2017年7月7日金曜日

“安倍辞めろ”の先にある「失われた20年」とデフレの再来 雇用悪化で社会不安も高まる―【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!


自民党候補の応援演説を行った安倍晋三首相=1日午後、東京都千代田区

 東京都議選では、安倍晋三首相が街頭演説を行った際に「“安倍辞めろ”コールが起きた」などと報じられた。選挙の大敗を受け、仮に党内で安倍降ろしが加速した場合、金融政策や財政政策はどうなるのだろうか。

 自民党内で安倍政権に反対する人たちの中では、石破茂・前地方創生相が筆頭格だろう。経済政策では「反アベノミクス」を鮮明にしている。

 本コラムでも取り上げた自民党内の反アベノミクス勉強会がある。財務省OBの野田毅・前党税制調査会長が代表発起人を務めるこの勉強会には、石破氏も参加した。6月15日に開かれた2回目の会合の後、石破氏は「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」とアベノミクスを牽制したという。

 アベノミクスは、基本は「第1の矢」の金融政策によって失業率を下げる政策なので、石破氏は全く的外れのことを言っているわけだ。それもそのはずで、講師として来たエコノミストは、「金融緩和するとハイパーインフレになる」などと論じていた人で、そうした予想と現実は全く異なる動きとなった。

 別の講師には「消費増税しないと国債暴落」と主張していたエコノミストもいたが、これも実状と大きく異なる。的外れの政治家と的外れのエコノミストで、類は友を呼んでいる状況というべきだろうか。

 一方、安倍政権では、ノーベル賞学者であるスティグリッツ氏やシムズ氏を呼んでいる。彼らは「日本の財政問題はそれほど悪くなく、財政出動が必要だ」との見解だ。彼らは、政府の財政状況をみるとき、“子会社”である日銀を含めた「統合政府」のバランスシート(貸借対照表)で判断すべきだとしている。

 これは民間企業の財政状況をみるときと同じである。理論的には、財政再建目標は債務残高対GDP(国内総生産)ではなく、ネット債務残高対GDPを低位に保つのが重要だ。となると、異次元緩和により、日銀が保有している国債は400兆円以上になってきたので、現状で統合政府ベースでのネット債務残高対GDPはほぼゼロになった。こうした状況では、そもそも財政を気にする必要がないということになる。

 だが、もし石破氏が政権を握れば、マクロ経済政策では反アベノミクスなので、具体的には金融引き締めと財政緊縮路線に動くだろう。特に、2019年10月に予定されている10%への消費増税については、予定通りの増税実施を主張すると思われる。

 安倍政権は、14年4月の8%への消費増税という政策ミスはあったが、その後は再増税を思いとどまり、日銀はデフレ克服の処方箋として正しい金融緩和を続けている。その結果、雇用環境は歴代政権でも最高レベルのパフォーマンスになった。

 反アベノミクスの先にあるのは「失われた20年」とデフレの再来で、雇用も確保できなくなるだろう。失業率上昇に伴って自殺率が上昇し、強盗などの犯罪も増える。社会不安が高まるようになるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍首相が辞めたら、あなたは自ら死を選ぶことになるかも(゚д゚)!

上の記事では、反アベノミクスの先にあるのは「失業率上昇に伴って自殺率が上昇し、強盗などの犯罪も増える。社会不安が高まるようになるだろう」としています。アベノミクスをやめて、増税した場合本当にそうなることでしょう。

そうなった場合、どうなるかということは、2010年あたりよりも前の日本を思い出せば誰にでもわかると思います。このときには、日銀は金融引締めを繰り返し、財務省はなにかといえば、緊縮財政をしていました。

この時代は、今でいえば、反アベノミクスの立場から、増税を行い、日銀は金融引締めに転じたのと同じような状況です。しかし、人の記憶など曖昧なもので、実際にこの時代にとんでもない状況を経験した人以外は忘れてしまったかもしれません。

とんでもない状況にあった人も、なぜ自分が酷い目にあったのは単に運が悪かっただけと考えているかもしれません。しかし、この時代に塗炭の苦しみにあえいだ人たちの大部分は、日銀の金融政策、財務省の財政政策によって、そのような目にあっていたということを理解していないかもしれません。

ここでは、自殺者の推移から、経済対策のまずさがどのような影響を及ぼしているのかを見てみたいと思います。

それに関しては、2014年にまだデフレの悪影響が色濃く残っていいたときに、このブログに掲載しています。

その記事のリンクを以下に掲載します。
【正論】「欲ない、夢ない、やる気ない」……現代日本の最大の危機はこの「3Y」にある 作家・堺屋太一―【私の論評】団塊の世代以上の世代には想像もつかない現代の若者の窮状(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、まずは自殺者の推移のグラフとそれに関する説明に関する部分を以下に引用します。
ところで、自殺者数と景気は相関が高いことが知られていますが、この数年間の経済状況の改善と、さらに自殺対策にここ数年経費を増加させていく方針を採用していることもあり最近は自殺者数が減っています。類似の事例はホームレス対策にもいえ、ホームレス数は景気要因に関わらず対策費の増加に合わせて減少しています。 
自殺者数の減少については、マクロ(景気)とミクロ(自殺対策関連予算の増加スタンス)の両方が功を奏していると考えられます。 
自殺対策関連予算の推移はまとまったデータがないので拾い集めてみると
平成19年 247億円 平成20年 144億円 平成21年 136億 平成22年 140億 平成23年 150億 平成24年 326億 平成25年 340億 平成26年 361億 となってます。

