2019年5月22日水曜日

【国家の流儀】日本企業の多くが中国に買収され、中国人経営者のもとで日本人が働き… それでいいのか? 今こそデフレ脱却に全力を―【私の論評】過去20年にもわたって世界で日本だけが経済成長しなかったことに国民はもっと怒りを顕にすべき(゚д゚)!


安倍総理は消費税増税を強行するのか

「10月に予定されている消費税率引き上げを実施すれば、デフレ脱却が難しくなるだけでなく、日本発のリーマン・ショック級の危機誘発になりかねず、増税凍結が適切だ」

 国際金融の専門家である本田悦朗前スイス大使は16日、ロイターとのインタビューの中でこう述べた。

 たった2%でも消費税増税は、景気に大きなダメージを与える。

 日本自動車工業会の豊田章夫会長(トヨタ自動車社長)は昨年9月20日、「消費税を3%から5%に引き上げた際は国内需要が101万台ほど減り、二度とそれ以前のレベルに戻っていない」と指摘したうえで、今年の消費税増税によって30万台の需要減、経済効果マイナス2兆円、9万人の雇用減につながる可能性があると訴えた。

 買い物をするたびに“罰金”を科すような消費税という制度は、日本のGDP(国内総生産)の6割を占める個人消費を縮小させてきたのだ。しかも、この個人消費の縮小とデフレが地方の衰退を加速させてきた。

 2014年の時点で、国内の企業数は382万社を数えるが、大企業は1万1000社に過ぎない。これまで380万社に及ぶ中小企業が地方経済を支えてきたのだが、このままだと、その3分の1にあたる127万社が25年までに廃業し、約650万人の雇用と約22兆円のGDP(国内総生産)が失われると言われている。実に、就業者の10人に1人が失業する計算だ。

 そこで、政府も事業承継に伴う税負担の軽減など、中小企業対策に力を入れている。アベノミクスに伴う緩やかな景気回復とともに廃業率は低下する一方、開業率は上昇して17年には5・7%と、1992年以来、25年ぶりの高水準に達した(2019年度版『中小企業白書』)。

 ところが、ここで消費税増税に踏み切ると、再びデフレ、つまり「消費税増税→個人消費の縮小→売り上げ減少→雇用や設備投資の縮小と中小企業の減少→地方経済の衰退→失業率の上昇」という悪循環が再発することになりかねない。

 しかも、このデフレの再発は「日本没落への道」なのだ。

 民主党政権の末期の12年4月、日本経団連は「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」という報告書を出した。この中で、日本経済が今後も低迷するならば、50年時点で「中国、米国、次いでインドが世界超大国の座につく一方で、日本のGDPは中国・米国の6分の1、インドの3分の1以下の規模となり、存在感は著しく低下する」と指摘した。

 日本がデフレ脱却に成功しなければ、いずれ中国の6分の1の経済規模になりかねない。それは「日本の香港化」、つまり日本企業の多くが中国に買収され、中国人経営者のもとで多くの日本人が働くようになることを意味する。

 果たしてそれでいいのか。いまはデフレ脱却に全力を傾けるべきである。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)、『天皇家 百五十年の戦い』(ビジネス社)など多数。

【私の論評】過去20年にもわたって世界で日本だけが経済成長しなかったことに国民はもっと怒りを顕にすべき(゚д゚)!

世界は過去20年で平均2.4倍の経済成長をしています。その中で20年以上全く経済成長をしなかった唯一の国が日本です。その結果、日本は世界の中で著しく存在感を低下させました。他国と比して国力を維持して行くためには、他国並みの経済成長は絶対に必要です。日本人は国力と経済成長の関係を軽視しているのではないでしょうか。以下国力と経済成長の関係を考えてゆくことにします。

国力とは

国力とは国際関係において、その国が持つ様々な要素を総合したものをいいます。要素として考えられるものは、自然、国民、軍事力、経済力、技術力等であると、ジョージタウン大学のレイ・クライン教授は次のような式を提唱しています。
国力=[(人口、領土)+(経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)]
これら諸要素の中で経済力が最も重要であると私は思います。なぜなら軍事力の内訳を見ると軍の戦闘能力(兵員数、兵器の性能、兵站基盤等)は経済力と不可分です。最近、チャイナが軍事大国になっていますが、それはチャイナのGDPが急速に拡大し、その経済力が強大な軍事力を生み出していることからも分かります。

