2020年5月14日木曜日

「コロナ増税」へ不穏な動き… 復興増税の“愚策”繰り返せば日本経済の致命傷に ―【私の論評】消費税減税とともに、復興所得税も廃止して日本の「シバキ倒し文化」を終わらせよ(゚д゚)!

「コロナ増税」へ不穏な動き… 復興増税の“愚策”繰り返せば日本経済の致命傷に 

高橋洋一 日本の解き方


2011年の東日本大震災の際に、復興増税が導入された。そして今回の新型コロナウイルス感染問題でも、財政規律を強調したり、緊急経済対策での国債増発に伴う将来の増税が必要との声があちこちで上がり始めているのが気がかりだ。

 復興増税は復興特別所得税、復興特別法人税、復興特別住民税と3種類ある。所得税は税率2・1%で13年1月から37年12月まで25年間課されている。法人税は税率10%で、12年4月から15年3月まで3年間の予定だったが、1年前倒しで14年3月に廃止された。住民税は府県民税・市町村民税合わせて1000円を14年4月から24年3月までの10年間課されている。

 所得税の税率2・1%は、仮に消費性向90%で消費税に換算すれば2・3%程度なので、消費に与える影響は大きい。具体的にいえば、実質所得が4・6兆円程度減少し、その結果、消費も4兆円程度減少する。

 本コラムで何度も指摘しているが、大災害時の増税はありえない。大災害が100年に一度なら、復興費用は「100年国債」で調達するのが原則である。大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもので、古今東西行われたことがない愚策だ。

 「供給ショック」より、需要の喪失による「需要ショック」が大きい場合、デフレ圧力が高まるので、インフレ目標に達するまで、中央銀行による国債買い入れが可能になる。この状況では、長期国債発行による総需要創出と日銀の買い入れが最善手だ。この場合、政府の実質的な子会社である日銀が国債を保有するので、利払い費や償還負担は事実上発生しない。その結果、財政状況を悪化させることもないので、将来の増税を心配することはない。

 日本大震災の時には、こうしたセオリーが無視され、需要ショックであったにも関わらず、日銀による国債買い入れもなく、本来は不必要であったはずの復興増税が行われた。100年国債も発行されず、事実上25年償還となり、前述のように毎年の負担は大きい。

 財務省は、当時の民主党政権が政権運営に不慣れだったことに乗じて復興増税を盛り込んだ。これをホップとして、ステップで消費税を5%から8%に増税、ジャンプとして10%への税率引き上げを画策し、実際に安倍晋三政権で実行された。

 財務省としては、二匹目のドジョウを狙っているのだろう。コロナ対策で多額の財政支出を強いられるので、財政悪化を理由としてコロナ増税を主張する。その勢いで、消費税率も12%、さらには15%へと、再びホップ・ステップ・ジャンプをもくろんでいるのではないか。

 世界の先進国では、中央銀行による国債の無制限買い入れや、減税、給付金など積極財政政策で一致している。そして、大災害での増税は行われない。

 コロナ・ショックでは需要が蒸発しデフレ圧力が高まっている。そうした時に増税が行われたら、落ち込んだ経済への致命的なダブルパンチとなるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】消費税減税とともに、復興所得税も廃止して日本の「シバキ倒し文化」を終わらせよ(゚д゚)!

皆さんが今でも復興所得税は徴収されています。ただし、所得税と復興所得税は、まとめて所得税とされいるのでわかりにくいところがあります。

以下に、代表取締役Aの所得税を例示します。事例では、所得税だけ引かれていない事前確定届出給与を示しています。

(事前確定届出給与)
1,000,000円
(所得税及び復興特別所得税)
1,000,000円×20.42%=204,200円
(代表取締役Aの口座へ振り込む額)
1,000,000円-204,200円=795,800円

この事例でみるとおわかりになるように、日本の所得税はかなりのものです。

復興財源にはこのように、復興法人税以外にも「復興所得税」などが存在します。所得税については、サラリーマンであれば2013年1月1日から25年間、税額の2.1%分が源泉徴収により天引きされています。

消費税が上がってしまい、コロナ禍に見舞われている現在、消費税減税は叫ばれているものの、何故か家計の負担となる復興所得税に関しては、廃止の声が聞こえて来ません。ところが、復興特別法人税に関しては、1年前倒し廃止 平成25年12月12日に公表された平成26年度税制改正大綱にて、この復興特別法人税は1年前倒しで廃止されました。

法人税は廃止されたのに、所得税はなせ廃止されないのでしょうか。それは、経団連を消費増税の味方につけるために、法人税減税をちらつかせてきたからです。

海外では、法人税減税と消費増税は、関係ありません。各国で法人税減税が行われていますが、そのロジックは、個人の段階で税を捕捉することをきちっとやるため、法人税は二重課税になるため取らないというものです。そのために必要なのが歳入庁や、番号制です。消費税と法人税の引き下げをセットで考える国はありません。

