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2016年5月27日金曜日

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判―【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!

【伊勢志摩サミット】中国「強烈な不満」表明 南シナ海問題言及のG7首脳宣言を批判

北京の中国外務省で記者会見する華春瑩副報道局長=27日

 中国外務省の華春瑩副報道局長は27日の記者会見で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言が南シナ海問題に言及したことについて「日本とG7(先進7カ国)のやり方に強烈な不満を表明する」と批判した。

 議長国を務めた日本に対し「サミットを主催し、南シナ海問題をあおり立て、緊張を高めた」と反発。南シナ海問題の議題化は「先進国が経済について話し合う場というサミットの性格にそぐわない」と指摘した。

 G7に対しては「客観的で公正な立場に基づき、無責任な言論をやめ、地域の平和と安定に資するよう望む」と要求。南シナ海での軍事施設建設などは「完全に主権の範囲内だ」と重ねて主張した上で「個別の国が『航行の自由』を掲げて中国の顔に泥を塗るのには断固として反対する」と述べ、米国を暗に批判した。

【私の論評】南シナ海からの中国の排除の準備が着々と進められている(゚д゚)!
伊勢志摩サミットの記念撮影に臨む(左から)トゥスクEU首脳会議常任議長、イタリアのレンツィ首相、ドイツのメルケル首相、米国のオバマ大統領、安倍晋三首相、フランスのオランド大統領、英国のキャメロン首相、カナダのトルドー首相、ユンケル欧州委員長。後方は英虞(あご)湾=26日午後4時、三重県志摩市の志摩観光ホテル

G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)に関して、その概要は以下のリンクをご覧ください。
G7伊勢志摩首脳宣言(骨子)
宣言の概要は、この骨子をご覧いただくものとして、中国が問題とする部分のみ以下にピックアップしておきます。4項目目の、(6)に以下のような記載があります。

4 政治外交

(6)海洋安全保障 
●国際法に基づいて主張を行うこと,力や威圧を用いないこと,紛争解決には,仲裁手続 を含む司法手続によるものを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認。東 シナ海・南シナ海の状況を懸念し,「海洋安全保障に関するG7外相声明」を支持。
これは、中国を名指しこそしていませんが、中国の南シナ海での環礁の埋め立てを、G7首脳は全員これを認めないことを示しています。

これは、骨子ですが、宣言には「法の支配の3原則」が明記されています。これに関しては、前もってこれを盛り込むことは、サミットの前に決定していました。これは、安倍総理による中国に対する最終警告と言っても良いものです。これに、に関して、以下に説明します。これは、安倍晋三首相が海洋安全保障をめぐって2014年に提唱したものです。

この3原則は、(1)国家は法に基づき主張する(2)力や威圧を用いない(3)紛争解決へ平和的解決を徹底する-が柱となっています。

これにより、伊勢志摩サミット首脳宣言は、中国による、南シナ海での軍事拠点化への懸念と反対を盛り込んだ宣言の素案に3原則の内容を新たに加えることで、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海での挑発行為なども念頭に置き、名指しは避けながらも中国に対して「強い反対」を打ち出しました。

中国は14年5月、安倍首相がシンガポールで開かれたアジア安全保障会議で3原則を表明した際に反発した経緯がありました。G7によるこの3原則を含む首脳宣言は、中国にとって“屈辱的宣言”となりました。だからこそ、ブログ冒頭の記事のように中国は、本日「強烈な不満」を表明したのです。

中国が軍事基地化を進める南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島にあるスビ礁
日、米、カナダ等とは異なり、欧州各国は、中国の覇権主義的手法を問題視しながらも、地理的に軍事的な脅威にやや鈍感で、中国を刺激して経済的利益を損ねないよう及び腰になる部分もありました。

これを、安倍首相が議長国の立場を活用して議論をリードし、南シナ海の「航行の自由」を守るオバマ氏とともに、欧州各国の対中観との隔たりを縮めていきました。

結果、各国首脳からは「力による現状変更や規範の無視は許されない」「基本的な規範や国際法の順守が重要だ」「海洋の安全保障や力による現状変更への反対には、明白で厳しい姿勢で臨むべきだ」などと賛同する意見が相次ぎました。

そうして、最終的にこの3原則が、首脳宣言に盛り込まれことになったのです。

これをけん制するため、中国海軍のミサイル駆逐艦「合肥」「蘭州」、ミサイル護衛艦「三亜」、総合補給艦「洪湖」からなる南海艦隊遠洋訓練艦隊は21日午後、西太平洋某海域で実弾射撃訓練を実施したことを、人民網日本語版が23日、中国軍網の報道として伝えていました。

中国南海艦隊
まさに「盗人猛々しい」とは、このような中国の振る舞いです。南シナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化したり、東シナ海の日中中間線付近に軍事拠点化が懸念される海洋プラットホームを次々に増設して、地域情勢を緊張させているのは、中国です。

