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2020年2月6日木曜日

新型肺炎、ついに中国国内で習近平主席の稚拙な対応への批判高まる…共産党内部や国民から―【私の論評】常軌を逸した習近平の行動は、何を意味するのか?

新型肺炎、ついに中国国内で習近平主席の稚拙な対応への批判高まる…共産党内部や国民から

1月23日、中国共産党の祝賀会に出席する習近平氏

新型肺炎への対応の不備を中国共産党指導部が初めて認めた。共同通信は3日、『習近平指導部、対応の誤り認める 新型肺炎で初動に遅れ』と題する記事を配信。「中国共産党の習近平総書記(国家主席)ら党最高指導部が新型コロナウイルスによる肺炎に関する会議を開き、感染症対応に誤りがあったことを認めた」と伝えた。中国の国家指導部が誤りを認めるのは非常に異例だ。共産党一党支配体制の揺らぎなのか、2日にはYouTube上に感染源となった武漢市に「臨時政府樹立」を訴える動画がアップロードされるなど、中国国内の混乱に拍車がかかっている。

「武漢臨時政府樹立」?

 動画は『緊急直播:武漢臨時政府湖北獨立宣言 605』と題し、2日にアップロードされた。4日正午現在でも視聴可能できた。動画では中国人男性が「武漢でSARSに似たウイルスの情報をネット上に流した医学生8名が警察に逮捕された」などと述べ、新型肺炎に対する中国当局の対応を批判。救援物資の公平な分配、感染予防策の適切な実施など5項目を中央政府に要求した。合わせて、普通選挙の実施、直接選挙による大統領の選出の必要性や、香港、チベットの独立を訴えた。

 この動画が武漢市の市民が作成したのか、語られている内容が事実なのか確認は取れていない。一方で、中国では当局への批判や、共産党の支配体制に対する批判、そして分離主義と呼ばれる「一つの中国」を否定する言論が厳しく統制されてきた。

 そもそも中国政府は「金盾」というインターネット上の検閲システムを使って、中国国内でのYouTubeやグーグルの利用を制限している。ウィーチャットやウェイボーなど中国国内で普及しているSNSではなく、YouTubeという媒体を使って動画が投稿されているため、この動画の信ぴょう性に難はある。一方で政府が動かずに、こうした習近平指導体制を真っ向から批判する動画が2日以上も野放しになっていること自体が異常な感を受ける。

習近平の身に何かが起きている

 中国情勢に詳しい評論家の石平氏は4日、Twitterに以下のように投稿した。

「習近平の身に何か起きているのではないかという観測が出ている。先月28日に彼がWHO事務局長と会談して以来公の場に姿をいっさい現していない。昨日、習が政治局会議を主宰したと報じられるが、テレビ局は会議の映像をいっさい流さないし、今日の人民日報も関連写真を掲載していない。何か変である」

「昨日の中共政治局常務委員会議にかんし、日本の一部報道に『中央指導部誤り認める』が出ている。確かに、会議の公式発表には『疫情対策における欠点と不足』を認めた個所があるが、それが中央政府の問題か地方政府の問題かを明確にせず、中央指導部が自分自身の誤りを認めたことになっていない」

石平氏「習氏の強力な指導者の虚像が崩壊」

 当サイトでは、石平氏に今回の投稿と新型肺炎の対処失敗に伴う習近平指導体制への影響に関して聞いた。

【石平氏の見解】

 今回の新型肺炎拡大の対処失敗で、習近平氏が就任以来7年間、宣伝機関などをフル活用して描いてきた「強力な指導者」の虚像が完全に崩れたと思います。初動対応の遅れや情報の隠蔽などは明らかで、「深刻な状況になってやっと動き出した」というイメージは拭えません。

 1月25日、新型肺炎の対策のための指導小組(対策本部)が立ち上がりました。本来であれば国家主席であり党総書記の習氏がトップになるべきところを、トップに就任したのは李克強首相でした。

 共産党にはさまざまな小組がありますが、習はすべての小組のトップに就任し、権力を集中させてきました。伝統的に本来、首相の李氏が就任するポストの中央財経指導小組ですら、習氏が就任したほどです。

 ところが、国民の生命がかかるまさに国家存亡の事態に際して、その対策の責任者につかないというのは明らかにおかしいです。少なくともこれまで、自然災害や疫病が発生した際、中国共産党のトップは必ず現地に入って最前線で激励してきました。江沢民も胡錦濤もそうでした。ところが、今回はその役目を李氏に押し付け、責任を放棄しました。

 こうした行動に対して、今まで国家主席の任期延長など、習氏の指導に疑問があった共産党幹部や国民の不満が暴発しつつあります。先日、中国中央電視台の生放送で取材を受けた武漢市幹部が党指導部の隠蔽工作を批判しました。また精華大の教授が党の対応を批判する文書を公表するなど、習近平指導部に対する批判の声が高まっています。

 一方で、李氏の評判は高まるばかりです。習氏は7年間、李氏の台頭を押さえつけていましたが、これでそれも終わりです。李氏の仕事ぶりは毎日、報道で伝えられています。

 この状況が続けば、習氏の権威体制に変化が生じてくるでしょう。新型肺炎が小康状態になるまで、共産党内には今回の失態に関して責任を追及する余裕はないでしょうが、ある程度、収まった時期に責任を問う声は上がると思います。少なくとも、習氏の個人独裁体制が崩れる可能性はあると思います。

(文=編集部)

【私の論評】常軌を逸した習近平の行動は、何を意味するのか?

冒頭の記事では、習近平の無責任体制を批判していますが、一方日本では、習近平が2月3日の会議で「初動対応の遅れを認めた。反省を表明するのは異例」という報道がなされて、いますが、これは日本の報道機関による、歪曲報道のようです。

それについては、遠藤誉さんのニューズウィーク日本版の記事で完璧に否定さています。その記事のリンクを以下に掲載します。
習近平は「初動対応の反省をして」いないし「異例」でもない

この記事より、以下に一部を引用します。

"
2月3日に習近平総書記が中共中央政治局常務委員会委員を招集し会議を開催した。筆者は「中共中央政治局常務委員会委員7人」に対して「チャイナ・セブン」という名前を付けたので、この後は便宜のため「チャイナ・セブン会議」と略称することにする。

2月3日のチャイナ・セブン会議で討議された内容は2月4日のコラム<習近平緊急会議の背後に「武漢赤十字会の金銭癒着」>でも述べたが、日本のメディアは異口同音に北京共同の報道<習近平指導部、対応の誤り認める 新型肺炎で初動に遅れ>の線でしか報道していないので、それが如何に間違っているかを、単独に取り上げて考察したい。

以下に示すのは、共同通信の報道をはじめとして日本のメディアが一斉に報道しているチャイナ・セブン会議の内容の中の、根拠としている部分の文章である。

これをご覧いただければわかるように、会議では赤線で囲んだ一文は、その後に書いてある「5つの要」を指している。 

まず、赤線囲みの中を丁寧に翻訳すると「このたびの感染は我が国の統治システムと能力に対する大きな試練だ。われわれは必ず経験を総括し、そこから教訓を学ばなければならない」となる。

そのためには、何をしなければならないかということが、この赤線囲みの下に列挙された5つの「要」である。この「要」とは「~しなければならない」という意味で、政府文書でそのように書けば、「~せよ!」ということに相当する。

要1:今回の疫病伝染対応で露わになった短所や不足に対して、国家応急管理システムを強化し、危機処理能力(緊急・困難・危険という重要任務に対処する能力)を高めよ!

要2:公共衛生環境に対して徹底的にローラー作戦を実施し(しらみつぶしに不衛生な部分を捜査せよ)、公共衛生の短所を補え!

要3:市場監督を強化せよ!どのようなことがあっても、違法な野生動物市場と貿易を徹底的に打撃して取締り、源から重大な公共衛生のリスクを制御せよ!

要4:法治建設を強化し、公共衛生の法治を保障せよ!

要5:システマティックに(系統的に)国家の備蓄物システムの欠点を整理し、備蓄物の効能を高め、肝心な物資生産能力と布陣を向上させよ!

以上である。

この指示のどこに、「初動対応の遅れを反省する」などという言葉があり、またまるで習近平が「謝罪の意思を表明した」ような要素があろうか。
"
これを見る限り、習近平は初動対応の遅れを認めてもおらず、反省も表明していません。「初動対応の遅れを認めた。反省を表明するのは異例」という日本の報道機関の報道は、忖度以外の何ものでもないようです。それも、悪しき忖度です。

私自身は、この期に及んでも、日本への国賓待遇での訪問に固執する習近平が、「初動対応の遅れを反省したり、異例の反省を表明することなどあり得ないと思っていましたが、まさにその通りです。

日本では、ガールズグループ「TWICE」が31日、公式サイトを更新。2月1、2日に東京ドームシティ内で開催を予定していたCDお渡し会を、新型コロナウイルスによる肺炎患者拡大の問題を受けて中止すると発表しました。

ちなみに、「TWICE」は、2015年に韓国で結成された韓国人5人、日本人3人、台湾人1人の9人で構成された多国籍のアイドルグループです。

サイトで「新型コロナウィルスについて、WHO=世界保健機関による『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』宣言および日本政府が当該感染症を『指定感染症』とする政令について施行日を2月1日に前倒しする方針を示しましたことを受けまして、再度協議をいたしました結果、お客様およびメンバーならびにスタッフの健康および安全を最優先に考慮し、本イベントの開催を両日とも中止させていただくこととなりました」と説明しました。

新型肺炎の影響を鑑み、週末に開催予定の芸能イベントは続々と中止、延期を発表しています。

この日、アイドルグループ「日向坂46」は2月1日開催予定のイベントと、2日に東京ビッグサイトで予定していた握手会の延期を発表。「SKE48」「NMB48」もこの日、2月2日に大阪で予定していた握手会を延期しました。

日向坂46

ハロー!プロジェクト所属の「こぶしファクトリー」も同日、2月1日に予定していたミニライブと握手会の中止を発表しました。

このように、様々なイベントが日本国内でも中止されています。習近平の国賓待遇での来日を実行すれば、天皇皇后両陛下は無論のこと、安倍総理等を含めた日本の政府要人等が、習近平ならびにその随行員などをもてなすことになります。それをもてなすために、それ相当の人数の人々が接遇にあたるわけです。

習近平に天皇皇后両陛下、政府要人、ならびに接遇スタッフの健康および安全を最優先するという配慮ができるなら、今回の訪問は中止するか、延期するのが当たり前だと思います。習近平としては、天皇陛下にも謁見して、日本を味方につけ、何とか苦境を打開したいと目論んでいるのでしょう。

過去においても、現上皇陛下が天皇陛下であった時に、中国を訪問して、当時天安門事件で世界中からそっぽを向かれて孤立していた中国が、日本の天皇を迎えたということで、また世界に受け入れられたということがありました。これは、まさに中国共産党による天皇陛下の政治利用でした。

今回の、習近平の国賓待遇での日本訪問も、まさにこのような政治利用であり、日本ではほとんど報道されていないのですが、このブログで解説したように米中貿易交渉の完全敗北等の失地回復のための方策の一つなのでしょうが、それにしても時期が悪すぎます。

このような危機的な状況の時に一国のリーダーが母国を離れ、他国に国賓待遇で招かれるなどのことがあれば、いずれの国でも、そのリーダーへの信頼は著しく失墜するでしょう。

習近平は、昨年(2019年)9月3日、青年幹部らに重要講話を行っています。その際、習主席は55回以上も「闘争」と言う言葉を使用しています。目下、習主席は、共産党で党内闘争を行っていると見られています。

