2020年3月18日水曜日

PCR検査「リスクゼロ信仰」の危険性…簡易検査だと「5割は誤判断」 医療現場は崩壊?イタリアや韓国の轍を踏むな ―【私の論評】ウイルスの特性を知れば、PCR検査の誤判定の率が高さを理解できる(゚д゚)!

PCR検査「リスクゼロ信仰」の危険性…簡易検査だと「5割は誤判断」 医療現場は崩壊?イタリアや韓国の轍を踏むな 
高橋洋一 日本の解き方

PCR検査用機器

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がツイッターで、新型コロナウイルスのPCR検査を100万人分無償提供したいと表明したところ、批判が殺到し、撤回したことが話題となった。

 筆者は「簡易検査だと誤判定50万人になってしまう。カネで100億円寄付した方がいいんじゃないの」とツイートした。

 孫氏に限らず、国民全員にPCR検査をすべきだとの意見が聞かれるが、そこには検査の誤判断リスクが「ゼロ」という前提がある。正式な数字はないため政府関係者もはっきり言わないし、テレビなどでも言及されないのだが、誤判断の確率はだいたい3~5割だ。簡易検査だとこれをさらに上回る。というわけで、筆者は「誤判定50万人」とツイートしたのだ。

 誤判定50万人が出ると再検査が必要になるが、再検査でも誤判定はある。1割としても、まだ5万人の誤判定になる。

 これまでのデータからすると、100万人を無作為に選んだ場合、実際に感染している人はおそらく10人程度であろう。その10人を探すために貴重な医療資源が使われて誤判定が繰り返され、結果として医療現場が崩壊する。来院者の中には本当の感染者もいるので、感染は加速する。それが現実に起きたのがイタリアや韓国だ。

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長
 全国民にPCR検査をすべきだという人の多くは、誤判断リスクが大きいという事実を知らないのかもしれない。しかし、「リスクゼロであるべきだ」という前提の人もいるようだ。そうした意見を唱えることはありえるが、実際にはリスクゼロはないので、それを前提としてはいけない。

 しかし、事実を伝えると逆ギレし、極端な行動に出る人もいる。原発について、リスクがゼロではないと言うと、「リスクが大きいのなら即時廃止すべきだ」と主張する。豊洲市場でも、「地下水が飲料に適さない(リスクはゼロでない)」というと、「リスクが大きいので豊洲市場廃止、開場延期だ」と騒ぎ立てた。

 原発は短期的なリスクはゼロではないがほぼゼロだ。長期的なリスクは対処するための保険料負担が無視できないので、新設を禁止するのは分かるが、即時廃止は合理的ではない。

 豊洲市場の地下水も飲料には適さないとしても、適切な措置をすれば地上の生活の安全には問題ないという意味で管理できないリスクではないので、開場延期までする必要はなかった。

 いずれもリスクについて、「ゼロでないのなら大きいはずだ」という雰囲気に流されず、定量的に理解していれば判断を間違うこともなかっただろう。

 新型コロナウイルスの全数検査の件でも、誤判定率が3~5割などと具体的に示しておけば、無駄な議論は避けられたはずだ。

 冒頭の孫氏の申し出は、恐らく善意だったのだろう。検査提供にお金を投じるよりも、ワクチンや特効薬の開発に寄付するほうがより社会のためになると筆者は思っていたが、孫氏は検査を撤回した後、「マスク100万枚の寄付」に切り替えたようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ウイルスの特性を知れば、PCR検査の誤判定の率が高さを理解できる(゚д゚)!

PCR検査をできるだけ実行すべきと主張する方々は、正しく判定される率が100%かそれに近いと無意識に思われているのではないかと思います。しかし、これは間違いであり、誤判定率が3〜5割もあるのです。

なぜ、そのようなことになるかというと、ウィルスのやっかいな性質によるものです。ウイルスは細菌とは違います。

ウイルスは生物ではなく、遺伝情報が入ったカプセルに過ぎず、それ単体では増えることはありません。つまり人間が簡単に培養することはできません。



それでも、無理やりウイルスを「培養」しようというなら、何らかの細胞にそのウイルスを「感染」させて、その細胞の工場機能を使って増やしてやるしか手がないのです。

「ウイルス」には「遺伝情報」が入っているだけ、DNAやRNAと呼ばれる「核酸」に、自身のたんぱく質合成のレシピが書かれているだけの、生命のかけらに過ぎないのです。

もし何らかのウイルスに感染しているかどうか、調べようとしても、微量であれば私たち人間は、確認することができません。

しかし、これがウィルスでなくて、細菌、雑菌等の「ばい菌」の類であれば、生きているので培養地に植えつけてやれば、カビのように増えてくれるので、検査しやすくなります。

とはいいつつ小さなばい菌で、定かに目で見ることは難しいです。そこで「グラム染色」などの方法によって識別しやすいようにしたうえで、顕微鏡で観察し、同定していきます。

