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2015年1月31日土曜日

ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言―【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言

トマス・ピケティ氏

不平等の広がりを指摘した世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者で、来日中のトマ・ピケティ・パリ経済学校教授が30日夕、東京都内で討論会に出席した。日本の消費税率を欧州諸国並みの20~25%程度に引き上げるべきかとの質問に「ノーだ」と応じ、改めて資産や所得の多い人への累進課税の強化を訴えた。

特集:トマ・ピケティ

ピケティ氏はこの日、討論会「格差・税制・成長――『21世紀の資本』の射程を問う」(日仏会館主催)で、過去のデータから先進国での不平等の広がりを指摘した自らの研究成果について講演した。

討論会には、著書「格差社会」がある橘木俊詔・京都大名誉教授も参加した。橘木氏は「日本で重要な問題が消費税。日本が福祉国家になろうと思ったら、8%や10%じゃ到底たりない」と指摘。ピケティ氏に「日本の社会保障制度はほとんどご存じないと思うので、意見を伺うのは恐縮だが」と前置きしたうえで、「日本も欧州のように(消費税率は)20~25%になるべきか」と尋ねた。

ピケティ氏は「ノーだ」と返答。「(日本の税制改革の課題は)高齢者と若者との世代間のバランスを取り戻すことだ。相続資産がなく財産形成もできない若い世代、特に低・中賃金の所得の税率を下げて、累積した資産やトップ層の所得税率を上げるということだと思う」と述べた。そのうえで「消費税を上げるということは、ちっともいいことではない」と述べた。

【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

トマス・ピケティ氏の理論については、現実世界で一部の人々に富が集中する現象はをみて多くの人々がそうではないかと思っていたことを、丹念に過去のデータを集めて、実際に検証してみせたというところが凄いと思います。そこが、『21世紀の資本の』素晴らしいところです。

そんなことは、世の中にはたくさんあります。心理学的には、最近証明された最新事実でありながら、マネジメントの現場ではとっくに、そのようなことが知られていて、実際にマネジメントに古くから適用されてきたことなどいくらでもあります。これに近い事例をこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
他人の行動をしっかり評価できない人は、心理学的なマジックにとらわれている―【私の論評】マネジメントは、根本的な帰属の誤りをどう防いできたか!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では他人の行動をしっかり評価できない人が陥る心理学上でいわれている「根本的な帰属の誤り」について、このような現象は、心理学的な検証や、それにもとづく処方箋など待つことなく、昔から経営の現場で認識され、その対処方法など実践されてきたことを掲載しました。

マネジメントでも、経済でも、現場では学問的定義などは別にして生き物のように日々動いており、経営者や、政治家・官僚などは、はっきりと定義付けされていないものに対しても、それに対処しなければなりません。だから、定義や事実確認などできないことでも、経験にもとづき、行動することなどいくらでもあります。

そのようなことはこの世の中に履いて捨てるほどあります。学問的に定義されていないことでも、仮設を立てて実行して、成功すればその仮説が正しかったということで、失敗すれば間違いだったということです。

そうして、ピケティ氏の考えなど、実証してみせることはできないものの、そんなことは織り込み済みで、私を含めた多くの人々が、増税に反対してきました。どう考えてみても、現状で8%増税はおろか、10%増税もとんでもないことであり、もし10%増税などすればとんでもないことになることは、想像に難くありませんでした。

しかし、増税派の人々の中には、橘木俊詔のような考えの人々のも多いです。ピケティ氏の理論を消費税の増税の正当化に利用しようとする人々もいるようです。

橘木俊詔氏

しかし、その目論見は、見事に本人によって、打ち砕かれたわけです。この記事に関しては、高橋洋一氏が以下のように、ツイートしています。
確かに、日本の新聞は、増税推進一辺倒でした。朝日新聞ももちろん、増税推進を主張していました。朝日新聞は、今でも増税推進派なのでしょうか、この記事だけではそれはわかりませんが、それにしても、良く掲載したものだと思います。

高橋洋一氏は、ピケティ氏のことを「普通の経済学者」と形容してますが、これは多少誤解を招くかもしれません。私としては、「まともな経済学者」と形容したいです。実際、日本では消費税増税推進する「まともでない経済学者」も多いです。

なお、このピケティ氏の発言に対しては、池田信夫氏が以下のようなツイートをしています。
ちなみに、私はこのブログでも池田氏を批判しましたし、ツイッターでも直接池田氏に対して批判をしたこともあります。そのせいでしょうが、現在池田氏は、私をブロツクしています(笑)。そのため、私は池田氏のツイートを直接閲覧することはできないのですが、他の人のリツイートなら見ることができますので、他の人のリツイートを掲載しました。しかも、この人私の言いたいことも語っています。

とにかく、ピケティ氏のような一見新しい理論であるかのような理論ですが、その理論を導く上での作業仮説は、シンプルで誰にでも理解できるようなものでも、これをあたかも最新理論であるかのようにみせかけて、それを活用して、根拠のない自説を正当化しようといする人も大勢いるわけです。

これについては、経済学者の田中秀臣氏も以下のようにツイートしています。
もう、アベノミクスなどに関する、経済論議や8%増税は間違いであったことや、10%増税など実行してしまえば、日本経済は破滅的なるはずであったことは、はっきりしているわけで、これに関する検証や、論議は完璧に尽くされています。

今更、ピケティ氏の理論などを持ち出し、問題を複雑化させる輩は、単に根拠も正当性もない増税推進の自分の意図を正当化するために行っているとみるべきです。

そんなことは、はっきりしているため、あの朝日新聞ですらこのような記事を掲載しているのです。そのことに気づかいないか、気づいても、ピケティ氏の理論を利用してまで、リフレ反対、増税推進を強行に主張する人がまだ存在することに忸怩たる思いがします。

このことについて、田中秀臣氏は以下のようなツイートをしています。
今のタイミングでの増税を強行に主張したり、今のタイミングで人質問題で政府批判をしたりする日本の生活のを実質的に脅かす人々は確実に存在しています。

そういう人たちの言動に惑わされるべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月23日火曜日

消費増税 米もダメ出し 財務長官が「失望」表明―【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!