その原因は(1)一向に改善されない中国経済(2)いつまでも続く「米中貿易戦争」(3)収束しない香港デモ(4)5Gを巡る覇権争いで、ファーウェイ(華為技術)が限界(5)アジアに蔓延する「アフリカ豚コレラ」等が、当時から習近平政権の足を引っ張っていました。それに今年は、新型コロナウィルスの問題が加わったわけです。まさに、習近平政権の危急存亡の時と言っても過言ではありません。

ましてや、中国では、反習近平派が、習近平が来日すれば、その隙きを狙って何をするかもわかりません。クーデターが起きても不思議ではありません。そのような時期に訪日する習近平にはとても常人の常識があるとは思えません。

習近平が、このように社会常識が欠如しているのは、中国共産党という異常な組織に安住して埋没しているからでしょう。中国の歴代の主席の中でも、鄧小平あたりまでは、中国国内の自分たちの常識と、海外の常識は違うということは、認識していたでしょう。しかし、長い間中国の非常識に浸って生きてきた習近平はそうではないようです。

中国共産党は、国内外で非道の限りをつくし、反対するものは、暴力で弾圧し、WTOやWHOなどのような国際組織においても札束にものをいわせ、我が物がを振る舞い、他国の領土(チベット、ウイグル等)にも平気で侵略して我が物にし弾圧し、挙げ句の果てに世界唯一の超大国である米国の怒りを買っています。

そのような中国ですが、実は中国のGDPは虚偽であり、実は日本以下どころか、ドイツよりも下であるという識者などもいます。それも、かなり信憑性があります。

それはさておき、日本が、GDPが米国に次いで、二位と公式に言われていた時代でも、多少浮かれていたところはあったかもしれませんが、中国のような酷い振る舞いは、さすがにありませんでした。

やはり、中共は常識外れです。その中でも、習近平は非常識極まりありません。日本の報道機関も、習近平に忖度するというのなら、日本訪問中にクーデターが発生する危険もありえることなど報道すべきです。そのほうが、よほど習近平の身のためです。

いや、日本のメディアはもうそのようなことは十分承知しているのかもしれません。習近平は相当追い詰められていて、その時期ではないとわかっていながら、日本を国賓待遇で訪問して、事態を打開する以外に道はないのかもしれません。

【関連記事】


2020年2月5日水曜日

新型コロナウイルスで北朝鮮崩壊の兆し―【私の論評】今年は新型肺炎で、文・習・金の運命が大きく変わる【2】(゚д゚)!


外相交代などの人事から垣間見える金正恩体制の窮状

1月1日、北朝鮮の金正恩委員長が米国に対する警告と新型兵器について語るのをテレビで見るソウル市民

本稿は、中国で発生し、感染が拡大している新型コロナウイルスが、北朝鮮情勢に及ぼす影響について分析するものである。

 今回の中国発のコロナウィルス感染症の拡大が北朝鮮に及ぼす影響は、比喩的に申し上げれば、「弱り目に祟り目」と言ったところだろう。これが嵩じると「失明」に至る危険がある。

■ カミュの「ペスト」: 不条理が集団(都市)を襲った物語

 筆者は、新型コロナウイルスの感染拡大の様を見ていると、アルベール・カミュが書いた小説『ペスト』を思い出す。奇しくも出版は筆者の誕生の年の1947年だ。

 カミュは、中世ヨーロッパで人口の3割以上が死亡したペストを、不条理が人間を襲う代表例と考え「ペスト」で、不条理が集団(都市)を襲う様子を描いた。

 物語(当然フィクション)は、フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲うという設定だ。

 ペストが蔓延する中、人々が何もコントロールできない無慈悲な運命を非情な語り口で描いている。

 新型コロナウイルスが発生し、感染が拡大している武漢市あるいは中国全土は「ペスト」の舞台となったのオラン市(面積は64平方キロで2006年時点の人口は68万3000人)とは面積・人口とも比べ物にならないが、相似性はある。

■ 新型コロナウイルスの感染拡大が継続

 2月2日現在、感染拡大が継続している。中国本土での患者は1万4300人を超え、死者は304人に達した。

 なお、香港大の研究チームは、武漢市の感染者が最大7万5800人に上っている可能性があるとの推計値を1月31日付の英医学誌ランセットに発表した。

 余談になるが、北朝鮮の金正恩氏はこの事態に臨み、習近平国家主席にお見舞いの書簡を送り「苦痛分かち合い、助けたい」と述べたという。

 それを見た習近平氏は金正恩氏が置かれた苦境を察知し、苦笑しているに違いない。

■ 北朝鮮に見られる異変

 北朝鮮の“宗主国”である中国が未曽有の危機に見舞われるのと相前後して、昨年末来、北朝鮮にも次のような異変がみられる。

 これらの異変が、なぜ起こったのか定かではないが、金正恩氏の健康問題や体制の揺らぎなども否定できず、今後注視する必要があろう。

 ●「人工衛星」状態だった金平一の帰国(昨年末)

 金正恩氏の叔父で駐チェコ大使だった金平一氏(65)が昨年末に、北朝鮮に帰国したと報じられた。

 金平一氏は、金正日氏の異母弟で金正恩氏の叔父だが、金正日氏との後継者争いに敗れ、まるで人工衛星のように30年間以上も海外を転々としてきた。

北朝鮮の駐チェコ大使を務めた金平一氏(2015年1月、プラハ)

 その風貌が金日成主席と似ていて軍内にも支持者が多く、一時は後継者に目されていた。

 2017年2月に金正恩氏の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害される事件の前には、欧州の脱北者団体が金平一氏を亡命政府の首班に担ぎ上げようとする動きがあったが、金平一氏は一貫して正恩氏に恭順の意を示してきたとされる。

 金平一氏がこの時期に帰国した真意については不明だが、筆者は金正恩氏が死亡するなどの不測の事態に備え、反体制派から次期首班などに担ぎ上げられるのを未然に防止するというシナリオを憶測している。

 ●6年ぶりに金正日氏の妹の健在を確認

 労働新聞によると、1月25日、金正日の実妹・金慶喜氏(正恩氏の叔母で、その夫の張成沢氏は正恩に粛清された)が旧正月を祝う記念公演の観覧に正恩氏と同席したという。

 慶喜氏の公開活動は約6年ぶりで、病持ちの老女が健在を示した形だ。

 金平一の帰国と相俟って、慶喜氏の登場は儒教国家の北朝鮮で寛容政策をPRし、何らかの事態に備えて内部結束や体制安定を図る狙いがあるのかもしれない。

 儒教文化の中で、若造の正恩氏がリーダーシップを握るのは苦労が多いものと見られ、伯父・叔母までも動員せざる得ない状況(体制不安)に追い込まれたのかもしれない。

 ●年末の党中央委総会は尻切れトンボ

 朝鮮中央通信によると、金正恩氏は党中央委の活動状況と国家建設、経済発展、武力建設に関する総合的な報告を行ったうえで、「革命の最後の勝利のため、偉大なわが人民が豊かに暮らすため、党は再び困難で苦しい長久な闘いを決心した」と述べ、報告を終えたと報じた。

 総会は開催以前から「重大問題や新たな闘争方向と方法などを討議する」と鳴り物入りで開かれ、異例の長期間(4日間)行われたものの、何ら新しいビジョンを打ち出すことができず、尻切れトンボ状態で終わった感がある。

 このことは、北朝鮮が米国のドナルド・トランプ大統領による「戦略的な遅滞作戦(制裁解除を匂わせながら合意・解決を先延ばしする作戦)」に翻弄される結果となり、金正恩氏が人民に「長期戦」呼びかけるだけで、その打開に行き詰っていることを物語るものであろう。

 金正恩氏が生き残りを懸けたはずの対米交渉カードは、核ミサイルの開発であるが、トランプ氏の「戦略的な遅滞作戦」により、それは北朝鮮自身の身を削る「壮大な浪費」になるだけである。

 金正恩氏の下では「明日」が見えず、人民は金王朝3代にわたる窮乏生活を強いられているが、それももはや限界に近づきつつあるのではないか。いよいよ追い込まれた感が否めない。

 ●ミサイルも発射せず:「クリスマスプレゼント」は反故に

 昨年末、金正恩氏は米国に「経済制裁の緩和をしてほしい。12月末がその限度だ」と一方的に期限を示し、その結果次第では米国に「クリスマスプレゼント」を贈ると予告していた。

 「クリスマスプレゼント」は弾道ミサイル発射である可能性が取り沙汰されていた。

 一方のトランプ氏は「ミサイルではなく花瓶かもしれない」と冗談を飛ばす余裕を見せた。メディアなどは、「この年末がまずは一つの大きな山場」と報じていた。

 結果は、金正恩氏は何もできなかった。

 やはり米国が怖いのだ。米国との貿易戦争を「休戦」したい中国から「余計なことをするな」とたしなめられた可能性もある。

 金正恩氏の狂ったような核ミサイル開発の加速は、米国の関心を惹き、安全保障をより確実なものにする意味では正しいだろうが、それによる「壮大な浪費」は、確実に人民を飢えさせ、「人民からの反感」を募らせる効果を持つことを無視している感がある。

 ●金正恩氏の「新年の辞」なし

 金正恩氏は2013年に政権が発足して以来、毎年発表してきた新年の辞を今年はやめた。これは異例である。

 その理由として昨年末の党中央委総会で7時間にも及ぶ長広舌がそれに代わるからだと言われている。本当にそうだろうか。金正恩氏の健康悪化や体制の不安定化などの疑惑も浮上する。

 いずれにせよ、前項でも指摘したように、北朝鮮は米国の制裁などで追い込まれ、新年の辞で新たなビジョンを打ち出すことができないのは事実であろう。

 金正恩氏が「新年の辞」をやめた事実は、彼の「元首」として指導が破綻したことを疑わせるものである。

 ●金正恩の健康を蝕むストレス

 昨年末、挑発を繰り返す北朝鮮に対して、在韓米軍は韓国軍と共同で特殊部隊により北朝鮮首脳部を攻撃し幹部を捕獲するといういわゆる「斬首作戦」の訓練映像を初めて公開した。

 また、1月3日には、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官がイラク・バグダッドで米軍のドローンから発射されたミサイルによって暗殺された。

 これは、型破りのトランプ氏が破天荒な決断をするという印象を改めて金正恩氏に示したことになる。

 本件は、トランプ氏の破天荒な決断のみならず、米国・米軍の情報能力がターゲットとなる要人をピンポイントで時々刻々フォローできることを内外に見せつけた。

 これに対して金正恩氏は、「新年の公式活動」と称して平安南道にある肥料工場建設現場を訪問・指導する様子を1月7日付の朝鮮中央通信で報道させた。

 金正恩氏は「強がり」を示したかったのだろう。だが、現実には自分が常に米軍に付け狙われていることを強く再認識し、恐怖感を募らせたであろう。

 金正恩氏は、夢の中で厳寒の平壌を、枕を抱えてドローンの追跡から逃げ惑う夢を見ているのかもしれない。

 独裁者の金正恩氏は、それでなくともストレスが多いのに、暗殺の恐怖はそれを倍加させることになろう。

 体重が130キロの金正恩氏は、肥満や糖尿病などの生活習慣病があると見られ、ストレスの増加は病状を確実に悪化させよう。

 ●人事の刷新:軍出身の李善権氏の外相就任

 朝鮮中央通信は1月24日、外務省が開催した旧暦の新年の宴会で、軍出身の李善権新外相が演説したと報じ、外相交代を確認した。


 李氏は核問題や米国との交渉に携わった経験がないため、李氏の外相任命は北朝鮮事情に詳しい専門家には意外感を持って受け止められた。

 米国務省のスティルウェル次官補(東アジア・太平洋担当)は李氏の外相就任について「変化があった。このこと自体が何かが起きたことを物語っている」と述べた。

 また、人民武力相(国防相に相当)に金正寛陸軍大将が任命されたことが1月22日に確認された。金正寛大将は、人民武力省副相兼中将からの格上げである。

 これら軍と外交のトップの交代(更迭)がいかなる意味があるのかは不明であるが、北朝鮮内部で何らかの異変が起こっているのかもしれない。

 ちなみに、李氏は対韓国政策分野の実力者の一人で、南北軍事実務会談の代表も務めた。

 2018年、南北首脳会談に合わせて平壌を訪れた韓国企業のトップらに「よく冷麺がのどを通るなあ」ときつい皮肉を言ったことが明らかになり、物議を醸した。

■ 新型コロナウイルスが及ぼす影響

 北朝鮮で上記のような異変がみられる中、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大は北朝鮮にいかかる影響を及ぼすであろうか。

 ●中国の新型コロナウイルスの感染拡大は冷戦崩壊直後の悪夢と同じ

 中国が今次新感染症の拡大で大きなダメージを受け、一時的にせよ弱体化する事態は、北朝鮮の後ろ盾だったソ連が崩壊(1991年末)した事態に似ている。

 北朝鮮はその混乱の最中に金日成が死亡(1994年)し、若い金正日が待ったなしで政権継承することになった。

 このため、北朝鮮は体制崩壊の危機に瀕した。金正日が政権継直後の1995年から98年にかけて飢饉のために約300万人が餓死した。

 今次新感染症のダメージで、北朝鮮の唯一の後ろ盾である中国が弱体化すれば、そのダメージの程度にもよるが、北朝鮮はソ連崩壊と似たような困難な状況に直面せざるを得ないだろう。

【私の論評】今年は新型肺炎で、文・習・金の運命が大きく変わる【2】(゚д゚)!

