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2016年12月7日水曜日

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート―【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート

ウラジーミル・プーチン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 超大国ロシア復権を目指すプーチン大統領は、政権に批判的な者を露骨に排除してきた。ロシア・旧ソ連圏の安全保障に詳しい軍事アナリストの小泉悠氏は、「ロシアの恐怖政治は今後も続く」と見ている。

 * * *

 2015年2月27日、ある男がモスクワ中心部の橋で4発の銃弾を浴びて死亡した。男はロシアの野党指導者ネムツォフ。反プーチンを掲げて大規模デモを開催する2日前の暗殺だった。後に当局は5人を逮捕したが「黒幕」は不明のままだ。

暗殺されたとみられる野党指導者ネムツォフ氏
 プーチンという男を批判する者の不可解な死は今に始まったことではない。

 有名な例が、プーチン政権誕生の鍵を握る事件を追及していたジャーナリストのポリトコフスカヤだ。

 1999年、ロシア3都市のアパートが連続爆破され、約300人が死亡した。当時、ロシア首相のプーチンはチェチェン独立派武装勢力のテロと断定して報復攻撃を開始した。決断は国民に広く支持され、大統領に上り詰める基盤となった。

 だが、後に同型の爆弾を仕掛けた不審者がロシアの諜報機関と関係していた事実が発覚。ポリトコフスカヤは、アパート爆破はチェチェン侵攻の口実が欲しいプーチンの「自作自演」ではないかと追及した。

暗殺されたとみられるポリストフスカヤ氏の葬儀
 そして彼女は標的となる。2004年のチェチェン武装勢力による中学校占拠事件を取材する際、現場に向かう機内で提供された一杯の紅茶を飲んで意識を失った。彼女は紅茶に毒を盛られたとして、「ロシア当局による毒殺未遂」だと主張した。

 奇跡的に一命を取り止めたが、2006年10月7日、モスクワ市内にある自宅アパートのエレベーター内で射殺された。全容は不明だが、この日はプーチン54歳の誕生日であり、暗殺は「最大の贈り物」とされた。

 3週間後、彼女と同様にロシア政府の関与を追及していた元KGB(ソ連国家保安委員会)のリトビネンコが亡命先のロンドンで体調不良を訴える。髪の毛が抜け、嘔吐を繰り返した彼は、やつれ果てた姿で死亡した。

病気の治療を受けていたリトビネンコ氏
 死体からはロシアで独占的に製造される放射性物質のポロニウム210が検出された。後に英国の調査委員会は、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチンの承認を得ていたと結論づけた。

 KGBには「チェキスト(情報機関員)は死ぬまでチェキストだ」との鉄則がある。KGB出身のプーチンにとって、西側に魂を売ったリトビネンコは、「許されざる裏切り者」だった。(談)

 ●取材・構成/池田道大(ジャーナリスト)

 ※SAPIO2017年1月号

【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

上の記事をご覧いただければ、おわかりになるように、プーチンは政治家というより、マフィアの親分とでも考えたほうが、妥当です。

そのようなマフィアの親分との交渉で、安倍晋三首相は、北方領土返還に執念を見せています。9月2日、ウラジオストクで、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行い、年内にあと2回会談を重ね、安倍首相がソチ五輪時の会談で提示した経済面での8項目の「協力プラン」の具体化を加速して両国の協力関係を強化することで合意したといいいます。

その直前には、安倍総理は、「ロシア経済分野協力担当相」職を設置するなど“本気”を印象付けました。北方領土返還のため、冷戦時代の「政経不可分」戦略をかなぐり捨てて、「経済先行」を前面に押し出しています。

日本とロシア(旧ソ連)は、1956年の「日ソ共同宣言」で法的な戦争状態を一応終結したが、いまだに「平和条約」は締結できていません。父祖伝来の領土である北方領土の返還は悲願です。

しかし、この努力は報いられない可能性のほうが高いと考えられます。その根拠は、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相と米露のバトル口火 TPPは“トランプ版”に衣替え、北方領土はプーチン氏と論戦に―【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!
ウラジーミル・プーチン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事にはロシアという国の本質を掲載しました。その部分を以下に掲載します。
私たちは、ロシアとの北方領土交渉に関することを述べる前に、ロシアとはどういう国なのかを知っておく必要があります。

現代ロシアを理解するうえで大切なことは、ロシアとソ連は宿敵だということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連なのですから、両者を一緒くたに考えるべきではありません。

エリツィンは現在では単なる酔っ払いとしか評価されていないのですが、間違いなくロシアの愛国者でした。そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。
ロシアの愛国者エリツィン氏
プーチンが日本文化に詳しいから交渉しやすいなどという甘い幻想は捨て去るべきです。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。

彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。

ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなく馬鹿かロシアスパイです。
アレクサンダー・レベジ
しかし、無論プーチンに限らず誰にも様々な面があります。どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はすべきではありません。

ロシアを支配しているのは、徹底した『力の論理』です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないというものです。

日本からの投資などで、ロシア側の姿勢を軟化させ北方領土問題を一歩でも進めよう、などという声もあるようですが、話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるのがオチです。

そもそも、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本は甘すぎます。これは、それこそ子どもの論理と謗られてもしかたありません。
これは、プーチンとメドヴェージェフの役回りを考えてもわかります。子分が大袈裟に騒ぎ立てたところへ、親分が『まあまあ』と薄ら笑いで入ってくるのは、弱肉強食のマフィア社会などでは常套手段です。にもかかわらず子どものままの日本は、プーチンの薄ら笑いを友好的なスマイルだと勘違いしてしまっています。要するに、マフィアの社交辞令を真に受けているわけです。
プーチンとメドベージェフ
そもそも、多くの日本はロシアを知らなさすぎます。ウクライナの問題にしても、ロシアの歴史を知っていれば『またやってるよ』で終了です。『アメリカの影響力の低下』を論じる向きもありますが、そもそも、旧ソ連邦であるウクライナ、とくにクリミア半島に欧米が手出しできるわけがありません。メキシコにロシアが介入できないのと一緒です。

これは、世界の通史を知れば国際社会の定跡が学べ、おのずと理解できることです。そうして、文明国として、日本が強くなるべき理由やその方法も理解できるはずです。

プーチン大統領にとって、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物です。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。

プーチンは故郷であるソ連邦の歴史をムダにしたくないし、ソ連の崩壊が敗北だったとは決して認めたくないのです。例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を使って、ロシア人から搾取を続けています。
このようなロシアの本質を知れば、北方領土問題がどんな形であれ解決すはずもないことは、はっきりしています。

それは、最近のプーチンの動きでも良く理解できます。

安倍晋三首相と、ロシアのプーチン大統領が今月15、16両日に山口県長門市で行う首脳会談に向けて、激しい駆け引きが続いています。プーチン氏は演説などで「経済協力」ばかりをアピールしています。日本としては北方領土問題を含む平和条約締結交渉が最優先であり、プーチンの一方的食い逃げは絶対に許すべきではありません。

 「(日本の)指導部がロシアとの経済的な結びつきを発展させ、共同プロジェクトや計画を始動させようとしていることを歓迎する」

 プーチン氏は今月1日、クレムリンでの年次教書演説で対日関係について、こう語っていました。安倍首相が提案した経済協力プランを“べた褒め”したのですが、領土問題を含む平和条約交渉には触れませんでした。

 まるで、領土問題は二の次のような態度です。

岸田文雄外相は2日夜、ロシア・サンクトペテルブルクで、プーチン氏と会談。安倍首相の親書を手渡し、首脳会談に向けた「詰めの作業」を行いました。

岸田外相
出発前の1日、岸田氏は都内で「日本側の考え方を直接伝えたい」と意欲を語っていましたが、百戦錬磨のプーチン氏を相手にするには、「お子様」のような態度ではなく、断固として領土を取り戻す気概が求められます。

おそらく、プーチン氏は日露両首脳会談で一見、領土問題に譲歩をみせるような態度をとるかもしれませんが、それでも、明言は避けることでしょう。

このようなことがある程度予めわかっているからこそ、安倍総理は今月米国のハワイに訪問することを取り急ぎ決めたのではないかと私は睨んでいます。

これは、日本国内の政治日程を考えると良くわかります。安倍晋三首相が来年一月召集の通常国会冒頭に衆院解散・総選挙に踏み切るのではないか、との臆測が与党を中心に広がっています。十二月の日露首脳会談で成果を出し、その勢いで国民に信を問う-という筋書きです。ただ、与党にとっては改憲発議に必要な三分の二の議席を失うリスクがもあるので、否定的な意見も多いです。