ところが「ウイルス」単体は、遺伝情報の書かれた物質ですから、そのままでは増えません。

精子や卵は生きていますが、それでも受精しなければ育つことはありません。ここから遺伝子だけを取り出してカプセルに入れたような形が、ウイルスの実態に近いのです。

単体では増殖することははなく、何かに寄生しないと増えることができません。

そこで「ウイルス」を増やすために「細菌に風邪をひかせる」ような「細菌を用いたウイルス培養」が行われます。

より正確には、適切に働いてくれる細菌細胞などを見つけてきて、可哀そうですが、その細菌たちにコロナウイルスなどを「接種」して感染させ、そこで増やして、私たち人間が確認できるところまで増殖させる、というような手順が必要になるのです。

ところが、そうした増殖系細菌細胞が見つかっていない、今回のような「新型コロナウイルス」のような場合には、遺伝子そのものを調べなければ、分かりません。

しかし遺伝子は物質の量としては本当に極微量なので、何らかの方法で、私たち人間が巨視的にチェックできるところまで、増やさなければ、調べることはできません。

そのために用いられているのが、最近 マスコミで報道されるようになった、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)というものです。

これは、遺伝子そのものを「ポリメライズ」つまりコピーして増やす酵素を使って、直接遺伝情報を読み出してやろうという革命的、画期的な方法です。

実際、発見者のキャリー・マリスは1993年度のノーベル化学賞を受賞しました。

私生活は破天荒とされるキャリー・マリス博士

ここで重要なことは、PCRは「遺伝子」を増やすということです。ウイルスそのものを増殖しているわけではありません。

ということは、適切に消毒され、周囲のボツボツカプセルが壊れた、残骸だけのコロナウイルスの「遺物」が残っているだけでも、それを「PCR」で遺伝子増殖させると、陽性反応が出てしまうことになります。

つまり、検査を受ける本人はウイルスに感染していなくても、そのDNAのかけらが採取され、増幅されてしまったら、検査結果は陽性となってしまうことがあるのです。

「偽陽性」発生の一つのメカニズムがここにあります。

コロナウイルスは「菌」ではなく「ウイルス」であること。ウイルスは単体では増殖ができず、新型コロナのような新参者は、細菌に接種・感染して増殖する方法が確立されていないこと。

そこで遺伝子を直接チェックして、確認同定するため、PCRという遺伝子チェックの方法に頼っているのが現状なのです。

しかし、この検査では、遺伝子だけを見ているので、ウイルスのカプセルが破壊されて、機能していなくても「PCR検査で陽性」と言われてしまうことがあるのです。

わかりやすい例えて言うなら、家の中のダストを分析したら、大昔に死んだおじいさん、おばあさんの毛髪が混ざっていて、そのDNAが検出されるようなものだと思ってください。

遺髪には、すでに生きていない人の遺伝情報だけはしっかり残っています。それを解読したからといって、死んだおじいさんやおばあさんが生き返ってくるわけではありません。

同じような原理的な困難が、PCR検査には伴っているのです。

コロナウイルスPCR検査の感度は、上記のように誤判断の確率はだいたい3~5割です。簡易検査だとこれをさらに上回ります。偽陰性、偽陽性もあり得ます。つまり、軽症や無症状の人に対しても広く検査を行うことは、偽陽性者の絶対数が増えることになり、感染率がいまだ低い状態下では、陽性的中率が低下します。罹患していないのに検査で陽性となる人が増えるのです。

そうすると、これらの人たちは必要ない隔離等を強いられることになります。現在では、陽性者は措置入院になることが多く、すぐに病院のベッドが埋まってしまって、重症者を受け入れられなくなります。そもそも、軽症の人は診断されても治療がありません。いずれは自宅待機になるでしょう。

限られた医療資源を活用するためには、検査前確率の高い濃厚接触のある有症状者や肺炎例に限って検査を行うほうが合理的です。このような考え方は、臨床に携わっている医師や専門医の共通した認識のようです。

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2020年3月17日火曜日

ノーベル賞作家、中国が「独裁国家」でなければ事態は違った 新型コロナ―【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!


2010年ノーベル文学賞を受賞したマリオ・バルガス・リョサ氏

ペルーのノーベル賞受賞作家マリオ・バルガス・リョサ氏(83)が新型コロナウイルスの流行について、中国が民主国家であれば、新型コロナウイルスの流行は違う展開をたどっていただろうと言及した。(写真はマリオ・バルガス・リョサ氏)

 中国政府は16日、リョサ氏が「無責任で偏見に満ちた意見」を表明した可能性があるとして、同氏を非難する声明を発表した。

 2010年にノーベル文学賞を受賞したリョサ氏は最近スペイン紙パイスとペルー紙レプブリカに執筆した論説で「もしも中国が独裁国家ではなく自由な民主国家だったら、今世界で起きているようなことはどれも起きていなかったかもしれない、とは誰も指摘していないようだ」と記した。

 一党独裁国家で反体制派に容赦ない弾圧を加えていると人権団体などから広く批判されている中国は、このリョサ氏の言及に激怒し、在ペルー中国大使館が抗議声明を発表。

 「わが国は表現の自由を尊重しているが、そのことは恣意(しい)的な中傷や汚名を受け入れることを意味するものではない」と述べた。

 また中国大使館はリョサ氏に対し、「著名人として、無益で無責任、偏見に満ちた意見を広めないよう」求めると述べた。

 リョサ氏は同じ論説の中で、「少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽(いんぺい)を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込もうとした。すべての独裁国家がそうするようにだ」とも述べている。

 リョサ氏はまた新型コロナウイルスは「中国が発生源」とも表現しているが、中国大使館はこれを「不正確」だと指摘。「世界保健機関(WHO)は現段階まで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生源を特定できていない」と反論した。

 新型コロナウイルスは中国湖北省の省都・武漢の市場で発生したというのが大方の見解となっている。

【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!

