2019年7月7日日曜日

対韓輸出規制を強化したが…まだ「カネ」のカードも温存 何でもやるのが国際交渉だ ―【私の論評】日本しか製造できないものは多々存在、習近平とって韓国制裁は対岸の火事ではない(゚д゚)!


G20大阪サミットで、握手した後、すれ違う韓国の文在寅大統領(手前)
と安倍首相=28日、大阪市

日本政府は半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理体制を強化する方針を発表した。これがどのような影響をもたらすのか。

 新聞各紙の社説はハッキリ分かれた。産経新聞は「対韓輸出の厳格化 不当許さぬ国家の意思だ」と日本政府の方針を支持したが、日経新聞は「元徴用工巡る対抗措置の応酬を自制せよ」、朝日新聞は「対韓輸出規制 『報復』を即時撤回せよ」と批判的だ。

 産経新聞は、この問題を早くから指摘しており、今回の措置を要望する自民党などの声を報道してきた。今回も産経新聞のスクープだろう。対象の素材品目も正確に書かれている。

 規制強化の方法についても、今回の措置が、(1)フッ化水素など規制3品目の韓国向け輸出について、4日から包括輸出許可制度から個別に輸出許可申請・輸出審査へ変更(2)先端材料などの輸出について外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正-と詳しく書かれていた。

 一方、日経新聞は経済重視の立場から、いわゆる元徴用工問題に対抗する手段として通商関係を使うのはまずいとし、朝日新聞も同様な立場だ。

 たしかに、日本はこれまでこうした措置はとってこなかった。しかし、世界では何でもやるというのは当たり前だ。筆者が現役官僚の時には、日本製品を輸入する場所を内陸地の1カ所に限定し貿易交渉をした国もある。それでも日本は何もせずに、その意味ではなめられていた。

 それで日本の国益になっていればよかったが、必ずしもそうとも言えない。いざという時には、日本もやると思わせた方が国益になるはずだ。それが国際交渉のリアルな現場だ。

 朝日新聞は、日韓関係の影響を心配するが、ここまでこじれさせたのは韓国側だろう。この期に及んで「日韓両政府は頭を冷やす時だ」と、日韓両政府の責任にするのはあまりに無責任である。

 今回の措置について、外為法を使うのは想定内だが、モノを経済産業省、カネを財務省が所管している。筆者は、モノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、国内関係者への誤爆が少ないと論じてきた。今回、モノから韓国への制裁を出したというのは、日本政府はまだカネのカードを温存しているというわけだ。

 モノの制裁といっても、輸出の禁止ではなく手続きの変更である。ということは制裁強化の余地も残っている。つまり、モノとカネのどちらもカードはある状態だ。

 韓国は世界貿易機構(WTO)に提訴するなどの対抗措置に出るというが、日本政府としては想定内だろう。今回の措置は貿易枠組みの変更ではなく、その範囲内で各国政府に委ねられたものだ。提訴したら時間もかかるので韓国に不利である。

 日本も韓国にいわゆる元徴用工問題、レーダー照射事件などでやられてようやくたくましくなり、やっと「普通の国」の行動がとれるようになった。皮肉を込めた意味で、韓国に感謝しなければいけないようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本しか製造できないものは多々存在、習近平とって韓国制裁は対岸の火事ではない(゚д゚)!

韓国政府、特に文在寅大統領は、懲罰を受けるに足る原因をいくつも作ってきたのですから、日本政府は明確に「懲罰だ」と言ってしまった方が、韓国には「親切」なのではないかと思います。

なぜなら韓国は、右派・左派(保守派・革新派)が親日・反日あるいは反中・親中ときれいに分かれて政党あるいは政府ときちっと結びついているわけではなく、左右が入り乱れて民間団体を作ったり特定政党を支持したりしなかったりしているので、大統領は民意の動きに右往左往しながら選挙を目指してあたふたする傾向にあるからです。

韓国は、政権与党が政権能力を持っていない国という特徴があると言っても過言ではないからです。

今回の制裁で、打撃を受ける韓国企業の中に「サムスン」が入っている事実は、自業自得であり、この日が来るのがおそすぎたと言っても過言ではないと思います。評論家の渡辺哲也氏等今回の制裁に近いことを以前から主張してしました。

日本の半導体関係の技術者がリストラをひかえて窓際に追いやられていた頃、技術者の一部は「土日ソウル通い」をしていました。土日だけサムスンなどの半導体メーカーに通って破格の高給で東芝など自社の核心技術を売りまくっていたのです。

本来なら宝物であるような「技術者」を大切にしなかった東芝などの日本の経営陣と当時の通産省の幹部に大きな責任があるものの、韓国の半導体メーカーは「日本の半導体技術を窃取した」のです。

日本の半導体を潰したのは誰か?

