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2020年6月9日火曜日

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない — 【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない 
米中貿易戦争

安倍首相(右)と、トランプ大統領は「共通の価値観」を共有している。

   中国の習近平国家主席の「国賓」来日が、事実上の白紙となったようだ。新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)を受け、日中両政府は今春の来日を延期していたが、無期延期状態が継続しそうだというのだ。習氏率いる中国共産党政府には、「死のウイルス」の初動対応や、「高度な自治」を無視した香港への強硬姿勢をめぐり、米国をはじめ世界各国で批判が高まっている。「米中新冷戦」も指摘されるなかで「日本の選択」とは。新進気鋭の政治学者、岩田温氏が斬り込む。


 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。

 ◇

 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。
    米国が最も重視するのは「自由と民主主義」だ。これは米国の一貫した理念であり続けている。

 これに対して、中国が掲げるのは「共産党によって強力に指導された政治体制」だ。中国が武漢におけるウイルスを封じ込めたと喧伝した際、中国共産党の強力な指導体制を誇った。これは単純に共産党をたたえているのではなく、「自由民主主義社会は自分たちの理念ではない」ことを暗に世界に示したのだ。

 危機の際、自由民主主義社会の対応が遅れがちになるのは事実だ。なぜなら、自由民主主義社会においては効率以上に「国民の基本的人権」や「自由」を尊重するからだ。国民の権利や自由など全く意に介することなく、ひたすら効率を追い求める非・自由民主主義社会の方が迅速な対応を取ることが可能である。

 だが、効率のみを追求する社会において、人々は幸せに生きることができるのだろうか。

 現在、香港で「国家安全法」が導入されようとしており、多くの市民が怒りの声をあげている。なぜ、彼らは必死に戦うのか。それは、「自由民主主義社会こそが、最も人間らしく生きることができる」という確信があるからだ。

 天安門事件(1989年6月4日)を思い返せば分かるように、中国は「経済の自由化」は認めても「政治の自由化」は認めない。なぜなら、政治の自由化は中国共産党による支配を根底から覆す可能性が高いからだ。

 一度、香港の自由が失われれば、自由を復活させることは困難だ。「表現の自由」「思想信条の自由」などの自由が奪われ、生きづらい社会が到来する。

 ■習主席の「国賓」来日「事実上の白紙」は朗報

 米中対立の時代に、わが国はどうあるべきなのか。

 多くの日本国民は、その重要性を閑却(かんきゃく=いい加減にしておくこと)しがちだが、われわれもまた自由を享受して生きており、そうした体制の下における生を望んでいるのだ。「リベラル」を自称する人々は「安倍独裁」などというが、テレビで堂々と政権批判をしても何も問題とならないわが国が独裁政治であるはずがない。

 習主席の「国賓」来日が「事実上の白紙」となったとの報道があった(産経新聞6日朝刊)。朗報というべきだ。香港への「国家安全法」の導入決定問題を厳しく論ずるべきときに、習主席の鼻息を仰ぐような態度をとるべきではないからだ。

 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない。もちろん、中国との対立を激化させる必要はない。しかし、理念が異なる国家であることを忘れずに堂々と批判すべきときには批判すべきなのだ。基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙(じゅうりん)する国家に阿諛追従(あゆついしょう=気に入られようとして、媚びへつらうこと)してはならない。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。

【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

安倍晋三首相も、基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙する国家に阿諛追従するつもりはないようです。

安倍晋三首相は9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答弁で、中国の習近平国家主席の国賓来日に関し、日程調整を当面行わない考えを表明しました。新型コロナウイルス感染症に触れ「状況を収束させることが何よりも重要だ。日中間で意思疎通を続けるが、少なくとも今は具体的な日程調整をする段階にはない」と述べました。

9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答える安倍総理

中国による香港への国家安全法制導入決定を巡り「情勢を深く憂慮している。香港は一国二制度の下、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展することが重要だ」と改めて強調しました。

当然といえば、当然の反応です。そうして、政府としては、これからの世界がどのように変わっていくのか、見通しをもって今後の政策を遂行していくべきです。

これからの世界は、どのように変わっていくのでしょうか。コロナ禍による社会隔離措置の結果として、全世界的に、サービス消費に関わる産業の多くが世界的に壊滅的な打撃を受けています。

一方、巣ごもり消費やリモートワーク等の恩恵を受ける分野では代替需要と特需が発生していることも、見逃されるべきではありません。経済全体に対しては良くない影響がありながら、それとともに、勝ち組と負け組を二極化させることもまた、「コロナ共生の時代」の特徴として捉えておくべきです。

もちろん、コロナ狂騒曲はいずれ終焉を迎えます。その後、「コロナ共生の時代」の優劣が続くとは限らないです。しかし産業構造が「コロナ以前」の時代へと再び回帰するかと問われれば、それも難しいといわざるを得ないです。

なぜなら、コロナ以前の時代から始まっていた国際政治経済の変化がコロナ禍を触媒として加速しているからです。これが最終的に受容されることになれば、社会構造の変化が言わば「コロナ遺産」として残され、「コロナ後の時代」における経済産業構造を規定することにります。

コロナ以前から既に始まっていた国際政治経済の一つの潮流が「主権国家の逆襲」もしくは、グローバルガバナンスの修正でした。国家は「国家主権」「民主主義」「(ハイパー)グローバリゼーション」の三つのうち、少なくとも一つを放棄せざるを得ません。

