2018年4月28日土曜日

北朝鮮、日本の圧力非難「平和の流れ感知できず」―【私の論評】日本の北制裁はかなり効いているしこれからもさらに強化される(゚д゚)!


板門店宣言に署名後、共同発表に臨む韓国の文在寅大統領(左)と北朝鮮の
金正恩朝鮮労働党委員長=27日、板門店の韓国側施設「平和の家」

 朝鮮中央通信は28日、北朝鮮が核実験中止などを発表したのに対し、日本は最大限の圧力維持を表明したと指摘し「朝鮮半島と地域に流れる平和の流れをきちんと感知できない」と非難する論評を配信した。

 論評は、不祥事で窮地に立たされた安倍政権が危機回避などのため、北朝鮮への圧迫に固執していると主張。「急変する情勢下で朝鮮民族や国際社会の願いは眼中になく、自分たちの利害ばかり計算している」と批判した。

 また「南北の同胞はもちろん国際社会も、対話ムードを壊そうとする行為を決して許さないだろう」と強調した。

【私の論評】日本の北制裁はかなり効いているしこれからもさらに強化される(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事を額面通りに受け取るひとはいないと思います。これは、何を意味するかといえば、北朝鮮への日本の制裁はかなり効いていると、これからもさらに効くことを、北朝鮮側が脅威に感じているということです。

日本の制裁というと、まずは戦後初めて黄海に自衛隊の艦船を派遣してまで監視活動にあたっていることがあげられます。これについては、以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ政権のアジア担当要職に反中のベテラン―【私の論評】米国で「強い日本」を志向する勢力が主流になった(゚д゚)!
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議を履行するため、海上自衛隊の護衛艦や哨戒機が昨年12月から日本海や朝鮮半島西側の黄海で、外国船から北朝鮮船舶への石油などの移し替えがないか警戒監視活動に当たっています。

黄海・東シナ海などを常時警戒監視しているP3C哨戒機が不審船を発見した場合、護衛艦を現場に派遣します。政府関係者は「監視活動を顕示することで北朝鮮への石油製品の密輸を抑止することにつながる」としています。 
ここで、黄海という言葉がでてきますが、黄海での海自による警戒監視活動は戦後はじめのことです。これは、中国側からすれば脅威だと思います。自分たちは尖閣付近の海域で船舶を航行させたり、最近では潜水艦を航行させたりしていたのが、日本の海自が黄海で監視活動を始めたのですから、彼らにとってみれば、驚天動地の日本の振る舞いと写ったかもしれません。
しかし、黄海初の日本の海自による監視活動に関して、日本のマスコミは当たり前のように報道しています。中国側も非難はしていなようです。中国としては、米国側から北への制裁をするようにと圧力をかけている最中に、監視活動にあたる日本を批判すると、さらに米国からの圧力が大きくなることを恐れているのでしょう。
このようなこと、少し前までのオバマ政権あたりであれば、「弱い日本」を志向する人々が多かったので、批判されたかもしれません。というより、そのようなことを日本に最初からさせなかったかもしれません。そうして、中国は無論のこと、大批判をしたかもしれません。そうして、日本国内では野党やマスコミが大批判をしていたかもしれません。
このようなことが、すんなりと何の摩擦もなくできるのは、やはり米国では「強い日本」を志向する勢力が大きくなっているからであると考えられます。
このように、日本は中国を刺激することも厭わず、従来の慣行を破り、北朝鮮に対する制裁を実行しています。そうして、日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は世界でもトップクラスですから、制裁破りをする不審な艦船の動きはかなりの精度で識別できると考えられます。

そうして、これは軍事機密ですから、なかなか外に出て来ることはないのですが、ブログ冒頭の記事の朝鮮側の反応から、かなり高架があるとみえます。

この日本の海自の活動に加えて、さらに以下のような新たな動きがあります。

外務、防衛両省は28日、北朝鮮が洋上で違法に物資を積み替える「瀬取り」を監視するため、オーストラリア軍とカナダ軍の哨戒機が沖縄県の米軍嘉手納基地を拠点に警戒監視活動を行うと発表しました。活動に加わる米軍を中心に運用を調整します。米軍以外の各国軍が、在日米軍基地を拠点に活動するのは異例です。

