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2019年6月27日木曜日

米中貿易戦争より大きい日本経済のリスクとは―【私の論評】日本では、「リーマン・ショック」に続いて「コールドウォー・ショック」という和製英語ができあがるのか?

米中貿易戦争より大きい日本経済のリスクとは

先進国では日本だけ「異常な状態」が続く

米欧の金融緩和は市場の想定以上。ひるがえって日本は「緊縮政策」でいいのだろうか?

 前回のコラム「
今のままでは大幅な円高ドル安になりかねない」では、
5月からFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の利下げへの転換など、各国中央銀行の緩和スタンスが強まっていることを強調した。

米欧中銀のハト派姿勢は市場予想を上回る

 その後、市場の想定を上回るペースで米欧中銀のハト派姿勢が強まっている。6月18日に、ECB(欧州中央銀行)のマリオ・ドラギ総裁は、今後の景気下振れリスクに応じて利下げを行う可能性だけではなく、量的金融緩和政策再開の可能性に言及した。6月理事会でフォワードガイダンス強化のみが決定された直後だっただけに、早々に利下げ再開に踏み出したのは意外だった。

 ドラギ総裁の発言の2日後に結果が公表されたアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)において、FRBも市場の想定を上回る緩和強化姿勢を示した。政策金利は想定どおり据え置かれたが、FOMCメンバーの政策金利見通しにおいて、半数近い7人が年内0.5%の利下げを想定していることが判明。

 筆者はこの中にジェローム・パウエル議長が含まれる可能性が高いと見ているが、3月までは金利据え置きを想定していた中立派メンバーの多くが、年内に1~2回の利下げを想定していることが明らかになった。

 実は、FOMCメンバーの政策金利見通しこそ変わったが、2020年までの経済成長率、インフレ率の想定はほぼ変わっていない。米中貿易戦争の激化、インフレ期待の低下基調など、潜在的リスクへ対処するために、早期に複数回の利下げを行う必要があるとの考えが広がった。

 ECB、FRBによる緩和姿勢の強化をうけて、アメリカの長期金利は2%を一時下回り、ドイツの長期金利も史上最低金利を下回り、-0.3%台まで低下する場面があった。

 目先は、28~29日のG20で行われる見通しの米中首脳会談の結末が注目されている。これがどのような結果になっても、筆者はアメリカの中国に対する強硬な通商政策が続く可能性は高いとみており、関税引き上げが続くことを踏まえると、今後の世界経済に下押し圧力がかかるだろう。

 一方、最近起きている金利低下が示唆するのは、世界的な景気後退とそれに伴う先進国のデフレリスクの高まりである。ただ、各国中銀の緩和姿勢強化によって足元で進む金利低下が、アメリカなどの国内需要を高める方向に作用するため、今後の景気減速は緩やかなものになると筆者は予想している。

 米中貿易戦争による緊張は続くが、予防的かつ積極的な米欧中銀の利下げ転換によって、世界経済の深刻な後退が回避されるというシナリオである。

 アメリカの株式市場はFRBなどの金融緩和姿勢を好感し、6月20日にS&P500は最高値を再び更新した。長期金利の大幅低下で相対的な株式の魅力度が高まっていることが、年初からのアメリカ株市場反発のドライバーとなっている。

 では同国の株高は続くだろうか。金融緩和や財政政策の下支えで、同国経済の減速が限定的となり、株高は十分正当化できると筆者はみている。さらに、低金利環境が長期化するとの見方がより広がることで、PER(株価収益率)の上昇によって2019年後半に一段の株高となりうるだろう。
日本だけが緊縮的な財政政策に踏み出すという「異常」
 一方、日本株はどうだろうか。筆者は「アメリカの株市場は好調でも、それに置いていかれる状況が続く」と、当連載で繰り返し指摘してきたが、この状況はまったく変わっていない。先に述べたとおり、FRBの金融緩和強化によるアメリカの金利低下によって、為替市場ではドル安が進みドル円相場は一時107円を割り込んだ。金利が大きく低下しても、現時点ではドル円相場において小幅なドル安円高にとどまっている。

 しかし、FRBは市場の想定を超えるピッチで金融緩和姿勢を強める一方、日本銀行は現行の政策フレームワークに固執し、副作用を理由に挙げて新たな対応を講じるには至っていない。FRBはインフレ期待の低下を大きなリスクとして重視しているが、2%インフレ目標実現がみえていない日本銀行の中で、過去1年以上続くインフレ期待の低下を強く問題視しているのは、一部の審議委員だけである。

 当面「金融緩和に踏み出さなくても、日銀の黒田東彦総裁は円高進行などいざという局面になれば金融緩和を強化する」との思惑が大幅な円高を防いでいるのだろう。

 だがアメリカではMMT(現代貨幣理論)に関する議論が注目されるなど、世界的な経済成長率の低下のもとで拡張的な財政政策の必要性が高まっている、との見解は経済学の世界では広範囲に認められつつある。
世界の中で日本だけが緊縮財政

 そうした中で、日本では10月に消費税が引き上げられ、先進国の中でほぼ唯一緊縮財政が始まることになる。脱デフレの途上にある中で、安倍政権は他国とは反対に緊縮的な財政政策に踏み出すわけである。さらに財政政策によって国債購入金額が決まる制約から離れ、日本銀行が積極的な緩和政策を講じなければ、「日本は政府・中銀ともに脱デフレ完遂に背を向ける政策を行っている」との評価になることを覚悟すべきだ。

【私の論評】日本では、「リーマン・ショック」に続いて「コールドウォー・ショック」という和製英語ができあがるのか?

ブログ冒頭の記事で、「米中貿易戦争による緊張は続くが、予防的かつ積極的な米欧中銀の利下げ転換によって、世界経済の深刻な後退が回避される」というシナリオに、もうひとつ付け加えたいことがあります。

それは端的にいうと、米中貿易戦争は、供給過剰で疲弊している世界経済を救うかもしれないということです。それに関してはこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本の外交立場が強くなる米中新冷戦―【私の論評】米国の対中「制裁」で実利面でも地位をあげる日本(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。

"
現在の低金利、供給過剰の世界では、中国が生産しているコモディティの供給などどのような発展途上国でもできます。簡単な工場なら半年もかからないし、大規模・複雑な工場でも1~3年程度で完成します。

むしろ、米中貿易戦争は、供給過剰で疲弊している世界経済を救うかもしれないです。なぜなら現在世界経済が疲弊しているのは、中国を中心とする国々の過剰生産の影響だからです。

「供給過剰経済」については、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
世界が反緊縮を必要とする理由―【私の論評】日本の左派・左翼は韓国で枝野経済理論が実行され大失敗した事実を真摯に受け止めよ(゚д゚)!
野口旭氏

世界的貯蓄過剰仮説とは、FRB理事時代のベン・バーナンキが、2005年の講演「世界的貯蓄過剰とアメリカの経常収支赤字」で提起したものである。バーナンキはそこで、1990年代末から顕在化し始めた中国に代表される新興諸国の貯蓄過剰が、世界全体のマクロ・バランスを大きく変えつつあることを指摘した。リマーン・ショック後に生じている世界経済のマクロ状況は、その世界的貯蓄過剰の新段階という意味で「2.0」なのである。 
各国経済のマクロ・バランスにおける「貯蓄過剰」とは、国内需要に対する供給の過剰を意味する。実際、中国などにおいてはこれまで、生産や所得の高い伸びに国内需要の伸びが追いつかないために、結果としてより多くの貯蓄が経常収支黒字となって海外に流出してきたのである。 
このように、供給側の制約が世界的にますます緩くなってくれば、世界需要がよほど急速に拡大しない限り、供給の天井には達しない。供給制約の現れとしての高インフレや高金利が近年の先進諸国ではほとんど生じなくなったのは、そのためである。
ここで、貯蓄過剰は、生産過剰と言い換えても良いです。生産過剰の世界では、貯蓄が増えるという関係になっているからです。新興国、特に中国の生産過剰が問題になっているわけです。

競争力を持たない中国製品の貿易戦争による関税増加分を負担するのは、中国企業であり中国経済です。中国社会はその経済的圧力によって内部崩壊するでしょう。値上げによって米国消費者の負担が増えることは全くないとはいいませんが、あまりありません。他の発展途上国の商品を買えばよいだけのことだからです。実際、中国では明らかに物価の上昇がみられますが、米国はそうでもありません。
"
以上の話をまとめると、もともと現在の世界は中国の過剰生産などによって、供給過剰によって貯蓄過剰になっており、そのような状況で米中貿易戦争で中国の輸出が途絶えたところであまり影響はないですが、短期的には悪影響もあり得るので、予防的かつ積極的な米欧中銀の利下げ転換によって、世界経済の深刻な後退が回避されるということです。

さらに、中国からサプライチェーンが撤退して、インド、バングラデシュ、韓国、台湾、ASEAN諸国などの周辺国に移行するということも考えられます。中国では新素材やハイテク部品も製造できなくなるため、それを日本が担うということも考えられます。