ダニ・ロドリックが提唱した、この有名な「国際政治経済のトリレンマ」になぞらえれば、冷戦終結を契機として西側諸国は国家主権を限定することと引き換えにグローバリゼーションを進展させてきたとも言えます。

しかし進み過ぎたグローバリゼーションは深刻な問題を露呈させました。第一は、「底辺への競争」と「再分配機能の低下」に伴う(国内)格差の拡大です。これは戦間期(第一次大戦終結から第二次大戦開始まで)としばしば重ねられる現象でもあります。グローバリゼーションの恩恵にあやかるべく、各国は競って(法人)所得減税・関税減免・規制緩和に励む。その財源は、(輸出に有利な)付加価値税の増税です。

結果として資本効率は高まるのですが、他方で実質的な労働所得は抑制されることになります。わかりやすくはっきり言えば、資本家と労働者の格差が拡大します。トマ・ピケティの議論を持ち出すまでもなく、トランプ現象にせよ、サンダース旋風にせよ、英国のEU離脱にせよ、大陸欧州で深刻化するネオナチ運動にせよ、通底しているものは皆、ルサンチマンが導くグローバリゼーションに対する反発だったのかもしれません。

露呈した第二の問題は、中国共産党の台頭に伴う「(サミュエル・ハンチントンが指摘するところの)文明の衝突」リスクの顕在化です。グローバリゼーションの進展が中国経済の躍進に機会を与えたことは言うまでもないのですが、中国の台頭は通信・航空技術など軍事関連分野でもリープフロッグ型発展を促し、西側諸国の安全保障を脅かすに至りました。米中冷戦の底流にこの問題が存在していることもまた、論をまたないでしょう。

これらへの対処こそが、「ポスト・コロナ時代」への伏線だった、とは考えられないでしょうか。第一の問題への処方箋として検討されていたのが「ベーシックインカムに代表される所得再分配制度の再設計」、および「過度なグローバリゼーションの是正(と国家主権の回復)」です。

第二の問題への処方箋としては、「経済のブロック化と内製化の進展」、「軍事関連技術への国家的介入」などが検討・実施されてきました。無論、グローバリゼーションによる経済的恩恵を放棄しながら上述したような政策を行うためには、莫大な財源確保を必要とします。この財源問題を克服するに当たって一部で検討されていたのがシニョレッジ(通貨発行益)の議論でもありました。

上述したような処方箋の多くが、主流派の経済学者・政治学者らの目には荒唐無稽な発想に写ったに違いないです。しかし翻って現在、コロナ禍への対応を口実として、前述した対策と近しい政策が矢継ぎ早に実行に移されていることは否定できないです。

国際移動は半ば強制的にシャットダウンされました。内製化およびサプライチェーンの再構築に向けて、国家を挙げた対策が講じられています。ボーイング等に代表される軍需関連産業の保護は早急に進められています。

リモートワーク推進等を奇貨として、中国共産党が近年進めてきたことと全く同様に、仮想空間における監視強化と通信技術の発展が志向されることになるかもしれません。緊急事態宣言により国民主権は一部制限されることになりますが、他方で、一時的とはいえベーシックインカムに近しい現金給付が行われ、一定水準の生活が保障されます。そして政府支出の増加は中央銀行の量的緩和によって一旦ファイナンスされます。

かつて荒唐無稽と一笑に付されてきた「グローバルガバナンスの修正」に向けた過激な政策が、コロナ禍を触媒として予定調和的に進められているのが現状だとと見做すこともできるかもしれません。

もしそうだとすれば、コロナ制圧後の人類は新たな世界秩序を受容するのでしょうか。それとも、コロナ以前の世界を希求するのでしょうか。この社会選択が「ポスト・コロナ時代」における経済産業の「ゲームのルール」を強力に規定することになるでしょう。

コロナ制圧後の世界秩序はまだどうなるかは、わかりませんが、中国は一党独裁のため、民主化ができず、グローバリゼーションと国家主権に拘泥しようとするのですが、ある程度民主化しなければ、世界の大きなプレイヤーである日米などの先進国と貿易ができなくなるでしょう。

かといって、先進国とは別の経済圏を作ったにしても、結局は旧ソ連と同じで、その経済圏が発展することもなく、ソ連と同じで衰退していくことになるでしょう。米国は中国が体制を変えない限り、制裁をさらに加速します。

そうして中国はソ連と同じ運命を辿り、崩壊するか、今の体制のまま、経済が衰退して世界に対して影響力を及ぼすことができなくなるでしょう。

日本については、グローバリゼーションの度合いを減らすことにより、自給自足型経済で“V字回復”し、黄金時代を迎えることになるでしょう。

コロナ禍の前は、明らかに人手不足傾向でしたが、コロナ禍により、一時的に雇用がダメージを受けるかもしれませんが、反グローバル化で、自給自足型経済を推進すれば、また人手不足の状況に戻り、それが日本の大繁栄の基礎となるでしょう。

恒常的人手不足により、誰もが普通に働けば生活に困ることなく、普通に努力すれば、応分に報いられる社会に変容していくことでしょう。ただし、リーダーといわれる人々には大変な時代となります。