日本の経済政策に失望を表明したルー米財務長官

日本の消費増税に米国からノーが突き付けられた。4月以降の成長鈍化について、ルー米財務長官が「期待外れとなった」と表明したのだ。増税推進派は「消費増税は国際公約」というのだが、再増税を強行すれば世界に迷惑をかけることになりかねない。

ルー財務長官は21日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後の記者会見で、日本とユーロ圏を名指しして、最近の成長鈍化を指摘した。日本については、消費税率を4月に8%に引き上げて以降、個人消費と投資が落ち込んでおり、「経済活動の縮小による困難に直面している」と懸念を示した。

G20初日の世界経済についての討議で、麻生太郎財務相は、議長に求められる形で、日本経済の現状や成長戦略などを説明。麻生財務相は「日本に対する期待の高さを実感した」と胸を張る一方、「日本経済は緩やかな回復が続いている」と各国の懸念解消に躍起だった。

アベノミクスで長年のデフレから脱却しつつあったが、消費増税をきっかけに変調がみられる日本経済。その先行きに米国が警戒しているのは明らかだ。

このところ急速に進んでいる円安についても、本来なら米国の自動車産業などにとって打撃となるはずだが、ルー長官はクギを刺すどころか、17日の講演会で「強いドルは良いことだ」と述べ、円安ドル高を事実上容認した。G20でも「為替の議論はなかった」(会議筋)という。

ルー長官は、19日には麻生財務相に「内需拡大を維持するための政策」を要請。政策を総動員して景気の底割れを回避すべきだと迫った。

麻生財務相は再増税に備えた補正予算を検討するとしているが、当然ながら税金が使われる。「なんのために消費増税するのか、本末転倒」(エコノミスト)という状況だ。再増税をやめれば済む話ではないのか。

【私の論評】日本のマスコミが伝えない真実!ルー米財務長官吠える!日本の増税DQNどもをそのまま放置するな(゚д゚)!

麻生財務大新(左)とルー財務長官(右) にこやかに対話しているがその腹の中は・・・
上の記事、他のメディアではほとんど報道されていないため、敢えて全文掲載させていただきました。

4月からの増税でも、経済に悪影響が出ているのは明らかなのに、ここでまた日本が再増税をして、また経済が落ち込んでしまえば、日本国内がデフレ・スパイラルの底に再度沈むだけではなく、世界にも迷惑をかける可能性があります。

その懸念を、ルー財務長官が表明したということです。というよりも、アメリカにとっても日本の経済の落ち込みは、大きな懸念事項あるということです。

日本の増税に関しては、アメリカやオバマ大統領自身の利益にもならないことはこのブログでは随分前にも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
消費増税で日本国家を殺し給う勿れ―【私の論評】日本のデフレに終止符を打つのは、オバマか?
詳細は、この記事をご覧いただものとして、この記事は2011年7月のものです。この頃は、日銀は金融引締めを継続し、政府も緊縮財政を繰り返し、しかも大震災に見舞われた直後とあって、国内ではデフレスパイラルの泥沼に落ち込み、対外的には、かなりの円高で苦しんでいたときでした。

この記事は、オバマ大統領の二度目目の大統領選挙の前の年に掲載したものであり、オバマは米国の製造業の強化を目論んでいるときでもありました。

日本の経済が良くならなければ、オバマにも影響が出るという意味あいで、この記事を掲載しました。現実には、日本経済は良くはなりませんでしたが、それでもオバマは何とか大統領選に勝利し、現在でも大統領であるわけです。

それにしても、日本経済が悪化すれば、中国経済がここしばらく完璧に低迷することが明らかな現在、世界にかなり悪い影響を与えるのは必至です。

ルー財務長官は、G20で以下のような声明も発表しています。
アメリカ財務長官、経済成長に向けた努力を要請
ルー財務長官は19日金曜、20日土曜からオーストラリア北部のケアンズで開催されたG20・20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議の開幕に際しての表明で、雇用創出を促進するため、投資とインフラに対して、よりいっそう集中的な措置を行うよう要請しました。 
ルー長官はまた、「全体的に、世界経済は伸び悩んでおり、特にユーロ圏や日本はこれに当てはまる。また経済新興国の経済成長も鈍化している」と語りました。
さらに、「より急速でバランスの取れた経済成長のために、需要拡大と雇用の促進が必要だ」と述べました。
多くの先進国ではここ数年、債務の問題に直面しており、予算不足対策のために、本来は経済成長を優先させるべきにも関わらず、経済的な緊縮政策を採らざるを得ないと思い込み、実際それを実施した国々では大失敗しています。

また、アメリカの世論は緊縮政策の実施に強く反対しています。

世論調査では、現在、多くのアメリカ人が現行の予算バランスを支持していますが、ほとんどの人々は緊縮政策に反対している、ということが明らかになっています。

緊縮政策とは、公共工事などの削減、給付金などの削減、増税など、政府の支出を減らす政策です。これを実行すれば、大雑把にいうと、雇用が削減し、賃金も減ります。

アメリカでは、多くの国民も、財務長官自身も、緊縮財政ではなく、積極財政を実施することを望んでいるのです。

現状のアメリカ経済は、回復気味であり、もともとデフレではありません。そんな国でも、ほとんどの国民が積極財政を望んでいるのです。

にもかかわらず、日本は一体どうしたというのでしょうか。

何やら、増税などの緊縮財政が正しいものと信じているようで、すでに増税して、失敗しつつあるにも関わらず、再度増税しようなんて馬鹿真似をしようとしています。

本日も、増税ポチのとんでも報道がなされています。
岩田元日銀副総裁:円安は「自国窮乏化」-08年と類似
この記事読む価値もないトンデモ記事です。岩田は、岩田でも、現日銀副総裁の岩田規久男の記事ではなく、元日銀副総裁の岩田一政の記事です。紛らわしいです。

この記事読む価値もないトンデモ記事です。これに対しては、厳しい批判がツイートされています。

以下にその代表的なものをあげます。
岩田一政のいう、08年といえば、リーマン・ショック直後であり、この時には、欧米、中国その他多くの国々が、景気低迷のためかなりの金融緩和を実行したにも関わらず、世界で日銀だけが、何もせず、そのおかげて、日本はさらなるデフレ・スパイラルのどん底に沈み込み、超円高になったというのが、当時の日本経済の低迷の真の理由です。

日銀がまともな金融政策をしなかったため、リーマン・ショックの震源地であるアメリカや、リーマン・ショックにかなり影響を受けたEUなどが、比較的すみやかに経済を建て治すことができたにもかかわらず、日本だけが世界で一人負けの状態に陥りました。

だから、私はこのブログでは、日本におけるリーマン・ショックを日銀ショックと呼んでいます。

今のところ、アメリカはルー財務長官が、ダメ出しをしているだけです。それは、中国に対しても、ロシアに対しても、ウクライナ問題、シリア問題にしても、及び腰のオバマでは、結局何もできず、日本に対して強くダメ出しを出来ないのだと思います。

オバマの経済対策は批判を浴びている(゚д゚)!