安倍総理がその腹だとすれば、日露首脳会談でめぼしい成果をあげらけなければ、このスケジュールは多いに狂うことになります。

そこで、浮上したのが、安倍首相の今月26~27日真珠湾訪問です。安倍首相は、オバマ大統領と最後となる首脳会談を行うとともに、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊します。

オバマ氏は今年5月、現職の米大統領として初めて、米軍が原子爆弾を投下した広島を訪問している。そのため、今回の真珠湾訪問は「返礼」の意味合いがあるとの見方もあるが、菅義偉官房長官は12月6日の記者会見で「広島訪問とは関係するものではないと思っている」とこれを否定。一方で「本年が真珠湾攻撃75年という事も総理の頭にあったのではないか」と述べた。

米ホワイトハウスは5日に声明を発表し、「両首脳の訪問は、かつての敵国同士が最も親密な同盟国となり、共通の利益と価値の共有により結束しているという和解の力を示すだろう」と評価した。キャロライン・ケネディ駐日米大使も6日、「真珠湾訪問は日米間の友好と同盟の証です」と歓迎するツイートを投稿している。

安倍首相としては、歴代首相が成し遂げられなかった真珠湾訪問によって「日米の戦後」に終止符を打つとともに、日米同盟の強固な関係を内外にアピールする考えです。

もともと年明け解散は、12月15日~16日に行われる日ロ首脳会談の成果を掲げて行われたかもしれませんが、その後、北方領土問題の大きな進展は期待薄となったため頓挫したと思われていたのですが、今回の外交成果で内閣支持率を伸ばすか最近あがってる支持率を維持しつつ、そのまま解散総選挙に打って出る可能性がでてきたということです。

解散総選挙は、安倍首相の胸先三寸で決まるわけですから、憶測をするしかないのですが、それでも、このような選択肢も安倍総理の腹の中にあるのは確かだと思います。

このように掲載すると、日露首脳会談は無意味のようにも受け取られかねませんが、そのように考えてしまうことこそ、先に述べたような「子ども」の態度と言わざるを得ません。民進党の幹部や、蓮舫代表などは、そのように考えて、もし日露会談が不調に終われば、「意味が無い」等と国会で安倍総理を糾弾することでしょう。あまりにも下らなくて、今から目に浮かぶようです。

蓮舫氏
しかし、これこそ「子ども」のような態度です。ロシアは今や、大国ではありません。ロシアの GDP (国内総生産)は日本の四分の一にすぎません。人口においても、1億4000万人と、日本より若干多い程度です。軍事的にも旧ソ連だったころの面影もなく今では、NATOと戦っても負けます。というより、そのような戦争を遂行するだけの力もありません。

しかも、ロシアは中国と世界で一番長く国境を接する国です。そうして、中露国境では、多数の中国人が国境を超え、ロシア領内で様々な事業を営んでいます。このように多数の中国人が国境を超えて、ロシア領内で活動していることから、国境が曖昧になり、「国境溶解」と呼ばれています。

ロシアにはこのような中国の脅威があるわけです。もし、ロシアが崩壊してしまえば、中国はシベリアなどに大々的に進出し、中国が北極海沿岸の地を自らの版図に収めてしまうかもしれません。あるいは、オホーツク沿岸も手中に収めるかもしれません。

そうなれば、当然のことながら、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツオホーツク海ならびに、北極海の深い海を原潜の聖域とするかもしれません。

そうなれば、北半球にある国々は中国の脅威にさらされることになります。我が国にとっても、安全保障上の重大な脅威になります。

だかこそ、ロシアには強大になりすぎても困りますが、やはり現状の影響力は維持しつつ、中国に対峙している状態が、北半球の国々とっては、いまのところベストということになります。

一番良いのは、中露を互いに争わせ、他国にも火の粉が降りかかるような大きな戦争にはならないようにして、互いを疲弊させることです。ロシアと中国がともに疲弊すれば、我が国にとっての安全保証上の脅威はなくなるし、そうして、北方領土が日本に帰ってくる可能性も高まるというものです。

そうして、無論のことですが、中国で習近平政権が、ロシアではプーチン政権が、統治の正当性が低いという事実があります。そもそも、プーチン政権の統治の正当性が高ければ、全近代的な暗殺などする必要もないわけです。習近平だって、統治の正当性が高けば、腐敗撲滅運動とう名の権力闘争などする必要もないわけです。

日本ができる事は限られていますが、米国やイギリスその他自由主義陣営の国々は当然のことながら、中露を内部から腐敗させ、弱体化させるための行動をとっていることでしょう。特にトランプ氏が大統領に就任してからは、その動きは加速化されることでしょう。

我が国も情報提供の面などから、この動きに協力していくべきです。そうして、中露とも、経済が疲弊していて先が見えない状況です。ここで、我が国の経済力を活用して、中露を手球にとることもできます。

このようなことは、当然のことながら安倍首相の腹の中にはあることと思います。一見ロジアのプーチンに利用させているように見せかけておいて、実はこちら側が、利用しているという形にもっていければ、我が国にとっては最善です。こうしたことから、今回の日露首脳会談も揺るがせにはできないのです。

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2016年11月30日水曜日

安倍首相と米露のバトル口火 TPPは“トランプ版”に衣替え、北方領土はプーチン氏と論戦に―【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!


TPP離脱を明言したトランプ次期米大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
トランプ次期米大統領はビデオ演説で、大統領就任初日にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を離脱すると明言した。一方、ロシアは北方領土にミサイルを配備するなど、12月の安倍晋三首相とプーチン大統領との会談の成果を危惧する声もあがっている。

 まず、TPPであるが、今のままでの成立は無理な状況になった。TPP諸国の国内総生産(GDP)の6割は米国であるので、米国抜きのTPPはありえない。

 まずTPPの性格をおさらいしておこう。TPPは、(1)自由貿易(2)知的所有権保護や国営企業規制が含まれることから、中国除外という性格(3)多国間協定-という3つの要素がある。

 一方、トランプ氏は、共和党であり、米国議会の上下院はともに共和党が取っている。トランプ氏は選挙期間中は共和党の重鎮と反目していたが、ここは議会の共和党と組んで政権運営する可能性が高いと筆者は見ている。

 というのも、共和党政権は8年ぶりであり、政権運営の妙味を味わいたいと考えるのが自然だ。このため、トランプ氏と議会共和党は妥協し合い、ウィン-ウィンの関係になるはずだ。共和党は伝統的に自由貿易を指向している。また、民主党のクリントン氏が中国利権と近いとされたこともあって、対中姿勢は毅然としたものとなる可能性もある。

 こうしたトランプ政権と議会の関係を考えると、TPPは仕切り直しになって、中国抜きの自由貿易を二国間で締結するスタイルが基本となるだろう。

 となると、まったく白紙から交渉するのでは時間がかかるので、日本としては、既にまとまったTPPを原案として、米国との二国間交渉をすることもあり得る。

 二国間交渉であるので、日本にとっては厳しいものになるが、この方式がうまくいけば、日本以外のTPP参加国も同様な方法で米国と二国間交渉すれば、それが事実上、「トランプ版TPP」となる。

 一方、北方領土交渉は難しい。戦後70年間も解決できなかった問題なので、今回簡単に解決できると甘く考えないほうがいい。ロシアは、巨額収賄の容疑でウリュカエフ経済発展相の身柄を拘束し、捜査に乗り出したと発表した。同氏は、日本側の窓口を務める世耕弘成経済産業相のカウンターパートであり、これまで日本の対ロシア経済協力計画のロシア側窓口だった。

ウリュカエフ経済発展相
 ミサイル配備や担当大臣拘束という一連の動きが、北方領土・日露平和条約交渉を妨害しようという意図の表れなのか、日本側の期待値のハードルを下げるロシア側からのサインなのか、よくわからない。いずれにしても、12月の安倍・プーチン会談はガチンコで両国国益のぶつかり合いになるだろう。

