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2015年6月7日日曜日

【日曜経済講座】ウォール街・中南海コネクション遮断へ オバマ政権の対中政策に変化 編集委員・田村秀男―【私の論評】厳格な三権分立で平時に極端に権力のないアメリカ大統領、米中はすぐにも戦争状態に入ったほうが良いかも(゚д゚)!

【日曜経済講座】ウォール街・中南海コネクション遮断へ オバマ政権の対中政策に変化 編集委員・田村秀男



北京に対して柔弱との評判がある米オバマ政権が「ウォール街・中南海(中国共産党中枢)コネクション」の遮断に向け、重い腰を上げた。

直接のきっかけは米司法省と証券取引委員会(SEC)が捜査中の米金融大手、JPモルガン・チェースに対する米海外腐敗行為防止法(FCPA)違反容疑事件だ。その捜査対象の筆頭に挙げられたのが王岐山・党中央常務委員(66)である。

王岐山・党中央常務委員
米ウォールストリート・ジャーナル電子版5月27日付によると、当局はモルガンに対し、王氏とやりとりしたすべての情報の提出を求めた。当局は4月下旬、中国側の“贈収賄高官”35人をリストアップした。

王氏に次いで高虎城・商務相、王氏の配下で党幹部不正捜査担当の公安部長、中国銀行副行長、中信集団など国有企業大手のトップも含まれる。高商務相の場合、商務次官当時の08年、モルガンに在籍していた息子・高●(=王へんに玉)氏の雇用継続を条件に、同社のために「一肌も二肌も脱ぐ」と申し出ていたという。

王氏の場合は自身に子はなく、周囲の党幹部の子弟の就職で米金融大手に「口利き」した嫌疑で、立証は困難だが、最重点ターゲットに仕立てた。

米政府の対外情宣メディア、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の中国語版「美国之音」は5月29日付インターネット番組で、反体制派の在米中国人専門家4人を登場させ、習氏や王氏の不正蓄財取り締まりのいいかげんさを余すところなく語らせた。同放送は中国本土では禁止だが、自由に視聴できる海外の中国人社会で瞬く間に評判になった。王氏と習氏のメンツは丸つぶれである。

オバマ政権は図らずも、ワシントンとウォール街の政治・金融複合体と王氏に代表される北京とのパイプにメスを入れる形になった。オバマ政権は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)問題を機に、膨張する中国の脅威にやっと立ち向かう気になり始めたのだろうか。単なる政治的駆け引きのゲームに終わらせてはならない。

習政権の対外膨張戦略とは、実のところ、ドルとウォール街によって支えられてきた。そのからくりはこうだ。

リーマン・ショック後の米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策開始後、巨額のドル資金が中国に流れ込んだ。中国人民銀行はその外貨を全面的に買い上げ、それを担保に人民元資金を発行する。人民銀行の人民元発行と外貨資産の膨張に合わせて軍拡を進める。この推移をグラフが物語る。

統計学の回帰分析をしてみると、ドル発行量と人民元発行量の相関係数は0.95、人民元発行に対する中国の軍事支出の相関係数は実に0.99である。相関係数は1の場合、完璧な連動を示すのだから、増発されてきたドルが人民元資金と中国軍拡の源泉になったともいえる。

スプラトリー(中国名・南沙)諸島を例にとると、中国の本格的な軍事基地建設は12年秋に習氏が党総書記に就任して以来である。サンゴ礁の砂地に巨大な構造物を構築するには高度な土木技術が必要だが、中国はカネにものを言わせて外国技術を導入した。

中国の外貨資産はもとより、ウォール街にとっては垂涎(すいぜん)の的である。資産運用で難なく巨額の手数料が金融大手に常時、転がり込む。

中国は今、不況だ。資金の対外流出が激しくなり、人民銀行の外貨資産が減り始めた。AIIBは、習政権が進める対外戦略に必要な巨額の資金を国際金融市場で調達するためのダミー機関である。

事態の重大さにやっと気付いたオバマ政権は、「まず隗(かい)より始めよ」とばかり、王・米金融大手ルートの撤去に取りかかった。ウォール街出身者が要職を占めるオバマ政権だけに、どこまでやるか、気にはなるが。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】厳格な三権分立で平時に極端に権力のないアメリカ大統領、米中はすぐにも戦争状態に入ったほうが良いかも(゚д゚)!

