2016年1月20日水曜日

中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない―【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は、進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!

中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない

国会で「リーマン・ショックのような危機」が
なければ消費再増税をすると明言した安倍総理だが?
中国経済の減速や原油価格の下落、中東などの地政学リスクや世界的な株安など、年初から波乱要因が多くなっている。本コラムの今年の経済見通しでも、年前半はさえない展開だと書いた。

そして、7月の参院選(衆議院とのダブル選挙もありえる)の前に、消費再増税中止と最大27兆円の経済対策(埋蔵金バズーカ)があれば、年後半の景気は持ち直すとした。

このメーンシナリオに変化はない。海外の波乱要因すべてを予見していたわけではないが、中国経済だけでマイナス要因としては十分である。このままいけば、景気が反転する可能性は残念ながら少ない。

安倍晋三首相は、国会で「リーマン・ショックのような危機」がなければ消費再増税をすると明言しているが、これを額面通りに受け取る必要はない。昨年の講演では「国民の納得がなければいけない」と述べている。国会答弁とは異なり、アドリブで安倍首相が話した言葉なので、この方が真意であろう。

もっとも、今の中国経済を見ていると、「リーマン・ショックのような危機」といってもまったく間違いだとは言い切れない状況だ。

中国の経済指標の信憑(しんぴょう)性については疑問視されているが、輸入統計は相手国の中国向け輸出統計が存在するのでごまかせない。この意味で、輸入統計は中国で唯一信頼できる統計だともいえる。輸入の動きは国内総生産(GDP)の動きと安定的に連動するので、輸入の伸び率から、ある程度GDPの伸び率を推計することもできる。

2015年の輸入額は対前年比で14・1%の減少である。これほどのマイナスは、リーマン・ショック以来のようだ。日本を含む世界各国の中国向け輸出がリーマン・ショック並みに減少しているのであるから、この事実から、すでにリーマン級の危機が起きているといっても言い過ぎではないだろう。

ちなみに、中国政府に影響力の強い政府系シンクタンク、中国社会科学院は、16年の輸入はさらに減少し、前年比3・0%減と予想している。この数字は、中国経済の落ち込みがかなり深刻であることを示している。15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか。そうであれば、日本にとっては明らかに「リーマン・ショックのような危機」が隣国で発生していることになる。

加えて、原油価格の下落が生じている。日本経済にはプラスの効果もあるが、資源国の経済を悪化させ、その反動で世界経済や日本経済にもマイナスの影響が出てくる。かつてと比べものにならないほどに、資源国の世界経済に占めるウエートが大きくなったからだ。

中東ではシリア問題やサウジアラビアとイランの対立があり、原油安が火に油を注ぐ形となっている。

こうした世界情勢を考えると、とても日本国内で消費増税する環境にはなっていない。このようなときに、消費増税を強行すれば、日本経済にとって取り返しがつかないことになるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!

過去の3%増税は、5%増税は日銀が金融引き締めの姿勢を堅持するなか、強行され日本は失われた20年とも言われた、とんでもない円高・デフレに長期間見舞われました。

8%増税は、日銀が金融緩和に転じたさなかの平成14年度に実施されましたが、まだまだ日本経済が過去のデフレ・円高の悪影響から十分に立ち上がっていない時に実施され、個人消費は落ち込み、経済はマイナス成長となりました。

その悪影響は、平成15年中にもみられました。通年では、プラス成長になるかもしれませんが、それにしても、1%にも満たない水準になる可能性が大です。

平成17年、来年はまだまだ、過去の円高・デフレの悪影響から抜けきっていないことは十分に予想されます。

そんなさなかに、10%増税をしてしまえばどういうことになるか、誰もが予想がつきそうなものです。

さて、8%増税の最中に、金融緩和は実施しているものの、さらに10%増税するとどのようなことになるのか、それに関しては、もう5年ほど前のイギリスの事例があります。

それについては、このブログでも、何度か掲載したことがありますので、その時の解説に用いたグラフを以下に掲載します。

まずは、下のグラフをご覧ください。


リーマン・ショックからある程度立ち直ってはいたももの、まだ十分とはいえない状況のイギリスで、財政再建を目指して、2011年1月にイギリスでは日本でいえば、消費税にあたる付加価値税を増税しました。その結果どうなったかといえば、グラフが示す通り、若者失業率が高まり、その結果かなり批判を浴びたため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)は、金融緩和を開始しました。

グラフの通り、マネタリーベースは金融緩和のため上昇しましたが、それでも、若者の失業率は若干改善されたものの、高止まり傾向にありました。


さて、その結果税収はどうなったかといえば、法人税収も、所得税も下がりました、付加価値税も2012年の5月時点では上昇傾向をみせましたが、それでも増税前の水準には戻りませんでした。法人税+付加価値税+所得税の合計でみても、増税前の水準から下がっています。

以下の、グラフは金融緩和してインフレ率はその後どのように推移したかを示すものです。この時期には、日本はもとより、海外でも金融緩和をすると、ハイパーインフレになるなどとという摩訶不思議、奇妙奇天烈なことを言う識者などが結構いましたが、平成12年の時点では、インフレ率の高止まりは収拾しました。

これで、金融緩和をしたからといって、ハイパーインフレになるなどという珍説は影を潜めました。


以下は、1980年から2015年までの、イギリスの経済成長率の推移です。


2009年の激しい落ち込みは、無論リーマンショツクの影響によるものです。そこから、金融緩和などで、2011年回復していたものの、2011年1月に増税をしたため、また景気が落ち込んでいることがわかります。さらに、2015年あたりでも、まだ、リーマン・ショック以前の景気の良いときには及んでないことがわかります。

このグラフをみても、付加価値税増税の影響がまだ続いているとみるべきです。

そうして、忘れてはならないのは、リーマン・ショックの影響はすでに収束しているにもかかわらず、イギリス経済が最近でもなかなか以前の水準に戻っていないということです。

こんな事例からも、景気があまり良くはないときに増税などすべきではないということが、はっきりしていると思います。

イギリスの付加価値税導入の大失敗は、日本が8%増税をする前からわかっていたことです。にもかかわず、日本では、この貴重な事例が顧みられることなく、8%増税に踏み切ってしまいました。

日本が今置かれている状況は、過去の長きにわたった、デフレ・円高の悪影響がまだ色濃く残っています。従来とは異なり、金融緩和に転じてはいるものの、2014年春からの増税の悪影響が残っています。そこに、10%増税を導入すれば、どんなことになるのか、素人でも理解できます。