 トランプ氏が次期大統領になったので、対ロシア制裁が緩んでいくという見通しをプーチン大統領が持っているなら、ロシアにとって北方領土問題の優先順位は低くなる。一筋縄ではいかないのは当然だが、安倍首相はトランプ次期大統領を巻き込みながら、対ロシア戦略を練っているだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事、概ね同意です。日米二国間交渉は、日本にとっては厳しいものになるのは明らかです。しかし、ここで負けてはせっかくのTPP交渉での、粘りが無駄になります。おそらく、TPP交渉以上に難航し、時間もかかることでしょう。

そうして今回は、日米二国間だけの問題ではなく、二国間交渉によって実質上のトランプ版TPPを創設しようというのですから、日本としては、TPP加盟国の応援もうけつつ、米国との交渉を成功させる必要があります。日本が下手に米国に折れれば、他国の信頼を失うことになります。

さて、米国との交渉についてはこのようなところですが、ロシアのとの北方領土交渉は高橋洋一氏も指摘するように更に困難を極めることでしょう。

私たちは、ロシアとの北方領土交渉に関することを述べる前に、ロシアとはどういう国なのかを知っておく必要があります。

現代ロシアを理解するうえで大切なことは、ロシアとソ連は宿敵だということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連なのですから、両者を一緒くたに考えるべきではありません。

エリツィンは現在では単なる酔っ払いとしか評価されていないのですが、間違いなくロシアの愛国者でした。そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。

ロシアの愛国者エリツィン氏
プーチンが日本文化に詳しいから交渉しやすいなどという甘い幻想は捨て去るべきです。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。

彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。

ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなく馬鹿かロシアスパイです。

アレクサンダー・レベジ
しかし、無論プーチンに限らず誰にも様々な面があります。どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はすべきではありません。

ロシアを支配しているのは、徹底した『力の論理』です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないというものです。

日本からの投資などで、ロシア側の姿勢を軟化させ北方領土問題を一歩でも進めよう、などという声もあるようですが、話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるのがオチです。

そもそも、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本は甘すぎます。これは、それこそ子どもの論理と謗られてもしかたありません。
これは、プーチンとメドヴェージェフの役回りを考えてもわかります。子分が大袈裟に騒ぎ立てたところへ、親分が『まあまあ』と薄ら笑いで入ってくるのは、弱肉強食のマフィア社会などでは常套手段です。にもかかわらず子どものままの日本は、プーチンの薄ら笑いを友好的なスマイルだと勘違いしてしまっています。要するに、マフィアの社交辞令を真に受けているわけです。

プーチンとメドベージェフ
そもそも、多くの日本はロシアを知らなさすぎます。ウクライナの問題にしても、ロシアの歴史を知っていれば『またやってるよ』で終了です。『アメリカの影響力の低下』を論じる向きもありますが、そもそも、旧ソ連邦であるウクライナ、とくにクリミア半島に欧米が手出しできるわけがありません。メキシコにロシアが介入できないのと一緒です。

これは、世界の通史を知れば国際社会の定跡が学べ、おのずと理解できることです。そうして、文明国として、日本が強くなるべき理由やその方法も理解できるはずです。

プーチン大統領にとって、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物です。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。

プーチンは故郷であるソ連邦の歴史をムダにしたくないし、ソ連の崩壊が敗北だったとは決して認めたくないのです。例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を使って、ロシア人から搾取を続けています。

かつてイギリスが東インド会社でやっていたような植民地化を自国で行っているわけです。この事実だけ見ても、彼がロシアの愛国者ではなく、ソ連への忠誠心が高いと見ていいです。

ソ連の愛国者プーチン
北方領土へのミサイル配備や担当大臣拘束という一連の動きは、北方領土・日露平和条約交渉を妨害しようというプーチンの意図の表れです。

日本としては、米国と貿易交渉で徹底的にケンカをして、ロシアのプーチン幻想など捨て去り、米国と共同しつつ、何十年かけてもロシアの中のソ連をぶっ潰す、中国の現体制をぶっ潰すことを念頭においた外交を展開すべきです。

まさに、これから安倍首相と米露のバトルが口火切つて落とされるわけです。

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2016年1月11日月曜日

露の国家基金「2019年初めに底つく」 資源頼み、欧米制裁…プーチン政権さらに窮地―【私の論評】小国ロシアの底が見え始めた最近のプーチンが、軍事的存在感の増加に注力するわけ?


ロシア プーチン大統領

2008年のリーマン・ショック時にロシア経済を下支えた、石油や天然ガスの税収を基盤とする露政府の基金が19年にも枯渇する見通しであることが明らかになった。財政赤字を補填(ほてん)するための基金からの支出に歯止めがかからないことが原因だが、資源収入頼みの経済政策の行き詰まりが背景にある。欧米の制裁で基金に要請が急増している企業支援も困難になる可能性があり、プーチン政権にも痛手となりそうだ。

露政府は石油・ガスの採掘・輸出税収が潤沢な際にその一部を積み立てており、赤字補填に使う「予備基金」と、景気刺激策に利用する「国民福祉基金」の2つの国家基金を抱えている。ロシアはリーマン・ショックの直撃で09年には経済成長率がマイナス7.9%に落ち込んだが、その後政府が実施した巨額の景気対策の原資となったのが、これらの基金だ。

しかし露中央銀行がこのほど発表したリポートによると、政府は15年1~10月に赤字の埋め合わせに予備基金から1兆5600億ルーブル(約2兆4400億円)を使い、16年にはさらに2兆1370億ルーブルを使うと予測。このペースで支出を続ければ、17年には国民福祉基金も赤字補填が必要となり、「19年初めには両者が底をつく」と指摘した。

露政府の見通しの甘さも事態の悪化に拍車をかけた。政府が昨年10月に承認した予算原案は原油価格を1バレル=50ドルに設定。現在は同30ドル台で推移し、この水準が維持されれば、石油・ガス関連の税収が想定を大幅に下回るのは確実だ。

さらに基金には欧米の経済制裁で資金調達が困難になった企業から「次々に支援要請が来ている」(日露貿易筋)状況とされる。制裁発動後、国営石油最大手ロスネフチや独立系天然ガス企業ノバテクなどが相次ぎ露政府に支援を要請。ドボルコビッチ副首相は「石油や輸送、農業分野の企業まで支援の原資として基金に言及しているが、すべてに足りる訳がない」と警告したが、企業や金融機関向けの複数の支援が承認されたもようだ。経営危機にある政府系の開発対外経済銀行(VEB)も、基金からの支援が見込まれている。

融資は返済を前提としているが、金額が増大すれば基金の運用が圧迫されるのは必至。基金の存続が困難になれば国家による企業支援も難しくなり、露経済には大きな痛手となる。

【私の論評】小国ロシアの底が見え始めた最近のプーチンが、軍事的存在感の増加に注力するわけ?

衰退するロシアのGDP

ロシアの国旗柄の水着
上の記事を見ていて、気になるのかGDPです。どのような状況にあるのか、以下に掲載します。まずは、以下にロシアの最近のGDPの推移などについて掲載します。

ロシア政府は昨年11月15日までに、昨年7~9月期(第3四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比で4.1%減少したと報告していました。3四半期連続のマイナス成長で、同国経済が深刻な後退局面にあることを改めて示していました。

ただ、今年第2四半期の4.6%減と比べ、下げ幅は改善しており、最悪の不況期は脱したとの見方もエコノミストの間に出ていました。第3四半期の改善は製造業の盛り返しが要因とも見ていました。

ロシア経済は2014年以来、ウクライナ危機などに伴う欧米諸国の経済制裁発動や原油価格の低下に伴って悪化していました。ロシアのメドベージェフ首相は昨年4月、経済制裁の影響で同国は1000億米ドルを超える損失を被るとの推定数字も明らかにしていました。

ロシアが主要な歳入減としている原油価格は昨年半ば以降、60%も急落。自国通貨ルーブルもドルに対し暴落しており、同年初期以降、半値の水準となっています。インフレ率も急騰していました。

国際通貨基金(IMF)はロシアのGDPは昨年通年で3.8%のマイナス成長になると予測。今年は0.6%縮小するとも予想していました。インフレ率については今年が15%増、来年は平均で8.6%増とし、国民の家計に打撃を与えると見ていました。

今年も引き続き、厳しい状況に見舞われるのは確実のようです。

一方世界比較ではどのような状況なのか、以下に掲載します。このデータは、2014年年末のものです。

2014年度のGDPランキングには例年と比較して2つの特徴がありました。1つは、それまで著しくGDPを伸ばしてきて、それがブーチン人気にもつながっていたロシアが、ウクライナ問題により、西側諸国による経済制裁の挟み撃ちを受け、世界第8のエコノミーとしての 座から後退し、世界トップ8から転落する兆しを見せたことです。もう1つは、日本と中国のGDP差が拡大し、日本のGDPが中国の半分に満たなく なっていることでした。

