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2020年6月21日日曜日

自殺者の大幅減は、ウィズコロナ社会の希望だ!―【私の論評】コロナ後の社会は、意識高い系の人々の予測とは異なるものになる!(◎_◎;)

自殺者の大幅減は、ウィズコロナ社会の希望だ!

逆張りで「コロナはチャンス」と主張する人たち


コロナ禍の自粛ムードの中、どうにも気が滅入ったのは、この非常事態の中でもなお、力強くビジネスチャンスについて語る一部の人たちの存在だった。

「この危機をどう乗り越え、どうビジネスチャンスに変えるか。今はピンチだからこそ、逆にチャンスなのです!」

この人は本気で言っているんだろうか……。しばし、めまいに襲われた。

おそらくビジネスマンとして成功している人なのだろう、プロフィールには転社や起業の経歴がカタカナ満載で記されている。

世界中の人たちが自粛を余儀なくされ、それぞれの生き方や、働く意味について見つめ直しているであろうご時世においても、めざとくチャンスを探し、生き馬の目を抜くがごとく行動する、そんな人がきっとビジネスの分野では成功する。

その志向性を否定しようとは思わない。ただ、個人的には絶対に友達になれそうもないし、めまいとともに吐き気がする。

世の中には、頑張って生きたい人と、できれば頑張らずに生きたい人がいる。ひとりの人生の中にも、頑張りたい時期があれば、頑張りたくない時期もある。

メディアに出てくるタイプの人には、頑張って生きることを正しさと疑わない人が多い。だから、声も大きく響く。

でも、できれば頑張らずに生きていきたい人は、メディアに登場せず、声もほとんど聞こえない。だから注目もされず、時に社会の足を引っ張る害悪のような扱いさえ受ける。

「自殺者減少」が示唆するもの

自殺のニュースに目を向けたい。
<厚生労働省自殺対策推進室は5月12日、毎月発表している自殺者統計の4月末結果を発表した。自殺者は1455人と前年同期比で19.8%減少した。過去5年間では最も大きな減少幅だった。>
[Sustainable Japan/5月14日 https://sustainablejapan.jp/2020/05/14/japan-suicide/49463]
先日、今年4月の自殺者数が前年比で約20パーセントも減少したという、厚生労働省の発表が大きな話題になった。前年同月より359人少ない1455人だったという。

減少の理由は簡単に結論を出せるものではなく、1ヶ月のデータで語るのも危険だろうが、メディアには「テレワークや休校によって、出社や登校の人間関係のストレスが減ったことが原因ではないか」とする専門家の意見が多く掲載されている。

このニュースは、もっともっと、大きく論じられるべきだと思う。

たった1ヶ月で自殺者が359人も減った。大変な数である。まだしばらく統計を注視しないと議論しにくいのは確かだろうし、すぐに前年並みに戻る可能性もある。減った分だけ命が救われたわけではなく、自殺という行為が先延ばしになっただけかも知れない。

それでも現実に、多くの会社で出社を命じられなくなり、多くの学校で登校の必要がなくなったら、命を絶つ人間が大幅に減った。これは新型コロナの特効薬が見つかったのと同じくらい、希望のあふれるビッグニュースのはずだ。もし今後、自殺者数が戻ったとしても、なかったことにできるトピックではない。明るいニュースなのだ、これは。

ぼく自身、対人ストレスのつらさはわかっているつもりの側であり、だから、おひとり達人をめざしている。フリーライターをやっているのも、なるべく人と接しないで生きていくため。生涯独身なのも、ひとりぼっちの時間を守るためだ。

外出自粛令のおかげで何百人が自殺をせずに済んだのだとしたら、その表に出ない喜びや安堵の声を少しでも拡大してあげたい。

自殺者の多さは日本という国の闇である。2010年以降は減少傾向にあるとはいえ、2019年の自殺者は2万169人。新型コロナで亡くなった人より、まだ何十倍も多い。

コロナ対策が結果的に自殺対策として功を奏したのだとしたら、これほど喜ばしい副次効果はない。

しかし、世の中の流れを見ていると、この画期的な特効薬発見を重く受け止め、活かそうとしているようには思えない。

出社、登校。したくない人はしなくていい

テレワークを推し進めた会社がある一方、以前と変わらぬ出勤体制を課す会社は多い。学校もやがて平常スタイルに戻ってしまうだろう。

なぜ、今ここで「会社へ来るのがストレスの人は名乗り出てください。なるべく出社しないで済むようにするから」とか、「学校へ来るのがつらかったら休んでいいよ。来なくても勉強できるように授業のスタイルを変えるから」という動きが、この機会にもっと見えてこないのか。

たくさんの命が救われるかも知れないという希望の光がせっかく差したのに、なぜ急いで元に戻そうとするのか。経済を動かすか、社会不適合者の命を守るかの二択の話をしているわけではない。どっちも両立できる道だ。

対人ストレスの小さい人は以前同様、会社や学校の枠の中で人と接しながら頑張ればいい。

対人ストレスの大きい人はこの機会に、会社や学校の通常枠から外れても生きていけるような、社会の仕組みの再構築を訴えればいい。そんな生き方を認めてもらえばいい。

ある種の人間にとって、毎日の出社や登校は目の前でマスク無しで咳をされる以上の苦痛であり、それが死を選ぶ理由にもなるのだという現実を、もっと社会全体が受け止めて欲しい。


「会社に来たくなかったら、来なくていいよ」
「学校に行きたくなかったら、行かなくていいよ」
「頑張って生きるのがつらかったら、頑張らずに生きてもいいんだよ」

そう言ってあげるだけで救われる命が1ヶ月に300以上もあるのだとしたら、それを無視して以前と同じ業務形態や登校義務を課すのは、ただのヒトデナシのやることだと思う。ビジネスチャンスに目をギラつかせる人間を、誰もが崇拝しているわけではないのだから。

【私の論評】コロナ後の社会は、意識高い系の人々の予測とは異なるものになる!(◎_◎;)

自殺者数については、このブログでも度々掲載してきました。自殺者は、特に平成年間は3万人台を超えていました。しかし、安倍政権が誕生してから低下傾向にありました。低下傾向は、最近も続いていて、昨年はとうとう2万人台を切りました。

このブログでは、増税や金融引き締めなどの経済政策のまずさがその根底にあることを主張してしてきました。安倍政権では、二度も消費税増税がなされため、財政的には平成時代と同じく、緊縮財政が実施され、財政的には大失敗でした。ただし、金融緩和政策だけは、継続してされました。日本ではあまり理解しない人が多いですが、金融緩和政策は、雇用を改善します。

そのため、安倍政権においては、雇用は改善され続け、人手不足の状況になっていたことは事実です。これが、自殺者を減らず大きな一因になってきたことは事実です。ただ、それだけではないことも事実だと思います。

上の記事にも掲載されていたように、実際4月の統計では、前年同期比で19.8%減少しています。私自身は、昨年10月の消費税増税があり、個人消費が落ちみ、1月〜3月のGDPも落ち込み、それに加えコロナ禍もあったことから、自殺者が増える可能性もあるのではとの懸念を抱いていました。

しかし、その懸念は見事に払拭されました。これは、マクロ的には金融緩和政策が継続されてきたことにもよるでしょうが、そのほかにミクロ的には、テレワークや休校によって、出社や登校の人間関係のストレスが減ったことによるものかもしれません。

