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2019年7月7日日曜日

対韓輸出規制を強化したが…まだ「カネ」のカードも温存 何でもやるのが国際交渉だ ―【私の論評】日本しか製造できないものは多々存在、習近平とって韓国制裁は対岸の火事ではない(゚д゚)!


G20大阪サミットで、握手した後、すれ違う韓国の文在寅大統領(手前)
と安倍首相=28日、大阪市

日本政府は半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理体制を強化する方針を発表した。これがどのような影響をもたらすのか。

 新聞各紙の社説はハッキリ分かれた。産経新聞は「対韓輸出の厳格化 不当許さぬ国家の意思だ」と日本政府の方針を支持したが、日経新聞は「元徴用工巡る対抗措置の応酬を自制せよ」、朝日新聞は「対韓輸出規制 『報復』を即時撤回せよ」と批判的だ。

 産経新聞は、この問題を早くから指摘しており、今回の措置を要望する自民党などの声を報道してきた。今回も産経新聞のスクープだろう。対象の素材品目も正確に書かれている。

 規制強化の方法についても、今回の措置が、(1)フッ化水素など規制3品目の韓国向け輸出について、4日から包括輸出許可制度から個別に輸出許可申請・輸出審査へ変更(2)先端材料などの輸出について外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正-と詳しく書かれていた。

 一方、日経新聞は経済重視の立場から、いわゆる元徴用工問題に対抗する手段として通商関係を使うのはまずいとし、朝日新聞も同様な立場だ。

 たしかに、日本はこれまでこうした措置はとってこなかった。しかし、世界では何でもやるというのは当たり前だ。筆者が現役官僚の時には、日本製品を輸入する場所を内陸地の1カ所に限定し貿易交渉をした国もある。それでも日本は何もせずに、その意味ではなめられていた。

 それで日本の国益になっていればよかったが、必ずしもそうとも言えない。いざという時には、日本もやると思わせた方が国益になるはずだ。それが国際交渉のリアルな現場だ。

 朝日新聞は、日韓関係の影響を心配するが、ここまでこじれさせたのは韓国側だろう。この期に及んで「日韓両政府は頭を冷やす時だ」と、日韓両政府の責任にするのはあまりに無責任である。

 今回の措置について、外為法を使うのは想定内だが、モノを経済産業省、カネを財務省が所管している。筆者は、モノよりカネのほうが韓国への打撃が大きく、国内関係者への誤爆が少ないと論じてきた。今回、モノから韓国への制裁を出したというのは、日本政府はまだカネのカードを温存しているというわけだ。

 モノの制裁といっても、輸出の禁止ではなく手続きの変更である。ということは制裁強化の余地も残っている。つまり、モノとカネのどちらもカードはある状態だ。

 韓国は世界貿易機構(WTO)に提訴するなどの対抗措置に出るというが、日本政府としては想定内だろう。今回の措置は貿易枠組みの変更ではなく、その範囲内で各国政府に委ねられたものだ。提訴したら時間もかかるので韓国に不利である。

 日本も韓国にいわゆる元徴用工問題、レーダー照射事件などでやられてようやくたくましくなり、やっと「普通の国」の行動がとれるようになった。皮肉を込めた意味で、韓国に感謝しなければいけないようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本しか製造できないものは多々存在、習近平とって韓国制裁は対岸の火事ではない(゚д゚)!

韓国政府、特に文在寅大統領は、懲罰を受けるに足る原因をいくつも作ってきたのですから、日本政府は明確に「懲罰だ」と言ってしまった方が、韓国には「親切」なのではないかと思います。

なぜなら韓国は、右派・左派(保守派・革新派)が親日・反日あるいは反中・親中ときれいに分かれて政党あるいは政府ときちっと結びついているわけではなく、左右が入り乱れて民間団体を作ったり特定政党を支持したりしなかったりしているので、大統領は民意の動きに右往左往しながら選挙を目指してあたふたする傾向にあるからです。

韓国は、政権与党が政権能力を持っていない国という特徴があると言っても過言ではないからです。

今回の制裁で、打撃を受ける韓国企業の中に「サムスン」が入っている事実は、自業自得であり、この日が来るのがおそすぎたと言っても過言ではないと思います。評論家の渡辺哲也氏等今回の制裁に近いことを以前から主張してしました。

日本の半導体関係の技術者がリストラをひかえて窓際に追いやられていた頃、技術者の一部は「土日ソウル通い」をしていました。土日だけサムスンなどの半導体メーカーに通って破格の高給で東芝など自社の核心技術を売りまくっていたのです。

本来なら宝物であるような「技術者」を大切にしなかった東芝などの日本の経営陣と当時の通産省の幹部に大きな責任があるものの、韓国の半導体メーカーは「日本の半導体技術を窃取した」のです。

日本の半導体を潰したのは誰か?

