ラベル デフレ脱却 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル デフレ脱却 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年7月3日火曜日

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%―【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%
前回の衆院解散を伝える新聞記事、このときは、デフレ脱却は争点にならかなった。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が6月30日、7月1日の両日に実施した合同世論調査で、消費税増税法案が参院で成立した場合について「できるだけ速やかに衆院解散・総選挙を行うべきだ」との回答が57・0%に上り、「解散・総選挙は必要ない」(38・6%)を大幅に上回った。

野田佳彦内閣の支持率は前回調査(6月9、10日)より0・3ポイント増の28・5%、不支持率も1・1ポイント増の61・9%となった。政党支持率は民主党が0・1ポイント減の13・0%で政権交代後の最低記録を更新。自民党も16・4%と3・5ポイント減らし、「支持政党なし」は過去最高の55・1%(5・3ポイント増)に達した。

民主、自民、公明3党による消費税増税法案の修正協議での合意について「評価できる」は53・8%。消費税率を2段階で10%に引き上げることについては「反対」が6・0ポイント減の50・1%、「賛成」が4・2ポイント増の45・2%でほぼ拮(きっ)抗(こう)した。

衆院の選挙制度改革については、民主党提出の法案に明記された連用制の一部導入に44・5%が反対、賛成は36・1%だった。


関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働では「反対」が50・5%で前回より7・1ポイント増。「賛成」は43・5%で5・7ポイント減った。今夏の限定稼働については「反対」(48・3%)と「賛成」(45・3%)が拮抗。電力不足を条件にした他の原発再稼働に関しては「賛成」(52・7%)が「反対」(42・1%)を上回った。

【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

上のアンケートどの項目も、それなりに納得できるものと思います。特に増税に関してはもっともだと思いすます。現在増税法案は、衆院を通過していますが、参院もおそらく余程のことがない限り通過し、成立することでしょう。ただし、以前このブログで掲載したように、これをもって増税そのものが、決まってしまうわけではありません。 たとえ、法案が可決しても、来年の9月に実際に再来年の4月から実際に増税するかいなかを決定します。

参議院議員本会議場
だから、未だ再来年の4月に増税するかどうかは、決まってはいないわけです。であれば、まだ、増税しないという選択肢は、十分あるわけです。そうであれば、消費税法案が参院を通ったあかつきには、総選挙を行い、国民の信を問うべきです。選挙で勝つためには、既存政党であれ、他のどのような政治グループでふれ、おかしげな、いまの政府や新聞などの日本財政破綻キャンペーンや、国債暴落キャンペーンなどに惑わされることなく正しい情報を開示した上で、さらに、「増税」「反増税」という立場を明確にすることが肝要です。増税などすれば、税収はさらに減ること、結局デフレを克服しなければ、財政再建もできないことをはっきり名言すべきです。

そうして、当然のことながら、なぜ反増税なのかを明確にする政治グループに投票すべきと思います。そうして、デフレを克服するには、政府による財政出動と、日銀による金融緩和が不可欠であることを主張する政治グループに投票すべきです。さらに、日銀による金融緩和を担保するために、日銀法を改正することを明言するグループに投票すべきです。

政治家の中には、政府による財政出動だけで、景気が回復することを言う人もいますが、これだけでは、デフレから完全に脱却できるとは限りません。これだけやって、日銀を放置しておき、日銀が金融引締めをすれば、せっかくの財政出動も、くじかれてしまいます。


経済では、マンデル・フレミング効果ということがいわれています。開放経済の小国で変動相場制の下では、金融政策は有効ですが、財政政策は無効であるというものです。閉鎖経済のケインズ体系であるIS-LMモデルを開放経済に拡張した「マンデル=フレミング・モデル」によって導かれるものです。