そうして、その頃には、ブログ冒頭の高橋洋一氏の中国の経済がさらに悪化し、中東ではシリア問題やサウジアラビアとイランの対立があり、原油安が産油国の経済を押し下げ、さらに火に油を注ぐ形となっている。

こうした世界情勢を考えると、リーマン・ショック級のショックが日本を襲う可能性も高いです。リーマン・ショック時には、サブプライム・ローンなど、日本の証券会社など、ほんとんど取り扱っておらず、影響は軽微になると思われていたものが、日本は一人負けの状態になりました。

リーマン・ショックの発端となったリーマン・ブラザーズの破綻を伝えた各新聞 

その理由ははっきりしています。リーマン・ショックの震源地であるアメリカや、EUそうして、イギリスも、無論中国などもこのショックから立ち直るために、大規模な金融緩和を実施しました。しかし、日本は、他国が緩和するなか、頑なに金融引き締めを続けました。

そのため、本来ほんど関係なかった、リーマン・ショックであるにもかかわらず、日本だけが、デフレスパイラルの深化、さらなる円高に見舞われて、景気が低迷して、世界の中で日本だけがひとり負けの状態になりました。

今回も、もし、中国のさらなる景気の悪化、産油国の経済の悪化、それに伴いEUなども悪化したとして、このようなときに他国はイギリスの事例もあることから、増税など絶対に控えることでしょうから、その中で日本だけが消費税増税を行った場合、最悪の場合は、日本だけが世界で一人負け状態になる可能性もあります。

これを考えると、高橋洋一氏の言っているように、とても日本国内で消費増税する環境にはなっていない。このようなときに、消費増税を強行すれば、日本経済にとって取り返しがつかないことになることでしょう。

上記のような最悪のシナリオになった場合には、日本国民は、またまた塗炭の苦しみを味わうことになります。まずは、国民は夢と希望を捨てるしかなくなります。その中でも、特に若者は、進学、就職、結婚を諦めざるをえなくなる人が多数出ることになるでしょう。

そんな中、財務省は、増税によって、特別会計を充実させ、財務省外郭団体などに天文学的な貸付を行い、将来の高級官僚の天下り先のゴージャスな生活を確保し、我が世の春を謳歌することでしょう。

こんな馬鹿なことを、許すわけにはいきません。

ブログ冒頭でも、高橋洋一が指摘する、リーマンショック級の経済的な混乱から日本経済を救う方法はそんなに難しことではありません。日本政府がやろと、思えば確実にできて、効果があがる方法です。その処方箋を以下にまとめておきます。

1.追加緩和

2%の物価目標も達成がなかなかできていないのですから、追加金融緩和を行い。これを達成する速度をはやめるべきです。イギリスの事例をみてもわかるように物価目標をいっとき4%程度にしても、ハイパーインフレになる可能性はありません。2%などと悠長なこと言っていないで、言っとき4%にするべきと思います。

2.増税延期or凍結

これは、上記で述べたように絶対に増税などすべきではありません。増税は、緊縮財政の手法であり、本来景気が加熱して、ハイパーインフレなどになりそうなときに行う手段であり、デフレから脱却するときに行う政策ではありません。デフレからの完全脱却を目指すなら、減税や給付金などの積極財政を行うべぎてす

3.20兆円ぐらいの大型補正予算

日本には、未だ、10兆円のデフレギャプがあります。これを埋めるためには、補正予算3兆円など、焼け石に水です。最低でも10兆円、できれは20兆円の補正予算を組むべぎです。日本にはその能力があります。実際、特別会計には、為替特別会計など、円安の現状では、必要のないお金が天文学的に積み上げせられています。これで、20兆円など簡単に捻出できます。ただし、政治決断が必要。今回のリーマン・ショック級の危機はこれらを実行するために、良い口実になると思います。安倍総理は、これを口実に努力していただき、上記のような政策を実行していただきたいものです。

そうすれば、日本は過去のデフレ・円高のマイナスの影響を払拭して、デフレ・ギャップを克服して、完全にデフレから脱却できるどころか、成長軌道にのります。国民は、夢と希望を持ち、若者の進学、就職、結婚への可能性が格段に広がります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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いまだはびこる国債暴落説と財務省の説明を妄信する人たち ―【私の論評】財政破綻などしないのは常識で理解できるのに、それができない馬鹿真面目共が多すぎ(゚д゚)!

【関連図書】

日本経済に関する書籍三冊を以下にあげました。これをご覧いただくと、いかに一般に流布されている経済論が出鱈目かよく理解できます。

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2016年1月19日火曜日

「朝日は不治の病」 OBの敏腕記者が激白 著書『崩壊 朝日新聞』が話題に ―【私の論評】昭和20年代から考えが変わらない組織は、偏向して崩壊するのが当然(゚д゚)!


慰安婦や安保法制をめぐる報道でOBの厳しい批判を受けた朝日新聞本社
元朝日新聞の敏腕記者、長谷川●(=熈のノを取り、巳が己)(ひろし)氏(82)が、朝日の「マルクス主義的体質」をあぶり出し、事実に基づかない恣意(しい)的報道を容認する「社風」に切り込んだ著書『崩壊 朝日新聞』(WAC)が話題となっている。日韓両国は昨年末、慰安婦問題をめぐって「最終的かつ不可逆的に解決」で合意したが、両国関係の悪化における「朝日の責任」を問う声は多い。安全保障法制をめぐる報道への疑問も含めて、長谷川氏が夕刊フジの取材に応じた。

「朝日は『不治の病』に侵されている。処方箋は見当たらない。相対的に部数が多いこともあり、日本にとって不幸ではないか」

長谷川氏は言葉を選びながら、古巣への思いをこう吐露した。

長谷川氏は慶応大文学部卒業後、1961年に朝日に入社。93年の定年退社まで、経済部や週刊誌「AERA」などで記者として活躍した。90年前後には、東西ドイツや旧ソ連内各地で取材した経験を持つ。退社後も2014年8月までは、社外筆者として「AERA」で健筆を振るった。敏腕記者で知られ、「数々のスクープをモノにしてきた」(週刊誌編集者)と言われている。

執筆の動機は、朝日が14年8月5日、慰安婦強制連行の根拠としてきた「吉田清治証言」を32年もの後に虚偽と判断し、一連の大誤報を認めた特集記事を同日朝刊にあっさり掲載したからだ。

「愕然(がくぜん)とした…」

長谷川氏は特集記事を読んだ感想を、こう語った。日本と日本人の名誉を傷つけ、国内外に深刻な影響を及ぼしてきた虚報を裏付けも取らずに紙面に載せ、長く放置してきたことへの「おわび」もなく、問題を官憲による強制連行ではなく、慰安婦が存在したことにすり替えていたからだ。

