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2019年7月8日月曜日

【令和日本と世界】韓国・文大統領は最高の反面教師 “衆愚政策”強行でどうなるか実演…日本人が“毛針”かからぬよう警告―【私の論評】日韓関係の主導権は完璧に日本に移った(゚д゚)!


文大統領は「反面教師」としては優秀かもしれない

日本政府は4日、半導体製造に必要な材料3品目について、韓国に対する輸出管理の強化措置を発動した。「安全保障を目的とする運用見直し」というが、いわゆる「元徴用工」の異常判決などによる、日韓の信頼関係喪失が背景にある。

 韓国側のショックは大きいが、その責任は、判決を受けて迅速な行動をしなかった文在寅(ムン・ジェイン)大統領にある。韓国内ですら、日本批判で一丸ではない。

 文氏の「低級な反日」は、「平成時代の愚かな媚韓政策」を捨て去り、日本に失地回復の機会を与えてくれたのである。

 さらに、文氏は「反面教師」としても素晴らしい。

 日本の左派政党も主張するような、経済や人権の衆愚政策を強行したらどうなるかを事前に実演し、日本人が“毛針”にかからないように警告してくれている。文氏が元弁護士で左派政権の幹部だったことで、立憲民主党の枝野幸男代表と共通していて、イメージが重なるのも皮肉だ。

文在寅と枝野

 文政権は、最低賃金を見通しもなく上げた。優良企業はイジメて、経営者は片っ端から逮捕するなど、現実を無視して(革命の)夢を追う姿勢は、ある意味で見上げたものだ。

 朴槿恵(パク・クネ)前政権の関係者など、野党政治家には嫌がらせの限りを尽くすし、官僚人事も政治運用を利用して恐怖政治を敷いた。マスコミとも対立した。菅義偉官房長官が強引だなんて言っても、韓国に比べれば穏やかなものにしかみえない。

 徴用工訴訟だけでなく、天皇陛下(現上皇さま)への謝罪要求や、慰安婦合意の無視、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機のレーダー照射事件など、あまりにもひどい「反日」非道が続いた。あの朝日新聞ですら、全面的には韓国の肩を持てず、「韓国側にも問題があるにせよ、これでは江戸の仇(かたき)を長崎で討つような筋違いの話だ」(3日、天声人語)と書くので精いっぱいだ。

【私の論評】日韓関係の主導権は完璧に日本に移った(゚д゚)!

枝野氏と、文在寅氏の経済対策は瓜二つです。いずれも、雇用を改善するのに、金融緩和などせずに最低賃金をあけるというものです。この政策は、上にもあるように、大失敗しました。韓国では、雇用がますます削減してとんでもない有様になりました。

両方共、雇用=金融緩和という観念が全くありません。金融緩和をすると、当初は新規雇用が増えるため、最低賃金が下がるということも理解できず、枝野氏は「最低賃金がー」とまくしたてました。

金融緩和は実施したからといってすぐに効果がでるというものではなく、当初は新規雇用が増え、実質賃金が下がりますが、それでも金融緩和を続けていると実質賃金もあがってきます。実際現在の日本はそのような状況になっています。

二人とも雇用に関しては、素人なみの知識しか持ち合わせていないようです。とは、いいながら日本では10月より、消費税を10%にあげるということで、かなり経済が悪化するのは目に見えています。安倍政権も、文在寅や、枝野の経済理論を異様などと批判できなくなるかもしれません。

ただし、文の経済知識はさらに低次元なようです。日本からの制裁に対して、何やらその対抗措置をとろうとしているようですが、それはそもそも不可能ということを理解していないようです。

文在寅は、韓国経済は今でも「日本の素材・部品や機械なしには成り立たない」という事実を忘れているようです。

多くの人が見ているような、韓国に「独自の経済」があると思うのは誤解です。韓国は産業インフラが育たず、自前のエンジン(リバース以外のエンジニアリング)を持っていないため、ほとんどの製品は日本から機械や部品を買ってきて組み立てているだけです。スマホ等も日本から部品を購入して組み立てているだけです。つまり、韓国メーカーは日本の機械と部品がなければ製品を作ることができないのです。
 
韓国では技術者のポジションが非常に低く、文系より下に置かれています。これは企業見学に行けばすぐにわかりますが、文系の人たちは立派な高層ビルの本社にいるのに、技術者はたいがい工場の2階などの狭苦しいスペースに押し込められています。

技術は長い時間をかけて研究開発してもなかなかペイしないですから、買ってこられる機械や部品は買ってくればいい、というのが経営者の考え方なのです。したがって自分たちでイノベーションすることがなく、常に日本の借り物、パクリが伝統になっているのです。それでも、パクリノウハウは発展して、スマホなどは一見かなりの技術水準のものにみえますが、パクリはパクリなのです。

言い換えれば、実は日本と韓国は産業構造的に見ると“運命共同体”なのです。部品や素材を日本から購入するだけではなく工作機械も購入ということから、日本と韓国の産業構造はかなり似通っています。どちらも、車やテレビ、パソコン、スマホなどを製造しています。

たとえば為替が円高ドル安になったら日本の輸出企業が打撃を受けますが、韓国企業も日本からの機械や部品の買い入れ価格が高くなるから競争力を失います。したがって、韓国が日本から独立して経済的に繁栄するということはあり得ないです。

だからこそ日本は韓国に働きかけ、対日関係を棚卸しさせて両国の国益につながる良好な関係を構築しようとしてきましたが、これはことごとく裏切られ、今日の日本による対韓国制裁に至っています。

そうして、韓国内では日韓関係が悪化したときの定番と言っても良い、市民団体による日本製品の不買運動が展開されつつあります。今回も既にソウルの一部スーパーで日本製ビールが撤去されたとか、日本旅行を自粛したとアピールするネット投稿があったなどと日本国内のメデイアでも報じられています。


記事で簡単に触れざるをえない場合もあるのでしょうが、これを正面からまともに取り上げるのは考えものです。なぜなら、過去25年ほどの間に4回の「日本製品不買運動」が組織されましたが、本当に日本製品の売り上げが落ちたことなど皆無だからです。

日本の対韓国制裁措置が発表されてから初の週末となった6、7日にソウルで開かれた日本酒フェスティバルは、入場料2万5000ウォン(約2300円)と有料ながら約7000人の客が集まったそうです。これでは、今回も不買運動など全く意味をなさなくなりそうです。

6日ソウルで開催された日本酒フェステバル

日本政府としては「輸出管理強化は経済報復(制裁)ではない」という立場です。とはいいながら、実質制裁であることには違いないです。

あくまで、韓国側に「不適切事案が複数発生した」ため、安全保障上の運用見直しとして、同国への「優遇措置」を取り消し、軍事転用が可能な「フッ化ポリイミド」「レジスト」「エッチングガス(高純度フッ化水素)」の3品目について、輸出手続きを厳格化したのです。

加えて、8月からは韓国を「ホワイト国」からも除外する見通しです。軍事転用の恐れがある先端材料の輸出について、「ホワイト国」には輸出許可の個別申請が免除されています。除外によって、前出の3品目だけでなく、工作機械などにも管理強化対象は広がることになります。今のところは、当たり前だと思われていたことを当たり前でなくしているという程度のものです。

これだけの措置は、日本の独断専行では行わないでしょう官邸周辺は「当然、同盟国である米国などには、事前に内々で伝達していると聞いている」と明かしています。

韓国では現在、「世界貿易機関(WTO)への提訴」をはじめ、「対日輸出の制限」「日本への観光目的の渡航禁止」などが対抗策として検討されているといいます。ただ、「反日」で凝り固まった文政権だけに、思いも寄らぬ暴挙に出る可能性もありえます。

これに対し、一連の『反日』暴挙が続いた昨年末の時点で、政府は日本側の姿勢を示す『厳格なカード』が十分に検討されました。韓国の酒類の出入りを制限する案など、各官庁とも相当、深掘りしたようです。すでに準備は整っています。現在、発動するタイミングをみている状況のようです。

ここで、韓国の「カネ」を標的としたカードが注目されています。韓国の通貨ウォンは国際通貨ではありません。韓国の政府系銀行は財務状況も健全ではなく、信用度は低いとされます。そこで、韓国の銀行が発行する『信用状』(=貿易用の小切手)を日本の銀行が保証する枠を与え、間接的に支援しています。そうした支援を打ち切ることも考えられます。

さらに、日本の大物政治家が『韓国向けの債券には注視することが必要だ』と口先介入するだけでも、韓国側はドルの調達ができにくくなるでしょう。輸出依存度が高い国だけに、輸出も簡単ではなくなり、貿易赤字は増え、通貨ウォンは下落することになるかもしれません。

これが現実となれば、韓国の金融面でのリスクは高まりかねないです。1997年の「アジア通貨危機」の再現も考えらます。

モノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、国内関係者への誤爆が少ないです。日本政府はまだカネのカードを温存しているといえます。韓国政府の行動が改まらない場合には、他の諸々の制裁を発動し、次の段階ては金融精査を発動し、最終段階では断交すれば、良いです。主導権は日本にあるのです。

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2019年4月4日木曜日

北朝鮮『4・15ミサイル発射』に現実味!? 「絶対に許さない」米は警告も…強行なら“戦争”リスク―【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!