ただし、米中貿易戦争は、貿易戦争等という次元を超え、冷戦の次元まで高まったため、終息するまでには、時間がかかるとみられます。そうなると何が起こるのかわかりません。その中にあって、日本だけが増税という緊縮に走って、大失敗するというのはなんとも異様です。なんて愚かなことでしょう。これは、いわゆる「リーマン・ショック」の失敗を繰り返すということです。

ご存知のように「リーマン・ショック」という言葉は和製英語です。この言葉は英米にはありません。欧米で「リーマン・ショック」と同意語は「リーマン・ブラザース破綻を期に発生した世界同時不況」などと言う以外にありません。

もしくは、先に文書の中でこのようにのべておいて、その後は"the crisis"などとするのが一般的です。ただし、ほんの一部のメディアではリーマン・ショックと表記しているものもありますが、それは圧倒的小数であることと、英米豪などの公式文書には見当たらず、やはり和製英語と理解すべきです。

なぜこのようなことになってしまつたのでしよう。欧米ではいわゆる「リーマン・ショック後」に、世界中の国々の中央銀行が積極的な量的緩和を行い不況から比較的はやく回復したのですが、日銀だけが実施せず、さらには緊縮財政を続けました。そのため超円高・超デフレを招いてしまって大失敗したため、日本だけが一人負け状態になってしまったためです。

震源地である米英は比較的はやく不況から回復したにもかかわらず、日本だけがその後も被害が甚大だったため、「リーマン・ショック」という固有名詞ができあがったのです。


上のグラフをご覧いただくと、現状の国債商品価格はリーマン・ショックのときよりもさらに下がっており、これは中国などの過剰生産が寄与しています。何しろ、中国は過剰生産は、想像を絶します。

鉄鋼製品などもかなりの過剰生産で巨大な在庫があります。これをさばくため、中国はかなり価格を安くして輸出していました。そのため、何度も米国からダンピングであるとの警告をうけていました。さらに、住宅などもかなりの過剰生産で、中国各地に巨大な無人住宅が存在し、鬼城と呼ばれています。

少し前まで、地方政府は鬼城ができあがると、その鬼城の脇に、10倍規模の住宅街を築くため投資するというような信じられないようなことをしていました。このようなことをしているから、ゾンビ企業が生き残り、中国経済の足を引っ張っているのです。それでもGDPだけは伸びました。

このような状況の中で、中国が過剰生産をできないような状態になれば、世界経済にとっては決して悪いことではありません。ただし、短期では何が起こるかはわかりませんし、長期でみても、懸念材料は多々あります。

それに対して身構えているのと、日本のように、自ら手足を縛るような真似をするのとでは、何かあったときの対処にかなりの違いがでてくるのは当然です。

今回の米中貿易戦争においても、日本以外の国々では、中国も含めてこれが長期の冷戦になることを見越して、予防的かつ積極的な中銀の利下げ転換によってこれに対処しようとしているのです。

日本以外の国々では、冷戦がさらに深刻化して利下げしても、経済が悪化するなら、躊躇せずに、世界中の中銀が量的緩和、政府は積極財政を行うでしょう。

その中にあって、日本だけが緊縮財政の一手法である、増税をするのは、Anomaly(異常)というほかないです。日本では「コールド・ウォー・ショック」等という和製英語が再びできあがるのでしょうか。

今のままだと、「リーマン・ショック」を反省することなく、緊縮財政をしてしまい自ら「コールドウォー・ショック」招いてしまうのは必定です。

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2019年4月4日木曜日

北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!


金正恩氏は東倉里から“人工衛星”を発射するのか

 北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルを発射する可能性が現実味を増してきた。北西部・東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射場の準備が完了したとの分析があるのだ。「Xデー」として、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(15日)などが予想されている。米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮は再び「瀬戸際外交」に戻るのか。朝鮮半島の緊張が高まっている。

 「北朝鮮が東倉里長距離ミサイル発射場の整備を事実上終えた」「最高指導部が決心すればいつでも発射できる状態を維持中」

 韓国紙、中央日報(日本語版)は2日、韓国政府当局者がこう伝えたと報じた。

 記事では、北朝鮮が3月27日にドイツ、同29日にフィンランドで予定されていた会議への出席を、ドタキャンしてきたことも伝えた。こうした状況から、国会に当たる最高人民会議が開かれる今月11日や、日成氏の誕生日などに、「人工衛星打ち上げ」を強行する可能性もあると指摘した。

 北朝鮮は2017年11月29日を最後に、弾道ミサイルを発射していない。だが、2月末にベトナムの首都ハノイで行われたドナルド・トランプ米大統領と正恩氏による首脳会談が決裂してからは、ミサイル発射施設を整備する動きが、たびたび確認されている。

米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)と、北朝鮮分析サイト「38ノース」は3月7日、衛星画像に基づき、東倉里にあるミサイル発射場の構造物の再建が完了し、稼働状態に戻ったとの分析を発表した。

 北朝鮮は緊張を高めることによって、交渉相手に譲歩を迫る「瀬戸際外交」を得意としてきた。ただ、この手法が、トランプ氏や、北朝鮮が「死神」と恐れるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に通用するかは不明だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「北朝鮮が弾道ミサイル発射や、ロケットエンジンの燃焼実験をする可能性は十分ある。発射までの経緯や打つ方向によって、その後の展開は変わってくるだろう。例えば、北朝鮮が『人工衛星』として発射予告をした時点で、米国が『絶対に許さない』と警告したにもかかわらず強行すれば、『戦争のリスク』を孕むことになる」と語った。

【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!

さる2月27、28日に行われた2回目の米朝首脳会談ですが、ドナルド・トランプアメリカ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の会談は、事実上の物別れに終わり、共同声明すら出されませんでした。

なぜこのようになったかといえば、そのキーワードは、Status quo(ステイタス・クォー)です。この一言さえ意味が分かっていれば、今回の会談を読み解くなど、たやすいです。さらに、北朝鮮がミサイルの発射実験を開始したり、それら継続することになれば、どうなるかを予測するのもたやすいです。ラテン語の原語の意味では「現状」ですが、現代では「現状維持」とも訳されます。


米朝首脳会談に関係するアクターの中で、Status quoを望まない国はどこだったのでしょうか。そもそも誰がアクターなのかを理解していれば、愚かな報道には惑わされることはありません。

「朝鮮戦争が終結する」「日本人拉致被害者が帰ってくるかもしれない」「朝鮮半島の新時代に向けて、日本は巨額の資金供出をしなければならないのか」などなど。はっきり言いいますが、この状況で北朝鮮が日本人拉致被害者を一人でも帰してくるならば、何かの嫌がらせ以外にあり得ないです。

現代の情勢を分析する前に、Status quoを望まない国、すなわち現状打破勢力の歴史を知っているほうが、急がば回れで米朝会談の真相が見えてきます。

第二次世界大戦直前。1939年の時点で、現状維持勢力の代表はイギリスでした。しかし、大英帝国は既に絶頂期の勢力を失い、新興大国の米国が覇権を奪う勢いでした。英米の関係では、イギリスが現状維持国で、米国が現状打破国でした。

だが、両国には共通の敵のソ連がいました。ソ連は共産主義を掲げる、現状打破を公言する国でした。共産主義とは「世界中の国を暴力で転覆し、世界中の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる」という危険極まりない思想です。

ソ連に対して、英米は共通の警戒心を抱く現状維持国でした。ここに、ナチスドイツが現れまし。アドルフ・ヒトラー率いるナチスは、第一次大戦の敗戦国としてのドイツの地位に甘んじないと公言する現状打破国でした。

英独ソの3国は主に東欧での勢力圏をめぐり抗争しました。現状維持を望む英国に対し、ドイツが東欧を侵略して第二次世界大戦がはじまりました。イギリスは米国を味方に引き入れドイツを倒したと思ったのも束の間、東欧を丸ごとソ連に併合されました。辛抱強く現状を変更できる戦機を待った、ソ連の独裁者・スターリンの悪魔のような慧眼の勝利でした。

ソ連の衛星国となった東欧諸国


さて、現代も現状維持勢力と打破勢力の相克で動きます。ただし、世界大戦のように劇的に動く時はめったにありません。では、東アジアにおいて、誰が今この瞬間の現状打破を望んでいるでしょうか。

昨年の米朝会談で、北朝鮮は核兵器の全面廃棄と今後の核実験の中止を約束しました。約束を履行した場合の経済援助も含みがありました。

北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。

この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。

だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。

ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。

ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。

では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。

米・中・露とも朝鮮戦争の再開など望んでいない

しかも、文在寅は在韓米軍の撤退を本気で考えています。そうなれば、朝鮮半島が大陸(とその手下の北朝鮮)の勢力下に落ちます。ならば、少しでも韓国陥落を遅らせるのが現実的であって、38度線の北側の現状変更など妄想です。