同書のまえがきに、長谷川氏は《この威張り返った、そして物事をごまかす態度》《この新聞社は(中略)八月五日をもって最終的に新聞の実質は終わった、崩壊した、と感じた》と痛烈に記している。

今回の取材で、長谷川氏は「吉田証言報道は、朝日新聞の『本質的な問題』を端的に示した例だ」と語った。朝日には、事実に即していないことでも、思想傾向に沿っていれば報じても許されるという「体質」があり、その伝統は今も引き継がれている-というのだ。

これでは、真実を伝える報道機関とは、とてもいえない。

朝日的体質や思想傾向の根源とは一体何か。

長谷川氏は「昭和20年代にさかのぼる。マルクス主義を信奉する、もしくはそれに近い立場の記者たちが、紙面形成の主流を担った。それが今もなお続いている」と解説する。

こんな例があったという。

1972年、モスクワ特派員の記事が、ソ連側から「反ソ的だ」と批判された。東京の朝日新聞本社はソ連の意向に沿い、この特派員を社命で突然帰国させた。長谷川氏は「根本が狂っている。この新聞社は一体どっちを向いているのか」とあきれたという。

同書は3部7章に分かれ、朝日の戦前戦後の歴史が丹念にひもとかれている。《過去を『悪』と見る条件反射》《朝日にたなびくマルクス主義》《視野が狭くなる伝統》《方向感覚喪失の百年》といった、部や章のタイトルだけを見ても、いかに朝日が共産主義に毒されているかが伝わってくる。

慰安婦問題の大誤報を受け、朝日新聞は再出発した。だが、昨年の安保法制をめぐる報道に接して、長谷川氏は「新編集陣になっても、まったく体質は変わっていない」といい、続けた。

「安保法制について、朝日は『戦争法案』とのレッテルを貼って報じ、特殊な政党と連携したかのような一大キャンペーンを行った。私が読んだ限り、安保法制は現状の憲法体制の中で、『日本が守りを固めるには、どうすればいいか』を考えた法律だ。まさに(朝日は)驚くべきメディアだ。吉田証言報道の過ちをまったく反省していない」

こうした姿勢は、事実を探求する一線記者にも影響を及ぼしているという。長谷川氏はいう。

「残念なのは近年、『どうせ朝日だから、いい加減に、誇大に書くに決まっている』と思われていることだ。私が取材を申し入れても断られることがあった。安保法制も『本当は戦争法案ではない』と思っている記者もいたはずだ。昔から朝日は自由にモノが言えなかった」

朝日新聞は大丈夫なのか。

【私の論評】昭和20年代から考えが変わらない組織は、偏向して潰れるのが当然(゚д゚)!

長谷川●(=熈のノを取り、巳が己)(ひろし)氏(82)

朝日新聞といえば、このブログでも昨日AIIBの報道に関して、批判したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
AIIB「開店休業」状態 融資1号案件大幅遅れ 日米に参加“懇願”―【私の論評】日本のAIIB参加を呼びかけた奴らは、中国スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!
2015年3月28日朝日新聞朝刊 馬鹿の証、それとも中国スパイの証?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国主催のAIIBが実質上の「開店休業状態」になっていることを掲載し、このようなことは、中国によるAIIB構想の発表の頃から十分に予測がついたことを解説しました。

そうして、このようになることが予想できたにもかかわらず、AIIBバス乗り遅れ論などを吹聴した連中は、馬鹿かスパイであると断定しました。そうして、中国のAIIB構想発表の頃の朝日新聞の紙面(上の写真)を掲載しました。

上の写真をご覧いただければ、おわかりになると思いますが、朝日新聞はAIIBの加入に関して、参加に慎重な姿勢をとっていた米国に関して「追い込まれる米国」などと報道していました。

この記事に限らず、朝日新聞は、日本はAIIBに加入すべきという主張をしていました。このような主張をする朝日新聞は私は馬鹿か、中国スパイのいずれかであると断定します。

いずれであったとしても、日本を代表するような大新聞がそのようなことではいけないことは、言うまでもありません。

結局朝日新聞は、長谷川氏が言うように、「昭和20年代にさかのぼる。マルクス主義を信奉する、もしくはそれに近い立場の記者たちが、紙面形成の主流を担った。それが今もなお続いている」から、AIIBに関しても偏った報道をするということだと思います。

昭和20年代から、考えが変わっていないとしたら、マルクス主義に限らず、たとえそれがどのような主義・主張であったとしても、考え方が偏向してしまうのは、当然のことだと思います。

今年は、終戦から71目です。70年近く前の、主義・主張をそのまま信奉して、その枠組みで物事を考えていれば、誰でも時代遅れの馬鹿になります。

朝日新聞は、中国スパイかどうかは確かめようがないので、何ともいいようがないですが、馬鹿であること、個々人はどうかは別にして、組織としては大馬鹿であると言い切って良いものと思います。

慰安婦問題といえば、上の記事で長谷川氏は、いわゆる朝日による慰安婦問題を「問題を官憲による強制連行ではなく、慰安婦が存在したことにすり替えていた」と喝破しています。

まさしく、そのとおりだと思います。問題の本質は、婦女子を性奴隷として、官憲が関与して、強制連行したかどうかということです。そうして、これに関する記録は今までのところ、発見されていません。

慰安婦問題というと、最近韓国国内のネットで従軍慰安婦と呼ばれている売春婦の収入が公開されました。かなりの高給です。
元慰安婦の戦時中の郵便貯金通帳
その収入とは、1992年に元慰安婦が、日本の郵便局に戦争中の払い戻し請求の裁判を起こしたことから明るみに出ました。 このときに、1943年6月から1945年9月まで12回にわたって入金した26,145円(今換算約4000万円)が証拠として提出されました。

以下に、月収比較として1943年当時の給料を掲載します。
・総理大臣800円(東条英機)である東条英機
・陸軍大将550円
・曹長助長32~75円
・軍曹軍装23~32円
・伍長、五臓20円
・兵長兵長13、5円
・上等兵上等兵10、5円
・一等兵一等兵9円
・二等兵二等兵9~6円
当時の慰安婦は、300円から1500円を前払いされて、親の借金を返済しました。それがどれほど高額だったのかこの表を見ればお分かりになると思います。
2016.01.02 20:11:54 www.ilbe.com/7230593171

このほかにも、現在でも歴史の古い企業では、たとえば、戦争中の朝鮮半島の人々が、日本で働いていたときの賃金台帳が残っていたりいます。これを、みると、まともに賃金が支払われていたことがわかります。賃金を支払って働かせた場合は、徴用というのであって、強制労働とは言いません。

