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2020年7月15日水曜日

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア— 【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア 
高橋洋一 日本の解き方


 
 英国が飲食、宿泊、娯楽業界の付加価値税の時限的引き下げを発表した。すでにドイツは引き下げを実施している。日本でも自民党の若手や国民民主党などが減税に積極的だが、現状で減税に反対する人はどんな人なのか。その理屈は妥当なのだろうか。

 コロナ・ショックは消費需要の消失という形で現れるので、消費需要をアップさせる政策が望まれる。そのため可処分所得を増加させる減税や給付金が有力な政策手段だ。特に、消費に直接的に働きかける消費減税は、現状では交付に時間がかかる給付金と異なり、家計がその果実をすぐに受けることができるというメリットがある。

 もちろん企業サイドへの補助金や給付金も政策としてはあり得るが、配布基準など公平性の確保が難しい。消費者サイドへの減税や給付金のほうが問題が出にくい。

 しかし、消費減税には、財務省が猛烈に反対する。財務省のいいなりの経済界、財政学者、マスコミも反対だろう。経済界は法人税の減税、財政学者はポストの確保、マスコミは軽減税率の確保とそれぞれ目的は異なるが、財務省の肩を持つ。

 消費税は1989年の創設以来、97年4月、2014年4月、19年10月の3回しか増税していない。ほぼ30年間で3回、つまり10年に1回なので、1回引き下げるとまた上げるのが大変だというのが財務省の本音ではなかろうか。

 もちろん、建前は社会保障財源が少なくなり、高齢化社会に対応できないというものだ。しかし、そもそも消費税を社会保障目的税としている国はないので、両者をリンクして考えること自体がナンセンスだ。社会保障の充実であれば、社会保険料で対応するのが、国民にも分かりやすく納得できる方法で、消費税は無関係であるべきだ。

 「1回下げると上げにくい」というのは、今回のようなコロナ対策では心配することではない。ドイツも英国も消費減税は一時的な措置であり、恒久的ではない。

 例えば、2次補正の予備費は10兆円であり、うち5兆円はまだ使い道が決まっていない。ここに2000億円を追加すれば、消費税率を10%から8%への2%減税を1年間実施できる。これなら既に財源を用意できているので、社会保障の支出に関する心配も杞憂(きゆう)となり、財務省の建前の理屈も本音も木っ端みじんになる。

 こういうとき、財務省は消費減税の声が大きくならないように、近い議員に働きかけることが多い。先日、安倍晋三首相のところに税収を上げるような政策を申し入れた議員らはその一例と筆者はにらんでいる。もちろん、「税収を上げるような」とは成長戦略の意味も含むので、増税ではないという言い訳もちゃんと用意されているが、「将来世代にツケを残さないように」と、今回の補正が通貨発行益で賄われていることを無視しているのは、意見の出所が推察できる。

 いずれにしても、消費減税とは言わないことは、海外の消費減税の日本への影響力を弱める結果となっている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)
米国も当然減税します。トランプ米政権はすでに6月の段階で、新型コロナウイルスの追加経済対策として、労使双方が負担する「給与税」の減免の検討に入りました。

トランプ政権はコロナ以前から様々な減税策に取り組んでいる

同税は年1.2兆ドル(約128兆円)の税収がある基幹税で、実現すれば2017年末以来の大型減税となります。米経済は失業率が10%を超えて戦後最悪の水準になると予想され、減税とともに雇用の受け皿となるインフラ投資も打ち出す方針です。

トランプ大統領は6月3日、米テレビ番組で「雇用を立て直すため、給与税減税が必要だ」と表明しました。米政権と議会は新型コロナ対策として、既に過去最大の3兆ドル弱もの財政出動を決めています。トランプ氏はさらに給与税の全面免除を議会に働きかける方針で、1兆ドル規模の追加の財政出動となる可能性があります。

これまでの新型コロナ対策は、中小企業(従業員500人以下)の給与支払いを連邦政府が肩代わりする雇用維持策などが中心で、倒産や失業を防ぐ「止血」に焦点を当てていました。ただ、米経済は4~6月期の実質成長率が前期比12%減、年率に換算すれば40%ものマイナスになると予測されます。失業率も10%を大きく超えそうで、新たに雇用の受け皿の確保が必要になっています。

トランプ氏が減免対象に挙げた給与税は、全歳入の3分の1を占める基幹税です。社会保障費の財源として労使がそろって給与の6.2%分を納税する仕組みで、全面免除すれば企業と労働者の双方の負担減となります。

法人税の引き下げなどを盛り込んだ17年末の「トランプ税制」は、年間の減税規模は1500億ドルでした。給与税を全額免除すれば年1兆ドル規模の巨額減税となります。

トランプ氏としては、大統領選挙の兼ね合いもあり、ここぞというときに、超大大型減税を打ち出すのは、確実です。

英国スナク財務相
上の記事にもあるとおり、英国も当然減税です。英国のスナク財務相は8日、飲食店など新型コロナウイルスの影響が大きい業種を対象に、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)を現行の20%から5%に引き下げると発表しました。同日発表した総額300億ポンド(約4兆円)の追加経済対策の一環とされています。
英国では飲食店や劇場などが4日に再開したのですが、客足の戻りが鈍いため、減税によって消費を促し、雇用維持につなげる狙いです。15日から来年1月まで半年間の期間限定。減税規模は41億ポンドを見込んでいます。
新型コロナを受け、ドイツも1日から年末までの期間限定で、VATを19%から16%に引き下げました。食料品などを対象にした軽減税率も7%から5%にしました。
さて、減税を実行する予定の英国ですが、15日イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は、同国の景気回復が「不完全なV字型」になる可能性が高いとの見通しを示しました。

