2018年4月29日日曜日

マスコミ洗脳し財政危機煽る…財務省の災いは日本の好機だ 脱緊縮政策が経済に福となる―【私の論評】財務省は、現在の大企業に比較しても格段に遅れた時代遅れの組織(゚д゚)!


福田淳一氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

財務省は決裁文書の改竄(かいざん)に続くセクハラ疑惑で、旧大蔵省の接待汚職以来となる事務次官の途中辞任という事態に見舞われた。

 財務省の問題をめぐって、筆者は面白い体験をした。某紙から取材を受けたのだが、質問は「財務省の不祥事で財政再建が後退することの日本経済への影響」というものだった。取材者の意図は、財政再建が後退すると日本経済にはマイナスになるが、これでいいのかというものだったのだろう。

 筆者は、時間の無駄になることは承知で次のように対応した。

 財務省はこれまで「日本は財政危機であり、財政再建が必要だ」と言ってきた。一方、今回の不祥事で分かったことは、決裁文書の改竄を行い、国会で嘘ともいえるような答弁をしてきたこと。そしてセクハラ疑惑では、危機管理対応の観点でも、かなり杜撰(ずさん)な対応だったことだ。いずれも財政危機との説明と似ていて、真実を語っているとは言いがたい。

 今回の不祥事で財務省の説明に嘘があることがばれれば、マスコミや国民の呪縛も解けるのではないか。その結果、財務省が唱える緊縮財政(増税や歳出カット)という間違った政策が正されれば、日本経済にとってプラスである-。

 こう言ったら取材者はかなり混乱した様子だった。「マスコミの皆さんは、財務省に洗脳されていて、財政危機であると信じ込んでいるでしょう」と水を向けたら、「その通り」と言い、「財政危機ではないのか」と聞いてきた。

 財政状況は、政府のバランスシート(貸借対照表)に表れる。総債務残高から資産を差し引いたネット債務残高対国内総生産(GDP)比が重要となるが、日銀を含めた連結ベース(統合政府)では、ほぼゼロであり、他の先進国と比較するまでもなく財政危機ではないと説明した。

 「その根拠を示してくれ」というので、「ネット上で検索すればいくらでも出てくるし、必要なら取材に応じてもいい」と言っておいた。なお、昨年来日したノーベル賞受賞学者のジョセフ・スティグリッツ氏も同意見を述べていることも付け加えておいた。

 今のほとんどのマスコミでは、「財政危機ではない」という意見はまともに報じられないだろう。それほど、マスコミは財務省の言いなりになっているとみていい。

 事務次官を辞任した福田淳一氏は、辞任表明の記者会見においてまでも消費増税や財政再建堅持を主張していた。財務省が信頼を失ったので来年の消費増税や財政再建路線に影響が出るか、という問いかけに対して、「財務省は財政の管理人でしかない。管理人の不祥事があるからといって、財政問題に結びつけた議論はしないでほしい」とも述べていた。しかし、管理人が財政危機を過度に煽るような情報を流していれば、「善良な管理人」とはいえない。

 今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政策がなくなれば、日本経済にとっての好機となり、災い転じて福となるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省は、現在の大企業に比較しても格段に遅れた時代遅れの組織(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「マスコミの皆さんは、財務省に洗脳されていて、財政危機であると信じ込んでいる」と記者に話をしたことが掲載されています。

これは、もうネット上ではすでに明らかにされている事実です。そうして、これはマスコミに限らず、多くの政治家もそうです。政治家といった場合、野党はほとんどがそうです。

与党自民党の議員もほとんどが、日本は財政危機にあると信じ込んでいます。そうではないとみられるのは、安倍総理とそのとりまきの一部のブレーンだけです。

そうして、経済学者や民間のエコノミストといわれる人々のほとんどは、おそらく本当は日本は財政危機にないことを知っていながら、財務省のいいなりで、「財政危機にある」と主張しているのが実体です。もし本当に「財政危機にある」と考えいいるなら、真性の馬鹿ですから、経済学者やエコノミストなど即刻辞任すべきです。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政がなくなれば、日本経済にとっての好機となり、災い転じて服となるだろう」と結論を述べていますが、私はそうはならないと思います。

今のまま財務省を放置しておけば、ここ数年間は大人しくして、なりを潜めたようにしていますが、数年たてばまた元通りで、「財政危機」を連呼して、大増税キャンペーンを繰り広げ、実体経済にはおかまいなしで、増税とともに緊縮を主導し、安倍総理が退任したころには、ここぞとばかり大増税を実行することになます。