利害が対立しがちな部門同士の調整をするとか、カリスマ性を発揮するなどの従来型のリーダーシップから真のリーダーシップを発揮することが求められるようになるでしょう。

これについては、すでにこのブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
自給自足型経済で“V字回復”日本の黄金時代到来へ! 高い衛生観念でコロナ感染・死者数抑え込みにも成功―【私の論評】今後も続く人手不足が、日本を根底から変える。普通の人が普通に努力すれば応分に報いられる時代がやってくる(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を掲載します。
常に人手不足にさらされるこれからの時代には、合理性を無視した極端な緊縮財政や極端な金融引締は回避されるのではないかと思います。であれば、日本は黄金時代を迎えるのは、間違いないと思います。
ただ、日銀や財務省は、国民による厳しい監視を続け、昨年の増税などの非合理な動きをしたときには、厳しく糾弾していく必要性は、ここしばらくはありそうです。
日本が反グローバル化の波に乗り、ある程度は自由貿易をしつつも、自給自足型の経済に戻れば、 間違いなく黄金期を迎えます。

ただし、日銀や財務省が政策を間違え、それを政治家が正せないようなら、黄金期を迎えることはできないかもしれません。日本が黄金期を迎えられるか否かは、日本が軍事的脅威にさられる以外は、国外の事情とはあまり関係ありません。

一重に、国内の財政政策と金融政策が問題です。これらが、まともに遂行されれば、日本は黄金期を迎えます。財務省や日銀が誤った政策を実施しても、それを政治家が修正できなければ、平成時代と同じく、デフレが続くことになります。

そうして、日本が黄金期を迎えれば、日本の社会は変わります。「国際政治経済のトリレンマ」でいうところの、「(ハイパー)グローバリゼーション」を捨て去り、日本は黄金期を迎えるわけですから、「国家主権」「民主主義」のいずれを強めても成り立つわけです。

そうなると、これらの両方を強化をすべきです。今の日本で、「国家主権」と「民主主義」のいずれが、強化できる余地があるかといえば、言わずもがなの「国家主権」です。

ただし、民主主義も欠けている面などは、補いつつも、国家主権を強化すべきです。そうして、黄金期を迎えた、日本ではそれ比較的容易になるはずです。

今でも、現在コロナ対策の二次補正予算はバラマキなどとのたまう、政治的にも経済的にも物差しが狂った野党はほとんど相手にされなくなっているでしょう。まともな野党だけが、多くの国民に支持されることになります。

そうなると、憲法改正などの「国家主権」に関わる分野は、かなり是正できることになります。その頃には、中国はかなり弱体化しており、その影響力もほとんどなくなり、日本は「国家主権」を強化することが容易になるはずです。

これには、米国の議会も大統領も賛成することでしょう。彼らも、戦後長期にわたって、平和主義を貫いてきた日本が、よもや中国のように米国を脅かす存在になることはなく、頼りになるパートナーが生まれることを期待するようになるでしょう。

日本経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」からも解き放たれて、自由に羽ばたくことができるようになるでしょう。

黄金期を迎える日本の将来を信じて、政府はそれを目指して、戦略を立てるべきです。私たちも、その未来が来ることを信じて、まずは目の前の私たちの責務を果たしていこうではありませんか!

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2018年12月5日水曜日

米国から飛び込んできた日本人拉致事件への朗報―【私の論評】年明け早々「安倍首相の電撃訪朝」というニュースが飛び込んでくるかもしれない(゚д゚)!

米国から飛び込んできた日本人拉致事件への朗報
□□
北朝鮮に拉致された米国人青年、トランプ政権が本格調査開始へ



 米国の議会と政府が、北朝鮮による米国人拉致疑惑の解明に動く気配をみせている。日本人拉致の解決に向けて意外な側面支援となりそうな新たな状況が生まれてきた。

 米国議会上院本会議は2018年11月末、中国雲南省で14年前に失踪した米国人男性が北朝鮮に拉致され、平壌で英語の教師をさせられている疑いが強いとして、米国政府機関に徹底調査を求める決議を全会一致で採択した。下院でも同様の趣旨の決議がすでに成立している。今回の上院での決議によって、トランプ政権が北朝鮮による米国人拉致疑惑の解明に本格的に動く見通しが生まれてきた。

デービッド・スネドン氏が消息を絶った中国雲南省の虎跳峡(

 この米国人男性の失踪は、北朝鮮による日本人拉致事件とも関連しているとされる。米国での今回の新たな動きは日米合同の捜査も求めていることから、日本の拉致事件解決への予期せぬ側面支援となる可能性が浮んできた。

スネドン氏は今も拘束されている?

 米国連邦議会上院本会議は11月29日、「デービッド・スネドン氏の失踪への懸念表明」と題する決議案を全会一致で採択した。

 同決議案は上院のマイク・リー議員(共和党)やクーンズ・クリストファー議員(民主党)ら合計9人により共同提案され、今年(2018年)2月に上院外交委員会に提出されていた。今回、その決議案が上院本会議で採決に付され、可決された。

 2004年8月、当時24歳だったスネドン氏は中国の雲南省を旅行中に消息不明となった。同決議によると、スネドン氏は、当時、雲南省内で脱北者や北朝鮮の人権弾圧に抗議する米人活動家を追っていた北朝鮮政府工作員によって身柄を拘束されて平壌に連行され、北朝鮮の軍や情報機関の要員に英語を教えさせられている疑いが濃厚だという。そのうえで同決議は、トランプ政権の国務省や中央情報局(CIA)などの関連機関に、徹底した調査の実施を求めている。

 スネドン氏は韓国に2年ほど留学した後の帰国途中、中国を旅行し、雲南省の名勝の虎跳渓で行方不明となった。当初、中国当局は同氏の家族らからの問い合わせに対し、同氏が渓谷に落ちたと答えていた。だがその後、家族の現地調査でスネドン氏は渓谷を渡り終えていたことが確認された。

