ラベル ピケティ氏 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ピケティ氏 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年1月31日土曜日

ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言―【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

ピケティ氏、消費増税に「ノー」 都内の討論会で発言

トマス・ピケティ氏

不平等の広がりを指摘した世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者で、来日中のトマ・ピケティ・パリ経済学校教授が30日夕、東京都内で討論会に出席した。日本の消費税率を欧州諸国並みの20~25%程度に引き上げるべきかとの質問に「ノーだ」と応じ、改めて資産や所得の多い人への累進課税の強化を訴えた。

特集:トマ・ピケティ

ピケティ氏はこの日、討論会「格差・税制・成長――『21世紀の資本』の射程を問う」(日仏会館主催)で、過去のデータから先進国での不平等の広がりを指摘した自らの研究成果について講演した。

討論会には、著書「格差社会」がある橘木俊詔・京都大名誉教授も参加した。橘木氏は「日本で重要な問題が消費税。日本が福祉国家になろうと思ったら、8%や10%じゃ到底たりない」と指摘。ピケティ氏に「日本の社会保障制度はほとんどご存じないと思うので、意見を伺うのは恐縮だが」と前置きしたうえで、「日本も欧州のように(消費税率は)20~25%になるべきか」と尋ねた。

ピケティ氏は「ノーだ」と返答。「(日本の税制改革の課題は)高齢者と若者との世代間のバランスを取り戻すことだ。相続資産がなく財産形成もできない若い世代、特に低・中賃金の所得の税率を下げて、累積した資産やトップ層の所得税率を上げるということだと思う」と述べた。そのうえで「消費税を上げるということは、ちっともいいことではない」と述べた。

【私の論評】ピケティ氏の理論を利用して増税推進を正当化してみたり、イスラーム国人質事件で政府批判をする輩は、私達の生活を実質的に脅かす者共であると自覚せよ(゚д゚)!

トマス・ピケティ氏の理論については、現実世界で一部の人々に富が集中する現象はをみて多くの人々がそうではないかと思っていたことを、丹念に過去のデータを集めて、実際に検証してみせたというところが凄いと思います。そこが、『21世紀の資本の』素晴らしいところです。

そんなことは、世の中にはたくさんあります。心理学的には、最近証明された最新事実でありながら、マネジメントの現場ではとっくに、そのようなことが知られていて、実際にマネジメントに古くから適用されてきたことなどいくらでもあります。これに近い事例をこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
他人の行動をしっかり評価できない人は、心理学的なマジックにとらわれている―【私の論評】マネジメントは、根本的な帰属の誤りをどう防いできたか!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では他人の行動をしっかり評価できない人が陥る心理学上でいわれている「根本的な帰属の誤り」について、このような現象は、心理学的な検証や、それにもとづく処方箋など待つことなく、昔から経営の現場で認識され、その対処方法など実践されてきたことを掲載しました。

マネジメントでも、経済でも、現場では学問的定義などは別にして生き物のように日々動いており、経営者や、政治家・官僚などは、はっきりと定義付けされていないものに対しても、それに対処しなければなりません。だから、定義や事実確認などできないことでも、経験にもとづき、行動することなどいくらでもあります。

そのようなことはこの世の中に履いて捨てるほどあります。学問的に定義されていないことでも、仮設を立てて実行して、成功すればその仮説が正しかったということで、失敗すれば間違いだったということです。

そうして、ピケティ氏の考えなど、実証してみせることはできないものの、そんなことは織り込み済みで、私を含めた多くの人々が、増税に反対してきました。どう考えてみても、現状で8%増税はおろか、10%増税もとんでもないことであり、もし10%増税などすればとんでもないことになることは、想像に難くありませんでした。

しかし、増税派の人々の中には、橘木俊詔のような考えの人々のも多いです。ピケティ氏の理論を消費税の増税の正当化に利用しようとする人々もいるようです。

橘木俊詔氏

しかし、その目論見は、見事に本人によって、打ち砕かれたわけです。この記事に関しては、高橋洋一氏が以下のように、ツイートしています。
確かに、日本の新聞は、増税推進一辺倒でした。朝日新聞ももちろん、増税推進を主張していました。朝日新聞は、今でも増税推進派なのでしょうか、この記事だけではそれはわかりませんが、それにしても、良く掲載したものだと思います。