さて、上で示した首脳宣言のなかの「海洋安全保障」の項目には、 「国際法にもとづき主張を行うこと」との記載があります。この意味するところを以下に掲載します。

国際法には「法」という字がついていますが、日常生活で「法律」という言葉からイメージするものとは大きな違いがあります。

民事や刑事の訴訟などで使われる法律は国内法です。国内法は主権を持った統一政府によって強制される法なので、「強制法」といいます。国内では、警察などの法執行機関が法律を破った人を取り締まるわけです。

一方、国際社会には警察のような強制力を持った組織はありません。国際法はあくまで主権国家同士の合意によって成り立っているものなので、「合意法」といいます。当事国のどれか一国が仲裁裁判所の裁定を破った場合は、その他の国は守る義務はありません。

この国際法の原則からいえば、現状のままだと、米国が軍事力を行使したとすると、中国は米国を強く非難することになります。それこそ、虚妄の南京虐殺や慰安婦問題などで鍛え上げた、ありもしない虚妄にもとづき歴史を修正して、米国に徹底的に噛みつきます。国連の場や、ありとあらゆる機会を利用して、様々な活動を展開して、米国を悩ますことでしょう。

オランダ・ハーグの常設国際裁判所
それに対して米国は反論することもままならない状況に追い込まれることすら予想されますが、南シナ海の領有権問題でオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所の判断が今年の夏あたりに、出される予定です。この裁定は、当然のことながら、国際法に照らして、中国にとってはかなり不利な裁定となるのは必定です。

さらに、今回G7の首脳宣言は、上記で示したような海上の安全保障に関する宣言も含んでいます。これは、少なくとG7の首脳は、仮に中国が南シナ海の領有をやめない場合は、中国が一方的に国際法を破棄したものとみなすことになります。

裁定がおりた後なら、米国が南シナ海や、東シナ海で軍事力を行使したとしても、中国による力による現状変更を、力によって元に戻したということになるだけです。これは、上で示したように、中国が一方的に国際法を破ったことになり、南シナ海や東シナ海から中国を力ずくで排除したとしても、国際法を破ったことにはなりません。

中国が、現状を変更しないかぎり、米国は、何の後腐れもなく、軍事行動に打って出ることができるのです。

米国が本格的に軍事行動にでれば、南シナ海における中国にはなすすべがありません。中国の軍事力、特に海軍力は、米国よりはるかに劣っています。軍事力ランキングなどで比較すると、海軍力は日本よりも劣っています。

これでは、もう時間の問題です。中国としては、負け犬の遠吠えをする以外に何もできないわけです。

今回のサミットは、中国にさらに楔が強く打ち込まれた形となりました。着々と、南シナ海からの中国の排除が進められています。

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2016年5月18日水曜日

国の借金1000兆円超」に騙されてはいけない 純債務残高は米英より健全 ―【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!


マスコミの得意な報道 ミスリーディングも甚だしい

国の借金が1049兆円になったという報道があったが、国の財政の実態については誤解も多い。

ここでいう「国」とは政府のことであるが、マスコミ向けの統計数字はいろいろある。代表的なものとして「国の公債残高」「国と地方の長期債務残高」「国債及び借入金残高」という3つの違う概念があり、それぞれは2016年度末で838兆円、1062兆円、1191兆円と見込まれる-と最新の財務省のパンフレットに書かれている。

「国と地方の長期債務残高」は、国債残高に地方債などを加えたものだし、「国債及び借入金残高」は、地方分を入れないかわりに短期証券等を加えている。

今回発表されたのは「国債及び借入金残高」の15年度末の数字1049兆円だ。ちなみに昨年の財務省パンフレットには、15年度見込みとして1167兆円と書かれていた。

内訳を見ると、見込みと実績のそれぞれで、普通国債で807兆円と805兆円、借入金等で63兆円と64兆円、財投債98兆円と96兆円、政府短期証券199兆円と84兆円となっており、パンフレットに書かれていた見込み額は100兆円以上も過大な数字になっていた。

いずれにしても、債務だけをいろいろな数字で説明しても不十分で、本当の国(政府)の財政状況を示すには、バランスシート(貸借対照表)が不可欠だ。

筆者は大蔵官僚だった1995年、初めて国のバランスシートを作った。2003年度版から正式に公表されている。ところが、マスコミはバランスシートを読めないのか、あまり報道されていない。

今年1月、国の財務書類として公表されたものを見ると、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円であることがわかる。

こうした話をすると、「国の金融資産といっても社会保障基金の積立金は取り崩せない」という人が出てくるが、本当にバランスシートを読んでいるのか筆者は怪しいと思っている。

バランスシートをみれば、資産側の社会保障基金積立金は負債側の公的年金預かり金と見合っており、ネットで債務残高を見るときには意味がないからだ。財務省の言いなりになっているのだろう。

さらに重要なのは、政府だけではなく、「関連会社」を含めた連結ベースのバランスシートだ。これも公表されているのだが、重要な組織である日銀が連結対象になっていない。そこで、日銀を含めて連結ベースのバランスシートをみると、ネットの債務残高は170兆円にまで減少してしまう。

これが、本当の債務残高の姿である。国内総生産(GDP)比でみると2割以下であり、米国や英国と比較しても小さい。このような状況だから、現時点では財政破綻の可能性は極めて小さく、国債金利がマイナスになるのも納得できる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!