ロシアのGDPのランクには、国際原油価格の下落と西側諸国による制裁が主に影響していいました。さらに、ロシア国内の消費需要にも落ち込みが見られました。

この時期日本と中国のGDP差が広がっていた主な要因としては、日本円の対ドルレートがそれまでの2年で大きく下がったことによるものです。 アベノミクス実施の2年で日本のGDPは1兆2000億ドル(約140兆9000億円)縮小しました。さらにご存知のように、8%増税の悪影響もありました。
▽2014年GDPランキングトップ10(単位は兆ドル)

(1)米国 17.4
(2)中国 10.4
(3)日本 4.8
(4)ドイツ 3.8
(5)フランス 2.9
(6)英国 2.8
(7)ブラジル 2.2
(8)イタリア 2.13
(9)ロシア 2.06
(10)インド 2.05
日本のGDPが下がったことには、残念に思う人も多いと思います。中国の半分以下ということにショックを受けた人もいたかもしれません。

しかし、金融緩和政策を継続しつつ、8%増税をしたということで、円安になり、経済はマイナス成長をしたということが響いていると思います。本来、増税をしなけはれマイナス成長ということはなかったはずです。

しかし、日本の場合は輸出がGDPに占める割合は、15%程度ですし、円安ということになれば、輸出産業にとっては黙っていても、価格競争力がつくということで、良いことです。

さらに、円安ということになれば、日本は過去20年以上も対外金融資産(外国に貸し付けているお金)が世界一でしたが、円安ということで、これらの資産が日本国内に投資されるようになります。

さらに、従来輸入していたものも、国内から調達したほうが安上がりということで、国内産業が盛んになり、景気も良くなります。

日本の場合は、あまりにも長い間デフレだったので、それを治すための調整過程にあるということです。だから、これをもって日本の実力とするのはまだ時期尚早です。ましてや、これをもってアベノミクス大失敗などというのは大きな間違いです。

それと、中国の経済統計はかなりでたらめなので、実際の中国のGDPはかなり低く、現実にはドイツ以下の可能性すらあると指摘する経済学者もいるほどです。

話が横道にそれてしまいましたが、14年度においても、ロシアのGDPをみると、日本の半分以下です。2010年には、ロシアのGDPは世界10位にも入っておらず、インド以下でした。それが、最近の経済成長で、インドを追い越しました。しかし、2014年には伯仲しています。

2015年の統計はまだですが、おそらくインドに追い抜かれているどころか、世界10位の座からも落ちている可能性が濃厚です。

さらに、ロシアの経済は、日本のようにこれから良くなるという兆しも全く見られません。

ロシアは領土が広大なので、なぜか今でも大国と見られがちですが、その見方は間違いです。日露戦争の頃のロシアは確かに超大国でした。当時のロシアのGDPは日本の8倍でした。

しかし、そのロシアも今では、GDPは日本の半分以下です。円安の影響を勘案すると、実際には半分どころか、1/4程度とみなすのが、妥当だと思います。

日本より深刻なロシアの人口問題




そのロシアですが、人口は1億4千万人ほどです。日本の人口が約1億2千万人ですから、日本より2千万人ほど多い程度です。あの広大な領土と比較すると、本当に少ないです。

さらに、ロシアには大きな人口問題があります。日本の人口問題も深刻ですが、ロシアのそれは、日本のそれに輪をかけて深刻なものです。

2005年、日本の人口は1899年以来初めて減少し、人口減少社会が現実のものとなりました。今後は人口減少の問題が少しずつ深刻化してくると予想されます。

人口の減少は、日本をはじめとする一部の先進国に限られた問題ではありません。実はBRICsの一角を構成するロシアも同じ問題に直面しています。つい最近までのロシアは原油など資源価格が高騰していたので、資源供給国のロシアは高成長を謳歌していましたが、資源価格が下落したこれからは、人口減少の問題がロシア経済を直撃する恐れがあります。

ロシアの人口は、1950年代から80年代までは増加を続けていましたが、92年に1億4870万人近くでピークに達し、その後は減少傾向で推移しています。直近の2005年は1億4320万人(前年比マイナス0.46%)となっています。


今後は人口減少のスピードがさらに加速するとみられ、2050年には1億1180万人と90年時点の4分の3程度まで人口規模が縮小する見込みです。2005年時点でロシアの人口は日本の1.1倍となっていますが、今後人口減少が日本よりも各段に速いスピードで進むため、2050年には人口が日本(1億1120万人)と同程度の水準になります(図表)。

では、なぜロシアで人口の減少が進んでいるのでしょうか。その理由として、出生率の低下と死亡率の上昇が同時に進行、自然減少に歯止めがかからないことが挙げられます。

まず、出生率の低下ですが、これは1955年に妊娠中絶が合法化され、また70年代に子供を1夫婦につき2人までに制限することを推奨する政策がとられて以降顕著となりました。当時の政府は、人口爆発が発生して飢饉になることを恐れていたのです。

80年代には政府が出産を奨励する政策へと方向転換したため、出生率にやや改善の動きがみられましたが、90年代に入ると、旧ソ連崩壊後の混乱もあって経済的理由により出産を自主的に抑制する夫婦が増え、再び出生率の低下に直面しています。

また、平均寿命の短縮化も人口減少に拍車をかけています。もともとロシアは広大な国土に恵まれていながらも人間が生活していくにあたっての自然環境が厳しく、平均寿命はそれほど長くはなかったのですが、近年ではそれがさらに短くなってきています。

ロシアでは1965~66年平均の69.5歳をピークに寿命の低下が進行しており、90年に69.2歳、2000年に65.36歳、そして2002年には64.8歳となりました。平均寿命が今でも伸び続けている日本とは対照的です。

2002年では、日本人男性の平均寿命が78.4歳、米国人男性の平均寿命が74.6歳ですから、ロシア人男性は日本人男性に比べて20歳、米国人男性に比べて16.2歳も寿命が短いことになります。このまま平均寿命の短縮化傾向が続けば、ロシア人男性の寿命は、「人生50年」とのたまっていた織田信長の時代まで遡ってしまう恐れがあります。

男性の平均寿命の短縮化は、成人男性の死亡率上昇によるところが大きいと考えられます。背景には、健康に害を及ぼすアルコール濃度の高いウォッカの摂取量が増加していることがあります。実際、アルコール中毒による男性の死亡者は毎年相当数に上っており、夫婦の離婚の原因についても、最多の理由は夫のアルコール中毒です。

さらに、自殺率の上昇も男性の平均寿命を縮めています。世界保健機関(WHO)の調査によると、ロシアの自殺率は、90年の10万人あたり26.5人から95年に同41.5人と急上昇した後、2000年が同39.4人、2002年が同38.7人と高原状態にあります。2002年の年間自殺者数は5万5330人にも及びました。とくに男性の自殺率が高く、95年が10万人あたり72.9人、2000年が同70.6人、2002年が同69.3人となりました。2002年の国際比較をすると、ロシアはリトアニア(自殺率は44.7)に次いで世界で2番目に自殺率が高くなっています。

以上は少し古い資料ですが、今でも趨勢に変化はありません。

プーチンが、軍事プレゼンスに注力するわけ?


モスクワの独立空挺団に所属する24歳の女性兵士、Yulia Kharlamovaさん
経済でも、人口でも陰りの見えるロシアが今でも持てる力としては、軍事力が最大のものです。特に軍事技術に関しては今でもトップ水準にあります。

だからこそ、プーチンは、これを最大限に活かして、ロシアの優位を保とうと躍起になっているのだと思います。だからこそ、ウクライナや最近では中東で軍事的な行動に出て、ロシアの存在感を高めようとしているのだと思います。

とはいいながら、今のロシアは仮に経済が落ち込まなくても、すでにEUと軍事的にまともに対峙することはできません。無論、アメリカとは問題外です。

そうして、ご存知のように隣には、人口13億人の中国が控えており、中ロの国境は世界で最も長い国境線で接しています。

これらを守備するだけでも、とてつもない経済力と努力を必要とします。今や大国ではなくなった、ロシアには問題が山積しています。

日本は、今や小国と成り果てたロシアを等身大に見て、北方領土問題の返還など、強力に推し進めていくべきです。今後、5年くらいが、最大の山場かもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年5月28日水曜日

【上念司氏ツイート】北方領土で妥協可能 プーチン大統領、交渉継続表明―【私の論評】日本はロシアも外交カードの一つとして利用できる体制を整えよ、敵の敵は味方という部分もあることを心得よ(゚д゚)!


