり、運動をして健康な体を保っていれば(経済でいえばインフラ整備のようなもの)、本人は何もしなくても、ある時期がくると4年くらいで、自然に成長して大人のバストになるということで、これは経済成長も同じようなものであるということです。

経済も、政府などが政府主導で、成長戦略を実施せずとも、政府がインフラを整備すれば、それも良いインフラを整備すれば、あとは民間企業などがそのインフラの上で成長を続けやがて大きくなるということです。ここに、政府が直接介入する必要などありません。直接介入ししまえば、必ず失敗します。

官僚や、政治家など官主導「成長戦略」の成長戦略が経済をけん引すると本気で考えている人たちがいることには驚かされます。民間エコのミスでもそのような人が少なからず存在します。

結論から言うと、官主導の「成長戦略」は、成功したことはありません。2000年代初頭に出版された、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」にもそのことが記載されていました。それも、日本の官僚の例で説明されていました。

その当時、日本の官僚主導で成功した戦略は二つのみと掲載されていました。しかも、この戦略は先送り戦略というものです。成功した二つの事例を以下に掲載します。
1. 農業政策
日本の農政は失敗の連続で、膨大な補助金を使いながら、食糧自給率をあげることができないでいます。しかし、結果的に先送り戦略(なにもしないこと)より、戦後から現在にかけて、どの先進国よりも農村人口を都市に集中することに成功しました。 
2. 小売り、流通の効率化
かつて日本の流通業界は暗黒大陸ともいわれ、世界中で最も非効率でコストの高い流通システムでしたが、官僚は大型店出店の規制を続けましたが、特に小型店に関しては先送り戦略で何もせず、先送りし、これが結果として家族経営の商店をコンビニという新しい形で存続させることになり、社会のセーフティネットの役割を果たすことになりました。今日では日本は、世界で最も洗練された流通システムを持つ国となりました。 
一方で先送りの戦術以外では、官僚は重大な失敗をしました。その例として、プラザ合意での円高により、景気減速を嫌った、他国では不景気といわれるような水準でもないにかかわらず、官僚は積極的な財政支出・金融緩和を行いました。その結果、有り余るお金がバブル景気を誘発し、その果てに多大な借金が政府に残りました。 
このように、官僚主導で実行した経済政策など、例外的「先送り戦略」だけは成功していますが、その他はことごとく失敗しています。

そんな官僚が、成長戦略を考えても、うまくいくはずはありません。

そもそも、政府が経済対策で行うべきは、インフラの整備です。法律・規制その他の整備、規制緩和。金融緩和、財政出動(現状では公共工事の提供制約があるので、減税・給付など)などでインフラを整備するのが政府の役割です。

このインフラの上で、実際に活動するのは、政府ではなくて、民間営利・非営利企業であるべきであり、ここに政府が直接関与した場合は失敗します。

こんなことがうまくいけば、共産主義下における官僚の計画経済も成功していたはずです。現実には、皆さんもご存知のように共産主義体制はことごとく滅びました。

上の事例は、ドラッカー氏のものであり良い事例なのですが、少し年代が古いので特に若い人にはピンとこないと思いす。そのため、以下に比較的新しい事例をあげておきます。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
詳細は、このブログをご覧いただくものとして、ここではノキアの例をあげました。ノキアは、アップルがiPhone,iPadと同じようなものを、アップルが市場に導入する数年前からプロトタイプを作成していました。


しかし、市場投入時期を間違えて、アップルに先を越されてしまいました。今は、市場でも劣勢です。しかし、ノキアがアップルよりも早めに、これらを市場に導入していたら、今の市場はどうなっていたかわかりません。

市場を見極めるということは、かなり難しいことなのです。おそらく、これを予測してできる企業など滅多にいないと思います。多くの企業が凌ぎを削って、いろいろなことをやっていて、後からみて、その中のある企業が大成功を収めたということであり、最初から計画して市場を形成するなどかなり難しいです。

激しい競争を生き残ってきた企業ですら、難しいことなのに、これを官僚がやってもうまくいくはずはありません。

以上のようなことは、何も私が最初に述べたことではありません。古くは、シュムペータなどが語っいますし、多くの事例もあります。

しかし、市場関係者や、政治家、民間エコノミストですら、これを知らない人も多いようです。まさに、愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを地でいくような愚かなことだと思います。

上の村上氏の「成長戦略への幻想」とはこのことです。成長戦略とは、星の数程の民間企業が互いに競争しあって実施するから意義あるものになるのです。政府がやるべきものでありません。これを政府にやらせるというこは、共産主義と同じであり、必ず失敗します。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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