2019年6月14日金曜日

タンカー攻撃、イラン直接関与は考えにくい 日本主導で対策枠組みを 山田吉彦東海大教授(海洋政策)―【私の論評】イランは一枚岩ではないことを忘れるべきではない(゚д゚)!


山田吉彦東海大教授

タンカー攻撃について米国はイランの関与を主張するが、日本の首相を招いていることと明らかに矛盾した行為になり、イランが国家として直接関与したと考えるのは難しい。イランに近いイスラム過激組織の犯行ではないかとみている。

米国は事件後にイラン革命防衛隊が機雷を回収したとする映像を公表し、同国の関与の根拠に挙げた。しかし、被害船員を救助したのもイランだ。支配海域において実態を調査すること自体を問題視するのはやや無理がある。

一方、地域の情勢を不安定化させることは、過激組織に利益をもたらす。目に見えない「海峡の支配」を誇示し、石油価格の高騰でより多くの活動資金を得ることにもつながるためだ。

注目すべきは、原油などではなくメタノール、エタノールの運搬船が狙われた点だ。揮発性が高く海洋汚染の恐れが比較的少ない上、引火すると激しく燃え、実態以上に派手に見える。攻撃自体よりプロパガンダ(政治宣伝)としての狙いがあったといえる。

ホルムズ海峡は日本のエネルギー政策上、「生命線」に位置する。国際協力に基づく対応が不可欠だが、米国や欧州連合(EU)、ロシアが前面にでれば反発を招くため、イランを含め各国と良好な関係にある日本が主導しなければならない。自衛艦の派遣より、人工衛星を使った監視で情報収集するといった新たな国際協力の枠組み作りが必要とされる。現行の法整備の枠内でも活動の余地は大きい。(聞き手 時吉達也)

【私の論評】イランは一枚岩ではないことを忘れるべきではない(゚д゚)!

米中央軍は13日、日本などのタンカー2隻がホルムズ海峡付近で攻撃を受けたことに関し、爆発から約9時間後にイランの精鋭部隊、革命防衛隊の巡視艇が日本のタンカーに接近し、船体に吸着した不発機雷を除去したと明らかにしました。

その様子を撮影した動画も公表した(下動画) 。証拠隠滅のために不発弾を回収した可能性もあるとしています。(米中央軍提供)


日本や、米国のような国であれば、現在の政府が国の代表であり、日本の見解は政府の見解と受け止められます。いくら反対勢力があったにしても、それらが声明を出しても、日本の声明とはみなされず、もし反対勢力が偽って政府を装って声明など出したりすれば、それ自体が犯罪です。

また、政府でもない組織が、安全保証に類するような行動等をしたとすれば、これも犯罪です。

だから、日米のような先進国では、反対勢力がいるいないに関わらず、国の行政は時の政府を中心として動くことになります。これは、先進国では常識です。米国であれば、民主党政権のときには民主党政権を中心に国が動きます。共和党政権のときには、共和党政権を中心に動きます。

特に米国では、二大政党制であり、政権交代があったにしても、国政の6〜7割は前政権と同じであり、残りの4割から3割で政権与党らしさを出すといわれています。

しかし、そうではない国もあります。それが、イラン、北朝鮮、中国などの国です。これらの国々は政府が中心となって行政を行っているようにみえますが、その実そうではありません。様々な権力闘争を行いつつ、最終的に勝利を収めた集団が独裁を行うか、権力闘争を続けながら、その時々で最も強い勢力をもった集団が統治の正当性を主張して、国を統治するのです。

西側諸国のアナリストの多くは、イラン政治を一枚岩であるように描写していますが、実際には非常に細分化されており、複数の権力中枢が競合し、無数の特殊な利害が絡み合っています。イランでは、特に現政権と保守派の対立が顕著です。

一昨年の選挙でロウハニ大統領の主要対立候補となったライシ前検事総長に近い保守強硬派と治安当局は、抗議行動に関して大統領を批判しています。彼らは、ロウハニ政権が都市貧困層の期待を裏切り、核合意による恩恵を誇張していると主張しています。一方のロウハニ大統領派は、経済改革を妨害し、イスラム式の女性の服装規定の緩和を阻んでいるのは保守強硬派であると批判しています。

イランのファッショナブルな女性

どちらのグループも最高指導者であるハメネイ師への働きかけを目指すでしょうが、ハメネイ師は、少なくとも公式には中立的な立場を維持するでしょう。同師は、抗議行動を政治利用しようとする勢力があればすべて非難すると思われます。

外部の勢力、特に西側諸国については、混乱を醸成しようとしていると批判するでしょう。しかし非公式には、ハメネイ師はロウハニ大統領を支持し、大統領が政治目標を積極的に追求するための余裕を与えるでしょう。

同師は保守強硬派に対し、国民の60%が30歳以下という状況を考えれば、時代・人口構成とも彼らの味方ではないことを思い起こさせるべきです。イラン政府が実力行使により抗議行動を封じ込める対応しか取らないのであれば、抗議の声が再び勢いを増す可能性があります。

このようなイランの状況を考えるとたしかに、タンカー攻撃については現政権が直接関与しているとは考えにくいです。少なともハメネイ氏がこれを知っていたとは考えにくいです。

先日初会談した首相、ハメネイ師
私としては、いずれかの反対勢力がこれを実行したのではないかと思います。それにしても、米国はこれをイランの責任であるとするのかもしれません。

自衛隊はホルムズ海峡にも近い、アデン湾の海と空で、海賊対処活動をしています。海では護衛艦、そして空では対戦紹介機がパトロールを行っています。

上の記事にもあるように、イランと協議の上日本は、ホルムズ海峡付近にも、自衛隊を派遣すべきです。岩屋毅防衛相は14日の記者会見で「現時点では自衛隊へのニーズは確認されていない。本事案に対処するためにホルムズ海峡付近に部隊を派遣する考えはない」としていますが、ニーズがあってから派遣しても遅いと思います。

それに気になるのが、今回と同様なことがアデン湾でおこり、しかも自衛隊が紹介活動で予めそれを知り、他国の救援などが間に合わない場合どうするかということを予め考えて置くべきと思います。

そのようなことが起こった場合、他国の軍隊ならぱ自ら判断して、威嚇や攻撃ができます。しかし、日本はそうではありません。

そのようなことが起こっても、自衛隊は犠牲者かでることが予め予想できても、結局何もないなど等ということは、避けるべきです。

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