しかも、以前からこのブログにも掲載しているように、現状をさらに米国側から検証してみると、北朝鮮およびその核が、朝鮮半島全体に中国の覇権が及ぶことを阻止しているのです。北の核は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威なのです。

さらに、韓国は中国に従属しようとしてるのですが、韓国は中国と直接国境を接しておらず、北朝鮮をはさんで接しています。そうして、北朝鮮は中国の干渉を嫌っています。そのため、韓国は米国にとってあてにはならないのですが、かといって完璧に中国に従属しているわけでもなく、その意味では韓国自体が安全保障上の空き地のような状態になっています。

この状況は米国にとって決して悪い状態ではないです。この状況が長く続いても、米国が失うものは何もありません。最悪の自体は、中国が朝鮮半島全体を自らの覇権の及ぶ地域にすることです。これは、米国にとっても我が国にとっても最悪です。

昨年の米朝合意は特に期限を設けていません。「本気で核廃絶する気があるのか?」「あるから制裁を解除しろ。金寄越せ」「順序が違う!」と罵りあっていて、何も困ることはありません。成果など不要なのです。

さて、米中露北の関係4か国の中で、今この瞬間の現状打破を望む国はゼロです。関係者すべてがStatus quoを望んでいるのです。「米朝会談成果なし」など、外交の素人の戯言に過ぎません。

そもそも、外交交渉における「成果」とは何でしょうか。自らの何らかの国益を譲歩することです。仮に一方的に要求をのませるとしたら相手の恨みを買います。それは降伏要求であって、外交ではありません。北朝鮮は中露を後ろ盾にしている限り米国に譲歩する必要もないし、逆に米国だって同じなのです。

今回の交渉は、続けること自体に意味があったのです。さて、わが日本はどうでしょうか。安倍晋三首相は、トランプ大統領に拉致問題の解決を要請したとされています。

そして、拉致問題の解決なくして1円も北に資金援助はしないとの立場を伝えたそうです。当たり前です。これまでの外交では、その当たり前のことを毅然とできなかったからと安倍外交を称賛しなければならないとしたら、本当に情けないことです。

今の日本は現状打破を望む必要はないです。交渉で被害者を取り返せば良いのです。全員奪還が我が国是です。だが、北は何人かを帰して幕引きにするカードをちらつかせています。日本に独自の軍事力がないから舐められているのです。日本の道は、防衛費増額しかないのです。

さて、北朝鮮が核実験や核ミサイルの発射実験を開始したらどうなるかということですが、先に述べたように、北朝鮮も現状維持を望んでいます。であれば、せいぜい人工衛星の打ち上げ実験程度にとどめて、あとは核実験や、ミサイル発射実験などはしないでしよう。

もし従来のようにミサイル発射実験や核開発をすれば、どうなるでしょうか。現状維持を望む、米国、中国、ロシアから圧力を加えられ、制裁がますます厳しくなるだけのことになります。そのようなことは、北朝鮮自身が望んでいないでしょし、余計なことをすれば、現状が崩れることを金正恩は理解していることでしょう。

にもかかわらず、北がミサイル発射実験や核開発を継続すれば、米国が軍事攻撃する可能性もでてきます。さらに、米国が中露にたとえ北朝鮮の体制が変わったとしても、現状維持することを約束するとともに、中露も現状変更をしないことを米国に約束すれば、中露は米国の北に対する軍事攻撃を許容する可能性も十分あります。そうなった場合には、米国は北を軍事攻撃することでしょう。

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2018年6月14日木曜日

日本に巣食う寄生虫を駆除する方法とは?『財務省を解体せよ!』で高橋洋一氏が指摘する「官僚とマスコミの利害関係」―【私の論評】財政政策の大失敗をリスクとみない恐るべき怠慢官庁財務省(゚д゚)!


高橋洋一・嘉悦大学教授の著書『財務省を解体せよ!』(宝島社新書)
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

高橋洋一・嘉悦大学教授の新作『財務省を解体せよ!』(宝島社新書)は、題名からして剛速球だ。そしてそれはズドンと日本の本当の問題に気付いている人たちの心に響く。

 その昔、ある高名な評論家が、私に「日本を本当に支配しているのが誰かがわかった」とつぶやいたことがある。それは正確にいえば「誰」ではなく、組織であり、またそこに群がる人たちのことでもある。もちろんそれは財務省のことであった。

 最近の財務省のトップによるセクハラ疑惑とその辞任劇、そして理財局と近畿財務局という組織そのものが関与した文書改ざん問題、さらに今も懲りずに繰り返す「財政危機」というフェイク(嘘デタラメ)を利用した増税の宣伝工作。よく政治家の方が財務省よりも優位であり、財務省よりも政治家の責任が重く、財務省は悪くない、というデタラメな話がある。高橋氏の新著を読めば、財務省は歴代政権でさえも、消費増税や自分たちの政策を利用するひとつの道具でしかないことがよくわかるだろう。まさに財務省は日本国に巣食う最悪の寄生虫である。

 高橋氏によれば、財務省が増税を目指すのは自分達の利益になるからである。つまり予算編成権などでさらに権力をふるえる余地が生まれるからだ。この国民の血税を利用して、財務省官僚たちは、自らの虚飾に満ちた「権限」を強化していく。例えば、最近では、東京金融取引所のトップに旧大蔵省(現在の財務省)出身者が五代続いて就任する。完全なる「天下り」というか財務省の植民地である。しかもこの人物の経歴をみると日銀理事と金融庁幹部も歴任している。

東京金融取引所社長に木下信行氏 5代連続で大蔵OB

 90年代後半の大蔵省スキャンダルという不祥事で、当時の大蔵省は社会の批判を浴び、その権限から金融監督行政の権限を奪われ、それは金融庁となって財務省から「独立」した。また日本銀行も法律が改正され、これも政治つまりは財務省の権限から隔絶できるような地位を与えられた。しかし20年近く経過して金融庁、日本銀行ともに人事面を含めて財務省とのつながりは最強化され、再び植民地化している。

 ちなみに旧大蔵省、財務省ともにそこに務める人間の知的レベルをあまりにも世間は髙く評価しすぎである。偏差値や公務員試験での合格と、その後に官僚たちの行う行政のパフォーマンスはまったく因果関係はない。例えば財務省が主導する「財政危機」を理由にした緊縮増税路線が、日本を20年にも停滞させたのは自明である。まだこの単純な事実を理解できない人は、心の中に「小さな財務省」でも巣食っているのだろう。

■マスコミが財務省が擁護する理由とは?

 高橋氏の指摘にもあるが、日本のマスコミの「スクープ」のほとんどが官僚発のリークである。その意味で、マスコミと官僚たちは利害関係者である。特にいまのような時期では、「消費増税しても対策はばっちり」とか「消費増税しても景気はそんなに悪くならない」というマスコミと財務省のコラボが大展開中である。増税志向の政治家たち、とくにポスト安倍を狙う政治家たちもまたこのような増税脳とでもいうべきスタンスである。財政状況は、あくまでも民間の経済活動の結果でよくもわるくもなる。つまり我々が働くことで実現するのだ。財務省の目論見にしたがうのではない。この基本的なことさえも財務省は理解していない。その実例は高橋氏の著作に実に豊富だ。

 このような財務省の「おごり」をどうすべきか。高橋氏は長年、歳入庁を設置して、税金と年金など社会保険料の徴取を統合的に行う機関にすべきだと主張している。私も賛成だ。これにより国税庁という財務省の植民地であり、また税の調査権限という政治家さえも恐れる権力を財務省からとりあげることになる。ただし歳入庁には財務省に一年でもいた人は正規・非正規のポスト含めて一切ノータッチにすべきだろう。金融庁と日銀の経験がそれを教えている。また今回の文書改ざん問題をうけて、高橋氏は「公文書管理庁」の設置も提案している。それに日本銀行の目標を増税目的など財務省の思惑に左右されないように、雇用の最大化と物価の安定に寄与するよう改正すべきである。

 またこれは私見だが、トップがセクハラスキャンダルで辞任、そして組織の一部がまるごと関与した文書改ざんなど、財務省の体質は民間であればまさに「ブラック企業」そのものである。そんなところがぬけぬけと今年も国家公務員試験などで若い有能な人材を国家の権限として採用する。国民の厳しい視線をうけ、その体質改善も具体的でない今、今年の採用及びここしばらくの同省の採用は制限すべきである。それでは人材育成に弊害がでるという指摘があるだろう。なにを言っているのだろうか?「弊害」というペナルティを課すために行うべきなのだ。

それで仕事ができないなら、他の省庁の下部組織にでもなって人材を貸してもらえばいいだろう。だが、この財務省という「ブラック企業」は今日も健在で、「天下り」や増税指南に元気である。まさに国家の寄生虫そのものである。

経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授

田中秀臣



上武大学ビジネス情報学部教授。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。国土交通省社会資本整備審議会委員、内閣府経済社会総合研究所客員研究員など歴任。 著作『日本経済は復活するか』(編著 藤原書店)、『AKB48の経済学』(朝日新聞出版)、『デフレ不況』(朝日新聞出版)など多数。毎週火曜午前6時から文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』レギュラーコメンテーターとして出演中。

【私の論評】財政政策の大失敗をリスクとみない恐るべき怠慢官庁財務省(゚д゚)!