サムスンを日本の半導体を凌駕するところまで持って行ったのは、日本の大手製造業の技術者軽視であり、当時の通産省の怠慢であり、もっとも大きかったのは、日銀による金融引き締め、財務省の緊縮財政であり、これにより国内ではデフレが進行、海外では超円高にみまわれました。日本の半導体メーカー等の先端産業は、手首両足を縛られた状態で海外と対峙しなければなりませんでした。

そして韓国半導体メーカーの「抜け目のない狡賢さ」です。だから韓国半導体メーカーが多少の痛手を蒙るのは当然です。

さらに、ドイツのデータ分析会社「IPリティックス」による今年5月の調査データでは、5G の技術標準(規格)に関する標準必須特許数で、ファーウェイは1554件と、2位のノキア1427件を上回って世界トップの座にのし上げっていることを示していますが、トランプ政権の攻撃により、トップの座を維持することが危うくなっていました。

6月29日のトランプ大統領の(一時的)敗北宣言に近いようなファーウェイに対する制裁緩和を受けて、息を吹き返しそうではあるが、何と言っても3位と4位にはサムスン電子、そしてLG電子と、韓国勢が控えているのです。

 5G必須特許出願の企業別シェアは以下のようになっている。

 1.ファーウェイ(中国、民間):15.05%

 2.ノキア(フィンランド):13.82%

 3.サムスン(韓国):12.74%

 4.LG電子(韓国):12.34%

 5.ZTE(中興通訊)(中国、国有):11.7%

中国勢は計26.75%ですが、韓国勢は25.08%と、中国に迫る勢いです。このような中、安倍首相が韓国勢を叩いてくれるのだ。習近平国家主席にとっては、安倍首相には、どんなに感謝してもし切れないでしょう。

安倍首相の対韓制裁のお蔭で、一時陰りを見せていた中国勢の勢いは、輝きを取り戻すことができると思っているかもしれません。

5Gの国際標準仕様を策定するデッドラインは目の前に迫っています。ただし、5Gは日米等が着手しはじめている6Gからすると、どうなのかという話があります。

通信機器市場では中国の華為技術(ファーウェイ)が優勢で、米企業の影は薄いです。トランプ米政権は安全保障リスクを理由に、中国製を自国や友好国から締め出す構えです。一方、トランプ米大統領は早くも第6世代(6G)に言及。6Gを見据えた研究も促し、5Gから一足飛びで次世代戦略に踏み出す動きを見せています。

すでに、米政府が近く、5G網の脆弱(ぜいじゃく)性を詳細に分析した報告書を公表するとの観測も、米ワシントンの情報通信関係筋で浮上しています。

そんな中、トランプ大統領の口から、早くも第6世代(6G)の開発を促すような言葉が出ています。

「今の話題は5Gだが、その前は『4Gに乗り遅れるな』といっていた。いずれ『ナンバー6』が話題になる。米国は何にしたってリーダーになりたい」

トランプ氏は4月12日のイベントで、そうも語りました。同氏は2月下旬にもツイッターで、「米国で5Gを、いや6Gも、なるべく早く実現したい。米企業は取り組みを強化せねばならない」と述べました。

こうしたトランプ氏の発言に前後して、FCCは3月中旬、将来的に6Gに利用される可能性がある「テラヘルツ波」と呼ばれる周波数帯を、研究向けに開放することを決定し、利用規則を発表しました。

これで研究者らは、電波を正式に使うことができるようになります。5Gの開発に取り組んだニューヨーク大学のテッド・ラパポート教授は「6Gの幕開けとなるかもしれない重要で歴史的な一歩だ」と称賛しました。