しかし、次の大統領のときには、その時もまだ、日本において馬鹿な経済政策を継続していれば、ダメ出しどころか、内政干渉ギリギリのところまで、強く言ってくることになると思います。それよりも、何よりも増税がはっきり間違いだったことが、大勢の日本国民も理解することになると思います。

日本の経済が低迷すれば、世界への影響は甚大です。アメリカにとっては、経済低迷だけではなく、安全保証上の問題にもつながる重要で見逃せない問題です。

いつまでも、日本の増税DQNをアメリカも日本の国民もそのまま放置しておくとは思えません。いずれ、増税DQN一掃の動きが始まると思います。そのときは、財務省も解体されるのでしょうか・・・・・。

できれば、次期アメリカ大統領になどダメ出しを押させて、日本の経済をまともにするというのではなく、国民自らの手でそれを実現したいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年9月21日日曜日

財務相、G20で財政再建約束 消費税10%「年内に判断」―【私の論評】日経新聞を読んで、消化不良をおこした!やはり、日経新聞を読むと日本経済がわからなくなるというのは本当だった(゚д゚)!

財務相、G20で財政再建約束 消費税10%「年内に判断」

日経新聞より

主要20カ国・地域(G20)による財務相・中央銀行総裁会議は20日、初日の討議を終えた。麻生太郎財務相はG20各国に対し、消費税率10%への引き上げは「経済状況を総合的に考えて年内に判断する」と表明。財政再建に向けた取り組みを着実に進めると約束した。

麻生財務相が討議終了後、記者団に明らかにした。財務相は討議で、仮に消費税を10%に増税しても基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字が解消されない厳しい財政状況を説明。「黒字化を達成するための新たな計画を準備する必要がある」と述べた。

今回のG20は欧州を中心に世界経済の下振れリスクへの対応が最大の焦点。初日の討議では世界経済の減速が強まっていることを背景に、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出た。

米連邦準備理事会(FRB)が来春にも政策金利を引き上げる可能性が高まっていることについては、新興国から急速な資金流出を警戒する意見が出た。


注)上の記事で太文字は、ブログ管理人が施したものです。


【私の論評】日経新聞を読んで、消化不良をおこした!やはり、日経新聞を読むと日本経済がわからなくなるというのは本当だった(゚д゚)!

上の記事をご覧になって皆さんは、どう思われたことでしょうか。何やら、私は非常に消化不良をおこしたような不愉快な気分がしました。

麻生財務大臣は、消費税増税をして、財政再建をするということを語っています。その一方で、G20においては、上の記事にもあるように、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出たとしています。

このあたりをきちんと説明しないから、何やら日経新聞の記事は消化不良をおこしたような印象を与えるのだと思います。

なぜ、欧州が低成長とデフレへの懸念が深刻化しているかといえば、この記事を読んでいるだけでも、推測できるように、財政出動をしなかったからです。

実際、EUで諸国では、景気が落ち込んでいにもかかわらず、財政出動をしなかった国が多くあります。また、欧州銀行も欧州全体で財政出動をするということもできていないということもあります。

実際、イギリス、イタリア、ポルトガル、スペインなどの国々では、不景気であるにも関わらず、財政出動をしないどころか、その逆の緊縮財政をやってしまいました。

何をやったかというと、国によって税の呼び名は違いますが(イギリスでは付加価値税)、結局消費税増税を実施してしまい、大失敗してしまったのです。

これは、特にイギリスに関して以前このブログでも掲載したことがありますので、そのURLとグラフを以下に掲載します。
【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!




イギリスでは、2010年に、財政再建を目指して、付加価値税(消費税)の大増税を実施しましたが、その結果、景気が落ち込み、特に若者の失業率が異常に高くなったため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀に相当)が大規模な金融緩和を行いました。

それでも、しばらく景気は良くならず、法人税・所得税の税収は低下、付加価値税も増税前の水準より低下しました。本当に大失敗です。

詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、グラフを見ただけでも、イギリスの付加価値税の増税は大失敗だったことがはっきり認識できます。

以下に、最近の動向も含むイギリスの経済成長率の推移のグラフを掲載しておきます。

2
010年の付加価値税増税のときには、成長率が大幅に減少しています。12年にはプラスに転じたようですが、13年には再び低下、14年度はもとに戻りそうな気配もありますが、リーマン・ショック以前の水準には戻るかどうかはわかりません。

これは、イギリスの例ですが、他国も似たような状況で、現在では結局のところ景気が低迷したときに、財政再建を目的として、増税することは誤りであるという、ごく常識的な考えが優勢を占めるようになっています。

だからこそ、G20ても、上の記事ででわざわざ太線を施した、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見が出たのです。

こんな背景は全く説明しないので、本当に上の日経新聞の記事は、ただ読んでいると消化不良をおこしてしまいます。

上の記事を簡単にまとめてみると、日本の財務大臣は、デフレ下にある日本では、緊縮財政である増税をして、財政再建に向けた取り組みを着実に進めると語っているのにもかかわらず、欧州においては、低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動(:減税、給付金、公共工事の実施など)を求める意見がだされたということです。

なにやら、日本の財務大臣の意見は、この意見とは異なっているようです。

このことを説明しないから、何やら消化不良というか、やはり日経新聞を読んでいると日本経済が見えなくなってしまうのだと思います。

以下にクイズをだせていただきます。

低成長とデフレへの懸念が深刻化している欧州に財政出動を求める意見があります。この意見が正しいものとして、以下の設問にお答え下さい。

日本では長年デフレに悩んでいます。この日本においては、政府は、財政出動と緊縮財政のどちらの政策をとるべきでしょうか?

もう、答えは、明らかです。高校生以下でも答えられるレベルだと思います。

上の記事を書いた、日経新聞の記者は、この質問には正しい答えられないのだと思います。

それは、この記者が馬鹿だからでしょうか?それとも、何か他の意図があるのでしょうか?

この質問に答えるのは意見難しいようにもみえますが、これも簡単です。何か他の意図があるからです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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2014年8月25日月曜日

消費税10%「予定通りに」3割 本社世論調査 ―【私の論評】再増税すれば、安倍政権への支持率はかなり下り、やがて安倍おろしの嵐が吹き荒れる。共産党の党勢拡大は安倍政権への警鐘であるとみなすべき(゚д゚)!

消費税10%「予定通りに」3割 本社世論調査 


日本経済新聞社とテレビ東京による22~24日の世論調査で、消費税率を予定通り2015年10月に10%に引き上げることに関して「反対」が63%で「賛成」の30%を上回った。7月の前回調査より賛成は6ポイント下がり、反対は4ポイント上昇した。内閣支持率は7月の前回調査より1ポイント上昇の49%で、ほぼ横ばいだった。



4月の消費税率の8%への引き上げによる影響で、4~6月の実質国内総生産(GDP)は前期比年率で6.8%減少した。安倍晋三首相は7~9月の景気動向をみて判断する考え。今後は景気の下支え策が必要になる可能性がある。

安倍政権の経済政策を「評価する」は47%で前月より3ポイント上昇した。「評価しない」は34%で3ポイント下がった。経済政策を評価する人のうち、52%は予定通りの消費増税に反対と答えた。

15年10月の消費増税に反対と答えた人にどうすべきかを聞くと「引き上げるべきでない」が50%で最も多かった。「時期を遅らせるべきだ」が25%、「引き上げ幅を見直すべきだ」は21%だった。

内閣を支持する理由(複数回答)は「安定感がある」が35%で最も多い。支持しない理由(同)は「政策が悪い」が4ポイント上昇して39%で最多になった。

この記事の詳細は、こちらか(゚д゚)!