金正恩氏は東倉里から“人工衛星”を発射するのか

 北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルを発射する可能性が現実味を増してきた。北西部・東倉里(トンチャンリ)のミサイル発射場の準備が完了したとの分析があるのだ。「Xデー」として、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(15日)などが予想されている。米朝首脳会談の決裂を受け、北朝鮮は再び「瀬戸際外交」に戻るのか。朝鮮半島の緊張が高まっている。

 「北朝鮮が東倉里長距離ミサイル発射場の整備を事実上終えた」「最高指導部が決心すればいつでも発射できる状態を維持中」

 韓国紙、中央日報(日本語版)は2日、韓国政府当局者がこう伝えたと報じた。

 記事では、北朝鮮が3月27日にドイツ、同29日にフィンランドで予定されていた会議への出席を、ドタキャンしてきたことも伝えた。こうした状況から、国会に当たる最高人民会議が開かれる今月11日や、日成氏の誕生日などに、「人工衛星打ち上げ」を強行する可能性もあると指摘した。

 北朝鮮は2017年11月29日を最後に、弾道ミサイルを発射していない。だが、2月末にベトナムの首都ハノイで行われたドナルド・トランプ米大統領と正恩氏による首脳会談が決裂してからは、ミサイル発射施設を整備する動きが、たびたび確認されている。

米政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)と、北朝鮮分析サイト「38ノース」は3月7日、衛星画像に基づき、東倉里にあるミサイル発射場の構造物の再建が完了し、稼働状態に戻ったとの分析を発表した。

 北朝鮮は緊張を高めることによって、交渉相手に譲歩を迫る「瀬戸際外交」を得意としてきた。ただ、この手法が、トランプ氏や、北朝鮮が「死神」と恐れるジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に通用するかは不明だ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「北朝鮮が弾道ミサイル発射や、ロケットエンジンの燃焼実験をする可能性は十分ある。発射までの経緯や打つ方向によって、その後の展開は変わってくるだろう。例えば、北朝鮮が『人工衛星』として発射予告をした時点で、米国が『絶対に許さない』と警告したにもかかわらず強行すれば、『戦争のリスク』を孕むことになる」と語った。

【私の論評】北がミサイル発射実験を開始すれば、米・中・露に圧力をかけられ制裁がますます厳しくなるだけ(゚д゚)!

さる2月27、28日に行われた2回目の米朝首脳会談ですが、ドナルド・トランプアメリカ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長の会談は、事実上の物別れに終わり、共同声明すら出されませんでした。

なぜこのようになったかといえば、そのキーワードは、Status quo(ステイタス・クォー)です。この一言さえ意味が分かっていれば、今回の会談を読み解くなど、たやすいです。さらに、北朝鮮がミサイルの発射実験を開始したり、それら継続することになれば、どうなるかを予測するのもたやすいです。ラテン語の原語の意味では「現状」ですが、現代では「現状維持」とも訳されます。


米朝首脳会談に関係するアクターの中で、Status quoを望まない国はどこだったのでしょうか。そもそも誰がアクターなのかを理解していれば、愚かな報道には惑わされることはありません。

「朝鮮戦争が終結する」「日本人拉致被害者が帰ってくるかもしれない」「朝鮮半島の新時代に向けて、日本は巨額の資金供出をしなければならないのか」などなど。はっきり言いいますが、この状況で北朝鮮が日本人拉致被害者を一人でも帰してくるならば、何かの嫌がらせ以外にあり得ないです。

現代の情勢を分析する前に、Status quoを望まない国、すなわち現状打破勢力の歴史を知っているほうが、急がば回れで米朝会談の真相が見えてきます。

第二次世界大戦直前。1939年の時点で、現状維持勢力の代表はイギリスでした。しかし、大英帝国は既に絶頂期の勢力を失い、新興大国の米国が覇権を奪う勢いでした。英米の関係では、イギリスが現状維持国で、米国が現状打破国でした。

だが、両国には共通の敵のソ連がいました。ソ連は共産主義を掲げる、現状打破を公言する国でした。共産主義とは「世界中の国を暴力で転覆し、世界中の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる」という危険極まりない思想です。

ソ連に対して、英米は共通の警戒心を抱く現状維持国でした。ここに、ナチスドイツが現れまし。アドルフ・ヒトラー率いるナチスは、第一次大戦の敗戦国としてのドイツの地位に甘んじないと公言する現状打破国でした。

英独ソの3国は主に東欧での勢力圏をめぐり抗争しました。現状維持を望む英国に対し、ドイツが東欧を侵略して第二次世界大戦がはじまりました。イギリスは米国を味方に引き入れドイツを倒したと思ったのも束の間、東欧を丸ごとソ連に併合されました。辛抱強く現状を変更できる戦機を待った、ソ連の独裁者・スターリンの悪魔のような慧眼の勝利でした。

ソ連の衛星国となった東欧諸国


さて、現代も現状維持勢力と打破勢力の相克で動きます。ただし、世界大戦のように劇的に動く時はめったにありません。では、東アジアにおいて、誰が今この瞬間の現状打破を望んでいるでしょうか。

昨年の米朝会談で、北朝鮮は核兵器の全面廃棄と今後の核実験の中止を約束しました。約束を履行した場合の経済援助も含みがありました。

北朝鮮の望みは、体制維持です。金正恩とその取り巻きの独裁体制の維持、労働党幹部が贅沢できる程度の最小限度の経済力、対外的に主体性を主張できるだけの軍事力。米国に届く核ミサイルの開発により、大統領のトランプを交渉の席に引きずり出しました。間違っても、戦争など望んでいません。

この立場は、北朝鮮の後ろ盾の中国やロシアも同じです。習近平やウラジーミル・プーチンは生意気なこと極まりない金一族など、どうでも良いのです。ただし、朝鮮半島を敵対勢力(つまり米国)に渡すことは容認できないのです。

だから、後ろ盾になっているのです。結束して米国の半島への介入を阻止し、軍事的、経済的、外交的、その他あらゆる手段を用いて北朝鮮の体制維持を支えるのです。

ただし、絶頂期を過ぎたとはいえ、米国の国力は世界最大です。ちなみに、ロシアの軍事力は現在でも侮れないですが、その経済力は、GDPでみると東京都を若干下回る程度です。

ロシアも中国も現状打破の時期とは思っていません。たとえば、在韓米軍がいる間、南進など考えるはずはないです。長期的にはともかく、こと半島問題に関しては、現状維持を望んでいるのです。少なくとも、今この瞬間はそうなのです。

では、米国のほうはどうでしょうか。韓国の文在寅政権は、すべてが信用できないです。ならば、どこを基地にして北朝鮮を攻撃するのでしょうか。さらに、北の背後には中露両国が控えています。そんな状況で朝鮮戦争の再開など考えられないです。

米・中・露とも朝鮮戦争の再開など望んでいない

しかも、文在寅は在韓米軍の撤退を本気で考えています。そうなれば、朝鮮半島が大陸(とその手下の北朝鮮)の勢力下に落ちます。ならば、少しでも韓国陥落を遅らせるのが現実的であって、38度線の北側の現状変更など妄想です。

しかも、以前からこのブログにも掲載しているように、現状をさらに米国側から検証してみると、北朝鮮およびその核が、朝鮮半島全体に中国の覇権が及ぶことを阻止しているのです。北の核は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威なのです。

さらに、韓国は中国に従属しようとしてるのですが、韓国は中国と直接国境を接しておらず、北朝鮮をはさんで接しています。そうして、北朝鮮は中国の干渉を嫌っています。そのため、韓国は米国にとってあてにはならないのですが、かといって完璧に中国に従属しているわけでもなく、その意味では韓国自体が安全保障上の空き地のような状態になっています。

この状況は米国にとって決して悪い状態ではないです。この状況が長く続いても、米国が失うものは何もありません。最悪の自体は、中国が朝鮮半島全体を自らの覇権の及ぶ地域にすることです。これは、米国にとっても我が国にとっても最悪です。

昨年の米朝合意は特に期限を設けていません。「本気で核廃絶する気があるのか?」「あるから制裁を解除しろ。金寄越せ」「順序が違う!」と罵りあっていて、何も困ることはありません。成果など不要なのです。