私は、中国は世界に謝罪スべきと思います。そうして、中国が世界に謝罪しなければならないのは、新型疫病が最初に確認された国だからではありません。中国が発生源だろうが、他のどこの国が発生源であろうと、中国が初期段階で情報隠蔽を行ったことで疫病が世界に蔓延したからです。

しかかし、中国は謝罪するつもりなど全くありません。それは、「人民網日本語版」の記事を見ても明らかです。この記事タイトルからして高飛車で、とても納得できるものではありません。

国営新華社通信は3月初め「正々堂々と言う、世界は中国に感謝すべきだ」とのタイトルの論評記事を掲載しました。「中国の巨大な犠牲や努力なくして、世界各国は感染と戦う貴重な時間を得ることはできなかった」と強調しました。

先に感染と戦った中国はその姿を見せ各国が対策を準備する時間を稼いでいた。感染が広がったのは、各国が中国の経験や教訓を重視しなかったからだ、ということになります。ネットには「中国は教科書だ」、「宿題を書き写すように」と自らを手本にすべきだとの声が見られます。宿題を書き写すとは「他人の方法を真似する」という意味で使われる表現で、「他国は中国が成功した感染対策をやるように」という意味です。

中国共産党の機関誌・人民日報(日本語版)は、“国際社会に感染拡大防止協力を促す習近平国家主席の言葉”との特集を掲載。1月以降に習氏が各国要人との会談などの際に話したとされる「感染情報を速やかに発表し、国際協力を深めなければならない」(1月20日)など多くの言葉を並べ、中国は国際社会に協力を促してきたと強調しています。

習氏を英雄化し感染源は中国ではないなどとアピールする背景には、国内の不満の高まりを抑える思惑があるのでしょう。中国政府が情報を隠蔽し、警告を鳴らす医師らの声を封じ込め、対策が遅れて感染が拡大したとの不満は国民の間でも強いです。

多くの人が犠牲になったことを国民は忘れていません。現地の様子を伝えるジャーナリストの声も封じ込める言論の自由の抑圧にも怒りが高まります。封鎖が2ヶ月近く続く武漢など湖北省では住民が怒りの声をあげる例も出てきています。

習氏は武漢訪問の際、「武漢市民は英雄だ」と持ち上げ、「自宅待機が長くなり不満の一つも言いたくなるのは理解できる」と、不自由な生活にストレスを溜める市民に配慮する姿勢さえ見せました。しかし今後、経済的な影響も出てくれば、さらに国民の不満の声に直面することになります。批判をそらすための国内外へのアピールは続くでしょう。

中国が言うように、日本や世界各国は中国の状況を見ながら“明日は我が身”とどのくらい考えていたでしょうか。中国の都市封鎖や監視による隔離などを「自分の所ではあり得ない」と考えていなかったでしょう。いまイタリアでは医療崩壊が起き、世界各地で都市機能を停止させる対策が始まっています。

これらは、すべて中国を信用したことが原因なのです。12月末から1月あたりには、ちらほらと新型ウイルスが中国で発生しているかもしれないということは言われていました。しかし、まさか中国が2ヶ月近くもこれを隠蔽するとは、大方の国々が考えていなかったのです。

ここに大きな油断がありました。中国では、2002年11月中旬に中国広州地域でSARSが発生しました。しかし、翌年2月11日で、広州地域の患者数は300人に達していました。3月に入り、中国国内および周辺の複数の国から「原因不明の急性呼吸器系疾患」が相次いでWHOに報告され、その疾患であるSARSは、その後アジアを含めた世界各地に拡散、短期間の内に患者数が激増し、大きな社会不安が引き起こされました。

WHOの集計(2002年11月~003年7月31日)によると最終的には感染者数8098例、死亡者数774例で死亡率9.6%に達しました。中国政府の隠蔽により、WHOに報告されたのは2月11日と発生から約3ヶ月も経過し、対応策が遅れたことが、急拡散の要因でした。

SARSを警戒し、感染予防のマスク姿が目立つ香港便の乗客たち=平成15年4月、関西国際空港

この時は江沢民がなんとか胡錦涛政権にバトンタッチする時(2003年3月の全人代)まで公表を延ばし、胡錦涛のせいにしようとしたために、公表を恣意的に遅らせたとみられています。これも、とんでもないことですが、中国では当たり前のことなのです。中国は諸外国なとは関係なく自分の国の都合で動く国なのです。