資料や歴史を大事にしない、韓国や北朝鮮などでは、このような資料はほとんど残っていないでしょうが、日本ではまだ残っている場合が結構あります。日本政府は、このような資料これからも、どんどん公開して、世界中に知ってもらう努力をすべきものと思います。

この訴訟を起こした金学順は「戦時中の貯金の返却」という訴えをおこしたのですが、弁護士の福島瑞穂が金を性奴隷の被害者に仕立てあげました。

これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
慰安婦問題の「主犯」は福島瑞穂弁護士―【私の論評】まずは、日本の悪人を始末しないことには慰安婦問題は解決しないし、「戦後体制からの脱却」は難しい(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、福島瑞穂が慰安婦問題の発端になったことを示す部分を以下に掲載します。

"
日本の悪人その1 吉田清治 
慰安婦問題の特異性は、日本人が創作した話だということだ。ふつう「私が犯罪者だ」と嘘をつく人はいないが、奇妙なことに戦争についてはそういう「詐話師」がいる。この問題の発端となった吉田清治がその最たるもので、彼の『私の戦争犯罪』には、済州島で「慰安婦狩り」をした様子が詳細に書かれているが、なんとすべて嘘なのだ。本人ものちに「フィクションだ」と認めた。

日本の悪人2でありかつ主犯の福島瑞穂
ところが吉田の話に目をつけて日本政府を相手に訴訟を起こそうとしたのが、福島瑞穂氏や高木健一氏などの弁護士で、彼らは韓国に渡って原告になる元慰安婦を募集した。そこで見つけたのが金学順で、彼女はNHKにも出演して「親に売られてキーセンになり、義父に連れられて日本軍の慰安所に行った」と証言した。この話をNHKに売り込んできたのが福島氏で、彼女はスタジオに立ち会って金にせりふを教えていた。目的は、軍票(敗戦で無効になった)で支払われた給与の賠償だった。

日本の悪人3 高木健一
しかし朝日新聞の植村記者がこれを(吉田のストーリーにそって)「女子挺身隊として強制連行された」と誤って報じたため、福島氏らは訴状を「軍に連行された」と書き換えた(だから彼女は「強制連行」が嘘であることを知っているはずだ)。その原告団長は植村記者の義母だったが、のちに裁判費用を詐取したとして逮捕され、行方をくらました。

要するに戦争をネタにもうけようとたくらんだ旧軍人が「軍の性奴隷」という猟奇的な話をでっち上げ、それを政治的に利用しようとした日本の弁護士が韓国人をけしかけ、朝日新聞がそれに乗せられたという構図だ。したがって主犯は福島氏で、朝日は問題を拡大した共犯である。

この騒動で福島氏は「人権派弁護士」としてマスコミにデビューし、国会議員にもなったが、彼女のおかげで日韓関係はめちゃくちゃになった。今回の慰安婦騒動に彼女が沈黙を守っているのは、ここまで嘘がばれてしまうと取り繕いようがないからだろう。朝日新聞とともに彼女にも説明責任がある。国会で説明すべきだ。
"

これをきっかけに福島は人権派弁護士を名乗って国会議員にまでのし上りました。それどころか、つい最近までは、社民党の党首でした。

少なくとも、以上のようなことで、いわゆる慰安婦は、性奴隷でなく売春婦だったことは明白であると思います。日本も1958年まで売春は合法でした。日本以外の国では、今でも売春が合法の国も多くあります。

あの時代にいわゆる、売春で辛い思いをした女性もいるとは思いますが、それと官憲による強制連行による性奴隷とは別次元の話です。現在の日本でも、借金苦などで、自分の意思にそぐわない形で、実質上の売春婦(これは非合法)になる人や、AV女優になる人もいます。

実際、最近テレビを見ていたら、高木えみりさんという方が、テレビ朝日羽鳥慎一モーニングショー」(2016年1月7日放送)のコーナー「そもそも総研」にVTR出演して「女性の貧困」と題した内容で取材に応じて貧困生活の末にAV女優になったことを告白していまた。

高山えみりさん
父親の借金のためによる家族離散、大学生だった頃に学費が払えず毎日のように呼び出されては学費を払わないと退学処分になると言われ一週間後に7~80万円を作らなきゃいけない瀬戸際までに追い詰められていたと、そういう事があってAV女優になったと経緯を告白、また内定も貰い就職先も決まっていたことも告白し「人は簡単にお金で崩れる、お金で憂鬱にもなるし人間関係も崩れる、仕事をする前のことを思うと本当に辛い」と話しました。

また内定先をどうしたかまでは触れなかったのですが、母親からは「一生分かり合えない」と告げられたそうです。現在は前向きに考えるようにしているそうです。

これは、マクロ的に見れば、日本政府の経済政策(過去のデフレ、昨年の8%増税など)が悪かったのですから、日本政府の責任でもあります。しかし、高木エミリさんが、自分の意思にそぐわない形で、AV女優の道を選ばざるを得なかったからといって、仮に彼女がそれを国の責任であるとして、裁判をおこして賠償しろと迫っても、国の責任は問えないです。

無論、高木えみりさんは、もとより日本のAV女優でそのようなことをする人は、誰もいないことでしょう。そもそも、そんなことをしても、無意味だからです。

慰安婦問題も同じようなものです。官憲による強制性があったという証拠があれば、それは別の話ですが、軍医が慰安婦の健康診断をしたというくらいの証拠ならありますが、これではとても強制性があったという証拠にはなりません。

以上のようなことは、私が、サイトなどを通じて知り得た情報です。パソコンがあれば、私のような素人でさえ、現在以上のような情報が簡単に収集できます。

1980年代末から、1990年代にはインターネットのプロパイダーが出現していました。朝日新聞の記者であった、植村氏は、1991年(平成3年)8月11日と12月25日に2度、誤った内容の慰安婦問題の記事を書いています。

この時代には、もうそろそろインターネットも使えたような時代です。植村氏がインターネットをその時に使えたかどうかまではわかりません。私の記憶では、この時代はまだ、ぎりぎりでパソコン通信も使われてと思います。

いずれにせよ、新聞社といえば、その当時から様々な情報が集まるし、情報を集められたということは確かだと思います。にもかかわらず、植村元記者があのような記事を書き、それを朝日新聞が掲載し、長きにわたって放置していたし、この新聞記事を訂正を掲載した後も、まともに謝罪していなし説明も不十分です。

ブログ冒頭の記事のように、長谷川氏が「朝日は不治の病」という激白は正しいものと思います。昭和20年代から考えが変わらないというのなら、朝日に限らずどんな組織も考え方は偏向するのが当たり前です。何しろ、昭和20年代に生まれた人は、もう全員が60歳以上です。普通の会社なら、時代にそぐわなくなって、とっくに廃業しているはずです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年1月18日月曜日

AIIB「開店休業」状態 融資1号案件大幅遅れ 日米に参加“懇願”―【私の論評】日本のAIIB参加を呼びかけた奴らは、中国スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!