さて、米中露北の関係4か国の中で、今この瞬間の現状打破を望む国はゼロです。関係者すべてがStatus quoを望んでいるのです。「米朝会談成果なし」など、外交の素人の戯言に過ぎません。

そもそも、外交交渉における「成果」とは何でしょうか。自らの何らかの国益を譲歩することです。仮に一方的に要求をのませるとしたら相手の恨みを買います。それは降伏要求であって、外交ではありません。北朝鮮は中露を後ろ盾にしている限り米国に譲歩する必要もないし、逆に米国だって同じなのです。

今回の交渉は、続けること自体に意味があったのです。さて、わが日本はどうでしょうか。安倍晋三首相は、トランプ大統領に拉致問題の解決を要請したとされています。

そして、拉致問題の解決なくして1円も北に資金援助はしないとの立場を伝えたそうです。当たり前です。これまでの外交では、その当たり前のことを毅然とできなかったからと安倍外交を称賛しなければならないとしたら、本当に情けないことです。

今の日本は現状打破を望む必要はないです。交渉で被害者を取り返せば良いのです。全員奪還が我が国是です。だが、北は何人かを帰して幕引きにするカードをちらつかせています。日本に独自の軍事力がないから舐められているのです。日本の道は、防衛費増額しかないのです。

さて、北朝鮮が核実験や核ミサイルの発射実験を開始したらどうなるかということですが、先に述べたように、北朝鮮も現状維持を望んでいます。であれば、せいぜい人工衛星の打ち上げ実験程度にとどめて、あとは核実験や、ミサイル発射実験などはしないでしよう。

もし従来のようにミサイル発射実験や核開発をすれば、どうなるでしょうか。現状維持を望む、米国、中国、ロシアから圧力を加えられ、制裁がますます厳しくなるだけのことになります。そのようなことは、北朝鮮自身が望んでいないでしょし、余計なことをすれば、現状が崩れることを金正恩は理解していることでしょう。

にもかかわらず、北がミサイル発射実験や核開発を継続すれば、米国が軍事攻撃する可能性もでてきます。さらに、米国が中露にたとえ北朝鮮の体制が変わったとしても、現状維持することを約束するとともに、中露も現状変更をしないことを米国に約束すれば、中露は米国の北に対する軍事攻撃を許容する可能性も十分あります。そうなった場合には、米国は北を軍事攻撃することでしょう。

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2018年9月25日火曜日

トランプ大統領の“切り札”か…中国、北朝鮮の「隠し資産」丸裸 米国、世界の“制金権”握る「無血戦争」のシナリオとは? ―【私の論評】米対中国貿易戦争は単なる警告であり、前哨戦に過ぎない!本命は本格的な金融制裁(゚д゚)!

トランプ大統領の“切り札”か…中国、北朝鮮の「隠し資産」丸裸 米国、世界の“制金権”握る「無血戦争」のシナリオとは? 

国際投資アナリスト大原浩氏

 貿易で中国の習近平国家主席と、非核化で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と対峙(たいじ)するトランプ米大統領は、独裁国家の権力者がひれ伏す切り札を握っている-。こう指摘するのは金融市場に詳しい国際投資アナリストの大原浩氏だ。連邦捜査局(FBI)や中央情報局(CIA)の監視網を背景にした米国の「金融支配」により、独裁者の隠し資産は丸裸にされるという。「無血戦争」のシナリオとは-。

 相変わらず米中貿易戦争が話題になっているが、その議論の中で抜け落ちているのが「貿易戦争」は本当の殺し合いをする戦争の一部であるということである。

 現在、米国の徴兵制は制度そのものは存続しているが、議員の息子が徴兵され、ベトナム反戦運動が激化したこともあって停止している。

 その米国が、自国の若者の血を大量に流す戦争を長期間続行するのは、世論対策も含めて簡単ではない問題である。北朝鮮や中国などの独裁国家は、そうした事情を見透かしているフシがある。

 しかし米国は、どのような国も太刀打ちできない最新兵器に裏打ちされた強大な軍事力だけではなく、血を流さない戦争=「無血戦争」においても圧倒的な強さを持っている。

 いわゆる購買力の高い「消費者」の立場から「売り手」である中国を締め上げる「貿易戦争」もその一つだし、本当の戦争で言えば「海上封鎖」に相当するような「経済制裁」も、ボディーブローのようにじわじわ効いてくる効果的な戦略だといえる。

中国への攻勢を強めるトランプ大統領

 しかし、「無血戦争」における米国最大の武器は「金融」だ。世界の資金の流れを支配しているのは米国であり、戦争用語の「制空権」ならぬ「制金権」を米国が握っているというわけだ。

 例えば、経済制裁の一環として、北朝鮮やイランの高官の口座を凍結したというようなニュースを聞くとき、「どうやって口座を調べたのだろう」という疑問を持たないだろうか?

 このような人物が本名で海外に口座を開くとは考えにくく、当然偽名やトンネル会社などを使用する。しかし、そのような偽装をしても、FBIやCIAは、口座間の資金の流れを解析して、本当の口座の持ち主をすぐに特定できる。

 この基本技術は、筆者が執行パートナーを務めるシンクタンク「人間経済科学研究所」の有地浩・代表パートナーが30年ほど前にFBIで研修を受けたときにはすでに実用化されていた。

 その後、テロ対策、マネー・ロンダリング対策で銀行口座開設や送金の際の本人確認が非常に厳しくなったのは読者もよくご存じだと思うが、これは米国の指示によるものだ。日本だけではなく世界的な現象なのである。

 少なくとも米国の同盟国・親密国においては、どのような偽装をしても米国の監視の目からは逃れられないということである。以前スイスのプライベートバンクの匿名性が攻撃され、口座情報が丸裸にされたのも、この戦略と関係がある。

 そして、北朝鮮や中国など、米国と敵対している国々のほとんどが、汚職で蓄財した個人資産を自国に保管しておくには適さない。いつ国家が転覆するかわからないためで、米国やその同盟国・親密国の口座に保管をするしかないというわけだ。

 米国と敵対する国々の指導者の目的は、国民の幸福ではなく、個人の蓄財と権力の拡大であるから、彼らの(海外口座の)個人資産を締め上げれば簡単に米国にひれ伏す。

習近平国家主席、金正恩氏(右から)は全面降伏するのか

 孫子は「戦わずして勝つ」ことを最良の戦略としているが、まさに金融を中心とした「無血戦争」で、連勝を続けているトランプ氏は、そういう意味では歴代まれに見る策士の才能を持つ、もしくは優秀な策士のブレーンを持つ大統領なのかもしれない。

 そして、中間選挙でのトランプ氏の行く末がどうなろうと、長年準備されてきた「対中無血戦争」は、中国が全面降伏するまで延々と続くだろう。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】米対中国貿易戦争は単なる警告であり、前哨戦に過ぎない!本命は本格的な金融制裁(゚д゚)!

米国では、ドラゴンスレイヤー(対中国強硬派)ですら、中国と軍事衝突するのは現実的ではないとしています。となると、米国はこれからも、さらに貿易戦争を拡大していくことになります。実際、後もう少しで拡大できなくなる程度に拡大しています。

ただし、貿易戦争は米国にとっては、景気減速を招くこともめったにないです。米国の1930年の悪名高いスムート・ホーリー法による高い関税でさえ、大恐慌にせいぜい少し影響した程度です。中国も打撃を受けますが、それで現在の中共(中国という国という意味ではなく中国共産党という意味)が崩壊するほどのものにはならないことでしょう。


一方、国際的な金融混乱が経済への下押し圧力を強めた例には事欠かないです。大恐慌をはじめ、約10年前のリーマン・ブラザーズ破綻に至るまでそうです。

こうした危機は通常、民間セクターの暴走(リスクの高い国家や住宅購入者への過剰な融資など)を発端としています。ところが、触媒の役目を果たすのはどこかの政府の政策であることが多いです。

フランス政府による金の備蓄が大恐慌につながったたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のポール・ボルカー議長(当時)の徹底したインフレ抑制策が1980年代の中南米債務危機をもたらした例などがあります。

米政府はかねて、外国の危機を抑えることは米国の長期的な国益になるとみなしてきました。1982年と1995年にはメキシコに支援の手を差し伸べ、1997年にはアジア通貨危機を封じ込めるために国際通貨基金(IMF)と協力しました。2008年には住宅ローンによる金融危機の打撃を受けた国々の銀行を下支えするため、FRBが各国の中央銀行を支援しました。

米国が故意に経済的苦痛を与えるとき、それは戦略地政学的な理由によるのが普通です。そして可能な限り、同盟各国と協調して行動します。

最近では、ドル中心の銀行システムから北朝鮮とイランを締め出すことにより、両国に大きな打撃を与えています。ロシアによるウクライナ侵攻や米選挙への介入、英国在住のロシア元スパイとその娘の毒殺未遂などを受け、米欧が課した経済制裁はロシア経済に大きな混乱をもたらしています。

