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2017年12月1日金曜日

【正論】北朝鮮「無政府状態」へのシナリオ 日本が拉致被害者救出すら行わないなら〝放置国家〟というほかない 福井県立大学教授・島田洋一―【私の論評】積極的平和主義の立場からも拉致被害者を救出せよ(゚д゚)!

【正論】北朝鮮「無政府状態」へのシナリオ 日本が拉致被害者救出すら行わないなら〝放置国家〟というほかない 福井県立大学教授・島田洋一


 ニューヨーク、ワシントンをも射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に北朝鮮が成功したことで、半島情勢は発火点にさらに近づいた。現行レベルの制裁では北の核ミサイル開発を止められないことが明確になったといえる。
≪強まる軍事オプションの発動≫
 今後、中国やロシアが石油全面禁輸を含む北の経済封鎖に協力するなら、さらに様子を見るという選択肢もあるが、期待できないだろう。北でクーデターや民衆蜂起が起き、国際常識に従う新政権に代わるのがベストだが、願望は政策ではない。

 事態を動かすカギはアメリカの軍事力である。脅威は相手の意思と能力の関数だが、北の意思(独裁者)と能力(核ミサイル)いずれの無力化についても、アメリカの軍事攻撃以外の選択肢はますます見当たらなくなってきている。

 米トランプ政権は中国に対し、アメとムチの両様で臨んでいる。中国が北朝鮮の経済封鎖に協力しないなら、軍事オプション発動しかなく、在北中国資産も相当破壊されるだろうが覚悟しておけというのがムチである。北と取引を続ける中国事業体への制裁もムチの一環だが、それが主役であり得た時期は過ぎつつある。
他方、中国が石油禁輸や秘密作戦を通じて北の現政権打倒に協力するなら、中国による傀儡(かいらい)政権樹立を容認してもよいというのがアメのメッセージである。開戦後においても、アメリカは地上軍の投入は基本的に忌避するとみられることから、北の核ミサイル廃棄が確約される限り、中国が軍を南下させ、実質統治に当たることに異議は唱えないだろう。

≪中国に「傀儡」認める米の戦略≫
 ところで、このアメには別の狙いもある。中国が北朝鮮における平定戦、治安維持、戦略インフラ整備などに相当の兵力を割かれるならば、その分、台湾に対する圧力が弱まることが期待できる。実際、毛沢東は1951年7月を台湾侵攻の開始月と定め、南部への戦力集中を進めていたが、50年6月に朝鮮戦争が勃発、米軍が鴨緑江に迫ったため介入を決め、戦力を北へ大転回させた。その結果、台湾侵攻は無期延期となった。

 アメリカにとっては、日本海の奥にある朝鮮半島北半部より、太平洋と南シナ海の結節点に位置する台湾の方が戦略的にはるかに重要である。北に傀儡政権を作ってもよいというのは、中国に対するアメではあるが、あわよくばそこで精力を費消させようという「ハニートラップ」の要素も持つ。

そのことは中国も十分意識していよう。従って、北朝鮮内部の一部戦略拠点(核施設、港湾、難民流入を防ぐ意味で国境地帯など)の保障占領にとどめ、広範囲にわたる軍の展開は避けてくるかもしれない。アメリカが地上軍を送らず、文在寅政権の韓国が北進を拒み、中国も拠点確保のみで様子を見るという展開になると、少なくとも一定期間、北のかなりの地域が無政府状態に陥りかねない。武器を持った盗賊が入り乱れる危険な状態ともいえる。

 その時、日本にとっての最大課題は、拉致被害者の安全確保と無事帰還である。「米軍にお願いする」というのが政府の立場だが、上記の状況では米軍はおろかどこの国の軍隊も存在しない。

 もっとも米軍は、独裁者の確実な無力化(拘束ないし殺害)のため特殊部隊を投入することは考えよう。作戦の過程で拉致被害者を確認すれば救出に努めてもくれよう。しかしそこで死傷者が出る事態になれば「日本人を救出する現場になぜ自衛隊がいないのか」との声がアメリカで湧き上がりかねない。政治家はどう答えるのか。

≪自衛隊は拉致被害者救出に赴け≫

 2年前に成立した安保法の形成過程で、政府「懇談会」の報告書(2014年5月)は、憲法が拉致被害者など「在外自国民の…保護を制限していると解することは適切でなく」、国際法上許される範囲で自衛隊が保護・救出に当たれる、という新解釈を打ち出すべきだと提言していた。首相自身は前向きだったと聞くが、結局、政権として国際法上問題はなくとも憲法上許されないという従来の立場を踏襲することになった。他の諸点で、憲法解釈を変更したにもかかわらずである。

 国会で解明すべき「闇」があるとすれば、空虚かつ区々たる森友・加計「疑惑」ではなく、「拉致問題解決を最重要課題とする安倍晋三政権が、なぜ自ら作った懇談会の、まさに被害者の命に関わる重要提言をいれなかったのか」ではないか。そして、有志議員が与野党の枠を超え、「自衛隊が救出に赴けるよう憲法解釈を変更せよ」と主張すべきだろう。

福井県立大学教授・島田洋一
 強制収容所にも日本人がいる可能性がある。人権を重んじる国なら、収容所の解放作戦にも率先して参加せねばならないはずだ。憲法解釈の変更には無責任な野党が政争化してくるかもしれない。しかし、国際法上許される形の拉致被害者救出すら行わないとなれば、文字通り“放置国家”というほかないだろう。(福井県立大学教授・島田洋一 しまだよういち)

【私の論評】積極的平和主義の立場からも拉致被害者を救出せよ(゚д゚)!

日本が、主権国家であり、国家としての対面を保ち続けるつもりがあるのなら、そうして人権を重んじる国でならば、どんな形にしても拉致被害者を解放するのは当然のことです。もし、これをしなければ、ましてや米国などに頼り切るということになれば、それこそ日本の威信は地に落ちることになるでしょうし、米国は日本を信頼しなくなり、中国により傾くようになるでしょう。

そのようなことをしない政府に対して多くの国民は統治の正当性を疑うことになるでしょう。あるいは、それをしようとする政府に野党やマスコミが大反対をした場合、多数の国民は彼らに対して不信感を抱くことになります。拉致被害者救出はまともな主権国家ならば、挙党一致でのぞむのが当たり前のことです。それをいつものように、ただ反対というのでは大多数の国民は絶対に納得しません。

日本の拉致被害者と面会したトランプ米大統領(左端一番手前)
さて「積極的平和主義」ということが、歴代の政府でもいわれてきたことですが、第2次安倍内閣で用いられる「積極的平和主義」とは何かは、『国家安全保障戦略』の第3頁に明示されています。以下にそれを掲載します。
他方、現在、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることや、我が国が複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面していることに鑑みれば、国際協調主義の観点からも、より積極的な対応が不可欠となっている。我が国の平和と安全は我が国一国では確保できず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で、国際社会の平和と安定のため一層積極的な役割を果たすことを期待している。

これらを踏まえ、我が国は、今後の安全保障環境の下で、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際政治経済の主要プレーヤーとして、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全 及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していく。このことこそが、我が国が掲げるべき国家安全保障の基本理念である。— 国家安全保障戦略 、第II章1節
一言で表すなら、「国際社会の平和と安定及び繁栄の実現に我が国が一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく」方針の事で、具体的には国連平和維持活動等への積極的参加、米国やその同盟国との関係強化、外交努力や人的貢献による国際秩序の維持・紛争解決を行います。

自国の国民を助けようともしない国が、「積極的平和主義」を掲げても、それは単なる空念仏に過ぎなくなります。そんなことにならないためにも、やはり日本は、北の体制が崩れるという事態が発生すれば、必ず拉致被害者救出を実行すべきです。そうして、それを実行できる組織は日本では、自衛隊以外にありません。

世界の平和に日本が積極的に貢献していく事に対して、反対する向きは少ないでしょう。しかし、積極的平和主義を行う「覚悟」が、日本政府、そして日本国民にあるのでしょうか。

日本と同じく、第二次世界大戦の敗戦国として戦後をスタートしたドイツは、東西対立の最前線に位置していた事もあり、北大西洋条約機構(NATO)や欧州安全保障協力機構(OSCE)といった、多国間の安全保障枠組みの中での防衛を基調としていました。

この点が日米安保条約という二国間の安全保障を中核に据えていた日本と異なる点ですが、海外への派兵はNATOの域内に留めるという基本法(憲法に相当)解釈が冷戦期は維持されており、国外派兵を認めていなかった日本と事情が似ています。この多国間安全保障に加え、「不戦の原則」、「大量殺戮の阻止」が、第二次大戦でのドイツからの反省点として、戦後ドイツの安全保障の中核概念になりました。

このように域外派兵に抑制的だったドイツにも転機が訪れます。1990年の湾岸戦争の際、多国籍軍への資金提供に留めていたドイツは、国内外で「小切手外交」と批判を受けます。この批判を受け、コール首相はそれまでNATO域外の派兵を禁じていた基本法解釈の変更を行い、ユーゴ紛争やソマリアへの派兵を行う事になります。

この経緯は湾岸戦争への対応で同様の批判を受けた日本とよく似ており、自衛隊のペルシャ湾派遣やPKO協力法制定、更には現在問題になっている集団安全保障についての憲法解釈変更へと繋がっています。

基本法の解釈変更により域外派兵の道を開いたドイツは、その後も1999年のセルビア空爆への参加、2001年のアフガニスタン派兵等、積極的に軍事力の行使を含む、国際平和活動に参加する事になります。当時は社会民主党(SPD)・緑の党の左派連立政権で、ドイツは海外派兵に慎重になるとみられていました。

ところが、ボスニア紛争の最中の1995年に起きたスレブレニツァの虐殺を受け、ドイツの安全保障の中核概念であった「大量殺戮の阻止」がクローズアップされる事になります。シュレーダー政権は「大量殺戮の阻止」が「不戦の原則」に優越する概念であり、大量殺戮を阻止する為には武力行使も辞さないという考えから、アルバニア系住民への迫害が行われていたセルビアに対する空爆に踏み切りました。