財務省の所業は昔からひどいものがありますが、最近のものも掲載しておきます。

財務省は4日、『森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する報告調査書』を公表しました。最近も企業の不祥事が相次いでおり、そういうときの対応として、危機管理ということが、叫ばれています。その鉄則は、早めに記者会見を開き、「第三者委員会を設けたのでその結論を待ちたい」として一種の時間稼ぎをすることです。しかし、財務省の対応はあまりにも遅すぎましたし、未だに不十分です。

最近では日本大学の「危険タックル問題」があり、大学の危機管理能力が問われたばかりです。問題の試合から1カ月近く経ってからようやく、第三者委員会を立ち上げたことについて、そのスピードが遅すぎるという非難が高まっていました。その間、記者会見も中途半端で、かえって火に油を注ぐ結果となりました。

財務省の場合は、第三者委委員会すら作っていません。前事務次官のセクハラ問題については、不徹底とはいえ弁護士事務所に依頼していました。今回の文書改竄問題では、そうしたこともなく、財務省名で調査報告書が作られたのみでした。これでは、外部に対する説得力は皆無です。

危機管理の観点では、第三者委の設置が遅くて非難された、日大と比べても、第三者委すら作らなかった財務省の有様はあまりにもお粗末です。

まともな組織なら、文書改竄が部内で分かった段階で第三者委を設置し、国会からの問い合わせと並行して第三者委による部内調査を行い、大阪地検が財務省関係者の不起訴処分を発表する日に合わせて中間報告を実施し、時機を見て最終報告をするくらいのことはするでしょう。

財務省の報告書の表紙

報告書の中身も疑問だらけです。例えば、7ページ目の注10に「未利用国有地の売払いは、公用・公共用の利用を優先する考え方を基本として、まず3カ月間、地方公共団体及び公益法人その他の事業者からの取得等要望の受付を行い、当該受付期間中に要望がない場合には、一般競争入札により売却することとされている」とありますが、公共用でも当初に一般競争入札しておけば、問題なしだったはずです。

25ページの注27は「本省理財局の国有財産審査室長は、『一元的な文書管理システム』において『文書5(特例承認)』の決裁文書の更新処理を行えば、元の決裁文書は上書き保存されて無くなるものと考えていたが、実際には、元々の文書もそのまま保存されていた」と書かれているのですが、これでは単に電子ファイルに関するる無知を晒しているだけです。

さらに、あれだけの文書改竄を行えば、たとえ刑法には問われなくとも、国家公務員法違反です。この場合、停職3月等ではなく懲戒免職相当です。そういう処分であれば、退職金は全て返納となり、国民もある程度納得したかもしれません。

そもそも、財務省は普段からリスクを意識して仕事をしているのでしょうか。おそらく、全く意識していなかったのでしょう。だからこそ、実際にリスクが生じたときに、手順も何もなく、慌てふためき、まともに対応できなかったのが実情なのでしょう。

民間企業等のリスクについて、経営学大家であるドラッカー氏は以下のように述べています。

「事業においては、リスクを最小にすべく努めなければならない。だがリスクを避けることにとらわれるならば、結局は、最大にしてかつ最も不合理なリスク、すなわち無為のリスクを負うことになる」(『創造する経営者』)

リスクには4つの種類がある。負うべきリスク、すなわち事業の本質に付随するリスク、負えるリスク、負えないリスク、負わないことによるリスクである。

ほとんどあらゆる産業に負うべきリスクがある。新薬には人体を傷つけるリスクがある。しかし、なおかつ製薬に携わるには負うべきリスクである。

多少の資金と労力を失うリスクは、負えるリスクです。失ったならば存続できないほどの資金がかかるのであれば、それは負えないリスクです。

事業に着手するに当たっては、成功を利用できるか、もたらされる機会を実現できるか、それとも誰かのために機会をつくるだけかを問わなければならない。

負わないことによるリスクの典型は、革新的な機会に伴うものである。その古典的な例が、第二次大戦直後のGEの原子力発電への進出である。専門家は原子力を経済的な電力源にできる可能性は低いと見ていた。しかしGEは発電機メーカーとして、万が一にも取り残されるというリスクを負うわけにはいかなかった。
「リスクの有無を行動の基盤としてはならない。リスクは行動に対する制約にすぎない」(『創造する経営者』)

ドラッカーが提唱した企業の4つのリスク

以上が、まともな民間企業のリスクについての考え方です。普段からこのように考えているからこそ、いざというときに特に「負うべきリスク」に関しては、リスク管理体制を普段から整え、迅速に対応できるようにしているのです。

さて、財務省の負うべきリスクとは何でしょうか。財務省や、マスコミ、経済学者が何をいおうが、それははっきりしています。それは財政政策に失敗することです。これこそが、財務省のリスクです。

ところが、当の財務省は財政政策の失敗をリスクとはみていません。過去20数年間財務省の財政政策は失敗続きでした。この度重なる失敗をしても、誰も責任をとったものはいません。

日銀も過去は金融引締め一辺倒で、失敗を繰り返してきましたが、2013年4月からは金融緩和策に転じて一部不十分なところがありながらも、現在まで継続しています。そのため、雇用状況はかなり良くなっています。しかし、財務省の場合は過去20数年間どころか、現在に至るまで、失敗続きです。

失敗の原因は明らかです。デフレの時期や、デフレからまだ完璧に抜けきっていない時期に、本来積極財政すべきところを増税等の緊縮財政を実行してきたことです。

そのため、日本経済は金融緩和の影響もあって、雇用は随分改善されそれによって若干経済にも良い影響を及ぼしている面もありますが、増税によって個人消費が落ち込み、未だに完璧にデフレから脱却しているとはいい難い状況ですし、GDPの伸び率は未だに韓国以下です。

これだけ失敗を続けてきたというのに、財務省の官僚は誰もマスコミや識者から非難されることもなく、また民間企業なら当然のごとく行われる、これらの失敗に対する降格、罷免、左遷、減給などの措置もありません。

病院や医師が患者の治療に何十年も失敗し続けてきたらどういうことなるでしょうか、病院は閉鎖され、医師は医師免許を剥奪されることもあり得ます。しかし、財務省はそうはなりませんでした。

これでは、財務省の官僚はリスクのことなど意識しなくなるのは当然のことです。リスクのことを意識せず、それに対する備えも何もしなければどういうことになるでしょうか。

民間企業でいえば、リスクを避けることにばかりとらわれ、リスクに向き合うことなく、結局は、最大にしてかつ最も不合理なリスク、すなわち無為のリスクを負うことになってしまったのと同じです。

財務省の場合は本来のリスクに全く無頓着で気にもとめていなかったので、リスクというものに対する感受性やアンテナがすっかり失われしまったのです。

そのため、文書改ざんなどというリスクを平気でおかして、その挙句に、まともな対処もできず、佐川国税庁長官が自ら辞任ということになり、それでも未だリスクに対する備えがなく、次にはセクハラ問題で福田事務次官が自ら辞任ということになったのです。

まともにリスクを考えるような組織ならば、このようなことにはならなかったはすです。そもそも、このような問題など最初から起きなかったでしょう。

負うべきリスクについてまもに考えるどころか、それを無視して、憚らない財務省。民間企業の組織なら、とっくの昔に淘汰されてしまう組織です。それが淘汰されずに残ったため、今回のような不祥事が表面化してしまったのです。

このまま、財務省の組織がそのまま改革も改善もされないまま残れば、さらなる不祥事が起こり続けるでしょう。そうなる前に、ブログ冒頭の記事で田中秀臣氏が主張するように、財務省は解体して、ただ解体しただけでは、長い年月をかけて他省庁を植民地化するという性癖があるので、他の省庁の下部組織とするべきです。

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2017年9月13日水曜日

【日本の解き方】右も左も「消費増税派」ばかり… マスコミや学者にも重い責任、ポスト安倍はリスク取れるか―【私の論評】増税一辺倒で自民も万年野党に堕ちる(゚д゚)!

