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2016年4月5日火曜日

【スクープ最前線】習政権の“転覆”狙う地下組織“暗躍” 知識人、活動家に軍の一部が連携―【私の論評】中国国内の一派閥の統治の正当性を強調するため、尖閣、沖縄、日本奪取もあり得ると心得よ(゚д゚)!


国内外で足元が揺らいでいる習近平国家主席。気が気でないはずだ

 オバマ米大統領が、中国の習近平国家主席に激怒している。ワシントンでの米中首脳会談で、南シナ海やサイバー、人権などの問題を提起したが、習氏は一歩も譲歩せず、米国の要求を突き返したのだ。強硬姿勢の背景には反体制派の存在があるという。中国国内に構築された「地下組織」の実態と、習政権が延命のために仕掛ける軍事危機とは。米国は警戒監視のため原子力空母「ジョン・C・ステニス」を南シナ海に展開させた。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

 「(南シナ海での)『航行と飛行の自由』を口実に、中国の主権を侵害する行為は許さない」「それぞれの核心的利益を尊重すべきだ(=口出しするな)」

 オバマ氏が、中国の国際法を無視した「南シナ海での岩礁の軍事基地化」という暴挙を批判すると、習氏は顔色を変え、オバマ氏をにらみ付けて、米軍の「航行の自由」作戦を批判した-。

 注目された米中首脳会談は3月31日に行われた。両首脳は冒頭、北朝鮮の核実験やミサイル発射などの挑発行為を問題視し、連携を強めることで一致した。だが、その後は違った。オバマ氏は、習氏にすべてを拒絶された。米国にとって屈辱的な米中決裂だった。

 旧知の米政府関係者は「残り任期が1年を切り、オバマ氏の『力』が落ちて中国になめられている」といい、続けた。

 「それ以上に驚いたのは習氏の激変ぶりだ。これまでのソフトムードは皆無だった。米軍が、韓国に配備を予定している最新鋭地上配備型迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』について、習氏は『中国の安全に関する利益を損ねる(から止めろ)』と反対した。台湾についても『いかなる独立運動も許さない』といい、米国に『1つの中国』原則を厳守するよう求めた。すべて、けんか腰だった」
 中国がGDP(国内総生産)世界第2位とはいえ、現時点では、米国には経済力でも軍事力でもかなわない。習氏の態度は一体何なのか。

 米政府関係者も「オバマ氏を軽視するというより、習氏には悲壮感すら漂っていた」と明かした。

 驚かないでいただきたい。ここに来て、習氏に対する暗殺テロ、習政権潰しのクーデターの動きが急激に高まっている。

 以下、複数の日米情報当局関係者から得た衝撃情報だ。

 「習政権の失政に怒った知識人らが中心となって、習政権転覆を狙う『地下組織』を結成した。世界の活動家たちと連携して行動を始めた。これに、国内の少数民族や、軍部の一部が接近しつつある。中国情報当局は数百人レベルの特殊チームを結成し、粛清に必死になっている」

 新疆ウイグル自治区などが出資し、昨年秋に発足したニュースサイト「無界新聞ネット」に3月初め、「忠誠なる共産党員」を名乗る人物がメッセージを書き込んだ。経済低迷や言論弾圧、独裁、外交の失敗などを挙げ、「習氏には中国を未来に導く能力がない」と指摘し、共産党総書記の辞任を求めた。

 習氏は激怒した。中国政府はパニック状態で、同サイトの閉鎖が決定された。そして、米中首脳会談直前の3月29日、今度はニュースサイト「明鏡新聞網」系ブログに「171人の中国共産党員」によるメッセージが掲載された。そこには、「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」とあり、共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えた。

 習政権にとっては、驚天動地、前代未聞の政府転覆の宣戦布告だ。情報では、こうした動きは「地下組織」と連動している。衝撃情報はさらに、以下のように続いている。


 「中国国内に、過激組織『イスラム国』(IS)で戦闘訓練を受けた中国人が数百人規模で潜伏している。ISは、ウイグル自治区の住民を弾圧している習氏と政権に復讐(ふくしゅう)を宣言している。『その戦闘員と、現地で確保された数十人の自爆テロ要員が動き出した』という情報がある」

 ご承知の通り、中国では一連の株価暴落で、約9000万人という個人投資家が甚大な損出を被った。この数は共産党員(約8000万人)よりも多い。飛び降り自殺(=跳楼)も急増している。今後、企業の倒産ラッシュ、経済破綻も予想され、人民の怒りは爆発寸前、暴動寸前だ。

 日本の外事警察関係者に情報をぶつけると、「習氏は夜も眠れないはずだ。これまで、習氏は6回の暗殺テロを受けたとされる。犯人は反習一派の軍部だったが、今度は違う。中国の人民が相手だ。これに、政府転覆を狙う地下組織と軍部の一部が連携する。習政権発足以来、最大の危機だ」といい、続けた。

 「追い詰められた習氏が、人民の不満を政権以外に向けさせようと、暴走するかもしれない。南シナ海や沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海で軍事衝突を起こす危険性がある。安倍晋三政権が安全保障関連法の成立を急いだのも、こうした緊急事態にそなえるためだ」

 声を大にしていう。日本は一瞬たりとも油断してはならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】中国国内の一派閥の統治の正当性を強調するため、尖閣、沖縄、日本奪取もあり得ると心得よ(゚д゚)!

習近平の治世は、もう長くないかもしれません。そもそも、習近平が中国のトップであるかも疑わしいようなことがすでに起こっています。

それは、先日もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事からすでに習近平が中国のトップであるかどうかも疑わしいとみられる根拠を示した部分を以下にコピペします。 
今月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃した。式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのである。 
衆人環視の中で、習主席の部下であるはずの王氏が取ったこの「なれなれしい」行動は、主席の権威をないがしろにする「軽薄なる行為」とも映った。その背景には一体何があったのか。 
・・・・・・〈中略〉・・・・・・ 
習主席の就任から3年、その最大の「政治実績」となったのは腐敗摘発であるが、考えてみればそれは全部、規律検査委員会トップの王氏の手柄であった。そして、摘発権という絶大の武器を手にして党内で権勢を振るった結果、いつの間にか、王氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がったのである。
この出来事により、中国の真の実力者は、王岐山氏もしくは王岐山氏を影で糸をひくものであることがはっきりしました。

ブログ冒頭の記事では、「オバマ氏を軽視するというより、習氏には悲壮感すら漂っていた」とありましたが、習近平としては、国内では真のトップではなくなったのですが、中国の外交のトップは自分であることを強調したかったのだと思います。

習近平としては、未だ中国の真の実力者に返り咲くことを狙っていて、国内向けの示威行動として、オバマに対して一歩も譲らないところを見せつけたのだと思います。このあたりは、日本人にはなかなか理解しがたいところでしょうが、中国は非常に内向きな国ですから、外交も内政と深く結びつけて考えるというのが中国流です。

ただし、習近平は王岐山氏に、急所を握られているのだと思います。もし、習近平が、真の実力者に返り咲こうとすれば、習近平の悪事が暴かれ、表の実力者としての地位も失うことを王岐山氏などから、因果を含められたのだと見えます。その因果とは、腐敗撲滅運動の中止です。