だとしたら素晴らしいことだと思います。これは、今後も分析してみないとはっきりはしませんが、それにしてもコロナ後の社会のあり方に大きなヒントを提供しているように思えます。

個人的には、あることを思い出してしまいました。それは、ある図書館司書の方のツイートです。

「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」。夏休みが明けるころに子どもの自殺が増える傾向があることから、神奈川県鎌倉市立の図書館の公式ツイッターが26日、こうつぶやいたのです。

つぶやいたのは、市中央図書館司書の河合真帆さん(44)。9月1日に子どもの自殺が突出して多いとの報道を読み、図書館学を学ぶ中で知ったことを思い出したそうです。

「自殺したくなったら図書館へ」。米国の図書館に貼られていたというポスターの文言です。図書館には問題解決のヒントや人生を支える何かがある。そんなメッセージでした。

利用者の秘密を守るのも、図書館の大事な原則です。子どもは学校に通報されると心配しているかもしれない。だから、「一日いても誰も何も言わないよ」と書き添えました。「一日だらだらしていても、誰も何も言わないから気軽においで。ただぼーっとするだけでもいいと伝えたい」

ツイッターは職員が誰でも書き込むことができ、河合さんは郷土史や観光の話題をこまめにつぶやくようにしているといいます。このつぶやきには、「あの頃の私に聞かせてあげたい」「感動した」などと、多くのコメントが寄せらました。

当時のこのツイートを読んだ私は、感動して「何と慈愛に満ちたツイートなのだろう」というコメントとともに、これをリツイートしたのを覚えています。

確かに、どうしても学校や、会社に行きたくない人が、行かなくても勉強できたら、仕事ができれば、素晴らしいことです。

コロナ後の社会は、意外とこのような変化をするかもしれません。ビジネスチャンスに目をギラつかせる人間が、社会の変化を正しく捉えているとは限りません。実際、中国からのインバウンドに目をぎらつかせいた人間の大失敗は、この度のコロナ禍により失敗出会ったことが明らかになったと思います。

私自身は、中国のインバウンドにばかり頼ることの危険性を従来から指摘してきました。中国はコロナ禍に限らず、元々カントリーリスクの高い国でしたし、昨年あたりでも、インバウンドよりも、日本国内では日本人の旅行客のほうがインバウドよりも、日本人旅行者のほうがはるかに多く消費をしていたという事実があります。

日本の観光地を良くしたいなら、まずは日本人の観光客を満足させるようにすべきであるというのが私の持論です。日本人の旅行客が大満足し、何度も訪れるようにすることが、日本の観光地の使命だと思います。その上で、外国の方々が多くいらしていただけるのであれば、それはありがたく受け入れれば良いのです。

それにして、コロナ禍でも、目をぎらつかせて、ビジネスを語る方々のいうように、コロナ後にパラダイムシフトは起こらないと思います。

それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
コロナ後の世界、「スペインかぜ」後に酷似する予感―【私の論評】社会は緩慢に変わるが、今こそ真の意味でのリーダーシップが必要とされる時代に(゚д゚)!

         1918年、ワシントンD.C.のウォルター・リード病院で
         インフルエンザ患者の脈を取る看護婦

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
コロナの後に世界は変わるのでしょうか。結論から言うと、劇的に社会が変わっていく、いわゆるパラダイムシフトは私は、起こらないと思います。

それどころか、人々が思ったいいる以上に元の社会に戻ろうとすると私は考えています。

それはなぜかというと、それが多くの人々のとって一番ラクだからです。社会は変化を求めているようですが、実際に、自分自身を変えていこうと思っている人がどれくらいいるでしょうか。

何か新しい取り組みを始めようと思っている人はそんなに多くはないのではないかと思います。変化を強要されているところは、致し方なく取り組んでいるのが現状だと思います。

コロナの終息後でも私自身も含めて多くの一般的な人たちの考え方は変わらないでしょう。

これを変えようと思う人はかなり意識が高いと思います。意識が高いという言い方は褒めているわけではなく、流行りにのっている部分もかなりあると思うのです。そういう意味です。これは、いわゆる意識高い系の方々には耳が痛いのではないかと思います。ただし、意識高い系とは、本当に意識が高い人という意味ではありません。そうではなく、意識が高いふりをしている人と言ってもよいかもしれません。

つまり、ほとんどの人にとってソーシャルディスタンスを継続させていったり、テレワークなどのデジタルな暮らし方にシフトしていくことは大変なことだと思います。何しろ、今でも家庭でのWIFI普及率は、思いの他低いことをある調査で知り、驚いたばかりです。あるいは、携帯電話は使用しているものの、パソコンの使用率も思いの他低いです。そのため、急激に社会が変化していくパラダイムシフトはおこらないと思います。

では、社会は元どおりになっていくのでしょうか。私自身は、変わらないところがあるように、変わるところがあるとも思っています。それはどこかと言うと、苦しんでも変えざると得ないという人たち。つまり主に経営者達の考え方です。私は、どちらかというとこちらに属しているのでよく分かります。
この内容、少し矛盾していると思われる方もいるかもしれません。しかし、矛盾しているわけではありません。私自身も含めて、多くの人は元の社会に戻るのが楽なのですが、経営者いうか、リーダー的立場の人は、自ら属する組織を変える責務を持つということです。

そうして、リーダーとはいっても、カリスマ性や部署間の調整をすることなどではなく真のリーダージップを発揮しなくてはないらなということです。そうして、リーダーシップの本質をこの記事では掲載しました。関心のある方は、この部分も是非読んでください。

そうして、この傾向はさらに続くということもこのブログで主張しました。その記事のリンクを掲載します。
自給自足型経済で“V字回復”日本の黄金時代到来へ! 高い衛生観念でコロナ感染・死者数抑え込みにも成功―【私の論評】今後も続く人手不足が、日本を根底から変える。普通の人が普通に努力すれば応分に報いられる時代がやってくる(゚д゚)!
     日本は強制力のない自粛要請でも感染拡大を
     抑え込んだ=5月9日、東京・原宿の竹下通り
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、中国で製造していたものを、ある程度日本で製造するようにすれば、過去の日本が自給自足型の経済で成功していように、令和日本は黄金期を迎えることを主張しました。

コロナ禍以前には、人手不足状況だったわけですから、今後日本の経済が回復し、中国で製造していたものを日本でも製造するようになれば、当然の事ながら、さらに人手不足となり、日本は経済的に発展するだけではなく、社会構造も良い方に変わっていくであろうと予測したわけです。

このような変化に気づかず、既存の路線で単にIT化が進んだり、社会的距離を重視する社会になると思うような人には、次の社会など予想できないでしょう。

今後の社会は人手不足があたり前になるのですから、人を単なる人と見るのではなく、個性のある個々人であることに想いが至らないような人は、社会の変化を見通すことなどできないでしょう。

今後の社会は、パラダイムシフトが起こるではなく、やれば良いに決まっているし、既にできることで、できていないことなどがどんどん実施されるようになっていくと思います。

その良い事例が、テレワークやオンライン授業です。さらに、いわゆる「いじめ」もなくす努力がなされていくでしょう。

EUの人々に日米でいう「いじめ,Bullying」とは何なのだと質問を受ける事がよくあります。いろいろ説明するのですが、なかなか理解してもらえません。

国が違っても、彼らのほとんどは「それは犯罪です」と言います。確かに、「いじめ」とは、学校や職場という閉鎖空間で行われているだけであって、その本質は軽い重いはあっても、全て「犯罪」です。