技術力について見ると、日本は従来から技術大国でしたが、これを支えていたのは経済力でした。20年間経済成長をしなかった日本は急速に技術力を低下させています。一例を挙げれば各大学への基礎研究費は文科省が決めるのですが、日本が20年間経済成長をしなかったため、その間日本の各大学の基礎研究費は増えることなくむしろ減少しています。

研究開発費の推移 国際比較

上のグラフは「主要国の研究開発費総額の推移:名目額(OECD 購買力平価換算)」を示しています。1996年から2016年までの推移を見ると、米国は35兆円から50兆円と約1.4倍、チャイナは3兆円から45兆円と実に15倍です。EU、ドイツ、フランス、イギリスも着実に増やしています。その中で日本のみが15兆円で殆ど増えていません。10年前の2006年と比べると減少していることがわかります。

この結果、基礎的な研究、例えば、国際的な論文数、特許件数等、国際的技術力評価で日本は劣勢となっています。


分かり易いのが上の表です。引用される頻度の高い論文数の推移ですが、2002年ごろまで日本は世界第4位であったのが、10年後チャイナだけでなくイタリアやスペインにまで抜かれ10位に転落しています。おそらく最近はもっと順位を落としているのではないかと、情けない気分になります。

論文の数に代表される日本の基礎的な技術力は急速に落ちているようです。精神力だけではどうにもならないのです。世界は平均で約2.4倍の経済成長をしており、各国の研究費は数倍に増えている。日本も他国並みに経済成長をして研究費を増やしていかなければ、早晩技術力を失い、先進国から脱落することになるでしょう。

国力とは経済力

誤解を恐れずに言えば、技術力の例でも分かるように、国力=経済力と言っても間違いはないと思います。政治力、外交力、軍事力、技術力、文化力もその根底には経済力があるのです。

つまり国力の最も基盤のところにあるのが経済力なのです。その大事な経済力が日本の場合、20年以上にわたり停滞していたのです。この責任は政治にあるのは当然ですが、一方で国民にもその責任があるのではないかと思います。

日本は民主主義国です。国民に主権があるのだから、政治が間違っていれば国民が声を上げそれを正さねばならないです。経済の本質を国民が理解していれば政府・財務省・日銀や誤れる経済学者らの誤りに気付いて、これを正すことが出来た筈です。

無論、一部の人たちは、これに対して意見を述べたり、抗議をしていました。私はそれを否定するつもりはありません。しかし多くの国民は20年以上声を上げませんでした。国民も経済の本質が分かっていなかったようです。それこそが本当の問題なのでしょう。

豊かさを取り戻そう

経済の目的は経世済民、即ち国民を豊かに幸せにすることです。憲法第13条にすべての国民は幸福追求の権利があり、政治はこれを最大限尊重すべしとあります。その観点から過去20年間の日本の政治を見ると、完全に失敗だったと言えます。

20年間経済成長をしなかったと言うことは、20年間日本国民の所得が増えなかったと言うことなのです。安倍政権になり多少持ち直していますが、それでもピークの時より国民の所得は減少しています。言い換えれば国民は貧乏になっているのです。このことを指摘する識者は少ないです。

国民が幸せに感じるのは、今日より明日、明日より明後日、所得が増えることで実感するのです。日本の政治は20年間、国民からこの豊かさを奪ってきたのです。今からでもよいプライマリーバランスの達成・緊縮財政などと言うインフレ対策をやめ日銀がさらなる金融緩和を実施し、財務省が財政支出を増やし需要を喚起するという正しいデフレ対策を実行すべきなのです。

今年の10月に増税などやっている場合ではありません。そうしてデフレを脱却すれば他国並みに経済成長が可能となります。国力の元は経済力、経済力の指標は経済成長・GDPの増加であることを認識し、財務省や経済学者のいう「国の財政赤字で財政破綻」という大嘘に騙されることなく、正しいデフレ対策を早く実施すべきなのです。一日も早く政治家は勿論のこと国民が目を覚ますことを願ってやまないです。

