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2017年12月1日金曜日

【正論】北朝鮮「無政府状態」へのシナリオ 日本が拉致被害者救出すら行わないなら〝放置国家〟というほかない 福井県立大学教授・島田洋一―【私の論評】積極的平和主義の立場からも拉致被害者を救出せよ(゚д゚)!

【正論】北朝鮮「無政府状態」へのシナリオ 日本が拉致被害者救出すら行わないなら〝放置国家〟というほかない 福井県立大学教授・島田洋一


 ニューヨーク、ワシントンをも射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に北朝鮮が成功したことで、半島情勢は発火点にさらに近づいた。現行レベルの制裁では北の核ミサイル開発を止められないことが明確になったといえる。
≪強まる軍事オプションの発動≫
 今後、中国やロシアが石油全面禁輸を含む北の経済封鎖に協力するなら、さらに様子を見るという選択肢もあるが、期待できないだろう。北でクーデターや民衆蜂起が起き、国際常識に従う新政権に代わるのがベストだが、願望は政策ではない。

 事態を動かすカギはアメリカの軍事力である。脅威は相手の意思と能力の関数だが、北の意思(独裁者)と能力(核ミサイル)いずれの無力化についても、アメリカの軍事攻撃以外の選択肢はますます見当たらなくなってきている。

 米トランプ政権は中国に対し、アメとムチの両様で臨んでいる。中国が北朝鮮の経済封鎖に協力しないなら、軍事オプション発動しかなく、在北中国資産も相当破壊されるだろうが覚悟しておけというのがムチである。北と取引を続ける中国事業体への制裁もムチの一環だが、それが主役であり得た時期は過ぎつつある。
他方、中国が石油禁輸や秘密作戦を通じて北の現政権打倒に協力するなら、中国による傀儡(かいらい)政権樹立を容認してもよいというのがアメのメッセージである。開戦後においても、アメリカは地上軍の投入は基本的に忌避するとみられることから、北の核ミサイル廃棄が確約される限り、中国が軍を南下させ、実質統治に当たることに異議は唱えないだろう。

≪中国に「傀儡」認める米の戦略≫
 ところで、このアメには別の狙いもある。中国が北朝鮮における平定戦、治安維持、戦略インフラ整備などに相当の兵力を割かれるならば、その分、台湾に対する圧力が弱まることが期待できる。実際、毛沢東は1951年7月を台湾侵攻の開始月と定め、南部への戦力集中を進めていたが、50年6月に朝鮮戦争が勃発、米軍が鴨緑江に迫ったため介入を決め、戦力を北へ大転回させた。その結果、台湾侵攻は無期延期となった。

 アメリカにとっては、日本海の奥にある朝鮮半島北半部より、太平洋と南シナ海の結節点に位置する台湾の方が戦略的にはるかに重要である。北に傀儡政権を作ってもよいというのは、中国に対するアメではあるが、あわよくばそこで精力を費消させようという「ハニートラップ」の要素も持つ。

そのことは中国も十分意識していよう。従って、北朝鮮内部の一部戦略拠点(核施設、港湾、難民流入を防ぐ意味で国境地帯など)の保障占領にとどめ、広範囲にわたる軍の展開は避けてくるかもしれない。アメリカが地上軍を送らず、文在寅政権の韓国が北進を拒み、中国も拠点確保のみで様子を見るという展開になると、少なくとも一定期間、北のかなりの地域が無政府状態に陥りかねない。武器を持った盗賊が入り乱れる危険な状態ともいえる。

 その時、日本にとっての最大課題は、拉致被害者の安全確保と無事帰還である。「米軍にお願いする」というのが政府の立場だが、上記の状況では米軍はおろかどこの国の軍隊も存在しない。

 もっとも米軍は、独裁者の確実な無力化(拘束ないし殺害)のため特殊部隊を投入することは考えよう。作戦の過程で拉致被害者を確認すれば救出に努めてもくれよう。しかしそこで死傷者が出る事態になれば「日本人を救出する現場になぜ自衛隊がいないのか」との声がアメリカで湧き上がりかねない。政治家はどう答えるのか。

≪自衛隊は拉致被害者救出に赴け≫

 2年前に成立した安保法の形成過程で、政府「懇談会」の報告書(2014年5月)は、憲法が拉致被害者など「在外自国民の…保護を制限していると解することは適切でなく」、国際法上許される範囲で自衛隊が保護・救出に当たれる、という新解釈を打ち出すべきだと提言していた。首相自身は前向きだったと聞くが、結局、政権として国際法上問題はなくとも憲法上許されないという従来の立場を踏襲することになった。他の諸点で、憲法解釈を変更したにもかかわらずである。

 国会で解明すべき「闇」があるとすれば、空虚かつ区々たる森友・加計「疑惑」ではなく、「拉致問題解決を最重要課題とする安倍晋三政権が、なぜ自ら作った懇談会の、まさに被害者の命に関わる重要提言をいれなかったのか」ではないか。そして、有志議員が与野党の枠を超え、「自衛隊が救出に赴けるよう憲法解釈を変更せよ」と主張すべきだろう。

福井県立大学教授・島田洋一
 強制収容所にも日本人がいる可能性がある。人権を重んじる国なら、収容所の解放作戦にも率先して参加せねばならないはずだ。憲法解釈の変更には無責任な野党が政争化してくるかもしれない。しかし、国際法上許される形の拉致被害者救出すら行わないとなれば、文字通り“放置国家”というほかないだろう。(福井県立大学教授・島田洋一 しまだよういち)

【私の論評】積極的平和主義の立場からも拉致被害者を救出せよ(゚д゚)!

日本が、主権国家であり、国家としての対面を保ち続けるつもりがあるのなら、そうして人権を重んじる国でならば、どんな形にしても拉致被害者を解放するのは当然のことです。もし、これをしなければ、ましてや米国などに頼り切るということになれば、それこそ日本の威信は地に落ちることになるでしょうし、米国は日本を信頼しなくなり、中国により傾くようになるでしょう。

そのようなことをしない政府に対して多くの国民は統治の正当性を疑うことになるでしょう。あるいは、それをしようとする政府に野党やマスコミが大反対をした場合、多数の国民は彼らに対して不信感を抱くことになります。拉致被害者救出はまともな主権国家ならば、挙党一致でのぞむのが当たり前のことです。それをいつものように、ただ反対というのでは大多数の国民は絶対に納得しません。

日本の拉致被害者と面会したトランプ米大統領(左端一番手前)
さて「積極的平和主義」ということが、歴代の政府でもいわれてきたことですが、第2次安倍内閣で用いられる「積極的平和主義」とは何かは、『国家安全保障戦略』の第3頁に明示されています。以下にそれを掲載します。
他方、現在、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることや、我が国が複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面していることに鑑みれば、国際協調主義の観点からも、より積極的な対応が不可欠となっている。我が国の平和と安全は我が国一国では確保できず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で、国際社会の平和と安定のため一層積極的な役割を果たすことを期待している。