なお、米倉弘昌氏が経団連の会長のとき「消費税を上げて法人税を下げるのは企業優遇との批判にも「企業業績が高まれば雇用も上がり賃金水準も上がってくる」と話していました。

私自身は、コロナ禍に対応するために、消費税を減税すべきという声は、聞こえてくるものの、復興所得税を廃止せよという声が聞こえてこないのは本当に奇異だと思います。

本来ならば、復興所得税は廃止した上で、消費税も0%にすべきです。これは、実務的には税率変更時の手続きと同様であり、すでに事業者、税理士、税務署職員共に全て経験済みで大きな負担は発生せず、かつ、その効果は全ての国民が享受することができるものです。

何より逆進性の強い消費税は、経済的に弱い立場にある人には大きなインパクトがあります。復興所得税廃止もさらにインパクトがあります。

現在のコロナウイルスでのさらなる景気の落ち込みを踏みとどめるためには、復興所得税は0に、消費税率もゼロにする以外に道はないです。財源は、国債で賄えば良いです。

国債が将来世代のつけになるというのは、このブログでも述べてきたように、ラーナーの法則でも明らかなように、ここ日本では全くのフェイクです。

アバ・ラーナー

やはり、昨日このブログにも掲載したように、日本は財務省を頂点に、政府も企業も「シバキ倒し文化」が根付いてしまい、国民はどこまでも「シバキ倒す」のが正しいと信じて疑わなくなってしまったのでしょうか。

高橋洋一氏は、上の記事で、「大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもの」としていますが、それはどういうことかといえば、大災害時の復興などを増税で賄うなどということは、大災害を被った世代だけが、大災害時の復興などのへの負担を被るということであり、それはあまりに不公平だということです。

これを100年債などで賄えば、大災害字の復興などの負担を大災害を被った世代だけではなく、将来世代も応分に被るということで平等になるのです。これを、財務省等は将来世代へのつけなどとしていますが、そんなことはありません。なぜなら、復興などで新たに設置するインフラなどは、当然のことながら、現在世代だけではなく将来世代も恩恵にあずかることができるからです。

そうして、何よりも、大災害などで大損害を受けた世代が、さらにその損害を全部被るということになれば、それこそ、経済が破綻してしまいかねません。そうなれば、将来世代もその破綻の悪影響を被るわけで、とんでもないことになってしまいます。


復興税を廃止するのは、造作もないことです。消費税を0%にすることも実務的には税率変更時の手続きと同様であり、すでに事業者、税理士、税務署職員共に全て経験済みで大きな負担は発生せず、かつ、その効果は全ての国民が享受することができるものです。

政府特に財務省にとっては、大変かもしれませんが、そのようなことは財務省が努力すれば良いだけの話です。財務省などシバキまくって、法的事務的手続きを無理ややらせて、根をあげたら、そこで財務省を廃止して、複数に分割して他の省の下部組織に組み入れてしまえば良いです。


長年国民を「シバキ倒してきた」のですから、今度は自分たちが「シバキ倒される」のは当然のことです。政治家、国民などで寄ってたかって「シバいてシバいてシバキ倒す」べきです。そうしないと、本当は頭が悪いのにエリート意識だけ高い彼らは「シバキ倒し」の本当の苦しさを理解することはできないです。

なぜそんなに減税に拘るかといえば、何より逆進性の強い消費税は、経済的に弱い立場にある人には大きなインパクトがあるからです。

私は、現在のコロナウイルスでのさらなる景気の落ち込みを回避するためには、消費税率をゼロにするか、大幅減税する以外に道はないと考えています。財源は、このブログでも掲載してきたように、国債で十分まかなえるどころか、ゼロやマイナス金利の現状では、その分政府が儲けることができます。復興所得税を廃止しても、復興は国債で十分まかなえます。

というか、財務官僚がもっと頭が良ければ、国債のマイナス金利を利用して、金を儲けて、儲けたことをわからないようにして、特別会計に組み込むなどの芸当など簡単にできるはずですが、そんなこともできないほどに、省益というか、いずれ省益を損ねることになるのは明々白々な増税に凝り固まり、本当に頭が悪くなつてしまったようです。

現在、財務省は鉄壁のようにみえます。しかし、かつての中国がそうみえましたが、現在では長年の綻びが露呈しているように、財務省も鉄壁ではないはずです。まともな政治家や、国民が結集して、財務省の綻びをえぐり出し、徹底的に「シバキ倒して」できれば、崩潰させるべきです。そうでないと、日本の「シバキ倒し文化」はいつまでも続くことになります。

当面世界的には、中国との対峙、国内的には財務省との対峙が日本にとって最重要課題になると思います。

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