【私の論評】再増税すれば、安倍政権への支持率はかなり下り、やがて安倍おろしの嵐が吹き荒れる。共産党の党勢拡大は安倍政権への警鐘であるとみなすべき(゚д゚)!

安倍内閣の支持率と、増税には密接な関係がある。それは、そうだろう。まずは、有権者は例外をのぞいて、まずは経済的安定ほ望み、その後で天下国家を論じるというのが普通です。

まずは、日々の生活が安定してこそ、天下国家に目を向けます。

これについて、古谷経衡氏は以下のようなツイートをしています。
古屋氏のツイートにもある、産経新聞の記事のそのさわりだけを以下に掲載します。
安倍政権の「暴走」に感謝?! 共産が空前の党勢拡大産経新聞8月24日(日)13時35分 
 日本共産党が党勢拡大に向けて全党に号令をかけた党創立92周年をめぐる「躍進月間」(5月15日〜7月31日)で、「空前の前進」(党関係者)を果たした。集団的自衛権の行使容認はじめ安倍政権の政策をことごとく「反動的暴走」と決めつけ、それにブレーキをかけようと喧伝(けんでん)するキャンペーンが奏効したとみられる。しかし裏を返せば、党勢拡大を続けるには同党がいう「暴走」を安倍政権に続けてもらわなければ困るわけだ。
党勢拡大で大感激の志位委員長


集団的自衛権の容認、特定秘密保護法の導入など確かに、現在の我が国にとって、必要不可欠のものであり、私自身は反対はしません。多くの、保守系の人々でこれに異議を唱える人はいないでしょう。また、政治的に左でも右てもない人々は、これを頭から反対する人々はいないてじょう。

安倍総理が、2012年に総裁になった直後に行なわれた衆議院議員選挙や、昨年夏の参議院議員選挙で、安倍自民党は大勝利を収めました。

そうして、これらの二回の選挙で安部総理は、二回とも、集団的自衛権の容認や特定秘密保護法の導入などについて、選挙公約ではっきり明言しました。

だから、これらを実行しないということは、公約違反です。だから、実行すのは当然のことと思います。これについて、マスコミや野党は、国民への説明が不十分などとしています。

しかし、これらについては、安部総理は第一次安倍内閣のときもその必要性を主張してきましたし、上で述べてきたように二回の選挙でも主張してきました。そうして、安部総理になったのですから、もしこれを実行しないというのであれば、その自体が非難の対象となります。

それこそ、結局何もできなかった民主党政権のように、マニフェストをほとんど何も実行せずに、ただただ、3年間漂流して、国民から大避難を浴びたようになってしまいます。

しかし、現実的に考えれば、天下国家論を論ずるためには、先ほども述べたようにまずは、経済が安定していなければなりません。

だから、本来は、経済を悪化させる懸念のある増税などすべきではなかったのです。

このことを査証するものとして、以下の2つをあげておきます。

まず一つ目は、上でも述べたように、2012年年末の衆議院議員選挙において、安倍自民党は大勝利しました。

その原因は、はっきりしています。それまで、日銀は、ずっと金融引き締め政策をしてきましたが、安部総理は金融緩和をすると明言しました。

この明言を市場は好感して、まずは株価があがりました。その後、実際に4月から異次元の包括的金融緩和をしました。これに対して、野党や、マスコミ等一斉にこれを批判しましたが、にもかかわらず、経済指標はのきなみ良くなりました。

一時、株価は少し下がりましたが、それも落ち着き、安定した後に、参議院銀選挙が行なわれ、これでも安部自民党は、大勝利でした。

そうなんです。市場関係者はもとより、国民の多数もやはり、実体経済を良くする政党を指示するのです。

第2は、過去の池田勇人総理大臣による、所得倍増計画です。

国会で演説する池田隼人氏


所得倍増計画(しょとくばいぞうけいかく)とは1960年池田内閣の下で策定された長期経済計画です。閣議決定された際の名称は国民所得倍増計画(こくみんしょとくばいぞうけいかく)といいます。この計画では翌1961年からの10年間に名目国民所得国民総生産)を26兆円に倍増させることを目標に掲げましたが、その後日本経済は計画以上の成長に至りました。立案は経済学者の下村治氏です。

この所得倍増計画は、大成功し、10年を待たずして、本当に国民の所得は倍増しました。

この過程で何が起こったかといば、終戦直後より当時のソビエトは、戦前から日本国内にいわゆるコミンテルンというスパイを送り込み、日本国内で暗躍させ、日本国内の様々な勢力がソビエトにとって都合良く動くように様々な工作をおこなっていましたが、これが全く無力になってしまったのです。

1960年より前の時点では、国民の大多数が貧乏であり、ソビエトのコミンテルンに扇動ざれる人も大勢いましたが、経済が発展するにおよび、国民のほとんどはコミンテルンの工作にものらなくなり、やがて、日本国内におけるソビエトの力も地に落ちました。

やはり、経済がよくなって、明日への希望が生まれてしまうと、これを実現した政府に対して、反対して、わざわざコミンテルンの甘言に乗る必要もなくなってしまってのです。

この2つの事柄を思えば、やはり国内の経済対策はかなり重要です。経済か良くなれば、時の政権は安定して、様々政策を実行しやすくなるのです。

これを考えた場合、やはり、4月からの増税は大失敗でした。だからこそ、共産党のそうして、さらに来年の10%増税を決めてしまえば、かなり支持率は低下します。

私自身は、古屋氏の主張である、「保守派が天下国家論ばかりを取り上げ、格差や労働問題をなおざりにしてきたことが、共産党を利する結果になった」ということには、全面的に賛成ではありません。

私は、どちらかというと、「格差や労働問題」をなおざりにしてきたことが、その主な原因であると思います。そうして、格差、労働問題というと多くの人は、経済に目を向けず、なにやら、この問題は厚生労働省管轄の問題であると考えがちですが、そうではありません。

いくら厚生労働省が頑張ったとしても、できることは、雇用のミスマッチを是正することだけで、それ以上のことはできません。特に、雇用自体を増やすことはできません。

そうして、雇用を改善するのは、なぜか日本ではほとんどに認識されていませんが、まずは第一に日銀による、金融政策によって達成することができます。

デフレでは、雇用状況が悪化するのは当然のことです。緩やかなインフレにすることができれば、雇用は黙っていても増えます。ほんの数パーセント、インフレ率があがっただけで、日本のような国では、数百万の雇用が生まれます。

