ラベル 専門家 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 専門家 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年7月1日水曜日

【世界を斬る】オバマ政権の対中弱腰外交で米政府は危機的状況 相次ぎ辞任する専門家―【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

2015.07.01

2年前の米中首脳会談。9月会談の中身は…

米国防総省から最近、ハドソン研究所に移ってきた中国専門家が私にこう言った。

「この9月、2年ぶりに米国で米中首脳会談が開かれる。オバマ大統領が、習近平主席に対して中国の不法な領土侵略やサイバー攻撃を厳しく非難し、『止めなければ断固たる措置をとる』と警告しなければ、米国の国際的な指導力は一挙に失われる」

ワシントンでこうした意見が出始めているのは、習主席の訪米の前触れともいえる中国の恫喝外交がすでに始まっているからだ。

6月23日から2日間にわたって、ワシントンの国務省で開かれた米中経済戦略会議の席上、米側が米政府機関に対する中国の無法なサイバー攻撃について抗議したところ、中国側は強圧的な態度でこう反撃した。

「米国は事実をしっかり調査したのか。感情的にならず、対応策を考えてから提案を行うべきだ。一方的に中国を攻撃し続ければ、事態は悪くなるだけだ」

米側は最新技術を駆使して、一連のサイバー攻撃が民間企業を装った中国軍の情報機関によって行われたことを突き止めている。そのうえで、抗議したが、中国側は傲慢な姿勢を崩さなかった。

このように中国が、国際法から、とうてい認められない行動をとり続けているにもかかわらず、オバマ大統領は中国との友好関係を強調し、迎合的な姿勢を崩そうとしない。この結果、米政府内では深刻な混乱が始まっている。

オバマ大統領は、基本的に米国の経済的な利益のみを考えて中国との協力関係を強化しようとしている。中国とのビジネス関係が悪化すれば、立ち直り始めた経済が再び後退すると心配しているのである。そのうえ、米国には、中国と肩を組んで世界秩序を維持するのが現実的な国際政策であると考えている指導者も少なくない。

中国の脅威に直面している日本や東南アジアの国々は、米国に頼るだけでなく、まず中国の不法行為を阻止するという確固たる政治的姿勢を示し、自らその能力を持つ必要に迫られている。

■(ひだか・よしき)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

このブログでも何度か、オバマの弱腰については指摘してきました。結論から言うと、ウクライナ問題を複雑化させ、ロシアのプーチンをして軍事的冒険にださせたのはオバマです。

ISISに対しても、煮え切らない態度を取り続け、対応が遅れてしまったため、結果としてISISを台頭することになってしまったのもオバマのせいです。

上記の問題に関しては、多くの専門家が、早めに対応すべきとしてきたものをオバマはすべて後手、後手にまわって、結局問題をより複雑化させてしまいました。

尖閣問題もそうです。本来オバマは、より問題が複雑化する前に日中間にはもともと、領土問題などないとはっきり声明を発表すれば良いものを、またまた時期を完璧に逸したタイミングで懸念は示したものの、未だに日中間に領土問題は存在せずという声明は発表していません。

そもそも、アメリカは第二次世界大戦の戦勝国であり、終戦直後の国連の分類では、第二次世界大戦に参加し、勝利した第一国であるはずです。日本は、第二次世界大戦に参加し、負けた第二国です。

現在の中韓は、この分類でいえば、第二次世界大戦に参加しなかった国、すなわち第三国です。

第二次世界大戦で、ドイツや日本と真っ向から戦い、多大な犠牲を出して、戦後体制が築かれ、アメリカはその戦後体制の中でダントツのトップの座を占めているはずです。

にもかかわらず、オバマ大統領は、第三国の今の中国風情に、はっきりとモノが言えないのですから、呆れて二の句が継げないです。

完璧にレイムダックと化したオバマ
一体どうなっているのかと言いたいです。日本はいわば、残念ながらアメリカの持ち物のようなものであり、自分の持ち物なら持ち物で、それなりの対応をとるべきです。中国が尖閣周辺で示威行動をするようになった時点で、はっきりと声明をだし「俺の持ち物に手を出すな」という意思表示をはっきりして、軍事的にもそれ相当の対応をしていれば、尖閣問題の恒常化、より一層の複雑化は防げたはずです。

中国の軍事力など、アメリカには到底及ばないことははっきりしており、もし米中が戦争にでもなった場合、中国はなすすべもなく負けてしまうことははっきりしています。空母や艦船も、戦闘機も、戦車も、前近代的なものばかりで、日本近海での海戦、空戦では、中国は日本の自衛隊にも惨敗してしまう程度の実力です。

