2015年7月15日水曜日

中国の深刻な軍事的脅威を明言するときだ 尋常でないスクランブル回数 屋山太郎氏 ―【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!



安全保障関連法案は15日昼、衆院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党の賛成により可決。法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたいが、この背景として、1990年代以降、国防費を毎年10%前後増加させている中国の深刻な軍事的脅威について、真正面から論じられていないことを指摘する声がある。

「あの数字を見て、理解が進んできたと言い切る自信はあまりない。国民理解が進んでいるとは言えない」「(法案が)極めて抽象的でリアルに考えにくい」

石破茂地方創生担当相は14日の記者会見で、安保法案に関する世論調査結果に触れ、こんな弱気な感想を漏らした。

無理もない。朝日新聞が同日報じた調査結果では、安倍晋三首相による法案の説明が「丁寧ではない」と答えた人は67%で、「丁寧だ」の15%を大きく上回った。他社の調査でも、軒並み同じような結果が出ている。

法案への理解が進まない現状について、評論家の屋山太郎氏は「政府は『中国の軍事的脅威が深刻だ』『沖縄県・尖閣諸島が狙われている』と、はっきり言うべきだ」と指摘する。

「日本は昔からそうだ。戦前の帝国議会でも、ロシアを『北の某大国』と呼んでいた。他国を口汚く罵(ののし)ることを潔しとしない、日本の国民性が背景にあるのかもしれないが、実にくだらない配慮だ。冷静に中国による軍事的脅威を訴えれば、納得する国民も少なくないはずだ」

「国会答弁で『中国の進出を許さない』と明言することは、対外的にもプラスになる。日本がモノを言わないのをいいことに、中国はいい気になっているからだ。『事を大きくしないように』という思いからの配慮が、逆に中国の軍事的脅威を拡大させている」

実際、日本領空に接近した中国軍機に対する航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)回数は年を追うごとに増えており、2014年度は過去最多の464回になった=別表。1日1・2回以上という尋常ならざる数字だ。

中国は東シナ海の日中中間線付近でも、ガス田開発の海洋プラットホームの増設を進めており、この1年間で2倍の12カ所に急増した。中谷元(げん)防衛相が「レーダーを配備する可能性がある」と語るなど、軍事拠点化される恐れもある。レーダー網が日本列島に向けてせり出せば、南西諸島などの防衛体制は丸裸になるのだ。

石破氏は前述の会見で「有事となってからでは遅い。極めて厳しい状況の中でバタバタと法改正をする方がよほど危ない」とも述べ、早期の法整備の必要性を唱えた。

戦後70年、日中関係改善に向けた外交的計算もありそうだが、政府・与党は「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきではないか。

【私の論評】集団的自衛権行使が必要なのは、国とも呼べない異形の組織中国に対峙するためである(゚д゚)!

本日は、安全保障関連法案が可決されて本当に良かったと思います。これは、今可決しなければとんでもないことになっていました。中国がつけあがり、尖閣に上陸したり、東シナ海や、南シナ海で我が物顔で、暴走したかもしれません。

屋山太郎氏

ところで、私は、上の屋山太郎氏の記事には、賛同できるところと、できないところがあります。

結論からいうと、賛同できるのは中国による「今そこにある危機」を堂々と訴えるべきという主張です。賛同できないのは、「法案に対する国民の理解は進んでいるとは言いがたい」という点です。

「今そこにある危機」に関しては、確かに日本人の多くの人々が中国の危険性についてあまり理解していません。そもそも、多くの人は、中国を無意識に日本や、他の先進国のような普通の国とみなしてしまっているようです。

しかし、これは根本的に間違いです。これに関しては、以前からこのブログで何回にもわたって、主張してきたことです。詳細は、このブログの過去の記事をご覧いただくものとして、以下では簡単に掲載しておきます。

そもそも、中国は、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がほとんどなされていません。この中で、政治と経済の分離に関しては特に理解しにくい面があったかもしれませんが、最近の上海株式市場の暴落に伴う、政府のとんでもない介入によって、暴露されたと思います。

これについては、先日もこのブログに掲載しました。詳細は、その記事をご覧いただくものとして、以下に一部分を掲載しておきます。
上海株式市場が暴落する、すぐに中国監督管理委員会は次々と株価暴落防止政策を発表。私がネット上で把握した限りでも、以下の政策が執行されています。 
・国有企業の株取引を禁止
・大口投資家の株売りを禁止
・金融機関に株担保ローンの継続を指示
・機関投資家に株の買取りを強制
・株の空売りを警察が取り締まり
以上のようなことは、日本を含む、まともな市場主義経済の国々では全部法律違反です。間接的に何かをするということは可能ですが、ここまで直接的に介入するということは絶対にできません。ここからがして、中国がまともな国ではなく、国というよりは、共産党の配下にある組織とでも呼んだほうがよいものです。

これは、国ではありません。国と考えると、中国の本質を見失います。中国では建国以来、一度も選挙が行われたことがありません。そのため、中国には、厳密な意味での政治家は一人も存在しません。存在するのは、官僚とも呼べないような、悪辣な役人が存在するのみです。それに、中国には普通の国でいうところの軍隊も存在しません。日本の自衛隊のような組織も存在しません。