国(政府)の借金が1049兆円になったという報道の代表的なものをあげておきます。読売新聞の報道です。
「国の借金」、1049兆円…7年ぶり減少
 財務省は10日、国債など「国の借金」が2015年度末時点で1049兆3661億円と、14年度より3兆9911億円減ったと発表した。

国がお金を短期で借りるために発行する政府短期証券が大きく減ったためだ。日本銀行のマイナス金利政策などの影響で、利回りが低下した政府短期証券への需要が少なくなった。 
 残高が前年度より減ったのは08年度以来、7年ぶり。ただ、国民1人当たりの借金は約826万円となる計算で、危機的な財政状況に変わりはない。 
 財務省は3か月ごとに、国債と借入金、政府短期証券それぞれの残高の合計を発表している。国債の残高は910兆円だった。
このような報道と並んで、よく報道されるのが、下のようなグラフです。そうして、おどろおどろしく、国民一人あたりの換算で、826万円の借金などと報道されます。

■国の借金の推移(単位:兆円、2016年3月末)

このような報道をするものですから、多くの人は、「大変だ」「とんでもないことになる」などと思い込んでしまうわけです。

しかし、この捉え方は全くの間違いです。高橋洋一氏の上の記事から、日本(政府)の財務状況をまとめておくと、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円です。

要するに財務省が公表し、その公表を鵜呑みにして各メディアが報道する国の借金という概念は非常におかしいです。そもそも、国の借金という言い方自体もおかしいです。本来は、政府の借金とすべきです。

国=政府ではないです。国ということであれば、日本国は借金どころか、対外金融純資産(すなわち、日本国が外国に貸し付けているお金)は、過去20年以上も世界一(毎年5月に発表されます。最新の数字では41兆円です)です。ここからして、日本国が借金をしているという考え方は全くの間違いです。

日本は国としては、借金どころか、世界で一番外国に金を貸し付けている国ということです。だから、断じて、日本国が借金まみれというのは全くの虚構です。

ただし、政府は借金をしています。しかし、日本国には政府の他にも、家計、銀行、民間企業などの経済主体があります。それらも合わせた、日本国全体では日本国は、借金がないどころか、世界一金を貸し付けている国ということになります。

では、政府の借金はどうなのかといえば、高橋洋一氏が上の記事で指摘している通り、まずはグロス(総額)でみれば、確かに14年度末でも、国債を含めた負債総額1172兆円ですが、政府の資産総額は、680兆円ですから、負債から資産を差し引いたネット(正味)でみれば、492兆円なのです。おそらく、15年度末はこれよりも低くなっていると思います。

これは、本当に簡単にたとえることができます。ある人がジーンズの右ポケツトに1000円の借用書が入っていたとして、左ポケットに600円入っていたとして、この人の借金はいくらでしょう。確かにグロスでは1000円ですが、正味では400円です。

右ポケツトと左ポケツト?
普通個人の場合でも、その人の借金総額を見る場合、お金以外のものならそういうわけにはいかないかもしれませんが、お金を持っていれば、その個人の借金はグロスではなく正味で見るのが正しい見方でしょう。

しかし、なぜか政府の借金となると、主管省庁である財務省はグロスで公表し、メディアも財務省が公表したグロスの数値をそのまま報道します。これは、本当に奇異な習慣です。

そうして、さらに、政府の下請けである日本銀行も含めたバランスシートで、政府の借金を計算すると、ネットの債務残高170兆円です。GDPを500兆とすれば、GDP比で34%程度に過ぎません。

同じ見方で、イギリス、米国を計算すると、イギリスGDP比で60%程度、米国は80% (両方とも昨年の値)程度です。これで、日本が財政破綻するとか、国債が暴騰するなどということはあり得ないことがわかります。 実際、国債の金利はほとんどゼロに近いです。この状況を、国の借金1000兆円を信じる人たちは、どのように説明するのでしょうか。

もう、こんなまやかしは続けるべきではありません。この状況なら、消費税をあげる必要などそもそもありません。

一般の人々がこの途方もない嘘を、信じこんでしまうのはある程度は仕方ないと思います。しかし、この嘘を流布する官僚や学者、信じこんでしまう政治家やマスコミなど、もうそろそろ排除すべき時ではないかと思います。こんな連中によってたかって、10%増税など実行されてはたまったものではありません。

このような官僚、学者、政治家、マスコミは日本を悪くするだけです。

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2016年5月1日日曜日

日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示―【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!