 北朝鮮は新型コロナウイルスの拡散を防ぐため中国やロシアとの国境を封鎖、海外との取引もほとんど絶たれており、国内経済への大きな打撃が懸念されています。経済発展を掲げる金正恩朝鮮労働党委員長にとって痛手は避けられない情勢です。

すでに近隣諸国との航空便や列車の運行を取りやめ、最近入国した外国人には数週間の強制検疫を実施、海外からの観光客受け入れも中止しており、国の閉鎖に拍車がかかっています。

北朝鮮ではこれまで新型コロナウイルスの感染は確認されていません。これは、同国が頼っている中国など経済的つながりが断絶され、あるいは極端に制限されていることも意味します。
今後北朝鮮の市場経済だけでなく、国の経済全体に大きな影響が及ぶでしょう。北朝鮮は国産を推奨していますが、菓子であれ衣服であれ原料は中国から輸入しています。
北朝鮮の経済的リスクの度合いは、閉鎖の長さにかかっていとみられます。数か月あるいはそれ以上になれば、相当な悪影響を与えることは確かです。

最近の韓国の貿易協会のリポートによると、2001年には17.3%だった北朝鮮の対外貿易に占める中国の割合は、去年91.8%に達しました。数千人の中国人観光客も大きな経済効果をもたらしています。

米国との非核化交渉が暗礁に乗り上げるなか、今回の新型ウイルス危機で北朝鮮の立場が弱まることも考えられます。

経済的苦境を埋め合わせるため、北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射や核実験など挑発行為に出る可能性もあります。コロナウイルス問題がすぐに解決されなければ、北朝鮮の状況は今年一層厳しくなるでしょう。

新型肺炎による混乱が重なれば、国民の意識にどのような変化が生じるかわからないです。北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は1月29日、新型肺炎への対策は「国家存亡に関わる重大な政治的問題」であるとする記事を掲載しましたが、この表現は決してオーバーなものではといえます。


韓国も、コロナウイルス対策はそれなりには行っているようですが、このブログでも述べているように、文在寅政権は金融緩和することなく、最低賃金だけをあげるという、日本でいえば立憲民主党の枝野氏の主張するような、最初から見込みのない経済政策を実行して、予想通りに雇用が激減しています。

この状況でコロナウィルスの悪影響を受ければ、今年の大統領選挙では敗北する可能性も十分あります。

トランプ米大統領は4日の一般教書演説で、北朝鮮の核問題に言及しませんでした。トランプ氏が同演説で北朝鮮に触れないのは初めてです。11月の大統領選に向けた選挙活動が本格化する中、トランプ氏は打開の見通しの立たない北朝鮮との交渉には力を注がないのではないかという臆測を広げそうです。

トランプ氏は昨年2月の一般教書演説では、同月下旬にハノイで2回目の米朝首脳会談を開催すると発表。「金正恩(朝鮮労働党委員長)との関係は良好だ。朝鮮半島の平和に向け歴史的奮闘を続ける」と訴え、北朝鮮問題を優先課題に掲げました。

ところが、ハノイ会談は非核化の進め方をめぐり物別れに終わりました。正恩氏は昨年末、トランプ氏に中止を約束した核・ミサイル実験の再開を示唆して強硬路線に転じ
る姿勢もみえ、非核化協議再開のめどは立っていません。

トランプ氏は日本にも触れず、アジア政策では中国について、新型コロナウイルスによる肺炎をめぐる協力や、貿易交渉の成果に触れた程度でした。習近平国家主席を含む中国との関係は「恐らくこれまでで最も良い」と主張し、中国への厳しい姿勢は鳴りを潜めたようにもみえます。

ただし、中国に対して米国は「貿易交渉」において、このブログにも掲載したように米国は一方的な大勝利をしています。この交渉で米中には七つの合意事項がありましたが、一番最期の合意事項は、6つの合意事項について、米国が監視するというものです。

今年は年初から、コロナウィルスの中国での蔓延という特殊事情が米国との貿易交渉で一方的に大敗北した中国に追い打ちをかけています。トランプ政権としては、コロナウィルスによる、中国、北朝鮮、韓国などがどの程度影響を受けるのかを見極めつつ、大統領選機にもっとも有利な形になるよう、これらの国々の対応を決めていくことでしょう。

今年は文・習・金の運命が大きく変わる年になるかもしれない・・・・

いずれにせよ、先日もこのブログに掲載したように、今年は新型肺炎で、文・習・金の運命が大きく変わることでしょう。この三者が表舞台から姿を消すということも十分あり得ます。

【関連記事】

2020年2月4日火曜日

「新型肺炎」と「鳥インフルエンザ」、どっちが怖い?―【私の論評】この4月に日本を訪問する習近平は、失脚の可能性を自ら高めている(゚д゚)!



中国発の新型肺炎がどんどん広がっている。新型コロナウイルスによるものだといわれている。本書『知っておきたい感染症―― 21世紀型パンデミックに備える』 (ちくま新書)は近年たびたび世界を揺るがしている厄介な感染症について手際よくまとめた解説書だ。未然に防ぐために私たちは何をするべきなのか? 副題にもあるように、今後さらに強力な感染症が出現した場合、膨大な犠牲者が出て全世界が未曽有の大混乱に陥りかねないと警告している。

 著者の岡田晴恵さんは1963年生まれ。専門は、感染免疫学、公衆衛生学。ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所、国立感染症研究所研究員などを経て、本書刊行時の肩書は白鷗大学教育学部教授。『人類vs感染症』 (岩波ジュニア新書)など感染症関連では多数の著書がある。今回の新型肺炎に関してもメディアにしばしば登場している。
症状が重篤で致死率が高い

 エボラウイルス病、二つのタイプの鳥インフルエンザ、SARS、MERS、...本書は主にこれら新しいタイプの感染症を軸に、デング熱や破傷風・マダニ感染症などについて、それぞれ一章を設けて詳述している。いずれもこの20年ほどの間に世界や日本を震撼させた感染症だ。

 中でも著者が怖さを強調するのは「H5N1型鳥インフルエンザ」だ。これこそが人類史上最悪のパンデミックを引き起こす可能性があるという。

 すでに1997年、香港で発生して18人の感染者のうち6人が死亡した。香港政府は、人への感染源とされた家禽140万羽をわずか3日間で殺処分するなどして、人への感染を絶った。ただし、この火種となったウイルスはその後も中国南部の野鳥などに存在し続け、2003年以降も世界各地の鳥に飛び火して流行が続いているという。15年までに人の感染者844人、死者449人が報告されている。散発的に発生しているので、大きく報じられることは少ないが、鳥から人への感染が続いているということであり、不気味だ。

 このウイルス感染の最大の特徴は、症状が重篤で致死率が高いこと。通常の季節性インフルエンザとは性質が全く異なる。全身の臓器がやられる。もしも感染が拡大すると、各国の社会機能や経済活動が麻痺状態に陥り、地球規模の危機となる。そのため国際機関と各国の農業行政当局は、鳥における流行の制圧と新型インフルエンザの発生を阻止する行動を続けている。日本でもH5N1型鳥インフルエンザが発生するたびに、大量の家禽を処分するなどの緊急対応がとられてきた。つい最近も中国・湖南省の養鶏場で発生、すでに約1万7千羽を殺処分したことが報じられている。

 H5N1型でパンデミックが起きた場合、2億人前後の死者が推定されているという。

遺伝子の突然変異を起こしやすい

 鳥インフルエンザは、もともとは鳥を宿主とするので人には感染しにくい。ところがインフルエンザのウイルスは、遺伝子の突然変異で、その性質を変化させやすい性質を持つ。変異は一定の割合で起きる。鳥の間で感染が拡大すれば、ウイルスが増殖するから変異ウイルスも増える。「人型」のウイルスが出現することがあるのだ。そうなるともはや鳥型のウイルスではなくなり、人に感染する「新型インフルエンザウイルス」になる。人はこのウイルスに対する防御免疫機能を持っていないので、感染すると重症化しやすいというわけだ。

 インフルエンザウイルスには多数の種類がある。たいがいは「弱毒型」。ところが、その中で「H5亜型」「H7亜型」は「強毒型」に変化する可能性がある。したがって「H5亜型」「H7亜型」の鳥インフルエンザが見つかった場合は、その段階では弱毒型でも、強毒型に変化する可能性があるので厳しい措置が取られることになる。

 強毒型に感染した家禽は1日か2日で100%死ぬ。しかし不思議なことに、水禽類(カモ、アヒル、ガン、ハクチョウなど)の多くは感染してもほとんど症状が出ないのだという。その理由はわかっていないそうだ。

 本書では、もう一つのタイプの怖い鳥インフルエンザ「H7N9型」についても一章設けて詳述している。

 ウイルス変異の仕組みはなかなか難しい。本書で詳しく説明されているが、先日、BOOKウォッチで紹介した『猛威をふるう「ウイルス・感染症」にどう立ち向かうのか』(ミネルヴァ書房)はカラー図解入りなのでわかりやすい。

「クラミジアによる肺炎」と発表

 新型肺炎との関連では、「SARS」が再び注目されている。ともにコロナウイルスとされ、中国が震源地。SARS は2002年11月から03年6月までに32か国で感染者8098人、死者774人の被害が出た。原因とされるSARSコロナウイルスは21世紀になって最初に流行した新型ウイルスだった。

 発生後、中国当局の対応は鈍かった。03年2月中旬になって、ようやく広東省における「非定型性肺炎」の流行を認め、病原体は「クラミジア」と発表した。

 しかし、香港では早くから「新型インフルエンザ」ではないかと心配の声が出ていた。ベトナムや台湾、シンガポールなど各地で類似の患者が見つかったこともあり、WHOが調査団を中国に派遣、3月中旬に「SARS」(重症急性呼吸器症候群)と命名、4月になって病原体は新たなコロナウイルスだということが特定された。新型インフルエンザではなかった。

 不思議だったのは、中国滞在経験がない人も感染していたことだった。のちにその理由がわかる。感染者の共通項をたぐると、いずれも同時期に香港の同じホテルの9階の部屋に滞在していたのだ。その後の調べで、当時この9階に、中国で問題の肺炎治療にあたっていた広州の医師が宿泊していたことが判明する。激しくせき込み、高熱を出していた。この医師はその後SARSと診断され死亡している。