消費者が新型コロナウイルスの流行を警戒するほか、社会的距離を確保する戦略で経済活動が制限され、失業が増える見通しというのです。

同委員はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス主催のオンラインイベントで「行動反応を踏まえると、英経済の見通しは、引き続き国内外の新型コロナ感染症の流行状況に左右される」と指摘しました。

「感染拡大ペースが緩やかに低下すると想定した場合、国内総生産(GDP)が途中で遮られる形の不完全なV字型の軌道をたどるというのが、私の基本シナリオだ。四半期ベースで最初に回復するのは第3・四半期になるだろう」と述べました。

同委員は「強制的な休業だけが原因だった支出の落ち込みについては、すでに急激な回復の兆しが見られる」と指摘。

「ただ、リスク回避姿勢の継続や、一部セクターでの自主的な社会的距離戦略、また他のセクターに依然適用されている規制、失業全般の増加を背景に、回復は中断されるだろう」と述べました。

同委員は、物価の下押し圧力がしばらく続く公算が大きいと予想。需要には「かなりの下振れリスク」があると述べました。

「必要に応じて、経済を下支えするさらなる対策に賛成票を投じる用意が依然としてある」としています。

マイナス金利については、ユーロ圏などで、おおむね前向きな結果が出ているとの認識を示しました。

次回の金融政策委員会の決定は8月6日に発表されます。

金融政策委員会は先月、債券買い取り枠を1000億ポンド拡大することを決定。政策委員9人のうち8人が買い取り枠の拡大に賛成する一方、チーフエコノミストを務めるハルデーン委員は、景気の回復が「これまでのところ非常にV字型」だとして反対票を投じました。

新型コロナウイルスを受けて、世界では巨額の財政・金融政策が打ち出されています。これら刺激策はすでに4月の段階で、世界GDPの3%超に匹敵する規模となっている他、政策金利の追加利下げや量的緩和プログラムが開始となり、中央銀行からは低金利の融資ファシリティが提供されています。

米国における刺激策の第一段はGDPの6%相当で、経済を幅広く支援する内容となっています。しかし、外出禁止などロックダウンによる生産損失が出ている事から、この刺激策を使ってリセッション入りを回避する事は不可能です。

とはいえ、失業率の行き過ぎた伸びを防ぐ観点から刺激策は必要不可欠であり、最終的な経済回復局面で力を発揮するでしょう。そうして、先にも述べたように、トランプ政権は第二段の対策として、大規模減税を計画しているのです。

そうして、欧米では何らかの原因があって、景気がかなり落ち込んだ場合には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和というのが〝定番政策”になっています。

だから、コロナ禍による経済による落ち込みにも、この定番政策が実行されるため、財政出動としての減税策は当然の如く実行されるのです。間違っても、増税とか、減税しないという選択肢はないのです。日本も、早くこのようになって欲しいです。

一方日本違います。何かと、財務省が邪魔をします。4月17日、安倍首相のちゃぶ台返しがありました。「所得制限つき、1世帯あたり30万円の現金給付」が覆り、「所得制限なし、1人一律10万円の現金給付」となりました。このブログではこの政策変更は正しいと評価しました。

30万円の所得制限をつけた給付だと、確認などに時間がかかり、ひょっとすると今でも給付が十分進んでおらず、そのことで、安倍政権は自民党内外から責められ、国民からも不興を買ったに違いありません。これは、倒閣に結びついた可能性が十分あります。無論財務省主導によるものでしょう。



安倍総理は、当初から10万円、所得制限なしの給付を考えていたようですが、岸田氏任せたところ、いつの間にか30万円の所得制限の給付に切り替わっていたというのが、真相のようです。そのため、安倍総理の岸田氏への信頼は崩れたようです。

これで、安倍総理による岸田氏への総理の席の禅譲という話は、消えたようです。

安倍首相には2度目の〝ちゃぶ台返し〟で、家賃補填、休業補償の拡充と消費減税を是非実現してもらいたいです。

最近東京では、感染者数が増え、コロナ感染の第二波が始まるのではと危惧されています。現史上では東京都も政府も有効な手立てを打ちあぐねています、これは、潤沢な資金で、大規模な家賃補填、休業補償の拡充ができれば、それを前提として様々な手段を講じることができるはずです。

ただし、安倍総理のまわりは緊縮イデオロギーに染まった人たちが囲っています。それだけではなく、30万円給付のような、もっともらしい政策等で第二、第三の倒閣運動が企てらている可能性もあります。

与野党問わず政治家は相変わらずですし、軽減税率という〝毒まんじゅう〟を喰らった新聞も、社会保険料の据え置きや法人減税というニンジンをぶら下げられた経済界も財務省の味方です。