「犯罪」には犯罪に対する対処法が適用されて当然です。ドイツは、日本と全く異なる対象がなされています。例えば、高校の教師は、学校の外、例えば、町の通りで自分の教え子がタバコを吸っていたとしても、それを注意する必要はないそうです。学校の外では親が子供に対する責任を持っているからです。

また、「いじめ」などを執拗に繰り返す子供には、校長が家庭に向けて注意をうながす手紙を書くそうです。その手紙が三通になった場合は、その対象となった子供は自動的に退学になるそうです。

非常にシンプルです。何回も退学になるような子供は終いには、いずれの学校にも行けなくなるそうです。

日本では、学校や職場が場合によっては、まるで治外法権のようになっている場合もあるあります。これは早急に是正しなければならないです。また、米国では暴力が異常なレベルにまでなっています。

日米共に、もっとシンプルな方法で「いじめ」を根絶する必要がありますが、これも今後進めやすくなると思います。

これらのことは、基本的に人手不足であるほうが、変えやすくなります。そもそも、人を大事に扱おうとしない学校や職場には人が集まらなくなります。

こういうことを言うと、「いやAIが出てきて、人を駆逐するようになる」と言う人も居るかもしれません。いわゆるシンギュラリティーが起こって、機械が全部人にとって変わるなどと・・・・・。

そんなことはないことがラッダイト運動でもう私たちは、学んだのではありませんか。そうして、シンギュラリティー信奉者には、こう言いたいです。

「あなたは実際にAIのプログラムを書いたことがありますか?」と。少なくとも私は書いたことがあります。ただし、大昔のことですから、その当時は、今ではあまり使われてない言語で、ほんの初歩的なものでした。人で言えば、赤ちゃんが呟くようなものですが、それでもプログラムはプログラムです。今でも、原理的には変わりません。

ラッダイト運動で機械を打ち壊した労働者たちは、機械が発達した社会は、自分たちの時代の社会とあまり変わりないと考えていました。

しかし、機械やコンピューターが発展した現代は、その頃の社会とは全く異なります。

これからの社会は、中国などの特殊な社会は除き、今とは全く異なる社会となるでしょう。そこでは、今よりも、はるかに個々人のニーズやウォンツが満たされる社会となるでしょう。

そのような社会においては、無限の様々な新しいニーズが生じてくるはずです。その新しい新しいニーズに応えるためには、人間の思考は欠かせません。無論、その模索にもAIは大活躍することになるでしょうが、それにしても肝心要のところは人間が考えます。AIはその補佐をするにすぎません。

既存のニーズには、AIが最適な解を出すでしょう。しかし、新たなニーズに対する解は、人間が模索するしかないのです。模索して、プログラミング化できれば、後は、コンピュータと機械がそれを迅速に満たすことになるでしょう。

そうして、新しいニーズはその時代でもいくらでも出てくるのです。その時代には、自殺者の大幅減は、ウィズコロナ社会の希望かもしれないと気がつくような感性を持った人が、様々な分野で活躍するようになっていると思います。

コロナ禍で目をギラつかせて、「ビジネス、ビジネス」というような人は時代遅れになっているでしょう。本当に心の底から人のために役に立ちたい、人々の暮らしを良い方向に導いていきたいと考える人の時代になるでしょう。

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2020年2月12日水曜日

2020年も引き続き予測を破る米雇用市場―【私の論評】日韓の政治家は、真摯にトランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべき(゚д゚)!


<引用元:ホワイトハウス 2020.2.7>大統領経済諮問委員会

労働統計局(BLS)の毎月雇用状況の最新データから、歴史的に見て強い米国労働市場が2020年も継続して拡大していることが確認できる。

一般教書演説で雇用の良さを強調したトランプ大統領
報告書の事業所統計によると、1月は22万5千人の雇用が増加し、15万8千人の雇用という市場予測を破った。11月と12月の上方修正を含めて、過去1年の月平均雇用増加は17万1千人という健全なものとなった。先月最も増加した分野は教育と医療サービス(+72,000)、建設(+44,000)、そしてレジャー・サービス業(+36,000)だった。

今月の報告書には事業所統計に対するBLSの年間修正も含まれていた。この修正によって、2019年3月の年度末の間に以前報告されたよりも51万4千人少ない雇用増加だったことが分かった。この修正は雇用が失われたという意味ではなく、むしろ以前は過大に見積もり過ぎていたという意味だ。だが1月の強い雇用増加によって、それでもトランプ大統領の選出以来700万人の雇用が増加している。選挙から38カ月、そのうち34の月で少なくとも10万人の雇用を創出しており、毎月雇用が増加している。

長期化した雇用創出は米国人の賃金を引き上げている。過去1年半では景気後退以来で最大の賃金上昇となった。平均時給は前年比で3.1パーセント増加し、18カ月連続で3パーセント以上の上昇率となっている。賃金上昇は製造・非管理職労働者でさらに速く、前年比で3.3パーセントとなった。トランプ大統領の下で、労働者の賃金は管理職の賃金よりも速いペースで増加している――前政権とは逆の結果である。

別の世帯調査では1月に失業率が3.6パーセントに上昇したことが分かっているが、1969年以来最低のレベル近辺に留まっている。1月には23カ月連続で失業率が4パーセント以下となった――50年で最長の記録だ。失業率は、連邦議会予算事務局の選挙前の最終予測である5.0を依然として大きく下回っており、トランプ大統領が2016年11月に選出された時のレベルより1.1パーセント低い。

歴史的に見て恵まれないグループは、現在のひっ迫した労働市場から利益を受けている。2019年にアフリカ系米国人、ヒスパニック系米国人、アジア系米国人の失業率は全て過去最低となった(テーブル参照)。高校卒業資格を持たない人々と障害者も昨年は過去最低の失業率となった。


1月のわずかな失業率上昇の主要原因は、傍観者の立場にいた労働者が仕事を探そうと労働人口に加わることが増えたためだった。この3カ月で労働市場外から来た新たな労働者の平均割合は73.2パーセントだった。1月に就労率は63.4パーセントにまで上昇した――2013年以来で最高のレベルだ。重要なこととして、働き盛り世代(25歳から54歳)の就労率も1月に83.1パーセントに上昇したが、2016年11月の数字を1.8パーセント上回るものだ。

重要性が小さく見える就労率の変化は雇用市場に重大な影響を持っている。例えば、トランプ大統領の下で働き盛り世代の就労率が上昇したということは、労働力として220万人の働き盛り世代労働者が加わったということになる。就労率の増加以上に、働き盛り世代労働者の労働力人口比率は1月に0.2パーセント上昇して80.6パーセントとなった――2001年5月以来最高レベルだ。

労働者の流入は経済に対する自信増大と就職見通しの改善を示している。全米産業審議会の消費者信頼感は1月に131.6に上昇し、トランプ大統領の選出前月から31パーセントの増加となった。その上仕事が「得難い」と答えた人に比較して、仕事が「十分にある」と答えた人の割合は4対1以上だ。

過去最高の2019年の後、2020年の米国経済は再び強い雇用報告で始まった。昨年起きたように、1月の雇用増加は予測を破り、賃金は3パーセント以上上昇し、失業率は歴史的な低さかそれに近い数字を保った。

【私の論評】日韓の政治家は、真摯にトランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべき(゚д゚)!