このブログにも以前掲載したことがありますが、腐敗撲滅運動というと聞こえは良いですが、自らも腐敗に手を染めている習近平の行う腐敗撲滅運動の本質は権力闘争です。

まだまだ、中国全体を完璧に統治するだけの、権力を持たない習近平が、腐敗撲滅運動の名を借りた、反対派の掃討というのが実態です。

実際、本日も習近平の悪事について報道されています。
習主席の親族が巨額の資産隠し? 韓国元大統領周辺の名も 衝撃の内部文書
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ掲載させていただきます。
 中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン大統領、韓国の盧泰愚(ノ・テウ)元大統領らの周辺の人物が、タックスヘイブン(租税回避地)の企業を使って、「巨額の資産隠し」を行っていた可能性があることが明らかになった。世界の報道機関で構成する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が、内部文書の検証結果として公表した。各国で大問題に発展しそうだ。
習近平は、習近平に近い人物の資産隠し疑惑が報じられています。この件については、前から中国では知られていることでした、特に習近平のファミリービジネスには前から疑念が持たれていました。そうして、このことは以前にもICIJと英紙ガーディアンの報道で明らかになっていました。

それについても、このブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊 ―【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!
この記事は、昨年5月26日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下にコピペさせていただきます。
こうしたキャンペーンを実行する中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、昨年のはじめに国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになっています。 
ICIJのボール記者らはタックスヘイブンとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の2社から200ギガバイト以上のデータを入手、約2年にわたって分析し、裏付け取材を進めてきたといいます。
英領バージン諸島
第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人でした。
これは、両方とも中国ではなく、外国による調査ですが、当然のことながら、中国国内でも周知の事実であると考えられます。

ただし、腐敗撲滅を推進する、習近平も腐敗していることを公に訴えれば、訴えたがわも大なり小なり腐敗しているのですから、声を大にして訴えることができなかっただでしょう。

しかし、そうはいいながら、反習近平派は不正を働いている習近平に腐敗撲滅運動の対象にされるということは、片腹の痛いことだったに相違ありません。

結局、現状は習近平が権力闘争が一旦休止して、小康状態を保っている状況で、おそらく、これから習近平による下位の官僚の摘発はあるかもしれませんが、高官の摘発は鳴りを潜めることでしょう。

王岐山氏が習近平と、反習近平派の間をとりもちコーディネーターのような役割を果たし、中国国内のどの派閥も極端に走らないように、均衡状態を保つものと思います。

しかし、この均衡状態はいつ崩れるかわからない脆いものでもあります。

なぜなら、中国ではどの派閥も中国国内の統治の正当性を声高に主張できません。そもそも、中国共産党は、昨年抗日70周年記念軍事パレードなる滑稽とも思える、大スペクタクルで、中国人民を魅了しました。

しかし、これは全く真の歴史と全く整合性がありません。そもそも、中国共産党は、日本と正式に戦争をしたことは一度もありません。日本と戦争をしたのは、現台湾の国民党政府です。

国民党政府が日本と戦争をして疲弊した虚をついて、大陸中国を手中におさめ、国民党政府を台湾に追いやったというのが歴史的事実です。

しかし、そんなことでは、中国共産党の中国統治の正当性が多くの人民に疑われることになります。だからこそ、本当は中国共産党は歴史上一度も日本と戦争をしたこともないのに、歴史を修正して、日本とあたかも戦ったかのごとく、抗日70周年記念軍事パレードなる虚妄一大スペクタクルを挙行し、中国人民に中国共産党の統治の正当性をみせつけたのです。

虚妄一大スペクタクル 抗日70周年記念軍事パレードで閲兵する習近平

これは、一時成功したように見えます。しかし、現実には現状の中国では、派閥間抗争が激しく、習近平は権力闘争に完璧に勝利することができずに、現在のもろい均衡状態に陥っているわけです。

このままだと、いずれ習近平がさらなる権力闘争を仕掛けるか、あるいは反習近平派が反撃をする可能性が大です。

さて、いずれの派閥が勝つにしても、最終的に何をしなければならないのか、それは明らかです。それは、いずれかの派閥が中国統治の正当性を主張することです。そうして、その主張が多くの人民に受け入れられることです。

それは、日本のような国であれば、民主化、法治国家化がある程度以上に行われていて、議会制民主主義が根付いていますから、統治の正当性を主張するには、選挙だ大勝すれば良いです。大規模なデモしても、言論活動しても、最終的に選挙で大勝した政党が統治の正当性があるとみなされます。

しかし、中国は違います。そもそも、建国以来一度も選挙が行われたことはありません。では、何によって、統治の正当性を強調するかといえば、大胆な示威行動により、中国が発展することを人民に納得させることです。

現状中国を見回してみると、人民に中国がこれから大発展させることを納得させるには、経済では当面全く見込みがありません。過去の中国はいっとき、急速な経済成長を遂げたため、それによって統治の正当性を主張できましたが、これは当面絶望的です。

では、民主化、政治と経済の分離、法治国家化によって、国力をつける道を選ぶかといえば、現状の一党独裁の中共では、当面無理です。

最後に考えられるのは、大胆な海洋進出です。そうして、中国はその端緒につきましたが、手詰まりです。特に、南シナ海でこれ以上の示威行動をすると、アメリカと本格的に対峙することになり、経済力でも軍事力でもかなり劣る中国にはいままではともかく、これからはとても歯がたちそうにありません。

では、最後に残る、比較的実行しやすいことは何かといえば、尖閣奪取であり、その次には、沖縄奪取であり、その後は日本を奪取することです。

日本を奪取すれば、日本の富や日本の技術力を手に入れることができ、これから中国は大発展すると多くの中国人民に納得させることができます。

そこまで、いかなくても、尖閣を奪取すれば、その方向性に突き進むことを中国人民に約束して、当面統治の正当性を強調することができます。そうして、この統治の正当性を強調できた派閥が中国の真の支配者になるのです。

そうして、真の独裁者の地位を手に入れたい習近平はこれに再挑戦するかもしれません。

しかし、このブログで何度か強調してきたように、日本は軍事力特に海軍力においては、中国より数段上で、物理的には中国は尖閣を奪取することはほとんど不可能です。

ところが、日本には特殊事情があります。自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できません。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。

自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では、憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

まさに、ブログ冒頭の記事の結論でも述べているように、「声を大にしていう。日本は一瞬たりとも油断してはならない」のです。

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2016年4月1日金曜日

【スクープ最前線】オバマ政権を見くびる習政権 「尖閣・台湾」危機の衝撃情報―【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!