5G網の整備は今後本格化し、米国での投資額は2750億ドル(約30兆円超)になるとの試算もあります。米政府は、巨大な国内市場でまず中国製を締め出す方向ですが、米政府周辺では、昨年初めから、5Gネットワークの「国有化論」が浮かんでは消え、通信関係者の関心を集めています。

こうした議論は、中国勢に押され気味の米国の危機感が表れているようにも映ります。米国が、旗色が悪い5G時代を早々に終わらせ、6Gで主導権を奪回するシナリオを描くとしても不思議ではないです。

米国の専門家からも、6G時代を見据えた国家戦略を求める声が出ています。

ハイテクと軍事技術の動向に詳しいバージニア工科大学のチャールズ・クランシー教授は、米首都ワシントンでのシンポジウムで、「米国は6Gで競争の舞台に戻らなければならない。連邦政府の資金支援を背景に大規模な(6Gの)開発計画を国が主導していくことが求められている」と指摘しています。

2019年から2020年にかけて多くの国で商用化される5Gでは、現行4Gの20倍、20Gbpsの超高速データ通信が実現される。だが、モバイル通信の進化はこれで止まるわけではありません。

世界中のネットワークベンダーや研究機関が、すでにその先の6G(Beyond 5G)を見据えて、さらなる高速・大容量伝送を可能にする無線技術の開発に挑んでいます。その先頭を走るのがNTTです。

NTTは性格の異なる2つの技術分野で、世界に先駆けて無線による100Gbpsデータ伝送実験を成功させました。

屋内伝送実験の様子。10mの距離で120Gbpsのデータ伝送を実現した

1つは、OAM(Orbital Angular Momentum:起動角運動量)多重伝送技術を用いたもの。2018年5月、世界初となる100Gbps伝送実験(距離10m)に屋内(電波暗室)環境で成功したことが発表されました。12月に開催された国際会議「IEEE GLOBECOM2018」では、信号処理の改良によって、さらに120Gbps伝送に成功したと報告されています。

トランプ米大統領は先月29日、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の閉幕後の記者会見で、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への事実上の禁輸措置に関連し「アメリカ製品をこれからも売ることを認めていきたい」と述べ、米企業によるファーウェイへの部品販売などを認める考えを示しています。「大量の米国製品がファーウェイのさまざまな製品に使われており、取引を続けてもかまわないと思っている」と述べました。

ただトランプ氏はファーウェイの安全保障上の懸念について「非常に複雑な問題だ。貿易協定でどうなるかを見ていきたい」と付け加え、引き続き注視する考えを示しました。「安全保障上問題がないところは、装備・設備などを売ってもいい」と述べました。

トランプ大統領はすでに6Gを視野に入れており、日米て6Gを先行させ、5Gを急速に陳腐化させることを狙っているようです。5Gでは、技術の窃盗にあったですが、これをなくして、6Gで米国が通信のスタンダードをつくり中国や、韓国の野望を打ち砕こうという腹のようです。そうして、これはトランプ政権の後にも受け継がれていくことでしょう。

こうした状況の中で、日本が韓国に制裁を加えたということは大きいです。習近平からすると、5Gで中国に迫る韓国ですが、それが日本の制裁で失速するかもしれないということは、中国もそうなる可能性もあるということを思い知ったことでしょう。

中国は世界の蛍石の生産地として知られていますが、実際の埋蔵量は世界の10%しか占めていないと言われています。

一方2012年から2014年末の中国での蛍石生産量は500万トン弱で、世界の需要の半分以上を供給したことになります。そうして、中国では高純度のフッ化水素を製造できません。

一方日本はフッ化水素にかわる原材料を開発しており、高純度のフッ化水素を製造できるのは日本が独壇場と言っても良いです。

こうなると、中国に対しても制裁が可能ということです。その他、中国というか、世界の中で日本でしか製造できないものは多くあります。炭素繊維や、意外なものでは高速鉄道のレールもあります。その他にも、日本でしか製造されていない、あるいは日本が世界のシェアの大部分を押さえてしまっている、素材、部品、資本財に製造機械や工作機械というものが山ほどあります。