【日本の解き方】右も左も「消費増税派」ばかり… マスコミや学者にも重い責任、ポスト安倍はリスク取れるか

岸田文雄政調会長
 自民党の岸田文雄政調会長は報道各社のインタビューで、消費税率10%への予定通りの実施を主張したという。

 「ポスト安倍に名前が挙がる人は増税派ばかりだ」と以前の本コラムにも書いたが、岸田氏の発言の意味を考えてみよう。

 まず一つは、「その考え方を貫く」という見方だ。これは消費増税路線をしっかりやり抜くということなので、岸田氏が後継首相になれば、消費増税は決定的だ。

 もう一つは「今の段階で法律で定められているとおりに話し、無難に対応した」という見方だ。この場合、来年末ごろの実際の決定時期になるまで消費増税するかどうかはわからない。

 現時点で岸田氏の発言の真意は不明だ。ただし、岸田氏が、増税に理解があった宮沢喜一元首相の一族であり、姻戚関係に増税指向の財務省官僚が多いので、消費増税路線の公算が大きいとしておこう。このため、可能性は低いものの後者のようにもし岸田氏が消費増税の方針を撤回したら、大きなサプライズになるだろう。

 いうまでもなく、大半のマスコミ論調は消費増税に偏っている。これは、新聞を軽減税率の対象にするというエサを与えられたので、マスコミ勢力が消費増税になびいている面もあるのだろう。

 世論も多くは消費増税を仕方ないと思っている。そのため、マスコミも反消費増税を主張したところで、多くの購買者を獲得できないと思っているフシもある。

 増税派は世論に対しても手を打っているようだ。「消費増税しないと社会保障が回らない」というロジックだ。これは、本コラムで何回も書いたが、社会保障を保険原理で運営するという世界の流れと逆行している。

 消費税を社会保障目的税とする先進国はないが、それは、保険料を払えない人の分を所得税の累進部分で補填(ほてん)するという保険原理があるからだ。保険原理に徹するには、税と保険料を一緒に徴収する歳入庁の設置が不可欠であるが、財務省は頑として受け付けない。結局、保険原理を無視しているという暴挙について一般国民が知らなさすぎる。

 これは、学者や専門家の責任でもある。消費税を社会保障目的税とする先進国はないという単純な事実すら主張する人がいないのは驚きだ。消費税は社会保障ではなく、本来は地方の税であるという基本原理を、日本維新の会を除く政党がほとんど理解していないのが実情だ。

 こう書いていくと、増税の延期や凍結の障害となりそうな人は数多い。逆にいうと、増税の延期や凍結を主張する政治家は極めて少ない。というか、ポスト安倍政権が消費増税を実施する確率は、今の安倍政権よりかなり高まるだろう。

 安倍首相は口では「予定通り消費増税を実施する」と言っているが、過去に2回も増税をはねつけた過去がある。ポスト安倍はそうしたリスクを取らない確率が高いのが現実だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】増税一辺倒で自民も万年野党に堕ちる(゚д゚)!

消費税の社会保障目的税化は、「社会保障を保険方式で運営する」という世界の流れに逆行するもので、これを行っている国は世界では日本以外にありません。

消費税の社会保障目的税化が間違いは、1990年代までは大蔵省の主張でもありました。ところが、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎・自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使う、と予算総則に書いたのです。なお、平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述があるくらいです。

与党3党会談に臨む(左から)小沢一郎自由党党首、小渕恵三首相、
神崎武法公明党代表(東京・首相官邸)(2000年04月01日)
こうした世界標準の論理からすれば、消費税を社会保障目的税にするのではなく、社会保障は保険料で賄うほうが望ましいです。しかし、今の日本では世界で常識になっている税・保険料の徴収インフラができていません。このために、税・保険料の徴収漏れが予想されており、これが不公平感にもつながっています。

税・保険料の徴収インフラとは、国税庁と年金機構が一体化する歳入庁を創設することです。歳入庁ができれば、国民にとっても一ヵ所で納税と保険料納付が済むし、行政の効率化にもつながります。

海外では、米国、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが、歳入庁のもと、税と社会保険料の徴収の一元化を行っています。東ヨーロッパの国々でも傾向は同じで、歳入庁による徴収一元化は世界の潮流です。

歳入庁の創設は税と保険料の歳入増にもつながります。国税庁が把握している法人数と年金機構(旧社保庁)が把握している法人数は80万件も違うことから、保険料の徴収漏れが12兆円程度との推計もあり、実際に国会でも議論されています(浅尾慶一郎 http://asao.net/blog/report/3592)。
こうした推計に異論もあるかしれませんが、計算内容について重箱の隅をつつくより、実際に歳入庁を作ることに意味があります。歳入庁は、社会保障を保険方式で行いつつ、同時に不公平も解消する王道だからです。

しかし、歳入庁の創設は財務省が大反対しています。国税庁は財務省の植民地になっており、国税権力を財務省が手放したくないからです。第一次安倍政権で旧社保庁を解体し、歳入庁を創設のうごきもありましたが、財務省は激しく抵抗しました。民主党は、政権交代時に歳入庁を公約していたのですが、その後撤回しました。

政権交代した当時の民主党は、過去のしがらみなしで社会保障と消費税を考えられたはずです。もし、まともに考えていれば、民主党の地域主権を主張する立場から消費税は地方に税源移譲すべきでした。

同時に、社会保障は、とりあえず給付付税額控除の方向で考え、そのための社会インフラとして「歳入庁」を創設すべきでした。そうすれば、持続的な社会保障のために、所得・法人税と保険料のベストミックスを考えることになったはずです。その際、年金の世代間不公平や各種社会保障の縦割りも議論されたはずです。

民主党はこうした大きな方向性なしで議論し、制度論として必ずしも優れていない自公時代のものをコピーしたものですから、「社会保障と税の一体改革」とは名ばかりの「消費税増税大綱」になってしまいました。民主党がどんなに説明しても、8%の消費税増税は政権交代して歳出が膨らんだのを穴埋めしたにすぎません。

2014年には、当時の民主党を含む野党各党が、「歳入庁」設置や一括交付金の復活を盛り込んだ行財政改革推進法案を衆院に提出したこともありましたが、民主党の右往左往ぶりは滑稽なものでした。

政権交代はしたが何もできなかった民主党政権

さて、そもそも年金の現状は、どのようなものか、年金バランスシートをみてみましょう。データとしては、毎年の政府バランスシートの文中で書かれているモノを利用します。1999年度版(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/prev_fy2002/bs1309.pdf)と2014年度(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2014/national/fy2014-gassan.pdf)からのデータで、年金バランスシートを作成すると、以下の通りです。



保険料について、将来見通しどおりに進むのであれば、年金バランスシートも破綻することはないので、年金の脆弱性を見る場合のポイントは、①過去債務に対する将来保険料部分、②将来の年金給付の水準ということになります。

①については、これまで年金給付を約束しているが、その財源はなく将来保険料に依存しないと仕方ない部分なので、これが小さい方が年金は健全といえます。1999年度版と2014年版を比べると、455兆円から680兆円に増加しているが、15年間という期間を考慮すればそれほど深刻ではありません。

②については、マクロ経済スライドも導入されているので、将来の年金給付の調整があります。しかも日本の年金給付水準はそれほど高くないので、それほど脆弱ではありません。

むしろ心配があるのは、きちんと保険料を徴収できていないおそれです。

これは、消えた年金問題で発覚した旧社会保険庁の体質が、今でも残っているようで心配です。旧社会保険庁は解体されたが、それでも不祥事は絶えないです。

2010年10月、機構職員と社保庁OBが官製談合で逮捕されました。2013年4月には、過去の記録ミスによる支給漏れを支払う「時効特例給付」が行われておらず、約10億円の未払いが発覚しました。そして、2015年5月に125万件の情報流出問題を起こしました。

こうしてみると、歳入庁構想に話が戻ってしまう。やはり歳入庁は必要なのです。

歳入庁構想

そもそも、消費税は社会保障目的税ではありません。これはどうすべきかというと、消費税は地方税にすべきという結論になります。消費税は一般財源ですが、国が取るか地方が取るかという問題になるが、地方分権が進んだ国では、国でなく地方の税源とみなせることも多いです。

これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致します。

ヨーロッパの国は一国の規模が小さく、GDPでみても日本は欧州の国が7つ、8つくらい集まった規模です。ヨーロッパの場合にはサイズが小さく、日本からみれば地方単位であるので、EUを一つの国として、その中に地方があり、それぞれで消費税を導入しているという見方もできます。

また、地方分権の進んだ国では、オーストラリアのように国のみが消費税を課税し、地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアのように国と地方が消費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように国は消費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式があります。

これらを見ると、世界でも、分権度が高い国ほど、国としての消費税のウエイトが低いことが分かります。

都道府県と他国のGDPの比較 ヨーロッパ国々のサイズは小さく、日本からみれば地方単位
いずれにしても、自公民の3党合意に基づく、消費税を社会保障目的税とする社会保障改革は行き詰まっています。社会保障を人質にとり、消費増税を迫るのはいかがなものでしょうか。

消費税の社会保障目的税を前提とすることは妥当なのでしょうか。世界の先進国で、消費税を社会保障目的税としている国はありません。どこの国も、社会保障は保険料財源が基本で、保険料を払えない人のために、所得税の累進課税で金持ちから賄っています。3党合意や社会保障改革の見直し、消費税をどうすべきか議論するのは急務です。

このようなことを無視して、消費税の社会保障目的税化を是として、消費税の10%増税につきすすめばとんでもないことになります。

また、日本はデフレに舞い戻り、その時の政権がどの政権であれ、短命に終わるのは必定です。それこそ、第一次安倍内閣が終焉し、その後麻生政権までのように、短命な政権がいくつか続くことになります。