これらを踏まえ、我が国は、今後の安全保障環境の下で、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際政治経済の主要プレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全 及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく。このことこそが、我が国が掲げるべき国家安全保障の基本理念である。— 国家安全保障戦略 、第II章1節
一言で表すなら、「国際社会の平和と安定及び繁栄の実現に我が国が一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく」方針の事で、具体的には国連平和維持活動等への積極的参加、米国やその同盟国との関係強化、外交努力や人的貢献による国際秩序の維持・紛争解決を行います。

自国の国民を助けようともしない国が、「積極的平和主義」を掲げても、それは単なる空念仏に過ぎなくなります。そんなことにならないためにも、やはり日本は、北の体制が崩れるという事態が発生すれば、必ず拉致被害者救出を実行すべきです。そうして、それを実行できる組織は日本では、自衛隊以外にありません。

世界の平和に日本が積極的に貢献していく事に対して、反対する向きは少ないでしょう。しかし、積極的平和主義を行う「覚悟」が、日本政府、そして日本国民にあるのでしょうか。

日本と同じく、第二次世界大戦の敗戦国として戦後をスタートしたドイツは、東西対立の最前線に位置していた事もあり、北大西洋条約機構(NATO)や欧州安全保障協力機構(OSCE)といった、多国間の安全保障枠組みの中での防衛を基調としていました。

この点が日米安保条約という二国間の安全保障を中核に据えていた日本と異なる点ですが、海外への派兵はNATOの域内に留めるという基本法(憲法に相当)解釈が冷戦期は維持されており、国外派兵を認めていなかった日本と事情が似ています。この多国間安全保障に加え、「不戦の原則」、「大量殺戮の阻止」が、第二次大戦でのドイツからの反省点として、戦後ドイツの安全保障の中核概念になりました。

このように域外派兵に抑制的だったドイツにも転機が訪れます。1990年の湾岸戦争の際、多国籍軍への資金提供に留めていたドイツは、国内外で「小切手外交」と批判を受けます。この批判を受け、コール首相はそれまでNATO域外の派兵を禁じていた基本法解釈の変更を行い、ユーゴ紛争やソマリアへの派兵を行う事になります。

この経緯は湾岸戦争への対応で同様の批判を受けた日本とよく似ており、自衛隊のペルシャ湾派遣やPKO協力法制定、更には現在問題になっている集団安全保障についての憲法解釈変更へと繋がっています。

基本法の解釈変更により域外派兵の道を開いたドイツは、その後も1999年のセルビア空爆への参加、2001年のアフガニスタン派兵等、積極的に軍事力の行使を含む、国際平和活動に参加する事になります。当時は社会民主党(SPD)・緑の党の左派連立政権で、ドイツは海外派兵に慎重になるとみられていました。

ところが、ボスニア紛争の最中の1995年に起きたスレブレニツァの虐殺を受け、ドイツの安全保障の中核概念であった「大量殺戮の阻止」がクローズアップされる事になります。シュレーダー政権は「大量殺戮の阻止」が「不戦の原則」に優越する概念であり、大量殺戮を阻止する為には武力行使も辞さないという考えから、アルバニア系住民への迫害が行われていたセルビアに対する空爆に踏み切りました。

握手するシュレーダー独首相(当時、左)とブッシュ米大統領(当時、右)
2001年の同時多発テロ後は、インド洋での米英軍の作戦を海上から支援するとともに、アフガニスタンで治安維持活動を行う国際治安支援部隊 (ISAF) へもNATOの一員として、兵力を派遣する事になります。このアフガニスタン派遣は、開始から10年以上経つ今現在も続いており、ドイツ軍は300名以上の死傷者を出しています。この海外派兵の死傷者を巡り、右派政党が派兵を決定した政権を批判する等、日本とは全く逆の現象も起きています。

アフガニスタンで殉職した有志連合軍兵士、ドイツ軍兵士らの慰霊碑
ドイツ軍のアフガニスタン派遣を巡っては、2009年9月には「クンドゥス爆撃」と呼ばれる事件も発生しています。アフガニスタン北東部のクンドゥス付近で、武装勢力タリバンがタンクローリーを強奪する事件が起き、派遣ドイツ軍のゲオルグ・クライン大佐はタンクローリーが自爆テロに使われると判断し、米軍に対してタンクローリーの爆撃を要請しました。

ところが、タンクローリーの周囲に現地住民が集まっていたため、爆撃により民間人に多数の死者が出る惨事となり、ドイツ国内外で政治問題化しました。また、現地のドイツ軍憲兵の調査で民間人の死者があったと報告されていたにも関わらず、フランツ・ヨーゼフ・ユング国防相は「爆撃に民間人の死者は含まれなかった」と虚偽の発表をしたために、更迭される事態にまで発展しました。

これらドイツの事例と同じようなことが、自衛隊派遣で起こらないとは限りません。むしろ、必ず起きると考えた方が間違いないと思われます。先日の朝日新聞の単独インタビューに応じた陸上自衛隊の井川賢一・南スーダン派遣隊長は、今年1月上旬に自衛隊宿営地近くで銃撃戦が発生した際、隊員に小銃、銃弾を携帯させ、「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」と指示していた事を明らかにしています。既に戦闘すれすれの所まで、自衛隊は活動しているのです。

不安定な地域に赴くことは、撃たれる可能性、撃つ可能性が存在し、なにより自衛官が死傷する事もあるという認識を、どれほどの日本国民が覚悟を持って受け入れているのでしょうか。仮に今後、自衛隊が派遣先で戦闘に巻き込まれ死傷者を出した、あるいは民間人を誤って殺傷してしまったという事が起きた場合、その責任は誰が取る事になるでしょうか。

このような事態が起きた場合、政治問題化することは容易に想像できますが、国際社会に積極的平和主義を行うと宣言してしまった手前、死傷者が出た、出してしまったと積極的平和主義を取り下げる事は簡単にできません。ましてや、自国民の拉致被害者を救出しもしないようでは、問題外です。

アフガニスタン派兵の初期のドイツ空挺兵の写真
多くの死傷者や民間人の誤爆を引き起こし、国内で大きな論争を巻き起こしてもなお、ドイツは海外派兵を続け、大国の責任として国際平和への貢献を履行しています。このドイツの自国民の流血、そして他国民をドイツ人が誤って殺してしまうリスクを厭わず、大量殺戮の阻止と国際平和の実現を目指す覚悟は大変立派なものです。

対して日本は、自衛官・民間人の死にどこまで耐える覚悟が出来ているのでしょうか。自国民・他国民の犠牲をどこまで許容できるか、積極的平和主義はそういう命の計量すらも私達に問いかけているのかもしれません。

そうして、積極的平和主義を提唱する我が国は、まずは、北の体制が崩壊した直後には、自衛隊を北朝鮮に派遣して拉致被害者を救出しなければなりません。その際には、当然のことながら自衛官・民間人の死は予想されますし、北の人民や武装集団を自衛隊が誤って殺してしまったり、拉致被害者救出という使命遂行のため意図的に殺傷しなければならない場合も当然のことながらでてきます。それでも、主権国家としては自国民を救出しなければならないのです。

今まさに、私達はその覚悟を迫られているのです。

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2017年5月12日金曜日

2018年末ダブル選シナリオも… 安倍首相の改憲発言、財政条項は意図的に排除か ―【私の論評】安倍首相による憲法改正は、まともな憲法論議の最初の偉大な一里塚(゚д゚)!