習近平

憲法のしがらみもあり、日本は軍事的には米国に直接協力できるところは多くはありませんが、このような制裁なら、韓国だけではなく中国にもできます。米国も自身もこのような制裁を実施するでしょうし、日本に協力を求めてくることになるでしょう。日米協力のものとにこのような制裁をすれば、かなりの力になります。

たとえば、金融制裁でも、米国単独ではなく、日米協同であれば、さらに大きな力を発揮できるはずです。

こうなると、中国としても韓国への制裁は、他人ごとではありません。「中国製造2025」も頓挫させられるかもしれません。今頃、習近平は戦々恐々としていることでしょう。それが恐ろしいなら、尖閣への示威行動、日本への工作員の大量派遣を即刻やめるべきです。

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2017年2月20日月曜日

正男氏毒殺…支那「政変」引き金 カード失った習氏激怒 河添恵子氏緊急リポート―【私の論評】正男氏殺害は、支那の火薬庫旧満州に油を注ぐか?

正男氏毒殺…支那「政変」引き金 カード失った習氏激怒 河添恵子氏緊急リポート 

習近平
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件は、女性2人と男性1人が逮捕された。犯行に致死性の高いVXガスが使用された可能性が浮上し、事件の背景に注目が集まっている。こうしたなか、正男氏を擁護してきた習近平国家主席率いる支那は不気味な沈黙を続けている。貴重なカードを奪われ、大打撃を受けた習氏が激怒しているとの情報と、背後にある共産党最高指導部内の激烈な権力闘争とは。ノンフィクション作家、河添恵子氏による緊急リポート。

 正男氏がとうとう暗殺された。反共産党系メディアなどによると、古くは2004年、正男氏がオーストリア訪問中に暗殺の危機にひんしたが、現地の情報機関が事前に察知して未遂に終わったという。10年には、支那で交通事故を偽装してひき殺す計画があり、12年には北京で北朝鮮工作員とみられる者に襲われたが、支那当局が防いだとされる。

 このように、金王朝の第2代最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男、正男氏の暗殺計画は十数年前から蠢(うごめ)いてきた。背景には、支那政府が抱き続ける野望と、熾烈化する権力闘争が見え隠れする。

 支那にとって、北朝鮮は建国以来「兄弟国」の位置付けにある。

 江沢民元国家主席が党総書記に就任した翌年の1990年3月、初めての外遊先は北朝鮮だった。その時、現在は全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員長の張徳江氏が通訳として同行している。


 胡錦濤前国家主席も就任翌年の2004年に正日氏と会談し、「中朝友好協力関係を高める」ことで一致。習氏も08年3月、国家副主席に就任して初めて訪問した外国が北朝鮮だった。

 そして、習政権が発足(12年に党総書記、13年に国家主席選出)して以来、“朝鮮半島の植民地化”への工作を強めてきた。

 それは現在の「チャイナセブン」(=支那共産党の最高指導部、中央政治局常務委員7人)の布陣からも明らかだ。

 習氏、李克強首相に続く序列3位は、前出の張氏だが、北朝鮮の金日成総合大学経済学部で2年間の留学経験があり、支那東北3省に多い朝鮮族を含む、“朝鮮半島のエキスパート”である。序列5位の劉雲山政治局常務委員と、序列7位の張高麗筆頭副首相を合わせた3人が、「北朝鮮との関係が密接」な江沢民派なのだ。


 歴代の支那政府が「兄弟国」の金王朝に配慮してきた目的は、属国化することにある。

 そのため、支那の改革開放政策を支持する正男氏を、正日氏の後継者候補と見据えて、義理の叔父、張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長を後見人とする体制の実現を目指してきた。

 ところが、金王朝の3代目に指名されたのは3男の正恩氏だった。「支那に近づきすぎた」張氏は13年12月、無残な最期を遂げる。支那政府は以来、正男氏の身辺警護をより強化してきた。

 チャイナセブン内で近年、金王朝をめぐる対立が激しくなっている。

 正恩氏のカウンターパートは劉氏だが、習一派は劉氏を含む江沢民派を完全に敵視していた。そのうえで、習氏は、オバマ米政権時代からの密約とされる「北朝鮮の核開発無力化」へ舵を切った。この1年、北朝鮮の核開発を支援する支那企業の摘発と責任者の逮捕、東北3省の幹部の首のすげ替えなどに邁進(まいしん)してきた。