オバマ大統領の及び腰については、このブログでも過去に何度か掲載してきました。それについては、この記事の一番下の【関連記事】のところに掲載しておきますので、是非ご覧になってください。

さて、オバマ大統領に関しては、外交問題に関してはいつも及び腰で、それがより問題を複雑化させてきました。日本にも関連するものとしては、あの尖閣問題があります。

尖閣諸島付近で、日本の巡視船に体当たりした中国漁船

尖閣問題が大きくなりはじめたころに、オバマが「尖閣諸島は、日本固有の領土であり、日中間に現状では領土問題は存在しない」とはっきりと言明して、それに対する具体的な対抗措置などを打っていれば、尖閣問題はあれほど大きな問題にはなりませんでした。

中国側としては、尖閣諸島付近で中国が領海・領空侵犯を繰り返すのは、どの程度やれば、日米がどのような行動をとるのかそれを試すという意味もあります。繰り返し、示威行動をして見せて、それでも日米、それも米国がそれに対して何も手を打たないのであれば、さらに示威行動をエスカレートしていくというのが、中国のやり口です。

そうして、中国の本音は、軍事的には日米には到底太刀打ちできないため、このようなことを繰り返し、あわよくば日米両国に「中国は面倒だから、尖閣などくれてやれ」という世論が巻起こり、それでも日米両政府が何ら具体的な手を打たなければ、いずれ南シナ海のように、領有権を主張するという腹積もりです。

ただし、南シナ海の問題と尖閣問題の違いは、南シナ海の周辺諸国とは異なり、中国の人民解放軍の空・海軍は、米国は無論のこと、日本の自衛隊にすら対抗できないくらい軍事的能力しかないということです。

しかし、上の田村氏の記事でも理解できるように、スプラトリー(中国名・南沙)諸島をではのサンゴ礁の砂地に巨大な構造物を構築するには高度な土木技術が必要ですが、中国はカネにものを言わせて外国技術を買い取ったという前科があります。

このまま放置しておけば、軍事的にも高度な技術を他国から買い取って、尖閣列島諸国付近で、日米に対抗しうるような軍事技術を入手する可能性もなきにしにもあらずです。

ただし、こと軍事技術となると、その流出には日米はもとより、他国もその流出にはかなり神経を尖らせていて簡単に流出するものではありません。それは、中国のあの空母「遼寧」を見ていてもわかります。

中国の空母「遼寧」

ロシアから買い入れて改造し、鳴り物入りで登場させた空母「遼寧」は、南シナ海で試運転を一回しただけで、エンジン主軸が壊れて使い物にならなくなってしまった。中国の工業力では、空母を動かす二十数万馬力のエンジンを製造できません。

また、遼寧には日米では大東亜戦争当時から空母に標準的に配備されていた、航空機を発射し、短い距離で発鑑させるための蒸気カタパルトが装備されていません。そのため、遼寧には垂直離着陸のできる航空機しか搭載できません。

米空母から蒸気カタパルトで射出される戦闘機

だから、当面は中国はどうあがいても、日米に軍師的に勝つことはできません。しかし、ウォール街の中南海コネクションを放置しておけば、10年後、20年後はどうなるかは保証の限りではありません。だからこそ、オバマはこれを遮断する動きにでたと考えられます。

それにしても、他の歴代の大統領と比較して、オバマは確かにかなり及び腰なのですが、オバマが及び腰になざるを得ないアメリカの特殊事情もあります。アメリカは議会が承認して、戦争に突入した場合には、その戦争を遂行するために、大統領には強力な権限があります。

しかし、平時においては、極端に厳格な三権分立が障害となり、大統領にはほとんど権限がありません。それどころか、その結果として平時には司法が最も強力になるという歪な構造になっています。司法が強いというアメリカの特殊事情は、アメリカ映画などご覧になっていれば、いわゆる「司法取引」が頻繁に行われていて日本とは異なることでもお分かりになると思います。