以下のグラフは世界主要国が過去20年間にどれだけ経済成長をしたか示したものです。チャイナは13倍、インドは5.7倍、イタリア、ドイツは1.4倍、日本は1.0倍であることが分かります。日本だけ全く成長していないのです。このグラフを見て怒りを感じない日本人が多いのには驚きです。



この期に及んで、未だに増税しようなどと言っている政治家や官僚に対して私達はもっと怒るべきなのです。多くの人々が、幸福をなかなか実感できないとすれば、そのほとんどは自己責任ではなく、実はデータが示すように、少なくとも過去20年間については、大部分が政府の責任なのです。日本人は奥ゆかしいところがあり、なかなかそのようなことはいいませんが、現実はそうなのです。

それは以下のグラフ自殺者数の推移からみてもうかがえます。


最近は、安倍政権が成立してから、自殺者数は2万人台ですが、デフレが深刻だった時期は、毎年の自殺者数のが3万人台で推移していました。

経済政策のまずさは、科学技術の発展を遅らせるだけではなく、人の命まで奪うです。これについては、以前このブログにも詳細に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
“安倍辞めろ”の先にある「失われた20年」とデフレの再来 雇用悪化で社会不安も高まる―【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!
自民党候補の応援演説を行った安倍晋三首相=17年7月1日午後
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、ソ連崩壊後のロシア政府の経済政策がまずすぎて、いっとき男性の平均寿命が、57.6歳にまで落ち込んだことがあります。これは、自殺者やアルコール依存症が増えたためです。経済政策のまずさは、人を殺すこともあるのです。

先に、国力=経済力と言っても間違いはないと書きましたが、経済はいっとき悪くなったにしても、極端に悪くならなければ、優秀な人が存在すれば、いずれ復活することはできます。しかし、人がいなくなれば、それもかないません。

ちなみに、冒頭の記事の江崎氏は、日本経済が今後も低迷するならば、50年時点で「中国、米国、次いでインドが世界超大国の座につく一方で、日本のGDPは中国・米国の6分の1、インドの3分の1以下の規模となり、存在感は著しく低下する」という事実をしてきしています。

この中にロシアはでてきません。どうしてかといえば、現在のロシアの経済規模は、かなり縮小して、GDPは日本の東京都を若干下回っているからです。これは、韓国を下回る水準です。このロシアが今後日本をしのぐような経済大国になることはないです。

やはり、人を大事にしなかったつけがまわって来たのではないかと思います。人を大事にするためにも、経済を落ち込ませせるとか、デフレにしてはいけないのです。

なにやら、日本では、デフレが当たり前になってしまっていますが、日本が過去にデフレでさえなけば、日本も他の国々の平均くらいの成長ができたはずなのです。デフレは、通常の経済循環を逸脱した経済の病です。

通常の経済循環では、良い時と悪い時が交互に訪れます。常時良い状態を保つことはできません。しかし、デフレは悪い状態ではなく、明らかに異常な状態なのです。デフレになっても、物価が下がるのは緩慢なので、多くの人々はなかなか気づきませんが、これは人間の病気でいえば癌のようようなものです。放置しておば、徐々に病気が進行して、取り返しがつかないことになります。

放置することは許されません。しかし、過去には放置するどころか、増税したり、金融引き締めをするというとんでもない対処法してきたのです。これは、病人や老人に対して、休みを与えないどころか、過度な運動を続けさせるようなものです。

こんなことをすれば、経済が伸びることはありません。もし少なくとも、日本が他国のような政策をとらなくても、増税や、金融引き締めなどの余計なことをせずに何もしなければ、日本はまだまだ成長していたはずです。日本はデフレから脱却さえできれば、これからかなり伸びるのは確実です。

これらのデータをみれば、これだけ、日本では過去の経済政策の失敗が明々白々なのに、また増税などと誤った政策を実行すれば、日本はまたデフレから脱却できず、同じことの繰り返しになってしまうことは明らかです。そのようなことをさせて良いはずはありません。

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