本ブログの読者であれば、金融政策が雇用政策であることを私が繰り返し書いてきたことを知っているでしょう。その意味では、米国で金融緩和により失業率が低下し、有効求人倍率が上昇してきたのは、私にとっては想定内のことです。

失業率の定義は、労働力人口に対する完全失業者の占める割合です。完全失業者は労働力人口から就業者を引いたものなので、失業率は、1から就業者数の労働力人口に対する割合を引いた数になります。

トランプ大統領は金融政策と為替の関係を理解しているようです。これは考えてみれば、簡単なことなのですが、これを理解しない人は結構多いようです。

金融緩和にはいくつかの方法がありますが、この世界に緩和の方法がお札を刷り増すことしかなかったとします。そうすると、ドルを徹底的に刷ります、すなわち金融緩和を徹底的に行うと、ドルが相対的に増え、ドル安になります。

逆に、米国が大規模な金融緩和をしていないにもかかわらず、日本や、EUが円やユーロを徹底滝に刷り増せば、相対的に円やユーロがドルよりも増えて、ドルの価値が下がり、ドル安になります。

為替の動きは、短期的には様々な要因がありなかなか正確にあてることはできないですが、長期的には米国と他国の金融緩和政策の方向性で6割型は、予想できます。長期では、結局金融政策の方向性でほとんどか決まります。これは、小学生でもわかる理屈です。お金も、相対的に他国、特にドルと比較して多ければ、安くなりますし、少なければば、高くなります。それだけの話です。

トランプ大統領は、金融政策が雇用と、為替に大きく影響することを、どの政治家よりも理解しているようです。それは、不動産業をやってきた実績から、学んだことなのでしょう。

実際トランプ大統領は昨年3月2、共和党関連の行事で演説し、中央銀行の金融引き締め策がドル高を招き、米経済に悪影響を及ぼしているとして米連邦準備理事会(FRB)を再び批判しています。FRBは1月、2019年に2回想定していた追加利上げを見送って「当面は様子見する」方針を示していたのですが、トランプ氏は改めてけん制した格好でした。
トランプ氏は「米国にとって好ましいドル(の水準)を求めている。外国と事業取引するのを妨げるような強すぎるドルは求めていない」と主張しました。名指しを避けつつも「利上げを好み、量的引き締めを好み、非常に強いドルを好む紳士がFRB内に1人いる」と述べ、パウエル議長を暗に批判した。

不動産業はその時々のFRBの政策に大きく影響されます。だから、いつが儲け時なのか、耐え時なのかを判断するには、FRBの金融政策に大きく影響されます。そのため、実践的に金融政策の重要性を学んだのでしょう。

米国経済を見るときのポイントは、失業率とインフレ率です。それに応じて、マクロ経済政策がどのようになるのか、ほとんど予測できます。

実際の金融政策は「テーラー・ルール」によって行われているといわれています。テーラー・ルールとは、1933年にスタンフォード大学のテーラー教授が提唱したもので、オリジナルな形は、インフレ率と実質国内総生産(GDP)水準の2つから、実際に行うべき金利政策がほとんど説明できるというものです。

実質GDP水準は、失業率と密接な関係があるので、インフレ率と失業率から決まるといっても良いです。具体的にいえば、インフレ率がインフレ目標の2%より高い時に利上げ、低い時に利下げとなり、失業率がNAIRU(インフレを加速しない失業率)といわれる4%より高い時に利下げ、低い時には利上げということが多いとされてきました。

昨年の4月の米国のインフレ率は2%、失業率は3.6%でした。この時点で過去1年くらい、失業率は4%以下となっており、従来のテーラー・ルールからみれば利上げになるという状況でした。

米経済で、失業率が4%を下回ることは極めて珍しいです。戦後を見ても、1960年代後半の4年間程度に見られただけの「超人手不足」状態でした。

これまでであれば、インフレ率がかなり高くなっているはずでしたが、まだ高くなっていませんでした。まさにインフレ目標2%の範囲内になっていました。

当時は、じわりとインフレ率が高まりつつありましたが、より重要な将来のインフレ予想はそうでもありませんでした。

インフレ予想は、物価連動国債と通常国債の金利差である「ブレークイーブン・インフレ率」によって測ることができます。そのデータを見ると、2017年以降、2%の上下0.2ポイント程度で安定していました(5年物)。

従来のデータでは、米国のNAIRUは4%程度というのが定説ですが、ここ1年くらい失業率が4%を下回りながらも、インフレ率が上がっていないということは、NAIRUが3%台半ばになっているのかもしれないことが認識できました。

「超完全雇用」であっても、雇用のミスマッチや、避けられない失業があるためにゼロにはならない。ただ、最近は、インターネットの発達などにより、雇用のミスマッチが少なくなっていることも考えられます。

このブログでは、失業率を事実上の最低ラインのNAIRU(インフレを加速しない失業率)になるように、一方で経済が過熱しないようにインフレ目標があると説明してきました。もし、NAIRUが3%台半ばであれば、それに対応するインフレ目標は2%台半ばになっている可能性もありました。その場合、当時のインフレ率や失業率であれば、利下げの可能性もありえました。結局は、FRBはトランプ大統領の圧力もあって、利下げはしませんでした。

その結果として、上の記事でも示されるいるように、米国の雇用は過去最高の2019年の後、2020年の米国経済は再び強い雇用報告で始まったのです。昨年起きたように、1月の雇用増加は予測を破り、賃金は3パーセント以上上昇し、失業率は歴史的な低さかそれに近い数字を保ったのです。

日銀はNAIRUを無視して事実上の利上げである「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」を行っています。米国の動きは、円高を加速させる可能性はかなりありました。そうして、実際そうなっています。

以下は、マクロ政策・フイリップス曲線といわれるものです。数値は日本のものです。日本では、NAIRU最近まで、3%台と思われてきたのですが、3%切ってもインフレ目標が達成されないため、2%台であると認識されるようになりました。米国の場合はNAIRUは従来は4%台であると認識されていたのですが、米国でも失業率が3%台になっても、目立った物価上昇はみられず、NAIRUが3%台であると認識されるようになりました。

マクロ政策・フィリップス曲線

さらに、財務省は昨年10月に消費税増税を実行してしまいました。2014年の増税のときも、それまで積み上げてきた、日銀による金融緩和の成果をぶち壊しにしました。特に、インフレ目標(物価目標)の実現はさらに遠のきました。ただし、緩和は継続されてきたので、雇用の良さはすぐに戻ってきました。

しかし、イールドカーブ・コントロールが実施され、消費税が10%に増税された後はどうなるのでしょうか。日銀が今のまま、抑制気味の金融緩和政策を継続し続ければ、せっかくの金融緩和の成果である、雇用はまた悪化し、インフレ目標実現もさらに遠のいてしまうでしょう。

韓国に至っては、金融緩和をしないで最低賃金だけを機械的にあげたので、大方のエコノミストの予想通り、雇用が激減してとんでもないことになりました。


トランプ大統領は、先の述べたように、金融政策と雇用、為替の関係を理解しているようで、そのせいでしょうが、上の記事にも示されているように空前の雇用の良さを実現しています。

しかし、日本では未だにインフレ目標も達成できず、それでも安倍総理は日銀をトランプ大統領がFRBを批判したようには、批判していません。韓国では、金融緩和をせずに機械的に最低賃金を上げて、雇用が激減する有様です。

安倍総理に関しては、少なくとも文韓国大統領よりは、金融政策に関しては理解があるようですが、それにしても、現在はまさに大規模な緩和のやりどきなのにもかかわらず、実際には日銀を動かせていません。文韓国大統領は、なりふり構わぬ、親北姿勢を崩しませんが、そのようなことの前に、まずは正しい金融緩和政策を実施して、韓国の雇用市場を立て直すべきです。