日銀も右に習えで、これも実体経済を無視して、緊縮財政をはじめることになります。そうして、日本は再度デフレ・スパイラルのどん底に沈み、超円高に見舞われ、この悪影響を避けるために、企業はまたぞろ、中国に進出して、現地で製造をするようになります。

かつて超円高だったときの中国進出コンサルタントは、現在では中国撤退コンサルタントとして活躍しているそうですが、彼らは再び中国進出コンサルタントとして大活躍することになります。

そうして国内では、雇用環境が再び大悪化して、若者は再び就職氷河期にみまわれ、就活で苦しむことになります。これから社会に出ていく若者が、最初から社会に必要ではないと拒絶され、精神的な傷を負うことになってしまいます。

なぜ、このようになることを自信を持って、言えるかといえば、過去にも同じようなことがあっても、財務省の体質は結局変わらず、今日に至っているからです。

過去に大蔵省でも大蔵省接待汚職事件があり、大蔵省への国民への信頼が大いに揺らぎました。

大蔵省接待汚職事件(おおくらしょうせったいおしょくじけん)とは、1998年(平成10年)に発覚した大蔵省を舞台とした汚職事件です。ノーパンしゃぶしゃぶ事件とも言われています。多くの人にとって、「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」のほうが一般的だと思います。

「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」の舞台となった「ローラン」

この事件が発覚後、官僚7人(大蔵省4人、大蔵省出身の証券取引等監視委員会の委員1人、日本銀行1人、大蔵省OBの公団理事)の逮捕・起訴に発展しました。起訴された官僚7人は、執行猶予付きの有罪判決が確定しました。この責任を取り三塚博大蔵大臣と松下康雄日本銀行総裁が引責辞任し、大蔵省解体の一つの要因となりました。

にもかかわらず、旧大蔵省の体質、特に実体経済とは関係なくどんなときでもなるべく緊縮財政を実施するという方針は温存され、今日にいたり、実際平成14年に5%から8%への消費税の増税が実行されため、日本のGDPの6割を占める、個人消費が抑制され、未だに日本のGDPの伸び率は韓国以下です。

ただし、金融緩和は2013年から継続しているため、雇用情勢はここ20年では、最も良い状況になっています。

このようなことから、今回の財務省不祥事が契機となって、経済を痛めつけるような緊縮財政策がなくなるということはないと断言できます。

大正12年9月1日 関東大震災で瓦解した大蔵省の建物

経済を痛めつけるような緊縮財政を永遠になくすためには、財務省が大蔵省時代から、中途半端に統治と実行の両方を同時に行っているということをやめさせるしかありません。

実行に関しても、企画と実行そのものも分離しなければなりません。現在の財務省は、財政に関わる統治(財政の方向性を定めること)と、統治に基づいた財政企画と財政の実行を同一組織で行っていることが問題なのです。

財政に関わる統治は、政府が行うべきものです。財政企画と、財政の実行を同一組織で行うことは、不正の温床になります。

これは、企業でいえば、財務部長が財務担当取締役の権限のうちで一番重要な統治の部分にも踏み入っているような有様であり、さらに財務部門と経理部門が同一組織で行われているというような状況です。大企業ならば、そもそもこれが分離されていないと上場はてできません。人数の少ない中小企業ならともかく、ある程度大きな企業であれば、これは不正を誘発するようなものですし、会社法等にも明らかに違反しています。

財務省の組織


現代の大企業の理想的な統治部門の組織図、現在の財務省は現代の企業に比較しても
遅れた前近代的組織、財政に関する統治と実行が財務省内で行われている

何よりも内部統制的にみても、財務部長(財務省でいえば、財務次官)の社内での専横や不正を助長するようなものです。絶対にあってはないらないことです。

現在の財務省は、財政に関する統治に関する部分は、政府に完全に移行し、財務企画部門と、財務の実行部門とも別組織にすべきなのです。

これを実行すれば、実質上財務省の完全解体ということになってしまいます。そもそも、このような異常な組織がいつまでも温存されるということは組織論的にみても、あってはならないことです。はっきり言って、今の財務省の組織は、現在の大企業よりも格段に遅れた時代遅れの組織といわざるを得ません。

大企業では、企業統治論が従来からいわれていて、少なくとも統治と実行は組織的に分離されています。企画と実行も分離されるようになってきています。国の財政に関わる統治と実行(企画と実行)が分離されずに曖昧になっているなどということが許されるはずはありません。

統治と実行の違いや、財務省の完全解体については以前もこのブログに掲載したことがありますので、ここでは詳細は説明しません。以下の【関連記事】のところにリンクを掲載しておきます。興味のある人はこの記事を是非ご覧になって下さい。

【私の論評】

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