狙われる沖縄県・尖閣諸島 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
習近平国家主席率いる中国が、東アジアで軍事的覇権を強めている。南シナ海の島に、米海軍をけん制する対艦巡航ミサイルを配備しただけでなく、上陸作戦などで運用する「強襲揚陸艦」の整備を進めているのだ。特に、沖縄県・尖閣諸島や台湾周辺を含む東シナ海を担当海域とする東海艦隊の強化が目立つという。オバマ米大統領の残り任期が約10カ月となるなか、中国は何を狙うのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が迫った。

 日米同盟の抑止力を強化し、日本の防衛体制を強固とする安全保障関連法が29日施行された。同法をけん制するかのように、中国海軍の最新鋭フリゲート艦など2隻が前日、鹿児島県の南にある大隅海峡を通過した。

 防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は今月公表した「中国安全保障レポート2016」で、中国海軍について「今後も領土や海洋権益問題での優位確立を目指し、海空域でのプレゼンス強化を図るだろう」と強い警鐘を鳴らした。

 ご存じのように、国際社会の関心は、朝鮮半島と南シナ海の軍事的緊張に集中している。だが、わが国固有の領土である尖閣諸島にも危機が迫っている。以下、複数の米軍、米情報当局関係者から入手した衝撃情報だ。

 「日米防衛当局は昨年末、中国の習主席が『東シナ海での軍事作戦に備えよ』という極秘指令を、東シナ海を統括する東部戦区に出した、という情報をつかんだ。中国は年明け、東海艦隊を中心に、上陸作戦で使用する強襲揚陸艦をバタバタと配備した。日米当局は『尖閣や台湾を狙っている』と緊張している」

 事実、人民日報系ニュースサイト「人民網」は1月、新型の戦車揚陸艦(排水量約5000トン)1隻が東海艦隊で運用を開始したと報じた。「中国網」(日本語版)は今月、新型強襲揚陸艦(排水量約5000トン)が、3隻同時に同艦隊に配備されたと伝えた。人民網は「大量のヘリコプターと戦車、水陸両用車、兵員を上陸地点にまで輸送する」とした。

中国海軍の新型戦車揚陸艦「武夷山」「徂徠山」「五台山」の
就役・命名式が7日午前、東海艦隊の某軍港で行われた。
 さらに、カナダの民間軍事研究機関によると、満載排水量約3万5000トンという新型強襲揚陸艦も近く完成するという。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」(基準排水量約1万9500トン)をはるかに上回る。脅威どころではない。これは「尖閣・台湾」危機だ。

 衝撃情報はこう続いている。

 「中国は世界最大級の民間漁船による海上民兵を組織し、情報収集や領有権を主張する島々への侵入、上陸活動をさせてきた。彼らに最近、『指揮系統の確認作業が行われた』という極秘情報がある。中国は約20万隻の漁船を有し、数は約1400万人とされる。最悪の場合、すさまじい数の海上民兵が、尖閣や台湾に向かう可能性がある」

 尖閣危機については、まず民間漁船に偽装した海上民兵が尖閣に上陸し、中国海軍が「自国民保護」を名目に出動して局地戦に発展-という分析がある。このとき、次々に配備された強襲揚陸艦が使用されるのか。

中国海上民兵
 日本の外事警察関係者にこうした話をぶつけると、「東シナ海の危険は承知している」といい、次のように付け加えた。

 「台湾も危ない。独立志向が高い民主進歩党の蔡英文・次期総統による新政権が5月に発足する。この政権は8年続く可能性があるが、『台湾統一』を掲げる習氏は、これを放置できない。昨年7月、中国軍の特殊部隊が、台湾総督府をコピーした建造物で『斬首訓練』(=奇襲攻撃による政府首脳排除)をしていたことが発覚した。経済の低迷で、人民は爆発寸前だ。習氏は追い詰められている。何が起こるか分からない」

 こんな暴挙が許されていいのか。そもそも習政権は信用できない。

 習氏は昨年9月に訪米した際、「南シナ海を軍事基地拠点にする意図はない」とオバマ氏に約束したが、人工島を軍事基地化し、地対空ミサイルや戦闘機まで配備した。

 旧知の米軍関係者は「中国は今後、南シナ海に強引に航空識別圏(ADIZ)を設定して、シーレーンを牛耳るつもりだ。オバマ氏を『何もできない』と見くびっている。南シナ海や中東の混乱、北朝鮮の増長も、『世界の警察官』を降りたオバマ米国の責任が大きい」と明かす。

 31日から米ワシントンで、世界各国の首脳と国際機関代表が集まる核安全保障サミットが開催される。これに合わせて、米中首脳会談と、日米韓首脳会談などが開かれる。

 日本は、東アジアの危機回避のためにも、「自国の領土・領海・領空を守る」断固たる覚悟を示し、世界各国との連携強化に総力を挙げなければならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平が国内での統治の正当性を強化するために、尖閣・台湾侵攻は十分にあり得る戦略(゚д゚)!

上の記事では、中国の最近の中国の軍備の様子に関して、掲載し、迫りつつある現実的な脅威を強調しています。

私のブログでは、中国の海軍力は恐るに足らずということを何度か掲載してきました。その代表的なもののリンクを以下に掲載します。
中国“威嚇”か 鹿児島県沖に最新鋭のフリゲート艦 安保関連法施行―【私の論評】安保法制施行を機に日本は、中国の海洋進出を弾く壁になれ(゚д゚)!
鹿児島県沖を通過した中国のジャンカイII級フリゲート艦 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、特に日本の場合中国と比較すると、潜水艦に関しては絶対的に優位があります。技術水準が高くて、中国の潜水艦は日本の「そうりゅう型」の敵ではありません。同時に、対潜哨戒能力も段違いに優勢であることを掲載しました。

現在通常型としては世界で最も先進的な潜水艦である日本の「そうりゅう型」
日中の海軍が戦った場合、中国に勝ち目はありません。日本の海上自衛隊と対峙しても、この程度ですから、これが、日米同盟軍であれば、箸にも棒にもかからない中国の海軍力であることを掲載しました。

特に、軍事技術に関しては、中国の技術水準はかなり劣っているので、いくら中国が尖閣を侵攻しようとして、揚陸艦や空母や艦船、海上民兵など送り込んできても、日本側に海上で撃破されてしまい、海の藻屑と消え、そもそも尖閣に到達することなど無理です。

このことは、中国側も周知の事実で、それに関しては、この記事でも中国メディアの記事を引用して掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
海上における軍事力、中国は日本にはるかに劣るのが現状
このようなことから、いくら中国が軍備を増強したとはいっても、すぐに尖閣などに攻めこむということは考えにくいです。

ただし、これは、物理的な問題です。物理的には、今中国が海軍や海上民兵を尖閣に送り込み、尖閣を奪取できるかといえば、それは無理です。

しかし、日本には特殊事情があります。自民党の危機管理プロジェクトチームが以前まとめた中間報告は、自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できないことを鋭く見据えていました。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。
自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

そうして、最近では、中国に異変がみられ、習近平がこうしたことを実行する決意を固める可能性も十分にあります。

その異変とは、どのようなものかといえば、2つほどあります。まず一つ目は、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、先月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃したことを掲載しました。

この式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのです。

これにより、中国の影の本当の実力者は、王岐山であるかもしれないことが、公に示されたことになります。本当の実力者とまでいなくても、王岐山はいつの間にか、習近平と対等の権力を手中に収め習近平を諌めることができるものとみられます。