2018年末ダブル選シナリオも… 安倍首相の改憲発言、財政条項は意図的に排除か 

憲法改正を訴える会合に寄せられた安倍首相
のビデオメッセージ=3日、東京都千代田区
 安倍晋三首相は「2020年の憲法改正の施行」を打ち出した。改憲(施行)のスケジュールが明かされたのは画期的なことだ。

 16年7月の参院選で、衆参ともに改憲勢力が3分の2超になっていることを考えると、今の時期に安倍首相が改憲スケジュールを示したということは、18年12月までの衆院の任期で、解散と衆院選より前に憲法改正の発議をする可能性が高いということだろう。

 改憲スケジュールの中で国会発議の可能性を考えると、(1)17年秋の臨時国会(2)18年の通常国会(3)18年秋の臨時国会-と3回ある。

 国会発議の後に国民投票が実施されるが、憲法改正では発議から180日以内というのが常識になっている。国民投票と衆院選が同日の方が与党有利になるだろうから、18年12月の衆院任期前に日取りを選べる(1)17年秋の臨時国会または(2)18年の通常国会での発議の可能性が高いだろう。

 18年12月は、衆院任期終了とともに天皇陛下のご譲位も予定されている。このときに、憲法改正の国民投票と衆院選のダブルをぶつけてくるというのが、今の段階での第1シナリオではないだろうか。となると、(2)18年の通常国会後半での発議が第1候補になる。

 もちろん、情勢次第では、衆院選の後に改憲スケジュールをこなすこともありえる。この場合には、今年中に解散と衆院選(まさに改憲選挙)を行い、(1)17年秋の臨時国会で発議という手順になるのが第2シナリオだろう。

 改憲の内容について安倍首相は、9条に自衛隊に関する条文を追加する意向を示している。「自衛隊は合憲」とする民進党と、「違憲」とする共産党は股裂き状態になり、選挙協力に支障が出ないのか、政治的には興味深い。

 安倍首相は教育無償化も改正の項目として例示した。民進党と共産党は、ともに「中身としては賛成だが、憲法改正には反対」という国民には分かりにくい行動になる。

 「憲法改正なしでも教育無償化は可能だ」と主張しても、「時の政権の意向に左右されずにしっかり国の基本となるから、憲法改正した方がいい」と反論されてしまうだろう。そうなると、民進党と共産党は苦しい。

 しかも、「自衛隊合憲」と「教育無償化」で改憲勢力は一致できる。国政選挙を考えると、「自民党、公明党、日本維新の会」対「民進党、共産党」という対立図式となり、「自公維」に有利に働くだろう。

 ちなみに「財政規律条項」については、民進党の蓮舫代表や自民党の一部が必要だと主張しており、両党で差別化できない。そもそも財政規律条項を憲法改正で入れると、緊縮財政の傾向がさらに強まり、日本経済にとっては害悪である。

 この点を考慮し、安倍首相は自衛隊合憲と教育無償化を改正事項に掲げることで、財政規律条項を憲法改正の俎上から意図的に落としたのではないか。

 なお、国民投票法では、発議は個別発議なので、憲法全体を示す必要はない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍首相による憲法改正は、まともな憲法論議の最初の偉大な一里塚(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事には掲載されていませんでしたが、安倍首相自身にとって非常に重要なのはやはり、自民党総裁3選です。2期6年の任期が切れる2018年9月には総裁選が実施されるのですが、3月5日の自民党定期党大会で総裁任期が「連続3期9年」に延長されることを受けて、首相が出馬すれば3選は確実というのが現時点での常識ともいえると思います。
総裁任期延長を伝えたAbemaTV
そうなれば首相にとって第1次と合わせた「9年8か月の史上最長政権」という金字塔も現実味を帯びることになります。その場合の首相の任期満了は2021年9月で、次回も含めて2回以上の解散断行のチャンスが出てくることにもなる。

そうして、安倍首相にとって遠いゴールを見据えての解散戦略の中核となるのは「在任中に成し遂げたい」と明言した憲法改正の実現です。昨年7月の参院選での与党圧勝でいわゆる「改憲勢力」が衆参両院で3分の2を超え、数の上では衆参両院での憲法改正発議が可能な状況となりましたた。

このため、首相は衆参両院の憲法審査会での改憲条項の早期絞り込みに強い期待を表明し、二階幹事長も「今国会での発議」にまで言及していました。

ただ、昨年秋にスタートした憲法審査会での各党協議は、憲法問題も絡む天皇陛下の「生前退位」をめぐる与野党協議が先行しているため、改正が必要な条文などの詰めの協議は秋の臨時国会以降になると思われます。

こうなると、秋の臨時国会で与野党協議が進み、2018年の通常国会の早い段階で憲法改正の発議にこぎつけ、夏に改憲国民投票を実施するのがベストと考えられます。

7月2日の都議選を理由に通常国会の大幅延長は想定されていないため、政府・与党は9月末か10月初めには臨時国会を召集する考えのようです。その場合、首相が臨時国会での解散断行に「色気」を示せば、与野党の改憲協議は停滞し、18年春の国会による改憲発議も絶望的となります。

しかも、自民党の全国情勢調査などでは「次回衆院選では自民党が30~50議席減」(自民選対)との予測もあり、解散断行によって衆院の改憲勢力は3分の2を割り込み、早期改憲発議自体が困難になる可能性もあります。となれば、首相が今秋もしくは年末解散を見送って、「衆参3分の2」を維持したまま来夏の改憲国民投票に合わせての解散・衆院選という「ダブル選」日程が"本命"として浮上してくるのではないかと考えられます。

首相は1月5日夕の時事通信グループの新年互礼会の挨拶で解散について「今年は全く考えていないとはっきり申し上げておきたい」と発言しました。居合わせた二階幹事長や山口那津男公明党代表ら政府与党幹部の表情は変わらなかったのですが、同夜に首相周辺が「首相から『今年ではなく、今月の言い間違いだった』と聞いた」と解説したことで新聞各紙は「首相、年内解散を否定」とは報道せず、「首相が言い間違い」とする囲み記事でお茶を濁していました。