24日、ロシア・サンクトペテルブルクで、主要国の通信社代表らと会見するプーチン大統領
経済評論家の上念氏のツイートした元の記事を以下に掲載します。
 ロシアのプーチン大統領は24日、共同通信など主要国の通信社代表と北西部サンクトペテルブルクで会見し、日本との北方領土問題について、柔道の「引き分け」の精神を貫けば、双方の妥協による解決は可能との見解を示した。 
 プーチン氏は、ウクライナ情勢をめぐって日本が対ロ制裁を発動したことについて「驚いた」と不快感を表明。日本が「交渉のプロセスを止めた」と指摘する一方、ロシアには交渉の用意があるとも述べた。 
 米国主導の制裁に日本が同調した結果、日ロの領土交渉にも支障が生じたとの認識を明らかにしたとみられる。 
 プーチン氏はまた、平和条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言には両島の主権がどの国に属するか明記されていないと指摘、「それは交渉の対象だ」と述べた。 
 【私の論評】日本はロシアも外交カードの一つとして利用できる体制を整えよ、敵の敵は味方という部分もあることを心得よ(゚д゚)!

上の上念氏のツイート、これだけ読んでいると何のことかわからないという人もいると思います。そのため、ツイートの背景にある事柄などを解説します。

要するに、中国の最近の海洋進出は、ソ連が崩壊し、その後継者たるロシアが小国に成り果て、中ロの国境において、国境溶解とも呼べる状況に陥っていることを背景としているということです。国境溶解とは、シベリアなどで国境を超えて中国人が多く入り込み、そこで様々な産業に従事して、国境があるにもかかわらず、国境自体が不明瞭になっている状況をさします。

この国境溶解は、中国とベトナムなどのように中国と国境を接する東南アジアの国々でも起こっており、これらの国々では、元を商取引につかうなど、アジア人民元経済圏への移行途上にあり、軍事的にも金融的にも中国は優位にたっており、この優位性に立脚し、中国は海洋進出が容易にできる状況になっているということです。

これに関しては、昨日の私のブログ記事をご覧いただければ、ご理解いただけると思いますので、昨日のブログのURLを以下に掲載しておきます。
【西村幸祐氏FB】ルトワックはウクライナ危機でシナとロシアの接近は氷の微笑だと分析する。―【私の論評】東・南シナ海が騒がしくなったのは、ソ連が崩壊したから! 安全保障は統合的な問題であり、能天気な平和主義は支那に一方的に利用されるだけ(゚д゚)!
ルトワック氏

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では経済評論家の上念塚氏も主張しておられるように、中国の海洋進出を阻むには、中国と国境を接してる国々のランドパワーを増すことが緊急の課題であるということです。

ロシアもかつてのソ連の最盛期まではいかなくとも、経済発展などして経済的に余裕がでてくれば、中国の海洋進出を阻む勢力になるということです。

ロシアにかぎらず、中国と陸続きで接している国々のランドパワーが増すことが、中国の海洋進出を阻むことになるということです。

そうして、本日の産経の記事の、プーチン氏の北方領土で妥協可能 プーチン大統領、交渉継続表明は、まさにプーチンが、日本との関わりを強めようとしているのであり、シナとロシアの接近は氷の微笑に過ぎず、こういう背景から考えると、ロシアと中国が一体化するなど、あり得ないというルトウィク氏の読みは的中しているということです。

この記事は、日経新聞によるものです。この記事の結論には、ルトウィック氏の指摘ではなく、日経新聞の記者が意見を述べています。それは、以下のようなものです。
 では、日本はどうすればよいのか。中ロの結束が弱まれば、日本の選択肢は広がる。それでもロシアが対中外交で協力したり、領土交渉で譲ったりすると期待するのは禁物だ。  
 米政府当局者は「ロシアに過剰な期待を抱かないほうがいい。日本には戦中の経験もある」と語る。第2次大戦末期、日本の降伏が確実とみるや、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、攻め込んできた。 
 ユーラシアの両雄はどこに向かうのか。日本は歴史の教訓をひもときながら、冷徹に次の一手を練るときである。
しかし、これははっきり言えば、中国の立場の代弁であり、ロシアが旧ソ連のように力をつけて特に、国境線で中国を脅かす存在にはなってもらいたくないという意思の表明でもあります。結局、日経新聞はなんだかんだといいながら、中国様の大の味方のようです。そもそも、ユーラシアの両雄などとロシアを語っています。もはや、小国に成り果てたロシアをさもさも、大国のように扱っており、これは何らかの意図を感じさせます。

今は小国になったロシアということを認識してない日経新聞(゚д゚)!写真はロシア国旗をデサインしたビキニ

この記事では、最後にこのように締めくくりました。
 日本としては、ロシアの出方、たとえば北方領土の問題を日本にとって良い方向に導くつもりがあるのかどうかを見極めながら、ロシアに対する援助などを見極めるべきです。 
もし、ロシアにはその気がないというのなら、ロシアを支援する分をモンゴル、トルコ、ベトナム、インドなどにまわし、これらの国々の国境固め、中ロ国境溶解をさらに進行するようにし中ロ両国を弱体化する方向に進めばそれで良いだけです。 
いずれにしても、日本としては、なるべく早くデフレから脱却して、経済的に余裕を持ち、日本の意図を成就できる体制に持っていくべきです。 
だから、デフレ下の増税などとんでもないことです。支那を利するだけです。 
上記のように安全保障は、軍事力だけではなく、金融・経済・外交・地政学が密接にからみあった、統合的なものてあり、これに対応するには統合的思考によらなければ、なかなか解決できるものでありません。目の前の海にだけ気を取られていたり、軍事力だけを考えていては何も成就しません。
プーチン氏としては、最近では国境溶解で国境付近では、中国に押される一方となったので、この状況を打開したいのですが、ウクライナ問題などで、最近ではEU諸国や、アメリカには大きな貸しをつくってしまったので、これらにはしばらく、交渉の余地はないわけです。

そうなると、北方領土という外交カードのある日本が唯一の頼みの綱です。だからこそ、プーチン大統領は、わざわざ今の時期に、 北方領土で妥協可能であり交渉継続表明を行ったということです。

さて、この状況日本にとってどうなのかといえば、私は、非常に良い状況に向かいつつあると思います。

ここしばらく、アメポチから完璧に脱することはできなくても、ロシアやその他の中国と国境を接する国々と交渉し中国の海洋進出の野望を砕く機会をうかがうことができます。外交オンチのオバマがこのことを理解できるできないかは別として、これは長い目でみれば、日米双方にとっても良いことでもあります。

うまくいけば、中国と国境を接する国々にとっても良いことですし、日本にとっても良いことです。

デフレを収束させなければ、安倍外交も水疱と帰する危険性がある(゚д゚)!

こんなところから、意外と日本は、戦後体制から脱却を目指すことができるかもしれません。私は、おそらくは安部総理はその道を目指していると思います。

ただし、結果として増税すら阻止できなかったことを考えると、まずは上記のことを実施するためにも、デフレを克服することを最優先すべきと思います。外交にだけ力を入れ過ぎると、足元が崩れ、第一次安倍内閣のようになりかねません。そうさせては、絶対にならないと思います。そうなると、日本は再度立ち上がることがかなり困難になると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年2月16日日曜日

「国境を固めろ」 プーチン大号令の意味は?―【私の論評】オリンピックだけではない小国ロシアの動きに注目せよ! 背後にしたたかな外交劇! 中国の北極海進出を阻止せよ(゚д゚)!

「国境を固めろ」 プーチン大号令の意味は?