これは、以下の図をご覧いただければ、良くお分かりになると思います。


アメリカは、完全な三権分立となっており、日本のように議会と内閣が協力関係にはありせん。これが、平時のアメリカ大統領の権限を極端に弱くしています。

これに関しては、さらに以下の動画を参照していただれれば、良くご理解いただけるものと思います。



軍事力では日米には到底かなわない、中国がどのようなことをして、海洋進出を可能にしようとするのか、それははっきりしています。軍事が駄目なら金融と、情報戦です。そうして、当然のことながら、米国に対しては、平時の大統領の権限の少なさを活用して、日本に対しては、いわゆる平和憲法を活用して、最大限に自分たちが有利になるように動き回っています。

その一環として、中国は金融においては増発されてきたドルが人民元資金と中国軍拡の源泉となるように、ウォール街に中南海コネクション築きあげてきました。日本に対しては、日銀が金融引き締めを政策を実施して、中国に有利になるように、働きかけてきました。

情報戦においては、多く人々が認知しているのは、いわゆる中国のサイバー攻撃です。また、中国の日米両国に仕掛けるハニートラップも多くの人が知っていると思います。

中国にある上海駐在の韓国領事館の3人の男性が同一の女性と交際していた
ことが報道されたことがある。これは完璧に中国のハニートラップである。

しかし、それだけではありません。日本に対しては、尖閣にでの示威運動も含めた、体系的組織的な反日活動があります。米国に関しては、オバマをはじめ、リベラル派に対する親中派転向政策です。

中国は、あらゆる方面で、日米両国に金融戦争、情報戦を仕掛けてきています。日本の安部総理は、アベノミクスの第一の矢である、金融緩和によって中国の金融に大打撃を与えました。

軍事面では、就任当初に掲げた安全保障のダイヤモンド構想を実現すべく、外交に力を入れ着実に成果をあげてきました。さらに、最近では、米国議会の演説で公言した安全保障法制関連法案の閣議決定をして、現在国会で審議中です。

安部総理の中国に対する金融戦争は、2013年から日本の金融緩和として実行され、現状では中国の金融は混乱状況が続いていて、大打撃を与えることに成功しました。

上に述べたように、安部総理は、対中国政策を着実に実行しつつありますが、米国はそうではありません。今頃になって、ようやっとアメリカの安全保障から見て当然のウォール街の中南海コネクション遮断をしようと動き出したというような有様です。

米国の中国対策はあまりにテンポが遅すぎです。それは、やはりオバマ優柔不断が大きく影響していると思います。それに、もともと平時ではアメリカ大統領の権限は小さいということもあります。

しかし、こんなことてば、アジアの平和と安定は中国の海外進出の野望により、脅かされるのは明らかです。そんなことは、米国も許すことはできないはずです。であれば、アメリカ議会は、中国と戦争する議決をするしかなくなります。そうすれば、中国に対して大統領はあらゆる手段を講じることができます。

中国海軍の女性水兵

そうなれば、軍事的に脆弱な中国はどうすることもできません。おそらく、すぐに戦闘能力がなくなり、国内では内乱がおこり、幾つかの国に分裂し、海洋進出どころではなくなるでしょう。これで、完璧現在の中国のとんでもない体制は破壊することができます。

しかし、そうなれば、中国側の被害は甚大となるでしょうが、米国側にもわずかながらも被害が出るのは明らかです。そんなことになる前に、アメリカ議会も司法当局も、たとえ大統領が及び腰であっても、中国への対抗措置ができるようにし、そうして日本のように着実に実行して欲しいものです。

そうして、アメリカ国民は、アジアにおける中国の海洋進出は、当然のこととして米国の利益を損なうものであるとの認識を持ち、次の大統領選挙でぱ"Yes, We can"等の掛け声に騙されることなく、まともな大統領を選出していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年5月26日月曜日

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒―【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

ピケティ氏の陰鬱な「資本論」 ウォール街に警戒

日経新聞米州総局編集委員 西村博之

21世紀の資本論

 「エコノミスト界のスター」「新たな経済学の伝道者」「現代のマルクス」「いま最も熱い思想家」。呼び名は、さまざまだ。富の集中は資本主義の必然――。そう訴える大著が、米国で一大旋風を巻き起こしているフランス人経済学者がいる。米経営者の巨額報酬もやり玉にあげているだけに、ウォール街は神経をとがらせている。

ベストセラーになったピケティ氏の「21世紀の資本論」。米国では、売れ切れも相次ぐ(ニューヨーク市マンハッタンの書店)