日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示

閉幕する中国全人代に臨む(左から)習近平国家主席と李克強首相=3月16日、北京の人民大会堂

今から1800年ほど前の中国大陸で魏、呉、蜀が覇権を争った三国時代。日本でも劉備、曹操、孫権らが登場するこの時代は「三国志」として親しまれている。しかし、中国では三国時代などを題材にした日本のアニメやゲームが伝統的価値観を崩壊させてしまうとの指摘が出ている。日本のアニメやゲームの文化が中国人青年を“洗脳”し、自国の歴史への「正しい認識」をゆがめてしまうというのが彼らの主張だ。支配秩序を乱す恐れがあるという観点から中国共産党に狙い撃ちされる日本のアニメも出始めた。

■「5000年の歴史を持つ大国のメンツは!」と憤慨

 中国メディアの騰訊網は4月11日、「文化侵略?日本のアニメ・ゲームが『三国』に対する認知を破壊した」と題した記事を掲載した。記事は日本のアニメやゲーム業界で三国時代を題材にした作品が次々と出ていると指摘。「史実に基づかない多くのシーンが、中国の若者の頭に浮かぶようになった」と現状を説明したうえで、「われわれはすでに、日本のアニメ・ゲーム文化によって洗脳された世代の人間なのだ」と嘆いた。

日本のスマゲー『三国志ロワイヤル』
記事は三国時代をテーマにしたアニメやゲームとして「一騎当千」「龍狼伝」「SDガンダム三国伝」「恋姫†無双シリーズ」など取り上げ、「中国の古典名著が異邦人によって書き改められている。5000年の歴史文化を持つ大国のメンツはどこにあるのか」と憤慨してみせた。

■中国社会にすっかり浸透した日本のアニメ

 中国の古代をテーマにした日本のアニメやゲームは多く、秦の始皇帝の死による大乱から漢王朝樹立への道を描いた「項羽と劉邦」、宋の時代を舞台に宋江(そうこう)ら108人の豪傑が活躍する「水滸伝」、戦国時代にやがて秦の始皇帝となる秦王・●(=亡の下に口、下に月女迅のつくりを横に並べる)政(えいせい)と、大将軍を目指す少年・信(しん)の活躍を描く「キングダム」など枚挙にいとまがない。

中国ではテレビの普及とともに1980年代以降、日本からさまざまなアニメ番組が輸入された。「一休さん」、「ドラえもん」、「ドラゴンボール」、「聖闘士聖矢」など日本国内でもおなじみの作品を中国の子供たちは観て育ち、その作品は今はすっかり大人となった中国人の脳裏に刻み込まれている。2000年以降はインターネットで作品の配信も行われるようになり、日本のアニメやゲームは中国社会に大きな影響を与えている。

■危機感募らす習近平政権が日本アニメを“攻撃”

騰訊網が記事の中であらわにした危機感は、中国社会の中に日本のアニメやゲームの文化がすっかり根付いてしまったことを逆に裏付けるものだが、こうしたなか習近平政権は日本のアニメやゲームなどを狙い撃ちし始めている。

 昨年6月に上海で開かれ国際映画祭に合わせて日本の作品が紹介されたが、日本国内でも人気が高い「進撃の巨人」は上映できなかった。この時は、その理由が明らかにされなかったが、中国文化省は映画祭に先立って、「進撃の巨人」や「寄生獣」など38作品のリストを公表。インターネットでの配信を禁止する措置を取っており、この影響を受けたとみられている。

38作品をリスト化した表向きの理由は「未成年者の犯罪や暴力、ポルノ、テロ活動をあおる内容が含まれる」というものだが、中国政府や共産党の見解を額面通りに受け取るような人はよほどのお人好しだろう。


■「ドラえもん」にまでかみつく

を捕食する「巨人」が支配する世界で、築いた壁の内側で戦きながら暮らす人類がやがて「巨人」との戦いを決意する「進撃の巨人」は、中国共産党の支配力が着実に浸透している香港に重ね合わせることもできる。巨人=中国共産党であり、人類=香港の人々という具合に。「進撃の巨人」は世界中でファンを獲得したが、香港でも大きな反響を呼んだ。

昨年春には北京テレビが「名探偵コナン」を取り上げ、「アニメ作品の旗を掲げた、あからさまな犯罪の教科書だ」と批判。また、2014年9月には成都市共産党委員会機関紙の成都日報が「ドラえもん」にかみついた。成都日報は「ドラえもん」が2020年東京五輪招致の際に招致スペシャルアンバサダー(特別大使)に就任したことなどに触れ、「ドラえもんは国家としての価値観を輸出し、日本の文化戦略で重要な役割を果たす」と主張。むやみに親しみを持たないように呼びかけた。

これだけ中国政府や共産党が日本のアニメやゲームの文化に対して警戒感と敵愾心を示すのは「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識している明らかな証拠だろう。

【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!