異変は、さらにあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

「あなたは指導力に欠ける」 中国主席辞任要求する公開書簡がニュースサイトに掲載 当局が捜査
この記事の内容、以下にそのまま引用します。 
 中国新疆ウイグル自治区政府系のニュースサイト「無界新聞」に、習近平国家主席の外交や経済面などの「失策」を指摘し、辞任を求める公開書簡が17日までに掲載され、当局が捜査に乗り出した。中国語ニュースサイト「博訊」(本部・米国)などが報じた。 
 報道によると、「忠誠なる共産党員」を名乗る投稿者による書簡は全国人民代表大会(全人代)の開幕を控えた4日夜に掲載され、すぐに削除されたという。 
 書簡は「習近平同志、ニーハオ。われわれは忠誠なる党員です」との書き出しで始まり、習氏が権力を集中させて、国家機関の独立性を弱体化させたと政治面の問題を指摘。言論締め付けは文化大革命の再発を懸念させると批判した。 
 外交面でも、能力を隠して自重するという故トウ小平氏の外交戦略「韜光養晦」路線を捨て、日本や米国との関係を悪化させたなどと非難。「あなたは党や国家の指導力に欠ける」と辞任を求めた。
無界新聞が掲載した習氏を批判する記事
この習近平批判記事を掲載したとされる、中国の著名コラムニスト、賈葭氏が行方不明になっていることが明らかになています。

賈葭氏は15日夜以降、連絡が取れなくなったとといます。同氏は同日に北京から香港に飛行機で向かう予定でした。賈葭氏の妻は、夫の行方が分からなくなったと当局に訴えています。

政府系ニュースサイトに掲載された習近平国家主席の辞任を求める匿名の手紙をめぐって、賈葭氏に対する当局の疑いが高まっていたとみられます。手紙はサイトから間もなく削除されました。

今回の失踪も、習主席のイメージを守ることを目的とした、最近注目を集めるメディア関係者への締め付けの一環だとみられます。

賈葭氏
さらに別の動きもありました。中国共産党員を名乗り、習近平国家主席の辞任を求める公開書簡が米国の中国語サイトに1日までに投稿され、波紋が広がりました。国家主席の辞任を求める声が立て続けに公になるのは異例で、強まる言論統制への反発との見方が出ています。

米政府系放送局ラジオ自由アジアなどによると、新たな書簡は3月29日にニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載されました。「171人の中国共産党員」を名乗る投稿者が自分ですぐに削除したもようですが、ネット上で一気に拡散しました。

書簡は「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」と批判。共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えました。

ニュースサイト「明鏡新聞網」系のブログに掲載された習近平批判
この一連の動きをみていると、習近平は国内の権力闘争で当初は腐敗撲滅運動で、かなり成果をあげたのですが、習近平自身が不正を働いていたのは周知の事実で、これに対する反発も相当なものだったことがうかがえます。

そうして、現在間違いなく習近平の権力基盤は揺らぎつつあります。習近平は、この状況を変えて、自らの統治正当性を強調するため、これから一気に過激な示威行動に出る可能性があります。

しかし、南シナ海において、新たな動きをするということになれば、アメリカと本格的に対峙しなければならないことになります。これは、全く勝ち目がないので、習近平も避けたいところでしょう。

しかし、周囲をみまわせば、アメリカ程強力ではないどころか脆弱なところがあります。それは、どこかといえば、軍事力は強大ながら、憲法上の制約があり、まともに戦えないかもしれないと目される自衛隊が守る日本の尖閣諸島です。

さらに、防衛力では日本より格段に劣る台湾への侵攻です。これらに成功し、国内で反対派を再度徹底的に弾圧できれば、習近平の国内での統治の正当性はかなり高まることが考えられます。

そうして、これはオバマ政権下のうちに、実行される可能性も十分にあります。ご承知にように、オバマは外交などの非常に及び腰なので、オバマ政権下で尖閣や、台湾に侵攻したとしてもオバマは烈火のごとく怒り、中国を激しく非難するかもしれませんが、それ以上のことはしないと見られるからです。

習近平が事を起こすならオバマ政権下の時に起こすのが有利
オバマ政権が終了し、次の大統領になった場合、誰がなったとしても、少なくともオバマよりは及び腰ではないことが考えられます。習近平が示威行動をするなら、この機を逃すのは、明らかに不利です。

日本としては、やはり憲法9条を改正するか、改正しないまでも、憲法学における京都学派の憲法解釈を採用して、防衛戦争をできるようにする必要があります。

京都学派の憲法解釈に関しては、このブログにも掲載したことがあります。そのリンクを以下に掲載します。
佐々木惣一の「憲法第九条と自衛権」―【私の論評】安保法制=戦争法案としてデモをする人々は、まるで抗日70周年記念軍事パレードをする人民解放軍の若者と同じか?
憲法学における京都学派の重鎮 佐々木惣一氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、佐々木惣一氏をはじめとする、京都学派の解釈では、憲法9条は、日本は国際紛争を解決する手段として、戦力を用いたり保持することは禁じているが、防衛戦争そのものを禁じたり、防衛戦争のための戦力を用いたり保持することまでは禁じていないと解釈しています。

この解釈に従えば、自衛隊を軍隊にし、中国が尖閣に侵攻してきた場合、普通の国の軍隊と同じく、防衛戦争をすることは違憲ではありません。

ブログ冒頭のような成果情勢があり、さらに最近ではアメリカの大統領候補トランプ氏が、日米安全保障における日本の片務性(米国が攻撃されても日本はこれを守ることはしない)に苦言を呈するとともに、核武装も許容するとしている今日、日本も防衛戦争くらいできるようにしておくべきものと思います。

中国の海上民兵に尖閣列島を占拠され、尖閣が中国に実効支配されるようになり、南シナ海のように軍事基地化され、沖縄侵攻の橋頭堡にされたり、尖閣付近の間隙をぬって、中国のさらなる海洋進出を許すことがあってはなりません。

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2016年2月25日木曜日

【緊迫・南シナ海】米原潜、ステルス艦「ズムワルト」展開も 中国を抑止 太平洋軍司令官が証言―【私の論評】南シナ海の米中の武力衝突の前に、尖閣で前哨戦があったとしたら(゚д゚)!