この時に、中国は世界中から非難されました。このときにかなり批判されたので、中国も少しは反省したのではないかとの油断が、多くの国々にあったのだと思います。

本来ならば、多くの国々が中国が正式発表しないことなど全く信用せず、最初から疑いの目で、色眼鏡でみて、すぐにでも対策を講じるべきでした。しかし、ここに伏兵がもう一人いました。それがWHOのテドロス事務局長(エチオピア人)、WHOは30日夜ようやく緊急事態宣言を出すも、中国への渡航・交易制限を否定し、むしろ中国の努力を評価した。事務局長と習近平のチャイナ・マネーで結ばれた仲が、人類の命を危機に向かわせていたのです。その罪は重いです。

WHOのテドロス事務局長と習近平

WHOのテドロス事務局長(エチオピア人)と習近平国家主席とは入魂の仲である。テドロスは2005年から2012年まではエチオピアの保健大臣をしていたのですが、2012年から2016年までは外務大臣を務め、中国の王毅外相とも非常に仲が良いです。

エチオピアは「一帯一路」の要衝の一つで、たとえば鉄道建設などにおいて中国が最大の投資国(85%)となっています。チャイナ・マネーなしではエチオピアの国家運営は成り立たないのです。そのことを熟知している中国は、それまでの香港のマーガレット・チャンWHO事務局長の後任選挙でテドロスの後押しに走り回ったのですが、2017年5月23日のWHO総会における選挙で見事に成功している。中国の狙い通りテドロスが当選し、2017年7月1日に事務局長に就任したのです。

前任のマーガレット・チャンに関しても中国が水面下で動いていたが、習近平政権になってからのチャイナ・マネーの威力は尋常ではありません。

前任のマーガレット・チャンに関しても中国が水面下で動いていたが、習近平政権になってからのチャイナ・マネーの威力は尋常ではありません。

WHOがこの有様で、中国の大きな影響下にあるため、緊急事態宣言が遅れたことも武漢ウイルスを世界に蔓延させることにつながったのです。

多くの国々の指導者達は、エチオピアと中国との関係など意識しなかってでしょう。特に大事なウイルス感染初期段階にはそうで、すぐには思い切った手が打てなかっのでしょう。

武漢ウイルスの蔓延は、中国とWHOにあるのは明らかです。死者もすでに多く出ており、これからも死者が出る可能性もあります。現在は、各国がウイルスの蔓延に対処することに注力していますが、一旦落ち着いたり、終息した場合には、世界各地で中国とWHOに対して、批判などではなく、怨嗟の声があがることでしょう。


親しい人、愛する人を失った人々、感染してひどい目にあった人たち及びこれらに惻隠の情を禁じえない人々は、この不条理を生涯忘れないでしょう。自分の過ちを認めない、上から目線の中国共産党に対しては、世界中の多くの人々がこれを認めないでしょう。米国の対中国冷戦は、世界中の多くの国民から支持されることになるでしょう。たとえ、自国の政府が親中的であったにしても、支持するでしょう。

このような事態に遭遇した人たちは、ウイグルやチベットの人々に対してもさらに深い理解を示すようになるでしょう。迫害されている他の中国人民の気持ちも理解できるでしょう。

日本では、習近平の国賓待遇での来日は延期されましたが、仮に世界でウイルス感染が終息(WHOルールに基づき、終息とは「新規感染者数ゼロが4週間続くこと」)した後に招くことになったとしても、多くの日本国民は許さないでしょう。そんなことをすれば、自民党が命脈を絶たれ再び下野するか、少なくとも自民党内の親中派は次の選挙で日の目を見ることはなくなるでしょう。

習近平は、武漢ウイルスのマイナスダメージを天皇拝謁で払拭しようとするでしょうが、そのようなことに天皇陛下をみすみす利用させてしまう政府、もしくは政府内の親中派を決して日本国民の多くは許しはしません。

こういう怨嗟の声は、今後の世界を大きく変えることでしょう。

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2020年3月16日月曜日

見えてきた「新型コロナ終息」のタイミング…東京五輪に間に合うか?―【私の論評】日本は速やかにかつてないほどの積極財政と金融緩和策を実行しなければ、とんでもないことになる(゚д゚)!

政府のかわりに、データから予測する

「先行き不安」いつまで続くか

先週、内外の株式市場は大波乱だった。連日パニックになっているようだ。筆者は仕事柄、日頃から欧米のニュースを見ているが、話題は新型コロナウイルス一色だ。ほとんどの国で外国からの入国制限措置が取られ、イベント、遊園地や学校の休校と、少し前の日本での大騒ぎとほとんど同じである。

一部の国は入国制限を日本より強烈にやったので、一般国民の生活に大きな影響も出た。この結果、アメリカ株式市場は大乱高下している。恐怖指数(株式市場のボラティリティ予想)は80近くに達しており、リーマンショック時に近づいている。



リーマンショック時には、サブプライムローン問題により多くの金融機関が倒産した。倒産した金融機関が、すぐに復活するはずもない。アメリカ政府の財政支援の後、消え去った金融機関もあり、長い期間をかけて再生した金融機関もあった。

