2019年7月1日月曜日

韓国への輸出管理見直し 半導体製造品目など ホワイト国から初の除外 徴用工問題で対抗措置―【私の論評】韓国に対する制裁は、日本にとって本格的なeconomic statecraft(経済的な国策)の魁(゚д゚)!




経済産業省は1日午前、軍事転用が容易とされる「リスト規制品」の韓国への輸出管理体制を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミド、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目について、4日から個別の出荷ごとに国の許可申請を求める方針を正式発表した。

 韓国に対してはこれまで、安全保障上の友好国への優遇措置として手続きを免除していた。いわゆる徴用工問題で事態の進展が見通せないことから、事実上の対抗措置に踏み切った。

 同省の担当者は、この時期に運用を見直す理由について「貿易管理について韓国と一定期間対話がなされていない」と指摘。「政府全体で韓国に対ししっかりとした回答を求めてきたが、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)までに何ら回答がなかったことも一つの要因だ」と述べた。材料を生産する日本企業への影響に関しては「注視していく」と説明した。

 リスト規制品以外の先端材料の輸出についても、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外することも発表した。ホワイト国からの除外は韓国が初めて。1日から24日までパブリックコメントを実施した上で最終判断する。除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づける。

【私の論評】韓国に対する制裁は、日本にとって本格的なeconomic statecraft(経済的な国策)の魁(゚д゚)!

ついに日本政府が経済制裁に踏み切り、半導体材料の対韓輸出を規制します。

日本政府は、韓国への輸出管理の運用を見直し、テレビやスマートフォンの有機ELディスプレー部分に使われるフッ化ポリイミドや、半導体の製造過程で不可欠なレジストとエッチングガス(高純度フッ化水素)の計3品目の輸出規制を7月4日から強化します。

これはいわゆる徴用工訴訟をめぐり、韓国側が関係改善に向けた具体的な対応を示さないことへの事実上の対抗措置です。

発動されれば、韓国経済に悪影響が生じる可能性があります。

半導体製造工場

政府は同時に、先端材料などの輸出について、輸出許可の申請が免除されている外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外します。

7月1日から約1カ月間、パブリックコメントを実施し、8月1日をめどに運用を始めます。

除外後は個別の出荷ごとに国の輸出許可の取得を義務づけます。

ホワイト国は安全保障上日本が友好国と認める米国や英国など計27カ国あり、韓国は平成16年に指定されていました。

フッ化ポリイミドとレジストは世界の全生産量の約9割、エッチングガス(高純度フッ化水素:半導体の製造過程で洗浄に用いる) は約7割を日本が占めます。

世界の半導体企業は日本からの輸入が多く、急に代替先を確保するのは困難とされ、規制が厳しくなれば、半導体大手のサムスン電子や薄型で高精細なテレビで先行するLGエレクトロニクスなど韓国を代表する企業にも波及するとみられます。

現実には高純度フッ化水素は、製造自体は中国でもできるのですが韓国が中国から輸入するということなれば、高純度にするためには、わざわざ日本に運んで、加工してから再度韓国に輸出せざるをえないことになるそうです。であれば、それはできないのと同じです。

中国はフッ化水素の原料である蛍石を押さえいますが、岩谷産業株式会社は、2014年デジタルカメラ、フッ化カルシウム(蛍石)の合成技術を確立していしました。そのため、日本企業は製造拠点を中国に移す必要性もなくなりました。

いわゆる徴用工訴訟に関する韓国最高裁判決をめぐり、日本側は日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を求めてきましたが、韓国は問題解決に向けた対応策を示さなかったため、日本政府が事実上の対抗措置に踏み切ったわけです。

経済産業省は一連の輸出規制について「日韓関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況で、信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっている」と説明しています。

つまり韓国はもはや日本にとっての「ホワイト国」(日本の友好国)とは認められないということです。

いままで韓国の横暴に「遺憾砲」ばかりで具体的な対抗策を示してこなかった日本政府にとって、この経済制裁は大きな一歩だと思います。

さて、文大統領は「米朝首脳の握手は歴史的場面になる…私もDMZに同行」と、まるで我が手柄のような発言であります。

本日発表されたこの日本の対韓国経済制裁措置が、韓国政府に日本政府の今回の本気度に気付きを与え、その行動を改めるきっかけになればと希望します。

それにしても経済優先の経産省もよく折れたものです。官庁をも動かすほど日本政府の覚悟が本物であったと考えます。

史上初めて日本政府が韓国に対して経済制裁措置を決定しました。日本政府のこの方針を強く支持します。

ただし、今回の韓国への制裁を期として、日本政府はeconomic statecraft(経済的な国策)に関して、そろそろ本気で取り組むべきです。

economic statecraft(経済的な国策)とは、これは「経済的な手段を用いて地政学的な国益を追求する政策」のことです。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
詳細は、この記事をご覧いただくものとて、economic statecraftに関わる部分を以下に引用します。
各国政府、特に中国やロシアなどは、このようなeconomic statecraftを多用し始めています。たとえば、他国が自国の意向に反する政策をとった場合に、見せしめとして輸入に制限をかけます。あるいは、経済的に脆弱な国に対して、ODAや国営企業の投資をテコに一方的な依存関係を作り出すことで援助受入国を「借金漬け」状態にし、自国の意向に沿わない政策を取らせにくくする、といった政策です。 
米国がこうした経済外交をeconomic statecraftと定義し、米国としてもこれに対抗するeconomic statecraft戦略を描くべきである、という議論がオバマ政権末期から安全保障政策専門家の間で高まっていることが、トランプ大統領のニュースに埋もれて日本では認識されてきませんでした。
economic statecraftの道具と目的は以下の表で示す通りです。
 