 習氏は、正男氏の“出番”をひそかに伺っていたのだ。

 1月に就任したドナルド・トランプ米大統領は13日、北朝鮮が日米首脳会談に合わせて弾道ミサイルを発射したことを受け、「北朝鮮に非常に強力に対応する」と極めて強い口調で断言した。

 こうしたなか、習一派らに江沢民派が一掃されれば、正恩体制そのものが危うくなる。

 だとすれば、正恩氏にとって最大の不安要因である正男氏を、是が非でも抹殺するしかない。正恩体制を支持する江沢民派も生き残りと利権確保のため、正男氏の暗殺を許容した可能性もゼロではない。

 支那共産党最高指導部内のすさまじい権力闘争と、支那の影響力が強いマレーシアでの暗殺劇。カードを失った習氏は激怒しているとみられる。支那政府と公式メディアの不気味な沈黙は、次の一手に向けた情報収集と、策を練っている可能性がある。

 いずれにしても、正男氏が支那の野望の中で擁護され、その揚げ句、犠牲となったことは確かである。

河添恵子氏
【私の論評】正男氏殺害は、支那の火薬庫旧満州に油を注ぐか?

北朝鮮と、支那との関係でまず注目しなければならないのは、現在の支那の東北部、かつての満州国と呼ばれた地域と、北朝鮮の関係です。

特に、支那東北部では、現在急速な少子高齢化で疲弊しているということに注目すべきです。これについては、以前もこのブログにとりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国東北部 急速な少子高齢化で「火薬庫」になる可能性―【私の論評】満州再独立の条件が揃った!後は、瀋陽軍区の出方次第(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただものとして、以下に朝鮮半島と、旧満州 (遼寧省、黒竜江省、吉林省)の位置関係を示す地図と、この記事からの引用を掲載します。

現在の支那経済が直面する問題の一つが、無軌道に拡大された設備投資に反し、国内外の需要が急速に弱まったことを背景にした生産過剰であることは言うまでもない。その中心が炭坑と鉄鋼であり、ともに中心は東北三省にある。
すでに賃金の遅配などの問題が起きていることは、国内メディアの報道でも明らかになっているが、現地ではもはやそれどころでない問題が持ち上がってきているようなのだ。 
その実態を明らかにしたのが2016年10月25日に放送された瀋陽テレビの報道番組である。 
タイトルは、〈東北部で人口危機が逼迫 出生率は低下 人口流出が深刻化〉だ。 
記事によれば東北部は元々出生率が低く、1982年の統計では遼寧省、吉林省、黒竜江省はそれぞれ1.773、1.842、2.062でいずれも全国平均の2.584に及ばなかった。それがいま、2010年の調査で3省の平均値が0.75まで落ちてしまったというから深刻である。 
10月19日、中国国家衛生委員会が公表した「中国流動人口発展報告2016」によれば2006から2015年に至る東北部の年平均人口増加率は、わずかに0.21%で全国平均の0.5%にはるかに及ばなかった。 
同時に進行した高齢化は深刻で、2015年の東北部の人口の年齢の中間値は43歳で、これは全国平均の38歳よりも5歳高く、全国の高齢化予測では2027年に相当する水準であるという。 
こうした人口の減少と高齢化は、当然のことながら中国がいま進めている養老保険(年金)の整備に大きなマイナスの効果を与えている。国家開発銀行の元副行長の劉国によれば東北部の年金の負担率(年金を支払う労働者と年金受給者の比率)は、1.55であり、これも全国平均の2.88にはるかに及んでいない。 
これは「火薬庫」としての東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性を示唆している。
中朝の分岐点――中朝国境友誼橋
このようなことから、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、私は、旧満州地域と北朝鮮が結びつき、旧満州が支那から離脱する可能性もあり得ることをこの記事で主張しました。

そもそも、支那東北部(旧満州にあたる部分)の経済成長が滞っているのは、海に抜ける東側を北朝鮮に遮られているからだという不満が以前から支那特に旧満州には渦巻いていました。民間貿易は国境付近だけで、それも制限されれば庶民は南下し東北部はさらにさびれることになるだけです。