 中国政府が情報を隠蔽したとか、後手に回ったともいわれるが、「新型」ゆえにWHOをはじめ、各国の専門家らも戸惑ったようだ。

 SARSウイルスは中国南部のコウモリが元々の宿主。それが何かの拍子に中間宿主を経て、人に侵入したとみられている。そして、重症肺炎を引き起こす新興感染症になった。その後の研究では、サル、ネズミ、ネコ、ハクビシンなどはSARSコロナウイルスの感染を受けてもほとんど発病しないことがわかった。さらに中国南部で野生動物を扱う人たちについて調べたところ、約20%がSARSもしくは類似ウイルスの抗体を持っており、彼らも発病しないか、軽傷ですんでいたという。不思議なウイルスだ。

韓国でも被害

 その後に発生した類似の感染症にMERSがある。2012年にサウジアラビアで第一例が見つかり、16年1月までに感染者1626人、死者が少なくとも586人。ウイルスの名称はMERSコロナウイルス。韓国での感染者186人、死者38人が目立った。最初の患者に、サウジアラビア滞在歴があった。

 MERSコロナウイルスは、ヒトコブラクダが人に伝播させたとみられている。ラクダ飼育者は、このウイルスの抗体を持つ率が高く、軽症で推移する場合が多いらしい。かつて中東の人は幼少のころからラクダと共生していたが、都市化が進み、ラクダと接しない人が増えたこととの関連が想定されている。

 動物はそれぞれ特有のコロナウイルスを持つ。人間の場合も、普通の風邪の5%は人のコロナウイルスによるものだという。通常、コロナウイルスは動物の種の壁を越えて感染することはほとんどないが、ウイルスの突然変異によって、種を越えるようになる。今回の新型肺炎の詳細は不明だが、似た経路をたどったのだろうか。

 近年の新種の感染症流行の背景には、交通網の発達や急激な都市化の影響があるとされる。エボラウイルス病はアフリカのごく一部の地域の風土病だったが、僻村と都市との交流が進んだことから疫病が都市部に波及、世界に拡散した。

 かつてインディアンやアイヌが、「文明社会」と接したことで、未知の病気を持ち込まれ苦しんだことはよく知られている。BOOKウォッチで紹介した『鎖塚――自由民権と囚人労働の記録』(岩波現代文庫)によると、明治政府は北海道の開拓で、樺太アイヌ人を動員しようとしたが、コレラや天然痘で大量の病死者が出たことなどから無理と判断、囚人に切り替えたそうだ。

 SARSやMERS、エボラ出血熱はその逆の話のような気もする。これからも「文明社会」が未知のウイルスと遭遇し、混乱に陥る可能性が大いにありそうだ。地震や噴火などの天変地異、核管理、温暖化などと並んで、感染症に対しても備えが必要だと痛感する。すでに医療や畜産関係者の間では周知のことと思われるが、政治家や行政一般、マスコミ関係者も日ごろから知識を深めておくべきだろう。本書はその一助となる良書だ。

【私の論評】この4月に日本を訪問する習近平は、失脚の可能性を自ら高めている(゚д゚)!


中国農業農村部(日本の農林水産省に相当)は2月1日、湖南省邵陽市の養鶏場で、ニワトリがH5N1型の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認されたと発表。この養鶏場には7850羽のニワトリが飼育されていましたが、そのうち4500羽がウイルスに感染して死亡したといいます。同省は「地元当局が感染の確認を受けて、予防的に1万7828羽を殺処分するなど、感染が広がらないよう処理をした」ことを明らかにしました。

冒頭の記事では、「H5N1型鳥インフルエンザ」こそが人類史上最悪のパンデミックを引き起こす可能性があるとしています。「H5N1型鳥インフルエンザ」のほうが、危機なようです。

米国疾病管理予防センターによると、鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染した例は2003年から19年の16年間で、世界中で計861例が報告されています。その原因となっているのは、養鶏場などで働いていて、感染したニワトリと密接に接触したためであることがほとんどです。致死率は50%以上と極めて高く、感染した861人のうち、455人が死亡。中国だけでは過去16年間に53件の鳥インフルエンザ感染が報告されており、31人が亡くなっているといいます。

これに対して、2002年から03年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合、感染による致死率は約10%。武漢が発生源の新型コロナウイルス感染の場合は約2%となっており、これらに比べるとH5N1型の鳥インフルエンザウイルスによる人間への毒性は極めて強力なことがわかります。

同センターは「ヒトからヒトへの感染はほとんど報告されていない」としていますが、中国では一緒に生活していた「きょうだい」や「親子」間での感染が原因で死亡したケースも報告されており、鳥インフルエンザが今回の新型コロナウイルスのようなヒトからヒトへの感染がまったくのゼロとはいえないようです。

新型コロナウイルスの場合も、中国政府は発生当初には「ヒト・ヒト感染はない」と報告していましたが、感染者の死亡例が増えるにつれて、前言を撤回しています。人間の体内に入ったウイルスが突然変異して、ウイルスの感染力が強くなった可能性も考えられます。

鳥インフルエンザ流行の兆しが見えたことで、中国への国際的な警戒感は強まりこそすれ、弱まることはないです。SARSの場合、02年秋に発生が確認され、感染の終結宣言が出されたのは03年7月でした。このため、SARSのコロナウイルスは暑さに弱いとの見方が強いですが、新型コロナウイルスがSARSと同じ性質かどうかは現段階では不明。これから半年間は油断できません。

新たな鳥インフルエンザの流行で、国際社会の対中警戒感は一層強まることは確実なので、習近平国家主席を最高指導者とする中国共産党政権は、その存立をかけて、年初から大きな危機を迎えているのは間違いないです。

現在、中国で新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大しています。中国動物疫病予防管理センターは、今回の鳥インフルエンザの発生は、中国の公衆衛生資源の負担をさらに増大させると指摘しています。

新型コロナウィルスの肺炎拡大は、もうすでに起こってしまったことなので、起こったもに対する対処しかないわけです。これは、中国をはじめ感染者が出た国々で最大限の努力で封じ込めていただき、なるべくはやく終息させていただきたいものです。

そうして、「H5N1型鳥インフルエンザ」に関しては、中国が全力で人への感染を防いでいただきたいものです。新型肺炎に加えて、「H5N1型鳥インフルエンザ」が人に感染して、蔓延してしまえば、中国はとんでもないことになりそうです。

このような時期に習近平氏らが日本を訪問をしているときに、中国内で政変が起こり、習近平氏を失脚させ、新たな政権を樹立ということも十分起こりえます。

楊潔チ氏

中国の外交担当トップである楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)中国共産党政治局員が、今月下旬に来日する方向で日中両政府が調整していることが分かりました。

北村滋国家安全保障局長と会談し、4月上旬に予定する習近平国家主席の国賓来日に向け詰めの調整を行います。ただ、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスに対処するため、習氏が来日を見送る可能性も指摘されています。楊氏の来日は、政府がこだわってきた春の国賓来日の有無を左右する重要なポイントになりそうです。

「影響があるとは聞いていない。予定通り準備を粛々と進めていきたい」

菅義偉官房長官は4日の記者会見で、現時点では新型肺炎の問題が習氏来日に向けた調整に影響を与えていないと強調しました。

ただ、習指導部にとって目下の最重要課題は国内での感染の封じ込めです。習氏は当面対応に追われ、とても外遊に出る余裕はないのではないはずです。中国側はメンツがあるので、今の時点では『訪日計画に影響しない』と言わざるを得ないでしょうが、直前でのキャンセルは十分あり得ると思います。

習氏の来日について、政府関係者は「楊氏が来たときの状況次第だ」と慎重な見方も示しています。本来は習氏の露払い役として来日する楊氏がどう対応するのか注目されるところです。

このような時期に、来日すれば、先にも述べたように、中国の反習近平派は、この機会を逃さず、真っ先に人民開放軍を掌握して、新政府樹立に走るかもしれません。今頃、反習近平派は鵜の目鷹の目(ウノメタカノメ)で、習近平の来日日程等を探って、クーデター計画などを練っているかもしれません。



実際中国には、クーデターの噂もありました。習近平が来日中に、クーデターが起こるか、来日から帰国した途端反逆者として逮捕されることも考えられます。そこまで行かなくても、習近平が帰国してから間もなく、政変が起こるということも十分考えられます。

何しろ、これだけ酷い伝染病の蔓延しているさなかに、苦しんでいる人民を尻目に、日本で国賓待遇を受けるといういうのですから、多くの人民の怒りは頂点に達することでしょう。場合によって、人民の憤怒のマグマが、習近平だけではなく、日本に向かって大爆発する可能性もあります。

ただでさえ、中国ではこのブログで以前掲載したように、毎年暴動が10万件も起こっており、それこそ、中国人民や本来外国であるはずの自治区等の人々の憤怒のマグマがいつ大爆発してもおかしくは無い状況です。それが、今回の新型肺炎騒ぎで、さらに頂点に達しています。反習近平派は、当然このような状況も利用するでしょう。

そのような状況にもかかわらず、習近平が日本を訪問するのは、自ら失脚する確率を高めているようなものです。楊氏訪問で、来日時期を延期するのが正常な判断だと思います。

ただし、中国は、香港や台湾に対してかなり強力な工作を行ったにも関わらず、香港の選挙で負け、その後台湾の選挙でも負け、新型肺炎では、当初の対処方法を間違い、国内で蔓延するだけではなく、海外にも患者を発生させてしまうような不手際を繰り返しています。

これは、当然のことながら、習近平の自身の大きな読み違いという側面もあると思います。そうして、習近平の取り巻きは、独裁政権にありがちな、とにかく現実を見るのではなく、上をみて仕事をして、おべっかばかり使っていて、現実が見えなくなっているかもしれません。であれば、習近平は裸の王様で、やはり予定通り来日して、あつさり失脚という道を自ら選んでしまうのかもしれません。今後の趨勢を見守っていきたいと思います。

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2020年2月3日月曜日

新型肺炎、中国の“衝撃”惨状 感染者「27万人以上」予測も…習政権は“隠蔽”に奔走、「国賓」来日に潜む危険 ―【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

中国発「新型肺炎」

習近平(左)と李克強(右)のコンビを信用できるのか

中国本土で、新型コロナウイルスによる肺炎が「パンデミック(感染爆発)」状態となっている。一日あたりの感染者増加は2000人以上。中国当局は「春節(旧正月)」の大型連休が明けた3日、さらなる感染拡大を防ぐため厳戒態勢を敷いている。こうしたなか、フィリピンで2日、新型肺炎で中国人男性が死亡したと発表された。世界保健機関(WHO)によると中国国外での死者は初めて。地球規模の混乱が続くなか、今年4月、天皇、皇后両陛下が接遇される「国賓」として、中国の習近平国家主席を迎えられるのか? 中国事情に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏が、大手メディアが伝えない「衝撃の裏情報」に迫る緊急寄稿第2弾-。


 「2月4日には、新型ウイルスが発生した湖北省武漢市で13万人から27万人以上の感染者が予測される。ほかに最大規模の感染者が予想される中国の都市は、上海、北京、広州、重慶、成都だ」

 「飛行機での移動を通じて感染拡大の危険性が高い国や特別行政区は、タイと日本、台湾、香港、韓国である」

 これは、英国ランカスター大学と、同グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国フロリダ大学の感染症生物学者の専門家が1月23日、今後の14日間の新型肺炎の流行予測として発表した内容である。

 武漢市からのチャーター機3機で日本に帰国した計565人の中に、感染者は8人いた。感染割合は1・5%弱となる。武漢市の人口は約1100万人なので、16万人以上が感染してもおかしくはない。