これは、総理や大統領だけではなく、両国の他の与野党の政治家にも言えることです。親北や「もりかけ桜」は、政治家のメインの仕事ではありません。まともな政治家は、まずは政府だけが実行できるまともなマクロ経済政策を理解し、まともな政策を実行できるように動くべきです。それができない政治家は、政治家とはいえません。単なる政治屋です。

両国とも、米国を見習って、まともな金融政策を実施すべきです。それによって、雇用がよくなり、さらに経済にも良い影響を及ぼすのは確実です。特に、トランプ大統領の金融政策に対する姿勢を学ぶべきです。

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新型肺炎、中国の“衝撃”惨状 感染者「27万人以上」予測も…習政権は“隠蔽”に奔走、「国賓」来日に潜む危険 ―【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

中国発「新型肺炎」

習近平(左)と李克強(右)のコンビを信用できるのか

中国本土で、新型コロナウイルスによる肺炎が「パンデミック(感染爆発)」状態となっている。一日あたりの感染者増加は2000人以上。中国当局は「春節(旧正月)」の大型連休が明けた3日、さらなる感染拡大を防ぐため厳戒態勢を敷いている。こうしたなか、フィリピンで2日、新型肺炎で中国人男性が死亡したと発表された。世界保健機関(WHO)によると中国国外での死者は初めて。地球規模の混乱が続くなか、今年4月、天皇、皇后両陛下が接遇される「国賓」として、中国の習近平国家主席を迎えられるのか? 中国事情に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏が、大手メディアが伝えない「衝撃の裏情報」に迫る緊急寄稿第2弾-。


 「2月4日には、新型ウイルスが発生した湖北省武漢市で13万人から27万人以上の感染者が予測される。ほかに最大規模の感染者が予想される中国の都市は、上海、北京、広州、重慶、成都だ」

 「飛行機での移動を通じて感染拡大の危険性が高い国や特別行政区は、タイと日本、台湾、香港、韓国である」

 これは、英国ランカスター大学と、同グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国フロリダ大学の感染症生物学者の専門家が1月23日、今後の14日間の新型肺炎の流行予測として発表した内容である。

 武漢市からのチャーター機3機で日本に帰国した計565人の中に、感染者は8人いた。感染割合は1・5%弱となる。武漢市の人口は約1100万人なので、16万人以上が感染してもおかしくはない。

 しかも、中国政府が隠蔽に奔走していた間に、北京や上海はじめ中国全土にウイルスが拡散してしまった。英BBCは先月31日、「チベットでも感染者が確認されたことは、中国すべての地域にウイルスが到達したことを意味する」と報じた。

中国メディアによると、3日朝時点で、中国全土の死者は360人、感染者は1万6000人超という。感染拡大が加速するなか、習近平政権は「情報統制」にますます力を注いでいるように感じる。

 新華網によると、中国の巨大メッセージアプリ「WeChat(微信)」のセキュリティーセンターは先月25日、「新型肺炎に関する噂の特別管理公告」を発表した。「SNSでの伝達、伝聞の類の噂話は社会秩序を著しく乱すため、3年以下の懲役、拘束または管理対象とする。重大な結果を招く者は、3~7年以下の懲役に処せられる」という。

 さらに、李克強首相(中国共産党序列2位)をトップ(組長)とする、「アウトブレーク(集団発生)を防ぎ制御する領導小組(疫情防控領導小組)」が立ち上がった。宣伝担当の王滬寧・政治局常務委員(同5位)を副組長に、中央宣伝部部長、公安部部長など党幹部がメンバー入りした。

 これに対し、中国国内では「医師や学者など専門家がいない!」「人民の命は後回しか」「目的は人民の怒りの封じ込めと、情報漏洩(ろうえい)を防ぐことだ」との揶揄(やゆ)が飛んでいる。また、「これまで、複数の組長になってきた習主席が、責任を李首相に押し付けようとしている」との皮肉も聞こえる。

 混乱をよそに、中国各地からは「意を決した」人民によるさまざまな情報や写真、映像が拡散され続けている。

 武漢の協和病院では、1人の肺炎患者を治療したところ、14人の医療従事者が同時に感染したという。また、上海では先月末までに、市内201カ所の公園が閉鎖された。上海で最も有名な繁華街「南京路」が“無人状態”となっている写真も流出している。

 また、北京大学呼吸器科の主任医師が、中国中央電視台(CCTV)で「(新型肺炎の流行は)制御可能」「医師と看護師など医療現場での感染者はない」と語り、党幹部らと武漢市を訪れた後、自身の感染が発覚して隔離された、という話もある。「北京の病院は国家安全部(=情報機関)に管理され始めている」との情報もある。

 ロイター通信は、封鎖されて7日目の武漢市の様子を航空写真で公開した。中国メディアの一部は「死城(死んだ街)」と表現した。

 ■習主席「国賓」来日の危険度

 また、中国内外からは、「武漢市の海鮮市場からウイルス感染が広がったのではなく、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、エボラ出血熱といった危険な病原体を研究するために指定された中国唯一の研究室『武漢P4研究室』から生物化学兵器が漏れた」という説とともに、犯人捜しがヒートアップしている。

 情報が錯綜(さくそう)するなかで流れる「習政権は、昨秋から戦争の準備をしていた」とか、「9月には、すでに新型コロナウイルスが存在していた」という話も、フェイクとは言い切れなくなった。

 なぜなら、武漢天河国際空港の税関で「コロナウイルスの感染が1例検出された」という想定での緊急訓練活動が昨年9月18日に実施されたことを、湖北省の官製メディアが報じているからだ。

 さて、問題は日本だ。

 日中両政府は現在、習主席の4月上旬の「国賓」来日で調整している。実現すれば、習主席は中国から大勢の同行者とともに来日するが、その中に「自覚なき感染者」が含まれていないともかぎらない。

 国賓の場合、天皇、皇后両陛下による歓迎行事や会見、宮中晩さん会などが催される。両陛下や皇族の方々が、新型肺炎に感染しないと誰が保証できるのか。

 情報の「開示」どころか「隠蔽」に走る習政権のメンツを立てることが最優先事項なのか? 永田町が「国民の安全」と「国体の護持」について真剣に考えているとは到底思えない。

【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

上の記事にもある、新型コロナウィルスがHIVからデザインされた生物兵器というのはインドの研究チームの早とちりのようです。新型の遺伝子はSARSなどと96%一致。HIVと同じとされている部分は他の生物にもたくさん存在する配列のようです。そもそも、新型コロナウィルスには、遺伝子編集された痕跡がないとのことで、生物兵器説はないと見て良いでしょう。

それに、生物兵器であれば、ウィルスの蔓延を防いだり、治療方法も開発してあるでしょうから、発症・感染の初期にはやめに対策を打てたはずですから、現状をみていると、そのようなことはないようなので、こちらの観点からも、やはり生物兵器説はあり得ないと断じて良いでしょう。この点以外は、冒頭の記事の内容は、概ね信憑性があるものと思います。



ところで、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で3日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。2日にも確認しており、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは2日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

