2019年6月9日日曜日

日本を危険にさらす財務省「ヤバい本音」〜教育に金は出せないって…―【私の論評】希望にあふれる未来を次世代の国民に約束するため、教育や研究に投資するのは当然のこと(゚д゚)!

日本を危険にさらす財務省「ヤバい本音」〜教育に金は出せないって…

そもそも「税でまかなう」は間違いです


教育は「見返りが少ない」って…?

「知識に投資することは、常に最大の利益をもたらす」というのは、18世紀米国の政治家、ベンジャミン・フランクリンの言葉だ。

現代の政治において、政府ができる最大の「知識の投資」とは、もちろん教育のことである。実際、将来の所得を増やす実証分析は多く、たとえば大学や専門学校などの「高等教育」と呼ばれる教育は、将来の所得増・失業減などによって、2.4倍の費用対経済的便益があるという。

政府も教育投資を純粋に進める方針を取ればいいのだが、財務省の理屈が絡むと話がこじれるのが常だ。

5月16日、財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会歳出改革部会が開かれ、高等教育にかかる経済的負担軽減について議論した。

このなかで、6年制薬学部の卒業率や薬剤師合格率を例示し、基本的な教育の質を保証できていない大学があるとした。こうした大学は、財政負担軽減の対象除外とすることを徹底すべきとの考えが上がったのだ。

財政審は各界から有識者を集めているが、結局財務省官僚のお手盛りのメンバーにすぎない。そのため、財政審の意見には財務省の「本音」が見え隠れする。「教育の質」に関する議論がたびたび起こるが、これは財務省のソロバンの上では、教育が「見返りが少ない」投資対象だと思われていることにある。

教育投資が非常に重要であることは冒頭で述べたとおりだ。ただでさえ財務省は、消費増税によって学生の経済状況を苦しめることになるのに、何を言っているのかと思うのが普通だろう。

たしかに教育や大学の基礎研究は、大規模で結果に結びつくまでの期間が長い。だからこそ、民間部門ではなく公的部門として主導し、国債を発行すれば、財源を確保しつつ将来の税収増で十分な見返りが見込まれる。にもかかわらず、教育を税財源で補う前提の財務省は、一部の薬学部のケースを例に挙げ、まるで社会の負担であるかのように言うのだ。

国債を発行すれば済む話

これは民間の企業であれば、本来行うべき投資を単なる費用と勘違いしてケチり、結局会社を潰す典型的なダメ経営者と似ている。

基礎研究と教育の財源は、国債発行によって賄うべきだという考え方は、じつは旧大蔵省にはあったものだ。かつて本コラムでも触れたが、小村武元大蔵事務次官の『予算と財政法』という本に、興味深い記述がある。この本は財務省主計局の「法規バイブル」であり、本来であれば財務省の「公式見解」とみるべきものだ。


同書には「投資の対象が、通常のインフラストラクチャーのような有形固定資産であれば国債で賄うのは当然」のこととし、「研究開発費を例として、基礎研究や教育のような無形固定資産の場合も、建設国債の対象経費としうる」とある。

現在の財務省は、道路や下水道を整備するのに建設国債を発行するのは当たり前と考えていても、教育や研究開発費は目に見えない資産なので、国債を発行してまで投資するものではないと勘違いしているのだろう。

税財源のみで教育を賄おうとするからこそ、無意味な増税を繰り返したり、「教育の質」問題を蒸し返す。根本的なロジックの誤りを認めない財務省は、この国に悪影響を与えるばかりだ。

『週刊現代』2019年6月15日号より

【私の論評】希望にあふれる未来を次世代の国民に約束するため、教育や研究に投資するのは当然のこと(゚д゚)!