7日、出航した米海軍最大級の新型駆逐艦ズムワルト=東部メーン州

 ハリス米太平洋軍司令官は24日、下院軍事委員会の公聴会で証言し、中国による南シナ海の軍事拠点化を抑止するための方策として、西太平洋に米空母2隻を常時、配備することは当面、難しいとの認識を示す一方、最新鋭のズムワルト級ステルス駆逐艦や、攻撃型原子力潜水艦の前方展開を検討していることを明らかにした。

 空母2隻体制についてハリス氏は「2隻目が欲しい。早いほど喜ばしい」としつつも、「2隻目を(常時)配備するには予算や外交、政治上の克服すべきハードルがある」と述べた。

 そのうえで「攻撃型原子力潜水艦や駆逐艦の追加的な駆逐艦、恐らくDDG1000(ズムワルト級)の前方展開が考えられる」と指摘。「空母の不足を補うために、できることは多い。(ズムワルト級などの前方展開は)、スプラトリー(中国名・南沙)諸島におけるさらなる軍事化を抑止するための、大きな部分だ」と語った。

 米国防総省はリバランス(再均衡)戦略に基づき、アジア太平洋地域に米軍艦船全体の6割を配備し、国防予算の厳しい削減下における量的な制約を、最新鋭艦船を配備することにより質的に補おうとしている。

 ハリス氏がレーダーに捕捉されにくいズムワルト級に言及したことは、リバランス戦略の一環であることに加え、中国による急速な軍事拠点化に対する強い危機感の表れだとみられる。

 ズムワルト級は当初、30隻以上の建造が計画されたが、高額のため3隻に削減された。1番艦は昨年に進水し、航行試験を経て年内に海軍に引き渡される。

 国防総省は2017会計年度(16年10月~17年9月)の国防予算案に、米軍佐世保基地(長崎県佐世保市)での運用を想定し、桟橋の改修工事費を盛り込んでいる。ただ、工事期間は17年5月から18年10月までで、米カリフォルニア州サンディエゴを母港とする予定の1番艦を前方展開するにしても、得意な形状の船体をもつズムワルト級の寄港地を、早急に確保することが先決となる。

【私の論評】南シナ海の米中の武力衝突の前に、尖閣で前哨戦があったとしたら(゚д゚)!

ハリス米太平洋軍司令官
ハリス太平洋司令官は、2つ空母戦闘群の常駐と、原潜の派遣、ズムワルトの派遣を検討しています。

ハリス米太平洋司令官が、公聴会でこのような証言をすることは、十分予想がつきました。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【緊迫・南シナ海】米中、軍事衝突秒読み 米空母が東アジアで2隻展開も―【私の論評】南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがない(゚д゚)!
米海軍のCVN-73ジョージ・ワシントンとCVN-74ジョン・C・ステニス空母戦闘群
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、対潜哨戒能力の弱い中国軍はなすすべながないことを掲載しました。その部分のみを以下にコピペします。

"
空母2隻の戦闘群が、表の顔とすれば、潜水艦は裏の顔です。空母は航行すればその姿ははっきりと中国側に捉えられ、空母群が最初に攻撃を加えるということになれば、中国側もそれをすぐに察知して、それに「紅旗(HQ)9」を用いて反撃を加えることができます。さらに、航空機を用いて、反撃することもできるでしょう。

しかし、潜水艦にはそのような対処は一切できません。突如とて米潜水艦からミサイルが発射され、それを防ぐ手立てはありません。また、米潜水艦は、当然のことながら、南シナ海の中国の軍事基地に対する弾薬、燃料、水、食料などの補給を絶つこともできます。

そのような米軍の攻撃に対して、中国側は全く打つ手がなく、大パニックに陥ることでしょう。

USSバージニアの魚雷発射管室内の制御装置
実際に武力衝突が始まるとすれば、米国側は最初は潜水艦による攻撃で口火を切るでしょぅ。先ほども述べたように、米側は、中国の艦船、潜水艦の動向をすべてつかむことができますから、まずは潜水艦によって、これらを無力化できます。これらは、初戦ですべて海の藻屑と消えます。

その後に、米潜水艦は、中国のミサイルや、その他の軍事的脅威を標的に攻撃をしかけ、これらも無力化することでしょぅ。

その後に、空母戦闘群が攻撃を加え、中国の軍事基地を無力化し、その後で海兵隊が上陸し、島嶼の基地を破壊し、戦闘員を殺害するか、捕獲して、比較的短時間に米軍の勝利に終わります。
米軍の攻撃型バージニア級原子力潜水艦
万に一つも、中国側に勝つ見込みはありません。中国軍は、最初から最後まで、苦しい戦いを余儀なくされるでしょう。

このように、南シナ海では日本の海上自衛隊の対潜哨戒による中国軍の監視と、米側の潜水艦による戦いにより、またたくまに趨勢が決まり中国側は、なすすべがなくなることでしょう。

そうして、当然のことながら、すでに米国の潜水艦は、南シナ海に派遣されており、いつでも攻撃ができる体制を整えていることでしょう。空母やイージス艦などは、これらを米国が南シナ海に派遣すれば、それは中国側にも、南シナ海の近隣諸国にもすぐに知られてしまうので、米側もこの海域に派遣することなどすぐに発表します。

しかし、潜水艦は違います。潜水艦はあくまで隠密行動で、米側も何も発表しません。しかし、まず間違いなく、派遣していることでしょう。
"

南シナ海で軍事衝突があったにしても、中国側の対潜哨戒能力が極度に劣っていることから、中国側は米国の潜水艦には太刀打ちができません。これに、さらに日本の自衛隊により対潜哨戒が実行されることとなると、日本の哨戒能力は世界一であるため、中国の艦船や潜水艦の行動を逐一把握できるにもかかわらず、中国側は米国の潜水艦や、ズムワルトの行動は把握することはできません。

しかしながら、特にズムワルトは最新鋭のステルス型駆逐艦であるため、日本での報道はこれに対する扱いが大きいですが、実際の戦闘ではやはり、潜水艦が趨勢を決めてしまうでしょう。

なぜなら、ズムワルトはステルス型ですが、それにしても、航空機や艦船などから視認することはできます。中国側が哨戒活動を強化すれば、たとえレーダーで捉えられないにしても、その動向はかなり把握できる可能性はあります。やはり潜水艦の隠密性には、今でも及ばないということです。

それと、ズムワルトはまだ一隻しか建造されていません。さらに、今後の予定でも、3隻ということで、これでは大きな戦闘力とはなりえません。補助的な役割を担うことになると思います。

米軍の戦略型オハイオ型原子力潜水艦
それに比較すると、潜水艦は昨年の米側の広報によれば、71隻です。そうして、先ほども述べたように、中国側の対潜哨戒能力はかなり劣るので、米国の潜水艦は全く察知されずに、南シナ海の領域に入り、中国側拠点に近づき攻撃を加えることができます。

やはり、南シナ海の武力衝突の趨勢は米潜水艦により決まり、中国軍はなすすべがないというのが実態であり、ハリス米太平洋軍司令官の脳裏にもそれがあり、ブログ冒頭の記事のような発言になったものと思います。

潜水艦発射弾道ミサイル・ハッチ
さて、このような動き、日本としても今後もこうした南シナ海の動きに、注視していかなければならないです。かといって、原油の運搬ルートでもある、シーレーンがどうのこうのという話はあまりにも当たり前のど真ん中なので、ここでは改めて説明はしません。