そして、アメリカ政府による積極財政と大規模な金融緩和政策が実施され、ダウ平均は半年後で底値となり、2年あまりでリーマンショック時の水準を回復した。

一方日本では、政策発動が遅れたばかりか、2009年の民主党への政権交代、2011年の東日本大震災などの影響もあり、日経平均は長らく振るわなかった。株価回復には、民主党から自民党安倍政権への政権交代を経て5年を要した。

今回の新型コロナショックの本質は、先行き不安である。人の移動制限による観光業への痛手は大きく、イベント休止など、目に見える形で「需要」が消滅している。

ただ救いといえるのは、まだ企業の倒産がそこまで顕在化していないことだ。需要の消滅も当面のものと考えられるので、感染拡大が落ち着き、ワクチンなどが開発できれば、再び経済も活発化してくるだろう。

こうした意味で、当面の企業倒産リスクを防止するとともに、一時的な需要の消滅を解消するために、可処分所得を増加させるような財政政策の発動が求められる。

「消費減税」もありうる

こうした状況において3月14日、安倍首相が記者会見し、「今後も必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れず講じる」とした。具体的に消費減税などの可能性について述べたわけではないが、少なくとも「自民党内の提言を踏まえる」とし、否定はしなかった(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0314kaiken.html)。

消費減税については、水面下でいろいろとあるようだが、麻生財務相が13日の記者会見でかなり明確に否定した(https://www.sankei.com/economy/news/200313/ecn2003130032-n1.html)。それを安倍首相がやや引き戻した感じだった。

コロナショックで経済対策を打つことは決まっているが、はたしてどのような規模になるか、そこに消費減税が含まれるかどうかは、今後の政治次第であろう。

筆者は本コラムで、消費増税→コロナショック→東京五輪(中止・延期)ショックという最悪のシナリオをかなり前から懸念していた。そしてそれを防ぐために、消費減税を含むかなり大規模な経済対策の必要性を書いてきた。

そうした主張は、新型コロナウイルスの状況や五輪の検討状況からある程度理詰めで導出してきたが、今回は、新型コロナウイルスの今後の経過を考えてみよう。

「長期化」の具体的見通しは?
新型コロナウイルスは中国だけでなく、まず韓国、ついでイラン、イタリアやフランスなどでも爆発的に広がり、日本の専門家会議も長期化の可能性を指摘している。

現在はイベントの自粛や学校の休校、中韓からの入国規制といった措置が続いているが、今後どこかのタイミングで通常の生活に戻したほうがいいのか、それとも自粛や経済活動縮小も長期化を覚悟するべきか。

政府は2月26日、「この1~2週間が感染拡大防止に極めて重要」としてイベントなどの自粛を要請した。3月10日には、さらに10日間程度この自粛要請が延長された。

各国の感染状況については、新規感染者数を毎日丹念に追って見ていくのが基本だ。

新型コロナウイルスの発生元である中国では、2月中旬ごろにピークを超えたとの見方もあるようだが、2月中でも少なくとも3回の統計方法の変更があり、情報の信頼性が乏しく定かではない。習近平主席が号令をかけてウイルスが終息するわけでもない。いい加減なデータから中国の状況を過信し、日本が入国制限を解除したら、国益を保てない。

韓国はようやく落ち着いてきたが、イラン、イタリア、フランスなどでは依然感染拡大が落ち着いておらず、予断を許さない状況だ。

日本はそこそこ頑張っている

各国の状況は、下図のとおりだ。


この図の縦軸は、対数目盛である。つまり、目盛が一つ上がると桁数が一つ上がる。各国の数字から、おおよその傾向が見えてくる。

図の中で、「欧米・イラン・韓国」と「台湾・シンガポール・日本」の傾きが、明らかに異なっているのがわかる。こうしてみると、本コラムでも書いたように、日本はクルーズ船対応ではやや手違いがあったが、それなりに健闘している。台湾・シンガポールが優クラスとすれば、その次くらいの良クラスといえるだろう。

こうした評価をすると、「日本は検査数が少なすぎるから感染者数も少なく出ているのだ」という批判が必ず出てくる。筆者も、もう少し余計に検査すれば感染者数がやや多くなることは理解できるが、医療のキャパシティという事情もある。これは、3月2日の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70767)を読んでほしい。

筆者も感染者数のデータだけを見ているわけではない。死亡者数や検査での陽性率などのデータも見ている。それらを国際比較すれば、結論としては、検査を増やしても、日本の感染者数の桁が変わるほどの顕著な違いは出ないと思う。

こうした意味でも、縦軸を対数目盛として各国を比較することに意味がある。日本はそこそこ頑張っていると評価できるだろう。

日本はこれからどうなる?