上の記事では、「これだけ中国政府や共産党が日本のアニメやゲームの文化に対して警戒感と敵愾心を示すのは「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識している明らかな証拠だろう」と結んでいます。

それでは、なぜ中国の共産党(=中国共産党)は「たかがアニメやゲーム」と侮れない発信力があると認識するのでしょうか。無論、中国のアニメやゲームと比較すれば、日本のそれのほうが、格段に優れていて、中国の人民をも惹きつけるからでしょう。

これに比較して、中国のアニメやゲームなど、日本ではほとんど見られたりとか、プレイさたりという話は聞いたことがありません。あまりの低水準のため、日本のテレビで放映されたり、ゲームがダウンロードされるということもないのだと思います。

しかし、それだけのことであれば、なぜ中国共産党(中国政府)が警戒心と敵愾心を示すのか説明がつきません。

日本であれば「たかがアニメやゲーム」であり、それをすぐに現実と結びつける人などいません。日本人は、西欧とは異なり、青年や大人もアニメを見たり、ゲームをしたりしますが、その人たちのほとんどがアニメや、ゲームの世界を現実世界とダブらせることはありません。というより、現実世界から全くかけ離れたアニメやゲームのほうが非日常的であるからこそ、面白いし楽しいのだと思います。

しかし、中国では異なるようです。上の記事では、「『進撃の巨人』について、中国共産党の支配力が着実に浸透している香港に重ね合わせることもできる」としていますが、これを最初に語ったのは、香港の芸術家・ケイシー・ウォン(黄国才)です。

黄国才氏の作品「ベンチ」 廃材を利用したものです
彼は、香港で本作が評判を生んでいる要因として、1997年まで英国植民地として「壁」に守られていた香港が、中国返還後は中国資本メディアの台頭や、中国人移民の激増という「巨人」に脅かされ、自由な空気が損なわれている、という香港の時代背景を挙げ、本作のプロットとの共通性を指摘していました。

なお2011年3月11日以降はこの作品は内容上、東日本大震災に絡めて評されることが多くなりました。『ダ・ヴィンチ』2011年6月号掲載の特集では、「作中に登場する“前に巨人に襲われてから100年経っていたため脅威を忘れていた人々”や“自分の財産を守ろうとして人々の避難を邪魔した商人”などのキャラクター、そして“巨人”そのもの。これら全てが震災前に描かれたにもかかわらず震災を連想させるものばかりであり、震災後の日本と同じく本作も巨人から世界を取り戻すという“復興”を目指す作品である」とした上で、「ますます時代に関わる重要な作品になっていくだろう」と紹介しています。

震災については作家諫山自身も映画評論家・町山智浩との対談記事にて「作品内容に影響は無い」としながらも、別のインタビュー記事では「以前の日本には閉塞感が漂っていたが、震災を境に変わってしまった。今後は目の前にある脅威に対してどうやって勝ち得るのかを描いていきたい」と述べています。

私自身は、この作品は最初から、日本の安全保障を暗喩するものであると感じていました。しかし、見方によれば、この漫画の設定は、すべてフィクションであることから、日本以外の国でもあてはまるといえば、当てはまるので、無論香港に当てはめることもできるし、他のどのような国にも当てはめて考えることもできるわけです。

この作品は、それだけスケールの多い作品だということです。日本のアニメや、ゲームなど大人が見たり、プレイすることも念頭に入れて作られているので、大人を飽きせないためでしょうが、かなりスケール大きな内容のものが多いです。

その中には、人類としての普遍的な価値観を含むものもあります。この人類の普遍的価値観の中には、中国の最高統治機関である中国共産党にはなじまないものもあります。

そうして、なぜ中国共産党がこれに、警戒感と敵愾心を示すかといえば、やはり中国共産党の統治の正当性が脆弱であるということです。

どの時代のどの為政者も、特定の地域を長期間にわたって統治できるのは、統治の正当性があるからです。しかし、中国共産党は日本政府と比較すれば、統治の正当性がかなり脆弱です。

彼らは、昨年抗日70年記念軍事パレードを挙行しましたが、これ自体が中国共産党の統治の正当性の脆弱性をものがっています。そもそも、中国共産党は日本と直接戦争や、戦闘などしたことがありません。小さな小競り合いなど程度ならあったかもしれませんが、まともに戦ったことはありません。

日本が大東亜戦争時に戦ったのは、中華民国であり、今日の中華人民共和国は建国すらされていませんでした。中華人民共和国が成立したのは、1949年であり、大東亜戦争が終了してから4年後のことです。

彼らが戦ったのは、日本軍ではなく、中華民国の国民党軍です。そうして、中国共産党は、国民党軍に勝利をおさめ、彼らを台湾に追いやり、その結果中華人民共和国が建国されたのです。