AIIB開業式典であいさつする習主席。懸念材料は消えないままだ=16日

 中国が主導するアジアインフラ銀行(AIIB)はスタート早々、「開店休業」となりそうだ。6月の予定だった最初の融資案件承認が「年内」へ大幅に遅れる見込みとなったのだ。信用格付けを取得できない事態が尾を引いているとみられ、日米の参加を“懇願”するしかない状況だ。

 「中国は国際的な経済システムの改善を推進する」。16日の開業式典に出席した習近平国家主席は、AIIBを通じて戦後の国際金融秩序に挑戦する構えをみせたが、勇ましい言葉に内実は伴っていない。

 初代総裁に就任した金立群氏は17日の記者会見で最初の融資案件の承認は「年内になる」と述べ、今年半ばとしていた従来のスケジュールより遅れる可能性を示唆した。

 かねてから問題視されてきたように、AIIBは資金調達の際に発行する債券の格付けを取得できていない。当面は資本金だけで融資がまかなえるが、初の融資案件を含め、20億ドル(約2340億円)と見込む初年度案件が成功しなければ「習指導部がメンツをかけて関係部門に命じた最上級の『トリプルA』の格付け早期取得は難しい」(北京の経済学者)との見方がある。

 金氏は記者会見で「ドアはなお開かれている」と強調、参加を見送っている日米などの誘致を行う考えを示したのも、日米不在のままでは低い格付けしか取得できないためだとみられる。

 インフラ案件で「原資をいかに安く調達し、採算性や返済計画をどう詰めるかという国際金融機関の融資ノウハウがまだ何ひとつない」(国際金融筋)とされるAIIB。「仏作って魂入れず」というのが実情のようだ。
【私の論評】日本のAIIB参加を呼びかけた奴らは、中国スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!

AIIBの失敗は、もう明らかです。これについては、最初からこのブログには失敗するであろうことを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生財務相の「参加見送り」見解、中国メディアは未練たらたら・・・「日本国内でもAIIB参加すべきの声」と報じる―【私の論評】中国小国化に向け追撃戦に転じた安倍総理(゚д゚)!
昨年AIIBに関して報道したテレビ番組のキャプチャー画像
この記事は、昨年の4月17日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜこの時点でAIIBに参加すべきではないことを判断できたのか、それに関わる部分のみを以下にコピペします。

"
なぜそうなのか、その部分のみこの記事から下に箇条書きで抜粋します。
1.AIIBには、ガバナンスの点で大いに問題がある。たとえば、AIIBの融資について理事会の関与がほとんどない。中国トップがある国へのインフラ投資を政治判断したら、AIIBはプロジェクトの採算性などを度外視して融資する可能性がある
これは字面だけ見ていると何を意味するかわかりませんが、たとえば、北朝鮮への融資も十分あり得ます。あるいは、中国内や、中国近隣で中国にとって都合の良い融資を行う可能性もあります。

たとえば、鉄道・空港・港湾など、軍事施設としても有用なものですが、これらを中国の都合で行う可能性もあります。現状の中国は経済も停滞していますし、金融も空洞化していますから、軍事と言った場合、人員確保や兵器の配備にはお金をつかうかもしれませんが、鉄道・空港・港湾など大規模な投資はなかなかしにくい状況にあります。だからAIIBによって、人民解放軍が活動しやすいように、これらのインフラを整備するということも十分考えられます。

何のことはありません。どこかの国が、AIIBによって港をつくったら、そこが人民解放軍により占拠され、その国への侵略の拠点になるというとんでもないことになり得る可能性もあるのです。
2.AIIBは中国主導であり、中国がその後ろ盾になる。よって、その格付は中国と同等になる。中国の格付けは、トリプルAのアメリカ、ダブルAの日本より下のシングルAである。ということは、アメリカと日本が参加しない、AIIBの格付けは他の国際金融機関よりも低いということになる
AIIBの国際金融機関の格付けが低いということは、他の機関よりも資金調達コストが高くなり、当然貸出金利も他の国際金融機関よりも、高く設定せざるを得ないことを意味します。 アメリカと日本が参加しない限り、この問題は解決できません。このままだと、AIIBは、日米が主導するアジア開発銀行に比較すると圧倒的に不利ということになります。中国が、日米の参加を喉から手がでるほどに、欲しがっているわけです。
3.中国の金融システムは金利の自由化すら終了していない途上国並みの未熟なもので、国際金融業務のノウハウも乏しい
中国側は、国際金融業務のノウハウが乏しいため、日米が参加すれば、そのノウハウを入手できる可能性があります。日米はそれを提供しないということです。そんなものは、英国あたりができるだろうということになるかもしれませんが、確かに英国などのEU諸国は、アジアの投資に関するノウハウは乏しいです。その他の国は、そもそもそのようなノウハウはありません。

以上の3点を考えれば、日本や米国などがあせって、参加する必要性など全くありません。特に、ガバナンスの点が改善されない限り、検討する余地すら全くありません。
"
 
上の箇条書きの太字の部分三点を知ったうえで、さらにこれの意味することを理解すれば、AIIBなど最初から頓挫することは、理解できたはずてす。

最近の中国を見ていれば、AIIBに参加することの意義などほとんどないことが良くおわかりになると思います。何しろ、中国国内からの資金流失が止まらずとにかく、中国からドルがとめどもなく海外に流れています。

実態経済も、中国政府は7%台の成長などとしていますが、これは出鱈目です。李克強指数などからみれば、7%どころか、マイナス成長の可能性が高いです。

以下に李克強指数の推移のグラフを掲載します。


少し古い統計ですが、この李克強指数に基づき、経済成長率を推測したグラフを以下に掲載します。


これは、2013年7月当時精華大学准教授のパトリック・ショバネック氏による推計です。赤の線が李克強指数で、青の線がいわゆる「本当の」成長率です。

これをご覧いただけるとおわかりのように、2013年5月当時の成長率は2%ということです。この推計が正しいものとすれば、13年当時と比較すると、最近はかなり経済が落ち込んでいますから、おそらくはマイナス成長になっていると考えるのが妥当でしょう。