サイバー部隊も、アメリカのほうがはるかに優秀です。優秀な人材の、奥行きも幅も、到底中国には及びもつきません。

中国は将来の有望な市場になるという考えもありますが、そんなのはいつのことになるやらわかりません。それにもともと、アメリカのGDPに占める輸出の割合など、数%に過ぎません。

その数%のうちのさらに中国向けということになれば、ほんの微々たるもので、世界一の経済大国のアメリカからすれば、中国向け輸出があろうが、なかろうが、そんなものは誤差の範囲に収まる程度のものです。

アメリカの対中国輸出は誤差の範囲内


たとえ、これから10倍に伸びたとしても、誤差の範囲のようなものが10倍に増えたからといって、そんなものは微々たるものです。そのようなものを当て込んで、中国にモノが言えないとしたら、本末転倒も甚だしいです。

それに、このブログでも何度も掲載しているように、中国の現体制はとうていこれからも継続するとは考えられません。おそらく、中国は分裂するとみるのが妥当です。分裂しなかったにしても、現体制は近い内に崩れます。昨日も示したように、中国の西端には第二イスラム国の脅威が忍び寄っています。

そんな現体制の中国に、遠慮したりおもねたりするのは、全く愚かなことです。そんなことは、インテリジェンス面でも、優れたアメリカはしっかりと認識していると思います。しかし、オバマは理解していないようです。

それにしても、オバマの前まではまだ良かったです。たとえば、ブッシュ大統領のときは、悪いこともありましたが、少なくとも中国に対しては、一線を引いていしました。

ブッシュ大統領は、少なくとも年一回くらいは、会見を開いて、中国に対して、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関して、注文をつけ、まともになるように促していました。

ブッシュ大統領

このまま、オバマが中国の習近平と9月の会談にのぞめば、またまた及び腰で、まともな対応は期待できません。

このブログでも示したように、アメリカは今後しばらく、軍事費を削減します。その記事のリンクを以下に掲載します。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアメリカの軍事予算はすでに減っているし、これからしばらくは削減されることはあっても、増大することはないことを示す部分のみ引用します。

 

この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。 
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は昨年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。 
昨年の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。 
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。 
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。 
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
及び腰のオバマはこれからも任期中は、まともな外交は期待できません。さすがに、9月の習近平との会談では、一方的におもねるようなことはないでしょうが、さりとて、厳しく抗議するということもないでしょう。

オバマ大統領の任期は2017年1月までです。まだ結構あります。これまでの期間、アメリカはまともな外交はできないでしょう。

尖閣問題では、オバマはこれからも、結局何もしないでしょう。そうなると、日本は今国会でも論争になっている安保法案を成立させて、米国だけではなく、インド、オーストラリア、ASEAN諸国なども含めて、集団的自衛権を行使できるようにして、中国を封じ込めなければならないはずです。

次の大統領はオバマよりはましでしょうが、それでも、どの程度まともに中国に対峙するかはまだ見えません。及び腰オバマの在任中にどれだけ、中国がつけあがり、何をしでかすかなど分かったものではありません。

転ばぬ先の杖という言葉もあります。かねてより、このブログでは集団的自衛権は、人権と同じく、自然権であり、憲法や法律が成立する以前の根源的な権利であることを主張してきました。日本でも、これを当然として、議論をすすめなければなりません。

オバマにより、世界の平和は危機にさらされています。今こそ、野党もマスコミも、そうして無論国民も、日本の安全保証に関する問題を真摯に論議し、日本の平和や安定はもとより、アジアの平和と安定と繁栄を確かなものにするため、現実に真摯に向き合うべきだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

【中国・ベトナム衝突】緊張高まる南シナ海 オバマ米政権、再均衡戦略の「決意」試される事態も―【私の論評】安部首相は、優柔不断オバマの尻を叩き、東シナ海で近隣諸国をも含む大合同演習を行い日本のアジアにおけるプレゼンスを増すべきだ(゚д゚)!

米国防長官が辞任 シリア政策で大統領と対立―【私の論評】レームダック化したオバマの振る舞いは危険ではあるが、アメリカ議会が超党派で動き出しているし、日本にとってはアジアでの存在感を高め「戦後体制から脱却」を推進する良いきっかけになると心得よ(゚д゚)!