 また、日本の拉致問題の「救う会」は、中国側から「当時、雲南省の同地域では北朝鮮工作員が脱北者などの拘束のために暗躍しており、米国人青年も拉致した」という情報を得ていた。その情報をスネドン家などに提供したことで、北朝鮮拉致疑惑が一気に高まった。

 決議案はこの展開を受けて提出されていた。米国務省は決定的な証拠がないと主張してこの案件に消極的だったが、今回の同決議の採択で本格調査を義務づけられることとなる。

 同決議は、スネドン氏が北朝鮮に拉致され、今なお拘束されている公算が高いと断定する。その主な根拠は以下の通りである。

(1)中国領内では同氏の事故や死亡を示す証拠は皆無だった。
(2)失踪当時、北朝鮮工作員の雲南省内同地域での活動が確認された。
(3)日本の「救う会」関係者が「スネドン氏は確実に北朝鮮工作員に拉致され、平壌に連行された」という情報を中国公安筋から得た。
(4)北朝鮮では当時、軍や情報機関の要員に英語を教えていた元米軍人のチャールズ・ジェンキンス氏が出国したばかりで、新しい英語教師を必要としていた──など。

 2016年には、「スネドン氏は平壌で現地女性と結婚して2児の父となり、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を含む要人らに英語を教えている」という証言が韓国から伝えられ、米国のメディアもスネドン氏拉致説を一斉に報道していた。

調査が進まなかったオバマ政権時代

 今回の上院決議は拘束力こそないが、国務省やCIAをはじめとする関係省庁がスネドン氏の行方の本格調査を実施することや、日本や韓国の政府と協力し合って北朝鮮のスネドン氏拉致の可能性について合同調査を始めることを、米国政府に明確に求めていた。

 米国議会ではオバマ政権下の2016年9月に、下院本会議がスネドン氏の北朝鮮拉致説に関連して同趣旨の決議を採択した。しかし、当時はオバマ政権の中国への配慮などからスネドン氏の行方調査が実際には進まなかった。

 この間、日本側では元拉致問題担当相の古屋圭司衆院議員が、米側上下両院に決議案の提出と採択を一貫して訴えてきた。古屋議員は、超大国である米国が自国民の北朝鮮による拉致の可能性を認識し、その行方調査を本格的に始めれば、必ずや日本人の拉致事件の解決にも有力な材料になると主張して、米議会が動くよう働きかけてきた。

 今回の上院での決議採択は、上下両院がそろって同趣旨の決議を採用したこととなる。トランプ政権がついに腰を上げる確率が高くなってきた。

【私の論評】年明け早々「安倍首相の電撃訪朝」というニュースが飛び込んでくるかもしれない(゚д゚)!

8月28日付の米紙ワシントン・ポストは、7月に日本と北朝鮮の当局者がベトナムで極秘会談を行ったと報じました。これに関しては、このブログでもお伝えしました。この会談は米国にも秘密にされていたとのことで、トランプ米大統領は安倍晋三首相に対して非常に立腹しているらしいとされていました。

トランプ氏は米朝首脳会談で日本人拉致問題に言及したと言っているから、「日本が北朝鮮と抜け駆けするのはけしからん」という理屈なのでしょうが、米メディアの報道によると、トランプ氏は金正恩朝鮮労働党委員長に「安倍が『日本人拉致被害者を返してくれるよう、金委員長に言ってください』と私に泣きついているんだ」という程度しか触れていないというのですから、日本が本気で拉致被害者を取り返すには北朝鮮との直接交渉するしかないです。日朝当局者の秘密接触は当然のことです。

問題は首相官邸などごくわずかの人間しか知り得ない極秘情報を、誰がワシントン・ポストの記者に漏らしたかです。同紙の記事を読むと、ニュースソースとして「北朝鮮問題に詳しい人」という漠然とした表現を使っています。また、「米政府高官(複数)」が日朝の秘密協議について「苛立ちをあらわにした」と書いているので、日本側が意図的に複数の米政府高官に情報をリークしたのは間違いないでしょう。

北村滋内閣情報官

日本政府を代表して交渉に臨んだのは、安倍首相の側近中の側近といわれる北村滋内閣情報官ですが、彼は北朝鮮の専門家ではありません。本来ならば、北朝鮮問題のエキスパートである外務省担当者、あるいは高官が北朝鮮当局者と接触すべきところですが、外務省ルートが機能しないことから、北村氏が出てきたとみるべきでしょう。読売新聞は今年6月、外務省が動かないため、安倍首相が北村情報官を主軸とする情報担当者を通じ、北朝鮮との接触を模索していると報じています。

それを裏付けるように、北村氏が接触した相手が北朝鮮の情報機関といわれる朝鮮労働党統一戦線部の金聖恵(キム・ソンヘ)策略室長だったことも、外務省関係者が外された理由とみられます。このため、なんらかのかたちで、この秘密接触の情報を入手した外務省関係者が北村・金接触をつぶそうとして、旧知の米政府高官にリークした可能性も考えられます。



それでは、金聖恵氏とはどのような人物なのでしょうか。

韓国メディアによると、金日成(キム・イルソン)総合大学出身とされる50代のエリート官僚で、南北閣僚級会談など「対南(韓国)交渉」に長く関わっており、「いつも自信満々」「柔らかく落ち着いた言動が普通の人ではない印象」とされています。