2013年12月20日、ロシア・モスクワで行われた、
保安機関職員向けの会合で演説するプーチン大統領

北極が資源基地、通商ルートとして世界的注目を集めるなか、北極圏に世界最大の領土を持つロシアが同地域と、それに連なる極東の国境警備を進めている。北極開発はロシアにとりチャンスである一方、氷の融解により各国の船籍がより自由に航行できる環境は、ロシアの安全保障にとり脅威になるためだ。北極海への進出に意欲をみせる中国への懸念を特に強めているとの見方も出ている。

「国境の保全システムの改善に対し真剣な注意が払われなければならない。鍵となるのは北極圏の国境と、カフカス地方、極東の国境インフラの改善だ」

プーチン大統領は昨年12月20日、モスクワで行われた保安機関職員向けの会合で、カフカス地方と、北極、極東を並べて“真剣な注意”を払うよう、国境警備などに携わる保安機関職員らに檄を飛ばした。

ソチ五輪開幕を目前に控え、カフカス地方出身のテロリストの動向に世界的な注目が集まる最中に、国境警備の最前線に携わる職員らには北極圏、極東の警備を怠るなと訴えた格好だ。

プーチン氏はすでに、北極圏の国境警備体制の強化に手をつけている。12月10日に行われた国防省拡大幹部会では、北極海のフランツ・ヨシフ諸島とノボシビルスク諸島に新たに空軍基地を設立する計画が披露され、プーチン氏はここでも「ノボシビルスク地方における基地を再開させたが、それは北極圏全域における状況をコントロールする上で極めて重要な意味を持つ」と言明した。

・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・

中国は、北方海域での存在感を高めている。2012年には砕氷船を北極探査に送り込み、北極点近くの航路を使った航行に成功した。13年には初めて、北極海航路へのアジア側の通過海域になりうるオホーツク海に中国艦艇が進出した。ロシアは中国砕氷船の北極進出、また中国艦艇のオホーツク海進出に合わせ関連海域で軍事演習を実施するなど、中国を意識したともとれる反応を示している。

国境への脅威としては、人口減少に悩む極東地域での中国の不法移民の流入もロシア国内で懸念が高まっている。ハバロフスクのネットメディアによると、ハバロフスク地方では12年だけで、「ロシア連邦保安局(FSB)が千人以上の違法な中国人移民の合法化の流れを止めた」という。 

報道によると彼らは、ハバロフスク市内の教育機関で教員として勤務しているとする不正な証明書を作成し、ロシア国内に長期間滞在する許可を得ていた。極東では今後も、中国人移民の存在感が急速に高まると予想されている。

【私の論評】オリンピックだけではない小国ロシアの動きに注目せよ! 背後にしたたかな外交劇! 中国の北極海進出を阻止せよ(゚д゚)!

さてオリンピックでは、日本の選手らがメダルをとったため、日本国内で大きな話題になるようになっています。しかし、ロシアといえば、オリンピックだけではありません。その裏で各国による、見逃すことのできない、外交が繰り広げられています。

北極海の海底には、石油資源が眠っている

北極海における中国の脅威については、前々から指摘されていたことです。この問題かなり大きいし、大きく北極海に接するロシアとしては、大問題です。プーチンとしては、中国を牽制するためにあらゆる手段を講じようと策を練っているはずです。

そんなプーチンの考えを見ぬいた、安部首相は、西欧諸国が開会式出席を拒否するなか、参加して、プーチン氏と会談しています。

ソチオリンピック開催式に出席後、プーチン大統領と会談する安部総理
安部総理は、安全保証のダイヤモンド構想による中国封じ込めを果敢に進めています。両者には、中国封じ込めという点では合致しているし、まさに時宜を得ているので、両者とも満面の笑みを浮かべています。

習近平も、欧米諸国が開会式参加を拒否する中、参加し、参加後にプーチン氏と会談しました。そうして、プーチン氏はこの席で中国訪問を決めています。北極海への中国の進出を懸念しているプーチン、ロシアは北極海進出の最大の障害となるかもしれないことを懸念している習近平。両者とも相手の腹を探ろうとして必死です。両者とも、顔が若干こわばってるようにもみえます。
ソチ五輪開会式出席後にプーチン大統領と会談した習近平
朴槿恵は、公務が忙しいとの理由で、ソチ五輪開会式に参加しませんでした。これは、いろいろな説がありますが、朴槿恵がロシアを訪問した時、プーチン氏との会談のとき、プーチン氏が30分遅刻したので、そのしっぺ返しだと思われます。

オバマ氏は、他の西欧諸国と同調し、ロシアに同性愛者の活動を制限する法律があるからという人道上の理由から出席しないことを決めていました。

朴槿恵とオバマ大統領はソチ五輪開会式には参加せず
確かに、人道上の問題はあるものの、今回のソチ五輪開会式には、ロシア側からみれば、外交・安全保障の意味からも、諸外国に集まってもらい、できれは会談を開いて、今後の方向性などについて話をしたいという要望があったものと思います。

こうした大問題については、日本はもとより、西欧諸国、特にEUにも多いに関係のあることです。なぜなら、北極海の問題は、大きな問題であり、特にEU諸国など、多くの国が北極海に面しています。

北極が中国の海になったとすれば、とんでもないことになります。いつも、ロシアや、EUは中国の脅威にさらされることになります。

ソチオリンピックに参加のセクシーなアスリートたち

そんなことから、今回の安部総理のソチ五輪開会式参加は、誠に時宜を得ていて、日本のこれからの対ロシア外交戦略に良い影響をおよぼすことになるでしょう。

韓国の不参加は、ロシアのプーチンにとっては、望むところでしょう。韓国は、小国であり、GDPも日本の一都市である東京程度しかなく、しかも、北極海からは離れており、反日的ですし、韓国とのつきあいなで、中国封じ込めを実行しつつある日本との外交に支障をきたすおそれがあることから、朴槿恵の開会式不参加は、願ったり、かなったりというところだと思います。

アメリカやヨーロッバなどは、北極圏から近いので、本来であれば、この機会を利用しても良かったのでしようが、やはり、プーチン大統領や、安部総理ほどには危機感を抱いてはいないのだと思います。

ちなみに、ロシアは、中国、日本、アメリカなどから比較すると小国です。これに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
安倍首相と習主席を天秤に したたかなプーチン大統領 北方領土は…―【私の論評】小国ロシアの外交に学ぼう!!だが、インド・アセアンと中国とを両天秤にかけて見せた安倍総理の外交手腕のほうが凄いかも!
詳細は、この記事をご覧いただものとして、 今やロシアは、ソ連やそれ以前のロシアは、大国ではありましたが、現在のロシアは、人口は日本よりわずか2000万人多い程度にすぎず、経済的にはGDPが、インドにも抜かれ、10位の座からは滑り落ちてしまい、いわゆる新興国の地位に甘んじています。

ロシアの力は、旧ソ連自体からも落ちていたことも注目すべきです。第二次世界大戦直後のソ連は、その頂点に達していました。軍事力においても、経済的にも世界の大国としてふさわしい地位を有していました。

アメリカにも、コミンテルンを多数送り込みに成功していました。スターリンの腹黒さには、当時の小市民的なトルーマンはとても歯が立ちませんでした。アメリカ国内でも、コミンテルンがありとあらゆる諜報活動をしていました。アメリカのコミンテルンは、GHQという形で、日本にも多数送り込まれました。GHQの実体は、馬鹿とスパイの集まりという状況で、日本にもソ連の勢力が広く、深く影響を及ばしていました。それどころか、日米が戦争に突入したのには、アメリカの中枢や、日本の第二次近衛内閣にも深く浸透していたソ連コミンテルンが大きな役割を果たしています。

日本に送り込まれたGHQは、馬鹿とスパイの集団だった
しかし、そんなソ連コミンテルンも日本が脅威の経済成長をするにつれて、だんだん威力を失っていきました。国民の多くが豊になった、1960年代から、1970年代にかけて、豊になった人たちは、共産主義の必要性は感じなくなり、ソビエト・コミンテルンの勢力は日本から払拭されました。それは、アメリカも同じことで、アメリカが裕福になるにつれて、アメリカより、コミンテルンの影響力はどんどん消えていきました。アメリカでのコミンテルンの勢いは、日本よりもはるか前に消えていました。

アメリカでは、1960年代はじめまでは、政府中枢にまでおよぶような、大規模な奥行きも幅も広い、ソ連スパイの摘発事件などが発生していましたが、これ以降には滅多にありません。そうして、それとともに、ソ連も衰退し、1990年台には崩壊しました。

しかし、最近ではあの女スパイである、アナ・チャプマンの色仕掛け目による、アメリカでのスパイ事件などがあり、大騒動となりましたが、それにしても、往年のコミンテルンの大かかりなものとは比べようもないくらいの規模のものです。