そんなことよりも、日本にとって尖閣諸島の危機がより一層高まることを予期して、それに備えることが日本の当面の緊急課題になるということです。

これに関しては、以前もこのブログに掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
中国海軍、尖閣接近のウラ 米爆撃機の威嚇に習政権“苦肉の策”か ―【私の論評】日本と戦争になれば、自意識過剰中国海軍は半日で壊滅!東シナ海で傍若無人ぶりを働けば撃沈せよ(゚д゚)!
(昨年11月)中国海軍の艦艇(東調232)が、東シナ海で不審極まる航行をしたことが注目されている。沖縄・尖閣諸島南方の接続水域の外側を、東西に反復航行していたのだ。 
航行が確認されたのは中国海軍のドンディアオ級情報収集艦で、海上自衛隊のP3C哨戒機が発見した。菅氏は「単なる通過ではなく、1日で東西に反復航行したのは特異な航行だ」と指摘し、警戒感を示した。 
中国といえば、南シナ海の岩礁を国際法を無視して軍事基地化したことをめぐって、米国と緊張関係にある。 
米軍は「航行の自由」と「法の支配」を守るため、先月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を派遣したうえ、米原子力空母「セオドア・ルーズベルト」をマレーシア沖で航行させて中国をけん制した。 
今月8~9日には、グアムから飛び立った、核爆弾搭載可能なB52戦略爆撃機2機が、南シナ海の人工島近くを飛行するなど、圧力を強めている。中国軍は、こうした米軍の攻勢に目立った動きをみせていない。
こうしたなか、少し離れた東シナ海で特異な航行をしたのはなぜなのか。 
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「情報収集艦の航行は、南シナ海での動きと連動しているとみて間違いない」といい、続けた。 
「中国は、米国が艦船だけでなく、戦略爆撃機まで投入するとは思っていなかったはずだ。対抗措置を取らなければ、中国のメンツが立たないうえ、国内世論の反発を食らう。といって、緊迫する南シナ海で下手に動けば、軍事力で歴然の差がある米軍と衝突する事態になりかねない」 
「苦肉の策として導き出したのが、東シナ海への艦艇派遣だったのだろう。『自衛隊が相手ならば、大きな事態にならない』と考えたのではないか。それだけ、米軍の『フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦』で追い詰められているということだ」
そうして、昨年12月には、中国はそれまでには派遣していなかった、機関砲を装備した公船を尖閣付近に派遣しています。さらに、最近では南シナ海にミサイルを配置したりしています。

「海警31239」(上)と「539 安慶」艦(退役)(下)の写真
中国は元フリゲート艦を公船に改造して尖閣諸島に派遣している
いずれにせよ、中国としては今後も米国が南シナ海に圧力をかけるのは目に見えているのですが、それに対して真正面から対峙しても全く勝ち目がないことは明らかです。

なんといっても、中国の貧弱な対潜哨戒能力では、どうみても一方的に惨敗するだけです。だから南シナ海での米軍との武力衝突はなんとしても避けたいのですが、さりとて、それに対する対抗措置を何もしないということになれば、国内での習近平に対する批判は高まります。

それをかわすために、習近平は再び、尖閣諸島に目をつけるかもしれません。日本の海軍力は中国を上回っており真正面から中国が日本に戦いを挑むと、これまた中国には勝ち目は全くありません。特に、先に述べたように、中国は対潜哨戒能力が極度に劣ることと、日本の潜水艦は、攻撃型としては世界一と言って良く、特にステルス性は世界一です。

日本の攻撃型潜水艦である「そうりゅう型潜水艦」
しかし、日本には憲法第9条があり、軍事的攻撃を受けた場合の防御しかできないとい縛りがあります。これは、中国側にも広く知られた事実です。

しかし、憲法解釈には東大を頂点とする日本の主流の憲法学者らの解釈では、「日本は自衛のためであっても、武力を保持したり攻撃することはできない」としていますが、少数派の京都学派の解釈では、「国際紛争を解決する手段として、武力を保持したり攻撃してはならないのであって、自衛のために武力を保持したり攻撃することまでは禁じられているわけではない」としています。

もし、中国が南シナ海での対応に手詰まり、中国国内で、習近平に対する批判が高まれば、習近平は人民解放軍による尖閣上陸を決断するかもしれません。日本が尖閣の実効支配を失えば、軍事基地の建設が進む南シナ海と同じ事態になることは、目に見えてはっきりしています。

元米海兵隊政務外交部次長のロバート・D・エルドリッヂ氏は「中国は尖閣に、簡単に基地を造ることができるだろう。オスプレイのような技術を盗み、機材を開発できるようになれば、大きな飛行場は要らない。ジェット機も尖閣に着陸できるようになる」と警鐘を鳴らしています。

中国は尖閣を奪取した場合、南シナ海の環礁のように
付近を埋め立て、軍事基地化することは十分予想される

尖閣は現在の南シナ海と同じく尖閣周辺を埋め立て「日本に最も近い中国軍基地」と化してしまう恐れが十分にあります。いよいよ、中国が尖閣に上陸というということにでもなれば、日本としては、憲法改正がそのときになってもできなかったとすれば、京都学派の憲法解釈に従い、人民解放軍に対峙すべきものと思います。

ただし、実際に尖閣諸島で本当に戦争になり、日本の自衛隊がこれに対して何の縛りもなく真正面から対峙することができれば、中国の人民解放軍には全く勝ち目がなく、中国側の艦船はことごとく海の藻屑と消え、戦争は短期間で終了することでしょう。

そうして、国際感覚からいえば、日本がこのようなことをしても、これに対して批判をするのは中国だけで、他国は全く批判などしないし、できないでしょう。自分の国の領海や領空を侵犯されたり、あるいは領土に上陸され場合、それに反撃するのは当然のことであり、それを真っ向から批判しては、世界秩序を保つことはできません。

これは、自然権(独立国として当然の)権利であり、国連憲章にも定められた、独立国の権利であり、これを否定することは本来中国を含めていずれの国も否定できません。そうして、多くの国々では、国の自衛権はあまりに当然の権利であり、憲法典にはわざわざ記載されていません。こんなことからも、京都学派による憲法解釈は国際感覚からすれば、当たり前の解釈といえます。
そうして、習近平が一番恐れているのは、安倍政権が尖閣諸島に自衛隊を派遣して、尖閣付近から中国の勢力根こそぎ奪ってしまうことです。

習近平にとって、一番良いのは、中国の軍事力を日本の国民が過度に脅威に感じて、戦争を防ぐために、尖閣諸島を中国に譲ることです。

日本としては、とるべき道は当然のことながら、中国が尖閣に上陸する場合は、それを全力で防ぐことです。米国のオバマは及び腰で、南シナ海や尖閣問題を現状のように、複雑なものにしてしまいました。


南シナ海では、今日のような行動を5年くらい前に発動すべきでした。それでも、中国が南シナ海での傍若無人ぶりをやめないというのなら、軍事的行動をとるべきでした。尖閣問題にしても、オバマは早めに、尖閣諸島は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しないと宣言すべきでした。

オバマが煮え切らない態度をとり続けたことが、中国の増長を招き、今日のような複雑な事態を招くこととなりました。しかし、そのオバマ大統領ですら、米国内での突き上げもあって、やっと重い腰をあげて中国に対峙しようとしています。オバマですらそうなのですから、次の大統領になれば、中国への圧力はますます強まるでしょう。

米国の圧力によって窮地に立たされている習近平(写真左)
安倍総理そうして、日本は、アメリカの二の轍を踏むべきではありません。中国が尖閣上陸をしそうになったら、日本の領海、領空、尖閣諸島上の中国人民解放軍を武力で殲滅すべきです。

以上のように、南シナ海での米中の本格的な浮力衝突の前に、中国による尖閣奪取というシナリオは十分に考えられます。それに対する、日本の自衛隊の備えは現在の中国人民解放軍の能力からすれば十分です。ただし、そのときの日本の国民の覚悟がその後の日本のあり方を決めてしまうことは間違いないようです。

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2015年12月25日金曜日

「日本は核武装を狙っている」 中国が進める日本悪魔化計画―【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!