握手するシュレーダー独首相(当時、左)とブッシュ米大統領(当時、右)
2001年の同時多発テロ後は、インド洋での米英軍の作戦を海上から支援するとともに、アフガニスタンで治安維持活動を行う国際治安支援部隊 (ISAF) へもNATOの一員として、兵力を派遣する事になります。このアフガニスタン派遣は、開始から10年以上経つ今現在も続いており、ドイツ軍は300名以上の死傷者を出しています。この海外派兵の死傷者を巡り、右派政党が派兵を決定した政権を批判する等、日本とは全く逆の現象も起きています。

アフガニスタンで殉職した有志連合軍兵士、ドイツ軍兵士らの慰霊碑
ドイツ軍のアフガニスタン派遣を巡っては、2009年9月には「クンドゥス爆撃」と呼ばれる事件も発生しています。アフガニスタン北東部のクンドゥス付近で、武装勢力タリバンがタンクローリーを強奪する事件が起き、派遣ドイツ軍のゲオルグ・クライン大佐はタンクローリーが自爆テロに使われると判断し、米軍に対してタンクローリーの爆撃を要請しました。

ところが、タンクローリーの周囲に現地住民が集まっていたため、爆撃により民間人に多数の死者が出る惨事となり、ドイツ国内外で政治問題化しました。また、現地のドイツ軍憲兵の調査で民間人の死者があったと報告されていたにも関わらず、フランツ・ヨーゼフ・ユング国防相は「爆撃に民間人の死者は含まれなかった」と虚偽の発表をしたために、更迭される事態にまで発展しました。

これらドイツの事例と同じようなことが、自衛隊派遣で起こらないとは限りません。むしろ、必ず起きると考えた方が間違いないと思われます。先日の朝日新聞の単独インタビューに応じた陸上自衛隊の井川賢一・南スーダン派遣隊長は、今年1月上旬に自衛隊宿営地近くで銃撃戦が発生した際、隊員に小銃、銃弾を携帯させ、「正当防衛や緊急避難に該当する場合は命を守るために撃て」と指示していた事を明らかにしています。既に戦闘すれすれの所まで、自衛隊は活動しているのです。

不安定な地域に赴くことは、撃たれる可能性、撃つ可能性が存在し、なにより自衛官が死傷する事もあるという認識を、どれほどの日本国民が覚悟を持って受け入れているのでしょうか。仮に今後、自衛隊が派遣先で戦闘に巻き込まれ死傷者を出した、あるいは民間人を誤って殺傷してしまったという事が起きた場合、その責任は誰が取る事になるでしょうか。

このような事態が起きた場合、政治問題化することは容易に想像できますが、国際社会に積極的平和主義を行うと宣言してしまった手前、死傷者が出た、出してしまったと積極的平和主義を取り下げる事は簡単にできません。ましてや、自国民の拉致被害者を救出しもしないようでは、問題外です。

アフガニスタン派兵の初期のドイツ空挺兵の写真
多くの死傷者や民間人の誤爆を引き起こし、国内で大きな論争を巻き起こしてもなお、ドイツは海外派兵を続け、大国の責任として国際平和への貢献を履行しています。このドイツの自国民の流血、そして他国民をドイツ人が誤って殺してしまうリスクを厭わず、大量殺戮の阻止と国際平和の実現を目指す覚悟は大変立派なものです。

対して日本は、自衛官・民間人の死にどこまで耐える覚悟が出来ているのでしょうか。自国民・他国民の犠牲をどこまで許容できるか、積極的平和主義はそういう命の計量すらも私達に問いかけているのかもしれません。

そうして、積極的平和主義を提唱する我が国は、まずは、北の体制が崩壊した直後には、自衛隊を北朝鮮に派遣して拉致被害者を救出しなければなりません。その際には、当然のことながら自衛官・民間人の死は予想されますし、北の人民や武装集団を自衛隊が誤って殺してしまったり、拉致被害者救出という使命遂行のため意図的に殺傷しなければならない場合も当然のことながらでてきます。それでも、主権国家としては自国民を救出しなければならないのです。

今まさに、私達はその覚悟を迫られているのです。

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2017年2月22日水曜日

【正論】自ら首絞めた北の正男氏暗殺 中国と関係悪化、国際的孤立が深化した 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本は正男殺害に関心を奪われ、重要な問題をなおざりにしている(゚д゚)!


西岡力氏  写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 北朝鮮の独裁者・金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が暗殺された。捜査にあたっているマレーシア警察はインドネシア国籍とベトナム国籍の2人の女、リ・ジョンチョルという北朝鮮国籍の男を容疑者として逮捕し、事件直後に出国した北朝鮮国籍の4人の男を指名手配した。

 これまでも北朝鮮は多くのテロを行ってきた。今回のテロと比較すると、共通点は「国家テロ」を行いながら、それを隠すために外国人が行ったと偽装することだ。特異な点はあまりに拙速でミスが多いということだ。以下、具体的にそのことを論じ、最後にこのテロが意味するものを考える。

≪金正日が下した工作方針≫

 金正日は1974年に金日成から2代目に指名された直後、党の組織指導部に検閲部門を発足させた。党、政府、軍の幹部らをつるし上げて忠誠を誓わせ、最後に予算と人材が最優先で回されていた党の工作機関の検閲を行った。

 工作機関の老幹部を容赦なく批判し、これまでの工作の成果はゼロだと結論づけた後で76年に新しい工作方針を下達した。そのなかに「工作員の現地化を徹底的に行え。そのために現地人の教官を拉致せよ」という命令が含まれていた。この命令の直後の77年と78年に世界中で拉致が多発する。

金正日
 日本でも政府認定17人のうち13人がこの2年間に拉致された。「工作員の現地化」とは工作員を外国人に偽装することだ。それには2つの方法があった。第1が北朝鮮工作員に現地化教育を授けるケースだ。大韓航空機爆破テロの実行犯である金賢姫は田口八重子さんから日本人化教育を受け、マカオから拉致された中国人女性から中国人化教育を受けていた。

 第2は外国人を洗脳して工作員として使うというもので、実は横田めぐみさん、田口さんらは当初、工作員になるための教育を受けさせられた。ところが、同じ教育を受けていたレバノンの拉致被害者が海外で活動中に逃走したため計画は頓挫し、彼女らは北朝鮮工作員の現地化のための教官にさせられた。一方、よど号ハイジャック犯とその妻らは完全に洗脳され、朝鮮労働党の下部機関である「自主革命党」を結成して日本人拉致や自衛隊工作などを行った。

≪洗脳教育とは違った「手口」≫

 現地化にはテロなど国家犯罪を行う際、北朝鮮の犯行であることを隠すという目的があった。今回の暗殺テロもベトナム人とインドネシア人が実行犯として使われた。これも外国人が犯人であるように偽装するという点で、これまでのテロと共通している。

ただし、外国人を工作員として使う場合、これまでは徹底した洗脳教育を実施していたが、今回はテレビのいたずら番組の撮影などとだまして実行犯に仕立てた。これが大きな違いだ。

 監視カメラが多数設置されている空港では金正男氏が警戒を緩め、外国人記者らをすぐ近くまで接近させているという事実に注目して、外国人をだましてテロに使うという「新しい手口」を考えたのではないだろうか。素人女性を数日間、訓練しただけで殺人を成功させたテロはある意味、見事だった。逮捕されたのが女性2人だけだったら、北朝鮮とは関係ないという主張がより説得力を持ち、その意味で危なかった。

≪独裁者の拙速なミスを突け≫
 しかし、今回のテロの特徴は、これまでのテロと異なり、あまりにも拙速でミスが多いということだ。4人の犯人は犯行直後、出国している。それは計画通りだろう。しかし、実行犯をリクルートしたとも言われているリ・ジョンチョルは、家族と住むマレーシア国内の自宅に帰ったため、マレーシア警察に逮捕された。これが分からない。なぜ、犯行直後に4人と一緒に出国しなかったのか。なぜ、警察が来たとき自殺を図らなかったのか。

察署へ連行される北朝鮮籍のリ・ジョンチョル容疑者
 また、4人の犯人も実行犯の女と一緒に空港で予行演習をしているところを、監視カメラで撮影されている。そのため、すぐ氏名などが特定され、顔写真付きで指名手配された。なぜそのような証拠を残したのか。

 この拙速さの背景について論じよう。2011年12月、金正日が死亡したとき、その葬儀の日に合わせて私たちは東京で「金正日による犠牲者に思いを寄せる集会」を開いた。金正日によって犠牲になった多くの人々を悼むべきだという趣旨だった。そこで北朝鮮軍人出身の金聖●・自由北朝鮮放送代表はこう語った。「金正日が築き上げた個人独裁システムは強固だから、金正恩政権はすぐに崩壊することはない。しかし、20代の若造が全てのことを決裁する独裁者の地位に就いたのだから、必ずミスをする。そのミスをいかにうまく利用するかが、拉致被害者救出運動の鍵を握るだろう」

 まさにその通りのことが今回起きた。このテロの結果、中国との関係悪化や、国際的孤立が深化し、金正恩政権は大きなダメージを受けるだろう。それを賢く利用して拉致問題解決に結びつけるために皆で知恵を絞るべきときだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおかつとむ)

●=王へんに文

【私の論評】日本は正男殺害に関心を奪われ、重要な問題をなおざりにしている(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で西岡力氏が主張するように、金正恩はミスをおかしたのは間違いないです。今回の殺害がどのようなブロセスで誰によるものであったとしても、結局のところその責任は金正恩にあります。

韓国政府によれば、金正恩氏は2011年末に政権を継承して以降、100人以上の党高級幹部を処刑してきました。最近では、処刑の実行役だった金元弘国家安全保衛相も粛清したとされています。