◆東北部の経済の全国比と衰退する理由
2015年上半期における中国東北三省のGDP成長率は「吉林省6.1%」、「黒竜江省5.1%」、「遼寧省2.6%」と全国ランキングからいくとそれぞれ最後から1番目、2番目、3番目という、非常に不名誉なものでした。全国平均7%をひとり引き下げているのは東北三省であると中国人は嘆いています。

2015年上半期における東北三省の財政収入変動に関しても、前年度同期の変動が全国平均6.6%増に対して、
遼寧省  : -22.7% 
黒竜江省 : -19% 
吉林省  : +0.9%
と、軒並みに異常なほど低いです。

個人の平均年収も、全国平均が49,969元であるのに対し
東部地域:64,239元 
西部地域:51,204元 
中部地域:46,828元 
東北地域:46,512元
と低いです。失業率も全国平均より2%高く、結果、東北の労働人口は北京、天津、河北省や山東省へと流れていき、東北部の過疎化とともに少子高齢化が極端に進んでいます。

その原因としては、もともと石炭などの資源地域であったことと、それに伴う重工業が盛んで、改革開放前の「国営企業」の占有率が高かったため、資源の枯渇とともに改革開放を伸びやかに発展させていけないことなどがあります。

それ以上に決定的なのが、北朝鮮の存在なのです。

◆改革開放を阻む北朝鮮の「鎖国」

東北部の経済発展が改革開放に見合って伸びていかないのは、ひとえに岩盤のように立ちはだかっている北朝鮮が鎖国しているからだと、支那庶民の北朝鮮への恨みは大きいです。

もし北朝鮮が改革開放を推進して、南の「深セン」のような役割を果たしてくれれば、東北経済は日中韓貿易の拠点になり、東北地方は一気に大きな経済成長を遂げるだろうと、中国の多くのメディアが北朝鮮への不満をぶちまけています。

金正恩の父親・金正日は、晩年、中国の呼びかけに応じて改革開放に乗り出そうとしたのですが、金正恩になってからは閉ざす方向にしか動いていません。

かつてこの地が満州国だったときには、現在の北朝鮮はもとより、現在の韓国も日本領であり、満州国が発展する可能性は多いにありました。やはり、支那の満州が発展するためには、朝鮮半島を支那の属国にすることが一番なのです。

中国政府寄りの香港メディア「鳳凰網」には、「中国はアメリカより先に絶対に(北)朝鮮をやっつければならない」とするブログを載せています(作者:余以為)。

そこには以下のような激しい言葉が連ねてあります。
 北朝鮮は東北アジアの中心にあり、日韓が海路を通して支那や世界と交易をできる場所にありながら、支那の東北部は北朝鮮のために、まるで「内陸」のような位置づけになっている。これこそが、東北部に経済不振をもたらしている最大の原因であり、労働人口が(南に)流出する最大の原因だ。北朝鮮問題を解決しない限り、支那がどんなに「東北振興」戦略に金を注いだところで無駄になるだけだ。 
 改革開放以来、支那経済が「南強北弱」となっているのは、北朝鮮が鎖国を続けているからに他ならない。そこでブロックされてしまっている。 
 ソ連崩壊後、ベトナムは中国を「兄貴分」と思っているが、北朝鮮は中国を兄貴分とは思っていない。核武器を発展させて、「アメリカの弟分になろうとしている」のだ! 
 アメリカが北朝鮮をやっつけて「弟分」にさせてしまう前に、中国が一刻も早く北朝鮮をやっつけて、中朝市場の一体化を推進しなければならない。そうすれば韓国だって喜ぶし、東北一帯は朝鮮半島を一体化して一気に経済発展を遂げるだろう。 
 日本が東北部に「満州国」を樹立していたとき、実は東北部の経済は発展し、日本本国の経済成長をも上回っていた。その理由は決して日本人が優秀だったからではなく、「日韓満」という三つの地域の市場が統一されて相乗効果を上げていたからだ。北朝鮮の鎖国が、がいかに東北経済発展を阻害する岸壁となっているかが分かるだろう。 
 だから、アメリカに持っていかれる前に、どんなことがあっても中国は先に北朝鮮の金王朝をやっつけなければならない。(1979年に中越戦争を起こした)トウ小平の勇気に学べ! アメリカが北朝鮮と戦うか否かに関係なく、今こそ北朝鮮(金王朝)をやっつけるチャンスだ。この機を逃すな!
これほどまでに激しい声が支那人民特にその中でも満州族の中にはあるのです。人民だけではありません。中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」も黙っていません。