金聖恵氏

統一戦線部はCIA(米国中央情報局)とともに、米朝首脳会談への事前交渉を主導した工作機関であり、同部トップの部長はポンぺオ米国務長官のカウンターパートである金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長であることから考えると、金聖恵氏は同部ナンバー2の実務責任者で、金正恩氏の妹の金与正・党副部長の側近ともされます。

金聖恵氏の対外的肩書は党中央員会室長ですが、裏の肩書が統一戦線部策略室長であり、2013年には祖国平和統一委員会書記局部長という肩書で紹介されるなど、これまでは主に対韓、統一部門を担当してきたのですが、ここにきて対米、対日部門にも責任分野が拡大したとみてよさそうです。

いずれにしても、金正恩指導部を支える有力幹部といえ、北朝鮮の女性指導者としては、金氏の妻の李雪主氏、金与正氏、外務官僚としては崔善姫・外務次官とならんで4本柱の一角を占めているといえそうです。

それでは、北村・金接触を受けて日朝関係はどうなるのでしょうか。両者がベトナムで接触したのが7月14日午後から17日午前の間だったとみられます。というのも、北村氏はほぼ毎日、官邸などで安倍首相と会っているのですが、この期間は安倍首相とは接触していないからです。ちなみに、北村氏は17日午後に官邸で安倍首相と会っています。時事通信の首相動静では次のようになっていました。

「午後2時45分、谷内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、浦田啓一公安調査庁次長が入った。同56分、谷内、浦田両氏が出た。同3時25分、北村氏が出た」

日本の重要な情報関係者3人が雁首をそろえて、安倍首相に会いに行っているのですから、よほど重要な案件であることは間違いないです。つまり、北村氏が上司に当たる谷内氏、部下の浦田氏とともに、北村氏の対北接触の報告を行ったとみることができます。

その後、8月10日に観光ツアーで北京から空路で平壌入りした日本人男性が北朝鮮の秘密警察組織である国家保衛省要員に拘束されましたが、その2週間後に電撃的に釈放されています。わずか2週間で釈放というのはこれまでで最短期間です。以前には日本人男性が2年間も拘束されていたこともあっただけに、極めて異例の措置といえます。

なぜ釈放されたのかを考えると、日朝の秘密接触が今も継続中であり、北朝鮮が「日本側を刺激するとまずい」という判断を下したとの推論が成り立ちます。そう考えると、日朝交渉は水面下で続いているのは間違いないです。

拉致問題に関しては、他にも動きがあります。それは、モンゴルのフレルスフ首相が日本を来週訪れ、安倍晋三首相と会談する方向で調整に入ったことです。

モンゴルの第30代首相フレルスフ氏

モンゴルは北朝鮮と関係が深いです。安倍首相は日本人拉致問題の早期解決に向けた協力を要請する考えです。両国外交筋が5日、明らかにしました。

安倍首相はモンゴルに拉致問題を巡る仲介役を期待。9月にロシアで国際会議に出席した際にはバトトルガ大統領と会談し、連携を確認しました。ハイレベルの対話を重ねることで、北朝鮮への働き掛けや情報収集を強化する狙いがあります。

さて、2019年初頭にも2度目の米朝首脳会談が実現する可能性が高まるなか、拉致問題解決に向けた日朝首脳会談の道筋は見えないままです

それどころか、北朝鮮メディアは相次いで日本批判を展開しており、慰安婦問題などを引き合いに、日本を「拉致王国」呼ばわりするほどです。

北朝鮮がやり玉に上げているのは、日本が国際社会に対し拉致問題解決に向けた協力を求めている点です。朝鮮労働党の機関紙、労働新聞は18年12月2日付の論評記事で、安倍晋三首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のためにシンガポールを訪問した際、ASEAN首脳に対して協力を求めたことについて、
「日本軍性奴隷犯罪をはじめ、過去の日本の特大反人倫犯罪行為を上書きしようという卑劣な策略」

などと非難。朝鮮出兵として知られる文禄・慶長の役(1592~93、1597~98)、大韓帝国最後の皇太子、李垠(リ・ウン、1897~1970)の訪日、慰安婦問題などを引き合いに、
「世界的に公認された特大型の拉致犯罪国家は、まさに日本だ」
などと主張した。さらに、
「日本の当局者が、すでに解決された拉致問題を持ち出して卑屈な請託外交を繰り広げていることこそ、盗人猛々しい妄動」
だとして、「拉致問題は解決済み」だとするこれまでの立場を繰り返し、
「国際社会は、拉致王国である日本の図々しさに憤怒を感じている」
としました。

12月4日付の論評記事では、15年末の慰安婦合意に基づいて設立された財団の解散について、「南朝鮮の各階層は、これを一斉に歓迎」しているとして、韓国は合意を「完全に廃棄」すべきだと主張。「日本の永遠の罪を決算するための闘争をさらに果敢に展開」すべきだとした。

菅義偉官房長官は12月3日の会見で、米朝首脳会談が日朝首脳会談の実現に与える影響について聞かれ、
「日朝首脳会談については、その時期を含め、決まっていることは何もない。北朝鮮との間では、北京の大使館ルート等、様々な手段を通じてやり取りを行っているが、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、詳細については控えたい」
などと述べるにとどめました。

このようなことは、北朝鮮では良くあることです。第一回米朝会談の直前にもあったことです。トランプ氏はこれに応酬し、「金正恩はチビのロケットマン」などと揶揄していました。このようなことでは、米朝会談が開催されないなどということはありませんでした。

というより、北朝鮮側が日朝首脳会談など全く考えていないというのなら、余計な期待を与えたりしないように、沈黙を保つはすです。北としては、拉致被害者問題を少しでも自らに有利にするため、敢えて罵詈雑言を放っているのでしょう。

ある日突然「安倍首相の電撃訪朝」というニュースが飛び込んでくるかもしれないです。

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北朝鮮に騙されるな! 核兵器開発は完了した―【私の論評】北朝鮮だけでなく米国も時間稼ぎをしてきたという現実を見逃すな(゚д゚)!