問題は、これから日本の状況がどうなるかだ。

これは極めて難しい問題だ。14日の安倍首相の記者会見について、一部野党から「終息予測を回避している」という批判があった(https://www.sankei.com/politics/news/200314/plt2003140032-n1.html)。

こうした批判を言うのは簡単だが、実際にいつごろ終息するのかをきちんと考えるのは難しい。

筆者が政府内にいたら、足を引っ張られるので正式には言わないだろう。ただし、今は自由な立場なので、本コラムで明かしておこう。

これは、感染者数予測モデルから計算することが可能だ。WHOルールに基づき、終息とは「新規感染者数ゼロが4週間続くこと」を指すとしよう。こうして厳密に言葉を定義しないと、計算できない。一部野党の議員などは、こうした定義もおそらく知らずに暢気に批判しているのだろうから、気楽なものだ。

これまでの厚労省データから、国内の累積感染者数について、筆者は次のように予測している。これは、筆者の「ドタ勘」も含まれたものだ。


ここから、新規感染者数を予測すれば、次のようになる。


筆者は、各種の移動制限が功を奏しているものの、ピークが後ズレしているので、今月中旬頃にピークが来ると予想している。そうであれば、4月上旬には新規感染者数が落ち着き、4月下旬から5月上旬にはあまり見られなくなると予想できる。各種の自粛や規制は、今月下旬か月末までが一つのメドになるだろう。

正直、あまりフィットしていないので、手持ちのデータから予測するのは心苦しいが、それでもおおよそのことはわかると思っている。少しでも今後の見通しを立てる一助となれば幸いだ。もっとも、筆者の予測は自己責任で扱ってほしい。あくまで、現在の施策が継続するとして機械的に計算したものだ。もちろん、時期もピンポイントではなく前後に一定の幅を持って見るべきものだ。

日本で「終息」といえる時期は、どう頑張っても、5月下旬から6月上旬にならざるを得ないだろう。もちろんそのときには、世界ではまだ「終息」していないことは言うまでもない。

まだ拡大のピークを迎えていない欧米で、強烈な規制が行われている。入国制限、イベント・スポーツ大会中止、学校休止など、日本と同じ政策が実施されている。どこの国でもやることは似たようなものだ。

こうなってくると、東京五輪にも暗雲が出始めた。リーマンショック時と同じような経済対策が必要になっている。

【私の論評】日本は速やかにかつてないほどの積極財政と金融緩和策を実行しなければ、とんでもないことになる(゚д゚)!

3月14日、首相官邸で開いた記者会見で、安倍首相は武漢ウイルスの感染拡大を受け、感染拡大防止に力を注いだうえで「機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じる」と強調しました。3月末に2020年度予算が成立次第、安倍首相は正式にその策定を指示する見込みです。

まだハードデータは少ないですが、足元の景気は広範囲にわたって急速に悪化しています。景気ウオッチャー調査(2月分)現状指数は27.4で、前の月から▲14.5pt悪化(消費税率が8%に引き上げられた2014年4月以来の大きな下落幅)、3月1~9日の東海道新幹線の乗客が前年同期比▲56%減と、びっくりするような数字が出始めています。自粛が一気に広がった3月のハードデータが明らかになる4月には、かなり広範囲にわたって経済活動が急速に収縮している姿が明らかになるでしょう。



3月15日、西村経済財政・再生相はテレビ番組に出演し、武漢ウイルスの拡大が日本経済に与える影響について、「リーマン・ショック並みか、それ以上かもしれない」との認識を示した上で、「インパクトに見合うだけの、それなりの規模のものをやらなくてはいけない」と発言しています。

2008年のリーマン・ショックは、生産などが3割以上減少するなど、実体経済に甚大な影響を与えました。その際、2009年4月に麻生内閣が出した経済対策は、事業規模で56.8兆円(真水115.4兆円)に上るものでした。安倍第二次政権における最大級の経済対策は、2016年8月「未来への投資を実現する経済対策」であり、事業規模は28.1兆円(真水6.2兆円)でした。今回策定される経済対策も、これらと同程度か、それ以上の規模が視野に入ってくるでしょう。

今回の対策は、感染拡大防止・医療体制強化、危機対応(できるだけ失業、倒産を回避する策)、需要喚起策などが柱となるでしょう。

現在、報じられている需要喚起策は、現金給付・クーポン支給策、テレワーク強化、観光業や外食産業を盛り上げるキャンペーン、企業の生産ラインの国内回帰を支援する策などです。

これだけ国内の消費活動が落ち込んで来ると、新型コロナウイルスが少し落ち着き始めた際には、消費行動を強烈に後押しする策が必要になるでしょう。現金給付や所得税減税なども検討の俎上にのせられるでしょうが、それらは貯蓄に回りがちなため、より積極的に消費者の背中を押す仕組みが必要になってきます。

実効性のある経済対策が出てこない限り、投資家の慎重姿勢は変えられず、金融市場も落ち着きません。今後、需要喚起策や生活支援策として、消費税の引き下げが焦点となるでしょう。安倍首相は、自民党の一部議員が訴えている消費税の税率引き下げについて、「何をすべきかはこうした提言も踏まえ、さまざまな可能性を想定しながら、経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたい」と述べています。

ここで、注目しなければならないのは、慢性デフレ下の消費税増税という安倍晋三政権の自滅策です。増税は家計を圧迫し、内需を萎縮させ、前述した負の連鎖をより強固にする。12年12月にアベノミクスを始動し、円安、株高に誘導したものの、14年4月、そして19年10月の2度にわたる税率引き上げで内需を殺しました。