このようなマンデル=フレミング効果があることによって、現在の経済学では、景気対策として、財政政策よりも金融政策の方がより強力であると考えられています。

財政悪化による長期的な経済への負担を考えると、財政縮小+金融緩和のポリシーミックスの有効性が考えられます。1990年代のアメリカは、このポリシーミックスを採用して、景気が拡大しました。

藤井教授
ただし、京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡は、マンデルフレミングモデルはインフレであることが前提となっており、デフレにおいては全く通用しないとの批判を述べ、デフレ下の日本では財政政策は無効にならないと主張しています(ただし、インフレが前提であるということの根拠は示されていません。また、上述のようにマンデルフレミングモデルはIS-LMの枠組みであることから、インフレやデフレとはそもそも無関係に成立します)。また、同研究科助教の中野剛志も、資金需要が不足しているデフレ下では金利の大幅な上昇はありえず、自国通貨高にはならないと主張しています(現実の実効為替レートも参照のこと)。もっとも、現実の実質実効為替レートのデータを見てみると、橋本、小泉政権の時期に円安が、小渕政権の時期に円高が進行していたことが読み取れます。



また、財政出動すると内需拡大により、輸入が増え、むしろ円安になる。マンデル・フレミング効果は小国を前提としたモデルであり、日本のような経済大国にはあてはまらないとする人もいます。

しかし、現状ではアメリカや日本は小国ではないですが、小国開放経済モデルは、貿易や為替レートに及ぼす政策効果については近似的に正しいとされています。


マンデル=フレミング・モデルでは、IS-LM分析に国際収支の均衡を表すBP曲線を加えて、「経済政策の有効性」を考えます。
クリックすると拡大します↑
私は、藤井聡氏や、中野剛氏の意見は、確かに当てはまる部分もあると思います。それに、上記のグラフと、表をご覧いただけれぱ、経済の様々な局面で、財政政策が有効であったり、金融政策が有効な場合もあります。非常にわかりやすい例をあげると、たとえば、都営銀行は「中小企業は、銀行からなかなか融資を受けにくい環境にあるから困っている、だから、融資を受けやすくすれば、うまくいくはず」という理念で、設立したものですが、ご存知のように現状ではうまくいっていません。


中小企業は、仕事がないから困っているのであり、そんなときに、銀行がお金を貸しますなどといっても、借りようもないわけです。仕事があってこそ、設備投資をしたり、人を雇用するわけですから、こんなデフレのひどい時期に、金融政策だけではうまくいかないことは、明らかです。まずは、政府が公共工事などをして、直接間接にでも、仕事そのものを増やしいく必要があります。ある一定程度仕事が増えれば、 中小企業もお金を借りるようになるでしょうし、そのときには、金利が低いなどの金融政策が、効果をあらわしてくると思います。

それに、日本には、特殊事情があります。日本の場合、輸出はGDPの16%にすぎないということがあります。であれば、デフレ下の現状ですぐに財政出動が無効果になるとは考えられません。というより、デフレ脱却の直前では多いに効果があると思います。ただし、いつまでも、これだけをやっていては、やがて効果も薄れると思います。だかこそ、金融政策も必要不可欠だと思います。おそらく、これほどまで、長期化した異常なデフレは、日本どころか、いままで人類が経験したことのない、未曾有なものだと思います。それも、このような豊なで世界に一番カネを貸している国が、10年以上も長期デフレに陥っているなどというのは、本当に世界初だと思います。

【日本の主な輸出品と輸出先】 クリックすると拡大します
人類が経験したことがないのですから、デフレ脱脚するにしても、様々な紆余曲折があると思います。であれば、効果があると考えられるものには、すべて挑戦すべきです。無論、政治家が大きな方向性を示すものの、実際には、専門家がバランスをとりながらやるべきです。そのために、日銀と、財務省があるのです。そうして、日本は、それができます。外貨建で、大きな借金をしているギリシャのような余裕のない国とは違います。

上記のようなことから、私は、デフレ脱却には、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が必要不可欠だと思います。だから、この両方をバランスを取りながに実行していくべきと、主張する政治グルーブが、最も信頼できます。