そのときに、経済対策がまともな政党がでてきて、消費税の社会保障目的税化はそもそも、根本的に間違いであり、歳入庁を設立し、「消費税増税大綱」ではなく、まともな「社会保障と税の一体改革」を打ち出し、消費税を地方に税源移譲することを公約に打ち出したとしたら、自民党はこの野党にとって変わられるかもしれません。

そうして、このブログでも述べているように、その党が政権をとった後に、財務省を解体し解体した旧財務省を他省庁の下部組織にして、財務省の息の根をとめることができれば、その政党は長い間与党の地位を独占することになるでしょう。

このようなことがおこれば、かつての民主党、今の民進党も自分たちが政権の座についていたときに何をすべきだったかわかるようになるかもしれません。ただし、そのときにはそもそも、民進党は存在していないかもしれませんが・・・・・・・・

そうして、このようなまともな野党が出てきた後には、その後自民党は下野したままで、長年万年野党の地位に甘んじることになることでしょう。そのようなことになりたくなければ、自民党は10%増税は見送りし、財務省が嫌がる歳入庁の設置に早期に踏み切るべきです。

ポスト安倍には、増税をすることのほうが自民党によほどハイリクスであること、しっかり自覚していただきたいものです。

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2016年9月6日火曜日

40、50万人との推定もある二重国籍の実態 「偽装日本人」に深刻リスク―【私の論評】蓮舫の二重国籍問題を契機に、これを放置するのはやめるべき(゚д゚)!

40、50万人との推定もある二重国籍の実態 「偽装日本人」に深刻リスク


実際の二重国籍者の2つのパスポート。ただし、この2つの
所持者はまだ未成年であるため、日本・韓国ともに合法である。
日本国民の要件を定めた「国籍法」が、ないがしろにされている。「二重国籍者」や「偽装日本人」が増えており、国家や社会、組織を静かにむしばみかねないのだ。民進党代表選で蓮舫代表代行(48)の「国籍」問題が注目されているが、二重国籍者は40万~50万人はいるという推定もある。国益をめぐり他国と激しい競争が続くなか、このような状況を放置していいのか。国籍業務や入管業務に精通する、さくら共同法律事務所の山脇康嗣(こうじ)弁護士が激白した。

「日本の国籍法は二重国籍を認めていない。二重国籍になった場合は、一定期間内にどちらかの国籍を選択しなければならない。また、自ら志望して外国籍を取得した場合は、日本国籍を喪失する。にもかかわらず、二重国籍の人々は年々増加の一途をたどっている。国籍法の形骸化は由々しき問題だ」

山脇弁護士はこう言い切った。東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録した。『入管法判例分析』(日本加除出版)などの著書もある、国籍・入管業務のスペシャリストだ。

そもそも、「二重国籍」とは、どのようにして生まれるのか。

出生による国籍取得の考え方には、どこで生まれたかを基準にする「出生地主義」と、誰の子かを基準にする「血統主義」の2通りがある。前者の代表は米国やカナダで、後者の代表は日本やドイツだ。

「日本人夫婦に米国内で子供が誕生した場合、その子供には米国籍も与えられる。また、日本人とドイツ人の男女に子供が生まれたら、子供は両国の国籍を持つことになる。さらに、イランやアフガニスタン、サウジアラビアの男性と日本人女性が結婚すると、男性の国籍を自動的に与えられる」

日本の国籍法では、二重国籍になった場合、一定期間内にどちらかの国籍を選ばなければならない。期限までに国籍を選択しない場合は、法相が書面による催告をしてから1カ月以内に日本国籍を選択しなければ「日本国籍を剥奪できる」と規定している。

ところが、この規定が守られていないという。つまり、いつまでも国籍を選択しない者が多いにもかかわらず、法相による催告・国籍剥奪は、一度たりとも行使されたことがない。

山脇弁護士は「二重国籍者は推定で40万~50万人いるとみられる。しかも、年々増加傾向にある。当然だが、出生などにより人が二重国籍となったこと自体は何ら責められるべきものではない。しかし、国家の制度として二重国籍を容認することには問題がある」と語る。

では、二重国籍を認めることの何が問題なのか。

まず、複数のパスポートを持てるため、犯罪や脱税などに悪用することも可能だ。日本と、日本と利害が対立する国で選挙権を持つ二重国籍者の場合、日本の利益ではなく、もう1つの国の利益のために日本で投票をすることが可能になる。本来、選挙権は、日本と運命をともにする者にのみ与えられるべきものだ。
「二重国籍者が海外でテロに巻き込まれた場合、日本と、もう1つの国のどちらも『自国民』という扱いになるため、どちらが救出するのかという、外交上の問題になりかねない」

意図的に二重国籍を装う、「偽装日本人」の問題も深刻だ。

山脇弁護士によると、偽装日本人とは、自ら志望して外国籍を取得し、すでに日本国籍を失っているのに、それをあえて届け出ていない“元日本人”のことである。正式な統計はないが、相当数存在すると推測されるという。

「日本人が志望して他国に帰化したり市民権を取得した場合、自動的に日本国籍を喪失する。戸籍法に基づき『喪失届』を提出しなければならないが、意図的に黙っているケースがある。他国の大半は『日本人の誰々が、わが国に帰化した』と日本に報告しないためだ。日本国籍がないのに、あるように見せかけている“偽装日本人”を把握するのは、かなり難しい」

偽装日本人によって、国益が損なわれることも考えられる。

「外国籍を取得した場合、日本名とは別の名前を持つことになる。別の名前で租税回避地に口座を作ってマネーロンダリングを行うことができる。複数のパスポートを持つことで、スパイ活動なども容易になる。考えたくないが、悪意を持って他国に帰化したテロリストが日本でテロを起こす恐れも否定しきれない」

国籍法とは、日本人が日本人であるための要件を規定した、国家の根幹をなす法律だ。そのルールを故意に破るような人間が増えれば、国家や社会、組織に不正・腐敗が広がりかねない。放置されていいわけがない。

【私の論評】蓮舫の二重国籍問題を契機に、これを放置するのはやめるべき(゚д゚)!


民進党の蓮舫代表代行は本日、高松市での記者会見で、日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」疑惑について、「いまなお確認が取れない」と述べ、本日台湾当局に対し、現在も台湾籍があるか確認手続きを取り、同時に台湾籍を放棄する書類を提出したことを明らかにしました。台湾籍が残っていた可能性は完全に否定しきれなくなり、出馬した党代表選(15日投開票)にも大きな影響を与えそうです。 

蓮舫氏は会見で「昭和60年1月21日に日本国籍を取得し、合わせて台湾籍を放棄を宣言した」と説明しました。手続きは、台湾の大使館的な役割を担う台北駐日経済文化代表処(東京都港区)で台湾人の父と行ったといいます。ただ、「(台湾当局者と)台湾語でやりとりが行われ、どういう作業が行われたのかまったく覚えていない」としています。 

蓮舫氏は当時17歳。台湾の「国籍法」11条によれば、自己の意志で国籍を喪失できる条件を「満20歳」と規定しており、この時点では台湾籍を除籍できなかった可能性があります。

蓮舫氏の関係者は本日、台北駐日経済文化代表処を訪れ、台湾籍が残っているか確認を求めました。同日に除籍を申請したのは、今でも台湾籍が残っているか確証が持てないための措置とみられます。

蓮舫氏は、意図してかどうかまではわかりませんが、事実上偽装日本人だった可能性が濃厚になってきました。

偽装日本人は、日本に不法滞在する外国人でありながら、日本の主権者であると偽って、日本の選挙にも不正投票しています。そのほかスパイ活動も容易です。もちろん、これらは旅券法違反・入管法違反などの重罪です。しかし、ほとんどまったく摘発されていません。

偽装日本人が増えれば、最終的に日本人の名誉が傷つけられることにもなりかねない
もっとも、捜査機関がまったく見抜けないわけではありません。偽装日本人は、日本の出入国審査において、出入国の履歴に連続性のない日本パスポート(旅券)を使用していることが通常です。

すなわち偽装日本人は、日本の入国審査においては、日本人であると装うために日本パスポートを使用します。しかし、その直前の外国の空港からの出国の際には、外国パスポートを使用しています。そのため、日本のパスポートには出国印が押されていません。したがって、偽装日本人が所持するパスポートは、出国印と入国印が連続していません。

そのような者について、出入国履歴や在留履歴、海外にある日本国大使館が把握する情報を精査すれば、パスポート使用形態の変遷などから、法令違反の端緒を発見することもできるはずです。

パスート・リーダー。これにICパスポートを置くと、一瞬で
ICチップの内容を読み取り、端末の画面で解析判定をする

平成18年から、パスホーとにはICチップが埋め込まれていて、入国審査官の手元に有る画面端末にはホストコンピューターが接続されており 本人の撮影画面からICチップの顔写真と画像一致解析判定もしますし、個人情報から過去のオバーステーや入出国記録情報の照会をします。