ここまで大きな制裁でなくても、米国は民間銀行にさえ金融制裁を課することがあります。マカオのバンコ・デルタ・アジア(匯業銀行)という銀行は、2005年9月、北朝鮮の資金洗浄に関与していることが発覚し、米国との送金契約が消滅、破綻危機に陥り国有化されました。

バンコ・デルタ・アジアのアジア本社

また、フランス最大の銀行であるBNPパリバは、2014年6月米国の制裁対象国との取引を理由に、1兆円近い制裁金支払いと為替関連取引の1年間の禁止を命じられ、大打撃を受けました。

米国にとっては、以前から金融は他国に対して制裁をするときにかなり有力でしかも手慣れたツールなのです。

超大国といわれるアメリカの一番の強さは、金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発します。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。

当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。

その後のベトナム戦争で、アメリカは戦費調達のために膨大な国債を発行し、戦争後は巨額の財政赤字に苦しみました。そして71年、当時のリチャード・ニクソン大統領によって金とドルの兌換停止が宣言され、ブレトン・ウッズ体制は終わりを告げました。いわゆるニクソン・ショックです。しかし、その後も世界の金融市場におけるアメリカの支配体制は続いています。

今も世界の債権の約60%はドル建てであり、当たり前ですが、ドルで借りたものはドルで返さなければならないです。つまり、各国の金融機関にとって、ドルが手に入らなくなるということは破綻を意味するわけです。

ドル支配体制においてドルが手に入らなければ、石油や天然ガスなど資源取引の決済もできなくなります。国によっては、国家破綻の危機に直面することにもなりかねないです。

世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。そうして、中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

だからこそ、中国はドル支配体制からの脱却を目指し、人民元の国際化を進めていました。IMFの特別引出権(SDR)の構成通貨入りも、そういった流れの中で推し進められたものだ。今年10月以降、人民元はSDRの5番目の構成通貨として採用される見込みであることが報道されたが、仮にSDR入りしても、ドル決済を禁じられてしまえば中国経済は破綻に追い込まれることになる。

資源を買うことができなければ、軍艦を出動させたり、戦闘機を離陸させることもできなくなり、これまでの「中国は今後も発展していく」という幻想は根底から覆されることになります。そして、その段階においても対立が融和しない場合、アメリカは金融制裁をさらに強めることになるでしょう。

ソ連が崩壊した直後のロシアでは、経済が低迷し哨戒機を飛ばす燃料にも事欠いた時期があった
写真はロシアの対潜哨戒機ツポレフ142M3

いわゆるバブルマネーによって、中国経済は本来の実力以上に大きく見られていますが、バブルが崩壊し、同時にアメリカが前述のような金融制裁を強めたら、どうなるでしょうか。当然、一気にこれまでの体制が瓦解し、中国は奈落の底に落ちることになります。

そうした構造をよくわかっているため、中国はアメリカのドル支配から抜け出そうとしていたわけです。アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(BRICS銀行)の創設を主導し、さまざまな二国間投資を推進することによって、アメリカに頼らない体制をつくりたがっていました。

その動きを必死に妨害しているのが日米であり、同時にインドやASEAN(東南アジア諸国連合)の各国も日米に連動するかたちで自国の権益を守ろうとしています。欧州の国々も中国に対する警戒心を強めています。

そういった世界の流れをみると、貿易戦争では米中対立には決着はつかないでしょうが、次の段階では金融戦争に入り、この段階では中国に軍配が上がる可能性はきわめて低いと言わざるを得ません。

その時に中国に残されている道は2つだけです。1つ目は、知的財産権を尊重する体制を整えることです。それは、口で言うのは容易ですが、実際はそんなに簡単なことではありません。

まずは、中国は民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現するために、徹底した構造改革を実行しなければなりません。これが実現できなければ、知的財産権など尊重できません。しかしこれを実行すれば、中共は統治の正当性を失い崩壊することになります。

もう1つの道は、厳しい金融制裁を課せられても、そのまま今の体制を保つことです。そうなると、経済はかなり弱体化し、現在のロシアなみ(韓国と同等の東京都のGDPより若干少ない程度)になってしまうことでしょう。

そうなると、中国は他国に対する影響力を失い、図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国家になり果てることになります。

これは、トランプ政権のみならず、ポストトランプでも米国議会が主導して実行され続けるでしょう。

米国の対中国貿易戦争は単なる中国に対する警告であり、前哨戦に過ぎないです。本命は本格的な金融制裁なのです。

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2018年6月17日日曜日

【田村秀男のお金は知っている】国連制裁ルールを守れ 強欲な対北朝鮮投資家に警告せよ―【私の論評】無制限の対北投資は、北を小中国にするという結果を招くことに(゚д゚)!

【田村秀男のお金は知っている】国連制裁ルールを守れ 強欲な対北朝鮮投資家に警告せよ

 「今や世界全体はお前がバカだと知ることになったぞ」-。シンガポール在住の著名投資家、ジム・ロジャース氏は12日、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が握手するや、ただちに日本の市民団体「アジア調査機構」の加藤健さんに対して、子供じみた電子メールを送り付けてきた。(夕刊フジ)

アジア調査機構の加藤健代表

 加藤さんは長年にわたって対北朝鮮国連制裁破りを調べ、各国政府や議会、国連に告発活動を続けてきた。対北投資を推奨するロジャース氏については、国連安保理、米財務省、さらに米上下院議員百数十人に不当だと訴えた。加藤さんは本人にも直接、警告した。

 ロジャース氏はかなりのプレッシャーを感じていたようだ。米朝首脳が「非核化で合意」したなら、今後は国際社会の対北経済制裁が緩和され、西側からの対北投資のチャンスになる。どうだ、俺の投資判断は正しい、とうれしさ爆発というわけだ。

ジム・ロジャーズ 写真はブログ管理人 挿入

 軍事国家北朝鮮の国民生活は犠牲にされ、インフラ、産業設備も老朽化が激しい。しかし、戦前に日本の朝鮮総督府が調べたデータによると、北朝鮮の鉱物資源は極めて豊富である。金、ウランなど希少金属にも恵まれている。それに着目した有象無象の投資家や企業が対北投資のチャンスを狙ってきた。

 ロジャース氏の他にもっと「大物」の仕掛け人が西側にいる。最近は鳴りを潜めているが、英国の投資家、コリン・マクアスキル氏が代表例だ。英海軍情報将校上がりの同氏は1970年代から北朝鮮産の金塊をロンドンで商い、87年には対外債務不履行を引き起こした北朝鮮の代理人となって西側民間銀行と交渉した。2006年からは北朝鮮の隠し口座のあるマカオの銀行BDAを対象とする米国の金融制裁解除に向けマカオとワシントンの当局と交渉、解決した。

 08年にブッシュ政権(当時)が北に対するテロ支援国家指定解除に踏み切ると、大型の対北投資ファンドを準備したが、その後の情勢緊迫化とともに休眠に追い込まれた。昨年には韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権に接触を試みるなど、活動再開の様子だ。

 米欧系投資ファンドに対し、対北投資の主役の座を狙うのは韓国と中国だろう。中国は、地政学的利益の点からも北への開発投資での主導権に固執する。グラフは中国の対北投資と貿易の推移だが、投資面では12年をピークに急減している。金正恩氏が亡父、金正日(キム・ジョンイル)氏の権力を継承したのが11年末で、13年12月には中国資本の導入に熱心だった叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清した。


 米朝首脳会談開催決定後、中国の習近平国家主席が停滞してきた対北投資の再活性化をめざすとの期待が中朝国境地帯に高まっている。遼寧省の丹東市の不動産価格はこの数カ月で2倍になったという。

 核・ミサイルばかりでなく、横田めぐみさんら拉致問題の全面解決を最優先すべき日本は毅然として、ムード先行の強欲な対北投資・貿易には、国連制裁ルール厳守を求めるべきだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】無制限の対北投資は、北を小中国にするという結果を招くことに(゚д゚)!