2017年8月24日木曜日

【阿比留瑠比の極言御免】民主主義破壊するメディア 安易な「報道しない自由」の行使―【私の論評】ネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちへ朗報(゚д゚)!


参院文科・内閣委員会連合審査会で、自由党の森裕子氏の質問を聞く前川喜平・前文部科学事務次官(右)と加戸守行前愛媛県知事=7月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
22日付の産経新聞と読売新聞に、民間団体「放送法遵守を求める視聴者の会」による意見広告「異常に歪んだテレビ報道 視聴者の知る権利が奪われ続けています」が掲載されていた。ご覧になった読者も多いだろうが、そこに示されていた数字は、寒気すら覚えるものだった。マスメディアの現状を考えるうえで、非常に重要なポイントなので、改めて紹介したい。
22日付の産経新聞と読売新聞に、民間団体
「放送法遵守を求める視聴者の会」による意見広告
 
広告は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐる7日10日の国会閉会中審査について、テレビがどのように報じたかを検証している。

それによると、テレビ各局は10日から11日までにこの問題を計30番組で合わせて8時間36分23秒間、報じた。問題なのは、その内訳の極端な偏りである。

各局は、国会に招かれた参考人のうち「首相官邸によって行政がゆがめられた」と主張する前川喜平・前文部科学事務次官の発言については、計2時間33分46秒にわたり取り上げていた。ところが、前川氏に反論した加戸守行・前愛媛県知事の発言はわずか計6分1秒、原英史・国家戦略特区ワーキンググループ委員の発言はたったの計2分35秒しか放送しなかった。

加戸氏は実際に加計学園を誘致した当の本人であり、かつては前川氏の上司でもあった。原氏は獣医学部新設の是非を議論、審査した当事者である。

にもかかわらず、「岩盤規制にドリルで穴を開けていただいた。ゆがめられた行政が正された」との加戸氏の訴えや、「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」との原氏の証言は、テレビでは事実上なかったことにされた。テレビ東京に至っては、加戸氏と原氏の発言を一切報じなかった。

まさに「歴史上最悪に属するとみられる偏向報道」(視聴者の会事務局長で経済評論家の上念司氏)だといえる。放送法4条は次のように定めているが、守る気はさらさらないようだ。

「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」

もっとも、これはテレビ局だけの問題ではない。放送法の縛りは受けないものの、7月10日の閉会中審査における加戸氏の発言に関しては、朝日新聞と毎日新聞も、記事本文中では1行も触れなかった。

テレビも新聞も、事実や読者・視聴者が考えるための材料をありのままに提供することよりも、自分たちの主義・主張に都合のいいことだけ熱心に伝えている。前川氏の意見と加戸氏らの反論のどちらに軍配を上げるかは本来、情報の受け手自身が選ぶべき話である。そんな当たり前のことが、前川氏の見解だけしか報じないメディアによって妨害されている。

今回、テレビ報道の偏向を調べた一般社団法人日本平和学研究所の理事長で文芸評論家の小川榮太郎氏は、筆者も同席したインターネットの「言論テレビ」番組(4日放送)で、こう指摘していた。

「報道機関の社会における存在意義は、報道による情報を基に国民が判断する(という)民主主義の根幹を担っていることだ。その情報がこんなに極端な虚報に彩られ、何カ月も是正されないとなれば、これはデモクラシーそのものが否定、毀損されていると言っても過言ではない」

マスメディアは今、率先して民主主義の根幹を壊している。そして、安易な「報道しない自由」の行使によって、自らの存在意義も失おうとしている。(論説委員兼政治部編集委員)

【私の論評】ネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちへ朗報(゚д゚)!

何を伝え、何を伝えないかの選択権は、報道側にあります。だから民放と比べた場合、NHKのニュースで豊田真由子議員の「このハゲ―!」関連ニュースを扱う時間は短いです。これは、NHKなりの基準があるからだと考えられます。


あまりにも有名になったハゲ発言の動画

とはいいながら、参考人の重要な発言まで「報道しない自由」の範囲内ではないでしょう、というのが「偏向だ」と訴える側の意見です。たしかに特定のテレビだけを見て、新聞だけ読んでいる人にとって、加戸前知事はいなかったも同然になっていることでしょう。

メディア側の「偏向」では、「発言の切り取り」もしばしば問題とされています。東京都議選で安倍首相が発したとされる「こんな人たちに負けるわけにいかない」発言もその一例です。

選挙演説の妨害を組織的に行なう集団に対して「負けない」と言ったはずの話が、いつの間にか「自分に反対する人たちには負けない」と言った、という解釈が主流になってしまいました。それは「切り取り」のせいだ、というのが、偏向を問題視する側の意見です。

ここでは最近の政権絡みの話題を取り上げたのですが、こうしたメディアへの不信の声は、ネットが普及してからは特に多く見られるようになりました。

多くの人がチェック役や発信者になれる状況ゆえに、旧メディア側の手法が見透かされるようになったという面もあるのでしょう。

旧メディア側も、こうした指摘をまったく気にしていないわけではないのでしょうが、長い時間かかって蓄積した「垢」のような慣習は、なかなか簡単に消せるものではないでしょうし、消すつもりもないようです。

