まとめ
- 国民民主党は、5日の質疑で与野党の合意に反して自衛官の国会答弁を求めた橋本幹彦議員を厳重注意した。
- 橋本議員の「自衛官の社会的地位向上」に関する追及が、「行き過ぎたひぼう中傷」と見なされ、安住委員長から叱責を受けた。
- 古川代表代行は、国会答弁は合意された者のみがすべきとし、文民統制の重要性を強調した。
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橋本幹彦議員 |
その後の6日、国民民主党の古川代表代行は記者団に対し、「国会には各党が合意した人しか呼べない。合意がなかった時点で、橋本氏が『おかしいのでは』と言うこと自体、議員として問題だ」とコメントし、橋本議員の行動が不適切であったと批判しました。また、古川代表代行は防衛省に関わる国会答弁について、「戦後の文民統制の中で、いわゆる『背広組』の文官と『制服組』の自衛官とでしっかりコミュニケーションをとり、文官が国会で責任ある答弁を行ってきた。わが党としても、それをきちんと尊重していく考えだ」と述べ、文民統制の重要性を強調しました。
【私の論評】法と実績が示す制服組の証言の重要性、沈黙の国会に未来なし
まとめ
- 法律上の根拠: 日本国憲法と自衛隊法により、制服組の国会での証言は認められている。
- 政策決定と社会的理解: 自衛隊の活動や地位について国会で直接聞くことは、政策決定や国民の理解を深める上で必要不可欠。
- 人権への配慮: 制服組の証言やこれかかわる議員の意見は、当事者の人権を守るためにも必要不可欠。
- 事例の存在: 過去の災害対応や国際貢献、装備改善、士気向上に関連する国会での自衛官の証言が実際に行われ、その有用性が示されている。これらの事例が、制服組の証言の絶対的な重要性を証明している。
- 必要性の認識: 自衛隊制服組の国会での証言は、政策改善や自衛隊員の地位向上に寄与するため、その必要性を強く、確固たるものとして認識すべきである。制服組の証言なしでは、未来への道筋が見えない。
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自衛隊制服組トップ吉田圭秀陸上幕僚長 |
日本国憲法第66条第2項によれば、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定めている。これは、文民統制の原則を明確に示している。さらに、自衛隊法第9条では、「自衛官は、政務に関する行為をしてはならない。」と定められており、自衛官が政治に直接関与することを制限している。国会法第56条では、委員会における証人喚問や参考人招致について規定されているが、具体的に「与野党の合意に沿う」必要があるという条文はない。
「文民」という言葉が定義されていることは、「軍人」や「制服組」の存在を暗示する。文民統制を保証するためには、文民以外の存在も認めなければならない。これは、自衛隊法やその他の法令で文民と自衛官を区別していることからも明らかだ。
自衛隊制服組の国会での証言は、法律上認められている。自衛隊法第101条では、「自衛隊員は、国会の承認があれば、国会に出頭して陳述することができる」とある。つまり、制服組が国会で証言することに法的根拠はあるのだ。橋本議員の主張もこの法律に基づくと、正当性があると言える。
自衛隊の役割が憲法上間接的に認められている以上、その活動や社会的地位についての議論が必要だ。国会でこれを直接聞くことは、政策決定や公の理解を深める上で重要なのだ。橋本議員が「自衛官の社会的地位が向上しない」と指摘したのは、この認識から来ている。
「文民」という言葉が定義されていることは、「軍人」や「制服組」の存在を暗示する。文民統制を保証するためには、文民以外の存在も認めなければならない。これは、自衛隊法やその他の法令で文民と自衛官を区別していることからも明らかだ。
自衛隊制服組の国会での証言は、法律上認められている。自衛隊法第101条では、「自衛隊員は、国会の承認があれば、国会に出頭して陳述することができる」とある。つまり、制服組が国会で証言することに法的根拠はあるのだ。橋本議員の主張もこの法律に基づくと、正当性があると言える。
自衛隊の役割が憲法上間接的に認められている以上、その活動や社会的地位についての議論が必要だ。国会でこれを直接聞くことは、政策決定や公の理解を深める上で重要なのだ。橋本議員が「自衛官の社会的地位が向上しない」と指摘したのは、この認識から来ている。
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安住委員長 |
しかし、問題は議会の運営や慣習にある。橋本議員の行動が「行き過ぎたひぼう中傷」と見なされたのは、与野党間の合意や慣習を無視したからだ。これは言い過ぎであり、議員に対する人権侵害、制服組への人権侵害の可能性もある。公の場でこのようなレッテルを貼ることは、当事者の名誉や社会的評価に大きな影響を与えかねない。
自衛隊制服組の国会での証言自体が問題視されたわけではない。むしろ、適切な手続きを経れば証言は有益だ。国会に出席するためには、議会の承認が必要だが、文民統制の原則を守りつつ、必要な情報や意見を共有することができる。防衛省の文官が答弁者となる原則は保たれるが、必要な場合、制服組の専門知識や経験を聞くことは、政策立案や評価に役立つ。
具体的に言うと:
- 災害対応の評価と改善は、東日本大震災の自衛隊の活動から学ぶことが多く、国会で直接議論することで防災政策に役立てられる。2011年3月11日の大震災後、国会で自衛隊の活動報告が行われ、その実績や課題が共有された。
- 国際貢献と自衛隊の役割では、インド洋の救援活動や南スーダンPKO派遣から得られた教訓が、国会で詳述されることで、より実質的な政策議論が可能になる。2004年のスマトラ沖地震の際、海上自衛隊の活動報告が国会で行われた。また、2015年の南スーダン派遣では、自衛隊員が現地の状況を国会で説明し、政策の見直しに影響を与えた。
- 自衛隊の運用と装備の改善に自衛官の意見が重要だ。例えば、16式機動戦闘車の導入時もその意見が重視された。2019年の国会では、この新装備に関する自衛官の証言が政策決定に活用された。
- 士気と福祉の向上では、自衛隊員の生活環境やメンタルヘルスについての国会での議論が、士気向上や福祉改善に寄与する。2016年、2017年には陸上自衛隊の自殺問題についての国会での証言があり、自衛隊員のメンタルヘルスケアの重要性が浮き彫りとなった。
- 1995年の阪神・淡路大震災では、災害派遣活動についての報告が行われ、都市型災害への対応力を見直すきっかけとなった。
- 2003年のイラク復興支援では、イラク派遣の自衛隊員が国会に出席し、活動状況や安全保障の課題について証言した。
- 2010年のハイチ地震では、国際救援活動の報告が国会で行われ、国際貢献の在り方についての議論が深まった。
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