ハニートラッフでアメリカを震撼させたロシア女スパイの、アンナ・チャップマン

こういう歴史的背景を知っていれば、現在のロシアは小国であることが良く理解できると思います。

しかし、こうしたロシアがソ連時代に培った軍事力や、諜報戦などの力により、今でも多くの国々の人々に大国のように思われています。

しかし、現実のロシアは小国であるため、将来中国が本格的に北極海に進出した場合、それこそ、第二第三の尖閣問題や、南シナ海のようになる可能性はかなり高いです。それに、ロシアは現在、北極海に直接接する国としては、もっともその接地面の大きな国であり、これだけの接地面を防衛するのは、本当に大変なことです。

北極海

そんなときに、日本が中国を牽制してくれれば、中国は日本に対する軍事力を強化しなくてはならず、その分北極海に割ける軍事力にも限りがでてきます。

まさに、ロシアの狙いはそれです。EUもうまくすれば、頼りになるかもしれませんが、それにしても、経済的にはたいしたことはありません。EU全体で、ようやっと、日本やアメリカに対抗できるような経済力であり、しかも一つの国ではないため、場合によっては各国の利害の衝突もあります。

ロシアと日本は、中国封じ込めということでは、利害が一致しています。このことをうまく利用し、ロシアと提携できるところは提携し、外交でうまく持っていくことができれは、あれほど困難と思われた、北方領土の返還もうまくいくかもしれません。

ロシアも、自らが窮地にいたったときだけ、中国の脅威をいいたて、国際法上でも何の権利もなく、日本の領土を終戦後に勝手に奪っておき、返還もしないというのであれば、日本との提携など最初から反故にされても文句はいえないでしょう。

米国の退潮は、明らかですし、ロシアはすでに小国に過ぎず、中国の崩壊は目に見えてきた現在、日本は自らの信念にもとづき、アジアの平和と安定のため、世界の繁栄のため一役、それも大きくな一役を買うことができる時代が近づきつつあるような気がします。

そう思うのは私だけでしょうか。皆さんは、どう思われますか?

【私の論評】

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2014年2月9日日曜日

安倍首相と習主席を天秤に したたかなプーチン大統領 北方領土は…―【私の論評】小国ロシアの外交に学ぼう!!だが、インド・アセアンと中国とを両天秤にかけて見せた安倍総理の外交手腕のほうが凄いかも!


日本選手団の入場行進時に、地面に映し出された日本、
地図の北海道周辺。雲のようなもので北方領土は見えない

【モスクワ=遠藤良介】ソチ五輪開幕式に合わせた安倍晋三首相の訪露はロシアで好感されている。ただ、プーチン大統領は6日、ソチを訪れた各国首脳の中で最初に中国の習近平国家主席と会談しており、日中両国を天秤(てんびん)にかけて国益の最大化を図る姿勢が鮮明だ。北方領土問題では、露外務省が日本側の受け入れられない歴史認識を振りかざし、日本に「譲歩」を迫る構図となっている。プーチン政権は「愛国主義」による支持基盤強化に動いてもおり、領土交渉を大胆に動かせる状況にはない。

中国国営新華社通信によると、プーチン氏は6日の中露首脳会談で「日本の軍国主義による中国などアジア被害国に対する重大な犯罪行為を忘れることはできない」と述べ、2015年に予定される戦勝70周年の記念行事を共同開催する考えを示した。ただ、露主要メディアはこの内容を報じておらず、日本を刺激することを避けたい政権の意向があったもようだ。

プーチン氏は中国との友好関係を最重要と認識しつつ、日本との関係改善によって中国を牽制(けんせい)し、課題の極東・東シベリア開発にも日本の協力を得たい考えだ。北方領土問題については、「平和条約の締結後に色丹、歯舞を引き渡す」とした日ソ共同宣言(1956年)を軸に解決する考えを変えていないとされる。

昨年の領土交渉再開以降、ロシア側は「第二次大戦の結果として四島はロシア領だ。これを認めねば交渉は始まらない」との立場を突きつけ、国連憲章の旧敵国条項まで持ち出して北方四島の領有を正当化してきた。ロシア側の歴史認識を強硬に打ち出し、日本に「政治決着」という名の譲歩を要求している形だ。

プーチン氏の支持率は長期的な低落傾向で、経済の見通しも暗い。国内向けに領土問題での「弱腰」は見せられない状況だ。政権は公務員や国営企業従業員、地方住民といった層の支持を固め直そうと、保守路線を鮮明にしてもいる。「大戦での勝利」を強調し、旧ソ連時代を美化する「愛国主義」はその中核をなす要素といえ、日本側の歴史認識は容認できない。

【私の論評】小国ロシアの外交に学ぼう!!だが、インド・アセアン諸国と中国とを両天秤にかけて見せた安倍総理の外交手腕のほうが凄いかも!


11だけが、現在のロシア連邦、それ以外はソ連崩壊後独立。
1.アルメニア、2.アゼルバイジャン、3.ベラルーシ、4.エストニア、
5.グルジア、6.カザフスタン、7.キルギス、8.ラトビア、9.リトアニア、
10.モルドバ、11.ロシア、12.タジキスタン、
13.トルクメニスタン、14.ウクライナ、15.ウズベキスタン


このいきなり小国ロシアというタイトルには、驚くかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、現在のロシアはその表現がぴたりと当てはまります。ソ連のときには、確かに大国であった時期もあるのですが、冷戦構造によるアメリカとの軍拡競争に敗れ、国内の経済・社会がなおざりになり、それが直接の引き金となって、ソビエト崩壊後のロシアは、まさに発展途上国のような状況でした。

それをプーチンらが努力して、何とか経済をまともにして、現在に至っているロシアは、新興国といっても良い状況で、もはや大国ではありません。経済的にも、軍事的にも小国に過ぎません。軍事的には、まだ大国と見る向きもあるようですが、実際はそうではありません。ただ、過去のロシアのときの、核兵器などをそのまま継承しているため、未だ多くの人々が大国扱いしているだけですす。

これらの核兵器もいずれ耐用年数を過ぎます。そのときも、ロシアが核大国でいられるのか、はなはだ疑問です。いずれこの方面でも、このままでは中国・インドなどにとって変られる可能性も大です。ただし、それまでには、まだまだ長い期間がありますし、大量の核兵器に用いる、核物質を所有していることだけは事実です。であれは、核拡散防止条約など無視して、核物質を売りさばくような国になるかもしれません。そうなれば、まさに、犯罪大国になるかもしれません。

このブログでは、以前も現代ロシアの小国ぶりについて掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にロシアの小国ぶりの部分のみをコピペさせていただきます。
このブログには、以前ロシアの声というサイトについて掲載したことがあります。そのときにも、掲載しましたが、ロシア人口は、日本の1億二千万と比較して、わずか、二千万ほど多い、1億4千万ほどにすぎません。さらに、その中の支配階層である、ロシア人といえば、多民族も存在するため、単一民族の日本人よりも少ないです。 
そうして、無論のことは中国とは陸続きです。ロシアは、中国に対しては、昔から、何か領土問題や、利益が衝突するがあったときには、強大軍事力を駆使して、中国をやり込め、譲歩することはほとんどありませんでした。そうして、中国もロシアの強大な軍事力の背景があるため、一方的に押されてきたといのが、今日までの姿です。 
 
さて、上の記事では、米国のアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開したとありますが、アメリカは、冒頭の図のように、7重にも及ぶ多層的なミサイル防衛網を構築しています。米国ミサイル防衛システムそのものの詳細については、こちらを参照してください。 
これを公表するということは、中国のミサイル封じ込めに、成功したか、成功しつつあるということであり、中国にとっては、かなりの脅威となるものと思われます。 
 
これに関して、なぜロシアが上記のような報道をするかといえば、やはり、ロシア自体が、かなり中国の最近の軍拡に脅威を感じているということにほかなりません。 
陸続きで、ロシア全土をあわせてですら、10倍以上の人口を持つ仮想敵国が陸地を接して存在しているということですから、いつも潜在的に脅威にさらされているわけです。 

 
であれば、このようなニュースは、ロシアにとっても好都合であり、利用できるものはなんでも利用して、中国の脅威を削ごうとの意図があるものと見えます。 
しかし、アジアや中東に配置した、ミサイル防衛システムは、あくまでも、アメリカ本土防衛のためのものであり、まかりまちがって、中国のミサイルがロシアを目指しても、それを打落す仕組みにはなっていません。 