■クルーグマンも絶賛

 そんな“時の人”が講演のため先月ニューヨークにやってきた。場所はウォール街にも近いニューヨーク市立大の施設。報道関係者も含め400人近い聴衆が集まった講堂は、熱気に包まれていた。

 壇上には、クルーグマン・プリンストン大教授とスティグリッツ・コロンビア大教授の2人のノーベル経済学者も並ぶ。だが聴衆の耳目が注がれたのは傍らに座る若干43歳、端正な顔立ちのピケティ氏だ。

 「いま街一番の人気チケット」。大学幹部が講演への関心の高さをそう紹介したあと、ピケティ氏はフランス語なまりの流ちょうな英語で、自著の中身を熱っぽく語り始めた。

 ピケティ氏の著書は、大きく3つの部分からなる。まず、ここ数世紀にわたる、主に米欧での経済格差の歴史。第2に、今後の見通し。そして、格差是正への処方箋だ。

 ピケティ氏の主張の中核をなすのは、「R>G」という数式だ。資本からの収益率(R)は、経済成長率(G)よりも大きいとの指摘。株式などへの投資で得られる利益は、労働から得られる賃金を上回る、と言い換えてもいい。だから、資本をもつ人々の富は雪だるま式に膨らむ一方、それ以外の人々は取り残され、経済の格差はひたすら広がる。これが資本主義の宿命である、との悲観的な見方を示す。

ピケティ氏の書籍が山積みにされた書店
  スティグリッツ教授や、ライシュ・カリフォルニア大教授など、多くのリベラル派経済学者は、研究を熱烈に支持した。

 一方、保守派の経済学者からは、批判が相次いでいる。ハーバード大のロゴフ教授は、「グローバルな富裕層課税などは施行に多くの問題があるし、政治的にも現実味がない」と批判。同大のフェルドシュタイン教授は、研究で使われた課税所得のデータは税制改正などの影響を加味しておらず、格差への解釈をゆがめていると指摘。「格差が永遠に広がり続けるとの結論は飛躍であり、誤りだ」と反論した。

■サマーズの疑念

 同書には一長一短がある、とみる経済学者も、保守・リベラルの両陣営で目立つ。ハーバード大のマンキュー教授はピケティ氏が示す予想や処方箋には疑念を呈しつつ、格差の歴史分析は「大きな貢献」と評価。エール大のシラー教授も「課税強化をめぐる議論は弱い」としながら、格差の力学の解明には賛辞を贈った。

 専門家の間で、特に目を引いたのはサマーズ元財務長官による批評だ。資本が生む利益が、労働の報酬を上回り続けるとの理屈に、本質的な疑問を呈している。主な指摘は、こうだ。

 ・資本がどんどん蓄積するにつれ、追加の資本投入によって生まれる利益は減るはず

 ・特に設備などの価値が時間とともに低下する減価償却を含めた「正味」でみて、資本が蓄積し続けると言えるだろうか

 ・むしろ、格差の根っこの原因は、グローバル化や、技術の発展。機械化が進めば、賃金(労働)よりも資本(設備)に利益が向かうのは当然

 ・資本が生んだ利益が、すべて再投資されるわけでない。富裕層はお金を使うので、ピケティ氏の言うほどに富は蓄積しない

 それにしても、同氏の著書がここまで米国で注目を浴びるのはなぜか。金融危機後の“時代精神”のせいだ、との声が多く聞かれる。

 2008年の金融危機の発生で、伝統的な経済学への懐疑が広がった。しかも、その後も、経済は振るわない。ピケティ氏自身が著書で述べているように、格差問題は高成長時には見逃されても、経済の停滞時には深刻な問題として認識される。

 過度な富の集中で、民主主義が揺らぐのではないかとの懸念も米国では広まっている。最近は「米国は寡頭政治に陥った」とするプリンストン大教授らの論文が大きな議論を呼んだ。経済エリートや、利益団体が独占的に政策を左右しているとの指摘だ。「資本主義は民主主義の奴隷であるべきだ」と主張するピケティ氏の主張が、多くの米国人の琴線に触れた面もあるかもしれない。