にもかかわらず、中国共産党が抗日記念軍事パレードを行うのには、それなりの理由があります。その理由とは、中華民国と戦ったこと自体は、同じ国の同胞同士が戦った単なる内乱・内紛であり、それに勝利した事だけでは、中国共産党の統治の正当性を主張できないからです。

なぜ主張できないかといえば、中国共産党は、現状の中国版図を軍事力で奪いとったのであり、そこには、多くの人民の同意も何もなく強制的に中華人民共和国を建国したからです。そもそも、現中国では、建国前後も、その後にも選挙など一度も行われておらず、建国以来毎年平均2万件もの暴動が起こったとされています。さらに、2010年あたりからは、毎年平均10万件の暴動が発生しているといわれています。

昨年5月に発生した四川省での大規模な暴動
中国共産党に統治の正当性があるというのなら、これだけの毎年これだけの暴動が発生するはずもありません。日本でも、過去の暴動がなかったとはいいませんが、近年は滅多にみられなくなりましたし、そもそも、日本政府は選挙という民主的手続きで選ばれた政治家が構成するということで、それで政府の統治の正当性は十分主張できます。

そもそも、中国共産党の統治の正当性があまりに脆弱であるため、中国共産党は、日本製のアニメや、ゲームでさえ、それを脅かす存在として、怯えるのです。

これに対して、日本の政府は国内においては、中国共産党などよりははるかに、統治の正当性があるので、中国文化などを恐たりはしないのです。それは、過去においてもそうで、過去においても、古代中国の考え方など取り入れて、自分たちの血と肉として、さらに統治の正当性を高めていって、今日に至っているのです。

中国の過去の歴史は、大帝国を築いても、結局分裂し、また新たな帝国ができるのですが、過去の帝国とは全く分断され、文化や伝統など継承しませんでした。過去の中国は、何の反省もなく、それを繰り返しました。

そうして、今日の中国も同じことであり、過去とは断絶しています。古代中国と現代中国は全く別物です。だから「5000年の歴史文化を持つ大国のメンツ」などというのは、まさに噴飯物です。

現代中国は、文化大革命で、過去の中国の知恵からは完璧に断絶されました。文化大革命(プロレタリア文化大革命とも呼ばれる。簡体字:无产阶级文化大革命 繁体字:無產階級文化大革命)、通称文化大革命(ぶんかだいかくめい)は、中華人民共和国で1966年から1976年まで(終結宣言は1977年)続いた、社会的騒乱です。略称は文革(ぶんかく)。

名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という政治・社会・思想・文化の改革運動でした。しかし実際は、大躍進政策の失敗によって政権中枢から退いた毛沢東共産党主席が自身の復権を画策し、民衆を扇動して政敵を攻撃させ失脚に追い込むための、中国共産党の権力闘争でした。

これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらしました。

この文革、ハチャメチャな権力闘争であり、その中でも、1973年8月から1976年まで続いた「批林批孔運動」は酷いものでした。その内容は、林彪と孔子及び儒教を否定し、罵倒する運動でした。

幼少の頃に文化大革命に遭遇し、後に日本に帰化した石平氏は、「この結果、中国では論語の心や儒教の精神は無残に破壊され、世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」と批判しています。

中国では、文化財などの保存もいい加減であり、とても、過去の先達の知恵を継承しようなどという考えがあるとは思えません。

古代中国の知恵を自分たちの血とし、肉として、それを現代に至るまで継承してきたということでは、日本のほうが現代中国よりも、古代中国の知恵の継承者として、数段上にあると言っても良いくらいです。誰でも、一度は漢文に接したことがあることでしょうし、習字をしたこともあると思います。さらに、私達の生活習慣の中にも、古代中国の知恵や文化が息づいています。


これに関しては、上の写真を見ても理解できます。上は、日本の安倍総理による習字と、習近平のものを対比したものです。

これを見ても、どちらが古代中国の文化や知恵、徳の継承者であるか良く理解できます。そうは、言っても、日本でもとても古代中国の文化を継承しているとは思えない人もいます。それは、以下の写真をご覧いただければ、おわかりいただけるものと思います。


このような例外は、除いて、普通の日本人なら、古代中国の徳や、知恵が体に染み付いています。日本のアニメや、ゲームも作者は意識していなくてもそうなので、それが意識しなくても、作品に現れてしまうのです。それを中国共産党は、自分たちの統治の正当性を脅かすものとして、警戒感と敵愾心を示すのです。

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2016年4月17日日曜日

中国紙が社説で「尖閣に自衛隊派遣なら軍艦出動」「数、日本の比ではない」―【私の論評】中国が一番恐れるのは、日本の武力によって尖閣付近から中国の勢力が排除されること(゚д゚)!