以下に、失業率と自殺者数の推移のグラフを掲載しておきます。
日本がデフレに突入した、97年あたりからそれまで、2万台であった自殺者数が、一挙に3万人台になっています。このグラフをみただけでも、経済政策の失敗は自殺者数を増やすということがいえそうです。
この内容を読んでいただくと、経済対策のまずさが人を自殺に追いやる可能性もあることを理解できると思います。そうして、これをご覧になれば、ブログ冒頭の記事の高橋洋一氏の話は決して誇張ではないことがお分かりいただけると思います。

しかし、日本ではこのことが全く報道されないため、これでも半信半疑の人いらっしゃるかもしれません。そのような方のため、この記事からさらに引用させていただきます。
さて、ここで、一冊の書籍を紹介させて頂きたいと思います。

経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策

この書籍には、経済政策と死者数と間の相関を調べた内容が記載されています。 
さて、日本では、現在アベノミクスの是非が話題になっています。世界中どこでも、不況に陥ると経済政策をどのようにするべきか、議論されます。しかし、結局のところ、どのような政策がよいのでしょう。そして、その決断を、イデオロギーや経済理論だけを頼りに行って、本当に良いのでしょうか。 
世界規模の不況に陥ったとき、国ごとに経済政策は異なり、それによって国民の運命も異なる方向に動かされてきました。公衆衛生学者と疫学者である本書の著者は、そのことを利用して政策の優劣を比較しました。つまり、過去の各国の政策選択とその結果のデータを、世界恐慌からソ連崩壊後の不況、アジア通貨危機、そしてサブプライム危機後の大不況まで調査し、比較したのです。 
比較の指標は、国民の生死です。政策の違いによって、国の死者数は増えたのか減ったのか、健康状態や平均寿命などがどう変化したかを比較しました。経済政策は、国の借金返済や構造改革、景気刺激など、さまざまな目的で行われますが、そもそも国民に死を強いるようでは元も子もありません。結果はどうだったのでしょうか。 
著者らの研究によれば、不況下で危険な「緊縮政策」を選択した影響で増加する死亡数は、まさに驚くべきものです。最も悲惨なのは、ソ連崩壊後のロシアで、1990年代に経済政策の失敗により数百万人の男性が死んだ(主に自殺とアルコール関連の死亡)と考えられるといいます。
アジア通貨危機後にIMFに緊縮財政を強いられたタイでは、感染症対策支出を削らされたせいで、感染症による死亡率が大幅に上昇しました。現在、緊縮財政をとっているギリシャでは、これも対策費の削減によりHIV感染が拡大しているほか、医療費カットで医療制度が崩壊し国民の健康状態はひどく悪化しています。
著者たちは次のように述べています。
民主的な選択は、裏づけのある政策とそうでない政策を見分けることから始まる。特に国民の生死にかかわるようなリスクの高い政策選択においては、判断をイデオロギーや信念に委ねてはいけない。…正しくかつわかりやすいデータや証拠が国民に示されていないなら、予算編成にしても経済政策にしても、国民は政治家に判断を委ねることができない。その意味で、わたしたちはこの本が民主化への第一歩となることを願っている
まさに、アベノミクスによる積極財政、金融緩和策をするかしないかという選択は、国民の生死にかかわるようなリスクの高いものであり、これをどうするかという判断についてイデオロギーや「安倍はやめるべき」などとという単純な信念に委ねてはいけないのです。

このブログは2014年に掲載したものなので、その後の自殺率の推移も含めたグラフを以下に掲載します。グラフをみれは、順調に減っていることがわかります。


日本だけではなく、以下には国際比較も掲載しておきます。


 グラフをみれば、日本は減少傾向にありますが、韓国の上昇がきにかかります。やはり、このブログで何度か掲載したように、韓国は雇用がかなり悪化し、特に若者雇用は最悪では、この状況を韓国では若者はチキン店を運営するか、死ぬしかないなどとその深刻さが表現されています。このような状況であるにもかかわらず、韓国では金融緩和をする気配がなく、文在寅大統領もその気はないようですから、これからますます酷くなり若者の自殺率も高くなることが予想できます。

以上みてきたように、もし安倍総理が辞めて、まだ経済が十分に回復しきっていない日本で、財政などを重視し、金融緩和から金融引締めに転じ、より緊縮度の高い財政政策がおこなわれるようになった場合とんでもないことになります。

自殺の問題だけではなく、また年末には派遣村が全国いたるところに開設されようになります。就活も、またとんでもないことになり、就職率が低下し、若者がまた苦しむようになります。ブラック企業がまたはびこり、とんでもないことになります。

あなたの職場でも、リストラの嵐が吹き荒れることなります。それよりも、何よりも運が悪ければ、あなた自身が自ら死を選ぶことにもなりかねないのです。安倍総理が早期にやめれば、私達はこのように大きな代償を払わなければならないことになります。

安倍総理以外の人が、まともな金融政策、財政政策を理解していれば良いのですが、現実はそうではありません。そもそも、自民党の中でも、これを理解しているのは安倍総理自身と、菅官房長官などごく一部に過ぎません。

野党は、ほとんどが理解していません。理解しているのはほんの一部の例外的な人です。

この状況で本当に安倍総理が辞めたら、日本経済はとんでもないことになります。まずは、今のところは、安倍長期政権が成立し、安倍総理や菅官房長官など、自民党内部に財務省など官僚の悪影響を受けない、まともな経済政策を考えられる後継者を育てるべきです。そうでなけれぱ、たとえ安倍長期政権が成立したとしても、安倍総理が辞めた途端、日本はまたデフレスパイラルのどん底に沈むことになります。

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