■スーパー経営者やり玉

 ピケティ氏は著書で、こうした「スーパー経営者」の「スーパーサラリー」が米国での格差拡大の主因だと主張している。経営者が巨額の給与のほか、ストックオプションなどを通じて受け取った株式や、その値上がり益、配当などによって資産を加速度的に膨らませているとの分析。その上で、経営者のこうした巨額報酬を正当化するための生産性の計測はできず、報酬額は「きわめて気まぐれに」決められていると喝破する。

 ウォール街は、反撃を始めている。

 多くの大手ファンド幹部らが理事に名を連ねる保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所のペソコウキス氏も、「ピケティ氏のソフトなマルクス主義が知識層に広がり、政治経済の政策論争の光景を一変させかねない」と危機感をあらわにした。

 ウォール街のエコノミストらは、どう考えるのだろう。探すとゴールドマン・サックスが、今年2月のリポートで格差問題の影響を分析し、過去のピケティ氏の論文に触れていた。格差が、中間層の購買力を弱め成長の足を引っ張るとの議論に対し、そうした証拠は見あたらないと指摘。格差そのものについても、今後は改善傾向をたどるとの見方を示している。JPモルガンも、格差問題を論じた最近のリポートで、同様の予想を示している。

 ピケティ氏が見通す陰鬱な未来。心配無用というウォール街。どちらが正しいか判明するのは、ずっと先。だが前者が正しかったとき、もはや打つ手が限られるのは間違いない。米国は、フランスからの警句をどう生かすのだろうか。

上の記事は要約記事です。この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】日本はピケティ氏からみれば、理想の国! 余計なことをせず、デフレから脱却しさえすれば日本が世界で一番繁栄する国となるだろう(゚д゚)!

上記の西村博之氏の記事、非常にまともです。日経新聞にも、このような記者もいるということは驚きでした。ただし、この方の記事あまり読んだことがないので、何ともいえません。アメリカのことを書くときには、まともなのかもしれませんが、日本国内のことを書くときには途端におかしくなるのかもしれません。

とにかく、私は日経新聞の特にマクロ記事に関してはほとんど信じていません。99%間違いであると今でも思っています。日経新聞を読むと、特に日本のマクロ経済が良くわからなくなります。

西村博之というと、私はあの「2ちゃんねる」の創立者西村博之氏を思い出してしまうのですが、そうではないようです。

ちなみにピケティのこの著書については以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマン「ピケティ・パニック」---格差問題の言及者に「マルクス主義」のレッテルを貼る保守派はこれにまっとうに対抗できるのか?―【私の論評】中国のように格差を容認する国がどうなったか、これからどうなるのか?先進国は過去どのようにして豊になったのかもう一度真摯にみなおすべき(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、このまま、格差を放置しておくと、いずれとんでもないことになるというピケティ氏の主張に、クルーグマン氏は、大絶賛しています。

ポール・クルーグマン氏といえば、過去には格差問題でブッシュ政権を辛辣に批判してきました。

アメリカでは、ブッシュ政権末期の10年本当に経済一辺倒で社会がないがしろにされてきました。金融馬鹿や、賭博師だけが優遇され、何と国民の9割が自分は負け犬か、敗残者であると評価するまでになっていました。こうした風潮に対して、ノーベル経済学賞を昨年受賞したポール・クルーグマン氏は経済誌などに辛らつな論文を掲載するなどして、徹底的にブッシュ政権を批判してきました。

社会がなおざりにされてきて、すっかり疲弊して嫌気のさしたアメリカ国民は、オバマ大統領という選択肢を選びました。だからこそ、オバマ氏は就任直後には政策の大きな柱として、社会改革にのりだしました。その中でも目玉は、医療保険改革を本気で実施するということでした。しかし、これもかなり抵抗勢力が大きく、なかなかうまくいってはいないようです。

それにしても、アメリカの場合はまさにピケティ氏の批判があてはまります。投資銀行の経営者の数字が天文学的であったり、その経営者と称するものも、サブ・プラムローン問題などで、とんでもない連中であることが白日のもとにさらされました。

あの金融工学などという、現代の錬金術を駆使て、大儲けするつもりだったが、大失敗しました。そうして、金融工学や、サブ・プライムローンの内容たるや、とんでもないものであることがわかりました。あの程度の、少し考えればわかるようなことも理解できなかった、金融馬鹿や賭博師どもが、スーパー経営者の正体でした。

