2020年5月2日土曜日

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」―【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシア、政権求心力に懸念 コロナ感染11万人超え 陣頭指揮の首相「陽性」

4月30日、モスクワ郊外の公邸に滞在中のプーチン・ロシア大統領(左)に新型コロナウイルス
感染をオンラインで報告するミシュスチン首相(画面)=ロシア大統領府提供

ロシアの新型コロナウイルス感染者数が急速に拡大している。一日には十一万四千人余に達し、対策で陣頭指揮を執っていたミシュスチン首相(54)の陽性も確認された。早期に中国との国境を封鎖するなど厳しい予防措置にもかかわらず、ここ数日、五千~八千人の感染者が出る日が続き、世界ワースト八位に。地方でもデモが相次ぐなど、市民は不満を募らせている。

ミシュスチン氏から陽性の報告を受けたプーチン大統領は三十日夜、「あなた抜きで重要な政策決定は行われない」と述べ、今後もテレワークで会議に参加するよう指示した。だが一部報道ではミシュスチン氏は医療施設で自主隔離後、高熱に見舞われているという。首相代行にはベロウソフ第一副首相が就いた。

ミシュスチン氏は一月に内閣総辞職したメドベージェフ前首相の後任で、コロナ対策本部を指揮。感染がまん延していた中国からの入国を西欧諸国より早く、二月二十日から禁止し、三月からは外国人の入国を止めた。外出禁止や商店の強制休業などでも徹底した隔離措置を断行してきた。

ロシアは検査を積極的に行い、累計で三百七十万件と米国に次ぐ規模。死者も約1%の千百人超と他国と比べると少ない。感染者の洗い出しと隔離による「封じ込め作戦」が進んでいるとの見方もあるが、拡大に歯止めがかかっていない。プーチン氏も四月二十八日、「ピークはこれからで危険な状態だ」と指摘した。

これに対し、モスクワなど都市部ではネット上で政権批判をしたり、シベリアでは鉱山労働者らによるデモが発生。独立系世論調査機関「レバダ・センター」が三十日に公表した調査では、市民の48%が政権に対してコロナ対策で不満を表明した。

このため、二〇二四年に任期が満了するプーチン氏の続投を可能にする憲法改正の全国投票についても、政権批判票を封じるため、コロナ禍が落ち着くと予想される冬まで先延ばしにするとの報道も出ている。政権は経済活動の維持と感染食い止めを巡り、難しいかじ取りを求められている状態だ。


【私の論評】中国ウイルスで衰退するロシアと、北方領土交渉が今までで最も実施しやすくなる(゚д゚)!

ロシアでは、各地の軍施設や医療機関にも広がっています。1日から連休が始まり、外出の増加が予想されることから、当局は警戒を強めています。

ロシアは、中国ウイルス禍の最中他国に対して、フェイクニュースを流すなどの工作活動を行ってきました。

ガーディアン(3月18日)はEEASが3月に出したレポートをもとに、ロシア政府系メディアが西側諸国の中国ウイルス危機を悪化させる目的でデマを拡散していたと指摘しています。

同紙によると、1月半ばから3月半ばまでの2カ月間に、ロシアが発信源のデマが80件確認されたといいます。内容は「新型ウイルスは中国、アメリカ、イギリスの生物兵器」「感染の発生源は移民」「製薬会社の陰謀」「中国ウイルス自体がデマ」などでした。

ガーディアンが指摘するフェイク情報の拡散は、ロシア政府系メディアのスプートニク、RIA-FAN通信、レン・テレビ(REN TV)などでみられたましたが、その多くは米国の陰謀論サイトや中国、イランのネット上にある陰謀論的書き込みをシェアする形で行われました。

「リトアニアで米軍兵士が感染した」とのデマもSNS経由で拡散されましたが、その引用元として多かったのは、ロシア政府系メディアのRT(ロシア・トゥデイ)スペイン語版でした。

このように政府系メディアとSNSの相互引用で情報発信源を隠しつつ、信ぴょう性を持たせてデマを拡散する手法はロシア情報機関の得意技で「メディア・ミラージュ」と呼ばれます。イランでも同様の手法で「アメリカの生物兵器」「イスラエルの生物兵器」といったデマが拡散されました。

ニューヨーク・タイムズ(3月28日)は、ロシアと中国とイランのデマ拡散工作が互いに連動して、アメリカ社会の分断と弱体化が促されていると指摘しています。

同記事によれば、今回はとりわけ中国が積極的だといいます。これまで中国は、台湾や香港、チベット問題などに関する政治的プロパガンダには積極的に資金を投入してきましたが、陰謀論の拡散にはあまり関与してきませんでした。