◆朝鮮半島で戦争が起きても「抗美援朝」の再演はもうない

「抗美援朝」とは、朝鮮戦争時代に中国が中国人民志願軍を結成して北朝鮮に派兵したときの、「アメリカに抵抗し北朝鮮を支援しよう」という意味のスローガンです。

環球時報は「朝鮮半島で戦争が起きても“抗美援朝”は再演されない」という労木氏の評論を載せている(2016年2月17日)。それが数多くのウェブサイトに転載されています。

労木氏は、おおむね以下のようなことを書いています。
1.北朝鮮の行動は、アメリカが2020年までに兵力の60%をアジア太平洋に配備するという計画を助長し、その時期を早めている。北朝鮮の挙動は支那を威嚇することはあっても、アメリカには利益をもたらしているだけだ。 
2.北朝鮮が支那国境付近に核施設を設置しているのは、実は下心がある。北朝鮮の核施設の性能は低いので核漏洩(放射能汚染)の危険性が大きい。支那東北部には大きな脅威となる。それもあって支那は北朝鮮の非核化を必死になって叫んでいるのだが、北はどうしても言うことを聞かない。もし核開発を続けるというのなら、各施設を平壌付近に移動させてくれ。支那はもうこれ以上、すぐ隣に核の谷を作るような北の核政策を容認することはできない。 
3.中韓関係の離間工作に関して米朝は「同床異夢」ならぬ「異床同夢」を見ているのだ。目的は同じで、手段が違うだけ。アメリカは遥か遠くにいて自分は放射能汚染の危害に合わないので、平気で北朝鮮をけし掛けている。犠牲になるのは支那なのだ。 
4.民意調査を見てみろ。どれだけ多くの人民が北朝鮮を嫌っているか。北朝鮮よ、支那の安全を脅かすのはいい加減にしてくれ。もし朝鮮半島で戦争が起きても、二度と再び「抗美援朝」が再演されるとは思うな。
おおむね、以上のような論評だ。環球時報が載せたということは、支那共産党がそう考えているという何よりの証拠です。これが支那政府の本音でしょう。

事実、ネットでは96%のユーザーが北朝鮮を嫌っているというデータもあります。

支那は安保理による北朝鮮制裁決議に賛同の意を表しているのですが、北朝鮮との間の支朝国境貿易が制限あるいは完全に遮断されたときに何が起き得るのかを、これらの評論は示唆しているように思われます。

中国商務省は18日、北朝鮮からの石炭輸入を全面的に停止するとの通達をウェブサイト上で発表しました。北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁を強化する狙いがあります。

輸入禁止措置は19日から今年いっぱいとなります。北朝鮮は12日に弾道ミサイルの発射実験を行こないました。

支那は昨年4月、国連の制裁を受けて北朝鮮からの石炭輸入を停止する方針を示したのですが、核やミサイル開発に関係せず人道上不可欠な場合は除くとしていました。

米国務省の報道官は「全ての国が北朝鮮に関する決議を完全で透明な形で実行する必要がある」と強調。「北朝鮮が核開発に関する真剣な協議に復帰するように、同国の最大の貿易相手国である支那に引き続き影響力を行使するよう求めていく」としました。

今回の金正男氏の殺害によって、「火薬庫」としての支那東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性が高まったと思います。なぜなら、支那としては、北朝鮮属国化としての切り札を一つ失ったことになるからです。

雪中訓練をする人民解放軍瀋陽軍区の将兵
現在支那経済はかなり減速しています。そうなると、旧満州はますます苦しい状況に追い込まれるわけで、この火薬庫を除去するために、習近平は何らかの対応を迫られることになることでしょう。

さて今回は、支那東北地方を管轄する、人民解放軍「瀋陽軍区」と北朝鮮との関係については、掲載しませんでした。

「瀋陽軍区」は、反習近平派の拠点ともなっており、これが北と通じてクーデターを計画しているという噂もあります。これについては、いずれまた、レポートするつもりです。

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