韓国国情院は2月15日の国会で、正恩氏が異母兄の正男氏を嫌い、「金正男は嫌いだ。やってしまえ」と語ったと説明しました。

しかし、正男暗殺指令がスタンディング・オーダーだったとしても、北内部で、今回の殺害に関してどこまで合理的で綿密な議論がされたのか怪しいです。おそらく、関係者はとにかく正恩が恐ろしいから、ろくな検討もなしに、暗殺に走った可能性が大きいです。そ金正男氏をかついだ亡命政府樹立のうわさがありましたが、これについても北朝鮮が慎重に真偽を確かめなかった可能性が高いです。

北朝鮮には主な暗殺機関だけで、偵察総局、統一戦線部、国家安全保衛省の3部署があります。このうち、統一戦線部は部長が金養建氏から金英哲氏に替わったし、国家安全保衛省は最近、国務委員会直属の「部」から、他の政府機関と同等の「省」に格下げになったうえ、組織トップの金元弘氏が粛清の憂き目にあっています。

金元弘
今回の殺害には、これらのそれぞれが組織の生き残りをかけて金正恩への忠誠競争を繰り広げた可能性もあります。

結局、恐怖支配のなかで、ろくな準備もなく、子供だましのような犯行に及んだのが今回の金正男氏殺害事件だったのでしょう。

国情院によれば、正恩氏は自らの身の危険を案じ、夜もよく眠れず、酒におぼれて暴れることもたびたびだといいます。正男氏殺害事件から2日後、平壌で開かれた金総書記の生誕75周年を記念する報告大会に出席した正恩氏は終始、怒気を含んだ恐ろしい表情に終始していました。

金総書記の生誕75周年を記念する報告大会に出席した正恩氏
追い詰められた金正恩氏と、それに従わざるを得ない北朝鮮が起こした悲劇が今回の事件とするならば、万全のようにも見える金正恩体制がいつの日か、突然崩れることも十分ありうることでしょう。

しかし、それはあくまで金正恩体制の崩壊ということになるかもしれません。なぜなら、約20年前、食料供給体制が崩壊して餓死者が相次いだ時代でさえ、その支配体制は揺るがなかったからです。そもそも経済の不振が理由で国家が崩壊するというなら、アフリカの貧困国はとっくに崩壊して存在していないはずです。

「北朝鮮で軍事クーデターが起きて、金正恩政権が倒れるのでは」と予測する人もいるが、その可能性は低い。実は、北朝鮮軍には党に逆らわないための安全装置が付いているのです。

北朝鮮人民軍の組織図
それが「政治委員」による二元指揮制度、2つの命令系統の存在です。一般の軍の将校のほかに、党から派遣された政治委員が各部隊に配置され、軍の将校のみならず、政治委員が命令書にサインしない限り、部隊を動かせないシステムになっているのです(図参照)。

これは北朝鮮に限らず、旧ソ連や中国など革命で政権を奪取した国の軍隊にはよく見られるクーデター防止システムであり、北朝鮮では朝鮮戦争後に導入され、組織内で粛清を重ねるたびにその権力を増してきました。

たとえクーデターで金政権が倒れたとしても、新たな政権が北朝鮮に誕生するだけで、北朝鮮という国家そのものが消滅することはなかなかありえないかもしれません。

そもそも国家は、戦争以外のどんな状況で“崩壊”するのでしょうか。

経済と国家の安定性の関係については、研究者の間でも明確な答えは出ていません。「産業化で急速に経済発展した国では、政権が倒れやすい傾向があった」ということぐらいです。あくまでも「傾向」です。

過去には、目ぼしい産業がなかった国で工業化が進むと、労働人口が農村から都市周辺に大量に移動し、人々の教育水準も上がる。それによって従来の統治体制がうまく機能しなくなり、デモやクーデターが発生して政権の崩壊に至るというパターンが多くみられました。しかし、インドや中国を見れば、経済発展が政権崩壊に直結するわけではないことは明らかです。

「経済が発展すると民主化が進む」と主張する者もいますが、これとて現実には双方が比例関係にあるわけでは決してありません。シンガポールやカタール、UAE、クウェートなど1人当たりGDPが日本より高い国でも、政治制度は必ずしも民主的ではないし、10年以降の「アラブの春」による動乱で民主化したといえる国は、チュニジアのみです。

このように、経済発展の程度と国家の安定性の間には、さしたる因果関係が見当たらないのです。

いずれにせよ、利害関係が伴う運動家ならばいざ知らず、政治学の研究者の中で「北朝鮮という国家が近い将来、崩壊する」と真剣に考えている者は、そう多くはいません。日本としては当分の間、現体制が継続するという前提で対北朝鮮政策を考えなければなりません。

すると今、一番気になるのは、やはり北朝鮮の核兵器とミサイルの存在です。

北朝鮮の核開発は、03年に米朝関係が悪化し、米軍がイラクに侵攻した頃から加速し始めました。イラク戦争の帰結を目の当たりにし、米国が本気で侵攻してくる可能性を考えたことが、北朝鮮が核兵器開発に固執する要因の1つだと推測できます。

06年には核実験に成功したことが判明。その前後から、北朝鮮は核を手放すことを匂わす発言はほとんどしなくなりました。平和協定締結についても、核開発の放棄とリンクさせることは拒否し、「平和協定の締結が先、核の問題はその後」と主張しています。平和協定などなくとも、核兵器がある限り、米韓側からは攻めてくるまいと考えている節があります。

現在の北朝鮮にとって、核兵器とミサイルは自国の安全保障上、不可欠のものである。昨年1月の水爆実験後、韓国との南北共同の工業団地「開城工業地区」が封鎖されましたが、いかに厳しい経済制裁を科されても、北朝鮮がこれらを手放すことは、まず考えらません。国民の負担がいかに増えようとも、国家が消滅するよりはましだからです。

しかも北朝鮮には、アジアで最も良質といわれるウラン鉱脈が存在します。核開発に費用はかかりますが、今では外貨はそれほど必要としないでしょう。核実験はおよそ3年おきに行われています。

韓国と同様、北朝鮮もまた朝鮮半島全域を自国の領土と規定しています。北朝鮮側から見れば、韓国政府こそ消滅させるべき反乱者です。韓国も北朝鮮も互いに相手を国家として認めず、「いずれ叩き潰すべき獅子身中の虫」と捉えています。隣国どうしが対立し合う単純なイメージとは大きく異なります。

互いに相手を滅すべき存在と見なす両国の間には、常に戦争の危険性があります。南北どちらも「平和的統一」を唱えてはいるが、武力統一の可能性も排除していません。双方の違いは、「外国を交えず民族間で統一するのが正しい道筋」と主張する北朝鮮に対し、韓国側はできうる限り米国を巻き込もうとしていることです。

韓国と北朝鮮が開戦した場合、在韓米軍基地があるため、米国も戦争に巻き込まれる可能性が高いです。日本政府も支援を求められることになるかもしれません。この状況を北朝鮮側から見れば、日本も米国も韓国政府という傀儡政権を後押しする敵国です。そこで核兵器とミサイルの存在が問題になります。

16年1月の核実験が水爆によるものだったか否かについては疑問もありますが、否定する証拠もありません。北朝鮮が「水爆」と主張するのは、どちらかといえば自国民向けのプロパガンダと考えられますが、日米にとっては、仮にそれが原爆であったとしても、脅威であることに変わりはありません。

核兵器は威力が大きいため、精密に目標に誘導しなくとも、敵国の上空で爆発させるだけで、熱、風、放射線、電磁パルスによって、周辺に壊滅的な破壊をもたらします。ロケットで衛星を軌道に乗せる技術を持つ以上、北朝鮮の核兵器はすでに、日米に大きな被害をもたらす水準に達していると見なければなりません。

仮にミサイルに搭載した核爆弾が、40キロ以上の上空で爆発しても、周辺の電子機器は一切使用不能になり、付近を飛行中の航空機は全滅するともいわれます。地上でも信号機が動かなくなるなど大きな混乱が起きるでしょう。これを高高度電磁パルス攻撃といいます。

もちろん核兵器は最終兵器であって、北朝鮮もそう簡単には使わないでしょう。仮に米国に対して核兵器を使えば、核による報復を覚悟しなければなりません。しかし国家として滅亡寸前に追い込まれれば、使う可能性はあります。そうなると米国といえど、うかつには北朝鮮を攻撃できません。これが核兵器の抑止力です。

仮に米国が「自国を核攻撃される恐れがあるから、北朝鮮との戦争には介入できない」と考えたら、日米同盟は機能しなくなります。

そうした事態を防ぐためには、日本が北朝鮮のミサイルを迎撃する能力を備えたうえで、「北朝鮮から米国に向けたミサイルが発射されたら、日本政府は必ずその迎撃を命ずるだろう」と信じてもらうことが必要です。日本にとっては、当面米国からの信頼を確保し、日米同盟を確実に履行してもらうことが、自国の安全保障上、死活的な問題となります。

幸い、安倍政権による一連の安保関連法案の改正により、米国政府における日本の信頼度は高まっています。これらの改正は、対中国を考えても、中東のエネルギー安全保障を考えても、必須のものでした。むしろ、ここまで改正が遅れたことが自体が問題だと私は、思います。

そうして、敢えて批判を恐れずにいえば、拉致問題など本当に家族の方々には気の毒で、このようなことは言いたくはないのですが、拉致問題は日本が核武装をして、さらには日本が北朝鮮に対して拉致被害者救助のための部隊を送ることができるようになり、北朝鮮がそれに対してかなりの脅威を感じることでもなければ、なかなか解決できるものではないです。

このような本格的な議論が行われないことには、拉致被害者問題はなかなか解決しません。以下は、今日の北朝鮮の核武装を予言されていた、故中川一郎氏の講演会のGIF画像です。

故中川一郎氏による講演会での発言

日本では核武装の論議もしようせず、マスコミは以上で述べたような、深刻な問題があるにもかかわらず、そのようなことはそっちのけで、日々金正男氏殺害のニュースばかりながしています。