デフレ脱却等経済状況検討会議であいさつする野田総理デフレの解は、
会議をすることで実現されることではない!!ましてや、増税゛てもない!!
もし、選挙になれば、まずは、このような主張をする政治グループを最優先にするべきです。ちなみに、政治グループとしたのは、次の選挙では、既存の政党による、連合、連携、さらには、既存の政党とは異なるタイプの政治グルーブも出てくる可能性があると思ったからです。あとは、おまけ程度と考えて、まずは先の主張をしないようなグループには、目もくれるべきではありません。複数そのようなグルーブがでてきた場合は、そのオマケが決め手になるかもしれませんが、それにしても、先のことをより具体的に主張するグルーブが良いと思います。

以前このブログにも述べたように、現在デフレです。このデフレを克服しない限りは、何をやっても、あちらを立てれば、こちらが立たず、こちらを立てれば、あちらが立たなくなり、結局はもぐら叩きになるだけです。

政府は結局もぐらたたきをして、遊んできただけ
経済の前に安全保障や、その他の重要な問題もあるではないかと主張する方もいらっしゃるかもしれませんが、それは、それとして、何もやるなとは言いませんが、デフレ解消は、現在日本にとって、エネルギー問題や、安全保障なども含めて重要な問題が10あったとして、デフレが解消できれば、全部とはいえなくても、5つや、6つは解決できます。しかし、これが解消しなければ、何も解決できず、何かを解決すれば他にしわ寄せがいくだけです。ひらたくいうと、デフレ不況の中では、自衛隊員を増やすこともできなくなるし、高額な兵器も購入できなくなります。エネルギー問題だって何か新しいエネルギー源をみつけて、実用化するのだって、先立つものと、時間が必要です。余裕がなければ、何もできません。


税と社会保障の一体改革などを行っても、現状は以前にも述べたように、結局高齢者や、富裕層に所得移転が起こるだけです。だからといって、貧困層や若者に手厚い措置をするようにすれば、他者にしわ寄せがいくだけです。結局、何をやっても、しわ寄せが及ぶ対象が変わるだけです。

だからこそ、次の選挙は、「デフレ対策」が最大の争点にならなければならないはずです。私自身は、もし、デフレでなければ、やるべきことは多数あるとは思うのですが、そんなことは棚上げにして今は、デフレをなるべく早期に解消すべきと思うのです、他のことはすべて後回しにすべきと思います。

デフレ対策なしに、あれこれ、夢を語る政治グループは最低であり、結局何もできないと思います。そうして、それをやったのが民主党です。そうして、野田首相は、「増税に政治生命をかける」などと、馬鹿なことを言っています。しかし、これは、菅首相が、参議院議員選挙のときに、自民党と同じ主張をすることによって、あわよくば、連立政権を樹立して、自らの政治生命を延長させようと、画策したということであり、全く政治生命をかけるようなものではありません。

民主党鳩山内閣、この日の高揚は二度とやって来ない!!

民主党は、もう将来はないことを自覚して、いつまでも、ズルズルべったりで、政権をなるべく伸ばすというような姑息なことはやめて、さっさと選挙をして決着をつけるべきです。飛ぶ鳥あとを濁さずという言葉を思い起こすべきです。

そうして、日本を良くしようと、本気で考え次の選挙に打って出ようとする方、是非とも頑張ってください。現在、政局は混迷しています。だから、その渦中にいると、大事なことを見失がちです。かえって、素人の私などのほうが、先を見やすいかもしれません。私は、本当に日本が良くなって欲しいと思っています。だから、選挙に打って出ようとする方に私の見方でも、参考になるかもしれないと思い、本日は、不遜ながらこのような投稿をさせていただきました。



【関連記事】

【日本の解き方】動き出す200兆円公共投資!増税談合で利権分け前か―【私の論評】デフレ脱却には、やはり、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が不可欠!!