【関連図書】

本日のブログ冒頭の記事を書かれた、日高氏の最近の著書を以下にピックアップしました。

アメリカは立ち上がる: ジェブ・ブッシュと石油新時代
日高 義樹
徳間書店
売り上げランキング: 23,082

‐日本人だけが知らない‐ 米中関係の真実 (ワニの本)
ベストセラーズ (2015-03-06)
売り上げランキング: 24,365

中国、敗れたり
中国、敗れたり
posted with amazlet at 15.07.01
日高 義樹
PHP研究所
売り上げランキング: 91,602

2014年11月16日日曜日

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目―【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然だが、日銀の追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分。なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授

消費再増税延期、衆議院解散・総選挙の可能性について報じる新聞各紙

 今週、政府が2015年10月に予定していた8%から10%への消費再増税を延期する方向で最終調整に入っており、安倍晋三首相は再増税延期の是非を国民に問うために衆議院を解散する意向だと一斉に報じられた。ただし、現在首相は外遊中で帰国は17日であり、首相の公式発言からはこうした話は一切聞こえてこず、憶測だけが一人歩きしている状態だ。だが、衆院議員の中にはすでに選挙事務所などを確保している人も多く、もはや解散は止められない様相を呈している。

 こうした中で、これまで再増税一辺倒であった民主党も一転して延期容認に傾いているという報道も出てきており、野党も急な選挙で混乱状態に陥っている。何しろ民主党は先の総選挙から2年も経過するにもかかわらず、全選挙区の半分にも候補者を立てられておらず準備不足だ。日本維新の会との連携も不調であり、頼みの野党間での選挙協力も期待できず、あたふたと方針を変更している。日本経済にとっては、民主党を方針転換させただけでも政府の消費再増税延期は評価できる。自民党内の増税派も姿勢を変えるだろう。

 そもそも、経済悪化の下での増税はセオリーでない。経済が悪い時には減税、良い時には増税が常識だ。何しろ4月の5%から8%(注:元記事は、11月16日の朝現在では、3%から5%となっていたが、管理人訂正)への消費増税は、従来の消費増税と異なり、他の減税なしでの増税だった。引き上げ幅も3%と諸外国に比べて大きかったので、筆者の予想通り景気は悪化した。安倍首相は経済を重視しているので当然の判断ができるわけだが、再増税をしたい財務省に媚びて誤った内容を伝えるエコノミストやマスコミが多すぎる。そういった人たちの邪推を打ち砕く意味でも延期の意義は大きい。

●財務省が狙う景気条項削除

 今、財務省と首相官邸との間では激しいやりとりが行われている。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しているのだ。景気条項とは、再増税の条件として判断時の景気を見極めることを明記するものだが、これを削除するということは1年半後がいかなる経済状況でも自動的に再増税される時限爆弾といえる。経済政策としては信じ難い内容だが、経済が生き物だということを肝に銘じながら、弾力的な対応ができるよう法整備をしておく必要があることはいうまでもない。

前述の通り、今回の消費再増税延期は日本経済にとっては朗報である。ここ数日間株式市場が上昇トレンドをみせているのは、4月の消費増税で景気が低迷していた分を取り戻しているためであろう。消費再増税を延期すると日本売りが進むという専門家の見方は早くも外れた。延期で当面経済が良くなるわけで、政府はその間に本格的な経済成長策を仕組める。さらに世界経済への貢献という点でも、日本経済が好調なほうがいい。

 ちなみに、「海外は消費再増税を国際公約とみなしているので再増税を実行すべき」という意見もあったが、米国財務長官など海外からは「見送るべき」という声も寄せられており、国際公約ではないことが明らかとなった。このように出鱈目な意見が露呈するという意味でも、再増税の見送りは評価されるべきだといえよう。

(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然!追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分!なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

上の記事、誤りを訂正した上で、全文掲載させていただきました。この誤りは、いずれ訂正されるかもしれませんが、明らかに間違いなのでここに訂正させていただきます。残念なミスです。

なお、これがミスであることの根拠は以下の記事をご覧いただければ明白です。
“ネット増税”で景気動向は悪化している―【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!
 
すき家HPにある雇用用のバナーの写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、上の記事の著者と同じ、この記事の元記事の高橋洋一氏の記事は、以下のように締めくくられています。
消費税増税の効果は、金融政策の緩和効果を相殺し、さらに悪影響を与えている。というのは、97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われた。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネットで減税であった。しかし、今回の増税はネット増税である。これの悪影響がないはずない。
89年の消費税創設のときは、消費税が3%に設定されましたが、物品税が廃止されたためネットでは減税でした。97年増税のときには消費税率が3%から5%に引きあげられましたが、これに先行して、先行減税していたので、現実には相殺されていたということです。しかし、今回の増税(5%から8%への増税)は、ネット増税(正味の増税)ということを、高橋洋一氏が書いています。

よって、ブログ冒頭の記事の文書は「5%から8%への消費増税」というのが正しくて「3%から5%への消費税増税」という表記は間違いです。

そうして、この記事で私は、さらに今回の8%増税に関しては、日本では初の、デフレの最中での増税であることを付け加えました。

89年の増税のときには、日本は緩やかなインフレでした。緩やかなインフレ下では、物価もあがりますが、賃金もあがるということで、この時には給料は緩やかでしたが上昇していました。