「ああかもしれない、こうかもしれない」程度のどうでも話を毎日流しています。しかし、そのような論議だけでは何も見えてきません。

やはり、北朝鮮の脅威と、拉致被害者問題解決のためにも、日本国内で核武装も含めたまともな議論と行動が必要です。

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2016年11月23日水曜日

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力

東京基督教大学教授・西岡力氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 韓国の自由民主主義体制が揺れている。親北左派政権が誕生し、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もゼロではない。

 ≪本質を欠く朴スキャンダル報道≫

 朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。

 第1の点から論じよう。2015年11月に、過激な反体制運動を行ってきた労組である全国民主労働組合総連盟(民主労総)や、農民団体など50以上が集まって「民衆総決起闘争本部」が結成された。国家保安法に基づき「利敵団体」と規定された北朝鮮とつながる3つの極左団体「祖国統一汎民族連合南側本部」「民族自主平和統一中央会議」「民主民生平和統一主権連帯」が含まれている。

その「民衆総決起闘争本部」が今年のデモを計画していたところ、崔順実スキャンダルが発覚したため急遽(きゅうきょ)、鉄パイプなどを使わないソフト路線に切り替えて、10月29日から毎週土曜日に集会とデモを行っている。11月12日と19日の集会とデモは「朴槿恵政権退陣非常国民運動」が主催したが、前記闘争本部に「参与連帯」「民主社会のための弁護士会(民弁)」「韓国女性団体連合」「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」など1500団体が加わった連合組織だ。特記すべきは、野党はそこに入っていないということだ。

 私が現場で取材した12日の集会でも、参加した野党の幹部や次期大統領有力候補らは司会者が名前を紹介しただけで、壇上にあがって演説することはなかった。壇上で演説したのは、挺対協女性代表、「416の約束(セウォル号事件)国民連帯」女性活動家、ソウル大学病院女性労組員、民弁弁護士などで、崔順実問題についてはほとんど言及せず、朴槿恵政権の対日外交、経済政策などを取り上げて激しい糾弾演説を行った。

 ≪左に偏った半島の政治勢力≫

 「朴槿恵は下野せよ、朴槿恵を下獄させよ」というフレーズが繰り返し出てくる集会の主題歌「これが国か」を作詞・作曲した尹ミンソク氏は、1992年に北朝鮮工作員が作った地下党の傘下組織に加入し、金日成を称(たた)える歌を作ったことをはじめ、これまで4回、国家保安法違反で逮捕された親北活動家である。

尹ミンソク
 半島全体の政治勢力の配置を概観すると、一番左端に金一家の世襲独裁政権がある。国連人権理事会調査委員会はこの政権はヒトラーやポル・ポトに匹敵する「人道に対する罪」を犯していると指摘した。その独裁政権は官営媒体やネットサイトを使って「朴槿恵退陣闘争を進めよ」と煽(あお)っている。

 闘争本部はそのすぐ隣あたりに位置する。運動方針が北朝鮮の煽動(せんどう)とほぼ一致している。なお昨年1月には北朝鮮系ネットサイトで崔順実被告と朴槿恵大統領の関係についての「白書」が公開されていた。

 野党は闘争本部よりは少し右だが親北であることは間違いない。第1野党の文在寅前代表は盧武鉉政権で大統領秘書室長をしていたとき、国連北朝鮮人権決議に賛成してもよいかと北朝鮮に事前に問い合わせ、否定的回答があったので棄権させたという。当時の外相が最近出した回顧録で暴露した。

 第2野党の幹部、朴智元氏は金大中政権時代、南北首脳会談実現の対価として4億5千万ドルの外貨を北朝鮮に送金した事件で逮捕され、実刑判決を受けている。

 ≪自由民主主義を守れるかが焦点≫

 その少し右に与党セヌリ党が位置するが、親朴槿恵派と非朴槿恵派に割れ、内紛を繰り返して4月の総選挙で敗北した。その右に退役軍人や教会などを背景にする保守勢力が配置される。

 保守系有力新聞の朝鮮日報や三星財閥系の中央日報などが左派新聞と競うように暴露合戦を続け、国民の大部分が朴槿恵大統領への失望と怒りを募らせたことは確かだ。しかし、朴槿恵政権がこの間、北朝鮮と国内の親北左派に対して毅然(きぜん)たる対応をとってきたことは保守派から評価されている。

 19日のデモは12日に比べて動員が落ちた。数万人のデモ隊が大統領官邸を囲む中で大統領が辞任を強制されるという「革命的状況」はほぼなくなった。今後は憲法秩序の下で、特別検事の捜査と国会での弾劾審議が進むだろう。

 その間に保守陣営が、朴槿恵大統領の崔順実被告との非正常な関係は批判するが、政権の保守的政策は維持発展させるという立場を整理できるかが勝負だ。それができれば、落ち着きを取り戻した国民に親北左派か自由民主主義派かという選択を示して次期大統領選挙で勝てる可能性も十分ある。焦点は親北左派が政権を握ることを韓国の保守が阻止できるかだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおか つとむ)

【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

韓国では、日々北朝鮮からの浸透の脅威にさらされています。北朝鮮と韓国は国境を接しており、様々な方法をつかって、北朝鮮の工作員が韓国に侵入し、ことあるごとに政府転覆工作を図っています。

過去においては、北朝鮮の指令を受ける地下党組織員出身の韓明淑、金正日の海外秘密資金口座へ4億5000万ドルを不法送金した事件の主謀者の朴智元、左翼革命資金を用意するための強盗傷害犯だった李学永(写真下)が民主統合党の議員として国会に入っていました。

李学永
彼らが歌う党歌は、スパイ事件連累者が作詞し、金日成称賛歌の作曲家が曲を作っていました。韓国マスコミは、このような驚天動地の事実を韓国の国民に知らせてきませんでした。

にもかかわらず、「国民の知る権利」云々する民主党出入り記者たちは記者に偽装した工作員かもしれません。 韓国では、個人的な信念のために事実を隠蔽する者らは地位の上下を問わず、マスコミから追放してこそメディア界が浄化されるとの声が高まっていました。

ジョージ・オーウェルは、「1足す1は2だと言える体制は自由が護れる」と言いましたが、そういう言論の自由を与えても偏向した北の体制に売り払ってしまう記者たちが韓国の自由主義体制を崩壊させることにもなりかねません。韓国の多くの記者たちは「自由の敵」なのです。
李哲禹
民主統合党の党歌が独裁者称賛歌のブログ冒頭の記事にもでてきた、作曲家尹ミンソク、によって作曲された事実を故意に黙殺する記者たちは民主統合党や党歌の作詞家李哲禹(写真上)、や作曲家と理念的な同志なのでしょうか? それとも左翼が怖くて彼らに不利な記事は国民に知らせないのでしょうか? まさに、「党歌事件」は韓国のマスコミの左傾化を告発する事件だったのです。

以上のように韓国マスコミは左傾化しています。だからこそ、ブログ冒頭の西岡氏がかたるように、韓国のマスコミは、朴槿恵大統領スキャンダル報道をするにしても、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えていないし、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどないのです。

その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が韓国民も分からないのです。

そうして、日本のマスコミは、左傾化した韓国マスコミの内容を日本国内で垂れ流すのみです。そうして、この構造は次期米国大統領トランプ氏の報道においても同じ構造でした。

このブログに何度か掲載してきたように、米国のマスコミは、リベラル・左派系が90%を占めており、保守系マスコミは10%を占めるに過ぎず、保守系が何かを主張しても、リベラル・左派系の大声によってかき消されるというのが実体でした。

この構造を脇に置いたとしても、韓国・日本のメディアには大問題があります。それについては、このブログにも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!
朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国においては過去に何度となく、大統領が海外逃亡をしたり、暗殺されたり、自殺したり、不正に関わっていたことがあることを掲載しました。

これだけ不祥事がつづているわけですから、韓国の大統領による統治のシステムは、欠陥があるとみて間違いありません。であれば、朴槿恵大統領のみを主に倫理的な観点から追求していたとしても問題は解決しないはずです。

これは、最早個人の問題ではなく、システムの問題なのです。であれば、大統領制による統治のシステムの問題点を改善したり、改革したりすることが、問題の根本的な解決になるはずです。

18日、米華字メディア・多維網は記事「THAAD配備に訪日、朴槿恵大統領の頼みの綱とは」を
掲載した。死に体と揶揄される朴槿惠大統領だが、THAAD配備や日本とのGSOMIA締結など
外交については着々と業務を進めている。資料写真。
しかし、韓国では、もっぱら朴槿恵氏自身の倫理的側面が追求されるのみです。これでは、全く何の解決にもならないどころか、北朝鮮側に朴槿恵スキャンダルを利用され、それこそ、西岡氏が主張するように、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もでてきます。

もし、韓国メディアや日本メディアなど、韓国の大統領による統治のシステムの問題点を明らかにするという姿勢で臨んでいれば、当然のことながら、その過程で西岡氏が主張しているように、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であり、これに対処する方法をどうすべきかとか、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方ができていたものと思います。

韓国メディアがそのようなことができないにしても、日本のメデイアは本来韓国から少し離れている日本にいるわけですから、記者などに現地取材をさせることをするにしても、もっと違った角度から取材して客観的に報道できたはずです。

しかしながら、米国大統領選挙の報道でも、そのようなことができなかった左下(左傾化しているだけなく、能力が低いということ)のマスコミには、韓国の朴槿恵スキャンダルにおいても、それは不可能なのでしょう。

それにしても、日本の新聞やテレビなどの朴槿恵スキャンダル報道など全く視聴する価値がないどころか、視聴して単純に鵜呑みにしていれば、馬鹿になるだけということは、確かなようです。

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2014年6月22日日曜日

「朝鮮民族は怠惰」 韓国首相候補の発言は正論! 韓国メディアの批判は的外れ―【私の論評】中韓と日本の過去の歴史を比較すれば、自分たちの本質はどうだったかを理解できるはず!それを実行できた日本がアジアで最初の先進国になったという事実を顧みよ(゚д゚)!