となると、受け手側はリテラシーを向上しなければならないということになります。特にネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちには、どうしてもテレビや新聞に頼ってしまうので、「偏向」に気付かないということがしばしばあります。

ではどうすれば良いのでしょうか。

烏賀陽弘道氏
元朝日新聞記者で、現在はフリーで活動している烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』の中で、一般の受け手が情報の真偽を見抜くためのポイントを各章の最後にまとめています。そのうちのいくつかを紹介します。
・「何を書いているか」と同様に「何を書いていないか」に着目すべき。  
・ウソではないが本当でもない記事がある。 
・メディアは「わからない」と言いたがらない。 
・匿名発信者はモラルが下がる環境にいる。 
・引用の正確さで、発信者が事実の正確さにどの程度注意を払っているかがわかる。
これらが書かれた時点では、上記の加計学園問題も、都議選も想定されていませんでした。烏賀陽氏が記者としての経験をもとに抽出したものですが、一連の騒動を見る限り、普遍的なポイントであると考えて良いと思います。

確かに、この5つだけでも、気をつけていれば、フェイクニュースにやられることはあまりないと思います。しかし、この5つに気をつけて日本のメディアを見ると、ほとんどのメディアに問題ありということになります。

これでは、烏賀陽弘道氏のせっかくの主張もあまり意味のないものになってしまいかねません。

こんなときに、特にネットでの情報収集に慣れていない世代の人たちはどうすれば良いのでしょうか。

やはり、テレビに近いメディアが良いと思います。一昔前だと、動画はパソコンでないと見られない時代がありました。

しかし、現在なら、既存のテレビで簡単に動画をみられるようになりました。私自身も、AppleTV、クロムキャストを用いてテレビで動画を楽しんでいます。その他、有名なとものとしては、FireTVstickがあります。

ファイヤー・スティックTVの視聴
AppleTVは、付属のリモコンで操作できてるのですが、残念ながら現状ではスマホ等がないと、YouTubeを視聴できません。

クロムキャストは、ユーザーがタブレットPC、PC、スマホを所有していることを前提としています。

ファイヤースティックTVは、PCやスマホなどなくても、視聴が可能ですし無論YouTubeも視聴可能です。

これは、インターネット環境さえあれば、取扱に一度慣れてしまえば、楽に視聴することができます。

そうして、私は実際に近所の65歳以上の方々数人に、この使い方を教えさせていただき、視聴していただています。何人かの人は、「虎ノ門ニュース」などを視聴するようになって以来、人生観が変わったとまで言って喜んでいただくことができました。

このようなこと、民間団体「放送法遵守を求める視聴者の会」の設立者の一人でもある上念司氏は、ご自身のtwitterで、高齢者の方々に、テレビで動画をみられるようにしてあげることを推奨しています。

私は、これからも微力ながらこのような運動を地道に展開して生きたいと思います。そうして、多くの人が、ネットと既存メデイアの両方が情報源になれば、フェイクニュースを見分けられるようになると思います。

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2014年11月16日日曜日

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目―【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然だが、日銀の追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分。なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授

消費再増税延期、衆議院解散・総選挙の可能性について報じる新聞各紙

 今週、政府が2015年10月に予定していた8%から10%への消費再増税を延期する方向で最終調整に入っており、安倍晋三首相は再増税延期の是非を国民に問うために衆議院を解散する意向だと一斉に報じられた。ただし、現在首相は外遊中で帰国は17日であり、首相の公式発言からはこうした話は一切聞こえてこず、憶測だけが一人歩きしている状態だ。だが、衆院議員の中にはすでに選挙事務所などを確保している人も多く、もはや解散は止められない様相を呈している。

 こうした中で、これまで再増税一辺倒であった民主党も一転して延期容認に傾いているという報道も出てきており、野党も急な選挙で混乱状態に陥っている。何しろ民主党は先の総選挙から2年も経過するにもかかわらず、全選挙区の半分にも候補者を立てられておらず準備不足だ。日本維新の会との連携も不調であり、頼みの野党間での選挙協力も期待できず、あたふたと方針を変更している。日本経済にとっては、民主党を方針転換させただけでも政府の消費再増税延期は評価できる。自民党内の増税派も姿勢を変えるだろう。

 そもそも、経済悪化の下での増税はセオリーでない。経済が悪い時には減税、良い時には増税が常識だ。何しろ4月の5%から8%(注:元記事は、11月16日の朝現在では、3%から5%となっていたが、管理人訂正)への消費増税は、従来の消費増税と異なり、他の減税なしでの増税だった。引き上げ幅も3%と諸外国に比べて大きかったので、筆者の予想通り景気は悪化した。安倍首相は経済を重視しているので当然の判断ができるわけだが、再増税をしたい財務省に媚びて誤った内容を伝えるエコノミストやマスコミが多すぎる。そういった人たちの邪推を打ち砕く意味でも延期の意義は大きい。

●財務省が狙う景気条項削除

 今、財務省と首相官邸との間では激しいやりとりが行われている。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しているのだ。景気条項とは、再増税の条件として判断時の景気を見極めることを明記するものだが、これを削除するということは1年半後がいかなる経済状況でも自動的に再増税される時限爆弾といえる。経済政策としては信じ難い内容だが、経済が生き物だということを肝に銘じながら、弾力的な対応ができるよう法整備をしておく必要があることはいうまでもない。