人民解放軍という軍隊のような組織がありますが、これは軍隊ではありません。そもそも、所属しているのは、各地方の中国の共産党に所属しています。要するに、各地の共産党の私兵です。他の国の軍隊のような、国民や国民の財産を守る国防軍ではありません。

しかも、この私兵が、日本でいうところの商社のような存在で、様々な事業を展開しています。人民解放軍というのは軍隊ではなく、各地方の共産党にある武装した商社というとんでもない存在です。これらが、強力に武装して、中には核武装すらしているという、世界の常識では考えられない組織なのです。

このように中国の異質性を列挙すると、書ききれないくらいありますので、あと一つくらいでやめておきます。最後に言いたいのは、現在中国の版図内に存在する内モンゴル自治区、新疆ウィグル自治区、チベット自治区などは、「自治区」という名称から理解できるように、現在の中人民共和国が建国したときには、中国の版図ではなく、もともとは外国だったのものを後から中国が侵略して、中国の版図に組み入れ「自治区」にしたものです。

自治区などという名称はついていますが、それは名前だけであり、その実すべてが中国共産党が送り込んだ、不正にまみれた、悪辣な官僚がすべてを仕切って、日々「自治区」の人民を弾圧しています。

このような異形の組織、中国ですから、人民の不満はたまりたまっており、それが日々どこかで爆発しています。2010年あたりより、それまで年平均で2万件の暴動が発生していたのが、10万件になったとされています。

10万件というと、中国の人口は日本の約10倍ですから、日本におきかえて考えてみると、毎年約1万件の暴動が起こっていることになります。これは、暴動という次元ではなく、内乱と考えても良いくらいの規模です。

こんな異質な中国の実体を知る日本人は意外と少ないので、私自身驚くことがあります。日本政府としては、こうした国とも呼べないような組織である中国に関する異質性については、日本国内でも説明すべきですし、また中国に向かっても、まともな国になるべきと批判すべきです。

さて、この異質な中国について、政府は「今そこにある危機」を訴えるべきとした、屋山太郎氏の主張には、上に述べたように大賛成です。

中国を国と認識するのは全くの間違いである

しかし、国民の理解が進んでいないという主張には賛成しかねます。昨日のこのブログにも掲載したように、安倍総理は過去の三回の国政選挙においては、すべて憲法解釈の変更により、集団的自衛権を行使できるようにすることを公約に掲げていました。

その前には、民主党が政権与党のときには、二回も有識者会議を開き、集団的自衛権を行使すべきとの、提言が出されています。このほか、自民党も過去に二回同じような会議を開催し、同じような提言を出しています。

さらに、民主党は政権与党時代に、集団的自衛権の行使を認める発言を繰り返していました。しかし、野党になると突然、集団的自衛権に意義を唱え出しました。全くの無責任です。

政治的無関心層にはいくら説明しても理解は得られない

そうして、安倍総理は第一次安倍政権のときにも、集団的自衛権の導入について、発言していました。以上のように、日本国内でその度に様々な論議が繰り返されてきて、周知している人は十分周知しています。

ただし、今回あたかも国民の理解が進んでいないように見えたのは、まずは野党が集団的自衛権の行使について、政治利用をしようとしたため、本来的にはかなりわかりやすい論議を複雑化させたため、理解が進んでいないかのように見えただけです。

そうして、マスコミも野党のこのような動き呼応して、さらに複雑化させ、理解しくいものとしてしまい、これによつてあたかも国民の理解が進んでいないかのような印象操作をしたので、より一層理解しにくいものになったように見えました。

私自身は、多くの国民は一定の理解をしていると思います。砂川判決でも明示されているように、実際の国政レベルでは、憲法解釈は選挙で選ばれた議員で構成する議員が行うなどのことは、当たり前すぎて何の疑問もわきません。中国のような選挙のない国ならいざしらず、政府が憲法解釈ができないなどいう屁理屈は通りません。

しかし、野党やマスコミは、愚鈍な憲法学者が違憲だという、単なる意見を強調して国民を幻惑して、本来は単純な集団的自衛権の論議を複雑化しました。

これによって、幻惑されて安倍内閣支持から、反対に回った国民もある一定数は、存在すると思います。しかし、これもマスコミなどが、集団的自衛権を話題として取り上げなくなればまた元に戻るのだと思います。

いわゆる、政治的無関心層に関しては、いくら懇切丁寧に説明したり、時間をかけて説明しても、関心を示さないから、理解もしないのです。

おそらく、来年になれば、集団的自衛権の論議が紛糾したことも、忘れていることでしょう。さらに、集団的自衛権の行使が実際に現場で可能になったにしても、すぐに戦争になるということは考えられないので、いずれPKO法案のように、話題にもならなくなると思います。

しかし、先に述べたような中国による「今そこにある危機」に関しては、政府・与党とも、国民に対して繰り返し説明し、理解を得ていく必要があるのはいうまでもありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】


戦後左翼、リベラルは、結局終戦直後から何も変わっておらず、デジャブーのようです。そうして、それがまともな安保論議の妨げになっています。そうして、中国の脅威には目をつぶっています。中国の脅威を実感していただくための書籍を以下に三冊チョイスさせていただきました。

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