それでも第1弾の緊急経済対策はギリギリながらも合格でした。安倍総理の政策は、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟に近づいています。そうして国民のマクロ経済政策への理解は、東日本大震災のときよりはるかに高まっています。これが日本経済復活への一縷の望みです。

ただ若い世代には、ずいぶんとマクロ経済への理解は、広まったようですが、高齢世代は、経済情報の情報源は、テレビのワイドショーなので、財務省やその走狗どもの言いなりです。しかも、高齢者の方が人口が多いのです。まだまだ、油断できません。

とにかく、安倍総理のもとで、景気が落ち込んだ時、落ち込みそうな時には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟が実現できるように道筋をつけていただきたいものです。総理大臣がちゃぶ台返しをしないと、まともな経済対策ができない今の日本は異常です。

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2020年5月14日木曜日

「コロナ増税」へ不穏な動き… 復興増税の“愚策”繰り返せば日本経済の致命傷に ―【私の論評】消費税減税とともに、復興所得税も廃止して日本の「シバキ倒し文化」を終わらせよ(゚д゚)!

「コロナ増税」へ不穏な動き… 復興増税の“愚策”繰り返せば日本経済の致命傷に 

高橋洋一 日本の解き方


2011年の東日本大震災の際に、復興増税が導入された。そして今回の新型コロナウイルス感染問題でも、財政規律を強調したり、緊急経済対策での国債増発に伴う将来の増税が必要との声があちこちで上がり始めているのが気がかりだ。

 復興増税は復興特別所得税、復興特別法人税、復興特別住民税と3種類ある。所得税は税率2・1%で13年1月から37年12月まで25年間課されている。法人税は税率10%で、12年4月から15年3月まで3年間の予定だったが、1年前倒しで14年3月に廃止された。住民税は府県民税・市町村民税合わせて1000円を14年4月から24年3月までの10年間課されている。

 所得税の税率2・1%は、仮に消費性向90%で消費税に換算すれば2・3%程度なので、消費に与える影響は大きい。具体的にいえば、実質所得が4・6兆円程度減少し、その結果、消費も4兆円程度減少する。

 本コラムで何度も指摘しているが、大災害時の増税はありえない。大災害が100年に一度なら、復興費用は「100年国債」で調達するのが原則である。大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもので、古今東西行われたことがない愚策だ。

 「供給ショック」より、需要の喪失による「需要ショック」が大きい場合、デフレ圧力が高まるので、インフレ目標に達するまで、中央銀行による国債買い入れが可能になる。この状況では、長期国債発行による総需要創出と日銀の買い入れが最善手だ。この場合、政府の実質的な子会社である日銀が国債を保有するので、利払い費や償還負担は事実上発生しない。その結果、財政状況を悪化させることもないので、将来の増税を心配することはない。

 日本大震災の時には、こうしたセオリーが無視され、需要ショックであったにも関わらず、日銀による国債買い入れもなく、本来は不必要であったはずの復興増税が行われた。100年国債も発行されず、事実上25年償還となり、前述のように毎年の負担は大きい。

 財務省は、当時の民主党政権が政権運営に不慣れだったことに乗じて復興増税を盛り込んだ。これをホップとして、ステップで消費税を5%から8%に増税、ジャンプとして10%への税率引き上げを画策し、実際に安倍晋三政権で実行された。

 財務省としては、二匹目のドジョウを狙っているのだろう。コロナ対策で多額の財政支出を強いられるので、財政悪化を理由としてコロナ増税を主張する。その勢いで、消費税率も12%、さらには15%へと、再びホップ・ステップ・ジャンプをもくろんでいるのではないか。

 世界の先進国では、中央銀行による国債の無制限買い入れや、減税、給付金など積極財政政策で一致している。そして、大災害での増税は行われない。

 コロナ・ショックでは需要が蒸発しデフレ圧力が高まっている。そうした時に増税が行われたら、落ち込んだ経済への致命的なダブルパンチとなるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】消費税減税とともに、復興所得税も廃止して日本の「シバキ倒し文化」を終わらせよ(゚д゚)!

皆さんが今でも復興所得税は徴収されています。ただし、所得税と復興所得税は、まとめて所得税とされいるのでわかりにくいところがあります。

以下に、代表取締役Aの所得税を例示します。事例では、所得税だけ引かれていない事前確定届出給与を示しています。

(事前確定届出給与)
1,000,000円
(所得税及び復興特別所得税)
1,000,000円×20.42%=204,200円
(代表取締役Aの口座へ振り込む額)
1,000,000円-204,200円=795,800円

この事例でみるとおわかりになるように、日本の所得税はかなりのものです。

復興財源にはこのように、復興法人税以外にも「復興所得税」などが存在します。所得税については、サラリーマンであれば2013年1月1日から25年間、税額の2.1%分が源泉徴収により天引きされています。

消費税が上がってしまい、コロナ禍に見舞われている現在、消費税減税は叫ばれているものの、何故か家計の負担となる復興所得税に関しては、廃止の声が聞こえて来ません。ところが、復興特別法人税に関しては、1年前倒し廃止 平成25年12月12日に公表された平成26年度税制改正大綱にて、この復興特別法人税は1年前倒しで廃止されました。