この記事の冒頭の田村氏の記事のように、このブログでも昨日無制限に北に投資をすることを懸念する記事を掲載しました。

その懸念とは、民間だろうが、日本政府のものであろうが、無制限に投資を続ければ、北は拉致問題はもとより、核廃棄やその他の約束を破る可能性があることです。

さらにその先にあるのは、民主化も、政治経済の分離も、法治国家化も不十分なまま、国家資本主義的に経済だけが肥大してしまうことです。

そうして、これは人口等の規模は違うものの、現在の中国のような体制です。まかり間違って、北がまともな体制をとらないまま、韓国なみの経済をもしくはそれを上回るような経済を身につければ、それはまさに小中国です。

これは、全く荒唐無稽な話ということもないと思います。半島の歴史を振り返ると、北朝鮮と、韓国が独立したばかりの頃は、北のほうが多く日本の産業基盤を引き継ついだ一方、韓国の当時の主要産業は農業であり、北のほうがGDPは大きかったということがあります。

韓国のほうが、北の経済を上回るようになったのは、1970年代からのことです。そうして、これは日韓基本条約による日本からの韓国への大規模な支援によるものが大きいです。さらに、北には鉱物資源がかなり豊富です。このようなことから、北が再び韓国の経済を上回るということはあり得ることです。

そうして、その小中国は現在の中国のようなことを実行する可能性もあります。

中国の場合は、広大な陸に囲まれていてまわりにたまたま蒙古や東トルキスタン、チベットなどの軍事的には強くない国々があったので、これらの国々の領内に侵攻しました。

北の場合は、北は中国に、南には韓国が控えており、西東は海です。そうなると、はやい時期から、海洋進出をする可能性があります。まずは、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件で有名になった延坪島に侵攻するかもしれません。

延坪(ヨンピョン)島砲撃事件

その後は日本の南西諸島や、台湾などにも目をつけるかもしれません。そうすると、日本は小中国による第二の尖閣列島事件に巻き込まれるかもしれません。また、台湾本島は無理にしても、台湾の領海内には金門砲戦でも有名になった金門島などの島々もあります。

ただし、このようなことが起こったとしても、無論来年や再来年ということではなく、10年後かもっと先ということになるかもしれません。

その頃には、現在の中国は、米国からの貿易戦争や、国内経済の低迷で、かなり力を落としていて、それでも台湾は中国の一部と主張していても、結局何もできず、北の好き放題にされるということもあり得ます。

北朝鮮に無制限に民間企業などが、投資を実施するということにでもなれば、いずれこのようなことになりかねないのです。

とにかく、何が何でも半島に小中国ができることは、避けなければなりません。これを防ぐためには、北が経済成長をしたいというのなら、昨日も述べたように、まずは北が自身で民主化、経済と政治の分離、法治国家化を実施することにより、中間層の社会活動を活発化させる必要があります。

そこである程度経済を自力で大きくすることができれば、海外からの北への投資もある程度自由にできるようにするというような措置が必要です。

しかし、そのようなことをすれば、北の社会は、現在の金王朝体制とは相容れない社会となります。そうなれば、金正恩体制は崩壊せざるを得ません。国民が許せば、イギリス王朝のような形で残る可能性もありますが、歴史の短い金王朝にはそれは困難であると考えられます。おそらくは、ソ連への亡命ということにかもしれません。

現在は、19世紀ではなく、21世紀なのですから、これは当然といえば当然なのかもしれません。

とにかく、現在の金王朝体制は、金正恩が米国側につき、米国の対中国戦略の駒として北が動いている限りは暫くは持ちこたえることでしょう。米国から見れば、毒を持って毒を制するということです。

金王朝を象徴する金日成と金正日の巨大像

それにしてもそのまま続くことはなく、数十年のスパンでみれば、必ず崩壊することになります。

現在の米国においては、過去の米国の対中国戦略は間違いであったことが明らかになっています。過去の戦略の前提は、中国が経済発展さえすれば、いずれ米国や他の先進国なみに、民主化、政治と経済の分離、法治国家化するであろうというものでした。しかし、それは、数十年の年月を経ても成就しませんでした。

そうして、それは今日ではすっかり間違いであったことが明らかになりました。現在の中国は、南シナ海を実効支配したり、一対一路で中国の価値観を世界におしつけようとしたりで、米国の価値観と真っ向から対決するようになりました。

こうした苦い経験を持っている米国政府は、北朝鮮が小中国になることは絶対に許容しないでしょう。比較的はやい段階で、北にある程度の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を迫ることになるでしょう。

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2018年2月10日土曜日

【社説】わずか5分で退席したペンス米副大統領の警告=韓国(中央日報)―【私の論評】すっかり外交音痴が暴露された文在寅は訪朝すれば完璧に日米から見放される(゚д゚)!


ペンス副大統領
懸念していたことが起きた。それも最も輝くべき平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)開会式の直前にだ。韓米同盟の隙間を見せる事件が昨日晩、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が海外貴賓を対象に主催したレセプション行事で発生した。ペンス米副大統領は文大統領の歓迎行事に現れなかったうえ、レセプション場にも遅く到着した。続いて文大統領との記念写真を別の空間で行い、やむを得ず入ったレセプション場をわずか5分で出ていった。メインテーブルに用意された自分の席には座ることもなく、金永南(キム・ヨンナム)北朝鮮最高人民会議常任委員長とあいさつも交わさなかった。韓国政府が期待した朝米の「接触」は実現しなかった。

ペンス副大統領は訪韓前から「北朝鮮が五輪のメッセージを乗っ取ろうとしている(hijack)」と懸念を表していた。北朝鮮が非核化に誠意を見せず「微笑攻勢(a charm offensive)」を展開する偽装平和ショーをするという指摘だった。今回の訪韓には北朝鮮の拷問で亡くなったオットー・ワームビアさんの父を同行させ、強硬な対北朝鮮基調を維持した。昨日の開会式出席直前の日程も韓国哨戒艦「天安」展示館の訪問および脱北者との面談であり、北朝鮮の好戦性と極悪性を浮き彫りにすることに注力した。脱北者に会った席ではトランプ米大統領が北朝鮮を「監獄国家(prison state)」と述べたと紹介し、「北朝鮮は自国民を収監し、拷問し、飢えさせる残忍な政権」と伝えた。

問題はペンス副大統領がわずか5分で退席するほど激しい反応を見せた点だ。「米国は北朝鮮と対話しない」という立場表明と同時に韓国に対しても強い警告を送ったと読み取ることができる。まだ北朝鮮から非核化に関するいかなる話も聞いていない状態だ。なのに「白頭血統」金与正氏との会談を準備するなど、韓国政府が過度に南北対話にこだわっているという不満とみられる。朝米の接触を意図的に演出しようとした韓国政府に対する不快感でもある。南北の和解と対話、さらに北朝鮮の非核化は、韓米が確実な協力の中で推進する場合に限り動力を得る。ペンス副大統領の警告を重く受け止める必要がある。

【私の論評】すっかり外交音痴が暴露された文在寅は訪朝すれば完璧に日米から見放される(゚д゚)!

ペンス副大統領は当初、北朝鮮代表団と動線が重ならないようにしてほしいと韓国政府に要請しており、このレセプションでも金永南氏と同じテーブルに就くことはできないとの意向を事前に伝えていました。

これは、先日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
[平昌五輪]韓国政府「万景峰号に食事や燃料、電気を提供」―【私の論評】この件で日米は文在寅にさらに圧力をかけやすくなった(゚д゚)!
02年、釜山アジア大会の応援団を乗せて釜山の多大浦港に入港する万景峰92
(資料写真)=(聯合ニュース)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ペンス副大統領に関する部分のみ以下に引用します。
米国のペンス副大統領は2日(現地時間)「(北朝鮮に対する)戦略的忍耐の時代は終わったという簡単で明瞭なメッセージを伝えるため(平昌)オリンピックに行く」と発言したました。ペンス副大統領は平昌冬季オリンピックの開会式に米国選手団幹部らを率いて出席します。 
ペンス副大統領は米ペンシルベニア州ピッツバーグで行った演説で「新しくなった米国の力で米国政府は北朝鮮を以前になかったほど孤立させるという真の成果を出しつつある」とした上で、上記のように述べました。ペンス副大統領は「北朝鮮が弾道ミサイル実験を続けて米国を脅迫する時、われわれはあらゆるオプションがテーブルにある事実を明確にするだろう」とも明言しました。 
一方でペンス副大統領は韓国大統領府に対し、オリンピック開会式前後のさまざまな行事で北朝鮮関係者と鉢合わせしないよう特別な配慮を求めたといいます。北朝鮮との対話には一切応じない考えを明確にするためです。
ペンス米副大統領は6~10日、日本と韓国を訪問します。韓国では平昌冬季五輪の開会式に出席。北朝鮮が五輪参加を機に韓国に融和攻勢を仕掛ける中、安倍晋三首相や韓国の文在寅大統領と会談し、北朝鮮に核放棄を迫る圧力路線で3カ国の結束を誇示する構えです。
米国は五輪参加を巡る南北対話を歓迎しながらも、北朝鮮が米韓同盟の分断を図るのを警戒。国務省の報道担当者は「南北関係の改善は北朝鮮の核問題解決と切り離して進めることはできない」と強調しており、融和姿勢の文氏に制裁緩和に走らないようくぎを刺す狙いもあります。
9日の開会式に出席する米側の代表団はペンス氏のほか、在韓国連軍司令官と在韓米軍司令官を兼ねる現職のブルックス氏など。代表団に軍人を加え、米国のプレゼンスを国際社会に示す狙いがあるとみられます。
韓国政府関係者は「出席してくださればうれしいという話は伝えていたが、ペンス副大統領は出席しなかった」と言っています。このため、米朝対話を進めてきた韓国政府の構想に支障が出ることも避けられなくなりました。