 しかも、中国政府が隠蔽に奔走していた間に、北京や上海はじめ中国全土にウイルスが拡散してしまった。英BBCは先月31日、「チベットでも感染者が確認されたことは、中国すべての地域にウイルスが到達したことを意味する」と報じた。

中国メディアによると、3日朝時点で、中国全土の死者は360人、感染者は1万6000人超という。感染拡大が加速するなか、習近平政権は「情報統制」にますます力を注いでいるように感じる。

 新華網によると、中国の巨大メッセージアプリ「WeChat(微信)」のセキュリティーセンターは先月25日、「新型肺炎に関する噂の特別管理公告」を発表した。「SNSでの伝達、伝聞の類の噂話は社会秩序を著しく乱すため、3年以下の懲役、拘束または管理対象とする。重大な結果を招く者は、3~7年以下の懲役に処せられる」という。

 さらに、李克強首相(中国共産党序列2位)をトップ(組長)とする、「アウトブレーク(集団発生)を防ぎ制御する領導小組(疫情防控領導小組)」が立ち上がった。宣伝担当の王滬寧・政治局常務委員(同5位)を副組長に、中央宣伝部部長、公安部部長など党幹部がメンバー入りした。

 これに対し、中国国内では「医師や学者など専門家がいない!」「人民の命は後回しか」「目的は人民の怒りの封じ込めと、情報漏洩(ろうえい)を防ぐことだ」との揶揄(やゆ)が飛んでいる。また、「これまで、複数の組長になってきた習主席が、責任を李首相に押し付けようとしている」との皮肉も聞こえる。

 混乱をよそに、中国各地からは「意を決した」人民によるさまざまな情報や写真、映像が拡散され続けている。

 武漢の協和病院では、1人の肺炎患者を治療したところ、14人の医療従事者が同時に感染したという。また、上海では先月末までに、市内201カ所の公園が閉鎖された。上海で最も有名な繁華街「南京路」が“無人状態”となっている写真も流出している。

 また、北京大学呼吸器科の主任医師が、中国中央電視台(CCTV)で「(新型肺炎の流行は)制御可能」「医師と看護師など医療現場での感染者はない」と語り、党幹部らと武漢市を訪れた後、自身の感染が発覚して隔離された、という話もある。「北京の病院は国家安全部(=情報機関)に管理され始めている」との情報もある。

 ロイター通信は、封鎖されて7日目の武漢市の様子を航空写真で公開した。中国メディアの一部は「死城(死んだ街)」と表現した。

 ■習主席「国賓」来日の危険度

 また、中国内外からは、「武漢市の海鮮市場からウイルス感染が広がったのではなく、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、エボラ出血熱といった危険な病原体を研究するために指定された中国唯一の研究室『武漢P4研究室』から生物化学兵器が漏れた」という説とともに、犯人捜しがヒートアップしている。

 情報が錯綜(さくそう)するなかで流れる「習政権は、昨秋から戦争の準備をしていた」とか、「9月には、すでに新型コロナウイルスが存在していた」という話も、フェイクとは言い切れなくなった。

 なぜなら、武漢天河国際空港の税関で「コロナウイルスの感染が1例検出された」という想定での緊急訓練活動が昨年9月18日に実施されたことを、湖北省の官製メディアが報じているからだ。

 さて、問題は日本だ。

 日中両政府は現在、習主席の4月上旬の「国賓」来日で調整している。実現すれば、習主席は中国から大勢の同行者とともに来日するが、その中に「自覚なき感染者」が含まれていないともかぎらない。

 国賓の場合、天皇、皇后両陛下による歓迎行事や会見、宮中晩さん会などが催される。両陛下や皇族の方々が、新型肺炎に感染しないと誰が保証できるのか。

 情報の「開示」どころか「隠蔽」に走る習政権のメンツを立てることが最優先事項なのか? 永田町が「国民の安全」と「国体の護持」について真剣に考えているとは到底思えない。

【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

上の記事にもある、新型コロナウィルスがHIVからデザインされた生物兵器というのはインドの研究チームの早とちりのようです。新型の遺伝子はSARSなどと96%一致。HIVと同じとされている部分は他の生物にもたくさん存在する配列のようです。そもそも、新型コロナウィルスには、遺伝子編集された痕跡がないとのことで、生物兵器説はないと見て良いでしょう。

それに、生物兵器であれば、ウィルスの蔓延を防いだり、治療方法も開発してあるでしょうから、発症・感染の初期にはやめに対策を打てたはずですから、現状をみていると、そのようなことはないようなので、こちらの観点からも、やはり生物兵器説はあり得ないと断じて良いでしょう。この点以外は、冒頭の記事の内容は、概ね信憑性があるものと思います。



ところで、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で3日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。2日にも確認しており、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは2日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

中国は新型肺炎で、大変なはずですが、そのような大変な時にもかかわらず、今年に入ってから皆勤賞です。1日も欠かさず「毎日」来ています。今日で28日連続です。

自民党幹事長二階氏が「親戚の人が病になったとという思い」とマスク100万枚送った国からの仕打ちがこれです。馬鹿馬鹿しくてもはや腹も立たないです。政治家の言葉はまさに政治的駆け引きの道具ですから、時には歯の浮くお世辞も必要ですが、時機もわからないご老体には無理な話だったようです。二階幹事長の勇退と習近平主席の国賓招聘中止をあわせて求めたいです。


そうして、中国外務省は1日、春に予定する習近平国家主席の国賓訪日に向けた準備を日本側と継続する考えを示し、新型肺炎の拡大やそれを受けた日本側の渡航制限などの対応は訪日計画に影響しないとの見解を示しました。
日本側と密接に連絡を取り合っていると強調。「重要な外交議題と日程を順調に進める」ため、日本側と努力を続けるとしました。
日本政府は中国湖北省から新型肺炎が拡大したことを受け、14日以内に湖北省に滞在歴がある外国人の入国拒否を開始。同省を除く中国全土の感染症危険情報を「不要不急の渡航の自粛」を求めるレベル2に引き上げました。
コロナウイルスを蔓延する最中に、中国ではH5N1鳥インフルエンザが同時に爆発的広げてます。ウイルスが高伝染性と発表されています。

このような状況では、本来ならば、中国側から訪問の延期などを打診するのが普通だと思います。逆の立場になったと考えれば、すぐにわかります。安倍総理が4月に中国訪問を予定していて、日本で大規模な伝染病が発生した場合、普通は日本側から延期を申しでるなどのことをするはずです。

これは、日本に限らず、他の先進国が同じ陽な立場にたった場合、同じようなことをするでしょう。少なくも現時点では様子見ということになるでしょう。

それだけ、習近平とその取り巻きには、世間一般常識がないということだと思います。まさに日本に対する無礼の極みです。国内で、自分たちの思い通りにゴリ押しをしてきたので、外国にまでそれが効くと勘違いしている大馬鹿共の集まりです。

非常識な習近平は中国内でもかなり浮いた存在になっているようです。このままだと、習近平国賓招待される前に、習近平が失脚する可能性が高くなりました。

共産党内部ではコロナウイルスのトラブルに習近平の無能を責めたてられるでしょう。もし安倍首相が習近平招待を盛大にアピールする最中に習近平が失脚したとしたら、チャイナマネーに理性を失った愚かな日本として、世界の物笑いの種になるでしょう。

ところで、安倍総理は国会で新型コロナウイルスの感染拡大を受け台湾のWHO参加の必要性を強調しました。政治的な立場で排除しては、地域全体を含めた健康維持、感染の防止は難しいとさらっと爆弾発言をしました。

   安倍首相は30日、新型コロナウイルスの感染例が増加し
   ていることを受けて、台湾のWHO加盟を支持した

これは、明らかに中共を念頭に置いており、安倍総理個人としては習近平の国賓招待に積極的ではないとのほのめかしとも受け取れる発言です。呼びたい真犯人は、やはり二階幹事長でしょうか。安倍総理としては、党内政治力学で、二階氏を無下に突き放すということもできないのでしょう。

日本の親中政治家にも、そろそろ目覚めていただきたいものです。米国ではもはや、政治的には、親中派の居場所はなくなりました。なぜそうなるのか、日本の親中政治家も勉強すべきです。そうでないと、彼らの居場所が日本でもなくなるでしょう。

しかし、そんなことは今では子供でも理解できることだと思います。国内外で、非道の限りをつくし、反対するものは、暴力で弾圧し、WTOやWHOなどのような国際組織においても札束にものをいわせ、我が物がを振る舞い、他国の領土にも平気で侵略して我が物にし、挙げ句の果てに世界唯一の超大国である米国の怒りを買い、米国は中国が体制を変えるか、経済的に無意味な存在になるまで、対中冷戦を継続することでしょう。

これは、どう考えても、現在の中国の体制には、将来はないと見るのが、当たり前でしょう。それでも、中国、中国というのは、すでに妄想の中に入り込んでしまっているのかもしれません。

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新型肺炎は、中国共産党支配の「終わりの始まり」かもしれない―【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

2020年2月1日土曜日

新型肺炎は、中国共産党支配の「終わりの始まり」かもしれない―【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

チェルノブイリとソ連崩壊に似ている

「武漢封鎖」と「チェルノブイリ」の類似性

感染が拡大している新型肺炎は、中国の政治指導体制に重大な影響を与えるのではないか。チェルノブイリ原発事故が旧ソ連崩壊のきっかけを作ったように、新型肺炎は中国共産党支配の「終わりの始まり」になる可能性もある。

中国当局は武漢における初動の情報隠蔽を内外で批判されたために、連日、記者会見を開いて、感染者と死者の数を公表している。それでも、まだ実態には程遠いはずだ。病院に来た患者を収容しきれず、自宅に追い返しているのだから、正しい数字を把握できるわけがない。

感染者数について、当初は米欧の研究チームが公表したように「最大で35万人以上になる」という推計もあった。ただし、1月27日時点での改訂版推計では、具体的な数字が削除された(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.01.23.20018549v2.full.pdf+html)。状況が流動的で、信頼できる推計値を出せないのかもしれない。

いずれにせよ、感染者数も死者数も増加の一途を辿っており、いつピークを打つのか、現時点では見通せない。日本でも、武漢からの帰国者の中に感染者がいた。数人の感染者で大騒ぎなのだから、武漢では事態の沈静化どころではないはずだ。

武漢市内に突貫工事で建設されている病院

マスクに防護服姿の当局者たちが武漢駅を封鎖した光景を見て、私は、1986年4月26日にソ連で起きたチェルノブイリ原発事故を思い出した。防護服だけでなく、当局による情報隠蔽と慌てぶりがそっくりだったからだ。

事故がもたらした「共産党崩壊」

チェルノブイリ事故も発生直後、現場の当局者によって事実が隠蔽された。世界が事故を知ったのは、事故発生から2日後である。スウェーデンの原発で働いていた作業員のアラームが鳴り響き、靴から高い放射線量が検出されたのがきっかけだった。