にもかかわらず、今回は「ウイルスの発生源は米国」「ウイルス封じ込めに成功した中国共産党のシステムは優れている」といった言説を、発信源を隠して拡散しています。中国ウイルス問題で責任の矢面に立つきわめて不利な立場に追い込まれたことで、ロシアの情報戦略の有効性を認識し、模倣を始めたということでしょう。

そのためか、中国がデマ情報拡散に活用しているサイトは、カナダの親ロシア系陰謀論サイト「グローバル・リサーチ」や、親イラン・ロシア反米系の陰謀論サイト「ベテランズ・トゥデイ」など、もともとロシアが陰謀論を拡散するのに利用してきたところが多いようです。

最後に、ロシアや中国が意図的に拡散したフェイク情報を、EEASレポートから紹介しておきます。

▽「牛乳がCOVID-19に効く」説(presentnews.biz.ua、ウクライナ語)

▽「そもそも中国ウイルス感染は起きていない」説(Der Fehlende Part、ドイツ語、動画)



▽「大手製薬会社の金儲けが目的のアメリカ製人工ウイルス」説(NewsFront、スペイン語)

▽「ビル・ゲイツとロックフェラーによる人口削減の陰謀」説(Journal of New Eastern Outlook、英語)

▽「手洗いは効かない」説(RT、ドイツ語)

▽「亜鉛が中国ウイルスに効く」説(RT、アラビア語)

▽「大手製薬会社と手を組んだ欧米メディアは、中国でビタミンCによる治療に成功したことを無視している」(South Front、英語)

▽「パンデミックは誇張された陰謀。ファシスト国家を作るのが目的」(スプートニク、ドイツ語版)

また、中国の一連のデマ拡散工作について、各所からの分析報告を紹介しておきます。

▽「中国の国営メディアが新型中国ウイルスのパンデミックに関して、国際的な認識に影響を与えようとしている」(Recorded Future)

▽「中国はどのようにツイッターによるプロパガンダの仕組みを構築し、中国ウイルスを解き放ったか」(プロパブリカ)

▽「中国がトランプ非難のプロパガンダ広告~国営メディアは中国のパンデミックへの対応を称賛し、アメリカの過ちを攻撃する広告を多数購入」(テレグラフ)

中露は、世界の中国ウイルス危機に乗じて、これだけの工作を実施しているのです。日本国内でも当然様々な工作を行っているでしょう。日本のマスコミにもいろいろ、直接的間接的に働きかけているでしょうし、政治家などにも働きかけているでしょう。当然SNSでも工作をしているとみるべきです。

彼らの目的は、日本国内を分断させること、アジア内の分断、日豪分断、日欧分断、日米同盟の分断など様々です。私達は、これらに騙されないように中国ウイルス報道や、SNSなどの内容には十分気をつける必要があります。

日本では、脳内がお花畑的な人が多く、こうした中露の工作があるなどとはつゆほども疑わない人も多いようで、特にマスコミで中露の「メディアミラージュ」を取り上げているところはありません。

ロシアがこのような「メディア・ミラージュ」をチャンス到来として、各国に対して工作しているうちに、ロシア自体の感染者が増え、抜き差しならぬ状態になったのは皮肉です。

感染したとされる、ミシュスチン首相といえば、今年の1月に、就任したばかりです。これについては、このブログでも掲載しています。この記事では、プーチンがミシュスチンを首相に据えたのには、それなりの背景があることを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
プーチン院政への布石か 経済低迷のロシア、政治経験ゼロのミシュースチンが首相に―【私の論評】プーチン院政は、将来の中国との本格的な対峙に備えるため(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
プーチンはロシアがこのまま中国の属国になってしまうことを、潔しとはしていないはずです。 ただし、中国はつい最近人口が14億人を超えましたが、ロシアの人口は1億4千万人に過ぎません。経済に関しては、現在のロシアは東京都なみのGDPしかありません。 
だからこそ、ロシアは中国に対する不満はあるものの、属国的地位に甘んずるしかないのです。そうして、プーチン自身も自分の目の黒いうちは、この状況は変わらないと考えていたでしょう。 
しかし、昨年あたりからこの状況は大きく変わってきました。そうです。米国による対中国冷戦が過激さを増してきたのです。もはや米国内では、トランプ政権等とは別にして、米国議会が超党派で中国に対峙する体制を固めています。だから、トランプ氏が大統領をいずれ辞任したとしても、米国の中国に対する姿勢は変わりません。
プーチン(左)と習近平(右)
そうして、どうやら米国は中国が現在の中国共産党独裁体制を変えるか、それができなければ他国に影響力を行使できないように、徹底的に中国の経済を破壊しようとしているようです。そうして、これは最早貿易戦争の域を超えて、価値観の対立にまでなっています。 
中国は独裁体制をおそらく変えられないでしょう。なぜなら、それを実行すれば、中共は統治の正当性を失い、崩壊するからです。となると、米国は中共が経済的に衰え他国に影響力が行使できない程に中国の経済を破壊するまで、制裁を続けるでしょう。 
こうした状況をみたプーチン氏は、自分の目が黒いうち(短くてここ数年、長くて10年くらい)に、ロシアが中国の属国的地位から脱する見込みがでてきたと判断したに違いありません。そうして、ロシアがうまく立ち回ることによって、中共の崩壊を加速することも視野に入れているに違いありません。 
だかこそ、自らは中国との対峙に専念し、国内政治は信頼できる人物にまかせ、自らは他国に伍して中国の崩壊に際して、ロシアの権益を最大限に拡張すべきとの結論に至ったのでしょう。 
さて、中国がある程度経済的にも疲弊した頃には、かつての中ソ対立のように、中露の対立が激しくなってくると予想されます。 
その時がまさに、日本にとっては北方領土交渉がやりやすくなるのです。戦後70年以上が過ぎた今、世界でもっとも危険な国は中国です。この唯物論・無神論を国是とした軍事独裁国家を封じ込めるためには、ロシアは日米と平和条約を結び、協力しなければならなくなります。そうでないと、ロシアは中国の属国とみなされ中国の道連れにされるかもしれません。
今回の中国ウイルス禍では、ロシアは中国ウイルス感染そのもので相当疲弊するはずです。特に、ロシアの最大の主要産業は、 鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等)であり、これらは、中国ウイルス禍によってかなり価格が下がっています。