米軍嘉手納基地

北朝鮮に対し、核・ミサイル廃棄に向けた具体的な行動を求めるため、最大限の圧力を維持する狙いがあります。準備が整い次第、速やかに運用を始めます。

瀬取り対策をめぐっては、海上自衛隊と海上保安庁が東シナ海や日本海で警戒監視を実施。今後、日米豪、カナダの各国が情報共有し、警戒監視を強めます。

両省の発表によると、豪州、カナダ両軍が今回、在日米軍基地を拠点に活動する根拠は、朝鮮戦争に伴う国連軍地位協定に基づくものです。協定の締結国に豪州とカナダが含まれており、協定では、締結国は在日米軍基地を使用できるとしています。外務省によると、瀬取り対策を理由に、各国軍が在日米軍基地を拠点に活動するのは初めてだそうです。

また、英国政府も瀬取りの共同監視に加わる意向を示しており、現在、海自と日本周辺海域で共同訓練中の英国軍の艦船も参加するとみられます。

以上のように、これから日本の米軍基地や港湾なども活用して、北朝鮮への制裁はますます強化されます。

これは、北朝鮮にとっては脅威です。背取りなどを完璧封鎖されれば、北朝鮮社会は制裁により間もなくまともに機能しなくなります。

そこに安倍総理が最大限の圧力維持を表明したのですから、北朝鮮としてはブログ冒頭の記事のような声明を発表せざるをえなくなったのです。

さらに、北朝鮮が脅威を感じることがあります。それは、日本の掃海能力(機雷を除去する能力)も世界のトップクラスであり、米国をも上回るという事実です。これについても以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米、北に新たな一手“海上封鎖” 沿岸警備隊のアジア派遣検討 「有事」見据えた措置か―【私の論評】沿岸警備隊派遣の次には、機雷戦?その時には海自が活躍することになる(゚д゚)!
うらが型掃海母艦1番艦の「うらが」(手前

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下のこの記事の結論部分のみを掲載します。
そうして、北に対する日米間で合意した『北朝鮮に最大限の圧力を加える』という政策を支持する同盟国の日本の掃海能力が高いことが、北制裁を徹底強化したい米軍の機雷敷設を後押しすることになるかもしれません。 
機雷封鎖による北への圧力は相当なものになるはずです。物資の遮断はもとより、心理的圧迫も極度に高まります。漁船も遠洋には出ることができなくなります。当然大和堆での、漁業もできなくなり、日本に漂着する漁船もなくなります。 
これは、一つの事例に過ぎず、北による日米の圧力はときが経てば経つほど大きくなっていきます。北朝鮮は覚悟を決めなければなりません。日米は、北を核保有国として認めることはしません。
ただし、日本が戦時に掃海を行うことには、制限があります。これは、産経新聞の以下の記事をご覧いただければ、ご理解いただけると思います。
海上封鎖実施なら、日本が「穴」になる恐れ 自衛隊に課された制約 他国軍並みの強制権限なく、機雷除去も限定的
ただし、平時になれば、日本がペルシャ湾に掃海部隊を派遣したように、朝鮮半島沖で掃海することはできます。それに、もし米軍が北朝鮮に武力攻撃をするというなら、米軍の掃海部隊が派遣されるのは間違いありません。さらに、他の同盟国の掃海部隊も派遣されることになるかもしれません。

戦時中の掃海は、米軍、同盟国の掃海部隊が同盟軍の艦船の通行に支障がない程度に行い、戦後に日本が本格的掃海を行うということも考えられます。

いずれにしても、米軍が機雷敷設までして制裁をすれば、北朝鮮社会は早晩機能不全にいたることは確かです。私は、米国は本格的な軍事攻撃の前に、機雷敷設をして海上封鎖をするというオプションは十分にあり得るものと思っています。

それにしても、戦時でも集団的自衛権を行使するための掃海などできるようにすべきと思います。どこかに抜け道はないのかと思ってしまいます。誰かこの抜け道をご存知の方いらっしゃれば、是非教えていただきたいものです。抜け道がないなら、新たな法律を作成すべきと思います。現在国会では野党が審議拒否をしていますが、本来なら野党も含めてこのような論議をしてほしいです。

いずれにしても、北朝鮮は日本による監視活動や、日本を拠点とする米国と同盟国の監視活動等に対してかなり脅威に感じていることは確かです。

日本としては、日本が出来る限りの最大限の圧力をこれからも維持していくべきです。

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