これに先立ち、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹・金与正(キム・ヨジョン)同党中央委員会第1副部長や金永南氏ら北朝鮮の高位級代表団は同日、金正恩委員長の専用機で訪韓し、平昌五輪開会式に出席など2泊3日の日程に入りました。

金与正氏は開会式で文大統領と握手し、10日には大統領府で他の北朝鮮首脳とともに文大統領と昼食を共にしました。

韓国大統領府で文在寅大統領(左端)との会談に臨む
北朝鮮の金与正・朝鮮労働党第1副部長(右手前)ら
韓国大統領府によると、この日の首脳級会談で北朝鮮側は金正恩氏の親書を手渡し、文氏の早期訪朝を要請。南北首脳会談を呼びかけました。

会談は昼食を含め約2時間50分行われました。大統領府によれば、金正恩氏は親書で南北関係改善への意思を表明。文氏は訪朝招請に対し「今後、条件を整え実現するようにしよう」と述べる一方、北朝鮮側に「南北関係の発展には早期の米朝対話が必要だ」と伝えました。

会談では朝鮮半島の平和と和解の雰囲気を維持し、南北の対話や協力を活性化していくことで一致しました。南北首脳会談が実現すれば2007年以来で3回目。金正恩体制下では初めてとなります。

一方、大統領府関係者によれば、会談では南北双方ともに核問題について言及はなかったといいます。

金永南氏は北朝鮮の序列2位で憲法上、国家元首の役割を担う。金日成主席の直系親族の訪韓は金与正氏が初めてで、朝鮮戦争(1950~53年)以後に訪韓した者の中では、最高クラスの人物。文政権は五輪開会式に続き、2人を「首脳級」として招きました。

文氏は金与正、金永南両氏の訪韓をはじめ五輪への北朝鮮の参加を、核・ミサイル問題の解決に向けた南北対話の契機にしたいと考えています。

北朝鮮の核・ミサイル開発への懸念が強まるなか、文氏の訪朝に米国が難色を示すのは必至です。にもかかわらず、金正恩氏からの訪朝要請を機に、文在寅政権が南北対話を本格させる可能性も否定できません。
文在寅は、外交の重みを全く理解していないようですが、それを本人自身が告白しています。
文大統領「国政で外交の比重がこれだけ高いとは知らなかった」  Chosun Online
  文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日、「以前は外交が国政に占める比重がこれだけ高いとは知らなかった。平昌冬季五輪が行われる最近になって外交が本当に重要であることに気付いた」と語った。文大統領は同日、大統領府で新任大使9人に信任状を授与し、「平昌五輪の成功が第一の課題だが、その後も外交的成果を続けてこそ初めて、我々の未来が開かれる」と言った。文大統領はまた、カナダのジュリー・ペイエット総督、リトアニアのダリア・グリバウスカイテ大統領とそれぞれ首脳会談を行った。
イ・ミンソク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
それにしても、文在寅の外交は、事実上完璧に破綻しています。この様子だと文在寅は北朝鮮を訪問するかもしれません。それこそ北朝鮮の思う壺です。

この有様では、私がこのブログに以前から主張していたように、日米の対北朝鮮対応については、韓国は蚊帳の外に置かれることになるでしょう。

たとえ、米国が北を軍事攻撃することになったとしても、韓国に事前に伝えることはないでしょう。もし、伝えれば、その情報がすぐに北に伝わりかねないからです。

それに限らず、半島有事の際の在韓米国人、在韓邦人の救出などの情報も韓国側には伝えることはできなくなりました。下手に伝えると、北朝鮮側に利用され、「人間の楯」にされかねません。計画段階から、実施状況まで完璧に知らせることはできません。

この状況をみると、以前私がこのブログで主張したように、米国は北有事が現実のものとなり、米国が北を軍事攻撃した後には、半島全体の新秩序を樹立する方向に進まざるを得なくなるかもしれません。
【日韓合意検証発表】交渉過程の一方的公表を韓国メディアも批判「国際社会の信頼低下」―【私の論評】北だけでなく朝鮮半島全体に新レジームが樹立されるかもしれない(゚д゚)!
韓国のテレビで放送された、北崩壊後の韓国も含めた複数国家での分割統治の予想図
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このブログでは、「北の後には、韓国を何とかしなければならないという機運は、日米中露の間で高まるのは間違いないものと思います。ただし、これはすぐにということではなく、北朝鮮崩壊後数年から10年後ということになるかもれしない」ことを予想してみました。

結局、北が崩壊するか、制裁に屈服するかして、北の運命が定まった後には、半島全体の新たなレジームづくりの機運が日米中露の間で高まり、その方向に進むことになるかもれしないことを主張しました。

もし、文在寅が北朝鮮訪問ということになれば、当然のことながら日米からは蚊帳の外に置かれるようになり、北崩壊の後には、朝鮮半島全体の運命が、韓国などおかまいなしに日米中露で定められるようになるかもしれません。

最近の韓国の動きを見ていると、このようになってもおかしくはないと益々思うようになりました。もし、北が崩壊して、韓国をそのままにしておけば、北の残党などと結びつき、とんでもない方向に走ることが懸念されます。

【私の論評】

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2017年11月18日土曜日

潜水艦の時代は終わる? 英国議会報告書が警告―【私の論評】水中ドローンが海戦を根底から覆す(゚д゚)!


大量のドローンから潜水艦は逃げられない

海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」
 質・量ともに圧倒的な中国の軍拡と、自衛隊の予算・人員の無駄遣いによって、日本の対中軍事優位性が日々減少している。そうした中、残された数少ない対中優位性の1つが日本の潜水艦戦力である。中国は対潜水艦作戦能力が低く、一方、日本の潜水艦は静粛性が高いので、日本がこの点では有利というわけだ。

 しかし、英国のシンクタンクが議会の要請に応じて作成した報告書によれば、小型偵察ドローンが潜水艦の優位性である「ステルス性」を無力化していく可能性が出てきているという。今回はその内容を紹介しつつ、意味するところを論じたい。

何千もの無人機が潜水艦を探索

2016年3月、英国の英米安全保障情報会議(BASIC)は、科学ジャーナリスト、デイビッド・ハンブリング氏による「対潜戦における無人兵器システムの網」と題する報告書を発表した。報告書の作成を求めたのは英国議会である。英国が潜水艦型核ミサイルシステムを維持すべきかどうかを検討する材料として用いるためだった。

 ハンブリング氏の報告書の概要は、以下の通りである。

 これまでの「対潜水艦戦」(以下、ASW)は、少数の艦艇および有人機によって実行されていた。これらの仕事は、広大な荒野で逃亡者を探す少人数の警察のようなものだった。最も可能性の高い逃走ルートや隠れ家に戦力を集中させて、幸運を祈るだけであった。

 しかし、安価な無人機の登場によって、逃亡者の逃走は不可能になる。一人ひとりの探知能力は低いものの何千人もの応援が警察の側につき、隅から隅まで全域を探索するようになるからだ。

 小型偵察ドローンが米軍を中心に増加している。精密攻撃が可能な小型無人機もイスラエルなどで登場してきている。

 しかも最近の米国防総省は、大量の小型ドローンを「群れ」として使う研究を進めている。例えば、米海軍は「コヨーテ小型偵察無人機」というASW対応の小型無人機を開発した。コヨーテ小型偵察無人機は哨戒機から投下されるや飛行形態に変形し、熱センサーで水温を測定し、風速・圧力などの様々なデータを収集可能する。

 そもそも偵察機を飛ばす必要はなくなるかもしれない。米海軍が開発した小型水上無人機「フリマ―」は、今までASWの主力であったソノブイ(対潜水艦用音響捜索機器)の代替になる可能性がある。

 また、やはり米海軍が開発した「セイル・ア・プレーン」は、飛行機であると同時に偵察時は水上で帆を使って帆走し、太陽発電と波力発電で充電できる偵察機である。

 水中グライダー式の小型無人機もある(水中グライダーは推進機を持たず、浮力を調整することで水中を上下しながら移動する)。大阪大学の有馬正和教授が開発した「ALEX」は低コストの水中グライダーである。有馬教授は、1000ものALEXのような無人機の群れで構成される巨大な共同ネットワークで海洋研究調査を行うことを提唱している。