現在パスポートの読み取りではパスポート番号などは重要ではありません。生年月日、氏名スペリング、国籍から過去の入国者との名寄せ照合をしますので古いパスポートから改名し無い限り名寄せで一発で過去記録がすべて引き出されます。解明したとしても、苗字、名前ともに変えなければ、同一人物とみなされます。

このようなシステムを海外にある日本国大使館が把握する情報とも有機的かつ体系的に結びつけて使えば、比較的容易に二重国籍者の探索も可能であると考えられます。

このようなことを前から実施していていれば、今回の蓮舫氏の疑惑など生じなかったかもしれません。ところで、蓮舫氏が台湾籍を放棄していない時期に、国会議員となっていたとしたら、これは大問題になります。

衆議院議員の条件は、日本国民で満25歳以上であること、参議院議員は、やはり日本国民で満30歳以上であることです。

基本的に、この条件を満たせば、国会議員になることのできる権利「被選挙権」を手にできます。その他、供託金を払わないと立候補ができないということはあります。この供託金とは、法務局に一時的に預けるお金で、選挙で一定の得票数を得られなかった場合、没収されます。

供託金は選挙の種類によって異なり、衆議院小選挙区選出議員、参議院選挙区選出議員では、それぞれ300万円、衆議院比例代表、参議院比例代表ではそれぞれ600万円になります。

なお、衆議院小選挙区と衆議院比例代表に重複立候補する場合は、供託金は小選挙区で300万円と比例代表で300万円になります。

供託金を払う財力もしくは、借りる力があれば、日本人であれば、誰でも立候補できるわけです。

しかし、日本人であるとは、どういう意味なのでしょうか、日本国籍を有する者のことでしょうか。もしそうだとすれば、蓮舫氏がたとえ台湾籍を有していた時期に国会議員になっていたとしても問題はなさそうにもみえます。

しかし、二重国籍は重大な法律違反です。このようなことを、意図して行ったとしても、意図せず不注意でそうなってしまったにしても、由々しい大問題です。蓮舫氏の場合、たとえ、蓮舫氏の記憶違いなどで、実際には国会議員になった頃には、台湾籍が破棄されていたとしても、そもそも記憶自体が曖昧で、証明書など証拠物件をすぐに提出するなどのことができない事自体が、我が国の国会議員として、国籍法を蔑ろにしているということで大問題だと思います。

一応本人は否定をしていますが、言っていることが矛盾だらけで信頼がおけず、かつ証拠も提示していません。それにもかかわらず民進党としても、また蓮舫議員としてもこの問題に関してはっきりとした説明をせずにうやむやにしてこのまま代表選になし崩し的に突入しようとしています。

民進党の中では保守派の議員として知られる長島昭久氏も「日本国籍取得したんだから、二重国籍に目くじらたてなくても別にいいじゃないか」というようなことを言っています。しかし、この理屈が通るなら中国政府が13億人超の人口のうち数千万人を中国籍を残したまま日本に帰化させて日本をいとも簡単に乗っ取ることができことになります。長島氏の発言はとても民主党随一の安全保障の専門家の言う言葉とは信じられません。

それに蓮舫氏が台湾籍から離脱して日本国籍に一本化することは、100%自らの意思と責任でできることなのですから、仮に蓮舫氏が未だ二重国籍だとしたら、100%本人の責任・選択によるものです。庇うにも庇いようがないはずです。蓮舫氏が一国民であれば、重大法令違反ではあっても、後からでも改めれば、それですむかもしれません。しかし、最大野党の代表という日本の首相になることもありえる立場を目指すのですから、日本国籍に一本化するのは当然のことです。

なにしろ、我が国国民のほとんどは日本国籍しか持っていないません。我が国は移民の国でもなければEUのような文化的共同体に所属しているわけではない島国なのです。二重国籍を明確に否定する法令のある国です。この問題は国籍差別とか女性差別等とは全く異次元の問題であって、国民の代表を目指すなら日本国民と同じ土俵に立てというだけのことです。

世界的には二重国籍を容認する潮流であるともいわれます。国籍の異なる両親から生まれた子が2つの国籍を持つことは、2つの言語、歴史、文化、生活習慣の中で成長する彼らにとって当然の帰結なのだから、二重国籍を容認すべきという意見は根強いです。

しかし、だからといって我が国の根幹法規というべき国籍法が形骸化し、偽装日本人による日本パスポートの不正取得、不法入国、不正投票などが蔓延している状況や、今回の蓮舫氏の二重国籍疑惑を放置して良いわけがありません。

国籍のあり方についての国民的議論、そしてそれを踏まえた国会での検討が早急にすべきです。蓮舫氏以外の議員にもこの問題がないかどうか至急調査すべきですし、問題のある議員が出てきた場合、そうして蓮舫議員にも問題があればこれも含めて厳正な措置をとるべきです。

特定秘密保護法で公務員の身辺調査をするのですから、政治家の身辺調査も当然のことながら実施すべきです。配偶者、親族に外国人がいる、いないの調査を実施すべきです。政治家本人の帰化の有無。政治家の親族に外国人、または帰化者がいないかの公表もすべきです。政治家等の帰化基準が反日勢力に甘すぎるから、蓮舫氏の二重国籍問題が起こるのです。

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2016年1月15日金曜日

【お金は知っている】中国が世界にまき散らす市場不安と習政権が恐れるリスク ―【私の論評】福島原発報道で醜態をさらしたドイツメディアにまで、愛想をつかされた中国(゚д゚)!





 上海株は暴落、日米の株価の足を引っ張る。グラフが示すように株安を先導するのは人民元安だ。

 元安は「管理変動相場制」と呼ばれる中国特有の外国為替制度の限界を示している。同制度は、中国人民銀行が前日の元相場終値を基準とし、元の対ドル相場の変動を基準値の上下各2%以内にとどめるよう市場介入する。人民銀行は、わずかずつ元高に誘導してきた。元がドルに対して強くなれば、中国の元資産に投資している華僑など海外の投資家や国内の富裕層はドルなど外貨資産への転換を思いとどまるからだ。

 ところが、元高は国内産業の競争力を低下させると同時に、デフレ圧力を招き入れ、企業の製品価格を押し下げる。生産設備や不動産は過剰となり、企業や地方政府の債務が膨れ上がる。中国の企業債務(金融機関を除く)残高はダントツの世界一で、国内総生産比でバブル時代の日本企業の水準をはるかに超える。

 習近平政権はもはや、やけっぱちだろう。元安政策に転換したが、元安を嫌う華僑や国内の資産家は元資産を売って、外貨資産を買う。上海や深●(=土へんに川)の株価が暴落するわけである。

 人民銀行は資本逃避が起きるたびに外貨準備を取り崩して元を買い支える。この結果、外貨準備高は2015年末時点で3兆3000億ドル(約388兆7000億円)、前年同期から1080億ドル(約12兆7000億円)減った。香港やシンガポールの金融関係者の間では、このペースで資本逃避が続けば、外準は早晩3兆ドル台を割り込むとの見方が多い。

 元安は外貨建ての巨額債務を抱えている中国企業の実質債務負担を増やす。当局がいくら株式市場を管理、売買を規制しても、中国株売り圧力が高まる。こうなると、際限のない元安、株安の連鎖となる。

 打開策はただ一つ。管理変動相場制を廃棄して、先進国は当たり前の自由変動相場(フリーフロート)制に転換することだ。となると、当局の介入はなく、元相場は市場の需給を忠実に反映する。相場の変動は激しくなるが、投資家は為替の変動リスクを考慮して投機を控えるようになり、いずれ市場需給に合致する水準に元相場が落ち着く。

 習政権が恐れるのは、元が底なしの下落に見舞われるリスクである。資本逃避ラッシュが起き、外準は雲散霧消、輸入物価は急上昇し、悪性インフレに見舞われるかもしれない。すると、党独裁体制崩壊の危機である。それは、習政権の膨張主義を妨げるので、世界にとってはよいことだが、日本の財務官僚や親中メディアは管理変動相場制維持を支持する。中国の市場危機で日本も大きく揺れるとの懸念による。近視眼の平和ぼけの論理だ。

 考えてもみよ。現行制度維持では、習政権は大気汚染物質PM2・5同様、市場不安を世界に途方もなくまき散らす。解消のめどは立たない。安倍晋三政権は国際通貨基金(IMF)の場で、元のフロート即時移行を主張すべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】福島原発報道で醜態をさらしたドイツメディアにまで、愛想をつかされた中国(゚д゚)!