時事通信グループの新年互礼会で挨拶する安倍首相
ただ、永田町では「解散時期について首相が言い間違うはずがない。思わず本音が漏れただけ。軌道修正は自民党議員が安心して選挙活動をなまけないようにするため」(自民長老)と解説する向きが多いようです。

政府・与党内には来年の解散について「追い込まれ解散になりかねない」との危惧もあります。しかし、内閣支持率が6割前後をキープし、自民党支持率も4割前後という状況が続けば、任期満了が迫っても安倍政権が追い込まれることはないのも事実です。もちろんトランプ政権の暴走やアベノミクスの失速といった政局運営の不安要素は少なくないのですが、"安倍1強"が続いていれば、あえて解散せずに過去1回しかない任期満了選挙も有力な選択肢といえます。

やはり、来夏の改憲国民投票に合わせての解散・衆院選という「ダブル選」日程が"本命"ということになりそうです。

いずれにせよ、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事では「自衛隊合憲と教育無償化を改正事項に掲げることで、財政規律条項を憲法改正の俎上から意図的に落としたのではないか」としていますこれについては、現状を考えた場合緊急を要するものであると思います。

先日はいわゆる一部保守層による無責任な憲法改正論議について批判しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始―【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、憲法改正はGHQによってわずか1週間程度で草案された日本国憲法はそもそも土台が狂っており、日本国憲法の字面を変えるだけでは、まともな憲法はできないことを主張しました。

そうして、まともな憲法をつくるなら一度帝国憲法に立ち返ってそこから、新たな憲法をつくるということをしなければ、まともな憲法など永遠にできないと主張しました。

以下に日本国憲法と帝国憲法の比較を示した表を掲載します。

大日本帝国憲法と日本国憲法の相違点
以上の表は、第日本国帝国憲法について若干の間違いはありますが、それにしても、この表からですら、そもそも日本国憲法は日本人のために作られたものではないことがはっきりわかります。

さらに、大日本国帝国憲法制定時の世界水準で考えると、大日本帝国憲法は世界の他の先進国と比較して、かなり民主的でありあらゆる点で斬新で進んだものであったことは確かです。

ただし、制定された時代は日本国憲法より遥かに古く、現状には即していない部分も多々あります。しかし、それでも日本という国ができときの経緯やその後培われた日本国の国柄を反映したものです。日本国憲法にはそのような内容は皆無です。

だからこそ、本来の憲法論議をしようとした場合、日本国憲法の条文の字面を変えただけではまともな憲法にはならないのです。

しかし、まともな憲法論議をするということになれば、少なくとも5年〜10年の時が必要です。そうなると、緊急を要する事柄に対しては、対応できないということも十分考えられます。

大日本帝国憲法制定の中心となった伊藤博文公
たとえば、自衛隊がそうです。自衛隊がすでに存在して、自衛隊員の方々が、場合によっては命の危険にさらされながら、我が国、我が国民を守ろうとしているときに、自衛隊は違憲だとか、法律違反ということにでもなれば、これこそ自衛隊員の方々に失礼なことであるし、自衛隊の方々の士気をくじくことになります。

そうして、教育の無償化も最近の日本の若者の姿をみれば、緊急を要する課題です。現在の若い世代は、将来の日本を担うわけですが、その若い世代がまともな教育も受けられないということにでもなれば、日本の将来は危ういです。

だから、このような緊急を要する、課題を克服するためには、日本国憲法典の字面を部分的変えるということもやむを得ないところがあります。

しかし、かつて伊藤博文が中心として10年もの年月をかけて、日本の国柄などを反映した憲法を草案しその後世界の伍することができたように、これからの日本の運命を左右する新たな憲法も、そのくらいの時間と手間が必要になるのはいうまでもありません。

安倍首相はまずは日本国憲法の部分改正をした上で、残り全任期をまともな憲法論議が日本でできるように雰囲気を醸成し、それだけではなく将来日本国憲法は完璧に葬り去り、新たな日本人による日本人のための憲法づくりができるように努力していただきたいものと思います。

戦後70年にもわたって、日本国憲法典の一字一句も変えることすらできなかったわけですから、憲法典に手が加えられたとしたら、それはそれで画期的なことです。

安倍首相による憲法改正は、まともな憲法論議の始まりに過ぎないのです。これを契機にいずれまともな憲法を制定するための、偉大な一里塚とすべきなのです。

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2015年6月8日月曜日

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中国の南シナ海での埋め立てに抗議する人びと(フィリピン、マニラ)

憲法審査会で、与党の参考人が、安保法制を「憲法違反」とする異例の事態があった。4日の衆議院憲法審査会で、憲法学の専門家3人の参考人質疑が行われた。自民党が推薦した長谷部恭男教授は、今国会で審議されている安保法制を憲法違反とした。

そもそも参考人質疑とは?

国会での参考人は、各党の推薦で決まる。実際には、各党国会議員や担当者から本人に都合などの打診があって、その後に国会担当者からの実務的な連絡があることが多い。法案を推す省庁からの要望を与党が受けて参考人にすることもある。

各党国会議員や担当者は、参考人に頼む人をよく知っているので、参考人の意見も当然知っているのが普通である。各党の推薦する参考人が各党の意見と異なるのはまず考えにくい。この意味で異例である。

ただし、これは自民党国会議員のミスである。なお、参考人については与野党筆頭幹事協議での合意を経て幹事懇談会で決定しているので、誰がどこの党の推薦という言い方は若干不正確である。この人選には、公明党は関与していないと言っている。

一般論として、憲法学者に限らず法律学者は、「法律にこう書いてあるから○○だ」や「この法律はこう解釈すべきだから××だ」という論法をとる人たちの集まりで、今ある法律や法解釈を金科玉条のように扱うので、法改正や解釈変更には消極的なことがしばしばある。

一方、国会議員は、今の法律では現場として不都合である場合、法律改正することに拘りはない。まして、国会議員は法律を作るのが仕事であるので、現場を知らずに法律改正に反対する法律学者とは意見が合わないことも少なくない。

また、国会での審議過程において、法案を憲法違反とする意見は、反対者のほうから出されることが多いが、実際に違憲を決めることができるのは、最高裁である。法案が成立した後に、訴訟が実際に行われて、初めて司法が判断して、違憲になるわけだから、国会の参考人質疑は単なる学者の意見でしかない。

財務省で学んだ法律観

筆者のような理系出身者は学生時代に法律を勉強しなかった。財務省に入省してから、法律について仕事をやりながら学んだ。国会議員ではなく、役人が法律を書くのかと驚きながらだ。

その時に、財務省の東大法学部出身者から法律を勉強した結果、法律はその時の決まりなので、ちょっとした争いごとの解決のツールとしては役に立つが、社会的に望ましいことをやるためにはあまり役立たないと思った。

何か問題が起こった時、裁判でもあれば、それで片がつくこともある。しかし、社会問題では、そのときの法律では解決策にならない場合もあり、そうした問題のほうが大きい。その場合、新たに法律を作るか、法改正で対処するのだ。