中国は新型肺炎で、大変なはずですが、そのような大変な時にもかかわらず、今年に入ってから皆勤賞です。1日も欠かさず「毎日」来ています。今日で28日連続です。

自民党幹事長二階氏が「親戚の人が病になったとという思い」とマスク100万枚送った国からの仕打ちがこれです。馬鹿馬鹿しくてもはや腹も立たないです。政治家の言葉はまさに政治的駆け引きの道具ですから、時には歯の浮くお世辞も必要ですが、時機もわからないご老体には無理な話だったようです。二階幹事長の勇退と習近平主席の国賓招聘中止をあわせて求めたいです。


そうして、中国外務省は1日、春に予定する習近平国家主席の国賓訪日に向けた準備を日本側と継続する考えを示し、新型肺炎の拡大やそれを受けた日本側の渡航制限などの対応は訪日計画に影響しないとの見解を示しました。
日本側と密接に連絡を取り合っていると強調。「重要な外交議題と日程を順調に進める」ため、日本側と努力を続けるとしました。
日本政府は中国湖北省から新型肺炎が拡大したことを受け、14日以内に湖北省に滞在歴がある外国人の入国拒否を開始。同省を除く中国全土の感染症危険情報を「不要不急の渡航の自粛」を求めるレベル2に引き上げました。
コロナウイルスを蔓延する最中に、中国ではH5N1鳥インフルエンザが同時に爆発的広げてます。ウイルスが高伝染性と発表されています。

このような状況では、本来ならば、中国側から訪問の延期などを打診するのが普通だと思います。逆の立場になったと考えれば、すぐにわかります。安倍総理が4月に中国訪問を予定していて、日本で大規模な伝染病が発生した場合、普通は日本側から延期を申しでるなどのことをするはずです。

これは、日本に限らず、他の先進国が同じ陽な立場にたった場合、同じようなことをするでしょう。少なくも現時点では様子見ということになるでしょう。

それだけ、習近平とその取り巻きには、世間一般常識がないということだと思います。まさに日本に対する無礼の極みです。国内で、自分たちの思い通りにゴリ押しをしてきたので、外国にまでそれが効くと勘違いしている大馬鹿共の集まりです。

非常識な習近平は中国内でもかなり浮いた存在になっているようです。このままだと、習近平国賓招待される前に、習近平が失脚する可能性が高くなりました。

共産党内部ではコロナウイルスのトラブルに習近平の無能を責めたてられるでしょう。もし安倍首相が習近平招待を盛大にアピールする最中に習近平が失脚したとしたら、チャイナマネーに理性を失った愚かな日本として、世界の物笑いの種になるでしょう。

ところで、安倍総理は国会で新型コロナウイルスの感染拡大を受け台湾のWHO参加の必要性を強調しました。政治的な立場で排除しては、地域全体を含めた健康維持、感染の防止は難しいとさらっと爆弾発言をしました。

   安倍首相は30日、新型コロナウイルスの感染例が増加し
   ていることを受けて、台湾のWHO加盟を支持した

これは、明らかに中共を念頭に置いており、安倍総理個人としては習近平の国賓招待に積極的ではないとのほのめかしとも受け取れる発言です。呼びたい真犯人は、やはり二階幹事長でしょうか。安倍総理としては、党内政治力学で、二階氏を無下に突き放すということもできないのでしょう。

日本の親中政治家にも、そろそろ目覚めていただきたいものです。米国ではもはや、政治的には、親中派の居場所はなくなりました。なぜそうなるのか、日本の親中政治家も勉強すべきです。そうでないと、彼らの居場所が日本でもなくなるでしょう。

しかし、そんなことは今では子供でも理解できることだと思います。国内外で、非道の限りをつくし、反対するものは、暴力で弾圧し、WTOやWHOなどのような国際組織においても札束にものをいわせ、我が物がを振る舞い、他国の領土にも平気で侵略して我が物にし、挙げ句の果てに世界唯一の超大国である米国の怒りを買い、米国は中国が体制を変えるか、経済的に無意味な存在になるまで、対中冷戦を継続することでしょう。

これは、どう考えても、現在の中国の体制には、将来はないと見るのが、当たり前でしょう。それでも、中国、中国というのは、すでに妄想の中に入り込んでしまっているのかもしれません。

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2019年10月17日木曜日

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測―【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!

トランプは大差で再選される──最も当たる調査会社が予測
Historically Accurate Forecast Predicts Trump Win in 2020 
ニューズ・ウィーク

フロリダ州オーランドの選挙集会で再選への出馬表明をしたトランプ大統領夫妻(6月18日)

<1980年の大統領選以来、一度しか予測を外したことのないムーディーズ・アナリティカがトランプ勝利を予測する背景は>

2020年米大統領選挙をめぐる世論調査で、ドナルド・トランプ大統領は現在のところ、民主党の複数の有力候補に遅れをとっている。だが、正確さで定評のある大統領選予測モデルを擁する調査会社ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが大差で勝つと予測している。

同社は、1980年以降すべての大統領選で勝者を的中させてきた。唯一外れたのは、トランプとヒラリー・クリントンが対決した2016年の大統領選だけ。もっともこの時は、他の予測もほとんどがクリントンの勝利を予測した。トランプ勝利を予測できたほうが例外的だ。

赤がトランプ(共和党)が勝つと予想される州、そして青が民主党が勝つと予想される州。
    ムーディーズ・アナリティクスは、トランプが激戦州を制すると予想

ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ、ダン・ホワイト、バーナード・イェーボスの3人は、「2016年大統領選で予測が初めて失敗した理由の一つは、想定外の人々が投票に出かけたことだった」と書いている。

「我が社のモデルは、候補者がどの政党の支持者かという以外の個人属性を考慮していなかった。つまりトランプとクリントンの得票は、それぞれの所属政党の支持者の動向で決まると思っていたが、そうではなかった」

ムーディーズは、経済面で3つのモデルを使って予測を立てているが、いずれのケースでも、2020年の大統領選でトランプは少なくとも全部で538人の選挙人中289人を獲得する見通しだという。

市場の評価は今一つだが

3つのモデルのうち1つ目の「財布」モデルでは、経済についての3つの変数を重視している。ガソリン価格、住宅価格、個人所得の3つだ。いずれも、価格の変動が財布の中味に直結する。好調な米経済を背景に、トランプがいちばん大差で勝つのはこのモデルで、351人という圧倒的な選挙人を獲得する。

「有権者が主として自分の懐具合に基づいて投票した場合、トランプが圧勝するだろう」とムーディーズ・アナリティクスのリポートは書く。

2つめは「株式市場」モデルで、これがトランプにとっては最も厳しい。ここで重視するのは、スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数とそこに組み込まれている優良企業500社の収益動向だ。米企業と株式市場は今、主にトランプの貿易政策をめぐる不透明感から悪影響を受けている。だからトランプに厳しくなるが、それでも、現時点ではまだトランプが勝つという予測になっている。

最後の「失業率」モデルでは、現在の低失業率が来年半ばごろまで続くという見通しを背景に、トランプの楽勝を予測する。

ムーディーズ・アナリティクスは、前回の大統領選では予測を外したものの、同社が2016年にトランプの大統領在任中の経済状況について行った予測は、おおむね現実になっている。

<参考記事>嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
<参考記事>民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレ

2016年、ムーディーズ・アナリティクスはトランプ政権下の経済について以下のように予測した。

「トランプの経済政策は、米国経済の孤立化を深める結果になるだろう。国際貿易と移民は大幅に減少する。貿易と移民の減少に伴い、外国からの直接投資も減少するだろう」

「この分析のもとになった経済モデルや根本的な仮定の正確さに若干の変動があったとしても、トランプの経済政策の影響に関しては、次の4つの基本的な結論が得られる。1) 米国経済の国際性が低下する結果になる。2) 政府の赤字と負債が増加する。3) きわめて高収入の世帯が主に恩恵を受ける。4) 米国経済が弱体化し、雇用が減少して失業率が上昇する」