そうして、97年当時では、デフレ傾向ではありましたが、あくまでデフレ傾向ということであり、増税直前まではまだデフレではありませんでした。完璧にデフレになったのは、98年からです。だから、このときも、少なくともデフレの最中、すなわち、雇用状況が悪化し、給料が下がり続ける最中での増税ではありませんでした。

しかし、今年4月からの5%から8%への増税はデフレの最中での増税です。過去の増税と比較すると、破滅的な増税であったことが理解できます。

4月からの増税は実は破滅的なものだった

そうして、増税直後から、増税推進派が軽微であると言い繕ってきましたが、明らかに悪い状況が続きました。そうして、これは、まだ序の口に過ぎません。

97年の増税を振り返ってみると、この頃に日銀は金融引締めに転じています。そうして、98年から日本経済は完璧なデフレ状況になり、その状況が今も続いています。

この頃と比較すると、日銀が金融緩和に転じているだけましかもしれません。しかし、そうはいっても、先ほど述べたように、デフレの最中の、ネットの増税です。この悪影響ははかりしれません。

このままでは、金融緩和の効果はかなり緩慢になることは、明らかです。このままの状況を続けていると、いつまでたってもデフレからの脱却ができず、金融緩和の効き目もなしと判断されて、十分効果が出ないうちに打ち切られことにもなりかねないことになります。

そんな状況なのに、さらに10%増税ともなれば、とんでもないことになります。日本では、増税派が多数ですが、まさに、狂気の沙汰と言わざるを得ません。

だから、10%増税を見送るのは、当然として、8%増税による経済への悪影響を避けるために、日銀の金融緩和の他に、政府による積極財政による、経済対策が絶対に必要です。

そうして、それは当面は、公共工事の供給制約がある現在、消費税減税もしくは所得税減税と、給付金政策を実行するべきです。特に、給付金政策に関しては、再配分的な政策を実施できれば、その効果は絶大です。

財務省は、諸費税10%増税を見送れば、社会保障予算を削ると政治家や官僚を恐喝しているが、
増税してしまえば、消費が低迷し税の源泉である国民所得が減り、税収が減りとんでもないことに

このような状況にもかかわらず、財務省は政治家や官僚などに10%増税しないと、とんでもないことになると、恐喝していましたが、上の記事でも高橋氏が指摘しているように。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しています。

ここまでくると、狂気の沙汰どころか、認知症です。このような組織的認知症を患っている組織は、この世から消したほうが良いです。

しかし、ただ分割したとすれば、これは財務省の植民地を増やすだけの結果に終わります。財務省という組織を分割して、分割したいくつかの部分を他省庁の下に配置するという完全分割消滅をはかるべきでしょう。

このブログにも過去に掲載してきたように、多くの増税派政治家や財務省に蚊帳の外におかれ無視され続けてきた安倍総理の胸中には、当然のことながら、もし長期政権が実現できたら、当然財務省の完全分割消滅は視野に入っているものと思います。

これから、財務省と官邸との抗争はさらに苛烈になっていくものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ―【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!






【関連図書】

自殺のない社会へ
自殺のない社会へ
posted with amazlet at 14.10.18
澤田 康幸 上田 路子 松林 哲也
有斐閣
売り上げランキング: 196,491

【ブログ管理人より】
第2章の最後の方で、相関関係に留まらず因果関係「失業が自殺を生みだした」の分析がなされています。


経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策
デヴィッド スタックラー サンジェイ バス
草思社
売り上げランキング: 53,250


消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか (幻冬舎ルネッサンス新書 た-8-1)
田村 秀男
幻冬舎ルネッサンス
売り上げランキング: 170,196







2014年5月12日月曜日

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか―【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか

村上 尚己 氏

4月下旬に公表された最近の中小企業白書では、2012年時点の「起業希望者」は約84万人と、1997年の約167万人から約半分にまで大きく減少した、と分析されている(下表)。「起業希望者半減」と、センセーショナルに伝えたメディアもあった。

実際に起業して成功している、あるいは将来の起業を目指している人々は、日本での起業精神の冷え込みを嘆いたり、「日本経済の停滞の象徴」と喝破している。

では、なぜ、日本人は起業しなくなったのだろうか。過去10数年余りで、日本人が臆病になったのか?日本人の意識が大きく変わったのか?日本の教育が大きく変わったのか?それとも起業を支援する制度が、かつては充実していたのか? 