高橋洋一氏は、ピケティ氏のことを「普通の経済学者」と形容してますが、これは多少誤解を招くかもしれません。私としては、「まともな経済学者」と形容したいです。実際、日本では消費税増税推進する「まともでない経済学者」も多いです。

なお、このピケティ氏の発言に対しては、池田信夫氏が以下のようなツイートをしています。
ちなみに、私はこのブログでも池田氏を批判しましたし、ツイッターでも直接池田氏に対して批判をしたこともあります。そのせいでしょうが、現在池田氏は、私をブロツクしています(笑)。そのため、私は池田氏のツイートを直接閲覧することはできないのですが、他の人のリツイートなら見ることができますので、他の人のリツイートを掲載しました。しかも、この人私の言いたいことも語っています。

とにかく、ピケティ氏のような一見新しい理論であるかのような理論ですが、その理論を導く上での作業仮説は、シンプルで誰にでも理解できるようなものでも、これをあたかも最新理論であるかのようにみせかけて、それを活用して、根拠のない自説を正当化しようといする人も大勢いるわけです。

これについては、経済学者の田中秀臣氏も以下のようにツイートしています。
もう、アベノミクスなどに関する、経済論議や8%増税は間違いであったことや、10%増税など実行してしまえば、日本経済は破滅的なるはずであったことは、はっきりしているわけで、これに関する検証や、論議は完璧に尽くされています。

今更、ピケティ氏の理論などを持ち出し、問題を複雑化させる輩は、単に根拠も正当性もない増税推進の自分の意図を正当化するために行っているとみるべきです。

そんなことは、はっきりしているため、あの朝日新聞ですらこのような記事を掲載しているのです。そのことに気づかいないか、気づいても、ピケティ氏の理論を利用してまで、リフレ反対、増税推進を強行に主張する人がまだ存在することに忸怩たる思いがします。

このことについて、田中秀臣氏は以下のようなツイートをしています。
今のタイミングでの増税を強行に主張したり、今のタイミングで人質問題で政府批判をしたりする日本の生活のを実質的に脅かす人々は確実に存在しています。

そういう人たちの言動に惑わされるべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?―【私の論評】中国のように格差を容認する国がどうなったか、これからどうなるのか?先進国は過去どのようにして豊になったのかもう一度真摯にみなおすべき(゚д゚)!

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

財務省の“人殺し政策”消費増税が日本を破壊 無責任な官僚が犯す膨大な恐ろしい失敗―【私の論評】もう一歩で「破滅的大量殺人状況」に陥る寸前だった、日本経済の真相を知るためにこれらの書籍を共感力を持って読め!共感力がないなら読まずに認知症施設に行け(゚д゚)!

本の話WEB】日本人人質事件に寄せて――「日本人の心の内」こそ、彼らの標的だ―【私の論評】日本にこそ、世界に新秩序を確立するためのヒントがある!日本人の心の内にある霊性を重んじる精神、これこそが世界の宗教的混乱を救う一里塚なると心得よ(゚д゚)!

【イスラム国殺害脅迫】「安倍政権こそ言語道断」ツイートの池内氏、共産党女性議員の2枚看板にするつもりが…党見解から暴走―【私の論評】宗教や合理主義の悪い面に拘泥して、深みにはまってしまった人々が混沌世界から脱出するため、今こそ霊性の精神世界を目指すルネッサンスが必要だ(゚д゚)!

【関連図書】

21世紀の資本
21世紀の資本
posted with amazlet at 15.01.31
トマ・ピケティ
みすず書房
売り上げランキング: 3

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
高橋 洋一
あさ出版
売り上げランキング: 100

イスラーム国の衝撃 (文春新書)
文藝春秋 (2015-01-28)
売り上げランキング: 2

2014年5月26日月曜日

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒

日経新聞米州総局編集委員 西村博之

21世紀の資本論

 「エコノミスト界のスター」「新たな経済学の伝道者」「現代のマルクス」「いま最も熱い思想家」。呼び名は、さまざまだ。富の集中は資本主義の必然――。そう訴える大著が、米国で一大旋風を巻き起こしているフランス人経済学者がいる。米経営者の巨額報酬もやり玉にあげているだけに、ウォール街は神経をとがらせている。

