2025年2月10日月曜日

自衛隊に「驚愕の新兵器」導入か!? ドローンの大群“まとめて無力化 ” 新たなイメージが公開 ―【私の論評】HPM兵器:軍事バランスを一変させるゲームチェンジャーに

 自衛隊に「驚愕の新兵器」導入か!? ドローンの大群“まとめて無力化 ” 新たなイメージが公開

まとめ

  • 防衛装備庁は「研究開発パンフレット」を2025年1月30日に更新し、「高出力マイクロ波」(HPM)兵器の新たなイメージを公開。
  • HPMはドローン・スウォーム攻撃への対策として位置付けられ、アメリカとの共同研究が進む見通し。



  •  防衛装備庁は2025年1月30日に「研究開発パンフレット」を更新し、「高出力マイクロ波」(HPM)兵器の新イメージ(上の画像等)を公開しました。ウクライナの戦いでドローンの脅威が増す中、防衛省は「ドローン・スウォーム攻撃」が将来の脅威とみています。

     従来の防空システムではコストが高いため、低コストの指向性エネルギー兵器による新たな防空システムが必要とされています。HPMはコスト面で優れ、瞬時に多くの目標に対処可能で、アメリカとの共同研究が進む予定です。

     この研究では試験データの共有や電子機器への効果評価が行われます。HPMは既に試作され、ドローン対処実験も実施されており、今後は小型化・高出力化を目指し、様々なプラットフォームへの搭載が計画されています。

    この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

    【私の論評】HPM兵器:軍事バランスを一変させるゲームチェンジャーに

    まとめ
    • HPMと電子レンジのマイクロ波の違い: HPMは軍事用で高出力、電子レンジは調理用。
    • HPMとEMPの違い: HPMは人工的で集中照射、EMPは広範囲に影響。
    • 歴史的背景: 1960年代から始まり、冷戦時代の米ソで研究が進展。
    • 現代の活用: ドローン対策やテロ対策として注目され、実用化が進んでいる。
    • HPMの有用性: 現代の戦闘では、ドローンだけではなく兵器一般の電子機器への依存が増す一方で、HPM兵器がその弱点を突く切り札となる。

    マイクロ波は電子レンジにも用いられているが・・・・

    マイクロ波と言えば、電子レンジが思い浮かぶだろう。しかし、その使い道は驚くほど違う。HPMは軍事用で、電子機器を一瞬で壊す強力なマイクロ波を発射する。

    一方、電子レンジのマイクロ波は食事を温めるだけ。HPMは周波数を自在に変え、狙った目標に最大限のダメージを与えるが、電子レンジは2.45 GHzの単一周波数だ。HPMはエネルギー密度が高く、破壊力は圧倒的。

    HPMと似ているEMPもある。両者とも電子機器を混乱させるが、生成方法が異なる。HPMは人工的に高エネルギーのマイクロ波を出して集中照射する技術。一方、EMPは核爆発により発生するもので広範囲に影響を与える。

    EPM兵器の原理 

    HPM兵器の歴史は1960年代の「スターフィッシュ・プライム」核実験に始まる。これによりマイクロ波の恐るべき力が明らかになった。1970年代、米ソが軍事利用を探り、HPM研究が進展。冷戦時代は秘密裏に開発が進み、1980年代には非核EMP装置としても注目された。

    2000年代、HPMはドローン対策など具体的な用途を見つけ、テロ対策や軍事戦略で話題になった。2010年代から現在、米国や日本で実用化が進んでいる。日本では防衛装備庁がHPMの研究を推進し、ドローン・スウォームへの対抗策として期待されている。日米の共同研究も進み、HPMが「ゲーム・チェンジャー」になる可能性がある。

    ドローン・スウォームは戦争のゲームチェンジャーともいわれたが・・・

    日米で開発中のHPMは、ドローンを無効化する力が高い。コスト効率が良く、広範囲のドローンを一気に無力化できる。「ドローン・スウォーム」攻撃への有効な対策として期待されているが、実用化のハードルや規制が課題だ。

    HPMは電子機器を狙った兵器だが、普通の兵器には効果がない。ドローンやGPS誘導ミサイルには強力だが、弾丸や爆弾には直接的効果はない。ただし、兵器の電子化が進む中で、電子機器を搭載する兵器に関しては効果がある。現代の戦闘では、電子機器への依存が増す一方で、HPM兵器がその弱点を突く切り札となるだろう。

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