もっとも、2020年の大統領選についてもまた外れる可能性はあると、ムーディーズ・アナリティカは警告する。トランプの経済政策には「詳細が欠けているため、定量化には複雑さが伴う」という。

「トランプという候補が過去の例からあまりにも逸脱しているために、モデルがうまく機能しない可能性もある」とザンディは述べる。「結局、モデル化できない原動力に結果を左右されていた、ということになるかもしれない」

【私の論評】現時点で、トランプの再選はないと、どや顔で語るのは最悪(゚д゚)!
米国のトランプ大統領は、日米メディアや、日米リベラル左翼からは史上最も人気のない大統領と思われているようです。政権はスタッフの入れ替わりが激しく、主要な政策を進めるのにも苦労しています。それでも、トランプ大統領が2020年に再選される可能性は高そうです。

トランプ大統領

ギャラップが4月17~30日世論調査では、トランプ大統領の支持率は約45%でした。これはオバマ前大統領の同時期の支持率とほとんど変わらず、前大統領は2012年に再選されています。

2011年4月中旬にオバマ前大統領が再選を目指すと発表した直後、その支持率は43%から45%あたりを推移していました —— まさにトランプ大統領のう4月の水準と同じです。

なお、ギャラップによると1995年4月中旬に支持率が46%だったクリントン元大統領も、再選を果たしています。

トランプ大統領には現職大統領として、資金集めの面で有利です。民主党候補には2月から3月にかけて数多くが名乗りを上げていて、立候補者の間で資金が割れてしまっています。

トランプ大統領は2019年の第1四半期に3000万ドルを集め、総額約4000万の現金が手元にあります。一方、民主党内の候補者としては、資金集めでリードしている民主党のバーニー・サンダース上院議員が第1四半期に集めたのは1820万ドル、カマラ・ハリス上院議員は1200万ドルでした。

同時に、有権者はトランプ大統領の経済政策を圧倒的に支持しているようです。これも再選を目指すトランプ大統領にとっては良いサインです。

直近のデータは、4月時点では、アメリカの雇用市場は依然として好調で、賃金も上昇していました。9月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が緩やかな伸びを示しました。これは製造業の軟調さが経済全体に広がっている兆しを示している可能性がある一方で、雇用の伸び鈍化は予想の範囲内で基本的には労働市場は健全であることが単に示されただけかもしれないと受け止められています。

消費マインドも4月には不況以来、最も高い水準に近いことを示していました。8月の米小売売上高で、前月比0.4%増と、市場予想の0.2%を上回る大幅な伸びとなりました。これらを見る限り、米中冷戦によね製造業のマインド悪化が雇用や賃金、個人消費など、人々のおサイフや消費行動にまで波及している様子は伺えないです。そうして過去のデータを見ると、経済が好調だと大統領の再選の可能性が高まることも分かっています。ただし、そのつながりは近年、弱まっているようです。

CNNが3月中旬に実施した世論調査で、アメリカ人の71%は経済がうまくいっていると回答。これは2001年以来、最も高い数字です。

同調査では、回答者の過半数(51%)がトランプ大統領の経済政策を支持しています。これは調査会社「リアル・クリア・ポリティクス」が出した各社の世論調査(トランプ大統領の経済政策への支持)の平均値、51.5%とほぼ同じです。

さらに、ジョージタウン・インスティテュート・オブ・ポリティクス・アンド・パブリック・サービス(Georgetown Institute of Politics and Public Service)が3月下旬から4月上旬にかけて実施した「バトルグラウンド・ポール(Battleground Poll)」調査では、2020年の大統領選で投票する「可能性が高い」と見られる登録有権者の58%が、トランプ大統領が経済のためにやってきた仕事を支持すると回答しています。

同調査ではまた、回答者の55%がトランプ大統領を全体として支持しないと答え、57%がアメリカは誤った方向へ向かっていると答えています。しかし、共和党支持者の間でトランプ大統領を支持する有権者は依然として多く、その74%が米国は正しい方向へ進んでいると答えました。

そして、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2月に実施した調査では、米国人にとって最大の課題は経済の強化と考えられていることが分かりました。ただし、調査によってはヘルスケアといった別の課題が経済よりも上位にきています。

再選に向けて、トランプ大統領の経済政策に対するプラスの評価がどれだけのアドバンテージになっているかは分からないが、マイナスになることはないようです。

さらに、今回の、ムーディーズ・アナリティカの分析によっても、トランプ大統領の勝利が予測されています。

さらに、このブログでも解説したように、米国では最初から禁じ手とわかっている「弾劾」を今回だけではなく、過去にも画策して結局失敗した民主党は、相当追い詰められているとみべきです。その記事のリンクを以下に掲載しておきます。
民主党へのしっぺ返しもあるトランプ弾劾調査―【私の論評】トランプ弾劾は不可能、禁じ手を複数回繰り出す民主党は相当追い詰められている(゚д゚)!
リチャード・ニクソン氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、米国では民主的手続きで選ばれた大統領を弾劾することについては、党派を問わず反対する人も多いにもかかわらず、民主党は複数回にわたってトランプ大統領を弾劾しようとしており、これは民主党が大統領選ではよほど窮地に立たされている見るべきであるとの結論を下しました。

この予想や、今年はじめの複数の調査会社の調査結果や、今回のムーディーズ・アナリティカの調査においても、トランプ大統領が大統領選で大差で再選されると予測しているわけですから、よほどのことがない限り、トランプ氏が再選されるとみて間違いないのではないでしょうか。

ただし、選挙は水ものですから、最後の最後までどうなるかはわかりはしません。ただし、現時点で、トランプは弾劾されるとか、トランプの再選はないと、さしたる裏付けもないにもかかわらず、日米のテレビや新聞の情報だけで判断して、どや顔で語るのはやめておいたほうが良いと思います。

はっきりいいますが、そのようなことをすれば、馬鹿と思われるだけでなく、信用を失います。

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2019年6月29日土曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 参院選の自民議席、数量分析から予測すると...―【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!


解散恐怖症で党首討論を無為に費やした野党

    2019年6月26日、国会が会期末を迎えた。これで、7月4日公示、21日投開票が確定した。

    今国会での法案提出は新規57本、そのうち54本が成立した。与野党の対決法案は少なく、今国会はいつでも「解散可能」な状態だった。このため、野党はかなりビビった。19日の党首討論でも、解散せよと迫る野党はほぼなく、党首討論で安倍首相が解散しないと確信すると、形式的に内閣不信任決議案を後出しで出す始末だった。

    はっきりいって、党内事情から解散を迫れない野党は、自民党にとってはこわくない。それは、党首討論において安倍首相が余裕綽々だったことからもわかる。

マスコミが年金問題を「煽る」理由

自民党にとって恐ろしいのは世論である。消費増税を10月と決めたので、選挙では逆風もあるだろう。マスコミは消費増税を賛成し軽減税率をほしいので、年金問題が自民党にとって逆風要因と書くだろう。しかし、年金で老後のすべてを面倒見るとは不可能であることを国民は知っている。「年金」と煽っているのは、消費増税を目立たなくしたいマスコミなのだ。