そうした新規立法や法改正では、法律の知識より経済の知識などが、望ましい解のためには有用であった。

法律学者は「上から目線」

役人をしている間に、法律学者の生態もわかってきた。

筆者のように理系だと、学問の世界では多数意見というのは何の権威でもない。特に、筆者が学んだ数学ではロジックだけが唯一の判断基準であり、間違っていれば、どんな権威のある人でも間違いである。「学問に王道なし」だ。

法律では、一定の権威のある人の意見が尊重される。そして、多数の考えのほうがよりマシとされることが多い。

ただし、権威のある人の意見がいいというのは、今でも違和感がある。

そうした法律学者は、バカな政治家に判断させないために、権威がある自分たちの意見が正しいという「上から目線」である。

立憲主義というロジックの謎
そうした権威のある憲法学者が、安保法制が憲法違反であると言うときのロジックが「立憲主義」というものだ。

憲法の中に、侵略戦争放棄のように時代を超えた普遍的な原理があり、それを守るというのであれば、わからなくないが、そうではない。

さらに、「憲法96条の改正なんて、立憲主義からはトンデモナイ」と言われることもある。かりに「憲法96条」を改正しても、日本の憲法改正難易度は世界的に見て低くない。むしろ最高難易度の国のままだ。ようは、憲法改正をしたくないというだけだ(2013年5月6日付け本コラム http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35686)。

安全保障について、今国会で議論されているのは、集団的自衛権の行使である。そもそも、個別的も集団的も自衛権は、時代を超えてどこの国にもある個人における正当防衛のように不可分である。

何にもまして、立憲主義の先生方は、本コラムで書いているような南シナ海の情勢や尖閣諸島への中国の潜在的な侵略のおそれをまったく考えていない。

世界の常識

民主党もお花畑のような思考に凝り固まっており、戦後日本が平和だったのは個別的自衛権のみだったからという、驚くべき意見も出ている。

戦後日本が大丈夫だったのは、日本の再軍備を恐れたアメリカが守ってきたからだ。集団的自衛権を持っているが行使しないというのは、世界では馬鹿げた意見だが、なにより日本の無力化を図りたいアメリカにとっては、その方便も好都合だっただけだ。

その上で、二国間の安全保障条約があれば、集団的自衛権は当然となる。米軍に基地を使わせておきながら、戦争に加担していないなんて言えるはずないのが世界の常識だ。それでも日本が侵略されなかったのは、背後にアメリカがいたからだ。つまり、集団的自衛権のおかげでもある。

アメリカがかつて「世界の警察官」であったので、盤石であった。それでも、自国に弱点があって日本でできることであれば、日本に頼んで来たことがある。朝鮮戦争の時、朝鮮半島での機雷掃海だ。占領下で占領軍指令に基づくとはいえ、当時の海上保安庁は特別掃海隊を韓国領海内に派遣し、機雷掃海を行い、作業中に死傷者も出ている。

こうした事実について、法律学者は、降伏条項による占領軍指令なのでやむを得ないが、憲法違反とか法律違反だという立場であろう。

犠牲者が出たのは本当に残念であるが、日本が機雷掃海をしなかったら、大きく国益を損ない、場合におっては、九州あたりまで朝鮮戦争の戦火に巻き込まれ、日本の安全も脅かされていたかもしれない。犠牲者を出したが、その当時の貢献があったので、それ以降の日本の安全がおおいに高まったと思われる。

「世界の警察官」が不在の世界をどう生きるか

今現在でも、中国の南シナ海でもオーバープレゼンスは国際問題だ。ドイツで7、8の両日に開催される先進7ヵ国(G7)首脳会議(サミット)でも、取り上げられるだろう。

それを見越して、3日に来日したフィリピンのアキノ大統領は、参院本会議場で中国の横暴を訴えた。これを日本が世界に伝えるのは当然だろう。

安倍首相と欧州連合(EU)のトゥスク大統領らが5月29日に発表した共同声明にも、「東シナ海・南シナ海の現状を変更し、緊張を高める一方的行動を懸念している」とある。これは中国のことだ。

アメリカのオバマ大統領は、2013年9月10日、シリア問題への対処の中で「もはや世界の警察官ではない」とテレビ演説した。その直後から、中国は南シナ海に出てきた。これは、中国がアメリカは軍事行動しないと高を括ったからだ。

警察官は、相手が見返りなしでも助けてくれる。「世界の警察官ではない」という意味は、同盟国なら相互主義で正当防衛は行使する、つまり同盟国間で集団的自衛権を相互に使うのであれば助けるという意味だ。

もはや世界が変わっているときに、日本でしか通用しないような「立憲主義」を振りかざすのは、国益を損なうだろう。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】米国が分裂後世界に日本はいかに生き残るのか?ありえるシナリオに備えよ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の主張、最もです。憲法学者や、野党議員それにマスコミには上記で示した、当たり前の常識を理解していないのか、理解していながら、中国の代弁者として日本国内を引っ掻き回しているだけだということに全く気づいていないようです。全く愚かです。

上の記事で、高橋氏が「米軍に基地を使わせておきながら、戦争に加担していないなんて言えるはずないのが世界の常識だ」と述べています。全くそのとおりです。

戦後日本は、日本国内に米軍基地を設置したということで、米軍の兵站機能を担ってきました。兵站とは、戦闘地帯から後方の、軍の諸活動・機関・諸施設を総称したものです。

この兵站を米軍に提供したということで、日本は十分に戦争の当事国であり、他国の軍民をこれまでも殺し、そして今後も殺す可能性があるのだという認識に立つべきです。

こうした認識をしない限り、護憲改憲論議をしても全く無意味です。そもそも、日本人の多くには兵站という言葉を知らないか、知っていてもそれが軍事的にどの程度重要なものか理解しない人も大勢いるようです。

負けるはずのなかった、大東亜戦争において日本が負けたのも、戦線をあまりに拡大しすぎて、兵站が十分でなかったことが、大きな理由です。

兵站こそ戦争の勝ち負けを左右する重要な要であることは、大昔から現在に至るまでの真実です。

米軍の兵站を担っているというだけで、戦後日本は戦争の当事者であったし、これからもそうであり続けるという認識のない輩は、そもそも安保法制がどうのこうのという資格は全くありません。

東日本大震災で流された橋の応急復旧など、自衛隊施設団の出動
戦時においては、これも重要な兵站設置作業の一環である。
ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事でも触れられていたように、日本もアメリカが「世界の警察官」をやめた後の世界を考えて行動しなければなりません。まさしく現在の安保法制の国会の審議は、これに備えるものでもあるのです。