中国ウイルス禍で、経済が疲弊するのは確実ですが、それによる失業や生活困窮などに、対処するのは今日のロシアにとっては困難です。

そもそも、ロシアの人口は1億4千万人で、日本より、2千万人多いのですが、GDPは国でいえば、韓国と同等、日本国内の都市でいえば、東京都なみです。ロシアと日本は人口は大差はないですが、中国ウイルス感染者数5月1日現在では、ロシアは12.4万人です。死者は、1,222人です。日本は同時で、感染者数1.4万人、死者数は493人です。ロシアの被害が酷いことがわかります。

日本全体の経済が東京都なみだとしたら、どうなるか想像してみてください。現在政府は、国民一人あたり10万円の給付を決めました、休業補償については財務省が渋ってはいますが、日本の経済力(そもそも財務省の言う、国民一人当たりの借金が1000万円であるとは、財務省の大嘘)であれば、やろうと思えば実行可能です。

しかし、ロシアは違います。日本の東京都と同等の経済のロシアの軍事力は米国に次いで、世界第二位です。宇宙開発も手広く行っています。そうなると、国民の雇用や、困窮者に対する補助するための資金を捻出するのはかなり難しいです。

そうなると、プーチン政権の求心力はかなり落ちることになります。そうなると、プーチンの夢でもある、ロシアが中国の属国的地位から脱するという目論見は水疱に帰し、ロシアはますます中国の属国的な立場から逃れなくなります。

それは、プーチンとしては潔しとしないでしょう。これを解決するには、日本に北方領土を返還し、手厚い経済協力を得るしか方法はないかもしれません。

かつて、丸山穂高衆院議員は、北方領土問題について「戦争をしないとどうしようもなくないか」「(戦争をしないと)取り返せない」などと発言してトラブルになりました。

しかし、戦争で取られたものは、戦争で取り返すしかないというのは、厳然たる事実です。これが、国際社会の現実です。

ところが、現在ロシアで起こっている中国ウイルス禍はまさに、戦争と匹敵するほどの非常事態です。

今のロシアは、どこまでも疲弊し、これも沈みつつある中国の属国的地位から、真の属国に成り下がるか、あるいは、日本の支援を受けてロシアが中国の属国的地位から脱するかのいずれか一つです。

このような大きな取引は、残念なが米国とはできないでしょう。米露には、北方領土のような大きな懸案事項はないからです。日本としては、素早く中国ウイルス禍から脱却して、世界情勢も国内情勢も疎く、省益のためだけに突っ走る財務省の干渉を押さえつけて、経済を急速に回復して、ロシアに見せつけるときです。

その時こそ、北方領土交渉は今まで一番やりやすくなります。このようなことを言うと、嫌がる人もいるかもしれませんが、かつてのソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破り、日本領に侵攻して、北方領土を掠め取ったのです。それどころか、何の法的根拠もないのに、シベリアに多数の日本人を抑留し、多数の死亡者がでました。占守島の戦いで、日本軍が奮戦しなければ、北海道もソ連領になっていたかもしれません。

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ウェブ検索結果占守島の戦い

我々日本人は、それを忘れるべきではありません。日本としては、中国ウイルスが終息すれば、すぐにでも北方領土交渉を再開すべきです。そうして、北方領土を返還させるだけでなく、ロシアを中国に対峙する日米側に取り込むべきです。

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