昨年10~12月期の国内総生産(GDP)第2次速報値は前期比年率7・1%減にも及ぶ。そこに新型コロナ・ショックの追い打ちだ。安倍首相は自身のメンツにこだわらず、増税の失敗を認め、大型消費税減税を打ち出すべきなのです。

安倍総理は、大型消費税減税を打ち出すべき
さらに、金融政策に関しては、以前のこのブログでも主張したように、FRBが利下げするのですから、日銀としては、利下げはもうできないので、量的緩和を実行すべきなのです。そうしないと、円高と深刻なデフレを招くのは必定です。

日本は、かつてない規模で、積極財政と量的金融緩和策の両方を速やかに実行しなければ、とんでもないことになります。

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2020年3月15日日曜日

コロナ患者の入院先が特定、病院名が流出しざわつく事態に―【私の論評】自己完結型組織である自衛隊病院だからこそ、他の病院に先駆けて患者を受け入れられた(゚д゚)!

コロナ患者の入院先が特定、病院名が流出しざわつく事態に

自衛隊中央病院
日に日に新型コロナウィルスの患者が増え、日本全体に不安が広まり自粛ムードとなっています。自分の住んでいる地域ではどのくらいの患者がいるのかと、ニュースを見て気にする人も多いのではないでしょうか。新型コロナウィルス患者を受け入れている入院先の病院名や受け入れ人数などはテレビなどでは報道されていませんが、河野太郎防衛大臣が自衛隊病院の新型コロナウィルス患者の受け入れ状況をツイッターで報告したのです。

自衛隊病院で感染者受け入れ陸・海・空3自衛隊の共同機関として防衛省が設立・運営する病院である自衛隊病院では、新型コロナウィルスに感染した患者を受け入れており、河野太郎防衛大臣が受け入れ状況のほか、退院や転院状況についても詳細に報告するツイートを発信しました。

テレビではあまり報道されていない退院数についても報告してあることに対し、次のような意見がTwitter上に寄せられています。
「自衛隊の医療チームは素晴らしい」「感染者の大半が普通に退院されていることを知り、安心します。」「目に見える情報を発信してくださるのは、非常に心強いです。」と、ネット上にコメントが寄せられていました。

また、河野太郎防衛大臣は自衛隊病院の新型コロナウィルス患者受け入れ状況だけでなく、日本の新型コロナウィルス患者の状況について日々ツイートをしています。
目に見える情報をツイートしていることに感謝し、安心している方も多い事が伺えます。

新型コロナウィルスの影響で、浜松市のアノ銘菓が生産中止に追い込まれる事態になったことも話題となりました。

【私の論評】自己完結型組織でもある自衛隊病院だからこそ、他の病院に先駆けて患者を受け入れられた(゚д゚)!

新型コロナ肺炎の患者さんたちは、どのような病院で受け付けているのかと、思っていましたが、かなりの部分は自衛隊病院で受け付けていたということです。

自衛隊病院の行動は、以下の点で称賛に値します。

1 初期の大量患者発生(PCR陽性の軽傷者含む)の病院収容(受け入れ時に感染対策は必要)という難しいミッションを淡々と行ったこと

2 多くの病床、医療者の人力の運用を迅速におこなったこと(普通の病院では難しい)

3 受け入れ前に訓練を行い、病院医療従事者に院内感染を起こしていないこと(訓練の賜物)

4 死亡者を出していないこと

5 ほとんどの人をしっかり退院させていること

6 結果初期に起きる医療崩壊を防いだこと

(7 地域?の感染症担当医に今回の患者診療のノウハウを講義してさらに崩壊を防ごうとしたこと)

以上は、自衛隊の仕事ですから、大々的に褒めてくれとは言わないですが、かなり努力していることは報道に値すると思います。ダイヤモンド・プリンセスの時の自衛隊の活動もも掲載したのは自衛隊の新聞である、朝雲だけでした。

ただ今の日本のコロナウイルス対策に自衛隊衛生の力があったこと、そして医療崩壊を結果的に防いだことを日本の国民に知っていただければ幸いです。

この自衛隊病院とはどのような病院なのでしょうか。

自衛隊病院(じえいたいびょういん)とは、防衛省が設置・運営する陸・海・空自衛隊の共同機関であり、自衛隊中央病院や陸海空幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院の総称です。共同機関以外に防衛省が設置する病院として防衛医科大学校病院があります。

共同機関の自衛隊病院には自衛隊中央病院と陸・海・空それぞれの幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院(15病院)があります。

基本的に利用対象者を防衛省職員とその家族、つまり防衛省共済組合の被保険者に限定していました。中央、札幌、福岡の3自衛隊病院では、2006年10月から、前述の防衛省職員・家族以外の一般外来受診を開始し、防衛医科大学校病院、自衛隊横須賀・富士・阪神・福岡病院も一般外来受診を行っています。

2009年、防衛省は全国に16カ所ある自衛隊病院を10カ所に集約した上で、現在は一部に限定している自衛隊関係者以外の一般国民の利用をすべての病院で認めることを決めた。具体的な時期は今後検討するとしています。

