2025年7月7日月曜日

石破首相のNATO欠席が招く日本の危機:中国脅威と国際的孤立の代償

 まとめ

  • 石破首相のNATO欠席: 2025年6月、NATO首脳会議を石破茂首相が欠席。自衛隊幹部は失望。理由は米国のイラン攻撃、トランプ不参加、防衛費圧力回避か。党内やXで「外交音痴」と批判。
  • 中国脅威の機会喪失: 中国空母「遼寧」「山東」が太平洋で挑発、尖閣領空侵犯も。NATOで脅威共有できず、首脳宣言に中国言及なし。
  • 核問題と曖昧な態度: 北朝鮮の核脅威がある中、石破氏はイラン攻撃でイスラエル非難、米国には曖昧。NATOでの核議論を逸した。
  • 国際社会の懸念: トランプの防衛費増額要求(GDP比5%)承認。日本の不在は貢献不足と映る。EUは日本中国接近を懸念。
  • 過去と矛盾: 2003年イラク駐留人道支援自衛隊部隊の視察拒否。「アジア版NATO」提唱者なのに欠席は矛盾。日本の地位を揺るがす。
中国の脅威と逸した機会


石破茂首相が2025年6月のNATO首脳会議を欠席。自衛隊幹部は失望と怒りを隠さない。理由は曖昧で、米国のイラン核施設攻撃、トランプ大統領の不参加、防衛費増額の圧力回避、国内政治の配慮が推測されるが、明確な説明はない。

自民党内では「外交音痴」、Xでは「国難」との声(産経新聞)。日本は2022年からNATO首脳会議に参加し、「ウクライナは明日の東アジア」と訴え、インド太平洋の安全保障を強調してきた。


今回は中国の脅威を共有する機会を失った。2025年5月、中国海警船のヘリが尖閣諸島の領空を侵犯。6月には空母「遼寧」「山東」が太平洋で挑発行動。「遼寧」は南鳥島周辺で500回超の艦載機発着、「山東」の戦闘機は海自P3C哨戒機に45メートルまで異常接近(防衛省)。

中国の米中二分割戦略が露骨だ。NATO首脳宣言に中国への言及はなく、日本の主張は届かなかった。

核問題と曖昧な態度の代償


北朝鮮の核脅威が続く中、石破氏はイラン核施設攻撃でイスラエルを非難する一方、米国の攻撃には「法的評価は困難」と曖昧。ダブルスタンダードとの批判が上がる(産経新聞)。

NATO会議は核拡散防止を議論する場だった。1993~94年の北朝鮮核危機で米国の融和策が失敗し、北朝鮮は核兵器とミサイルを開発。日本は今もその脅威に苦しむ。
石破氏の欠席は、核の脅威を訴える機会を自ら放棄。国際社会の目は冷たい。トランプ政権はNATOにGDP比5%の防衛費増額を求め、2025年会議で承認(NATO公式)。
日本の不在は同盟強化への貢献不足と映り、NATO事務総長マーク・ルッテは欧州の防衛費増額を「トランプの勝利」と称賛。EUは日本の欠席を民主主義陣営の離脱とみなし、中国接近を懸念(EU対外行動庁)。

過去の失望と「アジア版NATO」の矛盾

サマワで人道支援にあった自衛隊

石破氏への失望は繰り返される。2003年、防衛庁長官としてイラク復興支援に自衛隊5500人を派遣。サマワで人道支援に従事したが、テロリスクや「違憲」批判を理由に現地視察を拒否。

米英高官が自国軍を激励する中、この回避は自衛隊に失望を刻んだ(防衛省)。後任の大野功統氏、額賀福志郎氏は即座にイラク訪問。

2025年6月30日の自衛隊幹部会同で、石破氏はイラク派遣を「終生忘れない」と語るが、視察拒否の矛盾が不信を深める。「アジア版NATO」を提唱し、日米豪印やASEANとの安全保障枠組みを唱える石破氏が、NATO欠席でその基盤を自ら弱めた。

中国の太平洋進出と米中対立が激化する今、国内政治に縛られた石破政権の及び腰は、日本の安全保障と国際的地位を大きく揺るがす。

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石破首相のNATO欠席が招く日本の危機:中国脅威と国際的孤立の代償

  まとめ 石破首相のNATO欠席 : 2025年6月、NATO首脳会議を石破茂首相が欠席。自衛隊幹部は失望。理由は米国のイラン攻撃、トランプ不参加、防衛費圧力回避か。党内やXで「外交音痴」と批判。 中国脅威の機会喪失 : 中国空母「遼寧」「山東」が太平洋で挑発、尖閣領空侵犯も。...