さて、中国内からの海外への資金流出に関するグラフを以下に掲載します。


これも、直近のデータはありませんが、2014年から資金流失は顕著となり、外貨準備高も減少傾向にあったことがわかります。現状では、もっと酷いことになっているはずです。

もう、2015年には、中国の実体経済はかなり悪く、資金流出も顕著であることがはっきりしていました。これを理解していれば、AIIBに参加すべきなどということは、軽々に言えるはずもありません。

2015年3月28日朝日新聞朝刊 馬鹿の証、それとも中国スパイの証?
それに最近では、株価も低迷しています。しかし、昨年は年頭から、実体経済の悪化や、資金流出がとんでもないことになっていることはわかっていましたから、株価も低迷してとてつもないことになることは、予測できたはずです。

中国のAIIBなど、ブラック企業の経営者が、会社の業績が酷く悪く、資金もとめどもなく流出して当座の金もなくなっているときに、派手な粉飾決算を行い、その粉飾決算を元に、銀行に金を出せと迫っているようなものです。

そうして、この文脈では、銀行は日米です。他のEUなどの国々は、ブラック企業でも、儲かりさえすればということで、ブラック企業の経営者の口車に乗ったようにみせかけ、様子見をしたというにすぎません。ブラック企業が、儲けにも何にもならないということになれば、実質離れていくのは目に見えています。

にもかかわらず、昨年AIIBに日本が参加すべきと主張した連中は、中国スパイか、もしそうでないというのなら、相当の馬鹿野郎です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2016年1月17日日曜日

やさしいデータと数字で語る「フクシマ」の虚と実 雇用は激増 離婚は減少 出生率もV字で回復―【私の論評】行動するなら感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!




「福島は危険だ」「福島の人は怯え苦しんでいる」──震災から5年、未だ情緒的な文脈で語られる「フクシマ」。しかし、誰にでも入手可能なデータと数字を分析するだけで、そこには、容貌を異にした実態が見えてくる。福島出身、31歳の社会学者、開沼博が記す「福島の虚と実」。

***

はじめに3つの問いから。

(1)福島に暮らしていた人のうち、どれくらいの割合の人が震災によって、現在県外で暮らしているか?

(2)直近(2015年11月)の福島の有効求人倍率は、都道府県別で全国第何位か?

(3)3・11後の福島では「中絶や流産が増えた」「離婚率が上がった」「合計特殊出生率が下がった」のうち、どれが正しい?

答えは、

(1)約2・2%

(2)4位

(3)出生率のみ正しい

いかがでしょうか?

抱いていた「福島」のイメージと実際の姿との間には、かなりのギャップがあったのではないでしょうか?

今年で東日本大震災の発生から5年、節目の年を迎えます。3月11日には、大々的なマスコミ報道が為されることでしょう。

「福島の問題は絡(から)みにくいんですよね……」

私は震災後、福島大学の特任研究員や、復興庁の生活復興プロジェクト委員などを務め、社会学の観点からフィールドワークや統計の分析を続け、福島の動きについて研究してきました。その中で先のような言葉を耳にします。曰く、「福島難しい」「福島面倒くさい」──。善意もあるし、困難な問題を解決してきた実績もある人たちが、福島と付き合うことに高い壁を感じているようです。

なぜか?

ポイントは3つあります。福島の「過剰な政治化」「過剰な科学化」「ステレオタイプ&スティグマ化」。

「政治化」「科学化」についてはおわかりだと思います。

福島と言えばやはり思い浮かべるのは、「原発」「放射線」。二項対立化しやすく、違うイデオロギーを持つ人同士の溝を埋めることが困難に見える。「声の大きな人」に絡まれそうだから普通の人は意見を言わなくなる。


声の大きな人が必ずしも福島の真実を語っているわけではない

また、福島の問題に言及しようとすると、科学的に高度過ぎてわかりづらい。ヨウ素、セシウム134に137、汚染水や地下水バイパス……。今から勉強し直すのはかなり厳しい。

そして何より、福島は、過度に固定観念(=ステレオタイプ)化された中で語られています。福島は、「避難」「賠償」「除染」「原発」「放射線」「子どもたち」という6つのキーワードとしばしば結び付けられますし、逆にそれ以外と結び付けられて語られることは少ない。

しかし、福島の問題はこの「6点セット」が全てではありません。こればかりが語り続けられる中で、現場で常にアップデートされている様々な問題は看過され、一方で多くの人は福島に“飽きている”。

加えて、今、目の前にパソコンがあれば、googleの検索画面に「福島」「農家」と打ち込んでみてください。「人殺し」「死ね」というワードが自動的に表示されるでしょう。同様に「福島」「子ども」と打てば、「甲状腺がん」「奇形」、「福島」「病気」なら「放射能」「隠蔽」と出てくる。これはサジェスト機能と言って、一般に数多く検索されている語句の組み合わせが表示されるものです。既に福島には、相当強いスティグマ=負の烙印が押されている。つまり、それに言及しただけで、誰かを傷つけうると、タブー化され始めています。

かくして、「絡みにくさ」が増大し、福島について語ることは、大きな壁となって私たちの前にそびえ立ち、固定化されてしまっている。

他方、「福島では今もみんな避難したがっている。放射能に恐れおののき避難者は増え続けている」「福島では農林水産業、製造業、観光業など多くの産業に多大な影響が出て、失業者が急増している。ハローワークに行っても求人票がない」「原発事故のせいで、人々が分断され離婚が急増した。福島で子どもを持つことに不安を抱く女性ばかりになって“産み控え”が続いている」という「俗流フクシマ論」が蔓延(はびこ)っている。データを見れば明らかですが、全部大嘘です。多くの人が大嘘を真面目に信じこんでしまっている。

これが4年半経った今の現状と言えるでしょう。

これは憂うべき状況です。

そこで、私は2つの方針を立ててみました。一つは、先の6点セットをあえて外し、他のテーマから福島の現状をあぶり出してみること。そして、政治的な立場や予断ではなく、データと理論を用いながら福島について語ること。これを基に、私は『はじめての福島学』という本を上梓しました。それを下敷きに、改めて福島についての現状を捉え直してみたいと思います。

■1日何十件ものデマ

冒頭の問いに戻ります。

まず(1)の福島の人口について。私はこれまで講演会やシンポジウムの度にこの質問を繰り返してきましたが、「10%くらい」「3割」「40%とか」と、様々な答えが返ってきます。しかし、実際は4万3497人(15年12月10日時点)で「2・2%」ですから、福島の人口流出は10倍誤解されていると言って良い。人口の何十%もが県外に大流出しているなんてことはなく、多くの人は県内に住み、生活を続けている。これが福島の実態です。