「朝鮮民族は怠惰」 韓国首相候補の発言は正論! 韓国メディアの批判は的外れ

文昌克(ムン・チャングク)氏

「朝鮮民族の象徴は、怠惰です」-。韓国の朴槿恵大統領が首相候補に指名した文昌克(ムン・チャングク)氏の発言や考え方が「民族を卑下している」(韓国メディア)などと激しい批判にさらされている。しかし、首相候補に指名した当の朴槿恵大統領の父親、朴正煕元大統領はかつて、それ以上に厳しい表現で朝鮮民族史を語っていた。文氏の発言が「卑下」なら、朴正煕元大統領は完全に「反民族主義者」となってしまうはずだ。今後、世論の批判は朴大統領の父の「反日」に向かうのか。「親日」の父を持った「反日」の朴大統領の悩みは深い。(ソウル 加藤達也)

まず首相候補、文氏の発言を振り返ってみる。文氏はこう演説した。
 朝鮮民族の象徴は、先ほど申し上げたが怠惰だ。怠惰で自立心がなく、他人の世話になること、それが私たちの民族のDNAとして残っていたのだ。 
 (李氏朝鮮時代には)小さな郡に吏房(地方公務員)が800人もいた。吏房が(住民を)無条件にムチで打っていた。 
 コメも1、2斗もあればすべて奪われた。朝鮮の人たちは働こうとしないのだ。なぜならば、仕事をすればみんな奪われるからだ。どれほど努力しても自分に残る者は何もないから怠けるようになったのだ。『神はなぜこの国を日本の植民地にしたのですか』とわれわれは神に抗議するかもしれない。それは冒頭に申し上げたように、神の意思がある。『おまえたちは李朝500年間、無駄な歳月を送った民族だ。君たちには試練が必要だ』。

英国の女性旅行家、イザベラ・バードは「朝鮮紀行」(講談社学術文庫版)で1890年代半ばの朝鮮半島の様子をこう書いている。

朝鮮紀行〜英国婦人の見た李朝末期 (講談社学術文庫)

 (朝鮮人の)官吏階級は(日本による)改革で「搾取」や不正利得がもはやできなくなると見ており、ごまんといる役所の居候や取り巻きとともに、全員が私利私欲という最強の動機で結ばれ、改革には積極的にせよ消極的にせよ反対していた。政治腐敗はソウルが本拠地であるものの、どの地方でもスケールこそそれよりは小さいとはいえ、首都と同質の不正がはびこっており、勤勉実直な階層を虐げて私腹を肥やす悪徳官吏が跋扈していた。
 このように堕落しきった朝鮮の官僚制度の浄化に日本は着手したのであるが、これは困難きわまりなかった。名誉と高潔の伝統は、(朝鮮半島に)あったとしてももう何世紀も前に忘れられている。公正な官吏の規範は存在しない。日本が改革に着手したとき、朝鮮には階層が二つしかなかった。盗む側と盗まれる側である。そして盗む側には官界をなす膨大な数の人間が含まれる。「搾取」と着服は上層部から下級官吏にいたるまで全体を通じての習わしであり、どの職位も売買の対象となっていた。

イザベラ・バード

父の朴正煕元大統領自身が、文氏そっくりの、いやそれ以上の「反民族」的な言葉を残しているからだ。

朴正煕選集 (1970年)


朝鮮民族史について朴元大統領は「国家・民族・私」で、
 わが5000年の歴史は、一言で言って退嬰と粗雑と沈滞の連鎖史」と痛罵。さらに「姑息(こそく)」、「怠惰」、「安逸」、「日和見主義」…辞書が作れそうなほど大量の悪口を使って表現している。
また、「選集」に収められた文章でも「わが民族史を考察してみると情けないというほかない」と断言しているのだ。

朴正煕

かつてバードが批判した李氏朝鮮時代の支配階層・両班(ヤンバン)については「両班の安易な、無事主義な生活態度により、後世の子孫にまで悪影響を及ぼした民族的犯罪史である」。

「韓国民族の進むべき道」でも、「怠惰と不労働所得観念」や「悪性利己主義」などのキーワードを随所に使って、朝鮮民族の“弱点”を語っていた。

文氏を批判し首相候補から引きずり下ろそうとする韓国の政界やメディアはまず、過去の韓国の実態を知り、正しく受け入れたほうが良くはないか? 

【私の論評】中韓と日本の過去の歴史を比較すれば、自分たちの本質はどうだったかを理解できるはず!それを実行できた日本がアジアで最初の先進国になったという事実を顧みよ(゚д゚)!

日本と、中朝の歴史の違いは明らかです。特に倒幕前後時代の歴史を振り返ってみると、日本は、自分たちの過去の歴史を真摯に反省して、日本の良さを自覚する反面、西欧列強からの立ち遅れを素直に認め、何とかしなければ日本は、西欧列強の植民地になってしまうという危機感を抱くことができました。

明治維新の立役者となった幕末の志士 クリックすると拡大します。


日本の場合は、武士階級下が幕藩体制を築いていましたが、藩が安全保障や経済の主体となっていたという状況であり、この状況を打ち破り、日本として結束し、近代国家を建設しなければ、とうてい西欧列強に伍することもなく、おそらく列強の植民地になっていたことでしょう。

しかし、日本は倒幕をしそれまでの幕藩体制を崩壊させ、明治維新により、近代国家である大日本帝国を樹立したのでした。これによって、他国から侵略されることもなく、日本の独立を維持できたばかりか、大東亜戦争により、結果としてアジア諸国から白人勢力を駆逐することに成功しました。

その恩恵に預かっているのが、現在の中華人民共和国であり、大韓民国であり、朝鮮民主主義人民共和国です。

坂本龍馬

もし、日本が大東亜戦争をすることもなく、明治維新も成し得なかったら、当時の中国や朝鮮のように急速な近代化に成功しかったら、今頃中華人民共和国はもとより、大韓民国も、朝鮮民主主義人民共和国もなかったかもしれません。

アジアの大半の国々は、アメリカのハワイ州のように、他国の一部に併合されていたかもしれません。

中国および朝鮮など大半がロシア領になっていたかもしれません。

このような中朝と、日本の根本的な違いは、武士階級が勃興し武士が為政者になっていたことと、中韓では官僚が為政者になっていた事だと思います。中国の官僚制度も腐敗しきっており、韓国もその例にもれず、支配階層・両班(ヤンバン)が近代化の妨げになっていました。

日々遊び暮らし、結局何もしなかった朝鮮の支配階層・両班(ヤンバン)

官僚制度による社会の腐敗を民族の怠惰と呼ぶなら、確かにそうかもしれません。

現在の中国は、結局共産主義革命といいながら、現在でも選挙制度はなく、したがって厳密な意味では、政治家が存在せず、結局は官僚が、中央政府、地方政府ともに掌握し運営しています。結局は官僚体制のままです。習近平は、政治家ではありません。官僚です。中国には誰一人として、政治家はいません。

そうした中国に今の韓国は歩み寄っています。このままでは両国ともまともな社会を築くことはできません。

現代中国・韓国にとって今本当に必要なのは、社会改革です。中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めて、まともな社会を築き、中間層を増やし、これらが活発な経済・社会活動を行うことによってのみ、これからも経済発展をさせることができます。

韓国も似たようなものです。この国も、社会構造を変革して、中間層を増やさなければ、社会・経済とも停滞したままで終わります。

明治維新の立役者を多数教え導いた 吉田松陰先生

日本は、大多数の白痴政治家どもが目覚めてまともになれば、デフレから脱却してまともになることができます。社会構造の大変革は必要ではありません。ただし、社会問題は無論ありますから、これは、適宜直していく必要はあります。しかし、デフレを放置しておけば、これもままならなくなります。何をやっても、モグラ叩きに終始するだけです。

日本は、社会構造はもともと安定していたので、20年近くも放置してきたデフレを解消すれば、これからも十分に経済も発展し、社会も発展していきます。

しかし、中韓は違います。このまま社会を放置していたら、日本の江戸時代とあまり変わりがありません。経済だけ発展させようにも、限界があります。中韓は、この壁を超えなければ、社会的にも経済的に発展できなくなります。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月13日月曜日

【正論】年頭にあたり 「靖国問題」はこれきりにしよう―【私の論評】これは全くの正論、現在の靖国問題は中曽根総理大臣の判断ミスによるもの、参拝を恒例にすれば、3年もすれば消えてなくなる(゚д゚)!

【正論】年頭にあたり 「靖国問題」はこれきりにしよう

元駐タイ日本大使・岡崎久彦

 首相の靖国参拝の報を聞いて、心の中の霧が晴れたように思う。もうこれで良いのだと思う。

 国民の大多数も同じ感情だったと思う。直後の世論調査では69%が参拝を支持し、安倍晋三内閣の支持率も上昇したという。

 ≪米国の「失望」表明は失策≫

 英語で、enough is enough(もうたくさんだ)という。靖国問題はもうおしまいにしてほしい、というのが日本人の一致した心情だといえよう。

 今後は定期的に参拝していただきたい。本来、安倍首相は、日本人の良心として参拝を希望しておられた。これを機会に年中行事にしてほしい。

 初め一、二回は波乱もあろう。米国も一言言ってしまって引っ込みがつかないでいる。今回の「失望感」の表明は、日米関係だけでなく、日中、日韓の関係悪化に拍車をかけるだけで、その改善に何ら役立たない。さらに米中、米韓の関係において米国は、この立場を継続せざるを得ない借財を自ら作ったが、それが米国の東アジア太平洋政策に益するところは何もないと思う。

 セントヘレナに流された戦犯ナポレオンがアンバリッド(廃兵院)に祭られたのは、1世代たった1840年である。

ナポレオン・ボナパルト
実は日本も戦後1世代を経た1970年代の10年間、靖国問題は存在しなかった。その後、歴史問題が国際的に騒がしくなったとき、私は常に、外国の学者、ジャーナリストに一つの質問をした。

 「皆さんは、日本は戦争の過去の問題をいまだに解決していないとおっしゃいますが、では1980年という1年間を取ってみて、皆さんの中で一人でも一言でも、日本はまだ戦争の過去を清算していないということを言ったり書いたりしたことのある人があれば、その証拠をお見せください」