日本語に翻訳すると、貿易制限、金融制裁、投資制限、金銭的制裁です。 
年初には安全保障分野で著名な米国シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)が、米国は「中国の挑戦」に対抗するにはより洗練されたeconomic statecraftを用いる必要性があると提案したのに加え、ほかのシンクタンクもこのような政策の具体案を構想し始めています。 
これらの分析において重要なポイントは、米国がeconomic statecraft戦略を展開するうえで同盟国や友好国との連携の重要性を強調していることで、世界の経済規模で第3位にある日本との連携が極めて重要になることは間違いないです。しかし、日本でeconomic statecraftの観点から米国と連携していかれる十分な構想と体制が整っているとは必ずしも言えません。 
就任から5年、安倍政権は日本の安全保障政策の本質的な変革を進めてきました。政府は国家安全保障会議(NSC)を設立することで安全保障政策の意思決定過程を再編成し、首相官邸に権限を集約しました。NSCは日本初の国家安全保障戦略を生み出し、その戦略を政策へと落とし込む「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を発表しました。 
また、「特定機密の保護に関する法律」を通過させ、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更をし、平和安全法制を作成しました。米国との同盟関係を強化したほか、オーストラリア、韓国、インド、英国といった友好国との安全保障関係を深め、他のインド太平洋地域の国家と防衛協力も強化。さらに、「防衛装備移転三原則」と「開発協力大綱」を閣議決定しました。そして政府は、宇宙とサイバー空間の側面を含む国家安全保障戦略を打ち出しました。 
このような目まぐるしい変化の中には、経済的な手段をもって戦略的に地政学的な国益を追及するeconomic statecraftの視点が抜け落ちています。近代化以来、国家権力の経済基盤を重要視してきた日本が、安全保障戦略の中で具体的な経済戦略を描き切れていないことは意外な事実であると言えるでしょう。
現実の世界では、核兵器などの従来では考えられなかったほどの、凄まじい破壊力のある兵器が目白押しです。しかし、これを抑止力とすることと、実際に使うことは全く別問題です。

いずれの国でも、核兵器のような大量破壊兵器を実際に使ってしまえば、報復を受けるのは必至です。そうなれば、第三次世界大戦が勃発するのは必至です。そうなると、自国も甚大な被害を受けます。だから、現実には核兵器などおいそれと使用することはできません。

しかし、economic statecraft(経済的な国策)であれば、日常的に用いることはできます。ただし、これはある程度経済が大きな米国、中国、日本、EUなどが用いてはじめて大きな成果を得ることができる政策です。

たとえば、ロシアがこれを用いようにも、現在のロシアのGDPは東京都を若干下回る程度です。無論ロシアはソ連の核兵器や軍事技術を継承している国なので、侮ることはできませんが、それでもかつてのように大きな脅威ではなくなりました。

軍事的には、単独ではNATOともまともに対峙できません。そもそも、NATOと互角に戦うことはできません。こうした国が、economic statecraft(経済的な国策)を用いたとしても、元々経済力が乏しいので、できることは限られています。

しかし、米国あたりが実行すれば、これはかなりのことができます。実際、米国は対中国冷戦で様々な経済的手段を講じて、中国を追い詰めています。

その中国も、一帯一路で、多くの国々に借金をさせ、借金が払えないとみると、港や土地を接収するなど、中国流のeconomic statecraft(経済的な国策)を実践しています。

一帯一路は中国流のeconomic statecraft(経済的な国策)

日本は、従来ほどは経済規模は大きくありませんが、それでも自由主義陣営では米国についで第二のパワーを誇っています。この日本がeconomic statecraft(経済的な国策)を実施すれば、かなりのことができます。

さらには、工作機械、新素材やハイテク部品等では、今でも独壇場のものが数多くあります。経済力やこれらをうまく活用すれば、日本は潜在的にeconomic statecraft(経済的な国策)を駆使して、他国に日本の要求つきつけ、実行させることができるはずです。

さらに、economic statecraft(経済的な国策)を駆使するには、軍事力もともなっていなければ、その力は半減されるのですが、現在の日本は自衛隊だけでも、たとえば海軍力はアジアで一番ともいわるほど、かなりの能力がありますし、それに米国の同盟国でもあります。

この日本は、平和憲法により、国際的な問題を解決する手段としては軍事力を用いることができませんが、economic statecraft(経済的な国策)であれば実施できます。

その最初の事例か韓国となるかもしれません。あれほど反日で凝り固まっていた韓国ですが、日本からeconomic statecraft(経済的な国策)をつきつけられ、経済がとてつもなく落ち込むようなことにでもなれば、態度を改めざるを得なくなるでしょう。改めなければ、長期にわたって実施するということになるでしょう。

韓国に対する制裁は、日本にとって本格的なeconomic statecraft(経済的な国策)の魁になるかもしれません。

それにしても、economic statecraft(経済的な国策)は、その重要性が日本では認識されてこなかっので、あまり良い日本語訳もないようです。もう少し多くの人々に認識されて、もっと熟れた日本語訳がでてくると良いと思います。

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