小沢氏ら57人反対=増税法案が衆院通過―民主、事実上分裂−【私の論評】衆院を通ったからといって、消費税増税がそのまま実施されるとは限らない!!


日本の橋や道路が傷んできた 補修財源「30兆円」足りない―【私の論評】何が必要なインフラか、選別をするのは、結構だが、今は、人からコンクリートへが緊急の課題である!!



2012年7月1日日曜日

【日本の解き方】動き出す200兆円公共投資!増税談合で利権分け前か―【私の論評】デフレ脱却には、やはり、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が不可欠!!

【日本の解き方】動き出す200兆円公共投資!増税談合で利権分け前か:



公共投資の復権を考えている人が出始めてきた。自民党は「国土強靭化法案」を今国会に提出している。10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資するという。

公共投資をすれば名目GDP(国内総生産)が伸びるという人もいるが、名目GDP伸び率と名目公共投資伸び率のデータを見ると関係はない。理論的には公共投資の需要創出効果はあまりない。十分な金融緩和がないと円高を誘発し輸出減となるという、いわゆる「マンデル=フレミング効果」があるからだ。

そもそも総額200兆円が先に出てくるのがおかしい。本来、公共投資は個々のプロジェクトでみて、便益と費用の比率(B/C)は1を上回っていれば採択し、下回っていたら不採択である。先に総額を決めるというのは、こうした個々のプロジェクトごとの採択基準を無視することにつながる。

それは筆者の大蔵省時代の経験からもいえる。公共投資のB/Cの計算チェックを行った。個別プロジェクトでB/Cが1・00という例が多く、それらはすこし間違いを探すと1・00未満になってしまう。そのような事例が多くなったら、チェックをしなくてもよいと言われた。予算総額が決まっていて、そのままでは予算をつけられなくなるからであろう。

建設投資を見ると、確かに投資額が減っている
もっとも、その時の経験ではB/Cが3以上だと不採択(B/Cが1未満)にはならなかった。後日、海外出張して公共投資担当の人とも話したが、やはり同じようなことを言っており、ドイツやニュージーランドではB/Cの採択基準を3や4に設定しているということだった。

そこで、経済財政諮問会議で同様な提案をしたことがあるが、国交省などから強硬な反対があって、実現しなかった。当時の高速道路で採択基準を「3」にすると採択路線は6割も減少になるからだ。逆にいえば、日本の公共投資の採択基準はそれだけ甘いわけだ。

今回は社会保障に使うから大丈夫という理屈であったが、早くも利権たっぷりの公共投資に化けようとしている。デタラメな増税だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】デフレ脱却には、やはり、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が不可欠!!

上の記事を読まれて、皆さんはどう思われたでしょうか?私自身は、高橋洋一氏には従来から、注目しており、氏の意見はもっともであるといつも納得しています。

ただ、今回は、真正面から字面のみ読めば鵜呑みにできない点があります。ただし、裏読みをすれば、高橋氏は、無秩序なインフラ整備には賛同出来ない旨を表明しているのであり、さらに、日銀による金融緩和なしに、デフレからの脱却は困難であることに警鐘を鳴らしていると読み取るべきと思います。

高橋洋一氏
ましてや、自民党など、増税しておいて、無秩序なインフラ整備を多めに行えば、増税しても何も問題ないと考えているとすれば、とんでもない間違いであることを強調したいのだと思います。

確かに、こう考えているとすれば、とんでもないことだと思います。デフレの最中に、増税と、インフラ整備を同時行うのは、危険極まりない行為であると思います。理屈の上では、増税しても、インフラ整備を多めにやれば、国民の所得が増え何も問題ないかのようにも見えます。