これは、事実てず。そうして、第二は、政府による積極財政です。これは、公共工事を増やすとか、減税するとか、給付金を支給するとか、いくつかの方法があります。

この二本柱が、経済を良くして、それによって、格差や労働問題はかなり改善されます。ただし、いくら経済が良くなっても、様々な社会システムの不備などがあれば、格差・労働問題は完璧には解決されず、そこで、厚生労働省の出番となるわけです。

無論、これには、民間の努力も必要ではあります。厚生労働書だけではなかなかできることではありません。しかし、厚生労働省としては、規制緩和をしたり、新たなシステムを構築したり、新たな法律を制定したりして、民間の力も借りながら実行していけばかなり良くなります。

ただし、デフレのときに日銀や、財務省抜きで、厚生労働省だけが何かを実行したとしてしても、そもそも、雇用がないわけですから、どうしようもないわけで、「格差や労働問題」を解消することはできません。何かやっても、必ず他の何かが悪くなり、結局モグラたたきにおわります。

これを考えると、やはり、増税は完璧な間違いでした。今後このままだと、8%増税の悪影響が来年
3月まで続きます。そうなると、安倍政権の支持率は確実に落ちていきます。

東京オリンピック招致を決めた安部総理


そうして、来年の10%増税を実行したとしたら、安倍政権の支持率は坂道を転がり落ちるように低下していきます。それでも、何もしないとか、対処療法的な対策をしなければ、さらに景気は落ち込み、かなり落ち込み、挙句の果ては、安倍おろしがはじまり、第一位安倍内閣が崩壊したときと同じような状況に見舞われることになります。

このようなことを防ぐには、まずは、10%増税は絶対にやめること。そうして、8%増税の悪影響をなくするために、積極財政を実行することです。

積極財政とはいっても、現状では、公共工事を増やそうにも、人手不足などにより、公共工事の供給制限があるので、これは今のところ、経済対策に大きく寄与することはありません。

であれば、特に多くの人々を集めて工事をする必要のない、所得税減税や、給付金対策を行えば、かなり効果があります。

さて、共産党が党勢拡大をしたからといって、共産党が次の政権を担うことはないでしょうし、そこまでいかなくとも、大きな影響力を持つには至らないでしう。

しかし、かつてないほどの、党勢拡大ができたのは、やはり無党派層などの一部が取り込まれているとみるべぎてす。そうして、これ自体が安倍政権に致命傷を与えることはありませんが、それにしても、これはある意味、安倍政権への警鐘であると受け止めるべきであると思います。

私は、そう思います。

皆さんは、どう思われますか?

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2014年5月17日土曜日

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな―【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

【日本の解き方】景気落ち込みは一時的なのか 先行き判断上昇に騙されるな

景気が上向くと、ビキニなどの水着の面積が小さくなるとか?

内閣府が公表した4月の景気ウオッチャー調査について、景気判断の現状が大きく落ち込んだ一方、先行き判断の上昇は過去最大となったとの報道もあった。消費税増税後の景気の落ち込みは一時的と考えてよいのか、それとも今後も懸念すべき材料はあるのだろうか。

・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・

先行き判断は政権交代のあった2012年12月に51・0と50を超えたあと、13年12月の54・7まで、いい状態であった。しかし、1月49・0、2月40・0、3月34・7と急落した。3カ月間の下落幅20・0は、統計を取って以来最大の下げ幅だ。その反動で、4月の指数が跳ね上がったとみるべきだ。

増税後の景気の動向を占うのは、正直言えば現時点では難しい。消費税導入の1989年と5%に引き上げられた97年を見ても、それぞれ4月の増税後、6カ月程度は消費税増税の影響はあまり現れなかった。

しかし、6カ月をすぎるあたりから、両者の景気動向には差がつき始める。増税時の景気動向指数を100とすると、1年後になると、89年増税時には103・0、97年増税時には92・6と大きな差がついた。こうしたデータから、本当に見極めがつくのは、少なくとも6カ月超から1年後である。

景気ウオッチャー調査の先行き判断が6カ月後の景気動向指数の予測に有効であるとしても、現段階ではあと1、2カ月先にならないと判断するのは難しい。その無理を承知の上で、景気動向指数の動きを大胆に予想すると、今のところ、97年増税時に近いような感じだ。

「増税後の落ち込みは一時的」「想定内」という報道があるが、これは政府や日銀官僚からのリークだろう。彼らが事前にどのような想定をしていたのかわからないので、そうした見方が妥当かどうかも判断困難だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ハイウエスト・ビキニが流行る今年は景気は落ち込むかもしれない! 愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶということを忘れるな(゚д゚)!

さて、上の記事の冒頭には、ビキニのミズキの女性の写真をあげました。なにやら、世の中には、ビキニ等の水着の面積が小さくなると、景気が良くなるという説があるそうです。

なぜそうなるかといえば、一つは気分の問題です。好景気の時は消費心理が上向きになって、開放的な気分で大胆になると考えられます。

もう一つは、経済的な理由です。景気が良くなると財布の紐もゆるくなって、女性はボディケアにお金をかけるようになります。アンケートによるとビキニ姿に自信があるが13%ぐらいで、自信が無い人の理由が体が引き締まっていないということだそうです。しかし、懐具合がよくなるとボディケアにお金をかけられるので、パーフェクトなボディになってビキニに挑戦できるようになるということらしいです。
昨年の三愛の水着
ところで、昨年の水着の傾向は春ぐらいからかなり小さめのビキニが流行るといわれていて、実際小さめのビキニが売れていました。まさに景気がよくなっていたので、昨年の夏はビキニが売れるたという流れになっていたと思います。

景気がよくなると男性の懐具合も良くなってくるので、女性との遊びも派手になっていく傾向があるので、ビーチでナンパする時も露出度が高い女性の方が目立つので、ナンパされやすいという意味でも露出度の高い水着が流行るということも考えられます。

2014年、今夏の水着の二大キーワードは、「バンドゥビキニ」と「ハイウエストビキニ」。「バンドゥビキニ」とは、ブラがチューブトップタイプのビキニのこと。チューブトップ (tube top) は腋より下の部分を包む、袖なし・筒状のノースリーブの衣類のことです。落ちるのを防ぐため、ゴムひもなどで胸の上の位置できつく止めます。Twitterでキーワード検索をすると、女性から「かわいい」「欲しい」との声、多数上がっています。

バンドゥビキニ
一方の「ハイウエストビキニ」は、その名の通り、ハイウエストのショーツが特徴のビキニ。布面積が多めの50年代風デザインで、露出が少ない分、ビキニはちょっと…という女性でも抵抗なく着られそうです。こちらのほうはネット上ではあまり評判が良くはありません。