付着していた放射性物質を調べたところ、汚染の発生源は自分たちの原発ではないと分かり、方角からソ連の原発を疑った。スウェーデン政府が問い合わせて、初めてソ連が事故発生を認めたのである。当時の様子を、ソ連共産党書記長だったゴルバチョフ氏は回想録で、次のように記している。
事故の第一報がモスクワに入ったのは、26日早朝だった。……直ちに政府委員会を事故現場に派遣することが決定された。……27日に委員会からの情報が入り始めた。……28日にルイシコフが委員会の活動に関する最初の成果を政治局に報告した。……意図的に隠したという告発に対して、私は断固否認する。単に我々は当時、まだそれを知らなかっただけだ。 
事故の直後に政治局会議で行ったアカデミー会員の……発言が今でも忘れられない。……「恐ろしいことは何も怒っていない。こんなことは工業用原子炉にはよくあることです。ウォトカを1、2杯飲み、ザクースカ(注・ロシアの前菜)をつまんで一眠りすれば、それで終わりですよ」(『ゴルバチョフ回想録』上巻、1996年、新潮社、以下同じ)
ゴルバチョフ氏は「自分たちは知らなかった」と言い訳をしているが、一方で、自分たちも「アカデミー会員に騙されていた」と認めている。つまり、ソ連が世界に事故を隠した事実は変わらない。そのうえで、次のように関係者を断罪し、事故を総括している。
極度に否定的な形をとって現れたのが、所轄官庁の縄張り主義と科学の独占主義にしめつけられた原子力部門の閉鎖性と秘密性だった。……私は1986年7月3日の政治局会議で言った。「……全システムを支配していたのは、ごますり、へつらい、セクト主義と異分子への圧迫、見せびらかし、指導者を取り巻く個人的、派閥的関係の精神です」 
事故は、我が国の技術が老朽化してしまったばかりか、従来のシステムがその可能性を使い果たしてしまったことをまざまざと見せつける恐ろしい証明であった。……それは途方もない重さで我々が始めた改革にはねかえり、文字通り国を軌道からはじき出してしまったのである。
ゴルバチョフ氏は事故の教訓を深刻に受け止めて、グラスノスチと呼ばれた情報公開を武器にして、急進的なペレストロイカ(改革)に乗り出した。それは部分的に成功したが、最終的に共産党体制の崩壊とソ連という国家の解体をもたらす結果になった。

あまりにお粗末な中国の役人たち

ゴルバチョフ氏が指摘した「役所の閉鎖性や秘密主義、官僚のごますり、へつらい」など は、いまの中国共産党にそのまま当てはまる。

読売新聞によれば、武漢市の病院は「許可を得ずに、公共の場で感染状況を語ったり、メディアの取材を受けてはならない」と医師たちに指示していた(https://www.yomiuri.co.jp/world/20200125-OYT1T50233/)。武漢市長は1月26日に開いた会見で、情報提供の遅れを認めたうえで「上層部の許可を得なければ、情報を公表できなかった」と釈明している。

このときの会見で、湖北省の省長がマスクを着用していなかったり、武漢市長がマスクの裏表を逆にしていたり、マスクの生産量を億単位と万単位で間違えたりした。はては、会見後につぶやいた「オレの回答は良かったでしょ」という言葉が動画に流れて、中国のネットで「無能の証明」などと大荒れになった。

お粗末な対応を見る限り、中国の当局者たちは、ソ連と同じように、上司のご機嫌伺いを最優先にしただけでなく、そもそも行政能力が話にならないほど低レベルなのがうかがえる。共産主義の独裁体制が何十年も続くと、どの国もこうなる、という証明だろう。

新型肺炎は原発事故より厄介な面もある。原発近くで放射能を浴びれば、健康に障害が出るのは確実だが、新型肺炎は自分が感染しているのかどうか判然とせず、感染していたとしても、必ず死に至るとは限らない。それだけ人々の不安は一層、高まるのだ。

ソ連崩壊は「5年後」だったが…

被害拡大の様相も異なる。放射能汚染は風に乗って、時間とともに拡大したが、新型肺炎のウイルスは人間が媒体になって、中国と世界の各地に散らばっていった。武漢市長は街が封鎖される前に500万人が街を出た、と明らかにした。

そうであれば、今後、上海や北京など大都市が「第2、第3の武漢」になる可能性が高い。潜伏期間を考えると、今週から来週にかけてがヤマ場ではないか。上海や北京が汚染されれば、混乱は武漢の比ではないだろう。今度こそ、中央政府による徹底的な情報隠蔽が始まる可能性もある。いや、もう始まっているかもしれない。

新型肺炎で中国経済が打撃を受けるのは明白だが、それは政治体制への打撃にもなる。感染対応のお粗末さに加えて、失業と倒産が増え、政府に対する人々の怒りが増幅する。米国と合意したばかりの「2年間で2000億ドル」の輸入拡大策もどうなるか。内需が劇的に落ち込めば、輸入拡大どころではない。

反政府勢力によるバイオテロが起きる可能性もある。テロリストから見れば、新型肺炎の蔓延は、ウイルスを使ったバイオテロを実行する絶好の機会になる。ウイルスをばらまいても、意図的なテロか自然の感染拡大か、政府には直ちに見分けがつかないからだ。

チェルノブイリ原発事故がソ連の崩壊を招いたのは、究極的には、人々がソ連共産党を信頼しなくなったからだった。ゴルバチョフ氏が書いたように、事故は「国を軌道からはじき出してしまった」のである。新型肺炎も、中国共産党に対する信頼を傷つけているに違いない。

ソ連が国ごと崩壊したのは、原発事故から5年後だった。中国は、どうなるのだろうか。

【私の論評】全体主義国家が強大になっても、様々な異変でそのほころびを露呈し結局滅ぶ(゚д゚)!

さて、上の長谷川幸洋氏の記事では、チェルノブイリ原発事故が起きてから、5年後にソ連が崩壊したことを例として、中国も新型肺炎の蔓延が起きたことで、かつてのソ連と同じように崩壊する可能性を示唆しています。

チェルノブイリ原発事故

この説には信憑性があります。中国、ソ連そうして、かつてのナチスドイツのような全体主義の国家は長い間にはほころびが見えるようになります。そのほころびが崩壊前に目立つようになるということだと思います。

ナチス・ドイツの場合も、崩壊する前に、ヒンデンブルク号の悲劇という大惨事がありました。この大惨事があったのは、1937年でした。1945年にナチス・ドイツは崩壊しています。この大惨事が発生してから、8年後のことです。ナチス・ドイツはその後ヨーロッパ各地に侵攻していきましたが、その過程で様々なほころびを見せました。

炎上するヒンデンブルク号

このほかにも、全体主義国が経済的に発展して、世界的にも認知され、オリンピックを開催した10年後あたりに崩壊しているという事実もあります。

ベルリン・オリンピックが開催されたのは、1936年でした。ドイツ第3帝国(ナチス・ドイツ)が崩壊したのは、1945年5月です。モスクワ・オリンピックが開催されたのは、1980年、ソビエト連邦崩壊は1991年です。全体主義国家であるソ連もナチスドイツも、オリンピックを開催すると約10年後に崩壊しているわけです。

現代の全体主義国家中国では北京オリンピックが開催されたのは、2008年でした。その10年後の2018年には、中国は崩壊しませんでしたが、先日もこのブログに掲載したように、米国の対中政策が2018年を転機に、対決一色になりました。

2018年米国では中国に対する批判等は一巡し、中国に対抗するのは、米国の意思であるとの確認がされたのです。2019年以降は、実際に逐次中国に対する対抗策を長期にわたって実行し続ける段階に移行し、現在に至っています。

米国は、中国共産党が中国の体制を変えるか、変えるることができないというのなら、他国に大きな影響力を与えることができなくなるまで、中国経済を弱体化するまで、対中冷戦をやめることはありません。

2018年に中国の運命は決まったと言っても良いかもしれません。世界で唯一の超大国である、米国が中国をかつてのソ連のような敵国としたのですから、この時点で中国の運命は定まったのです。

もし、米国にオバマ政権が誕生して、中国に対して優柔不断な態度をとっていなければ、中国は2018年に崩壊したかもしれません、

結局、全体主義国が、オリンピックを開催できるまで、強大になり、他国が無視できない存在になったとしても、全体主義であるがゆえに様々なほころびが発生して、それがヒンデンブルク号の事件や、チェルノブイリ番発事故で可視化され、やがて崩壊するということなのでしょう。

北京オリンピック開会式での中国選手団

まさに、現在の中国で発生した新型ウィルスの蔓延も、現在の中国の全体主義であるがゆえのほころびを象徴するものなのでしょう。

そのほころびは無論ウィルスの蔓延だけではなく、中国社会・経済、その他あらゆる方面に蔓延しているのでしょう。

そうしたほころびを中国共産党は、軍事力や、国内の警察な城管などの暴力装置を用いた民衆の弾圧や、豊富だった資金力を用い、国内はもとより海外にも様々な工作をして、言葉通りの弥縫策を効果的に実施してきたのでしょう。

この弥縫策が、あまりに強力かつ巧であったため、多くの人たちが、「中国崩壊」を主張してきたにもかかわらず、中国はいままで崩壊しなかったのでしょう。

中国は建国以来毎年平均2万件の暴動が起こっていたとされますが、2008年あたりからは、10万件ともいわれるようになりました。このあたりから、中国は暴動の件数など公表しなくなりました。

日本の人口は、中国の1/10くらいですから、中国の10万件は、日本でいえば1万件です。これは、一日では約27件です。日本でもし、これくらいの暴動があったとしたら、すでに内乱状態と言っても良いです。

これを中国は、城管、公安警察(日本の警察にあたる)、武装警察、人民解放軍などを鎮圧してきたのです。このような実績があるからこそ、中国は香港デモなど軽く鎮圧できるものと考えていたようですが、その考えは甘かったとしか言いようがありません。

現代の中国はまさに典型なのですが、全体主義国家が様々な方法をとって、軍事力や経済力を強大にしたとしても、結局ナチス・ドイツやソ連と同じように、ヒンデンブルク号事件や、チェルノブイリ事故などのような様々な異変で、そのほころびを露呈して結局滅ぶのです。中国もその例外とはならないでしょう。

現在でも全体主義的な方針の国々のリーダーは、このことを真摯に受け止めるべきです。全体主義は、シンガポールなどのように小さな規模でやっているうちは長持ちするでしょうが、ナチス・ドイツやソ連のように大規模になると、崩壊するのです。

崩壊しないで発展しようとするなら、民主化、政治と経済の分離、法治国家は避けて通れないということです。これらを実施することにより、多数の中間層が、社会・経済的に自由に活動させる基盤を築いた上で、国を富ませ、経済力をつけ、その上で軍事力も強化するという道しかないということです。

これを無視する全体主義国家は、一時強大になったとしても、崩壊するのです。中共にも、全体主義をやめるか滅ぶかの二択しかないのです。

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2020年1月29日水曜日

新型肺炎が日本経済に与える影響、SARSと比較、訪日客減少で7760億円押し下げか―【私の論評】インバウンド消費の激減は、消費税減税で補うどころかありあまる効果を期待できる(゚д゚)!

新型肺炎が日本経済に与える影響、SARSと比較、訪日客減少で7760億円押し下げか

中国の空港の国内線のゲート

新型肺炎の世界的な感染拡大が懸念されているなか、野村総合研究所(NRI)はインバウンド需要の減少による日本経済への影響について、2002年11月に発生が確認されたSARSとの比較をもとに、その試算を公表した。

新型肺炎と2003年に拡大を見せたSARS発生時と現在との大きな違いは、中国及びその他地域からの訪日観光客の急増。2002年と2019年の間に、中国からの訪日観光客数は21.2倍、訪日観光客数全体では6.1倍にも増加しているため、NRIでは、新型肺炎によって訪日観光客が減少し消費額が落ち込んだ場合、日本経済に与える悪影響はSARSの発生時よりも格段に大きくなる可能性があるとしている。

SARSの影響による訪日観光客数の減少分として2003年1月時点での訪日観光客数の前年同月比と2003年全体の訪日観光客数の前年同月比との差を比較すると、訪日中国人観光客数は-13.0%、訪日観光客全体では-15.4%となる。

新型肺炎の影響によって、2020年の訪日観光客数がこれと同じ割合で減少すると仮定した場合、中国からの訪日観光客数の減少は2020年の日本のGDPを2650億円押し下げ、訪日観光客数全体では7760億円押し下げると試算した。後者については、GDPを0.14%押し下げる計算になる。

2003年5月単月の数字を見ると、中国からの訪日観光客数は前年同月比-69.9%、訪日観光客数全体では同-34.2%とかなり深刻な影響が生じたが、SARSが訪日観光客数に影響を与えたのは数か月程度と比較的短期間にとどまった。仮にそれと同程度の影響が1年間続くと仮定し、同様に計算をしてみると、新型肺炎の影響で日本のGDPは2兆4750億円、0.45%も押し下げられる計算となる。

この試算は2020年1月27日に発表されたもの。 NRIでは、日本人の個人消費悪化の影響、企業の生産活動停滞の影響、海外経済減速の影響なども加わってくる可能性があるとしている。

新型肺炎がインバウンド需要の減少を通じて日本経済に与える影響試算

【私の論評】インバウンド消費の激減は、消費税減税で補うどころかありあまる効果を期待できる(゚д゚)!