前述の通り、今回の消費再増税延期は日本経済にとっては朗報である。ここ数日間株式市場が上昇トレンドをみせているのは、4月の消費増税で景気が低迷していた分を取り戻しているためであろう。消費再増税を延期すると日本売りが進むという専門家の見方は早くも外れた。延期で当面経済が良くなるわけで、政府はその間に本格的な経済成長策を仕組める。さらに世界経済への貢献という点でも、日本経済が好調なほうがいい。

 ちなみに、「海外は消費再増税を国際公約とみなしているので再増税を実行すべき」という意見もあったが、米国財務長官など海外からは「見送るべき」という声も寄せられており、国際公約ではないことが明らかとなった。このように出鱈目な意見が露呈するという意味でも、再増税の見送りは評価されるべきだといえよう。

(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然!追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分!なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

上の記事、誤りを訂正した上で、全文掲載させていただきました。この誤りは、いずれ訂正されるかもしれませんが、明らかに間違いなのでここに訂正させていただきます。残念なミスです。

なお、これがミスであることの根拠は以下の記事をご覧いただければ明白です。
“ネット増税”で景気動向は悪化している―【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!
 
すき家HPにある雇用用のバナーの写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、上の記事の著者と同じ、この記事の元記事の高橋洋一氏の記事は、以下のように締めくくられています。
消費税増税の効果は、金融政策の緩和効果を相殺し、さらに悪影響を与えている。というのは、97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われた。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネットで減税であった。しかし、今回の増税はネット増税である。これの悪影響がないはずない。
89年の消費税創設のときは、消費税が3%に設定されましたが、物品税が廃止されたためネットでは減税でした。97年増税のときには消費税率が3%から5%に引きあげられましたが、これに先行して、先行減税していたので、現実には相殺されていたということです。しかし、今回の増税(5%から8%への増税)は、ネット増税(正味の増税)ということを、高橋洋一氏が書いています。

よって、ブログ冒頭の記事の文書は「5%から8%への消費増税」というのが正しくて「3%から5%への消費税増税」という表記は間違いです。

そうして、この記事で私は、さらに今回の8%増税に関しては、日本では初の、デフレの最中での増税であることを付け加えました。

89年の増税のときには、日本は緩やかなインフレでした。緩やかなインフレ下では、物価もあがりますが、賃金もあがるということで、この時には給料は緩やかでしたが上昇していました。

そうして、97年当時では、デフレ傾向ではありましたが、あくまでデフレ傾向ということであり、増税直前まではまだデフレではありませんでした。完璧にデフレになったのは、98年からです。だから、このときも、少なくともデフレの最中、すなわち、雇用状況が悪化し、給料が下がり続ける最中での増税ではありませんでした。

しかし、今年4月からの5%から8%への増税はデフレの最中での増税です。過去の増税と比較すると、破滅的な増税であったことが理解できます。

4月からの増税は実は破滅的なものだった

そうして、増税直後から、増税推進派が軽微であると言い繕ってきましたが、明らかに悪い状況が続きました。そうして、これは、まだ序の口に過ぎません。

97年の増税を振り返ってみると、この頃に日銀は金融引締めに転じています。そうして、98年から日本経済は完璧なデフレ状況になり、その状況が今も続いています。

この頃と比較すると、日銀が金融緩和に転じているだけましかもしれません。しかし、そうはいっても、先ほど述べたように、デフレの最中の、ネットの増税です。この悪影響ははかりしれません。

このままでは、金融緩和の効果はかなり緩慢になることは、明らかです。このままの状況を続けていると、いつまでたってもデフレからの脱却ができず、金融緩和の効き目もなしと判断されて、十分効果が出ないうちに打ち切られことにもなりかねないことになります。

そんな状況なのに、さらに10%増税ともなれば、とんでもないことになります。日本では、増税派が多数ですが、まさに、狂気の沙汰と言わざるを得ません。

だから、10%増税を見送るのは、当然として、8%増税による経済への悪影響を避けるために、日銀の金融緩和の他に、政府による積極財政による、経済対策が絶対に必要です。

そうして、それは当面は、公共工事の供給制約がある現在、消費税減税もしくは所得税減税と、給付金政策を実行するべきです。特に、給付金政策に関しては、再配分的な政策を実施できれば、その効果は絶大です。

財務省は、諸費税10%増税を見送れば、社会保障予算を削ると政治家や官僚を恐喝しているが、
増税してしまえば、消費が低迷し税の源泉である国民所得が減り、税収が減りとんでもないことに

このような状況にもかかわらず、財務省は政治家や官僚などに10%増税しないと、とんでもないことになると、恐喝していましたが、上の記事でも高橋氏が指摘しているように。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しています。

ここまでくると、狂気の沙汰どころか、認知症です。このような組織的認知症を患っている組織は、この世から消したほうが良いです。

しかし、ただ分割したとすれば、これは財務省の植民地を増やすだけの結果に終わります。財務省という組織を分割して、分割したいくつかの部分を他省庁の下に配置するという完全分割消滅をはかるべきでしょう。

このブログにも過去に掲載してきたように、多くの増税派政治家や財務省に蚊帳の外におかれ無視され続けてきた安倍総理の胸中には、当然のことながら、もし長期政権が実現できたら、当然財務省の完全分割消滅は視野に入っているものと思います。

これから、財務省と官邸との抗争はさらに苛烈になっていくものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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第2章の最後の方で、相関関係に留まらず因果関係「失業が自殺を生みだした」の分析がなされています。


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