法人税は廃止されたのに、所得税はなせ廃止されないのでしょうか。それは、経団連を消費増税の味方につけるために、法人税減税をちらつかせてきたからです。

海外では、法人税減税と消費増税は、関係ありません。各国で法人税減税が行われていますが、そのロジックは、個人の段階で税を捕捉することをきちっとやるため、法人税は二重課税になるため取らないというものです。そのために必要なのが歳入庁や、番号制です。消費税と法人税の引き下げをセットで考える国はありません。

なお、米倉弘昌氏が経団連の会長のとき「消費税を上げて法人税を下げるのは企業優遇との批判にも「企業業績が高まれば雇用も上がり賃金水準も上がってくる」と話していました。

私自身は、コロナ禍に対応するために、消費税を減税すべきという声は、聞こえてくるものの、復興所得税を廃止せよという声が聞こえてこないのは本当に奇異だと思います。

本来ならば、復興所得税は廃止した上で、消費税も0%にすべきです。これは、実務的には税率変更時の手続きと同様であり、すでに事業者、税理士、税務署職員共に全て経験済みで大きな負担は発生せず、かつ、その効果は全ての国民が享受することができるものです。

何より逆進性の強い消費税は、経済的に弱い立場にある人には大きなインパクトがあります。復興所得税廃止もさらにインパクトがあります。

現在のコロナウイルスでのさらなる景気の落ち込みを踏みとどめるためには、復興所得税は0に、消費税率もゼロにする以外に道はないです。財源は、国債で賄えば良いです。

国債が将来世代のつけになるというのは、このブログでも述べてきたように、ラーナーの法則でも明らかなように、ここ日本では全くのフェイクです。

アバ・ラーナー

やはり、昨日このブログにも掲載したように、日本は財務省を頂点に、政府も企業も「シバキ倒し文化」が根付いてしまい、国民はどこまでも「シバキ倒す」のが正しいと信じて疑わなくなってしまったのでしょうか。

高橋洋一氏は、上の記事で、「大災害時の増税は経済学の課税平準化理論にも反するもの」としていますが、それはどういうことかといえば、大災害時の復興などを増税で賄うなどということは、大災害を被った世代だけが、大災害時の復興などのへの負担を被るということであり、それはあまりに不公平だということです。

これを100年債などで賄えば、大災害字の復興などの負担を大災害を被った世代だけではなく、将来世代も応分に被るということで平等になるのです。これを、財務省等は将来世代へのつけなどとしていますが、そんなことはありません。なぜなら、復興などで新たに設置するインフラなどは、当然のことながら、現在世代だけではなく将来世代も恩恵にあずかることができるからです。

そうして、何よりも、大災害などで大損害を受けた世代が、さらにその損害を全部被るということになれば、それこそ、経済が破綻してしまいかねません。そうなれば、将来世代もその破綻の悪影響を被るわけで、とんでもないことになってしまいます。


復興税を廃止するのは、造作もないことです。消費税を0%にすることも実務的には税率変更時の手続きと同様であり、すでに事業者、税理士、税務署職員共に全て経験済みで大きな負担は発生せず、かつ、その効果は全ての国民が享受することができるものです。

政府特に財務省にとっては、大変かもしれませんが、そのようなことは財務省が努力すれば良いだけの話です。財務省などシバキまくって、法的事務的手続きを無理ややらせて、根をあげたら、そこで財務省を廃止して、複数に分割して他の省の下部組織に組み入れてしまえば良いです。


長年国民を「シバキ倒してきた」のですから、今度は自分たちが「シバキ倒される」のは当然のことです。政治家、国民などで寄ってたかって「シバいてシバいてシバキ倒す」べきです。そうしないと、本当は頭が悪いのにエリート意識だけ高い彼らは「シバキ倒し」の本当の苦しさを理解することはできないです。

なぜそんなに減税に拘るかといえば、何より逆進性の強い消費税は、経済的に弱い立場にある人には大きなインパクトがあるからです。

私は、現在のコロナウイルスでのさらなる景気の落ち込みを回避するためには、消費税率をゼロにするか、大幅減税する以外に道はないと考えています。財源は、このブログでも掲載してきたように、国債で十分まかなえるどころか、ゼロやマイナス金利の現状では、その分政府が儲けることができます。復興所得税を廃止しても、復興は国債で十分まかなえます。

というか、財務官僚がもっと頭が良ければ、国債のマイナス金利を利用して、金を儲けて、儲けたことをわからないようにして、特別会計に組み込むなどの芸当など簡単にできるはずですが、そんなこともできないほどに、省益というか、いずれ省益を損ねることになるのは明々白々な増税に凝り固まり、本当に頭が悪くなつてしまったようです。

現在、財務省は鉄壁のようにみえます。しかし、かつての中国がそうみえましたが、現在では長年の綻びが露呈しているように、財務省も鉄壁ではないはずです。まともな政治家や、国民が結集して、財務省の綻びをえぐり出し、徹底的に「シバキ倒して」できれば、崩潰させるべきです。そうでないと、日本の「シバキ倒し文化」はいつまでも続くことになります。