福岡市のインフラ整備
しかし、経済というのはバランスが重要ですから、まず、最初は、増税などしないようにして、金融引締めで、暴走している日銀を日銀法改正などで、金融引締め一辺倒ではない金融政策に変更するという担保を確保したうえで、大規模な財政出動をして、税収を増やし、そうこうしているうちに、デフレから脱却したどころか、景気が加熱して、ハイパーインフレになりそうな状況になってきた場合、増税や緊縮財政、金融引締めを実施するというのが、順当な行き方です。

私自身も、従来は、政府の財政出動ばかり期待していたところがありますが、やはり、日銀が金融引き締めばかりやっている最中に、財政出動をしても、短期的には効果があるかもしれませんが、長期的にはデフレ克服までには至らないと思います。

さて、これに関しては、いろいろいと情報が錯綜しており、真実が把握しにくい状況になっています。真実に一歩でも近づくために、以下では、政府の税収に限って、情報を整理していきたいと想います。


さて、上の記事を論評する前に、税収に関してここ30年程度をふりかえっておきます。消費税をはじめて日本で導入して、3%の増税にしたときには、1989年のことで、日本国経済は、インフレ基調であったため、増税した翌年には、税収は増えました。ところが、その翌年から減りはじめ、その次の年は、3%にした年を下回りました。

その後、インフレは収束し、税収は減り続けました、次に、消費税を3%から5%に引き上げた1997年には、若干税収があがりました。ただし、このときはまだ、日本は統計上は、デフレに突入していませんでした。ただし、翌年の1988年に日本経済は、完璧にデフレ基調に移行しました。その後、税収が増えるどころか、1997年の税収を上回ったことはありません。

このデフレの原因は、主に政府による増税を含む緊縮財政と、日銀による金融引き締めによります。特に、1988年から、日銀法が、改悪され、日銀の暴走大勢が露となり、これ以降、完璧に金融引き締め政策を継続するようになりました。とにかく、インフレで冴えなければ良いという具合で、多少のデフレは辞さないという考えで金融政策を定め、実行しているようです。

金融引締め一辺倒で円高を誘導し、中国・アメリカに利する
ことばかり追求する日銀、いずれの国の中央銀行なのか?
しかし、経済学的に、ゆるやかなインフレ(2%から6%くらいまで)は悪性インフレとはいえず、さほど害はないですが、デフレの場合は、ゆるやかなデフレなど存在せず、デフレであること自体が、経済の重篤な病といえます。そもそも、ハイパーインフレは存在しますが、ハイパーデフレなるものは、存在しません。

モノの価値が、一夜で低くなり、モノを買うためにお札を山のよう支払うようなことはあっても、その逆に一夜にして、モノの価格が安くなり、昨日払った金額の1/10で、本日は、同じ商品を購入できるなどということは歴史が始まって以来一度もありません。たとえ、0.5%のデフレであっても、経済の病であることにはかわりありません。大変なことです。そうして、最大でも、年率2%程度のデフレしか、人類は経験したことがありません。



そのため、インフレは誰でもすぐに認識できますが、デフレは意外と多くの人が認識できないため、人の病気きでいえば、自覚症状のない癌のようであり、人によっては、デフレを経済の癌と呼ぶ人もいるくらいです。現在の日本のように、デフレが、14年間も続く異常な状況にいると、デフレが慢性化して、異常な状況を認識しない、ゆでガエル状況の人がでてきます。野田総理や、安住財務大臣などは、今がデフレであり異常な状態であるとは、本当は認識していないのかもしれません。

当時ライブドアの社長だった、堀江貴文氏も今や牢の中
2001年小泉政権になり、この政権は、2006年まで継続した。2003年から、2006年にかけて、税収が増えていますが、これに関しては、小泉政権による、国債の日銀引受は禁じ手でも何でも無く高橋洋一氏主導で、毎年やっていたため、この対策により小泉政権下では1ドル120〜130円台の円安をキープしていました。結果として、日銀に、金融緩和政策を実施させたことになります。この時期に、いわゆる堀江貴文によるライブドア事件、村上ファンド事件が発生したことは記憶に新しいです。