 
であれば、ロシアにとては、相変わらず、何も変わらないわけで、ロシアも独自でミサイル防衛網をきずかなければならないということです。しかし、それは、なかなか難しいのかもしれません。だから、上記で軍拡競争という言葉がでてくるのだと思います。現ロシアは、軍拡競争には巻き込まれていないということを誇示したいのだと思います。 
でも、これは、本当の誇示になるのでしょうか、もともと自国の原潜の処理も自国で行えないロシアは、国家として無責任な国です。 
 
それもそのはずです。実は一作昨年、ロシアのGDPは、とうとうブラジルとインドに抜かれてしまい、世界10以内から滑り落ちてしまいました。 
現在、ロシアのGDPは日本の3分の1以下なのです。日露戦争の頃は、ロシアのGDPは日本の8倍でした。100年間(正確には80年間)で日露の国力は大逆転したのです。

 2010年各国のGDP
1、アメリカ
2、中国
3.日本   5兆4500億ドル
4、ドイツ
5、フランス
6、イギリス
7、ブラジル
8、イタリア
9、カナダ
10、インド

・ ロシア  1兆4650億ドル
こんな国が、アメリカなみの、ミサイル防衛網など、構築できるわけがありません。それから、中国が世界第二位の経済大国になったのは、日本のおかげでもあります。それは、このブログに、何回か掲載してきたことですが、日銀が、いつまでも、執拗に増刷拒否など金融引締めをするものですから、固定相場制の中国は、自国の元を好きなだけ、擦りまししても、日本の円が担保となり、インフレを免れてきたということです。しかし、それも、最近では、効き目がなくなりつつあります。日本銀行がまともになったら、中国は、あっという間に、経済大国の座からすべり落ちることでしょう。
ロシアの弱体化は明らかです。現状の小国ロシアに領土問題などで譲歩する必要など全くありません。日本は、日本銀行に金融引締めをやめさせ、円高誘導をやめさせ、また、世界第二位の経済大国に返り咲くべきです。それに、いますぐするしないは、別にして、核武装の論議をはじめるべきです。それだけで、ロシア、中国、北朝鮮はかなり脅威に感じることでしょう。
さて次に、日本がロシアから学ぶぺき外交姿勢をあげてみます。どこの国々でも、隣どおしの国々は、仲が悪いのが普通です。世界で最も平和な国境はおそらく、アメリカとカナダの国境です。ここは、両国の間を自由に行き来できます。国境紛争などもありません。こんな、平和な国境はここくらいなものです。

中国とロシアも例外なく仲はあまり良いとはいえません。長年、国境紛争が絶えなかったのですが、数年前に中国の一方的な譲歩によって、解決しました。しかし、これは、どこの国でも同じことです。陸地でも、海でも、国境接している隣国とは仲が悪いというのは、普通のことです。この国境紛争も実は、ソ連時代から何度もあったことなのですが、ソ連時代ではなく、ロシアになってから解決しています。それも、その条件たるや、ロシアの一方的な要求に完璧に屈した形のもので、これは、中国国内ではほとんど報道していませんが、これを知ったら中国人民もかなり怒るであろうような内容です。

現在のロシアは、ソ連の最盛期と比較すれば、単なる小国に過ぎないのですが、ロシアのプーチンは、国境紛争でも一度たりとも、譲歩も妥協することなく、いつでも対決する姿勢を鮮明に打ち出していました。どこまでも、強面ロシアの体制を崩すことはしませんでした。それにしても、すでに小国になったロシアとはいえ、核兵器は持っているし、軍隊の練度なども落ちたとはいえ、中国よりはまともですから、全く妥協するつもりも、その素振りも観せませんでしたし、今でもそうです。だから、中国は今でもロシアに対しては日本に対するような強行姿勢はみせたことがありません。

イヌ好きのプーチン大統領、手前は24年に、秋田県の佐竹敬久知事が大統領に贈った秋田犬「ゆめ」


それから、さらに数年後、中国の漁船がロシアの港湾にロシア側が臨検するので、停泊するようにと命令していたにもかかわらず、逃げ出したため、ロシア側は機銃掃射しました。その結果、中国漁船には多数の死傷者が出たのですが、それでも、中国側は、非難するようなことは全くありませんでした。ましてや、これをきっかけに戦争に持ち込むなどということなど、考えも及ばなかったようです。

これだけ、強行姿勢を貫き、もし実際に軍事行動でもおこせば、プーチンは、今でも完膚なきまでに中国を徹底的に攻撃することでしょう。こうした、姿勢の国には、中国は手も足も出ないようです。今や小国であるロシアに対してもこの有り様です。

では、日本だってロシアのように中国に接したら、中国もロシアに対するように日本にも低姿勢になるとは思いませんか。私は、そう思います。

日本の歴代の政権は、そんなことは及びもつかず、まるで腫れ物にでも触るように、中国に対応してきました。だから、中国は増長したのです。

民主党政権のときも、中国に対しては及び腰過ぎましたし、このブログにも最近掲載しているように、オバマ政権もかなり及び腰でした。この日米の反応をみた中国は、増長してしまったのです。だから、尖閣や南シナ海のように中国の挑発を招いてしまったのです。

これが、ロシアのようにソ連時代から一環して、中国に対する強行姿勢を崩していないとか、少なくともブッシュ政権時代のような対決姿勢を崩さなければ、今日のように中国は増長していなかったことでしょう。

しかし、安倍政権になってからは、風向きが変わりつつあります。プーチン大統領は、中国と日本を両天秤にかけるような行動をしていますが、安部総理はそれどろか、安全保障のダイヤモンドという構想をぶちあげて、両天秤どころか、インド、アセアン諸国、モンゴル、ロシアなどを矢継ぎ早に電撃訪問をして、対中国包囲網を着々と整えつつあります。

そうして、それには、ロシアのプーチン大統領も、大きな関心を持っています。自分が対中国強行姿勢を貫いた経験から、安部総理もそれに近いことを考えていることを見抜いているものと思います。それに、プーチンは中国はいずれかつてのソ連のように崩壊するものと睨んでいると思います。

また、韓国に関しては、プーチンははなから相手にしていません。これは、このブログでも紹介した子どかありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
プーチン氏 韓国告げ口外交に不満持ち露韓首脳会談に遅刻か―【私の論評】反日やっても、何も変わらず!ますます、韓国の国際的地位を弱め、国内では不満を高めるだけ、韓国はやるべきことをやれ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、プーチンは露韓首脳会談にわざと遅刻して、韓国などはなから眼中にないことをはっきりと示したのです。これに対して、朴槿恵や韓国マスコミが露骨に批判したかといえば、今のところそのようなことはありません。

ロシアのプーチンからすれば、韓国など全くとるに足りない国であるということを身を持って示したということだと思います。なにしろ、韓国はそもそも、一度も外国とまともに戦争をして勝ったこともありません。日露戦争で負けた日本とは違います。人口も六千万ほどしかない国であり、これは日本の半分です。それに経済的に見てもとるに足りない国です。韓国のGDPは日本の一都市である東京のGDPくらいしかありません。

狩りをするプーチン。国内でも、強面を演出?

このように、ロシアは中国に対して強行姿勢を貫き、韓国には一見非礼なことをしてまでも、無関心であることを相手に知らしめています。これは、本当に日本も見習うべきと思います。こんなプーチンですから、日本と中国とを両天秤にかけるようなことは朝飯前です。それにしても、小国になってからも、大国に近いような外交スタンスを崩さず、押しまくるプーチンは凄いです。

しかし、本当は安部総理の外交手腕のほうが、凄いかもしれません。なぜなら、安部総理の外交は、それ以前の民主党の及び腰外交というマイナスの外交から始まっているからです。私は、安部総理も中韓などに対しては、いずれロシアのように強硬路線で臨もうとしてるのと思います。今は、その序章に過ぎないと思います。

いずれ、強行路線をとることを前提として、今はその下準備として様々国々を歴訪して、安全保証のダイヤモンドを固めようとしているのだと思います。そうして、このブログにも掲載しているように、ノータッチのタッチと、いざというときに、強硬路線をとるという外交姿勢を構築するために、今は着々と実績を積み上げているのだと思います。それは、今や小国に過ぎないロシアのプーチンが一番良く知っているかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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