当面世界的には、中国との対峙、国内的には財務省との対峙が日本にとって最重要課題になると思います。

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2020年5月1日金曜日

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ ―【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

コロナ・ショックは「リーマン級危機」以上では? 消費税減税の大義名分、国民の命と経済を優先すべきだ 
高橋洋一 日本の解き方

安倍首相

安倍晋三首相はこれまで、消費増税を見送る条件として、「リーマン・ショック級の危機」を挙げてきた。今回のコロナ・ショックは、まさにリーマン級危機ではないのか。

消費税については、長い経緯がある。1989年4月、当時の竹下登内閣が税率3%として初めて導入した。その後、村山富市政権時の94年11月に税制改革法案が成立し、橋本龍太郎政権の97年4月に税率は5%に引き上げられた。

その後、消費税率は5%のままであったが、2012年8月の民主党の野田佳彦政権時、14年4月に8%、15年10月に10%にそれぞれ引き上げる消費増税関連法が成立した。

安倍政権になって14年4月に予定通りに8%に引き上げられた。ただし、その後経済が低迷したために、安倍政権は14年11月、10%への引き上げ開始時期を17年4月まで1年半延長。さらに16年6月には、19年10月まで2年半延長した。1回目の延長の際には、その直後総選挙を行った。2回目の延長は北海道・洞爺湖サミットにおいて表明された。

19年10月の10%への引き上げは実施されたが、その際、安倍首相は「リーマン・ショック級の危機があれば見送るが、そうでなければ予定通り」としてきた。

10%への増税後、19年10~12月期国内総生産(GDP)は年率7・1%減だった。これだけでもかなりの経済ショックであるが、その上、2月下旬からはコロナウイルスによる内外での経済ショックがあり、さらに急速に景気が落ち込んでいる。

政府の景気判断は、月例経済報告を読めばわかる。2月まで「緩やかに回復」としていたが、3月にはさすがに「大幅に下押しされている」に引き下げた。4月は、「急速に悪化しており、極めて厳しい状況」とさらに引き下げた。

リーマン・ショック後の09年2~4月においてすら「急速な悪化が続いており、厳しい状況」という表現であり、今回の景気判断は、その当時よりも厳しい認識となっている。西村康稔経済再生相も「家計や企業の経済活動が急速に縮小する過去に例を見ない、極めて厳しい状況だ」と述べた。

これで、政府としても、今回のコロナ・ショックは、「リーマン・ショック級以上」と言わざるを得ない状況だ。

内需の過半を占める個人消費は、判断を2カ月続けて引き下げ、「急速に減少している」とした。20年1~3月期GDPは年率5%程度減、4~6月期も年率10%程度減となると国内エコノミストは見込んでいる。

世界経済も大変だ。米議会予算局が24日公表した経済見通しでは、1~3月期GDPは年率3・5%減、4~6月期は年率39・6%減だ。

まさに、日本も世界もリーマン・ショック級の事態になっている。この未曾有の危機は、当然、消費税減税を行う立派な大義名分になる。消費税よりも国民の命と経済を優先すべきである。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくる、すでに財務省は中共と同じく表舞台から退場しつつある(゚д゚)!

16人の民間エコノミストの予測平均から、日本の2020年4-6月期における実質国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比21.7%減となる見込みであることが分かりました。日経新聞が報じました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出の自粛や店舗の休業が続き、GDPの60%以上を占める個人消費が前期比6.9%減となると予想。戦後最悪のマイナス成長となる見込みです。

内閣府は今月18日に1-3月期のGDPの一次速報を発表する予定。この期間は5.2%減と見込まれており、昨年10月の消費税増税後から3期連続のマイナス成長率となる見通しです。増税後の落ち込みから回復しつつあった流れが、コロナウイルスによって完全に途切れました。

予測通りになれば、4-6月期はリーマンショック後の2009年1-3月期に記録した17.8%の減少を超えることになります。また3期連続のマイナスは、東日本大震災前後の10年10-12月期から11年4-6月期以来となります。

民間の経済予測、7〜9月期はコロナ禍が終息したものとして予想している

米議会予算局は、米国の実質GDPは4-6月期に年率40%のマイナス成長になると予測。日本の4-6月期の輸出は17%減となっており、これはリーマン危機以来の大幅な減少で、内需も外需も厳しさを増している状況です。

12年前のリーマン・ショックの際、国際標準は、積極財政政策と金融緩和政策の同時発動でした。実際にほとんどの先進国で行われたのですが、日本では財政支出の規模が足りず、金融緩和も行われませんでした。

その結果、リーマン・ショックの震源地からほど遠いにもかかわらず、日本経済への打撃が大きく、震源地の米国やその悪影響をモロにかぶった英国が、いちはやく回復したにもかかわらず、世界で日本だけが、回復が遅れ、ひとりまけの状態になりました。

特に白川方明(まさあき)総裁当時の日銀で金融緩和が行われなかったため、円は他通貨に対し希少性が出て猛烈な円高となり、日本経済を痛め付けたことは多くの人の記憶に残ったことでしょう。

