2015年7月1日水曜日

【世界を斬る】オバマ政権の対中弱腰外交で米政府は危機的状況 相次ぎ辞任する専門家―【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

2015.07.01

2年前の米中首脳会談。9月会談の中身は…

米国防総省から最近、ハドソン研究所に移ってきた中国専門家が私にこう言った。

「この9月、2年ぶりに米国で米中首脳会談が開かれる。オバマ大統領が、習近平主席に対して中国の不法な領土侵略やサイバー攻撃を厳しく非難し、『止めなければ断固たる措置をとる』と警告しなければ、米国の国際的な指導力は一挙に失われる」

ワシントンでこうした意見が出始めているのは、習主席の訪米の前触れともいえる中国の恫喝外交がすでに始まっているからだ。

6月23日から2日間にわたって、ワシントンの国務省で開かれた米中経済戦略会議の席上、米側が米政府機関に対する中国の無法なサイバー攻撃について抗議したところ、中国側は強圧的な態度でこう反撃した。

「米国は事実をしっかり調査したのか。感情的にならず、対応策を考えてから提案を行うべきだ。一方的に中国を攻撃し続ければ、事態は悪くなるだけだ」

米側は最新技術を駆使して、一連のサイバー攻撃が民間企業を装った中国軍の情報機関によって行われたことを突き止めている。そのうえで、抗議したが、中国側は傲慢な姿勢を崩さなかった。

このように中国が、国際法から、とうてい認められない行動をとり続けているにもかかわらず、オバマ大統領は中国との友好関係を強調し、迎合的な姿勢を崩そうとしない。この結果、米政府内では深刻な混乱が始まっている。

オバマ大統領は、基本的に米国の経済的な利益のみを考えて中国との協力関係を強化しようとしている。中国とのビジネス関係が悪化すれば、立ち直り始めた経済が再び後退すると心配しているのである。そのうえ、米国には、中国と肩を組んで世界秩序を維持するのが現実的な国際政策であると考えている指導者も少なくない。

中国の脅威に直面している日本や東南アジアの国々は、米国に頼るだけでなく、まず中国の不法行為を阻止するという確固たる政治的姿勢を示し、自らその能力を持つ必要に迫られている。

■(ひだか・よしき)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】世界の平和はオバマに脅かされている!日本も現実に真摯に向き合い、まともな安保論議を(゚д゚)!

このブログでも何度か、オバマの弱腰については指摘してきました。結論から言うと、ウクライナ問題を複雑化させ、ロシアのプーチンをして軍事的冒険にださせたのはオバマです。

ISISに対しても、煮え切らない態度を取り続け、対応が遅れてしまったため、結果としてISISを台頭することになってしまったのもオバマのせいです。

上記の問題に関しては、多くの専門家が、早めに対応すべきとしてきたものをオバマはすべて後手、後手にまわって、結局問題をより複雑化させてしまいました。

尖閣問題もそうです。本来オバマは、より問題が複雑化する前に日中間にはもともと、領土問題などないとはっきり声明を発表すれば良いものを、またまた時期を完璧に逸したタイミングで懸念は示したものの、未だに日中間に領土問題は存在せずという声明は発表していません。

そもそも、アメリカは第二次世界大戦の戦勝国であり、終戦直後の国連の分類では、第二次世界大戦に参加し、勝利した第一国であるはずです。日本は、第二次世界大戦に参加し、負けた第二国です。

現在の中韓は、この分類でいえば、第二次世界大戦に参加しなかった国、すなわち第三国です。

第二次世界大戦で、ドイツや日本と真っ向から戦い、多大な犠牲を出して、戦後体制が築かれ、アメリカはその戦後体制の中でダントツのトップの座を占めているはずです。

にもかかわらず、オバマ大統領は、第三国の今の中国風情に、はっきりとモノが言えないのですから、呆れて二の句が継げないです。

完璧にレイムダックと化したオバマ
一体どうなっているのかと言いたいです。日本はいわば、残念ながらアメリカの持ち物のようなものであり、自分の持ち物なら持ち物で、それなりの対応をとるべきです。中国が尖閣周辺で示威行動をするようになった時点で、はっきりと声明をだし「俺の持ち物に手を出すな」という意思表示をはっきりして、軍事的にもそれ相当の対応をしていれば、尖閣問題の恒常化、より一層の複雑化は防げたはずです。

中国の軍事力など、アメリカには到底及ばないことははっきりしており、もし米中が戦争にでもなった場合、中国はなすすべもなく負けてしまうことははっきりしています。空母や艦船も、戦闘機も、戦車も、前近代的なものばかりで、日本近海での海戦、空戦では、中国は日本の自衛隊にも惨敗してしまう程度の実力です。

サイバー部隊も、アメリカのほうがはるかに優秀です。優秀な人材の、奥行きも幅も、到底中国には及びもつきません。

中国は将来の有望な市場になるという考えもありますが、そんなのはいつのことになるやらわかりません。それにもともと、アメリカのGDPに占める輸出の割合など、数%に過ぎません。