ベストセラーになったピケティ氏の「21世紀の資本論」。米国では、売れ切れも相次ぐ(ニューヨーク市マンハッタンの書店)

■クルーグマンも絶賛

 そんな“時の人”が講演のため先月ニューヨークにやってきた。場所はウォール街にも近いニューヨーク市立大の施設。報道関係者も含め400人近い聴衆が集まった講堂は、熱気に包まれていた。

 壇上には、クルーグマン・プリンストン大教授とスティグリッツ・コロンビア大教授の2人のノーベル経済学者も並ぶ。だが聴衆の耳目が注がれたのは傍らに座る若干43歳、端正な顔立ちのピケティ氏だ。

 「いま街一番の人気チケット」。大学幹部が講演への関心の高さをそう紹介したあと、ピケティ氏はフランス語なまりの流ちょうな英語で、自著の中身を熱っぽく語り始めた。

 ピケティ氏の著書は、大きく3つの部分からなる。まず、ここ数世紀にわたる、主に米欧での経済格差の歴史。第2に、今後の見通し。そして、格差是正への処方箋だ。

 ピケティ氏の主張の中核をなすのは、「R>G」という数式だ。資本からの収益率(R)は、経済成長率(G)よりも大きいとの指摘。株式などへの投資で得られる利益は、労働から得られる賃金を上回る、と言い換えてもいい。だから、資本をもつ人々の富は雪だるま式に膨らむ一方、それ以外の人々は取り残され、経済の格差はひたすら広がる。これが資本主義の宿命である、との悲観的な見方を示す。

ピケティ氏の書籍が山積みにされた書店
  スティグリッツ教授や、ライシュ・カリフォルニア大教授など、多くのリベラル派経済学者は、研究を熱烈に支持した。

 一方、保守派の経済学者からは、批判が相次いでいる。ハーバード大のロゴフ教授は、「グローバルな富裕層課税などは施行に多くの問題があるし、政治的にも現実味がない」と批判。同大のフェルドシュタイン教授は、研究で使われた課税所得のデータは税制改正などの影響を加味しておらず、格差への解釈をゆがめていると指摘。「格差が永遠に広がり続けるとの結論は飛躍であり、誤りだ」と反論した。

■サマーズの疑念

 同書には一長一短がある、とみる経済学者も、保守・リベラルの両陣営で目立つ。ハーバード大のマンキュー教授はピケティ氏が示す予想や処方箋には疑念を呈しつつ、格差の歴史分析は「大きな貢献」と評価。エール大のシラー教授も「課税強化をめぐる議論は弱い」としながら、格差の力学の解明には賛辞を贈った。

 専門家の間で、特に目を引いたのはサマーズ元財務長官による批評だ。資本が生む利益が、労働の報酬を上回り続けるとの理屈に、本質的な疑問を呈している。主な指摘は、こうだ。

 ・資本がどんどん蓄積するにつれ、追加の資本投入によって生まれる利益は減るはず

 ・特に設備などの価値が時間とともに低下する減価償却を含めた「正味」でみて、資本が蓄積し続けると言えるだろうか

 ・むしろ、格差の根っこの原因は、グローバル化や、技術の発展。機械化が進めば、賃金(労働)よりも資本(設備)に利益が向かうのは当然

 ・資本が生んだ利益が、すべて再投資されるわけでない。富裕層はお金を使うので、ピケティ氏の言うほどに富は蓄積しない

 それにしても、同氏の著書がここまで米国で注目を浴びるのはなぜか。金融危機後の“時代精神”のせいだ、との声が多く聞かれる。

 2008年の金融危機の発生で、伝統的な経済学への懐疑が広がった。しかも、その後も、経済は振るわない。ピケティ氏自身が著書で述べているように、格差問題は高成長時には見逃されても、経済の停滞時には深刻な問題として認識される。

 過度な富の集中で、民主主義が揺らぐのではないかとの懸念も米国では広まっている。最近は「米国は寡頭政治に陥った」とするプリンストン大教授らの論文が大きな議論を呼んだ。経済エリートや、利益団体が独占的に政策を左右しているとの指摘だ。「資本主義は民主主義の奴隷であるべきだ」と主張するピケティ氏の主張が、多くの米国人の琴線に触れた面もあるかもしれない。