 これに対しては今に至るまでただの一人も証拠を示し得ない。

 ≪左翼反米勢力の輸出が発端≫
 いわゆる歴史問題が復活するのは80年代になってからである。当初は、すべて日本内の左翼反米勢力から外国に輸出されたものである。

 ただ、中国ではその後、天安門事件があり、民主化運動に代わるものとして愛国主義運動が鼓吹された。発端は日本発ではあるが、それが今や中国のナショナリズムの主たる原動力となっている。

 天安門事件で拘束された運動家が次々に釈放されて、「もう一度民主化運動をしよう」と言うと、昔の仲間から、「いや、今は台湾を解放して百年の恨みを果たすべきときだ」と言われて挫折し、米国や日本に亡命したケースも少なくない。

 最近になって、A級戦犯が合祀(ごうし)されているからという理由も挙げられているが、それも後からつけた理屈に過ぎない。戦犯合祀後、日本の自民党首相の中で最もハト派だった鈴木善幸首相は9回、続く中曽根首相は中断までに10回参拝しているが、国際的、国内的に何の問題にもなっていない。

 戦後1世代でいったん過去のものとなった問題が、10年後に蒸し返されて、その後30年も1世代続いていることに日本の国民はもううんざりしている。
 もうおしまいにしよう。(おかざき ひさひこ)

上は、要約です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】これは全くの正論、現在の靖国問題は中曽根総理大臣の判断ミスによるもの、参拝を恒例にすれば、3年もすれば消えてなくなる(゚д゚)!

第71・72・73代総理大臣 中曽根康弘氏 大正7年5月27日生 出生地:群馬

上の記事、まさしく正論です。この問題についての新しい事実など特にはありませんが、どう考えてもまともな正論です。そうして、無駄な情報、言葉もなく内容が非常にコンパクトに良くまとまっています。やはり、靖国問題の事実に、最近知ったというような人とは異なり、歴史的事実も踏まえて、明快な解説をしています。これに対して、ほとんど説明を付加する必要もないくらいです。

ただし、以下に当時の中曽根首相がなぜ靖国参拝をやめたのかだけその背景や、事実など掲載しておきます。

中曽根氏は首相在任時の85年、靖国神社公式参拝を中国に非難され、翌年から参拝を止めました。氏はその理由を、胡耀邦党総書記の失脚を避けるためと説明していました。良好な日中関係を築こうとした胡総書記の足を引っ張らないために、胡批判の材料とされかねない日本国首相の靖国神社参拝は中止するのがよいと、中曽根氏は決断したというのです。

胡耀邦


しかし、権力争いにおいて、しかも中国の権力闘争において政敵を葬り去る口実など、その当時でも、今でも、山程作り出せるものです。中曽根氏の配慮などなんの役にも立たず、胡総書記は失脚、そして中国は今日に至るまで靖国カードを握るに至ったのです。中曽根氏は明らかに判断を間違えました。そして今もその間違いの延長線上に立ち、靖国に代わる施設を建立せよと説いています。政治家が自国の国益を二の次にして他国の国内政治の片方の勢力に力を貸した結果がこれです。

現在では、中曽根首相が靖国神社公式参拝を止めたことが「前例」となり、以降、日本国首相が公式参拝しにくくなっています。本来、日本の首相が、公式参拝するのが当たり前で、公式参拝しないならば、「なぜ、公式参拝しないのか」が問われなければならないはずなのですが、逆に、「なぜ、参拝したのか」が問われかねないのが現在の状況です。

中曽根氏に対する、批判は「結果論」であるという人もいます。しかし、かりに当時胡耀邦党総書記  が失脚せず、「良好な日中関係」が築かれていたなら、どうなっていたでしょうか。中曽根首相の「英断」だったと評価されていたかもしれないというのです。

しかし、中国にとっては、靖国問題は「手段」にすぎないと思います。たとえ胡耀邦氏が当時失脚しなかったとしても、「良好な日中関係」は一時的なものにすぎず、やはり最終的には「中曽根氏は明らかに判断を間違えたのである」ということになったのではないかと思います。

中国に対しては、「日本的な配慮」はなんの効果もなかったし、これからないということです。

胡総書記が失脚しようが、権力を維持しようが、どちらに転んでも日本にとって不利益になるのであれば、中曽根首相のような「日本的な配慮」はしないほうが良い、ということになるのではないかと思います。

中曽根氏は、配慮などすべきではなかったし、その後の首相もすべきではなかったのです。配慮をすれば、するほど、中国側はそれみたことかと、居丈高になるだけです。

戦後60年以上もたって、一時何でもなかったことが、蒸し返され、靖国参拝が問題にされるという異常事態は中曽根氏の失策から始まっていたということです。

現在の安部総理は、このことをよくご存知だと思います。そうして、中国には「配慮」など必要ないということを良くご存知だと思います。

中国ならびに韓国に対しては、歴史問題に配慮しても、しなくても結果的には何も変わりません。いや、それどころか、配慮すればするほど、つきあがり、そもそも、外交カードでも何でもないものを、カードにして日本を非難するだけです。

安部総理は、歴史問題への配慮などしていませんし、これかもしないでしょう。全く正しい判断です。安部総理から参拝をはじめて、これからも、続けて恒例にすれば、最初の2~3年程度は、中韓あたりが大騒ぎするでしようが、騒いでも参拝が続き、何も変わらないということになれば、外交カードとしても役に立たないことが明白になり、やっても何の得にもならなければ、いずれ歴史問題の蒸し返しはしなくなるでしょう。

そうなれば、中国としては、国内の人民の不満を日本という外敵に向けることができなくなるため、外交問題がというのこうのという次元ではなく、中国崩壊につながるかもしれません。なにしろ、中国では建国以来毎年平均2万件の暴動が発生していましたが、2010年あたりから、毎年平均8万件も発生するようになって以来、政府は数字を発表しなくなりました。現在も、おそらくこの規模で毎年暴動が発生しているのだと思います。

上の記事の、"英語で、enough is enough(もうたくさんだ)という。靖国問題はもうおしまいにしてほしい、というのが日本人の一致した心情だといえよう"というのは、本当に日本人の大多数の考えだと思います。私など、あまり中韓あたりが、これからも、うだうだ歴史問題をいうなら、もううざったさも限界に来ているので、いっそのこと、中韓などこの世から消えて、新しい中国・韓国に生まれ変わってほしいとさえ思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年12月29日日曜日

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今日(27日)のテレ朝 ワイドスペシャル・スクランブル

大下アナ  「アメリカまで失望してます!!!」

石破幹事長  「その下の文言削ってますよね?戦没者への哀悼と不戦の誓いをするために参拝したのには留意するって書いてあるの削りましたね?」 「アメリカは日韓関係についての心配が出たものでしょう」

デーブ  「なんで今行くんだよ?こんな大変な時に行くっておかしくないっすか?」

石破幹事長  「そもそも戦没者を哀悼し、不戦の誓いをするという行為を誰が非難するのでしょうか?」

デーブ 「せっかく関係改善の動きが出てきたのに、わざわざ揉め事起こしたとしか思えない」

安倍総理靖国参拝のネガティブ・キャンペーンを
はろうとして思わぬ反撃にあった、デーブ・スベクター

末延  「デーブはリベラルだからそういう事言い出す。日本が我慢すれば全て上手く行くとでも?」「この一年、日本は関係改善に動いてきましたが中韓は何をしましたか?防空識別圏を設け、弾薬支援しても全く謝意も表さない」

「言うべきことを言わないで我慢した結果がこれですよ?やっぱり言うべきことは言うべきなんですよ」

デーブ  「民間交流の足を永田町が引っ張っている!!!夫人なんかキムチまで作っているのに!」

末延  「そうでしょうか?韓国は解決済みの日本企業の戦後補償まで持ち出して来ています、そりゃ投資減りますよ」 「それよりも中韓のこのような批判に揺さぶられ、あっちがどうしたこっちがどうした揺れまくる、ぶれることが問題です」

デーブ 「でもアメリカまでも批判してるじゃないですか?」

末延  「普段はアメリカの言いなりという人に限ってアメリカから批判されると急にアメリカが言ってるから、と言い出します」

「外交でも言わなきゃならない、やらなきゃいけない事は絶対ありますし、それをシなかったことが問題なんです」

デーブ  「。。。。(´・ω・`)」

大下アナ  「つ・・・続きましては今年一年のアベノミクスについて云々」

コーナー終了

テレ朝どーした(´・ω・`)
てか末延は朝日新聞記者だったのにwwwwwwwwwwwwww

【私の論評】マスコミ報道のギャップから読み取る、朝日新聞の真実?結局日本のメディアは御用メディアではなく、中国御用反日メディアなのだ!!