ハイウエストビキニ
景気ウォッチという側面からいうと、バンドゥ水着はあまり問題はないと思いますが、ハイウエストビキニは、明らかにボトムの面積が大きくなっているということから、問題ありです。これは、ハイウエストのジーンズ等のパンツからの流れのようですが、それにしても、ハイウエストのパンツが流行り、それが水着にまで進出してくるなどのことは今まではなかったことです。

これは、今年は景気が悪化するという前兆なのかもしれません。私としては、下の動画までいかなくても良いですから、やはりハイウェストではなく、面積が小さめのビキニが良いです。



景気が良くて、バブルになるとこんな水着が流行るのでしょうか、過去の事例では、さすがにマイクロビキニは流行りませんでしたが、バブル期やその直前にはハイレグ水着ははやっていました。


マイクロビキニまではいかなくても、せめて景気が良くなってハイレグ水着が流行る時代が来て欲しいものです。

さて、少し話が脱線してきたので、元に戻します。

上の高橋氏の記事は正しいです。実際、97年の増税後、98年になってから自殺者が2万人台から3万人台へと大幅に増えています。そのグラフを以下に掲載します。日本がデフレに突入したのは、5%増税をした1997年からなのですが、実体経済への最大の影響とみられる自殺者数が大幅に増えたのは、増税した次の年からです。


考えてみれば、判る話です。増税による影響が、すぐに出るなどのことはあり得ません。自殺者が増えたのは、デフレによる経済の悪化によるものが大きな原因とされています。これは、現在の日銀副総裁の岩田氏も認めていますし、他の多くの経済学者でも認めている人は大勢います。

たとえば、経済的なことが理由で自殺に至るにしても、最初は蓄えを崩すとか、人からお金を借りるとか、なんとかしていても、それでもどうにもならなくなり、進退窮まって最終的に自殺を選ぶということになるので、増税した直後に自殺者が増えるということにはならなかったのだと思います。

これは、自殺者数の推移について述べていますが、他でも同じことだと思います。たとえば、店をやっていても、増税後に客数が減ったとしても、多くの人が、最初は一時的に客が減っただけかもしれないと考えますが、半年、1年経つと、これは一時的ではなく、これからもずっとお客が減ると考え、本格的に仕入れを減らしたり、節約をはじめるという具合です。

財務省や、多くの白痴自民党議員は、こんなわかりきったことでも、増税後半年くらいであまり影響がないということにでもなれば、「8%増税で影響なし、次は10%増税も視野に入ってきた」などと言い始めるし、新聞などでも報道されると思います。

それとともに、財政赤字1000兆円を超えたので、増税しなければならないとか、次の10%増税に向けての前準備をすることと思います。これは、徹定期的に不味いです。

過去の2回の増税では、結局増税前よりも税収が減っています。今回の増税も結局そうなりそうです。

財政赤字を減らすというのなら、本来は増税などせず、金融緩和と積極財政をすることです。そうして、デフレを脱却して、さらに景気を良くすることです。こんな判りわかりきったことが、できない多数の与党自民党議員は、白痴といわれても仕方ないと思います。

白痴議員は、頭がなく財務省の官僚のいわれるがままです。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言があります。これを最初に語ったのは、ドイツの名宰相であるオットー・ビスマルクということになっています。

オットー・フォン・ビスマルク

しかし、彼が本当に語ったのは、
愚者だけが自分の経験から学ぶと信じている。私はむしろ、最初から自分の誤りを避けるため、他人の経験から学ぶのを好む。 
Nur ein Idiot glaubt,aus den eigenen Erfahrungen zu lernen. Ich ziehe es vor,aus den Erfahrungen anderer zu lernen,um von vorneherein eigene Fehler zuvermeiden.
ということだそうです。

しかし、それより「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉のほうが人々によく知られていています。格言などは時間の経過によって、取捨選択された人々の智慧ですから、冒頭の言葉の方が、格言としてふさわしいと思いますし、実際そうなのだと思います。

今の大多数の自民党議員は、まさしく経験に学ぶことばかりしていて、歴史に学ぶということをしていないのだと思います。

今のタイミングで増税が駄目な理由は、古今東西の事例を見れば良くわかります。

たとえば、このブログでも掲載したように、世界で一番はやく金融恐慌によるデフレから脱却した高橋是清のリフレ政策などがその良い実例です。

高橋是清のデフレのときに、金融緩和と積極財政をするというのは、マクロ経済学では常識であり、デフレのときの施策としては、ごくまともな政策です。過去を良く振り返ってみれば、デフレや不況のときに増税して成功したためしはありません。

これは、日本の過去においてもそうですし、海外でも同じです。たとえば、イギリスでは、現在の日本とは順番が逆ですが、大幅増税してから、景気が落ち込み、大金融緩和をしたにもかかわらず、なかなか景気が上向かず、税収も上がらなかったという例もあります。

それよりも、なによりも、こんなに長期間デフレであるのは、今の日本だけです。他国ではそんな事例はありません。
【国際政治経済学入門】税収減、失業増…消費増税失敗 英の教訓―【私の論評】増税はまだ本決まりではない!!まだ防ぐ機会はある!!
 

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、イギリスが2011年時点で、財政再建を目的として、付加価値税(日本の消費税にあたる)を大幅に引き上げた結果、景気が低迷し、雇用、その中でも若者の雇用が著しく悪化したため、これに対応するためイングランド銀行(イギリスの中央銀行、日本の日銀にあたる)が、大金融緩和を実施したものの、なかなか景気が回復しなかったことを掲載しました。

これらの事例をふりかえると、不況、ましてやデフレのときには、増税など全くの間違いであることが良く理解できます。

高橋是清の政策は、良くリフレ政策と呼ばれますが、実は私はこの呼び方は大嫌いです。デフレのときに、金融緩和や積極財政をするのはあたり前のど真ん中であり、普通の政策であり、これをわざわざリフレ政策などと呼ぶ必要はないと思います。

そんなことより、過去の日本の経済対策をみれば、増税によりデフレになったにもかかわらず、日銀は金融引締めを行い、ますますデフレを加速させ、昨年には日銀がインフレ政策に転じ、やれやれと思っていたら、その翌年には増税です。日本の過去の経済政策は、まさに゛「デフレ政策」というにふさわし政策ばかりでした。

なぜこんなことになるかといえば、自民党をはじめとする日本の政治家のほとんどが、白痴なみであり、自分の経験したこと(財務省の官僚から聴いたことも含む)だけを拠り所として、過去の歴史から学ぼうとしないからです。

こんなことをいつまでも続けていれば、日本はいつまでもデフレから脱却できず、また自殺者も増えるだけです。デフレは、国民を塗炭の苦しみに追いやるばかりで、何も良いことはありません。無論、政府にとっても日本国にとっても良いことは何もありません。

自民党議員は、自分たちは政権与党の議員であることを認識して、過去の歴史に学び、デフレ政策をやめるべぎです。やめられないというのなら、議員を辞めるべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年10月7日月曜日

財務省、日銀人事に次いで安倍官邸に2度目の"敗戦"―【私の論評】木下に勝利した安倍総理、自民党内でコンセンサスが取れている事柄に関しては安倍内閣は無敵か(゚д゚)!