サムスンを日本の半導体を凌駕するところまで持って行ったのは、日本の大手製造業の技術者軽視であり、当時の通産省の怠慢であり、もっとも大きかったのは、日銀による金融引き締め、財務省の緊縮財政であり、これにより国内ではデフレが進行、海外では超円高にみまわれました。日本の半導体メーカー等の先端産業は、手首両足を縛られた状態で海外と対峙しなければなりませんでした。

そして韓国半導体メーカーの「抜け目のない狡賢さ」です。だから韓国半導体メーカーが多少の痛手を蒙るのは当然です。

さらに、ドイツのデータ分析会社「IPリティックス」による今年5月の調査データでは、5G の技術標準(規格)に関する標準必須特許数で、ファーウェイは1554件と、2位のノキア1427件を上回って世界トップの座にのし上げっていることを示していますが、トランプ政権の攻撃により、トップの座を維持することが危うくなっていました。

6月29日のトランプ大統領の(一時的)敗北宣言に近いようなファーウェイに対する制裁緩和を受けて、息を吹き返しそうではあるが、何と言っても3位と4位にはサムスン電子、そしてLG電子と、韓国勢が控えているのです。

 5G必須特許出願の企業別シェアは以下のようになっている。

 1.ファーウェイ(中国、民間):15.05%

 2.ノキア(フィンランド):13.82%

 3.サムスン(韓国):12.74%

 4.LG電子(韓国):12.34%

 5.ZTE(中興通訊)(中国、国有):11.7%

中国勢は計26.75%ですが、韓国勢は25.08%と、中国に迫る勢いです。このような中、安倍首相が韓国勢を叩いてくれるのだ。習近平国家主席にとっては、安倍首相には、どんなに感謝してもし切れないでしょう。

安倍首相の対韓制裁のお蔭で、一時陰りを見せていた中国勢の勢いは、輝きを取り戻すことができると思っているかもしれません。

5Gの国際標準仕様を策定するデッドラインは目の前に迫っています。ただし、5Gは日米等が着手しはじめている6Gからすると、どうなのかという話があります。

通信機器市場では中国の華為技術(ファーウェイ)が優勢で、米企業の影は薄いです。トランプ米政権は安全保障リスクを理由に、中国製を自国や友好国から締め出す構えです。一方、トランプ米大統領は早くも第6世代(6G)に言及。6Gを見据えた研究も促し、5Gから一足飛びで次世代戦略に踏み出す動きを見せています。

すでに、米政府が近く、5G網の脆弱(ぜいじゃく)性を詳細に分析した報告書を公表するとの観測も、米ワシントンの情報通信関係筋で浮上しています。

そんな中、トランプ大統領の口から、早くも第6世代(6G)の開発を促すような言葉が出ています。

「今の話題は5Gだが、その前は『4Gに乗り遅れるな』といっていた。いずれ『ナンバー6』が話題になる。米国は何にしたってリーダーになりたい」

トランプ氏は4月12日のイベントで、そうも語りました。同氏は2月下旬にもツイッターで、「米国で5Gを、いや6Gも、なるべく早く実現したい。米企業は取り組みを強化せねばならない」と述べました。

こうしたトランプ氏の発言に前後して、FCCは3月中旬、将来的に6Gに利用される可能性がある「テラヘルツ波」と呼ばれる周波数帯を、研究向けに開放することを決定し、利用規則を発表しました。

これで研究者らは、電波を正式に使うことができるようになります。5Gの開発に取り組んだニューヨーク大学のテッド・ラパポート教授は「6Gの幕開けとなるかもしれない重要で歴史的な一歩だ」と称賛しました。

5G網の整備は今後本格化し、米国での投資額は2750億ドル(約30兆円超)になるとの試算もあります。米政府は、巨大な国内市場でまず中国製を締め出す方向ですが、米政府周辺では、昨年初めから、5Gネットワークの「国有化論」が浮かんでは消え、通信関係者の関心を集めています。