2012年10月4日午後6時から7時にかけ、沖縄県の宮古島の北東海域で中国艦艇7隻が通過。写真は
そのうちの三隻。上より、ルージョウ級ミサイル駆逐艦(116)、ジャンカイⅡ級フリゲート艦(546)、
ダーラオ級潜水艦救難艇(864)
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は13日、日本政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に海上自衛隊の艦船を派遣すれば、中国海軍の軍艦が出動すると強調する社説を掲載した。

日本政府が尖閣周辺の領海を念頭に「無害通航」に該当しない他国の軍艦に対し、従来方針通り自衛隊に海上警備行動を発令して対処する考えを示したことを牽制(けんせい)した形だ。

社説は「中国が派遣する軍艦の数は自衛隊の比ではない」と強調。日本が先に自衛隊の艦船を派遣した場合、東シナ海の摩擦が激化する道義的責任は「日本が負わなければならない」と主張した。

【私の論評】中国が一番恐れるのは、日本の武力によって尖閣付近から中国の勢力が排除されること(゚д゚)!

上の記事を読んで思うのは、やはり中国は、安倍総理が軍事力を用いて尖閣付近から中国を排除することを尤も恐れていることだということを再確認できたということです。

このことについては、以前このブログでも、習近平の側近が尖閣諸島に関する考えを示した論文に関する記事で掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日中軍事衝突なら「退路ない」と中国軍上将、尖閣で論文 「極力戦争を回避」と訴える―【私の論評】習近平が最も嫌がるのは、安倍総理が軍事力を用いて尖閣付近から中国を排除することだ(゚д゚)!

この記事は昨年10月21日水曜日に掲載したものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を以下にコピペします。
中国軍の上将で、国防大学政治委員の劉亜州氏は21日までに、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題に関する論文を公表し、日本と中国が軍事衝突すれば「中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない」と強調した。敗北すれば体制を揺るがす事態に発展しかねないとの危機感を示唆したものとみられ「極力戦争を回避」すべきだと訴えた。
中国艦船があまり傍若無人な真似を繰り返すなら、きちんと国際ルールにのっとった上で何隻か撃沈すべきものと思います。領海内であれば、そんなことをすれば、中国は吠えまくりますが、他の国はそれを軍事行動ではなく当然の警察行動こととして、何も非難はしないでしょう。もし、非難したとすれば、自国が日本と同じような状況に至った場合、対抗する術がなくなります。
実は、習近平が一番恐れているのはこれです。安倍総理が、軍事力をもって尖閣付近から、中国の艦船や航空機を排除することです。

米国も南シナ海で、中国が不穏な動きをみせれば、国際ルールに沿った形で、攻撃を加えるなどのことをすべきです。そうなれば、習近平の面目は丸つぶれですし、それにせっかく日本を悪者にしたてても、中国国内の求心力を高めるということができなくなります。

そんな馬鹿なことなどとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際ロシアはそのような対応をしています。尖閣で中国の船が日本の海上保安庁の船が中国の漁船に体当たりされる前の年に、ロシアは中国の船を機関砲で銃撃しています。その結果数人の死者が出た模様ですが、日本国内では報道もされず、他の国からも一切非難されるようなことはありませんでした。無論、警告をするなどして、国際法にのっとった措置でした。
中国としては、尖閣付近から安倍総理が力づくで排除されては、非常に困るわけです。もし、中国海軍がなすすべもなく、負けてしまい尖閣付近から完璧に排除されてしまえば、中国国内の求心力は弱まり、習近平政権はもとより、中国共産党の中国統治の正当性も弱まることになります。

そもそも、海外からの評価では、日本の海軍力は世界第二位とも、世界第五位ともいわれていますし、中国海軍よりは数段上とされています。海軍力は見方によって、いろいろ変わりますが、それにしても日本二位から五位であり、中国海軍よりははるかに優っています。

日中海軍を対比すると、最大の違いは、対潜哨戒能力と潜水艦の攻撃力です。これらが、中国は日本に比較すると全く劣っています。日本の潜水艦が、中国側に知られることなく、隠密行動ができるのですが、中国の潜水艦はすぐに日本の潜水艦や哨戒機に発見されてしまいます。

そうなると、最初から中国側にはほとんど勝ち目がありません。航空兵力もそうです。中には、いやそうではない、中国の最新鋭の、殲31はステルス機であり、どの日本の航空機より強力であると信じてる人もいるようですが、現実にはそうではありません。米国の軍事専門家の中には、殲31 は実質第三世代戦闘機の域を出ていないと酷評する人もいます。いずれにせよ、まだまだ実験段階で実用にはほど遠いという代物です。

中国の現状の航空機など、まだまだ技術的に劣っています。特にレーダーなどの電子機器はかなり遅れていて、日本の航空自衛隊と実際の戦闘になった場合、かなり非力です。

「空母遼寧」も、海上自衛隊の哨戒機P3Cがいとも簡単に捕捉して、出港した途端に魚雷かハープーンの餌食になってしまいます。他の中国の艦艇や潜水艦も同じことです。


このことは、中国の人民解放軍の幹部は誰でも知っていることで、軍事的にまともに戦ったのでは全く勝ち目がないため、これを牽制するために、ブログ冒頭のように、環球時報で吠えて見せたのでしょう。日本の艦船や潜水艦などと比較するとはるかに旧式のものを多数尖閣付近に派遣してきたとしても、日本の海上自衛隊に勝ち目はありません。