日本の貧乏神と揶揄された日銀元支店長白川方明士

東日本大震災の際の処方箋も、同様に財政政策と金融政策の同時発動だった。しかし、これも十分に行われなかったどころか、復興増税という古今東西にない愚策が行われた。

日本政府は全国に発令された緊急事態宣言の延長を表明しています。延長期間などの詳細はこれから発表される予定ですが、今回の予測は延長による下振れは織り込み済みです。

国際通貨基金(IMF)は今年の後半から世界経済が回復に向かうとみており、エコノミストも7-9月期は平均で年率9.9%の成長を見込んでいます。しかし経済活動再開後に第二波が到来することを危惧するなど、今後もコロナウイルスの影響が長引けば、回復にはさらに時間がかかるとみられます。

新型コロナウイルスの感染拡大に対応する、注目の「国民1人当たり一律10万円給付」を盛り込んだ2020年度補正予算が30日、成立しました。「世界恐慌以来の景気悪化」(国際通貨基金)から日本経済を再生させ、国民生活を守るため、今後のさらなる経済対策が期待されます。自民党内から「消費税減税」を求める声が上がってきました。

「一律10万円給付では、政治主導で財務省のくびきを外し、『政治の力』を証明できた。次は消費税減税だ」

自民党若手有志の議員連盟「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区=は語りました。

「日本の未来を考える勉強会」を主宰する安藤裕(ひろし)衆院議員=京都6区

補正予算(25兆6914億円)の成立を受け、総額117兆円という緊急経済対策が本格的にスタートしました。

未曾有の危機から国民生活を守るため、財務省主導で国民に「不評」だった「減収世帯に30万円給付」に代わり、「国民1人当たり10万円給付」が実現しました。大型連休明けには、全国の自治体で給付も始まります。ほかに、減収となった中小企業に最大で200万円を支給する「持続化給付金」なども盛り込まれました。

ただ、今回の予算措置だけでは、経済再生は困難です。政府が4月23日発表した4月の月例経済報告では、国内景気の判断について「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」と下方修正した。「悪化」の表現は、リーマン・ショック後の09年5月以来。新型コロナウイルスの影響はあまりに甚大です。

冒頭の議連「日本の未来を考える勉強会」は3月、「景気の致命的下降や恐慌を食い止めるには『消費税の減税』が欠かせない」という緊急声明を出しています。財務省が「一律10万円給付」で折れたことを受け、政府に対して、さらに積極的な財政出動を求めます。

安藤氏は「補正予算は今後、第2次、第3次が必要になるのは間違いない。政府・与党は、国民の生活を守り、企業の倒産を出さない決意を示し続けるべきだ。政治の力で、財務省の厚い壁を打ち破って、国民が熱望する『消費税減税』も実現しなければならない」と語りました。

現在の安倍政権は政権末期によくみられる現象で、官邸内の指揮命令系統がうまく機能していないようです。しかし、コロナ・ショックを受けたマクロ経済政策としては、大規模な財政支出と無制限金融緩和という先進国の定番政策に近いところまできています。細かい点にはまだ不満がありますが、自民党の一部には、上記のように財政問題がほぼないことを正確に理解し、正しい政策を模索する向きもあります。

こうした危機の時こそ、人々の本質・地金が出てくるものです。もう、緊縮大好きで、財務省の省益しか考えない、財務官僚の本質が顕になりつつあります。

コロナ禍はこれからもしばらく続くはずであり、これに対する政府の対応に対して、財務省は結局国民経済や命など無視して、とにかく緊縮財政の立場から反対し続けるでしょう。この財務省の抵抗は、これからも多くの国民に知られるところとなるでしょう。

そうして、多くの国民は、財務省の省益とは一体何なのかと、財務官僚に疑問を抱くようになるでしょう。しかし、その質問に当の財務官僚すら答えられないという事態になると思います。

ましてや、その答えが、単に退官後に天下りして、超リッチなハッピー・ライフを贈りたいからなどと答えれば、単なる馬鹿と多くの国民に認識されるだけです。

漿液優先の財務省などのキャンペーンとは一線を画した多くの政治家によるまともなマクロ経済政策への理解も10年前の民主党政権当時よりはるかに高まっているはずです。それこそが、これまでの10年の成果であり、日本経済復活への一縷の希望でもあります。

私自身としては、もうすでに制度疲労を起こした財務省の絶頂の時代は終わりつつあり、すでに財務省は表舞台から退場しつつあると思っています。

財務省「ピンチはチャンスだ、コロナのあとで増税・緊縮」を画策しているようです。実際、テレビで財務官僚がそのような発言をしています。今回こそは、復興増税の過ちを繰り返してはならないです



今回のコロナ禍で、コロナ復興税などで、復興を賄うなどのことを財務省が画策して動き出せば、さすがに今回ばかりは、政治家も国民も黙ってはいないでしょう。何しろ、今回は東日本大震災のときとは、規模が全く異なります。財務省は、全国民と全政治家を敵に回すことになります。

現在、コロナ禍を自分にとって有利になるように、中国共産党が画策しています。しかし、東アジアは、日本、香港、台湾ともに被害が少なく、被害のひどかったEUの国々に対して、マスク外交をしたり、医療団を送ったりしています。