その数%のうちのさらに中国向けということになれば、ほんの微々たるもので、世界一の経済大国のアメリカからすれば、中国向け輸出があろうが、なかろうが、そんなものは誤差の範囲に収まる程度のものです。

アメリカの対中国輸出は誤差の範囲内


たとえ、これから10倍に伸びたとしても、誤差の範囲のようなものが10倍に増えたからといって、そんなものは微々たるものです。そのようなものを当て込んで、中国にモノが言えないとしたら、本末転倒も甚だしいです。

それに、このブログでも何度も掲載しているように、中国の現体制はとうていこれからも継続するとは考えられません。おそらく、中国は分裂するとみるのが妥当です。分裂しなかったにしても、現体制は近い内に崩れます。昨日も示したように、中国の西端には第二イスラム国の脅威が忍び寄っています。

そんな現体制の中国に、遠慮したりおもねたりするのは、全く愚かなことです。そんなことは、インテリジェンス面でも、優れたアメリカはしっかりと認識していると思います。しかし、オバマは理解していないようです。

それにしても、オバマの前まではまだ良かったです。たとえば、ブッシュ大統領のときは、悪いこともありましたが、少なくとも中国に対しては、一線を引いていしました。

ブッシュ大統領は、少なくとも年一回くらいは、会見を開いて、中国に対して、民主化、政治と経済の分離、法治国家化に関して、注文をつけ、まともになるように促していました。

ブッシュ大統領

このまま、オバマが中国の習近平と9月の会談にのぞめば、またまた及び腰で、まともな対応は期待できません。

このブログでも示したように、アメリカは今後しばらく、軍事費を削減します。その記事のリンクを以下に掲載します。
「米国の抑止力、とりわけ日本に対するそれを低下させる」中国軍の戦力増強に危機感-米委員会が年次報告書―【私の論評】国内の増税見送り、解散総選挙で見逃され勝ちな世界の動き、アメリカ議会の動きを見逃すな!アメリカは、日本の改憲を望んでいることを忘れるな(゚д゚)!
海岸防衛から大洋海軍を目指す中国海軍
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にアメリカの軍事予算はすでに減っているし、これからしばらくは削減されることはあっても、増大することはないことを示す部分のみ引用します。

 

この、グラフを見てもわかるように、アメリカの国防予算は、減少傾向です。 
米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は昨年2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表しました。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)といいます。 
昨年の3月1日、オバマ大統領は予算管理法(Budget Control Act)によって規定されていた「sequestration」条項の発動に追い込まれました。 
この「sequestration」という用語は、多くのアメリカ国民にとってもなじみの薄い言葉であり、もちろん日本ではさらに聞きなれない言葉です。英和辞典にはこの単語の訳語として「隔離、流罪、隠遁、(法)係争物第三者保管、財産仮差し押さえ、接収、(医)腐骨化、(化)金属イオン封鎖」といった訳語が列挙されていますが、今回発動された「sequestration」には、「強制歳出削減」あるいは「自動歳出削減」といった訳語が与えられています(本稿では「強制削減」と呼称します)。 
強制削減は、アメリカにおいて史上初めて実施されることになりました。そのため、その本当の影響はなかなか理解しにくいと言われています。 
アメリカでは、今回の強制削減の発動は金融・経済界ではすでに織り込み済みであり、アメリカや世界の株式市場や経済動向に対する影響はそれほど深刻なものではないといった見方がなされています。しかし、最大の削減対象となる国防関係は極めて甚大な影響を受けることになり、アメリカ軍事戦略そのものの修正を余儀なくされかねない状況に直面しています。
及び腰のオバマはこれからも任期中は、まともな外交は期待できません。さすがに、9月の習近平との会談では、一方的におもねるようなことはないでしょうが、さりとて、厳しく抗議するということもないでしょう。

オバマ大統領の任期は2017年1月までです。まだ結構あります。これまでの期間、アメリカはまともな外交はできないでしょう。

尖閣問題では、オバマはこれからも、結局何もしないでしょう。そうなると、日本は今国会でも論争になっている安保法案を成立させて、米国だけではなく、インド、オーストラリア、ASEAN諸国なども含めて、集団的自衛権を行使できるようにして、中国を封じ込めなければならないはずです。

次の大統領はオバマよりはましでしょうが、それでも、どの程度まともに中国に対峙するかはまだ見えません。及び腰オバマの在任中にどれだけ、中国がつけあがり、何をしでかすかなど分かったものではありません。

転ばぬ先の杖という言葉もあります。かねてより、このブログでは集団的自衛権は、人権と同じく、自然権であり、憲法や法律が成立する以前の根源的な権利であることを主張してきました。日本でも、これを当然として、議論をすすめなければなりません。

オバマにより、世界の平和は危機にさらされています。今こそ、野党もマスコミも、そうして無論国民も、日本の安全保証に関する問題を真摯に論議し、日本の平和や安定はもとより、アジアの平和と安定と繁栄を確かなものにするため、現実に真摯に向き合うべきだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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