アメリカは、「世界の警察官」を完璧にやめるということは、十分に想定できることです。それどころか、アメリカにはもっと大きな変化が起こる可能性もあります。

それは、アメリカの分裂です。その可能性については、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
アメリカ合衆国分裂の筋書き-我々の生きている時代、もしくは当面はありえない話か?
分裂後のアメリカ地図
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではロシアの学者らによる、アメリカ分裂の筋書きを掲載しました。以下に一部のみをコピペさせていただきます。
ロシアの学者が「2010年にアメリカは6つの国に分裂する」という説を唱えて話題になっているとウォール・ストリート・ジャーナルが伝えています。(参考記事:英文) 
この説を主張しているアイゴア・パナーリンは元KGBのアナリストで現在はロシア外務省の外交官養成アカデミーの学長を務めています。概要では以下のように分裂するそうです。 
・カリフォルニアは「カリフォルニア共和国」となり、中国の庇護を受ける
・テキサスは「テキサス共和国」となりメキシコの庇護を受ける
・ワシントンDCとニューヨークは「アトランティック・アメリカ」としてEUと連携
・中西部は「中西部アメリカ共和国」としてカナダの庇護を受ける
・ハワイは日本もしくは中国の庇護の下に収まる
・アラスカはロシアの一部となる
その論拠としては、以下にようなことが言われています。 
アメリカがこれほどの貿易赤字と財政赤字を生んでいても繁栄してこれたのは、ドルが基軸通貨であり、貿易の際に全ての国がドルを決済のために一旦買って、 資金がアメリカに流れ込んで貿易収支の赤字が補填されたためと、それからアメリカに輸出を行う日本や中国などが為替レートを維持するために大量のアメリカ 国債を買い込んでアメリカの財政赤字が補填されたためである。 
わかりやすく言うと、アメリカは基軸通貨ドルを刷りさえすればいくら赤字を垂れ流していても大丈夫だったわけである。 
しかし、ドルが基軸通貨で無くなれば、これらの資金は全くアメリカに入ってこなくなる。そしてそれは論理必然的にアメリカ経済の完全な崩壊を意味しているわけだ。
ポンドが基軸通貨でなくなった、イギリスは今でも健在です。ドルが基軸通貨でなくなったとしても、アメリカは衰退するかもしれませんが、分裂するというのは甚だ疑問です。

実際、このブログ記事で、私は「 我々の生きている時代、もしくは当面はありえない話か」と結論づけています。この予測では、2010年にアメリカが分裂するとしていましたが、実際アメリカは2010年になっても分裂しませんでしたし、これから先もすぐには分裂しそうにもありません。

しかし、現在のアメリカを見ていると、あながちこのシナリオはなきしにもあらずと思うようにもなりました。

特に昨日もこのブログで掲載したように、アメリカ大統領の権限は平時にはなかり限定的であるという事実があります。

軍事力で勝てない、ロシアや中国、その他の敵対勢力は、平時ではアメリカ大統領の権限がかなり弱いということを利用して、アメリカに対して様々な情報戦を仕掛けています。これに対してアメリカ側の体制は全く整っていません。

そうして、米国は第二次世界大戦直前までに、当時のソ連のスパイがアメリカの中枢部に浸透していたことが、ベノナ文書によって明らかにされています。これに対して、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員が戦後に、これらスパイをあぶり出そうとしたのが、「マッカーシー旋風」です。

しかし、この試みは「中世の魔女狩り裁判と変わらない」と批判され、結局頓挫して、マッカーシーは非業の死を遂げてしまいました。

正しい主張をしたマッカーシー上院議員

しかし、この頃から、アメリカの体質は今でも変わっていません。政界、国会議員、マスコミもまともな保守派はほんの一割程度しか存在せず、残りの9割は頭がお花畑的なリベラル派であり、昔アメリカ中枢部にソ連スパイが浸透していったときのように、あまりにも無防備です。

このあたりの事情については、私が解説するよりも以下の動画をご覧頂いたほうが、わかりやすいと思います。



 いくら、現在のアメリカが軍事力でも経済力でも他国から比較すれば、突出した唯一の超大国であったにしても、相対的には力は弱まっています。さらに、まともな保守が少なく、頭がお花畑リベラルの多いアメリカは、今後も従来通りの「世界の警察官」であり続けるとは難しいです。近いうちに、アメリカが「世界の警察官」をやめることは、十分に予想のつくことです。

さらに、長期的には、アメリカのお花畑頭が改善されなければ、第2次世界大戦直前のように、アメリカ中枢にまで、ソ連スパイが浸透したように、これからも浸透され続け、これらの画策によって、第二次世界大戦がそうであったように、戦う必要もない国々と戦い自ら疲弊することになるかもしれません。

アメリカはもはや世界の警察官ではない
こんな危険な状況に、アメリカ国民はもとより、日本国民の多くも気づいていないようです。日米双方の軍人である若者が、大東亜戦争ではあれだけ血を流して多数死亡し、日本には原子爆弾が投下されたり、大空襲で大勢の民間人が多数死んでも気づかず、まるで中国の代弁者のように、馬鹿な議論を繰り返す、頭からお花畑の憲法学者、政治家、官僚やマスコミにはほとほと愛想がつきました。

現実にはあり得ないような、お花畑的世界観でものを語り、日本国を守るために法整備をしなくても良いと思い込むようなことは、アメリカが2010年に分裂するという予想よりも、はるかにあり得ない妄想です。

お花畑の住人たち
今のアメリカが未来永劫にそのままあり続けるという考えは、単なる妄想です。アメリカは近いうちに、やりたくても世界の警察官をできなくなります。そうして、2010年には分裂はしなかったものの、今から10年、20年後には保証の限りではありません。

アメリカが分裂すれば、アメリカも超大国ではなくなり、分裂したそれぞれの国が、ドイツや日本のように、経済的にはある程度良い程度の普通の国になります。普通の国は、世界の警察官にはなり得ません。そのような時には、複数の国による集団的自衛権が重要になります。そういうシナリオも想定して、今から準備しておかなければ、とても日本の安全保証など考えることなどできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

アメリカ合衆国分裂の筋書き-我々の生きている時代、もしくは当面はありえない話か?




【関連図書】

これからの世界を読み解き、備えるために必須の書籍を以下にチョイスさせていただきました。

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2014年7月7日月曜日

北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ―【私の論評】日本の安全保障は、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張と、短期的観点である正当防衛を確実にできるようにするすることが正しい選択肢である(゚д゚)!