年金問題を煽るマスコミ

ともあれ、消費増税が決まったので、いくらマスコミが書かなくても、国民には不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。これから、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがでてくる。実際、21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党支持率は5.1ポイント低下し31.6%になった。

筆者は、数量分析を専門としているので、経済のみならず、外交軍事から感染症流行まで幅広く分析対象としているが、選挙も例外ではない。いわゆる選挙予測である。この分野は、日本では政治評論家が地道に足で調べた結果ばかりである。足で調べたというものの、ごく少ないサンプル調査でしかない。マスコミはそうした人からの「独特の分析」を掲載している。各政党も独自に調査をしているが、はっきりいってコストパフォーマンスはそれほど良くない。筆者はそうした調査を否定する者ではないが、別のアプローチで選挙予測をする。それは、内閣支持率と自民党支持率から統計的に算出するものだ。

「青木方程式」を活用してみる

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄・元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測に使うのだ。

直近の調査でなく前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない。

今週はG20で安倍首相のテレビ露出はかなり大きくなる。ただし、投開票の7月21日まで、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで持ちこたえられるか。補正予算などの追加措置をいうだろうが、となるとなぜ消費増税なのかという不満がさらに増すかもしれない。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)など。

【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!

国会は26日に会期末を迎えました。25日に野党側から衆議院に提出された内閣不信任決議案は否決されました。与野党の攻防の舞台は7月の参議院選挙に移りました。

今国会に提出された法案を見ると、5月以降はほとんど法案の審議がない状況でした。そのためいつでも解散できるような状態でしたが、結果的に安倍総理はしませんでした。なぜかということは、安倍総理しかわかりません。

ただし推測すると、これは解散するときに消費増税は延期もしくは凍結という話が出るでことになったでしょうが、麻生財務大臣としては、消費増税を実施したいという強い意向があり、これ優先したのだと思います。

結局、安倍総理は、財務省の文書変更、書き換えがあっても、普通ならば大臣の首は飛ぶところですが、それでも安倍総理は麻生財務大臣を守りました。次官のセクハラがあったときも守りました。

昨年の財務省の不祥事と人事をめぐる動き

徹底的に安倍総理は麻生大臣守ったのです。政権運営のためには、麻生大臣は切れなかったのでしょう。財務省もそれをよく熟知し、そこにつけ込みし消費増税の話を仕込んだのではないでしょうか。そう考えないと筋が通りません。

国会開催中でないと衆議院解散はできませんから。国会が終わったら衆議院は開かれないので、解散ができませんから、衆院解散、衆参同時選挙の芽は完全になくなったとみるべきでしょう。

消費増税の内容は、骨太の方針に先週21日に掲載されました。行政手続き論的には、骨太の方針の6月21日に閣議決定して、消費税増税もう決まりです。

その前にそういう動きになっていて、あとは手順だけでした。今回のこの動きは、財務省の影響力がかなり大きいです。

財政審議会の建議というものがあります。昔は財政審の建議が出て、それが経済運営の基本だったのですが、2001年から「骨太の方針」が出て、建議の意味があまりなくなりました。

「骨太の方針」のだいたい3週間くらい前に建議出すことになっていたのです。前に出さないと意味がないですから。いままで最短でも2週間、多くは1ヵ月というときもありましたが、3週間が普通でした。でも今年(2019年)は何と、建議が6月19日でした。そうして、骨太の方針が閣議決定されたのが、21日でした。

21日、19日、これはほとんど同時です。ということは、完全に財務省の官僚が予算のコントロールできて、それを実行したということです。

従来予算編成は財務官僚が完全握っていた時期がありましたが、それを大枠だけでも政治主導でやって行こうというのが「骨太の方針」の趣旨でした。

財務省の財政審の建議が3週間前に行われていたということが、財務省があまりパワーを持っていなかったことの証左でした。ところが、今回は21日と19日、ほぼ同時です。もう完全に財務官僚が予算編成のパワーを持ったということです。

メディアの報道を見ていると、安倍政権は長期政権となり、官邸主導だから行政が歪められているようなことを報道してますが、むしろ逆行してしまいました。2000年からの財政審の建議の日と骨太を見れば、3週間前という綺麗な関係があるのに、今年に限って2日です。こうなってしまうと、消費増税増税も確実に実施されることになります。

麻生氏は、安倍政権のなかの政権運営のための重要人物ですからから、財務大臣である麻生氏を経由して様々なことを財務省ができたのではないでしょうか。

安倍総理と麻生財務大臣

消費増税をして、経済は当然冷え込むだろうと多く人が指摘しています。少しでも冷え込みを回避するために補正予算を組もうと思っても、それすら財務省が緊縮路線ということになるととんでもないことになる可能性もあります。

補正予算でいちばん簡単なのは、国債費を積み増しして、だいたい2兆円くらい余計に積んでいます。それをそのまま使うことです。国債費をたくさん積んでも金利は低いですから、実は不要だと使わなくなるのが普通です。そうなると後で減額修正しなければならなくなります。

減額修正するのだったら、それを補正で使うのが普通のパターンです。これがいちばん簡単なやり方です。ただし、そもそも2兆円では焼け石水ですし、さらに財務省がそうするかどうかはなはだ疑問ですし、もし財務省がそうしなければ、とんでもないことになります。無論経済は悪化し、デフレに舞い戻るのは必至です。

いずれにしても、現在内閣支持率が落ちているところにきて、与党は増税を前提として、参院選を戦わなければならなくなります。そうなると、冒頭の記事にあるとおり、「前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない」ということになりかねないです。

さらに、今後自民党総裁の任期が満了する21年9月末までの間で「解散カード」を切る時期は限られてきます。しかも、これが増税の後に行われることになれば、やはり政権の支持率が落ちかなり不利な情勢になります。

参院選後の10月には消費税率が10%に引き上げられます。党内には「増税前にやらないと難しくなる」(中堅議員)との見方があります。しかし、7月21日投開票の見込みの参院選後には議長をはじめとする参院人事や内閣改造が行われます。

このようなことが予め予想されているのですが、政権運営のためには麻生氏切りで財務省の力を鈍化させることはできないという、ジレンマに安倍総理はさらされているのです。

こうなると、参院選挙後の内閣人事が注目されます。このときに麻生氏が財務大臣にならなければ、安倍政権は何らかの活路を見出して財務省に対して戦いを挑み始めたということです。

何らかのウルトラCで、10月増税を阻止するか、それができなくても、ひよっとして短期間のうちに、10%増税から減税するかもしれません。

仮に、今回の参院選挙後の内閣改造でなくても、その後の内閣改造で、麻生氏が財務大臣にならなければ、その芽はでてきます。そうでないと、経済は悪化の一途をたどり、憲法改正もできず、おそらく安倍内閣はレイムダックになることでしょう。

それと同時に、財務省の実体も最近では一部のメディア様々に報道されるようになってきたため、財務省に対する国民の不満もつのることになるでしょう。最近は、テレビをワイドショーで以前は財務官僚を「リスペクト」すると言っていた、弁護士のコメンテーターが、財務官僚を批判していて、時代の変化を感じました。そのことは、安倍総理が一番知っていることでしょう。なんとかして、安倍総理に活路を見出していただきたいものです。

それにしても、日本では財務省が政治のネックになっていることは確かです。財務省は、本来会社でいえば、財務部のようなものであり、会社の一部門にすぎません。ところが、これが実質的に金の力で、取締役を支配しているような歪な構造になっています。これはいずれ何とかしなければならない最大の課題です。

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