■スーパー経営者やり玉

 ピケティ氏は著書で、こうした「スーパー経営者」の「スーパーサラリー」が米国での格差拡大の主因だと主張している。経営者が巨額の給与のほか、ストックオプションなどを通じて受け取った株式や、その値上がり益、配当などによって資産を加速度的に膨らませているとの分析。その上で、経営者のこうした巨額報酬を正当化するための生産性の計測はできず、報酬額は「きわめて気まぐれに」決められていると喝破する。

 ウォール街は、反撃を始めている。

 多くの大手ファンド幹部らが理事に名を連ねる保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所のペソコウキス氏も、「ピケティ氏のソフトなマルクス主義が知識層に広がり、政治経済の政策論争の光景を一変させかねない」と危機感をあらわにした。

 ウォール街のエコノミストらは、どう考えるのだろう。探すとゴールドマン・サックスが、今年2月のリポートで格差問題の影響を分析し、過去のピケティ氏の論文に触れていた。格差が、中間層の購買力を弱め成長の足を引っ張るとの議論に対し、そうした証拠は見あたらないと指摘。格差そのものについても、今後は改善傾向をたどるとの見方を示している。JPモルガンも、格差問題を論じた最近のリポートで、同様の予想を示している。

 ピケティ氏が見通す陰鬱な未来。心配無用というウォール街。どちらが正しいか判明するのは、ずっと先。だが前者が正しかったとき、もはや打つ手が限られるのは間違いない。米国は、フランスからの警句をどう生かすのだろうか。

上の記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

上記の西村博之氏の記事、非常にまともです。日経新聞にも、このような記者もいるということは驚きでした。ただし、この方の記事あまり読んだことがないので、何ともいえません。アメリカのことを書くときには、まともなのかもしれませんが、日本国内のことを書くときには途端におかしくなるのかもしれません。

とにかく、私は日経新聞の特にマクロ記事に関してはほとんど信じていません。99%間違いであると今でも思っています。日経新聞を読むと、特に日本のマクロ経済が良くわからなくなります。

西村博之というと、私はあの「2ちゃんねる」の創立者西村博之氏を思い出してしまうのですが、そうではないようです。

ちなみにピケティのこの著書については以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?―【私の論評】中国のように格差を容認する国がどうなったか、これからどうなるのか?先進国は過去どのようにして豊になったのかもう一度真摯にみなおすべき(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このまま、格差を放置しておくと、いずれとんでもないことになるというピケティ氏の主張に、クルーグマン氏は、大絶賛しています。

ポール・クルーグマン氏といえば、過去には格差問題でブッシュ政権を辛辣に批判してきました。

アメリカでは、ブッシュ政権末期の10年本当に経済一辺倒で社会がないがしろにされてきました。金融馬鹿や、賭博師だけが優遇され、何と国民の9割が自分は負け犬か、敗残者であると評価するまでになっていました。こうした風潮に対して、ノーベル経済学賞を昨年受賞したポール・クルーグマン氏は経済誌などに辛らつな論文を掲載するなどして、徹底的にブッシュ政権を批判してきました。

社会がなおざりにされてきて、すっかり疲弊して嫌気のさしたアメリカ国民は、オバマ大統領という選択肢を選びました。だからこそ、オバマ氏は就任直後には政策の大きな柱として、社会改革にのりだしました。その中でも目玉は、医療保険改革を本気で実施するということでした。しかし、これもかなり抵抗勢力が大きく、なかなかうまくいってはいないようです。

それにしても、アメリカの場合はまさにピケティ氏の批判があてはまります。投資銀行の経営者の数字が天文学的であったり、その経営者と称するものも、サブ・プラムローン問題などで、とんでもない連中であることが白日のもとにさらされました。

あの金融工学などという、現代の錬金術を駆使て、大儲けするつもりだったが、大失敗しました。そうして、金融工学や、サブ・プライムローンの内容たるや、とんでもないものであることがわかりました。あの程度の、少し考えればわかるようなことも理解できなかった、金融馬鹿や賭博師どもが、スーパー経営者の正体でした。