北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ

国連加盟国同士は原則として、武力行使できない。唯一の例外が『自衛権』」による武力行使である。自衛権の中に「個別的自衛権」と「集団的自衛権」がある。

そうして、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」はともに正当防衛であることを浅薄なマスコミは全く理解していない。

北朝鮮崩壊後は、韓国が北朝鮮を飲み込む。ただし、これで中国と接する新たな「韓国」は、中国と「同盟関係」になるということだろう。

しかし、これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。

まず現状を整理しておこう。アジアでの安全保障体制は、米国による二国間同盟(日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法など)が基軸になっている。




ここで、ロシアのことは当面あまり考える必要はない。ロシアは歴史的にも、西で忙しいときには、東(つまりアジア方面)はおろそかになる。かつてのクリミア戦争の時もそうだが、今ではウクライナ問題があるので、極東には手が回らないからだ。

となると、基本的には、米国による二国間同盟と中国の覇権主義の争いになる。中国は、西でウイグル問題を抱えているが、今のところ国力に余裕があるので、東の海洋進出との両面作戦が可能になっている。海洋進出でぶつかるのが、日本、ベトナム、フィリピン、台湾だ。

このうち、日本、フィリピン、台湾には米国との二国間同盟(日米安全保障条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法)がある。ベトナムとの間にはない。

ドイル教授は、民主国家同士の交戦可能性が相対的に低いのは社会科学的事実だとしている。

その理由は、共通の価値観を持ってイデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないことなどが挙げられる。ここで、民主主義国とは、男女普通選挙、複数政党制、報道の自由の確保などが基準になっている。

この対極にあるのが一党独裁だ。日本の周りには一党独裁国家が多い。そして、民主的平和論の応用として、一党独裁国家同士は戦争になりやすい。また、一党独裁国家と民主国家の間では、時に戦争が起こる、とも言えるだろう。

これを現在のアジアの安全保障状況に当てはめると、ベトナムと中国の間で最も戦争となる確率が高い。両国は過去にもやっているが、ともに独裁国家なので、ふとしたことで戦争になりやすい。そのベトナムは、今回の日本の集団的自衛権の行使容認を事実上肯定しているようだ。対中国の観点からそうなるだろう。

ベトナムと中国のとばっちりを受けそうなのが、フィリピンである。日本と似たような平和憲法を持っている国だが、かつて米軍を追い出したツケが回っている。今は懸命にその挽回を図っており、日本の集団的自衛権の行使容認について積極的な立場であるのは当然だ。

台湾は、中国と運命的な対立関係だ。中国の憲法には、台湾は領土の一部と明記してある(前文)。そして、2005年に制定された中国の反分裂国家法は、台湾が独立宣言したら、武力制圧も辞さないと規定している。

ただし、アメリカは台湾に対し、台湾関係法で事実上の同盟関係にある。そのアメリカを後方支援するかもしれない日本の集団的自衛権の行使は、基本的には歓迎だろう。日本と正式な国交がないため公式に意見表明することはないが、民間交流が盛んなので一定の期待をしているに違いない。

そして、日本。尖閣諸島は、中国は「核心利益」と位置づけており、野心を隠さない。ただ、日米安保条約の適用対象になるとアメリカが正式に意見表明したので、とりあえず一服の状況だ。ただし、中国の一党独裁がなくなるまで、日本は潜在的な脅威を受け続けるだろう。集団的自衛権はそのための抑止力になる。

アメリカやオーストラリアも、日本の集団的自衛権の行使容認には賛成の立場である。

こうしてみると、日本の集団的自衛権の行使容認について、中国を別とすれば、韓国の否定的な反応が異様である。

韓国がこのまま中国との「同盟関係」に突き進んだ場合、アメリカとの同盟はどうなるのか。

可能性としては、二股がうまくいなくなるか、うまくいくかの二つしかない。これまでの国際社会の歴史どおり、自由主義経済と独裁社会は水と油のように混じり合わないことから、二股がうまかなくなる。後者は、韓国が何か魔法を使って、二つの体制の架け橋になることだ。筆者には、どうしても前者の予感がする。

この記事は要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本の安全保障は、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張と、短期的観点である正当防衛を確実にできるようにするすることが正しい選択肢である(゚д゚)!

上の記事で、高橋洋一氏は、以下のように述べています。
尖閣諸島は、中国は「核心利益」と位置づけており、野心を隠さない。ただ、日米安保条約の適用対象になるとアメリカが正式に意見表明したので、とりあえず一服の状況だ。ただし、中国の一党独裁がなくなるまで、日本は潜在的な脅威を受け続けるだろう。集団的自衛権はそのための抑止力になる。
だから、まずは正当防衛をより確実にできるための、集団的自衛権は確実に行使できる体制にもっていく必要がありました。正当防衛もできなければ、日本を防衛することは全く不可能です。これは、特に緊急の課題でした。

私としては、現状ではまだまだ不十分ですが、今回の安倍政権の集団的自衛権容認によって、日本の正当防衛の道が拓かれたことは多いに評価すべきことと思います。

しかし、日本の安全保障をより確かなものにするためには、上記のことだけでは不可能です。しかし、これについても、安倍政権は着実に手を打ちつつあります。

それについては、このブログでも以前解説したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
上念司「中国包囲網の決定打はモンゴル・トルコのランドパワー強化に在り!」―【私の論評】ソ連崩壊後、小国ロシアになってから国境溶解が顕著になり中国にとって軍事的脅威はなくなった!日本は経済援助を通じて中国と国境を接する国々のランドパワーを強化すべき(゚д゚)!
かつての中ソ国境紛争の係争地だった黒瞎子島は今では観光地になっている
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、結局中国の海洋進出が可能になったのは、ソ連が崩壊して、小国ロシアになってから、国境溶解(中国と最も長く国境接するロシアの国境が、中国人の越境により不明確になっている状況)が顕著となり、中国にとって軍事的脅威がなくなったためであることを掲載しました。そうして、この国境溶解はベトナム・中国間でも顕著になっています。

特に、アジアの中国と国境を接する国々では、元(中国の通貨)が流通しており、最近では、対中国決済は元を用いる比率が高まりつつあります。

こうした国境溶解が、中国が海洋進出ができるようになった背景となっています。

そうしてこの記事では、以下の様な結論を掲載しました。
日本としては、これらの国々に経済援助や、技術援助、軍事援助などしてこれらの国々のランドパワーを強化することにより、中国の海洋進出の夢と野望を打ち砕くことができます。そうして、日本はデフレさえ脱却できれば、そのような支援を実施することは十分に可能です。
そうして、安部総理はこの方向に向かって、実際に行動を起こしています。まずは、特定の国々だけではなく、全方位外交の一環としてインドおよびASEAN諸国全部、モンゴル、トルコ、ロシアを歴訪しています。

そうして、これらの国々対して、支援や援助を実際に行いつつあります。

マスコミがこれらのことをほとんど報道シない中、安倍政権は着々と、短期的観点である正当防衛を確実にする集団的自衛権の確保と、長期的観点である中国周辺国のランドパワーの拡張を実行しつつあります。

マスコミや、多くの白痴自民党議員から足を引っ張られつつも着々と歩を進めています。

この二つの方向性が確実なものとなれば、日本の安全保障はより強固なものになります。

自分で脚を伸ばすのはいいですが、他人に引っ張られるのは・・・・・・

多くの白痴自民党議員がどうやって脚を引っ張っているかって? それは、いわずもがなの、消費税増税です。上の引用記事にも掲載したように、日本はデフレさえ脱却できれば、中国周辺諸国のランドパワーを増すための支援を実施することは十分に可能です。しかし、デフレから脱却できなければ、これもなかなか実施しにくくなります。

経済と、安全保障は不可分に結びついているのです。これも、日本の白痴マスコミや、白痴議員は理解できていないか、中国の意向に意図的に即しているだけです。いずれであっても、マスコミや議員の多くは、白痴体質だということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】





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2012年12月12日水曜日

もし"安倍新首が誕生したら「大胆な金融緩和」は実現するのか!? 当面のポイントは選挙結果と日銀総裁人事と財務大臣人事―【私の論評】日銀をめぐってすぐに何か一悶着がおこらなければ、金融緩和は難しいかも?