     自衛隊札幌病院(病院長・大鹿陸将)は、2018年11月12日から16日の間、
    「世界糖尿病デー」のイベントを開催した。
2018年現在、15病院(陸:7院、海:5院、空:3院)が設置されています。

陸上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊札幌病院 - 真駒内駐屯地北海道札幌市札幌市
自衛隊仙台病院 - 仙台駐屯地宮城県仙台市宮城野区
自衛隊富士病院 - 富士駐屯地静岡県駿東郡小山町
自衛隊阪神病院 - 川西駐屯地兵庫県川西市
自衛隊福岡病院 - 春日駐屯地福岡県春日市
自衛隊熊本病院 - 熊本駐屯地熊本県熊本市東区
自衛隊別府病院 - 南別府駐屯地大分県別府市) 
海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院

海上自衛隊員の集中する主要な基地は、地方総監部の所在地となっているので、各地方総監部所在地に1つずつ、海上幕僚長を通じて指揮監督を受ける自衛隊地区病院が置かれています。
自衛隊大湊病院 - 大湊基地青森県むつ市
自衛隊横須賀病院 - 横須賀基地神奈川県横須賀市
自衛隊舞鶴病院 - 舞鶴基地京都府舞鶴市
自衛隊呉病院 - 呉基地広島県呉市
自衛隊佐世保病院 - 佐世保基地長崎県佐世保市
航空幕僚長を通じて指揮監督を受ける病院
自衛隊三沢病院 - 三沢基地青森県三沢市
自衛隊入間病院(仮称)-入間基地埼玉県入間市)(2021年度開設予定)
自衛隊岐阜病院 - 岐阜基地岐阜県各務原市
自衛隊那覇病院 - 那覇基地沖縄県那覇市
後の防衛大臣のツイートにある、3月10日時点でこれまで感染者122名を受け入れ、114名退院、2名転院、6名が現在、入院中というのは、無論これらの病院の全体で受け入れたものの合計なのでしょう。

地震があった日の札幌自衛隊病院 耐震設備があるので無傷であった

こちらは、札幌なので、札幌自衛隊病院について、特に地域貢献について掲載します。
●月に2回、札幌市の救急輪番を担任し、地震(ブログ管理人注:北海道胆振東部地震

)

が発生した9月5日(水)夕~ 6日(木)朝も救急態勢を維持
●災害発生時の受入病院として被災者診療を行い、発災以降、地震関連患者のべ71名の診療及び11件の手術を行い、26名が入院(9月13日2400現在)
●入院患者26名のうち6名は、人工呼吸器等を装着して療養中の患者や頻回に吸痰を要する患者を道内の停電に伴い受入れたもの
●厚真町総合ケアセンター「ゆくり」に救護班等を派遣(9月18日に活動終了)
●北千歳駐屯地及び南恵庭駐屯地の医務室に医官を派遣(同日に活動終了)
 地域の自衛隊病院は、地域の災害の時には現地に救護班も派遣しているのです。以下に一昨年の北海道胆振東部地震のときの札幌自衛隊病院救護班の派遣に関連する写真を掲載します。


自衛隊は縁の下の力持ちで頑張っています。特にコロナウイルス患者受け入れに関しては、全感染者が数百人という規模ですから、おそらく自衛隊病院が最大なのではないでしょうか。

このように一つの系列の病院で、これだけの患者を受け入れ、治療し多くを回復させた経験やノウハウは、自衛隊病院という組織に蓄積され、貴重な資産となるでしょう。さらに、これらが他の医療機関に伝えられることにより、その経験やノウハウが日本全国で共有されることになるでしょう。

そうして、報道では「自衛隊や軍隊は『自己完結型の組織』だから」災害に強い、と紹介されています。「自己完結型の組織」とは、何を指しているのでしょうか。

自衛隊や軍隊は、武力攻撃に対して武力を行使することで対抗し、戦闘を通して敵対勢力を排除する……という任務を帯びています。戦闘中は、基本的に外部組織からの支援を受けることはできません。お腹がすいたからといって、戦場まで出前してくれるお店とかはありませんからね。できる限り、自分達でなんとかしないといけません。

特に陸上自衛隊や陸軍、そして海兵隊は、飛行場という基地を基準に活動する航空自衛隊や空軍、船という「移動する基地」が基準となる海上自衛隊や海軍と違い、戦場のいたる所で拠点を作って活動する必要があります。自分達で寝泊まりする「宿営地」を作らなくてはいけませんし、それにともなって建設機械など、様々な装備を保有することになります。これがそのまま被災地における復旧作業に転用できるんですね。また、戦場で行方不明になった隊員や兵士を捜索したり、けが人や病人を治療する装備や技術も保有しているので、これも被災地での活動に役立ちます。

このような自己完結型の組織の一員でもある、自衛隊病院が多くの地域にあることが力強いです。防疫体制に関しても、戦地や被災地では、感染症が発生する率は高いので、普段から訓練したり、設備、装備的、ノウハウ的に備えができているのでしょう。そうした自己完型の組織である、自衛隊病院であるからこそ、新型コロナウィルスの患者を他の病院に先駆けて受け入れる事ができたのでしょう。

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