 なお、現在、水中グライダー研究でもっとも重要な国は中国である。中国は世界初の水中無人グライダー「シーウィング」を瀋陽研究所で開発している。また天津大学のプロジェクトでは、リチウム電池により年単位で稼働するとされる水中グライダーを開発した。西安工科大学も、波力発電で稼働する水中グライダーの開発に成功している。

 しかも問題なのは、近年は水中センサーの発達が目覚ましく、小型無人機がソナー、磁気探知、熱センサー、光センサー、レーザー探知装置など、あらゆるセンサーを搭載できるようになったことである。しかも、米中が開発しているタイプはいずれも何時間、何日も行動可能だからである。

 現在の「コヨーテ小型偵察無人機」の稼働時間は90分だが、燃料電池技術の進捗によりこれは近い将来に5倍になるだろうし、そのほかの技術は無限に小型無人機の飛行時間を延ばすだろう。例えばいくつかの小型ドローンは既に太陽発電や波力発電機能を備えており、80時間以上の飛行に成功したタイプもある。これは昼夜連続で飛行できるということである。また、海鳥が何千時間も連続飛行するメカニズムを応用し、風速を利用した研究も進んでいる。

きわめて遅れている日本のドローン対策

以上のハンブリング氏の論考は一体なにを意味しているのだろうか。

 それは、「National Interest」誌のマイケル・ペック氏が指摘するように、「高コストで壊れやすい潜水艦」と「低コストな小型無人機の群れ」という兵器システム間における争いが起こりつつあるということだ。

 この争いで、潜水艦が優位性を保つのは難しい。例えば、ヴァージニア級攻撃型原潜の価格は30億ドル(約3386億円)だが、小型無人機は5000ドル(約56万円)、30機の群れでも15万ドル(約1680万円)にすぎない。しかも、ヴァージニア級潜水艦は撃沈させられると乗員134名の被害が出るが、小型無人機は何機叩き落されても人的損失は出ない。どう見ても、中長期的に潜水艦システムが費用対効果で不利なのは間違いない。

 そして、これは我が国にとっても深刻な影響をもたらす。海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来るかもしれない、ということだ。

【私の論評】水中ドローンが海戦を根底から覆す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、ドローンと表現していますが、これに関してはシーグライダーという名称でこのブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。これをご覧いただければ、いわゆる小型の水中ドローンのイメージがつかめると思います。
中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」―【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?
さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていない(ブログ管理人注:数ヶ月から数年空中を飛び続けるドローンという意味)のですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。
分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。
シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。
さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。
シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。
現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用 (ブログ管理人注:当時の計算であり、現在はもっと安価に作成可能)がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる有人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。
ブログ冒頭の記事では、日本がこのような水中ドローンを開発していることは全く触れられていませんでした。おそらく、これは軍事目的のものではないので、 日本では全く開発されていないかのような報道になってしまったのだと思います。

しかし、ドローンに積載する観測装置などを軍事用に変えればすぐにも軍事用にも使えます。それを考えると、日本のドローン対策が極めて遅れているとはいえないと思います。

それに、ブログ冒頭の記事では、海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来るかもしれないなどとして、脅威を煽っていますが、一つ忘れていることがあります。いくら、ドローンで探査が簡単になったとはいえ、ソナーなどの観測装置が優れていないと、潜水艦の発見は難しいです。

ソナーに関しては、日米のほうが中国より未だかなり勝っていますから、すぐに「海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来る」わけではありません。それよりも、ステルス性にかなり劣る中国の潜水艦のほうが先に発見されて、攻撃される可能性のほうが高いです。

さらに、掃海能力は日本は世界一です。掃海とは機雷などを除去することです。これは、以前このブログでも掲載したことがあります。水中ドローンなども掃海できるようになれば、日本にとって中国の水中ドローンの脅威も取り除ける可能性が高いです。一方中国の掃海能力はかなり低いので、日本が軍事ドローンを開発した場合、それを掃海することはできないでしょう。

ちなみに、海自は、すでに水中航走式機雷掃討具「S10」や機雷処分具「S7」といった水中無人機を使用して、掃海を行っています。これは、機雷を除去するための水中ドローンです。

日本の掃海母艦「うらが」
しかし、かつて大艦巨砲主義の時代から、航空機と航空母艦の時代に変わったように、現在兵器にもかつてないほどの大きな変化が起こりつつあることは認識しなければならないでしょう。

確かに、いずれ現在の潜水艦の任務のほとんどを水中ドローンが果たす時代がくるかもしれません。ドローンそのものが魚雷や爆雷になっているとか、偵察用ドローンと、攻撃用ドローンが共同するということも考えられます。そうなると、かつての潜水艦はいらなくなるのかもしれません。

水中ドローンだけではなく、空中のドローンのほうも、数ヶ月から数年も空を飛び続けることができるようになることでしょう。実際、Googleが数ヶ月空を飛び続けるドローンを開発中です。

Googleが太陽光で発電して自動飛行する大型のドローンの飛行試験をしています。このドローン飛行試験のプロジェクトは「Project Skybender」と呼ばれており、ミリ波による通信試験も並行して行っている模様です。

Googleが開発中の太陽光で発電して自動飛行する大型のドローン
運送用のドローンを開発していることでも知られるGoogleですが、Skybenderプロジェクトでは4Gの最大40倍高速な5Gの超高速モバイル回線をミリ波を使って空から提供することを狙っていると考えられています。

このようなドローンも軍事転用できます。軍事転用すれば、たとえば、日本であれば、常時数機の軍事偵察用のドローンを空中に待機させ、迎撃や地上のミサイルと連動すれば、北朝鮮のミサイルを常時迎え撃つ体制を築けます。

また、中国の尖閣への空域侵犯にも素早く対応できます。日本列島のまわりに、水中ドローンや空中ドローンを常時待機させて、それらを従来の海軍力と空軍力と結びつけることができれば、かなり防衛力が増すことが期待できます。

また、攻撃型空中・水中ドローンを開発することができれば、さらに防衛力を増すことができます。特にこれは、北朝鮮には有効です。北朝鮮は、防空能力や、対潜哨戒能力などほどゼロに等しいといわれています。狙った目標をかなりの確率で攻撃する事が可能になります。尖閣などを狙う中国に対しても有効です。

潜水艦や航空母艦は今でも有効な兵器ですが、いずれその優位もゆらぎ新たな時代に入ります。航空母艦は今でもステルス潜水艦に簡単に撃沈されてしまう恐れがあります。

地上から発射できる対空ミサイルによって、かつて航空兵力は存在意義を失いました。地上から発射できる比較的安価なミサイルによっても撃墜されるようになったからです。

かつて、敵が対空ミサイルを装備しているとの想定の軍事訓練行ったところ、敵地を攻撃した戦闘機のパイロットは一回の攻撃で、全員が平均で6回から7回も撃墜されたというシミレーションの結果がでた程です。

地上の対空ミサイルの発達によって、戦闘の様相が全く変わってしまったのです。このようなことから、先進国は脅威を感じ、ステルス戦闘機の開発に走り、今日に至っているのです。
携帯型地対空ミサイルM171ショルダー・ランチャーを構える兵士
水中ドローン、空中ドローンの発展はこれに似たようなことになるかもしれません。陸戦においても、小型ロボットが人のかわりをするようになります。

オスプレイや、F35など、数機購入することをやめて、このようなドローンの研究開発に振り向ければ、日本は十分に開発できる能力をもっています。

また、かつて日本の空母打撃群による攻撃や島嶼攻撃が、米軍の手本になったように、これにより日本が再び軍事力で世界の手本となれるチャンスかもしれません。高性能のドローンを開発し、それらを既存の兵力と組み合わせることにより、従来にはなかった高度な軍事力を開発できる可能性があります。

いずれにせよ、水中ドローンが海戦を根底から覆すのも間近になった今日、これから兵器に対する考えを根本的に改めなければならなくなったことだけは確かなようです。

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2017年8月9日水曜日

【北ミサイル】北朝鮮が「グアム周辺に火星12を発射」と米トランプ政権に警告 小野寺防衛相名指しで「日本列島を焦土化できる」とも―【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!