村上ファンドの村上氏、いまはこの人も牢の中
小泉政権は、2006年までしか存続しなかったため、これ傾向は、2008年でピタリと終焉しています。2007年には、税収があがっていますが、これは、小泉政権が終焉して、高橋洋一氏が第一線を退いても、結果としてマネタリーベース(市中で出回っているお金)が、多めであったため、このような結果になったものと推察します。



2008年(平成20年)9月24日から2009年(平成21年)9月16日まで続いた麻生政権による2008年における、予算策定により、2009年中は大規模な財政出動が行われ、景気の拡大がみられました。ちなみに、この30年間で、緊縮財政を行わなかったのは、麻生政権と、小渕政権のみです。おぶち政権のときは、株価が回復して、2万円台だったことをご記憶の人も多いと思います。その後、民主党政権に政権交代し、「コンクリートから人」をスローガンとして、緊縮財政に戻ったため、昨年の3月に発生した、震災による復興需要も、帳消しされ、現在でも、デフレ基調にあります。

平成の幕開けを伝えた、在りし日の小渕氏

また、日銀は、1%のインフレ目処を発表したため、市場も好感し、一時株価が上昇するなどの現象もみられたが、結局追加緩和策などとりやめとなり、あいかわらず、金融引き締め的な金融政策から、脱し切れていません。

未だ記憶にあたらしいニュージーランド地震
私自身は、上の記事で、高橋氏が、日本の公共投資のB/Cが、ドイツやニュージーランドではB/Cの採択基準を3や4に設定しているといいますが、日本とドイツや、ニュージーランドとは、根本的に異なるところがあります。それは、日本は、これらの国に比較して、自然災害が極めて多いということです。最近、ニュージーランドでは地震がありましたが、その後発生した、日本の、地震や津波の被害とは比較しようもなく規模が小さいです。また、日本では、地震は、他国に比較すれば、頻繁に発生します。


毎年繰り返される台風による被害
それに、日本には、これらの国にはない、台風による風水害その他の災害が毎年のように発生しています。さらに湿度も高く、インフラが痛みやすい条件が揃っています。だから、日本のB/Cがこれらの国より、多少甘くなるのは、当然のことと思います。それに、このブログの冒頭で示したグラフのように、建設投資など、数十年前の水準にまで下がっています。そのため、最近では、老朽化したインフラが目立っていることも事実です。そのため、経済効果が薄いにしても、やるべき公共工事は実施しなければなりません。それに、同じ公共工事でも、経済効果が高いものは、優先的に実施するべきと思います。

しかし、高橋氏は、自民党による国土強靱化は、10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資ということだけで、どのような投資をするのか、そのビジョンがはっきりしていないことを批判しているのだと思います。


そうして、忘れてはならないのは、日本のデフレ脱却は、まずは、日銀によるデフレ促進策をやめさせること、その上で、今後の日本のあるべき姿に向けた、強力な財政出動を行うべきことです。日銀の金融政策が変わらない限り、円高は是正されず、となれば、産業の空洞化は避けられません。だからこそ、この両輪が揃わない限り、あり得ないということです。


経済も、人体のように均整のとれたプロポーションであらねば?
それに、増税しつつ、インフラ整備に多大な資金投下するということは、癌患者に対して、癌の進行を止めるどころか、進行させるような外科手術を施し、それと同時に抗癌剤を投与するような、ハチャメチャなやり方です。こんなやり方をすれば、癌患者がどうなるのか、わかったものではありません。とんでもないことです。高橋氏は、だからこそ、上の記事のような言い回しになったのであり、順番など間違えていなければ、上のような言い方はしなかったと思います。経済は、人体が均整がとれてなければ、問題があるのと同じように、時間軸も含めた種々様々なバランスのもとに成り立っていることを忘れてはいけないということです。


みなさんは、どう思われますか?





【関連記事】

小沢氏ら57人反対=増税法案が衆院通過―民主、事実上分裂−【私の論評】衆院を通ったからといって、消費税増税がそのまま実施されるとは限らない!!