いずれも筆者は違うと思う。日本で起業活動が衰え始めた時期と、物価に責任を持つ日本銀行の政策でデフレという異常な経済状況が始まった時期はほぼ同じだ。デフレが長期化して、起業というリスクをとる行動に、経済合理性を見出すことが難しかったから、と考えるのがもっとも自然である。

戦後は、正しいマクロ安定化政策が続き、このため経済が安定的に成長した。だから、既存企業が切磋琢磨し、あるいは起業による新たなプレーヤーによる技術革新が経済活動を活性化させ、日本の経済発展を支えた。

バブル崩壊後の経済安定化政策を誤り、「デフレでも仕方がない」と考える中央銀行の政策により、日本経済は常に抑制されてしまった。このため、低成長が続き、起業というリスクをとるコストが、多くの合理的な日本人にとって極めて大きくなっていたのだ。

日本で起業が停滞した理由は、「日本人は起業が苦手だから」ではなく、起業という行動の本質を、多くの日本人が良く理解しているから、というのが本当の理由である。だからこそ、実質金利が極めて高いという経済環境に直面し、起業に慎重になるという、合理的な行動が広がったということなのだ。

こうした認識が正しく、今後2%の物価安定と脱デフレが定着する経済正常化が進めば、日本における起業活動は再び正常化するだろう。

1990年代半ばのような経済状況になれば、2012年段階で落ち込んでいる「起業する人の数」は再び20%くらいは増えるだろう。そして、起業で成功する人が増え、それが魅力的な選択であると認識されれば、起業を考える人(起業希望者)も、倍増してもおかしくない。

アベノミクスがもたらすインフレ時代の到来は、日本の起業精神を復活させるのである。なお、この統計は5年に1回しか発表されないため、アベノミクス発動で景気回復が始まった2013年の起業者数の動きは残念ながら把握することができない。5年後が楽しみである。

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらを御覧ください(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

上の、村上 尚己氏の記事、まったくこの通りです。あたり前のど真ん中です。とにかく、デフレの最中の起業は、余程のことがない限り控えるというのが、経済合理的な行動です。

しかし、日本では、なぜかこのデフレということを全く忘れたか、存在しないかのごとく、様々な経済問題や社会問題を考える人が多すぎです。特に多くの分野の専門家といわれる人々が、デフレなどなきがごとくに、様々な論議をしています。こういう人たちの頭の構造はどうなっているのか、私は理解できません。

日本は、過去15年間デフレでした。このことを忘れて、あたかもデフレがあたり前、通常の状態であるかのように、それを前提として日本の起業率が低いことを嘆いても意味がなく、まずはデフレ解消が喫緊の課題です。



デフレであることを前提として、起業率の問題を考えるのはもとより、社会福祉、医療、雇用の問題いや、もっと大きく社会問題を考えたとしても、すぐに行き詰まり、閉塞感にさいなまれるのは当然のことです。

そもそも、日本ではデフレがあまりにも長く続いたせいか、デフレを軽く考え、あたかも通常の経済循環の好景気、不景気のうちの不景気くらいに考えてものを語る頭の軽い政治家、識者、専門家といわれる人が多すぎです。

私は、デフレそのものよりも、こういう頭の軽い政治家、識者、専門家が日本にあまりにも多いということのほうが、よほど危険なことだと思います。

デフレ下では、税収の拡大は見込めない


デフレは、正常な景気循環の範疇には収まらないそこから逸脱した異常事態です。デフレは、実体経済の癌です。すぐにでも直さなけれはならないものです。

このことは、このブログでも、何回かタイトルに「ちょっと待ってくれ」というフレーズを入れた、シリーズで掲載してきました。

そのうちで、まずは起業に関係ある記事のURLを以下に掲載します。
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ある方が日本のベンチャー企業が発達しない本当の理由を以下のように記述していることを掲載しました。
ベンチャーと大企業との関係でいえば、手塩にかけて作り上げた技術を、ベンチャー企業が大手企業の前でプレゼンテーションするとします。その時に、いつも決まって返ってくる答は「既存技術の価格より安くしてくれないと取引できない」だったのです。大手企業は、技術の価値は認めるものの、それ以上は、踏み込めません。
日本のベンチャー企業は良いモノを作ることはできます。しかし規模が大きくはないため、「安売り競争」には耐えられません。そのために、優秀なベンチャー企業は、幾度も臍(ほぞ)をかんできたのです。
しかし、私はこれに対して、「大手企業の担当者も忸怩(じくじ)たる思いであったと思います。デフレというマクロ環境がすべての企業行動にマイナスの影響を与えていたことを指摘したいだけです」ととして、デフレの最中では、大企業の担当者だって、新たな技術を取り入れるよりは、すでに定評のあるものをより低価格でと考えるのは当然のことであり、問題は大企業のスタンスではなく、デフレであることを強調しました。