悪魔といってもいろいろあるが、中国の日本悪魔化計画の悪魔はどんなものか?

 「アメリカを超える大国」を目指す中国は、その大目標の邪魔になる日本を貶める動きを加速させている。その試みは欧米の識者から日本の「悪魔化」と呼ばれ、警戒されている。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、中国による日本の「悪魔化」の現実をレポートする。

 * * *

 中国共産党政権が日本をことさら悪として断じ、その善や和の特徴をあえて無視する実態は私自身も1998年から2年余、産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期から、いやというほど体験してきた。

 小中高校用の歴史教科書は日本について戦時の「残虐行為」だけを誇張して教え、戦後の平和主義、民主主義の特徴はなにも教えない。日本が賠償の意味もこめて中国に供与した巨額の政府開発援助(ODA)など戦後の対中友好外交も教えない。

 官営メディアは抗日戦争での日本軍の「侵略と虐殺」の歴史を繰り返し、ドラマも同様に悪逆非道の日本人ばかりが登場する。この反日宣伝の実例は自著の『日中再考』(産経新聞社刊)などで詳述した。

中国の歴史教科書の記載

 さてこの中国の「日本悪魔化」戦略はアメリカでも中国軍事研究の最高権威によって指摘されていた。1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官として中国の軍事動向を研究してきたマイケル・ピルズベリー氏の指摘であり、警告だった。

 同氏は2015年2月刊行の著書『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』(日本語版の書名は『China2049』)で日本悪魔化戦略を明らかにした。

マイケル・ピルズベリー氏
 ピルズベリー氏は中国語に堪能で共産党や人民解放軍の軍事戦略関連文書を読みこなす一方、中国軍首脳との親密な交流を保ってきた。同氏はこの新著でアメリカ歴代政権の対中政策は間違っていたとして「中国を豊かにすれば、やがて国際社会の健全な一員となるという米側の期待に反し、中国は当初から建国の1949年からの100年の長期努力でアメリカを圧することを狙ってきた」と述べた。その世界覇権への長期の闘争を中国自身が「100年のマラソン」と呼ぶのだという。

 同氏は中国のこのアメリカ凌駕の長期戦略の重要部分が「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作なのだと明言している。日本の悪魔イメージを国際的さらには日本国内にも投射して日本を衰退させ、日米同盟やアメリカ自体までの骨抜きにつなげる一方、「軍国主義の日本との闘争」を中国共産党の一党独裁永遠統治の正当性ともする狙いだという。

 逆にいえば、習氏にとって日本がいま平和、民主のままで国際的な影響力を強めれば、共産党統治の正当性を失いかねない。さらには中国の最大脅威であるアメリカのパワーをアジアで支えるのはやはり日本そして日米同盟であり、その両者が強くなることは中国の対外戦略全体を圧することにもなる。だから習氏はいまの日本をいかにも恐れるような異様な工作を進めるのだろう。ピルズベリー氏はその日本悪魔化工作の例証として以下の諸点を列記している。

 ◆習近平氏が愛読する書『中国の夢』(劉明福・人民解放軍大佐著)は「日本は常に中国を敵視するから中国が軍事的に日本と戦い、屈服させることが対米闘争でもきわめて有効だ」と強調している。

 ◆清華大学の劉江永教授は最近の論文で「日本の首相の靖国神社参拝は中国への再度の軍事侵略への精神的国家総動員のためだ」と断言した。

 ◆李鵬・元首相に近い学者の何新・社会科学院研究員は一連の論文で「日本は中国の植民地化を一貫した国策とし、今後もそのために中国を分割し、孤立させようとする」と警告している。

 ◆多数の中国の軍人たちが「日本は中国攻撃のための軍事能力を整備しており、日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」と主張している。
 
 私はピルズベリー氏とは30年以上も交流があり、今回の彼の本についても対談する機会を得たが、氏によれば、これらの主張はほぼすべて事実に反するものの、現実には中国首脳部への真剣なインプットとなっているという。

 日本はこの中国の「悪魔化」プロパガンダに対して常にその害悪を意識して正面から反撃し、論争を挑むことが不可欠だろう。

 ※SAPIO2016年1月号

【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!

『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』については、ごく最近このブログでも取り上げたばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒―【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!
激怒するオバマ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事元記事では、以下のような事実を提示していました。
米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島に接近した。中国が『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)以内どころではなく、2カイリ(約3・7キロ)内への侵入だった。ほぼ真上といえる。米国防総省は『意図的ではない。悪天候のため、誤って飛行した』と説明した。
そうして、この元記事では、これは誤りではなく、アメリカの意図して意識した、中国への恫喝だとしています。そうして、なぜこのような恫喝をしたかといえば、中国の傍若武神な振る舞いに対して、激怒したためとしています。

この見方は、全く正しいものと思います。これに対して、『100年のマラソン』を引き合いに出して、私は以下のように論評しました。 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結論部分のみ以下に掲載させていただきます。
以上のようなことから、「100年のマラソン」など最初からわかり切ったことであり、これに関して今更脅威を感じるなどとは、はっきり言わせてもらえれば、あまりにも感受性が鈍いとしか言いようがありません。 
感受性が鈍った原因として、アメリカの世論は、90%がリベラルで、わずか10%が保守であり、かつ親中派、媚中派も多かったため、中国の成長幻想の集団催眠にかかり、中国はいずれ大国となり、米国と対等のビジネスパートナーになると思い込んだためです。 
しかし、異質の中国は、とても米国の考えているようなビジネス・パートナーとはなりえません。まずは、経済は破綻しかけています、そのいきつく先は、中進国の罠にどっぷりとはまり抜け出せなくなることです。そうなれば、今後中国の経済が発展することもありません。 
軍事的にも本格的にアメリカと南シナ海で対峙することになれば、数時間で負けます。そもそも、中国の「100年のマラソン」は、中国の中華思想からでてきたものであり、根拠も何もありません。 
もともと、中国は第二次世界大戦後に独立した国であり、大東亜戦争時には日本と戦ったこともありません。直接先進国と本格的な戦争などしたことはありません。だから、戦争の悲惨さなど知りません。さらに、毛沢東施政下においては、大躍進や文革で数千万人にものぼる死者を出した国です。もともと、人命は尊重しない国です。 
このような国が本格的に超大国妄想を抱いて、それに突き進めば、それが成就されることはないにしても、アジアに様々な災いをもたらすのは明らかです。
アメリカは、このような妄想を打ち砕き、中国に対して身の丈を知らしめるべきです。そうすることにより、アジアの平和と安定がより確かなものになります。 
いずれ中国はいくつかの国々に分裂し、ほとんど国が特に珍しくもないありふれた、アジアの独裁国家の一つに成り果てます。ひょっとする、そのうち一国くらいが、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現して、中間層を増やしこれらに活発な経済・社会活動を行わせるようになり、驚異的に発展するかもしれません。 
しかし、そのときは、今の中国のように身の丈知らずの妄想をいだくことなく、まともな国になるかもしれません。 
今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の対応の遅れが、アジアの安定と平和を脅かしたと言えそうです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
『100年のマラソン』など、もうすでに野望をむき出しにした中国の態度から、もうすでに10年以上前から多くの人が理解していたことです。それに日本「悪魔化計画」は、1980年代から江沢民による組織的、体系的反日教育で、すでに1990年代から始まっています。