唯一中国が、日本より上回っているとすれば、核兵器を用いることができることでしょうが、現実問題としてこれを使えば、米国による反撃も予想されし、核兵器を用いた後は、あの天安門広場事件の後の世界のほとんどの国からの制裁を受けたことと同じようなことが起こることも予想され、中国としてはこれは避けたいので、これを使用することはほぼ不可能です。

今日本は熊本地震で対応中です。ブログ冒頭の、環球時報の記事は13日に公表されものであり、地震発生の前の日であり、特に地震を意識したものではありません。

しかしながら、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で16日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しています。中国当局の船が尖閣周辺で確認されたのは3日連続です。これは、熊本の地震の後です。中国側としては、地震の影響があるかどうかを見極めてるのだと思います。まるで火事場泥棒のような、行動です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、3隻は海警2101、海警2307、機関砲のようなものを搭載した海警31241だそうです。領海に近づかないよう巡視船が警告していました。

巡視船「あぐに」
ところで、海上保安庁は16日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の警備を専門とする「尖閣専従体制」が整い、拠点となる沖縄県・石垣島の港で披露式を開きました。石垣海上保安部に配備された1500トン級の最新型巡視船10隻を含む12隻が専門で任務に当たります。

人員は約600人で、港周辺には新たに桟橋や船艇基地、宿舎、倉庫が整備されました。平成24年の尖閣国有化後、領海警備で全国から巡視船などの応援を受けていたが、原則不要になります。

石垣海上保安部の宮崎一巳部長は中国公船に対する警備に関して、記者団に「不測の事態を避けて事態をエスカレートさせないのを基本に冷静かつ毅然として対応したい」と話しました。式典に合わせて、20ミリ機関砲や遠隔放水銃、停船命令表示装置を装備した巡視船「あぐに」を公開しました。

日本の海上保安庁も中国の海上民兵や、海警など互角に戦えるようになりました。海軍も日本には到底勝てないので、中国としては八方塞がりです。南シナ海でも、手詰まり感がはっきりしています。だからこそ、ブログ冒頭のようの記事のように、中国海軍の軍艦が出動すると強調したのです。

インドネシア海軍が火曜日からインドネシア領海で拿捕した中国漁船
35隻の撃沈を開始したと当局が発表(8月18日dpa.international)
私としては、中国側は、本当に軍艦を出せば良いと思います。そうしてそのような場合は、日本側としては、領海や領空を侵犯した場合、撃沈、撃墜すれば、それで良いと思います。そうしたからといって、当の中国は屁理屈をつけて吠えるかもしれまんせんが、中国と日本が本格的な総力戦をはじめたりすることもないでしょうし、世界中のどこの国も中国に同調することはありません。

というより、アジアの中国、北朝鮮以外の国々は、これを歓迎することでしょう。それに、中国が尖閣付近で、前々から度重なる挑発行為を繰り返してきたこと、日本と中国の間にはもともと、領土問題など存在しないことをアピールすれば、アジア以外の国々も、歓迎することでしょう。

ロシアなどは異議を唱えるかもしれませんが、そのあたりは、このブログにのべたように、従来から比較するとかなり北方領土の交渉がやりやすくなっていますから、意外と唱えなくなることも考えられます。いずれにせよ、圧倒的多数の国々が、異議を唱えるなどということはしないでしょう。

さらに、南シナ海での米軍もこれに勇気づけられ、南シナ海の中国の軍事基地に対しても、艦船や潜水艦で包囲し、それを妨げようとする艦船、航空機に攻撃を加え、南シナ海からの中国の軍事基地の排除に踏みきる良いきっかけになることでしょう。

そうなると、もともとは中国にとっては外国であるはずの、チベット、ウイグル、内モンゴルなどの自治区の中国に対する反対運動が勢いづくことでしょう。

そうして、現在中国は、経済が低迷していて、これから良くなる見込みもなく、今のままであれば、このブログでもたびたび掲載したように、中進国の罠にすでにはまりかけています。そんな中国には、世界中の国々は従来のように期待することもなくなります。

そうして、いずれ図体が大きいだけのアジアの凡庸な独裁国に成り果てるか、分裂することになりますが、日本が尖閣から中国を排除すれば、それに拍車をかけることになります。

このようなことから、中国としては、安倍総理が、軍事力をもって尖閣付近から、中国の艦船や航空機を排除することなどして欲しくないのです。

しかし、日本としては、中国が嫌がることを徹底的に実行することです。間違っても、中国という異質な国に褒められるような国になるべきではありません。嫌われるという、その道こそ正しい道です。

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