その上で、古いタイプの企業から、新興企業への労働力人口の移動の事実にもとづき以下のように掲載しました。
古い企業から新興企業への労働人口の移動があるということは、起業家予備軍も相当いるはずです。今後アベノミクスで、経済がまともになれば、ベンチャー起業も増え、ベンチャキャピタルを活用してくる人も増えてきます。 
そうして、デフレ脱却により、人々の選好がお金からモノに移行するということは、購入する時の判断のウエイトが、モノの値段からモノの機能・価値にシフトするということです。そうなれ ばベンチャー企業が持つ技術力に目が向けられるようになります。彼らは自らの得意分野で「相撲」を取ることができるようになります。 
そうして、デフレ解消は目前です。そうなれば、どんどんベンチャー起業がおこり、ベンチャーもモノの機能・価値を提供しつつ、発展していけるようになります。そんな時代はもう少しで来ます。最近中国の特許件数が伸びているかのような誤った印象操作がありますが、良く調べてみると、中国は特許の出願数が世界一なのであり、特許取得数は未だに日本が世界一です。そんな国日本で、デフレ以外にベンチャー企業が、起業できない、成長できないという理由はないと思います。
ベンチャーの起業が少ないことを大企業が新しい技術を導入しないということを原因とするのは、ミクロ的な見方であり、マクロ的にいえば、大企業がこのような購買傾向になるのは、デフレのせいです。大局的にみれば、大企業の購買傾向を責めても何の解決にもなりません。まずは、デフレを解消しなければなりません。

大企業の購買行動を責めているだけで、デフレを解消しなければ、モグラ叩きに終始するだけで、いつまでたっても、問題は解消されず、閉塞感に苛まされるだけとなります。その果てには、包括的大金融緩和の以前見られた、日本駄目論、日本人駄目論です。

日本がデフレであることを前提として、それが永遠に改善も改革もされないという考えで、物事を考えれば、結論はこうなるしかありません。しかし、それは違うでしょう! 全くの間違えでしょう!

デフレが解消されれば、日本も起業家が増える(゚д゚)!
(社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子さん

どこかで、水道のパイプに亀裂が入り、水が漏れだしたとして、それに対する対処として、皆で水を汲み出したとしても、根本的な解決にはなりません。まずは、どこかで元栓を止めて、亀裂の入ったバイブを取り替えるべきです。

しかし、ことデフレとなると、多くの政治家、識者、専門家などが、亀裂のはいったパイプを取り替えるのではなく、水を汲み出す方法の論議しかしません。これは、全く異常です。

このデフレ、実は日本国内で10の大きな問題があったとして、デフレを解消すれば、10のうち、6くらいは芋づる式に解消します。残りの4つも、解消飲めどが立つ可能性が高いです。しかし、デフレが解消しなければ、10の問題全部を解消できません。

上では、ベンチャー起業について取り上げましたが、 実は様々な問題の源はデフレです。

その典型的なものは、雇用の問題です。

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、デフレであれば、雇用環境が悪くなる、賃金も下がるというのはあたり前のど真ん中です。しかし、日本ではなぜか、雇用問題となると、雇用のミスマッチばかり強調され、企業側の問題点や、学生側の問題点ばかり指摘する専門家などがほとんどで、デフレのことを言う人は少ないです。

日本の以外の国では、雇用の問題となると、中央銀行の金融政策が問題という認識です。しかし、日本では、これがほとんど問題にされてきませんでした。今でも、その傾向があります。雇用というと、金融政策によって雇用枠を増やすことは論議されず、もともとある雇用枠を巡って、その中で企業側や、求職者側の問題などを指摘するにとどまる専門家があまりに多すぎます。

こういう専門家は、専門家ではなくただの馬鹿ではないかと私は思います。雇用問題の専門家と称する馬鹿の皆さんは、大反省すべきです。

デフレが解消されれば、雇用も良くなる(゚д゚)!

これは、起業とか、雇用に限らず他の問題でも同じことです。日本人は、優秀なのに、ことデフレに関しては、未だに正しい認識を持つことができない人々が多いです。この原因は、やはり、デフレを軽く認識する頭の軽い、政治家、識者、専門家が、御託を並べて論議をするというとこが間違えているのだと思います。

だから、デフレ下であるにもかかわらず、財務省主導の増税となどという馬鹿げたことが実施されてしまうのです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【関連記事】

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!











【関連図書】

ベンチャー創造の理論と戦略―起業機会探索から資金調達までの実践的方法論
ジェフリー・A ティモンズ
ダイヤモンド社
売り
上げランキング: 58,054

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 8,870

起業家精神に火をつけろ!―会社のために働くのではなく、あなたのために働いてくれる会社をつくる7つのルール
マイケル E.ガーバー
エレファントパブリッシング
売り上げランキング: 57,392


2012年8月6日月曜日

いま日本に求められるリーダーは理系か文系かを専門家分析―【私の論評】若いうちに厳しく訓練されリーダーシップを仕事とみなす人だけがリーダーになれる!!