インバウンド消費を過大に評価する人がいて、中には日本経済の発展≒インバウンド消費の拡大などと言い出す識者もいて、本当に噴飯ものといわざるをえないところがあります。

これについては、以前のこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
消費税10%ショック! やはり「景気後退」が始まったかもしれない―【私の論評】インバウンド消費等元々微々たるもの、個人消費に勝るものはない(゚д゚)!
麻生財務大臣
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、旅行の経済に関わる部分をこの記事より引用します。
平成29年の日本人国内旅行消費額は、21兆1,130億円(前年比0.8%増)となり、うち宿泊旅行が16兆798億円(前年比0.3%増)、日帰り旅行が5兆332億円(前年比2.3%増)です。 
日本人国内延べ旅行者数は、6億4,751万人(前年比1.0%増)となり、うち宿泊旅行が3億2,333万人(前年比0.7%減)、日帰り旅行が3億2,418万人(前年比2.8%増)です。

なぜか、インバウンドばかりに目がいきますが、やはり日本人の旅行者のほうが圧倒的に実数も、消費もはるかに大きいです。現状のインパウンドの4.5兆円と比較すると、20兆円規模です。

少子高齢化の影響もあってか、日本人の延べ旅行者数は、減る傾向にはありますが、消費額の推移をみると、だいたい20兆円台で推移しています。インバウンド消費(18年で4.5兆円)よりもはるかに大きいことがわかります。 
インバウンド消費停滞の経済全体へ影響は限定的である一方、日本経済の成長をはっきり押し下げるのは消費増税による緊縮財政政策の悪影響です。当然日本人の国内旅行での消費も減ることになるでしょう。 
インバウンド消費は、GDPの1%に過ぎないのですが、日本人による個人消費はGDPの60%を占めます。個人消費が冷え込めば、インバウンド消費がかなり増えたとしても、それは帳消しになります。
新型肺炎の問題が起こるまでは、インバウンド消費が徐々に増えるだろとうということで、観光産業などを中心にこれに期待するむきも多かったのですが、もはやその期待は打ち砕かれたとみるべきです。

こちらは、札幌です。もう少しで「さっぽろ雪まつり」が開催されます。今年は、2月4日から開催の予定ですが、今年は新型肺炎により、観光客が大幅に減ることが予想されます。

「さっぽろ雪まつり」にも毎年、海外から観光客が訪れていますが、今年は期待できないでしょう。

「さっぽろ雪まつり」に限らず、今年は様々なイベントで国内外の観光客が激減するのは、はっきりしています。

最近の新型肺炎の広がりかたのスピードは、増しているようです。そうして、どうなら人から人への感染も広がっているようです。今のところとどまるところを知らないようです。

であれは、わたしたちとしても、最悪を想定しておくべきです。最悪の場合は、中国の習近平の国賓としての訪問は当然のことながら、中止されるか延期されるでしょう。オリンピックもそうなる可能性は否定できません。

札幌では、東京オリンピックのマラソンが観戦できるものと、期待していましたが、それもなくなるかもしれません。

インバウンド消費が、かなり冷え込むことは最早明らかです。

そうして、これに対する最も単純ですぐにできる対策があります。それは、昨年10月に10%にあげた消費税を元に戻すか、5%に減税すことです。

現状は、危急存亡の時と言ってもよいくらいです。このときくらいは、このような手段を用いるべきです。そもそも、日本では税金というものは、増税の一方方向しかないと思われているようですが、それ自体が間違いです。

その時々の経済の状況に応じて、増税(景気が加熱した場合)したり、減税(景気が悪くなった場合)するというのが、まともなやり方です。

そうなると、個人消費は回復するどころか、伸びます。インバウンド消費の減少を補ってあまりあるほどになるはずです。

無論、日本国内でも新型肺炎の脅威が消えさらなければ、減税しても当初は消費の伸びは鈍いかもしれませんが、少なくとも日本国内での感染が終息すれば、景気はもりもり回復することでしょう。

今の日本にとって重要なのは、国内での新型肺炎の感染を終息させ、海外からの感染者をシャットアウトし、減税により、経済を良くすることです。

インバウンド消費が倍になるよりも、日本国内個人消費が数%でもあがったほうが、日本経済への影響はよほど大きいです。

さらに、個人消費があがれば、当然のことながら、日本の国内旅行での消費額や、旅行回数なども増えることが予想されます。新型肺炎前に、海外にいっていた人たちが、国内旅行に回帰する可能性が大きいからです。そうなると、観光業も日本人観光客により潤うことが予測されます。

SARSと、今回の新型肺炎により、私達は、インバウンド消費に頼ることが、いかに脆いことが学んだはずです。外国からの観光客は、来るもの拒まずという姿勢は崩さなくてもよいですが、まずは国内の消費を拡大し、国内観光客数や消費額を増やすことが先決です。それによって、安定した基盤をつくり、海外で今回の新型肺炎のようなことがあっても、余裕をもって対処できるようにしたいものです。

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2020年1月28日火曜日

「コロナウイルス大流行」が貿易戦争完敗の中国にトドメを刺すか―【私の論評】今年は新型肺炎で、文・習・金の運命が大きく変わる(゚д゚)!

「コロナウイルス大流行」が貿易戦争完敗の中国にトドメを刺すか



米中貿易戦争は習近平の完敗だ

 2018年9月24日の記事「米中冷戦、食糧もエネルギーも輸入依存の中国全面降伏で終わる」で、米中貿易戦争は、「トランプ大統領(米国)の圧勝」、「習近平国家主席(中国)の惨敗」で終わるであろうと述べたが、それがいよいよ現実のものになりそうである。

新型コロナウイルス「中国の情報隠蔽」を考えて患者数を予測したら…

 共産主義中国に忖度した日本のオールド・メディアは、習近平氏の体面を取り繕うために、1月15日に米中によって署名された「第1段階の合意」がいかにも引き分けのように取り繕っている。

 しかし、いつもは「大本営発表」ならぬ「共産党発表」で、ありもしない成果をプロパガンダする中国共産党が、今回は静かで、中国内の報道そのものさえ規制しようとしている。これは、「習近平惨敗」の事実を、中国人民に隠すためのものと思われる。


 あの北朝鮮でさえ、金正恩斬首作戦の実現性を証明した、イラクにおけるイランのソレイマニ司令官斬首作戦の事実を隠しきれず、国民のほとんどが知ることになった段階で公にしている。

 いずれ「習近平惨敗」の事実が国民の間に広がれば、香港・台湾における「民主主義渇望のうねり」で、政治的に厳しい状況に追い込まれているだけではなく、武漢から始まった「新型コロナウィルス」の流行で「泣きっ面にハチ」状態の習近平政権崩壊は意外に近いかもしれない。

 「新型コロナウィルス」は、自然の不可抗力ではあるが、習近平政権の対策は、楽観的な見通しに終始し情報公開に消極的であった。

 2002年から流行が始まったSARSの大騒動での学習効果があるため、少しはましになったが、共産党の隠ぺい体質が流行を広げた人災といってよいであろう。

 このままの状態では、世界的大流行が避けられないかもしれない。

 そうなれば、習近平政権は海外だけではなく、国内の被害者からも厳しい批判を浴びるだろう。

どのように惨敗したか

 「第1段階の合意」の内容をきちんと分析すれば、「引き分け」などという解釈の入る余地はなく、中国の惨敗、米国の圧勝であることは明らかである。

 まず、米国は署名に先立って共産主義中国に対する「為替操作国」の認定を解除している。

 中国が為替操作国に認定されたのは昨年8月であるが、米国財務省の為替報告書によれば、それ以来中国は米国に恭順の意を示し、「市場介入をほとんど手控えたようだ」とされる。

 つまり、今回の為替操作国からの解除は、「恭順の意を示した中国」に対して、米国が「そろそろ勘弁してやろう」と寛容な態度を示しただけなのだ。

 もちろん、共産主義中国の言葉など信用しないトランプ氏は、保全措置を講じている。

 「中国が人民元切り下げを行わないという『実行可能なコミットメント』を行ったほか、為替のデータ公表に同意した」ため解除したのだと説明している。つまり、「自国の為替市場を米国の厳重な監視下に置く」ことに同意をしたのにも等しい。

 これは、単純に為替操作国に認定されるよりも厳しい状況であるから、習近平氏が国民に隠したい事情も良くわかる。

 ちなみに、米国がウォッチしている対象国は、20ヵ国ほどであるが、中国の解除で「為替操作国」はなくなった。なお、「監視対象国」には引き続き中国が含まれる。

米国は何も失っていない

 さらに、1月15日に署名された合意内容には、

 1.「中国政府による米国の技術と企業機密の窃取に対する取り締まりの強化」
 2.「農産物の2017年(貿易戦争開始前)の水準に比べて倍以上の輸入増加」

 など多数かつ重要な中国側の譲歩内容が含まれる。

 特に、対米貿易黒字の縮小に向けた中国による今後2年間で2000億ドル(うち農産品は320億ドル)相当の追加購入計画は重要だ。

 この合意に基づいて、中国は米国からの農産物の輸入を最初の1年で125億ドル、2年目は195億ドル増やすと表明した。この額(合計320億ドル)を、貿易戦争が始まる前の2017年に中国が輸入していた240億ドルに上乗せするので、輸入額は2017年当時の倍以上になる。

 11月に大統領選挙を控えたトランプ氏にとって、農民票は極めて重要で、その確保の道筋をつけたのだから、上機嫌であるはずである。

 それに対して、資源、エネルギー、軍備、人材その他あらゆる分野で米国に太刀打ちできない中国の「数少ない切り札」である「農産物輸入カード」をトランプ氏に献上せざるを得なかった習近平氏の機嫌が悪いのも当然だ。

 その見返りに米国が提供するのは、昨年9月に発動した制裁第4弾のスマートフォンやパソコンの部品、衣類や靴といった日用品などの中国製品に課した追加関税15%を7.5%に引き下げることくらいだ。

 さらに、これらの合意の実行を、監視・担保する制度も盛り込まれ、実行されなければ、合意内容は取り消される可能性がある。

 忘れてはならないの、この貿易戦争を仕掛けたのは米国であり、第1弾から第4弾までの関税は米国が一方的に設定したものだ。その米国の都合で一方的に「追加」したた関税のごく一部を「微調整」するだけで、これだけの成果を得たのだ(1弾~3弾は25%の制裁関税率を堅持している)。

 つまり、貿易戦争と名付けられた「実質的経済制裁」に音をあげた共産主義中国が「後生ですから緩和してください」と泣きを入れて、「貢物」を差し出したのに対して、トランプ政権は「制裁のごく一部の緩和」で応じたのだ。

 このような見事な「トランプ流交渉術」には驚かされる。1月16日の記事「勝つためには手段を選ばない男・トランプとは何者か…ルーツを探る」で述べた様に、基本的に政治家というよりもビジネスマンであるトランプ氏は、面子よりも実利を大事にする。