テレビ朝日
27日のテレ朝の、ワイドスペシャル・スクランブルでは何とデイブ・スベクターがボコボコにされていたということを上の記事ではじめて知りました。

まずは、上の番組の出演者について掲載してみようと思います。大下は、女子アナで写真でいえば、ブログ冒頭のものの右側です。これについては、あまり説明の必要もないと思います。デーブをはじめ、他の人も説明は必要ないと思います。

末延氏については、若干の説明が必要です。上の記事では、末延氏のことを朝日新聞の記者だったことがあると述べていますが、それは間違いだと思います。以下に写真と経歴を掲載しておきます。
末延 吉正(すえのぶ よしまさ)
ワイドスペシャル・スクランブル レギュラー出演
出演日:木、金
政治ジャーナリスト 中央大学特任教授  山口県出身。慶應義塾大学大学院修了。テレビ朝日入社後、米国・中東・アジアなど70か国を取材。『朝まで生テレビ!』プロデューサー、『報道ステーション』コメンテーター、経済部長、政治部長を経て政治ジャーナリストとして独立。
05立命館大学客員教授、09中央大学特任教授。政界の豊富な情報源をもとにした政局解説、イラク・アフガン・ミャンマー・北朝鮮など紛争地の取材体験に基づく日本外交論。専攻は政治コミュニケーション論。

さて、27日ワイドスペシャル・スクランブルでは、番組進行としては、冒頭の記事の大下アナの発言「アメリカまで失望してます!!!」という発言から、アメリカの靖国参拝に対する公式見解の一部である「失望」という言葉を捉えて、あくまでも、安倍総理の靖国参拝を、失敗であったかのような、印象操作を操作をして、ネガティブ・キャンペーンを行おうとしたように見えます。

それに対して、石波幹事長は、反論はしてはいますが、ネガティブ・キャンペーンを払拭できるほどに強くはありません。そうして、この場を一気に、さらにはっきりとネガティブに変えてしまおうと、デーブが追い討ちをかけようとしたのですが、これに対して、末延氏が、真っ向から反論して、逆に一気にネガティブ・キャンペーンを完全崩壊させています。

朝日新聞は、従来安倍総理に対しての徹底したネガティブ・キャンペーンをしていましたが、昨年あたりから風向きが変り、どうやら安倍総理と手打ちをして、ネガティブ・キャンペーンをとりやめたようではあります。それについては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
厳しい安倍氏批判していた朝日新聞 最近は論調一変しホメる―【私の論評】朝日は創立以来風見鶏!!安部総理に対する報道にもすでに前触れがあった!!これからも、風になびいてそのうち吹き飛ばされる!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事朝日新聞が従来の安倍総理に対するネガティブ・キャンペーンをとりやめつつあることを掲載しました。

もともと風見鶏の朝日新聞
朝日新聞は、創立以来時代の空気に流される風見鶏のような新聞社であって、最近の安倍総理に対する報道だけではなく、戦前、戦中は軍国主義を煽るような報道をし、一転して戦後は、世相に合わせて左翼系新聞になり、世の空気に迎合してきました。そうして安部総理のように「戦後レジーム」からの脱却の方向に世の中が進み始めたとみるや、すぐに方向転換です。主張も立場も何もあったものではありません。 
上の新聞では、(安倍総理の)「戦後レジームからの脱却」を封印という表現をしていますが、これは間違いです。安倍総理は、前の苦い経験から「戦後レジームからの脱却」をするにあたっても、長く険しい道であることを理解し、途中のマイルストーンを定めて着実に歩を進めているだけです。日銀の金融緩和政策が、「戦後レジーム」からの脱却と無関係と思うのは、的外れです。
朝日新聞は、とりあえず、大きく聴こえるように思われる安倍総理を支持する人々に対して迎合しようとしているようです。そうして、実際、昨年安倍総理が衆院選で大勝利した直後に、朝日新聞社の社長と安倍総理が面談して、手打ちをしたとされています。しかし、テレ朝は全く姿勢は変えていないようです。同じグループでもこのような差異があるということです。

末延氏に関しては、もうテレ朝をやめてから久しいので、ついつい本音が出たというか、日本の国益を第一に考えた場合このようなスタンスになるのは当然のことと思います。

デイブ・スベクターはそもそも、米国人であり、米国側のスタンスから述べているのだと思います。米国側からすれば、日本がアメリカから離反してもらっては困るのですが、それにしても、あまり強くなられても困るし、中韓あたりと適当に仲違いしているくらいが丁度良いので、デーブはこの米国側のスタンスに立って、安倍総理の靖国参拝に対するネガティブ・キャンペーンをはりたかったのだと思います。しかし、それが朝テレ出身の末延氏の予想もしなかった大反撃にあって、折られてしまったということだと思います。

それにしても、朝日新聞は、安倍総理に対する直接攻撃やネガティブキャンペーンは確かに、最近ではほとんどなくなっていますが、やはり、従来からの反日的スタンスは変えていません。それに関しては、このブログでも以前紹介させていただきましたので、その記事のURLを以下に掲載します。
朝日新聞 スクープ扱いで「インドネシア慰安婦」でっち上げ―【私の論評】化けの皮が剥がれた朝日は反日、親中の立ち位置を変えていないことがはっきりした!もう、日本から消えるか、人民日報日本支局と名称を変更せよ(゚д゚)!
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、最近朝日新聞は、「インドネシア慰安婦」のでっちあげを行っています。

またまた、朝日新聞のでっちあげ

これでは、安倍総理との手打ちによって、総理自身のネガティブキャンペーンはしなくなりましたが、決して日本多数派に対して迎合できているとはいえません。朝日新聞上層部では、時の権力とか、大きな声(安倍総理靖国参拝を妥当とする声は、多数派)に迎合して、朝日新聞社の延命をはかろうとしているのですが、とにかく、戦後60年以上も反日だった組織を、すぐに変更できるわけもなく、社内でも分裂しているのだと思います。

それに、朝日新聞グループは、朝日新聞上層部は反日をやめたいというスタンスなのですが、朝日新聞内でもこれとは異なる大きな守旧派勢力があるし、同じグループ内でも、テレ朝は全くスタンスが変らないということなのだと思います。いずれにせよ、いくら安倍総理個人に対するネガティブ・キャンペーンをやめたにせよ、このような記事を出し続けるというのなら、結局今までと同じで、安倍総理に対する反対勢力であることに変りはありません。

本来は、もともと、時の権力に迎合するメディアである朝日新聞も、なかなかその方向に行けず苦慮しているようではあります。それにしても、新聞社の方針として、定まったものがなく、時の権力に迎合するというだけではもともと、方針のない新聞社だということです。この、方針のなさが、今回のワイドスペシャル・スクランブルにも垣間見られたとみるべきでしょう。

27日(金)といえば、私は朝たまたま、フジテレビの「とくダネ!」を見ました。そのことについては、以前のこのブログでも掲載しましたので、その記事のURLを掲載します。
意識調査実施中 安倍首相の靖国神社参拝は妥当?―【私の論評】安部総理靖国参拝大賛成!大きな声を無視するメディアの不思議?一部の50歳代の主婦とともに、極小派に成り果てたテレビ(マスコミ)に明日はない(゚д゚)!

この記事では、フジテレビの「とくダネ!」における安倍総理の靖国参拝の取り上げ方を掲載しましたが、この番組では、最初から最後まで徹頭徹尾全員が、靖国参拝が失敗であったように印象操作するものでした。

こういことから結論付けることができると思うのですが、日本のほとんどのメディアは、いわゆる御用メディア(時の権力におもねる報道をするメディア)なのではなく、結局は中国御用反日メディア(中国の立場を代弁するメディア)だということです。

それにしても、日本のメディア、御用メディアであれば、一部の人から信念のなさを指摘されたり、批判されたりはしますが、尊敬されなくても、それでも何とか生きてはいけると思います。なにしろ、いくら御用メディアであるにせよ、日本のメディアであることには変りありません。しかし、日本のメディアはそうではなく、あくまで中国御用反日メディアなのです。これでは、先がないのは当然のことです。もうそそろ、マスコミもそのこと自体に気づくべきです。マスコミは、その属する国の国民に、視聴されなければ、滅ぶしかないのです。

いくら守旧派が頑張っても、マスコミを継続させることなどできません。やはり、新聞を本気で革新させようという若い世代にリーダーシップをとらせるべきときです。今の日本のメディアには抜本的なイノベーションが必要不可欠であり、これに失敗すれば、崩壊するのみです。いや、おそらく失敗して消えうせて、新興勢力にとって変られるのでしょう。そのほうが、きれいさっぱりして良いです。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年7月11日木曜日

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題―【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報「日本の少子化対策は見当違い、「若者の仕事問題改善せよ」 「悔しいが正論」「ぐぬぬ」とネットで話題




   中国共産党機関紙・人民日報日本語版は2013年7月8日付の社説で、「日本はなぜ『少子化』に頭を悩ますのか?」という見出しの記事を掲載した。日本の少子化は将来の労働力供給に影響を与え、経済発展のブレーキとなるだけでなく、高齢化問題をも深刻化させ、医療費・福利厚生などの社会保障システムの負担を重くさせる。その結果として、国際競争力を低下させるという。

   政府が2013年6月25日閣議決定した、2013年度版「少子化社会対策白書」によると、日本の女性が第1子を出産した平均年齢は30.1歳となり、初めて30歳を超えるなど「晩婚化」と「晩産化」が同時に進んでいる。また、若者の経済状況の悪化が結婚や出産を望まない原因となっている。日本が最近発表した人口統計・予測資料によると、5月1日の時点で、全国の15歳未満の「子ども人口」は1649万人で、総人口に占める割合は12.9%ととなり、これまでで最低の数字を記録した。

   この問題について記事では、政府は少子化担当大臣を特別に設置したほか、「産後ケア」を強調し、実施されていた児童手当の支給額増加、妊婦の産休期間の延長、養育費の補助金の増加などの対策もおこなったが、これらの対策でも日本はいまだに少子化の流れをとどめられていないと指摘する。

   そして、

「根本的な要因はケア不足なのではなく、経済的な問題である」
と断じた。

   さらに、日本では子どもを大学までやるのにすべて国公立だったとしても、合計で2985万円かかる―こんなAIU生命の2005年の調査結果を引き合いに出した上で、内閣府の調査で、子供を出産、子供を養育するには経済的負担が大きすぎ、費用を捻出できないとする答えは全体の39%を占めていることをあげて、

「このため、現在の若い男女の立場にたって若者の仕事問題を改善しなければ、若者は当然、順調に結婚や出産などできないだろ」
と案じている。

くだらないので、特に最後まで読む必要はないとは思いますが、この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】人間の頭のねじれを象徴する人民日報記事と気になる日本の野党党首らの頭のねじれ具合?