もうひとつ重要なのは、この人口流出・減少が福島だけの問題なのか、ということです。福島の10年の人口は202万人、14年は193万人。減少率は4・5%です。一方、同じ時期の秋田県の減少率は、4・4%。青森や山形もこれに近い数字です。つまり、秋田や青森は、何もなくても、福島と同じくらいのレベルで人口減少が起きている。

農業についても、同じような誤解が生まれています。

「福島県の米の生産高は都道府県ランキングで、震災前の10年は何位で、震災後の11年には何位か?」

「福島県では放射線について、年間1000万袋ほどの米の全量全袋検査を行っています。そのうち放射線量の法定基準値(1キロあたり100ベクレル)を超える袋はどれくらい?」

答えは、それぞれ、「10年には4位、11年には7位」、「12年度が71袋、13年度が28、14年度が2、15年度がゼロ(15年12月30日時点)」。

前者については、そもそも作付面積自体が原発事故の影響で2割も減っていることから鑑みると、意外とうまくいっていると評価してもよいでしょう。後者については、1000万袋に対し、当初でも100袋未満。現在はゼロになっていることから見て、確実に良い方向に向かっています。しかし、SNSの世界では、数字を調べもしないで、毎日何十件も、「福島の作物を食べたらとんでもない被曝をする」といったデマを流している方が一定数いる。こうしたことから、「3・11で福島の農業は終わった。福島産の作物なんか“もう誰も買わない”“もう誰もつくらない”状況になっているに違いない」という偏見が生まれています。

同じ1次産業である漁業の数字は、より示唆的です。

「福島県の漁業の水揚量は、10年と比べてどれくらいに回復しているか?」

「76%」「15%」(14年)の2つの答えが出てきます。どういうことか?

「76%」は、「属人」による統計、つまり福島県に所在地をおく漁業経営体が水揚げした数字。県内に所在地をおく会社や個人の漁獲量は半分以上回復しているわけです。一方の「15%」は、「属地」による統計。福島県に水揚げされているものだけの数字です。

つまり、福島の漁師さんたちは、収穫物があっても他の県で水揚げする傾向にあることがわかります。その理由の一つは、風評被害によって福島に揚げても高い値段が付かないから。北海道でとったサンマや八丈島沖のカツオなど、沖合・遠洋でとれたものが福島で水揚げされたからと言って、リスクが上がるということは科学的にありえません。にもかかわらず、福島で水揚げされただけで、市場価格が下がってしまう。そのため、カツオの場合、11年に福島の小名浜で水揚げしても例年の半分以下、サンマも三陸などの6~7割の値段しかつきませんでした。こうして福島の漁港やその周辺の経済システムは停滞したまま。この点の復興はまだまだ途上段階だと言わざるをえないでしょう。

■人手不足の雇用市場

ここまで1次産業について述べてきました。が、これについても誤解がひとつ。実は、福島の1次、2次、3次産業従事者の割合は、それぞれ7・6%、29・2%、60%(10年)。3・11後、「土や水、風とともに生きる福島の人々の生活が根こそぎ奪われてしまった」みたいなノスタルジックな言い方が散々繰り返されましたが、あまりにステレオタイプなものの見方です。

では、その2次、3次産業はどうなっているのか?

冒頭の(2)の問い=「直近(15年10月)の福島の有効求人倍率は、都道府県別で全国第何位か?」

先に述べたように、答えは4位。数値は1・68倍。月によっては1位になることもあります。100人しか働き手がいないところに168人の求人が出ている状態です。つまり人手不足が起こっています。改めて言うまでもなく、背景にあるのは「復興需要による福島の雇用市場の活性化」です。

むしろ福島の製造業にとっては、震災よりリーマンショック(08年)の方が影響が大きかった。事業者数、従業者数、新製品出荷額、付加価値額、いずれもリーマンショック後の方が、震災後よりも落ち幅が大きいのです。逆に、福島の13年の企業の倒産件数は、10年の0・35倍。3分の1の値です。

昨年の11月の福島県の有効求人倍率を伝えるてれ

3次産業のうち、もっとも原発事故の影響を受けそうな観光についての数字も見てみましょう。

「10年と比べて、福島県に観光客はどれくらい戻ってきている?」

答えは「82%の水準まで回復している」(14年)です。原発のある「浜通り」は、やはり厳しく、6割弱の回復にとどまりますが、浜通りのいわき市にある「スパリゾートハワイアンズ」はかえって知名度を上げ、観光客を増やしています。「中通り」は9割以上、「会津地方」については、大河ドラマ『八重の桜』効果もあり、震災前よりも数字が伸びた時期もありました(14年は9割)。

他方、問題なのは、修学旅行客の数字が伸び悩んでいること。福島を修学旅行で訪れた人の数は、10年度の67万3912人に対し、14年度は35万704人。回復は52%に留まっています。この動きを指摘すると「被曝を避けたい親の不安を軽視するのか」などともっともらしいことを言う人が出てきます。ですが、例えば、飛行機で成田―NYを往復した時の被曝量は100マイクロシーベルトほど。これと同じレベルの被曝をするには福島第一原発の真横を走る国道6号線を50回以上通り抜ける必要があります。海外旅行をした方が、福島に行くより遥かに被曝する。不勉強と事なかれ主義を、「不安」などという言葉で正当化すべきではありません。

加えて、外国人観光客も回復していません。震災前に福島を積極的に訪れていた韓国、中国、香港、台湾、アメリカの観光客は、14年の数字で、10年の27%。特に、韓国は6%、香港は23%など、万単位の客が逃げてしまっています。これを呼び戻すことは不可欠の課題と言えるでしょう。

■善意の暴走
一番触れづらかった「家族や子ども」の問いについても、記しておきます。

冒頭の(3)の問い=「3・11後の福島では『中絶や流産が増えた』『離婚率が上がった』『合計特殊出生率が下がった』のうち、どれが正しい?」

答えは、先に述べた通り「出生率のみ正しい」です。

「震災離婚ってよく聞く」とか「チェルノブイリ事故の時には中絶が増えたって聞いた」という、俗流フクシマ論を耳にした人も多いのではないでしょうか。

しかし、流産は震災前後で変化はなく、中絶については、10年に妊娠100件あたり17・85だったのが、13年4~6月は16・24と、むしろ減少が認められました。離婚率も明確に下がり、10年の1・96に対し、14年は、1・64と全国平均より下。婚姻率も上がる気配を見せています。出生率については、確かに10年の1・52に対し、11、12年は1・48、1・41と「産み控え」とも見える現象がありました。しかし、13年には、1・53という全国最大幅のV字回復を示し、14年も1・58。震災前後で、先天奇形・異常の発生率に変化がないことは言うまでもありません。