「火星14」発射の様子
北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍は、北朝鮮に対するトランプ米政権の軍事的圧迫を非難し、中長距離弾道ミサイルと称する「火星12」で「グアム島周辺への包囲射撃を断行する作戦案を慎重に検討している」と警告する報道官声明を発表した。朝鮮中央通信が9日、伝えた。

 声明は、作戦案が間もなく最高司令部に報告され、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が決断を下せば「任意の時刻に同時多発的、連発的に実行されるだろう」と主張。米国に「正しい選択」をし「軍事的挑発行為を直ちにやめるべきだ」と迫った。

 トランプ政権が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行ったり、戦略爆撃機を韓国に飛来させたりしていることに反発したもので、爆撃機の出撃基地のあるグアムをけん制して警告を送るためだとしている。火星12は、5月に試射され、グアムに届く5千キロ前後の射程があると推測されている。

 朝鮮中央通信は9日、「敵基地攻撃能力」保有の検討に言及した小野寺五典防衛相や、安倍晋三首相を名指しで非難し、「日本列島ごときは一瞬で焦土化できる能力を備えて久しい」と威嚇する記事も報じた。

【私の論評】北朝鮮の脅威が顕著になると、円高になるのはなぜ(゚д゚)!

北朝鮮で有事が発生し、日本にミサイルが飛んでくるかもしれない事態になったと普通に考えるとこれは、日本にとってはマイナスな出来事ですので、ドルが買われて、円が売られる円安になるのではと思われます。

しかし、現実にはそうではありません。本日もブログ冒頭の記事のよう似、北朝鮮の危機が有るにも関わらず、円相場は上昇しました。

東日本大震災
東日本大震災の時には、日本は大きな打撃を受けたにもかかわらず、円高になり、G7の国際協調による為替介入を招く事態になりました。

実は、日本にマイナスな東日本大震災の時にも円高になったときの理由は、以前にもこのブログに掲載したように、震災からの復興のため、復興のための資材を購入したりするため、円の需要がかなり高まったためです。

そうして、このようなことは、先進国では良くあることです。実際、東日本大震災の少し前に、オーストラリアで大水害が発生したましたが、このときもいっときオーストラリア・ドルが高騰しました。

ご存知のように、その後も円高が続きましたが、それは、円の需要が高まって円高傾向になったにもかかわらず、当時の日銀が金融緩和をせず、引き締め状況を維持したからです。2013年からは、大規模な金融緩和に踏み切ったため、それまでの超円高は是正され、円安傾向となりました。

金融緩和すれば、通貨安傾向に、金融引締めをすれば、通貨高傾向になります。為替相場は、六割がたはこれで説明がつきます。

簡単に言うと、米国が金融緩和をして、日本が金融引締めをすれば、ドル安、円高傾向になります。米国が金融引締めをして、日本が金融緩和をすれば、ドル高、円安傾向になります。

米国も、日本も金融緩和をしていれば、より量的な金融緩和の度合いが高いほうの通貨が安くなります。

そうなると、金融緩和をどんどん実施すれば、自国通貨をかなり安くできて、有利になると思われる方もいらっしゃるかもしれまんせんが、これにも限度があります。

どこまでも、金融緩和を続ければ、いずれハイパーインフレを招き、良いことはありません。だから、緩和を続けて自国通貨を安くするという、通貨戦争なる幻想はなりたちません。

日本銀行
これで、為替は6割りがたが決まってしまいます。そうして、長期的には通貨高、通貨安はこれが原因でほとんどが決まります。ただし、短期的には、様々な要素があるので、後の4割は、他の要因で決まるわけです。

しかし、今回の北朝鮮の脅威に関しては、特に日銀が北朝鮮の脅威に対応して、金融政策を実行しているわけではないにもかかわらず、北朝鮮の脅威が顕著になったときには、実際には円高傾向になっています。これは、日銀の金融政策とは関係のない動きです。ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは、大きく3つの理由によると考えられます。

①機関投資家や海外投資家のポジション解消のため
②株価下落による海外投資家の為替ヘッジのため
③日本企業や投資家などのリパトリのため

1つずつ解説したいと思います。

円高理由その1 機関投資家や海外投資家のポジション解消
最初の円高になる理由は、リスク高まったときにおこる機関投資家や海外投資家のポジション解消の動きです。 
大きなリスクがあるときは、相場がどちらに振れるかわからないために投資家がポジションを解消してフラットにする動きが活発になります。 
トランプ政権下で円安ドル高の傾向が高かったためにドル買いのポジション持っている人が多くいて、その投資家たちがポジション解消するとドル売り円買いになり、円高になるということです。
円高理由その2 株価下落による海外投資家の為替ヘッジ
北朝鮮で有事が起こった場合は、まず間違いなく日本株が下落することが予想できます。 
その際に日本市場特有の海外投資家の取引割合が6~7割という特殊性で海外投資家の動きがドル円為替にも波及してきます。 
海外投資家が日本株を買う場合は、自国の通貨から日本円に両替して日本株を買います。 
その際に為替変動のリスクがあるために同時に日本円の売りを行います。いわゆる為替ヘッジと呼ばれるもので、日本円に両替する=日本円を買うという行為を行う場合に反対の注文の日本円を売るという取引をすることによって、為替リスクを避けるというものです。 
株価が下落した場合は、株を売る際に日本円を売るという注文を解消し、日本円を買うことになります。 
株が下落すると日本円を買う注文が入り、円高になるのです。 
さらに海外投資家が、日本株を買う場合は、レバレッジを利かせて日本円を売る注文を出します。 
株価が下落した場合は、証拠金を積み増して、ロスカットを防ぐために円買いを積み増すことも起こります。 
このように日本の株価が下落した場合に海外投資家の為替ヘッジの動きのために円高になるのです。
円高理由その3 日本企業や投資家などのリパトリ
リパトリとは、リパトリエーションの略で企業や投資家が海外から本国に資金を引き揚げることを指します。 
東日本大震災の際にも保険金の支払いなどで保険会社が海外資産の一部を日本円に買える動きが出ています。 
日本に打撃があった場合は、日本で必要なお金を集めるために海外の資産を日本円に変える動きが出てきます。 
その場合も日本円が買われて、円高傾向になります。 
東日本大震災の時には、先に述べたように、円の需要が高まったにもかかわらず、日銀が金融引締めの姿勢を崩さなかったことが、円高の主要因であったことを述べました。 
それと同時に、このリパトリを先読みしてのヘッジファンドなどの円買いが入り、さらに円高に拍車をかけました。 
北朝鮮の脅威が高まると、円高になる理由として上記の3つの動きがあると思われます。ただし、短期(1年以内)の為替はほとんどがランダムウォークであり、予測は困難です。

北朝鮮有事が起こる確率は極めて小さいと思いますので、1994年や2003年のように米国側が攻撃をあきらめるというシナリオが一番ありえそうですが、最悪のシナリオを想定しておくのも重要なことだと思います。

最後にアナリストでも意見が分かれていますので、北朝鮮有事の際に円高になるか円安になるか予想した記事を一覧にします。

私が調べた限りですので、抜け漏れ等はありますが、参考にしてください。

○円高予想

・ロイター:コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏

・日経新聞:北朝鮮有事で円高どこまで 豊島逸夫の金のつぶやき

・Newsweek 「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で

・MONEY VOICE 北朝鮮の隣なのに安全通貨?「無慈悲な日本円買い」はなぜ起こるのか=久保田博幸

○円安予想

・ロイター:コラム:朝鮮半島有事の「日本売り」シナリオ=斉藤洋二氏

・SnkeiBiz:最悪なら「円安」シナリオも…迫る「Xデー」 朝鮮半島有事で日本経済どうなる

・フィスコ:【市況】【フィスコ・コラム】:円:北朝鮮リスク、円はどちらに動くのか?

アナリストの記事では、円高のほうが若干多いようです。私も、その立場をとります。なぜなら、北朝鮮有事の場合でも日本が甚大な被害を受けなければ、上記で述べたようなことが繰り返されることになるからです。

さらに、このようなことはあってはならないことですが、実際に核ミサイルが日本の都市に落とされたとして、現状の北朝鮮の核では大都市の場合は、たとえ、北朝鮮が全部の核を打ち込んでも全部を破壊することは不可能であるため、かなり大きな被害にあったとしても、日本国のインフラなどの大部分は残り、いずれ復興に入るはずです。

そうなれば、東日本大震災のときと同じく、円の需要が増し、当然のことながら、円高となります。

その時に、日銀が金融緩和をすれば、円高を防ぐことができます。東日本大震災あたりまでの、日銀はしょっちゅう金融政策を間違えていましたが、13年頃からようやくまともになりました。北の脅威が顕著になれば、円高にふれることはわかりきっているので、今後はまともな政策を実行していただきたいものです。

それにしても、国家破綻に近かった、ロシア危機や韓国通貨危機、アルゼンチンのデフォルト時には、当然のことながら超通貨安に悩まされました。

日本の場合は、国家が破綻するほどの災厄に見舞われれば別ですが、そうでなければ、円高にみまわれるということですから、いかに日本が強固な基盤の上に成り立っているのか良くわかります。

北朝鮮ウォンなど、今でも価値が低いですが、北有事ということにでもなれば、国際的には紙くず同然になるものと思います。

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