人民日報の記事、なにやら私は、人間の頭のねじれを象徴しているような気がします。そもそも、中国の社会構造は遅れていて、日本を批判できるような状況ではありません。

まず、中国は一人っ子政策により、高齢者社会にまっしぐらの状況にあります。これについては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国、60歳以上が2億人突破へ 総人口の14・8%:―【私の論評】社会の変革を後回しにしたつけが効いてきた中国、習近平はラストエンペラーになる!!【2】
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事で用いたグラフと、一部記事の内容をコピペさせていただきます。
中国の人口は60歳以上が、2億人を突破することが確実になってきました。中国の老齢化に関しては、このブログにも過去に何回か掲載してきました。日本の場合は、社会がある程度高度化してから、老齢化したので、老齢化は確かに大変なのですが、さらならる生産性の向上などにより何とか出来る見込みはあります。それに、随分前に調べたのですが、65歳の高齢者のうち、介護が必要な人は5%ということで、これは思いのほか少ないです。 
・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・ 
しかし、中国の60歳台の場合は、日本の団塊の世代とはかなり異なります。若い頃は、日本の団塊の世代などとは異なり、大部分の人が、食事にも窮したような、貧乏な時代を過ごしています。経済的にある程度良くなったのは、中年を過ぎてからなので、考え方、ライフスタイルも今の若い世代とは相当異なります。また、パソコンなども特殊な人を除きつかつたことのない人が大多数です。 
このようなことから、日本の60歳台は、知識労働にも馴染んだ人が多いですが、中国ではそうではありません。ほとんどの人が、肉体労働で収入を得た人たちが多く、知識労働などに従事できる人はほんの一握りです。 
それに、中国が高齢化で不安なのは、日本のように社会保障がほとんどないことです。生活に窮したとしても、生活保護などあるわけでもなく、医療費も高額ですし、日本人と比較すると、かなり利己的な社会となっていますから、かなり深刻です。日本も決して良い環境とはいえませんが、中国に比較すれば、老人にとっては、別天地です。
少子高齢化、生産人口の減少により、最早中国は世界の工場ではなくなりつつあります。こんな状況では、若者はさぞ重宝されていると思いきや実体はその逆です。

そもそも、中国では統計がはっきりしないので、何ともいえないですが、中国の現在の新卒の半分は就職できいない状況にあります。これについて、中国の別のメディアが以下のように伝えています。
中国も「就職氷河期」日本はどのように雇用を確保? 
 中国は今まさに「最も就職が難しい時」を迎えている。大学卒業生を中心とする若年層が、雇用市場で厳しい寒さに直面している。目を世界に転じれば、「経済を発展させ、雇用を増加させる」ことが各国政府の永遠の課題だ。だが世界がなお経済危機からの復興の途上にある中、先進国でも発展途上国でも、若者の間でまるで伝染病のように失業が蔓延している。各種のデータを総合的にみると、15歳から24歳の若年層の失業者数は約3億人に上り、米国の人口にほぼ匹敵することがわかる。「銭江晩報」が伝えた。 
 だがすべての国が失業率の高止まりに苦しんでいるわけではない。欧州では多くの国が就職難に苦しむが、ドイツの就職率は高く、特に若年層の就職状況は他国とは異なり好調だ。ドイツの若者は軽々と職を得ることができるが、隣国の若者はどんなに願っても仕事に就くことができない。日本の就職率は93.6%と高く、日本がどのように若者の雇用を確保しているかが気になるところだ。
この記事も、ブログの冒頭の記事と同様に、最近のものです。なにやら人民日報とは随分異なる論調です。詳細は、上の記事をご覧いただくものとして「銭江晩報」は、日本の高い就職率を「政府や日本の経済団体は専門のネットワークプラットフォームを構築し、小規模企業となかなか就職できない学生とをつなぐ架け橋を無償で提供しており、同プラットフォームに登録した学生は最短2週間で内定通知を受け取れる可能性があるという」と掲載し評価しています。

そうして、私は、この見方も一部正しいところは、ありますが、今年に入ってからの日本の就職率の改善は、アベノミクスの異次元の金融緩和に対する期待と、4月からは、実際に緩和を始めているということにつきると考えています。

このことについては、以前のブログにも掲載したので、その記事のURLを以下に掲載します。
【日本の解き方】雇用問題が論争されない悲劇 改善に重要な金融政策―【私の論評】雇用問題と金融政策は全く無関係だと思い込んでいるのは先進国では日本人だけ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、若者の雇用を含む雇用全般と金融政策とには密接な関係があることを掲載しました。以下に、この記事で用いたグラフと、一部内容を抜粋させていただきます。
米国では、金融政策は雇用政策とほぼ同義である。というのは、短期的には失業率とインフレ率の間に逆相関関係(フィリップス曲線)があり、「犠牲率」という概念が広く共有されている。犠牲率とは、インフレ率を低下させるためにはどの程度の失業率の上昇になるかということだ。この概念を用いることで、これ以上下げられない失業率より現実の失業率が高ければ、インフレ率を少し高めて失業率を低下させるという政策を実施できる。
この曲線をご覧いただければ、消費者物資があがる、要するにインフレになれば、失業率が下がっていくことを示しています。要するに、インフレになれば、雇用率があがっていくということです。これは、無論国によって、相関係数などは異なりますが、どこの国にもあてはまります。無論、日本だってあたはまります。 
こんな、当たり前のことが、日本では、全く理解されていません。皆さんの中には、日銀と雇用とのが関するなど全く結びつかない人もいると思います。しかし日本だけが、他国で通用している、マクロ金融や、経済いの法則くが成り立たないということはありません。日本でも成り立ちます。
現在日本では、異次元金融緩和を実施している真っ最中です。異次元金融緩和は、若者雇用すなわち、ブログ冒頭の人民日報の記事でいうところの、「若者の仕事問題改善」そのもの直結しています。アベノミクスの狙いは、株価上昇ではありません、これは単なる副産物であり、本命ではありません。

本命は、あくまでデフレからの脱却です。デフレからの脱却の目的は、景気を良くすること、景気が良いとは若者をはじめとする雇用状況を良くするということです。賃金を上昇させるということです。賃金は、今のところ全体があがっているという状況ではありませんが、雇用面では間違いなく手応えがあります。

このようなことを考えていくと、ブログ冒頭の人民日報の記事の内容は、日本は、「経済的な問題」を行なっていないとしています。これは、頭がねじれた人が掲載しているとしか思えません。人民日報は、中国共産党の機関紙ですから、中国共産党の頭がねじれているということでしょうか?

そもそも、何のための記事なのでしょう。中国共産党はこの記事で何をいいたいのでしょうか。やはり、日本政府のやり方を批判することにより、就職率が異常に低い中国の若者たちの憤怒のマグマをそらすという意味でもあるのでしょうか?それにしても、あまりに、中途半端で、おかしいです。これは、中国共産党自体が危機にあるという査証なのかもしれません。

そうして、その危機のなかには、皮肉にも、日本の「若者の仕事改善」を実施するための日銀の金融緩和も含まれています。どういうことかといえば、これはこのブログでも以前紹介しているので、その記事のURLを掲載します。
これが実力だぁ 中国・韓国 経済が大失速アベクロ相場でニッポン圧勝―【私の論評】白川によって中国と韓国の大富豪に大奉仕させらてきた日本人!!もう二度とあんなバカ真似はさせまじ!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中韓は、日銀の長期にわたる金融引締め政策による、デフレ・円高構造にかなり恩恵を受けてきたことは間違いありません。結果として、日本の若者も含む雇用情勢を悪くしつつ、中韓の雇用状況が良くなるように貢献してきたことになります。その政策が打ち切られため、中国は6月の段階で国内経済が大混乱しています。7月危機説まで、囁かれている状況です。

こんなことを考えあわせると、冒頭記事は、日本政府が従来のように、雇用問題一つとってみても、金融緩和などの本質的なことを実施せず、関係のないことを実施して、たとえば菅政権の雇用対策のように無意味なことをして、にそれで対策をしたつもりなるような愚かな政府に逆戻りしてもらいたいという淡い思いの表明なのかもしれません。

いずれにしても、冒頭の記事は、頭がねじれているとしか思えません。このようなねじれは、日本でも散見されます。

このねじれに関して、高橋洋一氏が指摘しています。以下にその記事のURLを掲載します。
労働者の党が金融政策批判の不可解 自由貿易否定で経済成長は困難
アベノミクスに対して野党の意見は二極化している。第1の矢である金融政策について、共産党の志位和夫委員長は「アベノミクスは国民の所得を奪う『毒矢』ばかりだ。アベコベミクスだ」とし、生活の党の小沢一郎代表は「物価高によって、国民の生活は苦しくなっている」、社民党の福島瑞穂党首は「物価は上がっても給与は下がっている」、みどりの風の谷岡郁子代表は「資本主義の社会では、お金は低いところから高いところに流れがち」といずれも批判的な立場だ。 
 これに対し、日本維新の会とみんなの党は第1の矢に賛成で、さらに公約で日銀の目的や責任を明確化するため「日銀法改正」にまで言及している。 
 労働者の立場に立つべき政党が、金融政策に反対するというのは世界中を見ても日本だけだろう。欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張するのは、歴史的にみても当然である。というのも、インフレ率と失業率の逆相関を示す「フィリップス曲線」が示すように、金融緩和は失業率の低下をもたらし、労働者のためになるからだ。 
 ちなみに、今のアベノミクスの金融緩和によって、2年後の失業率は3%半ばまで低下すると同時に、マイルドインフレになるので、賃金上昇率はインフレ率2%を超えて3%程度まで高まるだろう。小泉政権時代の例を挙げて、賃金が上昇しないと主張する野党もいるが、デフレ脱却をしていなかった時なので反論になっていない。
欧州の社会主義政党が、雇用の確保のために金融政策を活用すべきと主張しているにもかかわらず、金融緩和に反対する、共産党、生活の党、社民党、それから高橋洋一氏は指摘していませでしたが、民主党の海江田代表も含めての党首たちの頭はねじれているとしか思えません。これらの、党首たちの発言は、まるで、このブログの冒頭の記事の人民日報のような頭のねじれ具合だと思います。

私たちは、人民日報や、日本の政治家の頭のねじれ具合を見過ごすわけにはいきません。はっきり認識して、これらに流されるべきではありません。落ち着いて考えて、冒頭の人民日報の記事に対するネットでの「悔しいが正論」「ぐぬぬ」などという反応をすべきではありません。私は、そう思います。皆さんは、どう思いますか?

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