大学や専門学校などの「高等教育」と呼ばれる教育は、将来の所得増・失業減などによって、2.4倍の費用対経済的便益があるという事実は昔から経験的に知られていることです。それは、当たり前といえば当たり前です。企業が新人を雇用するのは、この経験則を十分知っているからです。

そもそも、会社のほとんどの仕事は人が実行します。会社で働いている人も、一定の年齢になれば、退職します。新人を雇用しなければ、将来会社は消えることになります。そうして、新人を雇用すれば、様々な資金がかかるだけではなく、入ったばかりの新人は仕事ができないため、訓練や教育を必要とします。

目先の生産性だけを考えれば、新人など採用しないで既存の社員に仕事を実施させれば、経費も訓練や教育のための資金もいりません。しかし、それを続けていれば、会社は発展もしないし、継続すらできません。だからこそ、適切な雇用管理が重要なのでする。

ほとんどの企業は、雇用の重要性を理解しているのですが、それでも企業によってその重要性の理解度は異なります。駄目な会社は、景気が良いと人を多めに雇用し、景気が悪いと人を雇用しないというようなことをします。

そうすると、新しい管理職が必要なときに困ることになります。優秀な管理職を登用するためには、少なくとも6人の候補者が必要ですが、その時に候補者が十分いないということになります。

まともな会社は、その時々の景気に関係なく、将来と現在を見極めて毎年本当に必要な人数を雇用します。景気が悪かったからといって一人も雇わないということはしません。

現在の、財務省の官僚はこのような単純な経験則を十分理解していないようです。将来の日本国のビジョンに基づき、教育や研究に投資しなければ、将来の日本はとんでもない国になるだけです。日本を存続するだけではなく、希望にあふれる未来を次世代の国民に約束するため、教育や研究に投資するのは、当然のことです。

日本は経済大国ですが、財務省の姿勢ともあいまって教育にカネを使わない国であることはよく知られています。その根拠とされるのが、GDP(国内総生産)に占める公的教育費の支出額の割合です。

OECD(経済協力開発機構)の2017年版の教育白書によると、2014年の日本の数値は3.2%と加盟国の中で最も低いです。ここ数年は最下位を免れていたのですが、再び不名誉なランキングに転落してしまいました。

しかし日本は少子化が進んで子どもが少ないので、この割合が低いのは当然という見方もできます。子ども人口比が15%の国と30%の国を同列で比べるのは公平ではないです。そこで、子ども・若者1人あたりの額を試算して比較してみます。

2014年の日本の名目GDPは4兆8531億2100万ドルなので、先ほどの比率(3.2%)をかけて、公的教育費の支出額は1561億200万ドル。これを25歳未満人口(2898万人)で割ると1人あたり5386ドル(約60万円)となります。

同じやり方で、主要国の子ども・若者1人あたりの公的教育費を試算すると<表1>のようになります。


日本は韓国に次いで低いです。子ども・若者1人あたりの絶対額で見ても、教育にカネを使わない国であることは明らかです。スウェーデンは10342ドル(約114万円)と、日本の2倍近くの額を費やしています。

他のOECD加盟国の試算もできます。下の<図1>は、横軸に公的教育費の対GDP比、縦軸に子ども・若者1人あたりの公的教育費をとった座標上に、34カ国を配置したグラフです(瑞はスウェーデンをさす)。公的教育費の相対比率と絶対額が見られるようにしました。


日本の横軸が最下位なのは分かっていますが、子ども・若者1人あたりの公的教育費(縦軸)の絶対額でも少ない部類に属しています。OECD諸国の平均値に達していないです。

対極の右上には、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国があります。ノルウェーでは1人あたり1万9000ドル(約210万円)もの教育費を国が投じています。幼児教育から高等教育までの学費が無償であるのも頷けます。ICT(情報通信技術)教育先進国のデンマークも、教育への公的投資額が多いです。

日本は高等教育への進学率が高く、今や同世代の半分が大学に進学します。それにもかかわらず公的教育投資が少ないため、負担が家計にのしかかっています。高額な学費や貧弱な奨学金は、その表れに他ならないです。OECDの教育・スキル局長も「日本の私費負担は重い。家庭の経済状態による格差をなくすためにも、一層の公的支出が必要だ」と指摘しています(2017年9月12日、日本経済新聞)。

給付型奨学金が導入され、高等教育の無償化の議論が進むなど、日本の教育の現状も変わりつつあります。高等教育のどの部分を対象にするかなど議論の余地は多いですが、法が定める「教育の機会均等」の理念が実現するよう改善が必要です。

そうして、何よりも今必要なのは、国債で教育費を賄うのが当然であるという、財務省に欠けた知識です。このブログでも以前指摘したように、BSを読めず、雇用も理解できず適正な会社運営できない彼らには無理なのかもしれません。

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