 だから、習近平氏の面子を保つ手伝いをすることなど朝飯前であるし、それによって「大きな実利」を手に入れたわけである。

習近平政権は断崖絶壁に追い込まれている

 1月20日の記事「香港大騒乱、台湾・蔡氏圧勝でアジアの春はやってくるのか」で述べた様に、「アジアの春」とも呼ぶべき「民主主義を渇望するうねり」に対して習近平政権はなすすべがない。

 香港では、5大要求のうち1つにしか応じないものの、天安門大虐殺(事件)の時のように戦車で国民をひき殺すような荒療治もできず、指をくわえて見ている。区議会議員選挙での親中派の惨敗は大きな痛手である。

 さらに、台湾総統選挙での蔡氏圧勝がダメ押しとなった。

 ニュージーランドやオーストラリアでも、政治・選挙に関する干渉を行っているくらいであるから、両選挙への中国共産党の干渉はすさまじいものであったはずだが、それでも「民主主義渇望のうねり」を抑え込むことができなかったのだ。「打つ手がない」というのが習政権の現状であろう。

 さらには、12月24日の記事「ウイグル人権法案、じつは『日本企業』が他人事とはいえない可能性」で述べた様に、米国をはじめとする諸外国から「天井の無いアウシュビッツ」として批判されるウイグルやチベットなどでの人権問題も重くのしかかる。

 鄧小平による改革・解放が軌道に乗る前の中国は、当時鉱物資源の開発収入が比較的多かった北朝鮮よりも貧しかった。さらに、「竹のカーテン」を引いた鎖国状態で8000万人(西側推定、人為的飢餓を含む)もの人民を虐殺したとされる。

 これまでの動きを見ると、経済でも政治でも「毛沢東暗黒時代」への回帰が避けられないようだ。

 しかし、香港・台湾だけではなく、天井の無いアウシュビッツとも呼ばれるウイグルやチベットなの虐げられた人々、そして「民主主義を愛する人々」にとっては「世界最大の民主主義の敵」の崩壊は朗報である。

クリスマスプレゼント未遂の金正恩の運命

 このように追い込まれている習近平政権に、朝鮮半島の国々にかまう余裕はないといえるだろう。

 トランプ氏の真意を誤解し、「クリスマスプレゼントを楽しみにしていろよな!」という大言壮語を吐いた金正恩氏は、クリスマス前に公開(流出? )された、米国と韓国の合同で行われた「斬首作戦ビデオ」におびえることになる。

 その結果、年末の異例(通常は1日)の4日間にわたる朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会で、プレゼント作戦失敗のごまかしとクーデタ対策を行うことになる(クーデタ首謀者になりうる人間を自分の目の前に集めたことになる)。さらには、恒例の自身の言葉による「新年の辞」を、「総会の報告」に代えてお茶を濁した。

 また、韓国の文在寅政権も、これでもかこれでもかという問題を抱えて悲惨である。

 まず、文在寅氏自身と取り巻きに迫りくる検察の捜査妨害に躍起だ。なりふり構わぬ人事などで、当面の検察の攻勢をかわすことができるかもしれないが、その姿を見ている国民は4月15日の総選挙でどのように判断するであろうか? 

 さらには、文政権の従北ぶりを見かねたハリス駐韓米大使の「韓国の北朝鮮政策に関する親切な忠告」に逆切れして、大使の母親が日本人という出自や口ひげにまで文句をつけるありさまだ。米国は、2015年の「リッパート駐韓米大使襲撃事件」を忘れたわけではない。

 この事件でリッパート氏は、あと1~2センチずれたら死に至るという傷を受け、「この攻撃は私個人に対するものではなく、米国という国家に対するものだ」と発言したともいわれる。朴槿恵大統領とオバマ大統領の話し合いによって、大きな政治問題になることは回避できたが、文在寅大統領とトランプ大統領の間の意思の疎通はないに等しく、小さな火種が「大政治問題になる可能性」がある。

在韓米軍撤退と斬首作戦

 追い詰められた習近平政権と混迷の極にある朝鮮半島の南北国家の状況を考えれば「在韓米軍撤退と引き換えに、金正恩斬首作戦と米傀儡政権の樹立容認」を中国が行うというシナリオも荒唐無稽ではなくなってきた。

 在韓米軍は、中国への牽制という意味合いもある。しかし、本来は共産主義独裁国家である北朝鮮に対抗するために駐留しているのだから、北の共産主義独裁政権が打倒されれば、駐留する意味がなくなる。

 もともと、第2次世界大戦後、米国は「日本海が重要な防衛ライン」だと公言していた。しかし、そのメッセージを誤って受け取った金日成氏が、米国は介入しないであろうと判断し韓国を侵略した。

 そこで、朝鮮戦争が始まり、第2次世界大戦が終わったばかりで戦争はもうこりごりだと思っていた米国も、共産主義陣営による民主主義陣営の侵略を認めることができないために参戦した。しかも、その朝鮮戦争は「休戦」という形でいまだに続いているので、米国としても韓国から撤退するわけにはいかないのだ。

 つまり、在韓米軍はいってみれば、「事故の結果」駐留するようになったのであり、北朝鮮がクーデタや斬首作戦で崩壊し、親米政権が樹立されれば必要がない。もとの「日本海防衛路線」に戻るだけだ。

 また、現在の文政権を「共産主義の侵略から守るべき自由主義陣営」と呼ぶのは極めて難しい。

 金正恩氏同様、文在寅氏も「自分の首」の心配をする必要がありそうだ。

大原 浩(国際投資アナリスト)

【私の論評】今年は新型肺炎で、文・習・金の運命が大きく変わる(゚д゚)!

米中貿易交渉「第1段階の合意」が、中国側の完膚なきまでの敗北であり、米国の完全勝利だったことについては、このブログでも述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中貿易「第1段階合意」が中国の完敗である理由―【私の論評】米国の一方的な完勝、中共は米国の要求に応ずることができず、やがて破滅する(゚д゚)!
       13日に北京で会見する財政相副大臣の廖岷。重要な会見の
       はずなのに出席者はいずれも副大臣級ばかりだった

この記事は、評論家の石平氏の記事を元記事として、私自身の考えを述べたのですが、石平氏も昨年12月の米中合意は、合意とは名ばかりであり、中国の完敗としています。

これは、合意内容そのものを読んだだけでもわかります。日本のメディアはそのようなことは報道せず、淡々と合意内容の事実のみを報道するのみで、あれではまるで引き分けのような印象を受けてしまいますが、内容は不平等条約と言っても良いくらいの、米国の一方的な大勝利でした。

ブログ冒頭の記事にもあるように、米国は署名に先立って共産主義中国に対する「為替操作国」の認定を解除しています。これに関しては、私の見方は、上の記事「大原 浩」氏とは別の見方をしているのですが、ここでは話の本筋から離れてしまうので。詳細は説明しません。

これについては、このブログにも以前掲載したことがあり、【関連記事】のところに当該記事を掲載しておきますので、興味のある方はこれを是非ご覧になってください。

さて、話を整理すると、中国は最近は負けが込んでいます。しかも、昨年の暮れ近くから現在まで、負け続けと言っても良いです。

昨年11月には、香港区議会議員選挙で大敗しました。次には、1月11日の台湾総選挙でも親中派は大敗北ました。中国は、これらの選挙に大規模に介入しているにもかかわらず、大敗北です。

習近平の中国は、まさに面目を叩き潰されたというのが実情でしょう。そうして、今度は、新型肺炎による不手際が明るみに出つつあります。現状では、まだ新型肺炎が蔓延しつつあり、各国もそれに対する対策に腐心していることや、中国が発生源ということで、大きな被害を被っていることから、現状では中国指導部に対する批判の声は大きくはありません。

しかし、一度これが収束すれば、一昨日もこのブログで指摘したように、SARSに続き、今回も似たようなことを繰り返したWHOと中国は、世界から糾弾されることになるでしょう。糾弾どころか、これから犠牲者が増えれば、増えるほど、国内外から怨嗟の声があがることでしょう。

そうして、この糾弾や怨嗟は、現在の習近平政権を揺るがすことは間違いないです。米国としても、これを許容することはしないでしょう。中国が貿易協定の合意を守らなければ、トランプ政権としてはさらに制裁を厳しくすることになるでしょう。

それでも、中国がある程度の民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめることがなければ、ためらわずに次の制裁に打ってでて、中国が他国に影響が及ぼせないくらいまで、経済的に弱体化するまで制裁を続けることでしょう。中国を第2のソ連にするくらいまで、制裁を続けるでしょう。

中国が頑なに、体制を変えなければ、このブログにも以前にも示したとおり、中国に対してかなり思い切った軍事作戦を敢行するかもしれません。ただし、それは中国に対して直接軍事攻撃を行うというものではなく、北朝鮮に対する軍事攻撃です。

その目的は、無論核をいつまでも撤去しない北朝鮮に対して核を無力化するものですが、それは、日本の報道機関の報道する表向きの理由です。その本質は、金正恩と幹部を殺害することにより、中国を強く牽制することです。

この斬首作戦が成功すれば、中国共産党は無論大パニックになるはずです。習近平と幹部らは、斬首されるか、貿易交渉の合意を守るかどちらかを選ぶことを迫られることになります。そうなれば、中国で政変が起こるかもしれません。

その時期は、無論新型肺炎が終息してからになります。それには、数カ月はかかるでしょう。

いずれにせよ、習近平体制は崩れることになるでしょう。崩れなかったとすれば、中国の崩壊も視野にいれなければならなくなるでしょう。

それは、中国崩壊自体が間近に迫っているいることを意味するかもしれないからです。誰も、最期の皇帝役などつとめたくありません。すべての幹部は、習近平を悪者に仕立てて、自己保身を図ることに邁進していることを示しているかもしれないからです。

そうして、日本の報道機関は全く報道しませんが、現在北朝鮮と北朝鮮の核は、結果として、中国の朝鮮半島への侵入を防いでいます。北朝鮮の核ミサイルは、韓国や日米だけではなく、北京等をも狙っているからです。

このブログでは過去に何度か、掲載してきたように、実は金王朝を継続したい金正恩は、中国の干渉を極度に嫌っています。

もし北が核武装をしていなければ、金王朝はとうに崩れて、朝鮮半島全体が中国の派遣の及ぶ範囲になっていたかもしれません。

最後に、韓国ですが、米軍が北を攻撃して、金正恩らを斬首し、核施設などを破壊した後には、米国は北朝鮮に親米政権ができるように腐心することでしょう。そのときには、北に米軍が中短距離ミサイルを設置できるようにするかもしれません。

そうなると、このブログでかねてから主張してきたように、韓国は安全保障条の単なる空き地になることが予想されます。要するに安全保障上では、日米にとって関係のない空き地のような存在になるということです。

今年は文・習・金の運命が大きく変わる年になるかもしれない・・・・

第二次世界大戦直後は、北朝鮮のほうが韓国よりも、GDPは大きく、韓国より豊かでした。それは、なぜかといえば、日本が朝鮮半島を統治していたころは、産業の中心は現在の北朝鮮のほうであり、韓国は農村がメインの産業だったからです。

韓国が北朝鮮のGDPを追い越したのは、1970年代になってからのことでした。米軍が北を軍事攻撃した後は、当然なから、韓国は軍事的にも、経済的にも空き地のような存在になり、第二次世界大戦直後のように韓国は貧乏な農業国に戻るかもしれません。

ブログ冒頭の大原 浩氏の記事は、私とは表現などは違うものの、結局私が以前からこのブログで主張してきたことと同じであり、まさに我が意を得たりという思いがしました。いずれにせよ、今年は文・習・金の運命が大きく変わる年になることでしょう。

しかし、これくらいのことは、最近の世界情勢を踏まえていれば、誰もが当然のこととする事柄だと思います。日本のマスコミは情けなさ過ぎます。

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