ちなみに、福島の平均初婚年齢は、14年に夫が30・2歳で全国3位の若さ。妻は28・4歳で16年連続1位。ある面では、福島は、人が生まれないどころか、晩婚化、少子高齢化に抗するヒントが眠っているかもしれない県であるのです。

いかがでしょうか。

経産省の前に違法に設営された脱原発テント

私が述べたかったことは、「だから福島は元気です。ダメじゃありません」ということではありません。

依然、福島は重大な問題を抱えています。例えば、震災関連死。これは、建物の倒壊や火災、津波など地震による「直接死」ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡することを指します。その数は15年9月30日の時点で1979人。福島県内の震災「直接死」の死亡者1612人、行方不明者199人に匹敵する数字です。避難者のケアが後手に回り、避難を続けることが心身に大きな負担を与えています。

また、放射線への恐怖感から、子どもを外に出さないことによって、子どもの体力低下や肥満、虐待の増加なども指摘されています。

福島のことを怖い顔して時に怒鳴りながら語ったり、ものすごく難しい言葉で議論し続けたりするような人ではなくて、「福島のこと、知っておきたいんだけど、何か取っつきにくいし、でも今更聞けないよな……」と思っている「普通の人」に、問題を考える糸口を提示する。明らかになっているデータを基に、ぼんやりと思ったことを立証、あるいは反証していく。私も時には「福島は絶対危険なのにそう言わないお前は国と電力会社の回しもの」と罵られることがありますが、このアプローチこそが、膠着状態になっている福島を語る議論に風穴を開けられると考えています。本当に福島を応援したい人、「福島をどうしたらいいんですか」という問いを持つ人が、この問題に向き合うための「引き出し」を作ることが出来ると考えているのです。

福島の子どもがかなり被爆していると頑なに信じこむ人々も多い

勝手に福島県民を犠牲者と見なして憐憫の情を向け、悦に入る。「福島の人は立ちあがるべきだ」と上から目線意識の高い説教をする。脱原発、被曝回避運動に利用しようとする──。こうした「善意の暴走」は単なる「ありがた迷惑」です。

いま必要なのは、具体策もないまま「福島を忘れない」と優等生的な理念を唱え続けることでも、人々の不安につけこんだデマを妄信することでもありません。

例えば、福島のものを買ったり観光に行ったりする。仕事の中で関わってみる。そんな、日常生活の中の「買う・行く・働く」を通して接点を少しでも作っていくことなら誰でも気軽にできるでしょう。震災から5年。福島は「正しく」現状を知りながら「楽しく」関わる方法を探求すべき時期を迎えているのです。

開沼博(かいぬま・ひろし)
1984年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院の修士論文を書籍化した『「フクシマ」論』で毎日出版文化賞を受賞。他の著書に『フクシマの正義』『漂白される社会』がある。

【私の論評】行動するなら感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!


開沼博氏
上の記事現状の福島を等身大に知るためには、非常に良い資料だと思います。これを読んでいて、私は経営学の大家ドラッカー氏が、後世の歴史家が、第二次世界大戦中の統計資料をだけを見た場合、第二次世界大戦があったことなど気づかないかもしれないということを語っていたことを思い出しました。それについては、以前このブログにも掲載したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由―【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用させていただきます。
"
経済学の大家ドラッカー氏は、経済統計だけをみたとしてら、後世の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことなど、気づかないだろうとしています。


確かに、第二次世界大戦は世界中に大惨禍をもたらし、大勢の人が亡くなり、社会が混乱しましたが、経済統計だけを見ているとそうではないというのです。

これは、にわかには信じがたいことですが、第二次世界大戦で敗北した、ドイツや日本でも、確かに戦争の惨禍で、とんでもない状況にはなりましたし、物資も不足はしましたが、それでも、戦争中には普段よりもかなり多く、兵器を製造したり、軍隊にそれを支給したりして、大きな経済活動が営まれました。

さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します
この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。

簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。
1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。

終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。
"
現在の福島も同じことです。津波の被害が甚大だった、原発事故が甚大だったにしても、福島県全部が甚大な被害にあったということはないし、被害を受けたところだって、直後からかなりのスピードで復興しているわけですから、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態であり、ブログ冒頭の記事はそれを数値的に裏付けているわけです。

ブログ冒頭の記事では、経済的あるいは、人口動態的に福島か回復していることを示していまたが、被爆実態については示していません。これに関しては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
被ばく量「国内外で差はない」 福島高生、英学術誌に論文―【私の論評】発言するならこの高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!

 この記事では、福島の高校生らが、福島や県外、外国の放射線被ばく量を体系的に組織だって計測をして、その結果をまとめましたが、その調査結果が英国の放射能に関する学術誌に掲載が決まったことを掲載しました。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この高校生らが計測してわかった事実のみ以下に掲載します。


この結果から、福島県内、県外、海外においても、ほとんど差がないことが明らかになりました。

この事実を踏まえ、私はこの記事を以下のように締めくくりました。
いずれにせよ、何か発言したり行動するならこの高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行えと、声を大にして言いたいです。

そうして、こうした若者にさらに大きな機会を与える社会にしていきたいものです。
無論、上の記事で指摘しているように、依然、福島は重大な問題を抱えています。このようなことは、統計数値だけを眺めていてはみえないところがあります。

大東亜戦争のときも、経済などは瞬く間に復活したわけですが、戦争が人々の心に残した傷はなかなか癒えませんでした。福島でも、震災が人々の心に残した傷はまだ癒えていない部分があるのも確かです。

しかし、いずれにせよ、私達が福島と関わるときには、上のブログでも指摘していたように、いま必要なのは、具体策もないまま「福島を忘れない」と優等生的な理念を唱え続けることでも、人々の不安につけこんだデマを妄信することでもなく、「正しく」現状を知りながら「楽しく」関わる方法を探求すべき時期を迎えているということを十分に考えるべきと思います。

まずは、「正しく」現状を知ることが必要不可欠です。福島産の農産物や、漁獲物が危険だとか、現地に行けば大量に被爆すると思い込んでいては、そもそも、行動など起こせません。

やはり、行動するなら、この高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行えということを強調したいです。そうでなければ、いくら善意で行動したとしても、かえつて悪影響を与えかねないです。

善意だけでは何も変わりません。行動するなら、何らかの成果があることをすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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