いま日本に求められるリーダーは理系か文系かを専門家分析:


グローバルリーダーには理系出身者が多い一方で、日本の大企業ではまだまだ文系出身者が多い。原発事故で対応が批判された東京電力のトップは、“東大文系”ばかり。原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局としての責任を追及された際に「私は文系なので…」と呆れるいい訳をしたことも記憶に新しい。ということはいま求められる日本のリーダーは理系? しかし、そう単純な話でもなさそうだ。『理系バカと文... 続きを読む

■著者データ

NEWSポストセブン
「NEWS ポストセブン」は小学館が発行する「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」「マネーポスト」4誌を統合したニュースサイトです。各誌の最新記事・コラム等をネット用に再編集し、掲載するほか他のニュースサイトにも配信します。
ウェブサイト: http://www.news-postseven.com/


この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】若いうちに厳しく訓練されリーダーシップを仕事とみなす人だけがリーダーになれる!!

このブログでは、いわゆるリーダー教育というものを掲載したことがあります。そうしてその際に、失敗の例として、松下政経塾をあげました。真のリーダー養成校は確実に世界中に存在しており、 かつて日本にも、存在していましたが、今は残念ながら、ほとんど存在していません。


世界のリーダーシップ養成校として認められている学校は、世界中に存在しており、それは、いわよるボーディング・スクールというものです。たとえば、イギリスであれば、イートン校のような存在です。これらの学校は、中高一貫教育で、勉学からスポーツその他を徹底して厳しく叩き込みます。ここでは、あまりボーディング・スクールそのものについては述べませんが、以下に世界のボーディング・スクールのリストを掲載しておきます。


上は、海外ですが、日本にも、世界的に有名ではないですし、数も少ないでずか、ボーディング・スクールがあります。それが、以下です。
函館ラサール学園
この中で、海洋中等教育学校などは、最近はテレビなどで放映されて結構知名度があがったと思います。以下にその紹介ビデオを掲載しておきます。


若いうちの叩き込みが重要なのです。そうして、この若い時期のつめこみ、そうして、できうるならば、幼少の頃の厳しい躾があれば、そこから、リーダー的資質を持った人が生まれる確率は高くなります。だからこそ、諸外国では、ボーディング・スクールがこのように多いのだと思います。

それから、先に掲載した、松下政経塾は、全寮制ではありますが、入塾できるのが、22歳以上35歳以下の青年ということであり、ここが、ボーディング・スクールとの大きな違いです。そうして、皆さんご存知のように、この塾からは、リーダー的素質を欠いた人というより、平たくいうとボンクラばかり育っています。やはり、この年齢以上では、リーダー的素質を持った人を育てるということはほとんど無理なのです。松下幸之助氏は、商家の出ということもあり、武家の厳しい幼少期からの教育などあまり知らなかったがため、このようなことになったのだと思います。

以下に、松下政経塾の実体を示す動画を掲載しておきます。


日本には、いわゆる全寮制の学校は、ありませんでしたが、それにしても、中高の頃徹底的に詰め込み教育をするところはありました。それは、江戸時代までの藩校とか、私塾でした。これは、全寮制ではありませんでしたが、それにしても、若いうちに徹底的に様々なことを叩き込むということにおいては、西洋のリーダー養成校と負けず劣らずのものでした。その良い例は、吉田松陰の松下村塾です。

やはり、鉄は熱いうちに、打てという諺どおり、若いうちに、徹底的にありとあらゆることを叩きこむということが、リーダー教育には、重要なのだと思います。そうして、諸外国のポーティング・スクールでは、理系・文系にかかわらず、徹底的に知識を詰め込みます。それに、国家意識、国民意識、スポーツその他規律も負けず劣らず、徹底的に叩き込みます。だから、基本的な事柄に関しては、理系・文系にかかわらず、頭の中に、いわゆる、とっかかりができるわけです。これらの学校を卒業した人たちによれば、次から次へと課題を与えられるということで、イジメなどしている暇はないようです。それよりも、互いに助け合うという精神が生まれるそうです。そこから、コミュニケーション能力も養われるのだと思います。


こんなことを考えると、上でいうところの、理系・文系という分け方など、何の意味も持たないと思います。そんなことより、早期の詰め込み教育のほうが、よほど重要だということです。

こういう基本ができている人が、大学、大学院に進学してさらに大きな器になるという事です。そこからいくと、日本の最近の教育は後退していると思います。得に、戦後の教育は、日教組などの暗躍により、本来のリーダー教育に必要な教育をできないようにしています。