財務省、日銀人事に次いで安倍官邸に2度目の"敗戦"

iPadで、SNSを縦横無尽に使いこなす安倍総理

「参りました。お説の通りです」---。

財務省はかつて予算編成、景気対策、税制改正をめぐる首相官邸や与党との折衝でこう言って、負けたふりをしながら、その実、己の考え方を7割方通してきた。政治家の自尊心をくすぐり、おだて上げて、財務省の主張の根幹を譲ることはあまりなかった。

だが今回、復興特別法人税を1年前倒しで廃止しようとする首相・安倍晋三や官房長官・菅義偉の強硬姿勢の前に、財務省は膝を屈しざるを得なかった。

安倍政権下で、財務省は今春の日銀総裁人事に次ぐ2度目の「敗戦」。民主党政権下に比べ、財務省の政権内のおけるパワーは弱まったのではないか。

消費増税、財務省は高をくくっていた!?

ひたすら目立たないようにしても、ネットで晒された木下財務事務次官

消費税を来年4月から5%から8%に引き上げることについて、財務省は安倍がどっち道、予定通り引き上げざるを得なくなるを高をくくっていたフシがある。

菅と密接に連絡を取り合う自民党幹事長・石破茂はこう言って、いらだっていた。

野田落ちる(゚д゚)!

「財務省は消費増税を野田さん(佳彦前首相)に決めさせ、安倍さんに上げさせ、それでダメだったら次は石破で、と考えているんじゃないか。政治家を使い捨てにするのは許さない。財務省は消費税を上げざるを得ないと高をくくっている」

石破睨む

石破が不快感を示すほどに、財務省が消費増税実施に自信を持つのも無理はなかった。

景気指標はかなり良くなっているのに加え、8月下旬、消費増税について有識者60人から意見を聴いた「集中点検会合」では約7割の人たちが予定通りの引き上げに賛成した。

消費増税を実施しないなら、見直し法案を秋の臨時国会に提出しなければならないのに、官邸から指示はなく、臨時国会の早期召集を目指す動きもない。

安倍の信任が厚い内閣参与の浜田宏一、本田悦朗が14年から1%ずつ5年間上げていく方法などを唱えた。

浜田参与

それでも、2016年に衆院選、参院選が行われる見通しという政治日程を考えれば、国政選挙が行われる年にも消費税を上げ続けなければならず、政治的にはあり得ない。

財務省の読みは正しかった。しかし---。

その読みは正しかった。

しかし、5兆円規模の景気対策の内容を詰める作業を始めると、状況は暗転した。

公共事業でお茶を濁そうとする財務省案に対し、安倍や菅は経産省が提示した復興特別法人税の1年前倒し廃止案やその後の法人減税に乗ってしまった。

公共事業なら1年限りで終わるが、法人減税に手をつけると先々まで税収減を招くことになる。

それを案じた財務省は自民党税制調査会や公明党税制調査会の幹部に

(1)復興法人税を前倒し廃止しても、給与アップにつながる保証はない
(2)復興所得税がそのままでは不公平感を生み、企業優遇という批判を受ける

などと説明した。

しかし、自民党税調会長の野田毅は早々に降り、表向き反対を唱えていた税調インナーのひとりは菅に電話し、「景気のことを考えるなら、前倒し廃止しかありませんね」と伝え、"抜け駆け"した。

公明党は与党税調でぎりぎりまで財務省の主張に沿った反対論を展開した。

だが、自民党の大勢が官邸になびくのを目の当たりにして矛を収めた。今、公明党内ではこんな反省の声が上がる。

「公明党が官邸のブレーキ役なんて言われるもんだから、財務省をはじめ官僚が次々と説明に来る。ついついそれに乗せられる幹部もいるが、役人に喜ばれても公明党にとっては一文の得にもならない」

財務省お得意の根回しも今回は奏功せず

「お前は主税局長か、総理秘書官か!」

政府与党内の調整の終盤、第1次安倍内閣で総理秘書官だった主税局長・田中一穂は、税調インナーの元官房長官・町村信彦から怒鳴られた。

町村は町村派会長として威厳を示そうとしているのに、官邸になびいてしまった財務省にいらだった。これを聞きつけた菅は田中に電話し、「怒られたんだって?国のためにやっているんだよな」とからかった。

安倍が今月1日に、予定通りの消費増税と景気対策を発表した後、毎日新聞と共同通信がそれぞれ実施した世論調査では消費増税賛成が反対を上回った。

共同調査では賛成53.3%、反対42.9%。内閣支持率は毎日新聞調査で9月比3ポイント減の57%となったが、共同調査では1.5ポイント増の61.8%となった。


消費増税を決定しても、ほとんど影響がなく、「復興特別法人税前倒し廃止で、支持率が5ポイント落ちる」という財務省幹部の「期待」は外れた。

これほど支持率が高い内閣だと、財務省が得意とする根回しは通じない。これに対し、安倍や菅は「財務省は失敗ばかり。財務省の主張と逆のことをやった方が上手くいく」として、勢いの乗る。財務省が次の戦いで勝利するためには発想の転換が必要だろう。(敬称略)

【私の論評】木下に勝利した安倍総理、自民党内でコンセンサスが取れている事柄に関しては安倍内閣は無敵か(゚д゚)!

国民不在の省益優先で増税キャンペーン

さて、消費税に関しては来年4月から8%の増税が決まってしまいました。これに関しては、結局財務省の木下次官が、自民党政権の安倍総理に勝利した形です。

上の記事のように、日銀人事に関しては、安倍総理の勝利は、間違いないですが、その後の増税ということで、結局は一勝一敗ということかと思っていましたら、実際は違っていました。

8%消費税のインパクトがあまりにも強かったため、上の記事にあるように、復興税の廃止、 それに法人減税というのもありました。これらは、いずれも財務省からすれば、減税ということで、勝利か敗北かといえば、敗北です。こんなことが、財務省の敗北になるのかという考えもあるかもしれませんが、木下財務次官は、第二次安倍政権発足直後、当時主計局長(予算編成を司る局の長)だった木下康司氏は、自衛隊に対して徹底的な予算、雇用のための歳出削減を行っています。