中国の経済もうかなり、酷い状態で救いようがないです。昨日も掲載したように、まともなやり方でまだ中国が実行していないというか、できない方法があります。昨日のブログからそのまま引用します。
(ブログ管理人追加:中国経済復活のために)合理的に考え得る戦略としては、金融緩和とインフラ支出で時間を稼ぎつつ、一般世帯の購買力を強化する方向に経済改革を進めて行くという方針があったはずでしたが、残念ながら中国が実行したのは同戦略の前半部分だけでした。その結果、一方では負債が急増し、 その多くを保有しているのは規制の杜撰な 『影の銀行』です。 他方で金融崩壊の恐れも出てきました。自由変動相場 
中国では過去5回の利下げでも、効果はなかった
ブログ冒頭の田村氏の記事のように、中国はいずれ自由変動相場制に移行すべきです。しかし、他に何もしないで、これをすぐにやってしまっても、中国経済は回復しません。まずは、金融緩和策やインフラ支出などをしながら、時間を稼ぎ、それと同時か少し後からでも一般世帯の購買力を強化することが必要不可欠です。

これが、中国経済を救う唯一の根本的な政策です。そうして、それには数字的裏付けもあります。それは、中国のGDPに占める個人消費の割合が、現状では35%しかないということです。これは、このブログにも何度か掲載してきました。個人消費がGDPに占める割合は、日本などの先進国では60%以上です。米国では70%以上です。

中国の35%はあまりに少なすぎです。しかし、逆のほうからみれば、中国では個人消費を伸ばせる伸びしろがまだまだあるということです。

しかし、これを実行するのに一番てっとりはやい方法としては、このブログにも以前から掲載しているように、現在のように貧富の差が極端にある状況を打開するために、経済的な中間層を多くつくりだし、それらが活発な社会・経済活動ができるように仕向けていく必要があります。

これに成功すれば、個人消費を40%以上に伸ばすことも可能です。おそらく、40%でも、中国経済は一息つけるものと思います。50%程度にすれば、結構余裕がでてきて、いろいろと前向きな対策が取れる余裕がでてくるものと思われます。

誰一人、人が住まない中国のゴーストタウン 鬼城 国内のインフラ投資は限界を超えた
しかし、これが中国にはできないのです。なぜなら、中国は一党独裁の全体主義国家だからです。中間層を増やすためには、現成の中国の社会体制の欠陥を是正しなければなりません。

その欠陥とは、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が全く不十分だということです。これらがある程度なされていなけば、中間層はなかなか育ちません。天安門事件があったときから、中国の民主化は一歩も進んでいません。政治と経済の分離についても、最近の中国を見ていると分離どころか、不可分に結びついています。法治国家化も全く不十分です。

これらがある程度整備されない限り、経済的な中間層が、社会を良くしようとしても、できるものではありません。となれば、社会の改善や変革はなおざりにされてしまいます。そうなれば、当然経済活動も停滞します。

中国の共産党幹部はこれを全く理解していません。これらによって、経済が良くなるなどとは夢にも思っていません。だから、結局短期的な手しか打つことができません。結局金融緩和とインフラ支出を繰り返すだけです。それでは、先ほど述べたように、時間稼ぎ以上のことはできません。

時間稼ぎするなとはいいません、しないよりはしたほうがましです。しかし、彼らは、これをうまくやりさえすれば、また昔のように、力強い経済発展ができるものと勘違いしています。

日本や、EUなどの先進国がなぜ先進国になれたのか、正面から見つめようとしません。これらの国々は日本も含めて、中国に欠けている、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を随分昔から進めていました。EUの先進国は、数百年前から進めていました。日本は、少し遅れましたが、明治以来一貫してこれを進めてきました。

日本や、EUもまだまだ不十分なところがありますが、それでも、中国や他の一党独裁の国々から比較すれば、かなり進んでいます。これが、経済的中間層の社会・経済活動を担保する形となり、彼らが熱心に活動するからこそ、日米を含む先進国では、個人消費が中国などよりはるかに大きく、GDPというとまずは個人消費が注目されるのです。

これらは、国を強くし、富ませるために必要不可欠な事です。少数の富裕層が贅沢の限りを尽くしたとしても、経済的には限界があります。やはり、星の数ほどの中間層が社会・経済活動を活発化させることにより、実体経済は発展します。

こんなことは、明らかなのに、中国共産党中央政府の幹部たちは、結局何も改めようとせず、その場しのぎの対策でなんとかしのぐことしかしません。結局彼らは、自分たちの保身と、自分たちが潤うことしか考えられないのだと思います。彼にとって、中国とは自分たちと、それに連なる子分たちのことであり、大多数の人民など関係ないのです。

こんなことでは、中国経済の復活は難しく、中国は、他の中進国と同じく、ある程度以上経済発展すると、そこからなかなか抜け出せず、いわゆる中進国の罠にはまり、図体がでかいだけの、経済も軍事的にもあまりパッとしない、凡庸なアジアの一独裁国家への道を歩むことになるでしょう。

こんな中国に愛想をつかしたのでしょうか、中国に擦り寄り姿勢を見せてきたドイツが最近変わってきました。それに関する記事が、ドイツ、シュトットガルト在住の川口マーン恵美さんが、書いています。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツがついに中国を見捨てた!? 激変したメディア報道が伝える独中「蜜月時代の終焉」
昨年10月末にも北京を訪問したメルケル首相だが
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部のみコピペさせていただきます。
ドイツ経済は日本のように内需が大きくなく、輸出に多くを頼っている。日本の輸出依存率はGDPのわずか1割強に過ぎないが、ドイツは3割以上。しかも中国依存が強く、中国が、フランス、アメリカ、イギリスについで4番目の輸出相手国だ(日本の対中輸出はGDP比で3%にも達していない)。 
今、そうでなくてもロシア経済制裁で輸出が鈍っているため、中国の不況はドイツにとってギリシャの金融危機よりも怖い。これまでフォルクスワーゲンの3台に1台は、中国に輸出されていたのだ。 
つまり、最近ドイツメディアが一斉に中国経済の実態を書き始めたのは、これ以上、綺麗事を書いてはいられないという危機感の表れかもしれない。
ドイツのメディアは、従来は中国批判をあまりしかなったのですが、最近はかなり様変わりしてきたということです。ドイツ国内には、これを許容する空気が醸成されたということで、ドイツの中国への対応も変わっていくと思います。

このブログでは、以前ドイツのメルケル首相が、習近平に毒入プレゼントしたという記事も掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
メルケル独首相、習近平主席に“毒入り”プレゼントを贈る―中国―【私の論評】メルケルは、当面の目先の商売の相手先としてか中国を見ていないことを、習近平と世界に伝えたかったのか(゚д゚)!
メルケルが習近平に贈ったとされる中国の古地図

この記事は、2014年4月7日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。

3月末、習近平(シー・ジンピン)国家主席はドイツを訪問し、メルケル首相と会談。独中両国は緊密なパートナーシップをアピールした。一見すると、良好な関係を築いているかのように見える。しかしメルケル首相が習主席に贈ったプレゼントが“毒入り”だと話題になっている。 
贈られたのは中国の古地図。宣教師がもたらした情報をもとにフランス人が描いたもので、1735年時点での清朝の領域を示している。しかし地図では新疆、チベット、内モンゴル、尖閣諸島は清朝の領域外とされている。表向きは中国との関係強化をうたいながら、領土問題や人権問題できついお灸をすえたとの見方が広がっている。

・・・・・・・・ 〈中略〉・・・・・・・・・・・・・ 
このブログにも以前から掲載してきたように、中国の金融システムはガタガタで、崩壊寸前です。暴動も年間10万件を超える勢いです。

こんなときに、商売としては旨味がなくなっている中国に対して、すり寄り姿勢のみを強調されては、たまったものではないので、毒入りプレゼントを送りつけ、メルケル首相の腹の内をみせ、「あまり好い気になるなよ、旨味のある商売ができなくなったら、すぐにも手を切るぞ」という姿勢を習近平と世界にみせつけてみせたというところだと思います。

そのまま放置しておけば、中国あたりつけあがって、中国が何をしても、世界に向かってドイツやイギリスの世論が味方だなどと言いかねず、それを牽制する意味もあったものと思います。
ドイツが中国に擦り寄り姿勢を見せたときには、日本側からみていると、中国の経済は、日本の維持権の包括的金融緩和で、それまでまるで中国にとって麻薬漬けの政策から麻薬が打ち切られたような状況になり、さっそく経済に種々の異変が発生し、中国経済の悪化が確実になっていました。

しかし、日本でも一部の識者など、まだまだ中国の経済は発展すると見るものもいた時ですから、ドイツではまだまだ、中国経済の実態が把握されていな買ったのだと思います。

しかし、最近ではどう考えても、誰が見ても、中国の経済が悪化しているのは明らかで、さすがにドイツのマスコミも、経済の悪化や、先進国の常識では考えれない、異形の中国の実態を報道するようになったとみえます。

ドイツのメデイアというと、日本の福島原発事故報道においては、とんでない報道を繰り返し、世界に醜態をさらしましたが、ようやっと、中国の実態に気づき、まともな報道をしつつあるようです。

いずれにしても、ドイツにも愛想をつかされる中国です。習近平の恐れる元が底なしの下落に見舞われるというリスクは、現実のものになったとみて間違いないです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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