日本の橋や道路が傷んできた 補修財源「30兆円」足りない―【私の論評】何が必要なインフラか、選別をするのは、結構だが、今は、人からコンクリートへが緊急の課題である!!




2012年5月31日木曜日

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!―【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!:

母親の生活保護に関して、釈明会見をする河本純一さん
 生活保護問題が急にクローズアップされた。生活保護の増加の背景に不正受給があると思われているからだ。だが、増加の主な要因は不正受給だけではない。金融政策によるデフレ脱却と「負の所得税」の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。

生活保護問題に金融政策が関わっていることに違和感を持つ人もいるだろう。しかし、米国の金融政策は雇用の確保が法的に義務づけられている。バーナンキFRB議長に対する記者会見でも、話題はもっぱら失業率の話だ。

金融政策で失業率を低下させることができるので、生活保護問題の解決には有効だ。日本では、雇用・労働問題を構造問題としてとらえる経済学者、社会学者、法学者ばかりだ。雇用、労働問題をマクロの金融政策で対処しようとしないのは、筆者から見れば奇妙なことに思える。

マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。


釈明会見をする梶原雄太さん


【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

上の記事の結論は、「マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう」ということです。そうして、このマクロと、ミクロの政策、どちらが優先順位が高いかといえば、当然マクロ政策です。これ抜きにミクロ政策だけやっても根本解決にはなりません。今の政府、まともなマクロ政策はせずに、目先のミクロ政策だけやって、結局モグラ叩きに終始しています。

上の記事を見て、高橋洋一氏も指摘していたように、金融政策と、生活保護の問題との関連性を奇異に感じる人もいるかもしれません。しかし、これは、本当です。どこの国でも、その時点で2%程度のインフレになれば、その後どうなるかは別にして、それだけで、一夜にして大きな雇用が創出されます。

日本や、アメリカなどであれば、一夜にして、数百万の雇用が創出されます。また、その逆も真であり、デフレになれば、それだけで、一夜にして、数百万人の雇用が失われます。これを否定する人は、経済を語る資格がありません。

そうして、これは、マクロ経済学上の常識であり、これを否定することはできません。そうして、何もこれは、いわゆる教条主義ということではなくて、古今東西の事実が示す真理です。まずは、これを否定するまともな経済学者いないでしょう。そうして、米国では、金融政策が雇用の確保に法的に義務付けられているということです。

アメリカで大恐慌時にパンを求めて行列する人の像
そんなに簡単なら、雇用問題などすぐに解決できるではないか、という方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうです。無論、雇用問題のすべてが、金融政策だけで解決できるとは限りません。たとえば、雇用のミスマッチの問題もあります。金融政策が雇用と密接に結びついていると認識されているアメリカでさえ、雇用問題はあります。しかし、アメリカでは、日本などと比較すると、比較的短期間に雇用問題を解決できています。今まで、アメリカでも深刻な雇用問題に直面しても、少なくとも日本よりは、早く解決できています。これは、金融政策を雇用問題解消の大きなツールであることを認識し、このツールを活用してきたからにほかなりません。雇用問題の根底には、金融政策が不可欠であるということです。

バーナンキFRB議長
とにかく、雇用と金融政策が密接な関係にあるということが、日本では、ほとんど認識されていません。これが、一般の人であれば、そこまで考える必要はないのかもしれませんが、それにしても、ある程度社会的に高い地位にある人は、どのような分野で働いていたとしても、常識として知っておくべき重要な事柄だと思います。


そうして、生活保護は、雇用と密接に関係しています。雇用が増えれば、生活保護受給者数は減ります。雇用が減少すれば、生活保護は増えます。これも当然のことです。

だから、上記の記事のように、生活保護の問題を考える際には、金融政策が不可欠であり、これを変えずに、この問題を考えていても、根本的な解決にはなりません。そうして、個人のモラルなどのことばかり考えていても、何の解決にもならないわけです。金融政策を抜きにこの問題を考え、対策を打ったとしても、結局は何の解決にもなりりません。モグラ叩きになるだけです。