「南京虐殺30万人説」など、悪魔化計画が実行されて何十年もたって中国ではもう既成事実になっています。アメリカでも信じる馬鹿が多いです。今更、「悪魔化計画」などというキーワードを持ちださなくても、このようなことは中国が随分時間をかけて、実行してきたことです。

そうして、何のためにやってきたかということも、はっきりしています。それは、日本を悪魔に仕立てなければ、中国共産党政府の正当性を主張できないからです。確かに、日本という悪魔がいなければ、中国共産党は存立の基盤を失ってしまいます。

日本と戦争したこともない中国共産党、建国してから毎年平均2万件もの暴動が発生していたとされる中国、それも2010頃からは毎年10万件もの暴動がある中国、現在の共産幹部の先祖をたどれば、ほんどとどこの誰かもわからない、馬の骨である中国共産党幹部。

それでも、本当に抗日戦争を戦って、人民を開放したという事実でもあれば、自分たちを正当化できますが、そんな事実はありません。そのような事実がないのであれば、中国共産党政府が、中国を統治する正当性を何とか主張しなければなりません。しかし、残念ながら、中国共産党政府には何もそれがありません。だから、日本を悪魔にしたてて、歴史を改ざんして、悪魔の日本から人民を開放したという妄想を人民に信じさせなければならないのです。

このような背景を知ってか、知らずか、日本の尖閣問題や南シナ海の問題に関して、アメリカの世論はあまりに幼稚で無邪気ですらありました。

そもそも、アメリカは戦後体制の最大の戦勝国であるはずです。大東亜戦争中は、日本は米国の最大の敵です。日本の戦略のまずさから、多大な被害を被りながらも米国はからくも大東亜戦争に勝利することができました(日本が最初から無謀な戦争をしたというのは、戦後のアメリカの刷り込みに過ぎません)。

そうして、アメリカを頂点とした、戦後体制を築きました。日本もその枠組みの中にとりこまれ、その枠内での活動をしてきしまた。他のアジアの国々も同じことです。戦後体制の盟主として、それなりの利益を得るというのなら、この体制を守るという義務がアメリカにはあるはずです。

権利があれば、同時に義務があるのも当然のことで、義務を果たさなければ、戦後体制の盟主であるという統治の正当性に疑義が生じるのも当然のことです。

しかし、中国が最初に海洋進出をはじめてから、ごく最近まで、アメリカは言葉で抗議はしたものの、その他はほとんど何もしませんでした。

今から、37年前の1978年10月23日、日中平和友好条約の批准書交換のため訪日していた中国の鄧小平国務院常務副総理は、日本記者クラブで行われた会見の席上で、

尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう。
と述べています。当時、この問題を軽く考えて、日本政府が放置したことが後々の尖閣問題につながっています。このときに、日中関係が冷え込んでも「日中双方に領土問題は存在しない」とはっきりさせるべきでした。

今から21年前の、1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁(中国名: 美済礁)を中国が占拠して建造物を構築したことを、1995年2月フィリピン政府が公表しました。

当初は、建造物を構築するとはいっても、中国は今日のような埋め立ての技術を持っていなかったので、上記のようなものでした。

この両方の出来事に関して、当時のアメリカははっきりした態度を示しませんでした。本来であれば、サンフランシスコ講和条約にもとづき、日本と中国の間には領土問題は存在しないと、アメリカの意図をはっきりと中国に伝えるべきだったでしょう。

フィリピンの中国の建造物に関しても、戦後体制の秩序を乱すものとして、徹底的に糾弾すべきだったでしょう。

その後、尖閣での中国の領空・領海侵犯をしたときにも結局米国も煮え切らない態度で、特に中国を強く非難もせず、軍事的行動もとりませんでした。

フィリピンも同じことです。結局すこしずつ埋め立てて、拡張していたのを放置しておき、最近になって大掛かりにやり初めてから、はじめて強く非難し、軍事的行動に出ました。

米国は、以上のようなことは、日本やフイリピンのことであることから、独立国である日本や、フィリピンの主権を重んじたつもりなのでしょうが、ひとつ忘れていたことがあります。それは、米国は戦後体制の立役者として、戦後体制を脅かすものがあれば、それに徹底的に対峙して、守りぬく責務があります。

そのことをすっかり忘れていて、中国のやりたい放題を許容してしまいました。これでは、米国は戦後体制を守りぬく決意がないと中国側にみなされても仕方ないところがあります。

そうして、いまさらながら「100年のマラソン」に脅威を感じるような、感受性の鈍さは、何も今に始まったことではありません。第二次世界大戦直後には、当時のソ連が、米国とともにドイツと戦ったということで、当時のトルーマン大統領はソ連やスターリンを友人と思っていました。本当の世界の敵は、ヒトラーであり、スターリンであるということをすっかり忘れていました。

しかし、そうではなかったことが、その後の東西冷戦が示しています。

米国が、これからも戦後体制を守ることに消極的だというなら、日本も安全保証を根本から見直す必要があります。

それこそ、核武装なども自前でし、中国の言う悪魔にならなければならないです。とはいつつ、中国の論理は完全に破綻しています。

そもそも、中国は核保有国ではありませんか。自分で核を保有することは、普通で、日本が核武装すると「悪魔」になるというのでは、完全に論理が破綻した、ダブルスタンダードです。しかし、日本の核保有は中国にとっては、かなりの脅威なのでしょう。もし日本が核武装した場合、中国の想定は根本から覆され、「100年のマラソン」も見直しを迫られることになります。

「100年のマラソン」ではなく、「1000年のマラソン」になります。というより、事実上不可能になります。アメリカが戦後体制を守りぬくという確かな決意があり、中国がアジアで核を用いれば、アメリカも必ず報復するというのなら、中国は最初から「1000年のマラソン」に挑むということになり、そもそも最初から「100年のマラソン」などに挑戦しなかったことでしょう。

それに、中国では未だ民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分になされていません。そうして、このような近代化の遅れから、国内では、臓器売買や、ありとあらゆる弾圧行為やら、それこそ、悪魔的なことが今でも手広く行われています。これでは、共産党政府の正当性の根拠が疑われても仕方ありません。

そうして、人民の多くも、中国共産党の統治の正当性など本当は心の底では信じていません。

このような悪魔のような国中国の本質に気づき、アメリカは戦後体制を本気で守る気があるのでしょうか。今回の南シナ海では、武力対立も辞さないとい態度で臨むなら、その気があると見て良いでしょう。

しかし、あいかわらず、感受性が鈍く、危機感がないというのなら、日本は日本で、安全保障の問題を根本から見直すべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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