こんな馬鹿共が、天文学的な報酬をもらうなど、全くおかしな話です。

アメリカでは、ピケティ氏の主張はしっかりとあてはまると思います。あとの西欧諸国でもあてはまるところも多いです。

ピケティ氏
しかし、私たちはあのマルクスの「資本論」の大失敗を思い起こすべきです。ただし、私は、ウォール街の意見が正しいなどというつもりは全くありません。

マルクスの「資本論」大失敗は、あの書籍が書かれた当時のドイツにあてはまることを、時代も場所も超越した理論ということで一般化してしまったことです。その災厄たるやとてつもないことになりました。それは、共産主義黒書など読めば良くわかります。

私は、ピケティ氏の「資本論」もそうなる可能性があると思います。ただし、マルクスの資本論のようなことにはならないと思います。

しかし、ピケティ氏の資本論をそのままあてはめてもらっては困る国もあります。それは、日本です、日本は、格差社会などといわれていた時期もありますが、格差社会の根本原因はデフレです。日本がデフレでなければ、あのような格差状況は生まれていなかったと思います。

それに、日本では格差などといっていますか、あのようなこはアメリカあたりではあたり前のことで、特に珍しいことではありません。

日本の場合だと、アメリカのようなスーパー経営者はいないです。確かに高給とりの人もいますが、アメリカのような文字通りの天文学的な報酬をもらうような人はまずいないです。

アメリカの税制はもともと狂っていますから、ピケティ氏のようにかなり大きな累進課税をかけるということが望ましいと思います。一方日本の場合は、そもそも累進課税もきつく、貧富の差は日本国以外の国々と比較すると少ないです。そもそも、相続税も高く、さらに来年からは税率もあがります。

こんな国で、あまり格差の縮小をやってしまうととんでもないことになると思います。日本は、だいたい今のままで良いと思います。

ただし、現在はデフレですから、このデフレをはやく解消するためには、まずは実質増税などはやめる手立てとして、所得税減税など行い、さらに給付金政策も実行すべきです。公共工事など財政政策は、現状では公共工事の提供制約があるので、効率が悪いです。そんなことをするくらなら、再販分的な所得税減税、給付金政策を実行すべきです。

そうして、デフレから脱却できれば、そのような政策は、すぐに中止すればよいのです。これで、デフレが解消されれば、日本は格差の少ない、ピケティ氏が理想とするような国になるわけです。

一方、中国は格差問題があまりに大きすぎて、近いうちに崩壊するでしょう。アメリカも近年、格差が容認されているようなところがありますから、これも衰退していくでしょう。

そうなると、日本が今後世界で一番発展する国になるかもしれません。何しろ、日本のように格差のない社会はありません。ということは、ピケティ氏の主張からすると、日本以外を除く世界の国々は、ピケティ氏が見通す陰鬱な未来を迎えることになり、日本だけが繁栄することになるかもしれません。

ただし、一つ懸念があります。日本のでは政治家の白痴化が著しいので、ピケティ氏の書籍がでたりして、アメリカや西欧で格差の是正が広まるますさにその最中に、日本では格差を助長するような政策などやり始めるのではないかということです。

ゆとりの教育などはその典型例ですし、増税にしたって、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルが増税して大失敗ということが明るみに出ているのに、このような事実など無視して決まりました。

日本の多くの白痴政治家や、マスコミ、その他の識者などが、格差の拡大を促すような政策を導入するようなキャンペーンをはるかもしれません。

そのような場合には、私たちは、こうしたフランス人著書のことや、アメリカの流れなどもきちんと把握しておき、いざというときには格差助長政策などに反論できるようにしておくべきです。そうでないと、10%増税なども導入され、さらに格差助長政策も導入とされ、とんでもないことになるかもしれません。今の日本の多数の白痴政治などみていると、一歩間違うとそうなる危険もあります。

いずれにしても、ピケティの「資本論」に関しても、時代や場所が変われば、柔軟にその時々で変えて適用するのが最上の策と思います。かつてのマルクスの「資本論」のような教条主義的な適用は間違いです。そのようなやり方、考え方をするのが真性保守だと私は思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】



若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!




【関連図書】


Capital in the Twenty-First Century
Capital in the Twenty-First Century
posted with amazlet at 14.05.19
Harvard University Press (2014-03-10)


若者は本当に右傾化しているのか
古谷経衡
アスペクト
売り上げランキング: 6,598
保守の心得 (扶桑社新書)
posted with amazlet at 14.05.19
倉山 満
扶桑社
売り上げランキング: 6,637

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...