ゆとりの教育で用いられた、パンフレットのようなペラペラの教科書
それに、しばらく前までは、「ゆとりの教育」が行われていました。こんな有様では、とてもじゃないですが、日本にリーダーシップを持った有能な人がてでくる確率はますます少なくなると思います。


それから、ドラッカーは、リーダーシップについて、以下のようなことを語っています。
「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』) 
リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言する。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはない。 
リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。 
リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだとドラッカーは言う。 
リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。 
ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきた。外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた。 
 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」(『プロフェッショナルの条件』)
上記のように、ドラッカー自身は、リーダーシップは、特定の資質などではないといいます。しかしながら、ドラッカー自身も、若い時代にいわゆる、詰め込み教育をされていたことは明らかです。それも、随分特殊な環境にあったようです。それは、ドラッカーの父親は、オーストリア・ハンガリー帝国の官吏であり、その当時の著名人が、ドラッカーの家に集い、一種のサロン的な役割を果たしていいたということです。子供の頃からのこうした体験が、ドラッカーに大きな影響を与えなかったはずはありません。


上の記事のように、リーダーには、理系か文系かなどの論議は、全く不毛だと思います。若いうちの、ある程度以上の詰め込みと、あとは、ドラッカーの言っているように、「リーダーシップを仕事」わみなして、努力する人のみが、本当のリーダーになれるのだと思います。そうして、ドラッカーの時代、特にドラッカーが教育を受けだ時代など、幼少期の教育では、道徳教育と規律に関する厳しい教育がなされていたし、大学に入る前の段階で、様々な詰め込み教育が当たり前でした。

だから、ドラッカーはそんなものは当たり前で、リーダーシップは仕事であると言い切れたのでしょうが、あれから随分ときがたち、特に日本では、日本の社会の社会主義化を目指した日教組が、台頭し、今では目標を見失って、ひたすら内にこもる組織となり、さらには、ゆとり教育などが導入され、まさに、危機的状況になりました。さすがに、「ゆとり教育」は廃止されましたが、日教組などは、亡霊のように残っています。

ドラッカーが今のこの状況をみれば、リーダーシップは資質ではないと言い切れないのではないかと思います。とはいいながら、日教組の組織率も随分低下しています。これから学校の先生になる人たちは、日教組に入らないようにして、日教組の有名無実化を推進すべきです。いずれにせよ、今日本では、特に公立学校ではリーダーシップの資質を育てる教育環境にはありません。

今の政治家はほとんどが戦後の教育を受けています。民主党は、何も決められず、政権が長持ちすることに苦慮しているだけです。自民党も、デフレ下の増税などという愚かな政策を推進し、民主党の補完勢力になっているありさまです。この閉塞感を打ち破るには、強力なリーダーが必要ですが、強力なリーダーシップを発揮しうるかどうかを見極める手段として、中高時代に受けた教育の内容、さらには、ドラッカーが主張しているような「リーダーシップ」を仕事とみなしているかどうかを判断材料にしていく必要があります。間違っても、ヒトラーのような似非リーダーシップを本物のそれと見誤ってはならないと思います。

このようなことにならないため、私たちは、日ごろから、文系・理系のどちらがリーダーに向いているかなどの瑣末なことは脇においておいて、リーダーシップの本質を学んでいく必要があると思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?


【関連記事】

クリエイティブなアイデアが出やすくなる、ワーキングメモリを鍛える方法―【私の論評】ワーキングメモリを増やすには、記憶そのものを増やすことだ!!しかも、若いうちに!!


現代の経済界を引っ張るのは? リーダー探しの旅―【私の論評】小説、伝聞に惑わされず本当の歴史を知ろう!!


『もしドラ』に続き、本家ドラッカーの『マネジメント』も100万部突破!経営書初のミリオンセラーに―【私の論評】マネジメントには、原理原則がある!!


Appleを復活させた「魔法使い」、ジョブス氏の休職―【私の論評】ジョブスの生き方は、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という日本人の理想を体現している!?


未来組織のリーダー  ビジョン・戦略・実践の革新 


【中国へのけん制強まるか】豪・英・米の安全保障協、AUKUSへの日本参加歓迎の意味―【私の論評】AUKUSのもう一つの側面 - SMR(小型原子炉)でエネルギー・ドミナンス強化に挑む中国への対抗策

【中国へのけん制強まるか】豪・英・米の安全保障協、AUKUSへの日本参加歓迎の意味 まとめ AUKUS(オーカス)の勢いと支持者の増加 AUKUSは地域の緊張を高める原因ではなく、中国の軍事力増強に対する抑止力の回復の一環 日本とカナダのAUKUSへの関与は積極的に評価される 岸...