こうした議論は、中国勢に押され気味の米国の危機感が表れているようにも映ります。米国が、旗色が悪い5G時代を早々に終わらせ、6Gで主導権を奪回するシナリオを描くとしても不思議ではないです。

米国の専門家からも、6G時代を見据えた国家戦略を求める声が出ています。

ハイテクと軍事技術の動向に詳しいバージニア工科大学のチャールズ・クランシー教授は、米首都ワシントンでのシンポジウムで、「米国は6Gで競争の舞台に戻らなければならない。連邦政府の資金支援を背景に大規模な(6Gの)開発計画を国が主導していくことが求められている」と指摘しています。

2019年から2020年にかけて多くの国で商用化される5Gでは、現行4Gの20倍、20Gbpsの超高速データ通信が実現される。だが、モバイル通信の進化はこれで止まるわけではありません。

世界中のネットワークベンダーや研究機関が、すでにその先の6G(Beyond 5G)を見据えて、さらなる高速・大容量伝送を可能にする無線技術の開発に挑んでいます。その先頭を走るのがNTTです。

NTTは性格の異なる2つの技術分野で、世界に先駆けて無線による100Gbpsデータ伝送実験を成功させました。

屋内伝送実験の様子。10mの距離で120Gbpsのデータ伝送を実現した

1つは、OAM(Orbital Angular Momentum:起動角運動量)多重伝送技術を用いたもの。2018年5月、世界初となる100Gbps伝送実験(距離10m)に屋内(電波暗室)環境で成功したことが発表されました。12月に開催された国際会議「IEEE GLOBECOM2018」では、信号処理の改良によって、さらに120Gbps伝送に成功したと報告されています。

トランプ米大統領は先月29日、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の閉幕後の記者会見で、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置に関連し「アメリカ製品をこれからも売ることを認めていきたい」と述べ、米企業によるファーウェイへの部品販売などを認める考えを示しています。「大量の米国製品がファーウェイのさまざまな製品に使われており、取引を続けてもかまわないと思っている」と述べました。

ただトランプ氏はファーウェイの安全保障上の懸念について「非常に複雑な問題だ。貿易協定でどうなるかを見ていきたい」と付け加え、引き続き注視する考えを示しました。「安全保障上問題がないところは、装備・設備などを売ってもいい」と述べました。

トランプ大統領はすでに6Gを視野に入れており、日米て6Gを先行させ、5Gを急速に陳腐化させることを狙っているようです。5Gでは、技術の窃盗にあったですが、これをなくして、6Gで米国が通信のスタンダードをつくり中国や、韓国の野望を打ち砕こうという腹のようです。そうして、これはトランプ政権の後にも受け継がれていくことでしょう。

こうした状況の中で、日本が韓国に制裁を加えたということは大きいです。習近平からすると、5Gで中国に迫る韓国ですが、それが日本の制裁で失速するかもしれないということは、中国もそうなる可能性もあるということを思い知ったことでしょう。

中国は世界の蛍石の生産地として知られていますが、実際の埋蔵量は世界の10%しか占めていないと言われています。

一方2012年から2014年末の中国での蛍石生産量は500万トン弱で、世界の需要の半分以上を供給したことになります。そうして、中国では高純度のフッ化水素を製造できません。

一方日本はフッ化水素にかわる原材料を開発しており、高純度のフッ化水素を製造できるのは日本が独壇場と言っても良いです。

こうなると、中国に対しても制裁が可能ということです。その他、中国というか、世界の中で日本でしか製造できないものは多くあります。炭素繊維や、意外なものでは高速鉄道のレールもあります。その他にも、日本でしか製造されていない、あるいは日本が世界のシェアの大部分を押さえてしまっている、素材、部品、資本財に製造機械や工作機械というものが山ほどあります。

習近平

憲法のしがらみもあり、日本は軍事的には米国に直接協力できるところは多くはありませんが、このような制裁なら、韓国だけではなく中国にもできます。米国も自身もこのような制裁を実施するでしょうし、日本に協力を求めてくることになるでしょう。日米協力のものとにこのような制裁をすれば、かなりの力になります。

たとえば、金融制裁でも、米国単独ではなく、日米協同であれば、さらに大きな力を発揮できるはずです。

こうなると、中国としても韓国への制裁は、他人ごとではありません。「中国製造2025」も頓挫させられるかもしれません。今頃、習近平は戦々恐々としていることでしょう。それが恐ろしいなら、尖閣への示威行動、日本への工作員の大量派遣を即刻やめるべきです。

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