こんな馬鹿共が、天文学的な報酬をもらうなど、全くおかしな話です。

アメリカでは、ピケティ氏の主張はしっかりとあてはまると思います。あとの西欧諸国でもあてはまるところも多いです。

ピケティ氏
しかし、私たちはあのマルクスの「資本論」の大失敗を思い起こすべきです。ただし、私は、ウォール街の意見が正しいなどというつもりは全くありません。

マルクスの「資本論」大失敗は、あの書籍が書かれた当時のドイツにあてはまることを、時代も場所も超越した理論ということで一般化してしまったことです。その災厄たるやとてつもないことになりました。それは、共産主義黒書など読めば良くわかります。

私は、ピケティ氏の「資本論」もそうなる可能性があると思います。ただし、マルクスの資本論のようなことにはならないと思います。

しかし、ピケティ氏の資本論をそのままあてはめてもらっては困る国もあります。それは、日本です、日本は、格差社会などといわれていた時期もありますが、格差社会の根本原因はデフレです。日本がデフレでなければ、あのような格差状況は生まれていなかったと思います。

それに、日本では格差などといっていますか、あのようなこはアメリカあたりではあたり前のことで、特に珍しいことではありません。

日本の場合だと、アメリカのようなスーパー経営者はいないです。確かに高給とりの人もいますが、アメリカのような文字通りの天文学的な報酬をもらうような人はまずいないです。

アメリカの税制はもともと狂っていますから、ピケティ氏のようにかなり大きな累進課税をかけるということが望ましいと思います。一方日本の場合は、そもそも累進課税もきつく、貧富の差は日本国以外の国々と比較すると少ないです。そもそも、相続税も高く、さらに来年からは税率もあがります。

こんな国で、あまり格差の縮小をやってしまうととんでもないことになると思います。日本は、だいたい今のままで良いと思います。

ただし、現在はデフレですから、このデフレをはやく解消するためには、まずは実質増税などはやめる手立てとして、所得税減税など行い、さらに給付金政策も実行すべきです。公共工事など財政政策は、現状では公共工事の提供制約があるので、効率が悪いです。そんなことをするくらなら、再販分的な所得税減税、給付金政策を実行すべきです。

そうして、デフレから脱却できれば、そのような政策は、すぐに中止すればよいのです。これで、デフレが解消されれば、日本は格差の少ない、ピケティ氏が理想とするような国になるわけです。

一方、中国は格差問題があまりに大きすぎて、近いうちに崩壊するでしょう。アメリカも近年、格差が容認されているようなところがありますから、これも衰退していくでしょう。

そうなると、日本が今後世界で一番発展する国になるかもしれません。何しろ、日本のように格差のない社会はありません。ということは、ピケティ氏の主張からすると、日本以外を除く世界の国々は、ピケティ氏が見通す陰鬱な未来を迎えることになり、日本だけが繁栄することになるかもしれません。

ただし、一つ懸念があります。日本のでは政治家の白痴化が著しいので、ピケティ氏の書籍がでたりして、アメリカや西欧で格差の是正が広まるますさにその最中に、日本では格差を助長するような政策などやり始めるのではないかということです。

ゆとりの教育などはその典型例ですし、増税にしたって、イギリス、イタリア、スペイン、ポルトガルが増税して大失敗ということが明るみに出ているのに、このような事実など無視して決まりました。

日本の多くの白痴政治家や、マスコミ、その他の識者などが、格差の拡大を促すような政策を導入するようなキャンペーンをはるかもしれません。

そのような場合には、私たちは、こうしたフランス人著書のことや、アメリカの流れなどもきちんと把握しておき、いざというときには格差助長政策などに反論できるようにしておくべきです。そうでないと、10%増税なども導入され、さらに格差助長政策も導入とされ、とんでもないことになるかもしれません。今の日本の多数の白痴政治などみていると、一歩間違うとそうなる危険もあります。

いずれにしても、ピケティの「資本論」に関しても、時代や場所が変われば、柔軟にその時々で変えて適用するのが最上の策と思います。かつてのマルクスの「資本論」のような教条主義的な適用は間違いです。そのようなやり方、考え方をするのが真性保守だと私は思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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