その他コロナウイルスの発生源を米国だとしてみたり、東シナ海や南シナ海での挑発をゆるめるどころか、強化しています。

しかし、この中国の試みが成功するとはとても思えません。実際、香港経済日報の29日付報道では、現在、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアの8カ国の政府や民間機関が、新型コロナウイルスの感染拡大を招き、自国に大きな被害をもたらしたとして、中国政府に賠償を求める訴訟を起こしていると紹介しています。

「外国による中国への賠償請求を『100国連合』と形容する人もいるが、あながち言い過ぎではないだろう」と伝えました。

そして、8カ国が中国政府に対して求めている賠償額の合計は約49兆5000億米ドル(約5300兆円)となり、これに米ミズーリ州の推定賠償請求額を加えると100兆ドル(約1京1000兆円)を上回り、中国のGDP(国内総生産)7年分に相当する額に達すると伝えました。

中国ウイルスで酷い目にあった国々は、この恨みを決して忘れることはないでしょう。今後の中国は、米国や多くの国々から体制の転換を求められるでしょう。

中共がそれを拒否すれば、米国などの国々が、中共幹部や家族の個人資産を凍結したり、ドルと人民元の交換を停止したり、中国のドル使用を禁止するなどの措置を課するかもしれません。そうなれば、このブログにも以前掲載したように、中国は石器時代に舞い戻ることになります。

財務省も、今後国民生活や、国の経済を考えず、省益だけを追求すれば、中共と同じような運命をたどることになるでしょう。

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2020年4月15日水曜日

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高橋洋一 日本の解き方

復興税は未だに徴収され続けている

 2011年の東日本大震災の後、復興増税が行われた。今回のコロナ・ショックの際にも増税を主張している経済学者がいるが、危機の際に増税するというのは世界標準の経済政策なのか。

 経済政策を考える際、標準的なフレームワークは、総供給と総需要がどのように変化するかを考える。総需要は、民間消費、民間投資、政府需要、純輸出で構成される。総供給は、基本的には生産関数であり、人口、総資本、技術などが構成要素である。

 1973年と79年のオイル・ショックでは、生産基盤の一つであるエネルギー価格が外的要因で一気に上昇した。これは生産関数での価格上昇になるので「供給ショック」であり、国内総生産(GDP)の下落と一般物価の上昇という形になる。その場合、総需要を増加させる景気刺激策ではなく、供給に働きかける政策が主体となる。

 2008年のリーマン・ショックでは、不良債権問題に端を発する金融機関の倒産によって需要が一気に飛んだ。日本では金融機関の痛手は少なかったが、海外の需要減により輸出減少となった。これは「需要ショック」で、同時に一般価格の低下、失業の増加があった。

 こうしたショックに対しては、総需要を増加させるような財政政策と金融政策の一体発動が世界各国で行われた。ただし、日本では、十分な財政出動・減税が行われず、金融緩和も不十分だった。日本だけが金融緩和されなかったので、一方的な円高が進み、輸出が減少、内需増加の効果を外需減少で相殺してしまった。

11年の東日本大震災では、東日本の一部の生産設備に打撃があった。電力などの供給がネックになり、供給力は落ちると一部の経済学者は考え、供給ショックであるとした。供給ショックだと考えると、復興政策は、総需要を増加させる政策では適切ではないという結論になる。

 しかし実際には、東日本大震災は、供給政策にはほとんど影響を与えず、生産収縮を見越した需要減少が一気に生じた。要するに、供給減とともにそれを上回る需要減があったのだ。

 ここで必要だったのは、積極財政と金融緩和だったのだが、それと真逆な復興増税が行われた。

 さて、今回のコロナ・ショックも、世界的なサプライチェーンの分断という供給ショックの様相もあるが、やはり人の行動制限に伴う経済活動の縮小を通じて需要が一気に消滅したことの影響が大きい。要するに、供給ショックとともにそれを上回る需要ショックがあったと考えるべきだ。

 特に、日本ではコロナ・ショックの他に、消費増税ショックと東京五輪1年延期ショックがある。これらは需要ショックである。この点で増税を選択する余地はない。

 仮に供給ショックであったとしても、ほとんどの場合、増税は悪手であり、一般物価を上げない代わりにGDPを大きく減少させ、失業をさらに増加させる。そもそも経済ショックの際に増税することはありえないのだ。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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東日本大震災で、復興税を推進した財務省とそのとりまきの経済学者らなど、中国ウイルス禍が収まった後に、またコロナ復興税などの名称で新たな増税を目論むかもしれません。これは、完璧に間違いです。今回は、何としてでも阻止すべきでしょう。

新型中国ウイルス問題が深刻化・長期化しつつある中、その経済的影響が強く懸念されています。世界中で都市封鎖が実施されており、各国の生産活動が一時的に停止することにより、株価は数年前に逆戻りして雇用は信じられない規模で失われました。

具体的には、世界経済の中心地である米国が3月26日公表した雇用統計において失業者数は跳ね上がり、ムニューチン財務長官が1929年の大恐慌以来初めて20%を超えるかもしれない、と警告する事態となっています。つまり、これは世界的に未曽有の経済危機がやってきたということを意味します。