・自衛官の補充人員数を10000人から280人に大幅縮小
・防衛費1000億円増加を400億円に削減

このような事実から照らせば、財務省の敗北と言っても良いと思います。

来年4月からの増税以外の、攻防戦の成果を含めれば、安倍総理や自民党に対する見方は変わってきます。

事の是非は全く問わないものとして、新生第二次安倍自民党が金融・財政政策における、財務省との戦いを以下に整理してみます。
4月日銀人事              安倍自民党勝利
平成14年度4月から増税       木下財務省勝利
○5兆円経済対策               安部自民党の勝利
復興税廃止               安倍自民党勝利
法人税減税                安倍自民党勝利

今までの主だった5回の対戦中、安倍自民党の勝利は、4回、木下財務省の勝利は1回のみです。こうしてみてみると、安倍自民党の圧倒的勝利で終わっているではありませんか?しかも、5兆円対策から、この方一度も負けていません。

日銀人事に関しては、自民党内でも金融緩和すべきというマクロ経済的な背景を理解しない人もいました。しかし、自民党内には、いわゆる「上げ潮派」といい、財政再建を日銀が金融緩和をすることにより、経済を良くして、税収を増やして実現させようというグループがあり、このグループが、かねてより、日銀の無能ぶりについて強く指摘していました。また、近年、不況時のアメリカやEUなどの金融緩和が一定の効果を出していることが多くの人々に認識され、自民党内部にも随分浸透し、自民党内でも、金融緩和反対派は少数になっていました。だが、党全体のコンセンサスもあったため、日銀人事は成功したものと思われます。

さて、ここで、復興税に関して、振り返ってみます。これに関しては、下の西田議員の動画をご覧いただくと理解しやすいものと思います。



そもそも、大きな自然災害の復旧や復興においては、古今東西どの国においても、税金で賄うなどという思想はありません。税金で賄おうとしたのは、完璧なマクロ経済音痴の民主党政権(幹部としていおきます。幹部以外には反対した人も大勢いましたが、いかんせん幹部が馬鹿なのでこういう人がいたとしても、政党としては賛成)くらいなものだと思います。

何で賄うかといえば、普通は建設国債などの国債です。実際、関東大震災においても、復興税などではなく、国債で賄いました。しかも、その当時は、日本はまだ豊ではなかったので、国債を売り出しても、国内では消化しきれず、外国にも買ってもらいました。

逆の言い方をすれば、外国に買ってもらっても全額国債で賄ったのです。復興税ということになれば、どういうことになるかといえば、被災を受けた世代にばかり税金が集中して、不公平であるばかりか、ただでさえ、災害で経済が疲弊しているのに、さらに悪影響を及ぼすということで、まずは、絶対に復興税などありえません。

しかし、民主党は幹部であっても、一度も政権を担った政府に入っていたことのない人も多く、このあたりの常識には疎い人が多く、財務省などの甘言により、復興のための金はなく、特に建設国債などでは子孫に大きな負債を残してしまうし、かといって、金はないので復興税などにしなくてはならないなどというまったくの頓珍漢な理由で、復興税などをもうけ実施してしまいました。

なお、復興税に関しては、財務省が理由付けのために古今東西の復興税の成功事例を探してみたそうですですが、そのようなものはなかったということです。日本の過去にも、ローマ時代や、古代中国ですらそのような例はありません。

そうして、自民党内では、さすがに、復興税などは非常識というコンセンサスは成り立っていたのだと思います。ただし、西田議員も指摘するように、マクロ経済音痴の民主党に任せておけば、建設国債など発行する気はなく、放置しておけば、金がないから復興しないということになりかねないため、仕方なしに復興税の設置に協力したということだと思います。

しかし、安倍自民党政権になってからは、掌を返したように、復興税廃止に踏み切りました。復興税廃止に関しては、自民党内でも最初からコンセンサスが成り立っていたため、財務省が何を言おうとけんもほろろに、廃止に踏み切ることができたのだと思います。

法人税減税に関しては、マクロ経済的な背景からいえば、減税の根拠は脆弱なのですが、これは、随分前から財界側からの要望もあり、これに応えるという形で、自民党内では、コンセンサスが成り立っており、これも成功ということです。

ただし、来年4月の8%増税に関しては、そもそもマクロ経済的見て、デフレのときやデフレまでいかなくなても、不況期には、まずは経済成長をすべきであるという常識が自民党内にはまだまだ浸透していませんでした。これに関しては、国際的にも、先進国の多くや、IMF、OECDの機関なども、なぜか、不況期には緊縮財政をして財政再建を優先すべきという、根も葉もない理論に従っており、実際このハチャメチャ理論で、失敗した国々が多数でており、最近ではマクロ経済的な見方では当たり前の、不況のときには、経済成長というように考え方が元に戻ってきています。

しかし、この考え方は、残念ながら、まだ自民党では一般的になっていませんでした。だから、デフレというのに増税すれば、税収が増え、増えれば財政再建もできるはずという考え方から一歩も出ていない人が多く、残念ながら、減税見送りは少数派にすぎませんでした。そのため、安倍総理も長期安定政権を狙うという立場じょう、増税に踏み切らざるを得ませんでした。

自民党はこの日の屈辱を忘れるべきではない。この
屈辱が、民主党阿呆政権の誕生につながった(゚д゚)!
このように安倍自民党政権の、木下財務省との戦いにおける、仔細を分析してみると、自民党内でコンセンサスがまとまっている事柄については、いくら木下財務省が反対しようとしても、できず完敗していることが理解できます。

さて、来年4月の8%増税に関して、木下財務省が勝利したわけですが、これに関しては、増税すれば景気は落ち込むということは自体は自民党内部でコンセンサスがとれており、5兆円の経済対策をするということに対しては、反対の声などありません。これが、本当に不思議なところです。

景気が落ち込めば、税収は減るということは、誰にでも予見できます。税収が減れば、当然のことながら、財政再建は滞ります。社会保障につぎ込めるお金も減ります。そんなことが判っていれば、最初から増税しないければ良いということです。全く矛盾しています。しかし、自民党の中には、この矛盾に気付かない人がかなり多かったということです。

しかし、これを逆の側面からみれば、8%増税の危険性を今の時点では、自民党の大部分がさほど理解してはいないといいながら、経済が落ち込み、景気の腰を折ることを理解していて、5兆円の経済対策をするなどとしているということです。しかし、実際に蓋を開けてみれば、5兆円の対策など、焼け石に水であることがすぐにわかることになります。

ミス富士山に囲まれてご満悦の安倍総理

これを理解して、増税8%は間違いであったことを多くの自民党議員が真に理解することになれば、自民党は変わると思います。変わった自民党には、財務官僚も逆らえなくなります。そこから、日本の真の意味での政治主導が始まります。それが、「戦後体制からの脱却」の一里塚となもなります。そうして、私たちは、そのための手助けを世論形成という形でできます。それも、第一次安倍内閣の時と比較すれば、スマホや、SNSが進歩した現在、格段に強力な支援ができます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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