無論個人のモラルの問題もあると思います。しかし、それは、金融政策などで、十分雇用が確保されるような状態になっているときに、論じられるべきであって、そうではないときに、論じても仕方のないことです。まずは、デフレを解消しなければどうにもなりません。

それに雇用の問題は、生活保護だけの問題ではありません。これは、学生の就職にも密接に連なる問題です。最近、就活の問題もクローズアップされていますが、この場合も、多くの人が、デフレのことは問題にせずに、ミクロ的な問題である企業サイドの問題、学生サイドの問題にばかり集中しています。これでは、なんら根本的解決にはなりません。デフレで雇用が減少している最中に、企業や学生のことだけ考えていても、これもモグラ叩きになるだけです。


ところで、総務省が25日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0・2%増となり、3カ月連続でプラスになった。ただし、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合指数は前年同月比は0・3%の下落となりました。

この数字は変動の大きい食料とエネルギーを除く米国型コア指数で、基本的な物価動向を示すものとされているが、09年1月から3年4カ月マイナスのままです。

このようにデフレは若干緩和しつつあるものの、依然として継続中です。5月23日には日銀が追加緩和を見送ったことで、円高と株安が進みましたが、現状の金融政策のスタンスでは、リーマン・ショック時のような日本の独り負け状態になってしまうのでのではないでしょうか?とにかく、日銀は、自ら提示した、1%インフレ目処も実行するつもりはないようです。

スペイン中央銀行
中央銀行の独立性は、政府の金融政策の指示に従って、その金融政策を実施する際の手法を専門家の立場から選ぶ自由があるというのが本来の姿であり、これが、世界の常識です。ところが、日銀法が平成10年に改正されて、日銀がやってきたことは、金融政策まで独自で決定して、実行するというスタンスをとってきました。そうして、ことあるごとに、結局は、デフレを促進する金融政策である金融引き締めばかりを実行してきました。

日銀白川総裁

このデフレのままでは、雇用問題も解消せず、生活保護問題も解消しないということです。さて、本日は、生活保護、雇用の側面を中心に掲載してきましたが、このような問題に対しても、生活保護の受給者のモラルの問題など、生活保護の制度自体とか、いわゆる、ミクロの見方だけでは、この問題の根本的解決にはならないということてず。金融政策などの、マクロな見方ができなければ、解決になりません。


そうして、ミクロ的な見方による解決方法は、私たち個人や、企業でも、直接介入して解消することもできます。しかし、マクロ的な事柄に関しては、直接はできません。しかし、間接的にでも、できる方法があります。

そうです。それは、国をマクロ的な見方で、見てそれに対策を打つべき主体であるべき、政治家を選挙で選ぶという行為です。そうして、失われた20年を30年にしないためには、日銀法を改正して、本来の中央銀行の役割にもどすことを主張する政治家を選ぶべきです。


【関連記事】

日銀総裁いいたい放題!円高にしてくれといわんばかり−【私の論評】締めっぱなしでは、日銀DNAを存分に発揮できる場はつくれない!!






狡猾な朝日新聞 政治記者なら百も承知も…報じる「選挙対策 かさむ出費」とを大悪事、合唱し続ける本当の狙い―【私の論評】政治資金問題は、民主主義体制である限り完璧にはなくなることはない

花田紀凱 天下の暴論プラス ■ 狡猾な朝日新聞 政治記者なら百も承知も…報じる「選挙対策 かさむ出費」とを大悪事、合唱し続ける本当の狙い ■ 花田紀凱 まとめ 朝日新聞が政治資金に関する問題を取り上げ、特に選挙対策での費用増加を指摘。 議員たちは地元対策や事務所運営のために多額の...