もし"安倍新首相"が誕生したら「大胆な金融緩和」は実現するのか!? 当面のポイントは選挙結果と日銀総裁人事と財務大臣人事:

安倍総理が誕生しそうな勢いだが、まだまだ前途多難か?
2012年12月12日(水)

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[ 山崎元「ニュースの深層」 ]
もし"安倍新首相"が誕生したら「大胆な金融緩和」は実現するのか!? 当面のポイントは選挙結果と日銀総裁人事と財務大臣人事 

[山崎 元]

先週の月曜日の12月4日、筆者は、ニコニコ動画で『現代ビジネス』主催の対談に参加した。アゴラ研究所代表取締役の池田信夫氏と慶応大学教授の池尾和人氏がお相手で、池田氏が主に司会役を務められた。対談の様子にご興味のある方はアーカイブを観て頂くとして、議論の大筋を筆者の立場から要約すると以下の通りだ。

・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・


かくして、来年の前半は、(1)2%へのインフレ目標引き上げ、(2)少なくとも当面は政府のデフレ対策に協力的な日銀、(3)財政による需要追加、という「デフレ対策」のためのマクロ経済政策が、程度については不透明ながら、方向性としては実現する公算が大きい。

日銀法改正まで行けるか、次期日銀総裁は「いい人」に決まるか、等、幾つか心配な点はあるし、財政支出のあり方については自民党の方針に少なからぬ疑問を持ってはいるが、マクロ政策のミックスについては、期待できそうだと筆者は思っている。

また、予想に責任は持てないが、この通りになるなら、当面の株価にとってもプラスだろう。早晩、もう一段の株価上昇が実現する可能性がある。

もっとも、金融政策の実施と効果の間には、タイムラグ(1年半くらいという意見が多い)がある。予想通りの政策が実現したとしても、現実のインフレ率に顕著な効果が出るのは、2014年くらいからだろう。
この記事の詳細は、こちらから!!


【私の論評】日銀をめぐってすぐに何か一悶着がおこらなければ、金融緩和は難しいかも?



さて、上の記事の結論、「現実のインフレ率に顕著な効果が出るのは、2014年くらいからだろう」ということですが、これは、安倍総裁の語る政策がそのまますぐに実行された場合でも、このくらいかかるということです。しかし、現実にそうなるかどうかは、まだ予断を許しません。

いかにいくつかのリスクを考えてみます。

まず、第一のリスクとして、今回の選挙で民主党が政権交代で獲得したように、単独で300以上の議席を獲得する必要があります。さらには、来年夏の参院選挙でも、自民党が単独で大勝する必要があります。それに大勝したとしても、自民党内でも、安倍総裁の経済対策に反対の勢力が、2/3近くいます。だから、圧勝する必要があります。
デフレであればインフレ傾向にしてくべきなのに、インフレの害をあおるという手もある!!

そうでなければ、公明、民主が例の三党合意で国会を通過させた、消費税増税法案がぶりかえす可能性があります。そうなったら、最悪です。いくら、金融緩和をしても、景気は落ち込み、デフレ・スパイラルが続きます。

第二リスクとしては、いくら、安倍総裁が強力な、金融緩和をしようにも、日銀の総裁人事がうまくいかなければ、駄目になる可能性が高いです。

そうならないためには、安倍総理誕生のあかつきには、組閣初日に白川総裁に辞表を提出させる。それがうまくいかなければ、日銀法改正により、総裁罷免の内容を設定し、それにあてはまらない、白川総裁を罷免する。それも、ままならなければ、4月の日銀人事で、安倍総裁の意のままになる人を送り込むことです。

いずれにせよ、安倍総裁が、このようなことを実行しはじめたら、日本弱体化推進派、大同団結して、徹底的に安倍叩き、日銀擁護に走ります。あらゆる勢力が、日銀の人事をめぐって、次の総裁を日銀出身者か、日銀の息のかかった人間にするように、ありとあらゆる手段を講じて日銀を擁護して、日銀の金融引締め政策を堅持するため、必至で挑んでくると思います。


第三のリスクとしては、安倍総理が誕生して、思い通りの経済対策をやったとしても、上の記事にもあるように実際に景気が良くなるには、1年半くらいのタイムラグがあるわけで、このタイム・ラグを利用して、「安倍景気対策効果なし」の新聞・テレビ・ラジオ・ネットの総力をあげた、必至の特大キャンペーンを打つことです。この大キャンペーンにつられて、公明はもとより、自民からも離反者が多数出て、安倍おろしに走るか、増税断行に走るなどのことが考えられます。

こんなキャンペーンなら楽しいのですが?
金融緩和をしても、増税などすれば、景気は一気に冷え込みます。そうなった場合、安倍経済対策は、やっぱり駄目だったということで、結局日本は、デフレ・スパイラルに無理やり押し込まれ、結局安倍経済対策が雲散霧消してしまうということも考えられます。

いずれにせよ、マスコミなどをはじめ、多くの反日勢力、日本弱体化推進勢力は、このようにして、必ず安倍叩き大キャンペーンを必ず繰り広げます。やらないで、手を拱いているはずはありません。そもそも、過去に日本がデフレから克服できなかったのは、こういう勢力のプロバガンダによるところが、大きかったと思います。

反日キャンペーンなどより、セクシーすぎるキャンペーンのほうが良い!!!
今回の選挙もし、大勝できたとしても、以上のような難関がまだまだ、安倍総裁を待ち受けているのです。それにしても、できるだけ大きく勝ったほうが良いには決まっています。

なるべく大きく勝っていただくものとして、私達は、選挙直後から、上のような予め予想されるような事態など、頭にいれておき、そのような動きがでる前に封じ込めるため、まともな世論を形成すべく、上のシナリンなど、頃合いをみて、拡散していく必要があると思います。

それに、上のシナリオなど、私が思いついたものをあげただけですから、他にも危ないシナリオがあるかもしれません。そのような、シナリオを思いついたかたは、是非お知らせ下さい。そのシナリオ、このブログや、SNSで拡散させていただきます。

いずれにせよ、安倍経済対策実現のため、私達も力をつくしましょう!

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