ただし、米国は当面は深刻な事態であるものの、中長期的な視点に立つと底堅く回復していく見通しがあります。ホワイトハウス・上下両院は約220兆円に及ぶ緊急経済対策を既に可決しており、両者は更なる経済対策も視野に協議を行う構えを見せています。


また、トランプ政権が実現してきた減税と規制廃止は、米国の産業競争力を向上させて経済の底力を高めてきています。そのため、経済状況が一度上昇軌道に戻り始めればFRBの金融政策との相乗効果を発揮して、米国経済は劇的に復活する可能性があります。米国の現在の景気悪化は深い谷の中でも将来的な希望の光を見出すことできるものだと言えます。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月に「ゼロ金利」への回帰などを決めた際の議事要旨が8日、公表された。一気に大規模な金融緩和を進めることへの異論も出たが、「米経済の見通しが急激に悪化し、著しく不確かになった」との認識のもと、空前の緩和策を決めていました。

しかし、将来的な見通しについて全く光明が見えない国が存在しています。それは我が国日本です。日本の直近の景気状況は2019年10~12月期GDP改定値は年率7.1%減となっています。

政府はGDP減少の理由について様々な屁理屈を述べていましたが、誰がどうみても10月1日から始まった消費増税が影響していることは明らかです。アベノミクスの第二の矢であった機動的な財政政策は逆方向に砕け散った上に、第三の矢である規制改革に至ってはまともに飛んだ形跡すら見当たりません。

第一の矢である金融緩和も、当初は異次元の量的緩和を実行し、かなりの成果をあげ、特に雇用は劇的に改善しました。しかし、日銀は緩和はしてはいるものの、イールドカーブ・コントロールを実施しはじめてから、緩和には抑制的です。いまのままでは、アベノミクスの唯一の成功事例である、雇用にも陰りが見えてくるのは必定です。

したがって、米国経済と違って日本経済はその足腰が弱った状態で新型コロナウイルスに伴う経済危機に直面していることになります。日本政府は自ら転んで骨折したところで、更に交通事故にあったくらい悲惨な状況です。

4月7日に示された危機意識の欠落した補正予算だけでなく、その陰で3月17日に政府から衆参議員運営委員会理事会で示された日本銀行政策委員会の審議委員人事案も注目すべきです。

退任する布野幸利氏に代わって消費税増税容認派と目される中村豊明氏が政府から人事案として示されたのです。同氏は日立製作所取締役を務めた人物であり、産業枠として経済界の代表として送り込まれる人物です。

中村豊明氏

日本銀行政策委員会の審議委員は金融政策決定会合の結果を左右し、一度任命された後は5年間の任期中にそのポストを追われることはありません。当然ながら、日本経済に与える影響は極めて重要なポストです。

米国ではFRB理事の承認プロセスでは連邦議会によって徹底的な振るいにかけられます。過去の金融政策に関する発言はもちろん、その素行についても細かく審査されます。

直近でもトランプ大統領が指名した人事案は人選の問題が指摘されて首尾良く運んでいません。現在の承認プロセスにある人物も過去の金融政策に関する発言と現在の金融政策に関する方針に関しての整合性について連邦議員から問題視されています。

日本のように産業枠などの割り当てではなく、理事候補者の見識・人物が公開の場で問われるのです。その影響力の大きさから行われるべき当たり前のプロセスが踏襲されているのです。

中村豊明氏は12年社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会において、日本経済団体連合会税制委員会企画部会長として出席しています。その際、消費税率の引き上げが伴う三党合意について、消費税増税派である経団連の税制改革の責任者として増税賛成の見解を述べた人物です。

20年3月24日参議院財政金融委員会において、浜田聡参議院議員が上記の公聴会での発言について問題視すると、政府は「経団連の立場を述べただけで中村氏の意見では必ずしもない」という趣旨の回答をしましたが、これほどふざけた回答はないでしょう。

同氏は経団連の税制委員会の責任ある立場にあったことは明らかだからです。百歩譲って立場に応じて財政金融政策の見識が左右される人物を国会に推薦すること自体があり得ないことでしょう。

日銀政策委員会の審議委員は政府の税財政政策に関して直接権限を持つわけではないですが、日銀の決定が日本政府の税財政政策に影響を与えることは自明です。

つまり、新型コロナウイルスに伴う経済危機が顕在化していた3月17日、日本政府はこの期に及んで増税派と見られても仕方がない人物を経済政策の重責を担うポストに推薦したのです。

昨年の消費増税はコロナウイルス問題と同様に日本経済に深刻なダメージを与えており、この政府人事案は示す行為は危機感がないというよりも社会常識が欠落した所業だと言えます。

また、政府与党の経済危機への対策案としての補正予算も極めてインパクトに欠けるものでした。政府は補正予算を取りまとめる過程において、その内容について何度も観測気球の報道記事を垂れ流してきました。

その際、未曽有の経済危機に際して、自民党農林部会や水産部会からは和牛商品券などの業界利権丸出しの主張が行われる姿は国民の眼からは極めて奇異なものに映りました。無論これは、立ち消えになりましたが、自民党の議員の中にも緊張感に欠けた愚かな連中がいるのか、白日のもとに晒された形となりました。

なぜ和牛券?

新型中国ウイルス問題が表面化した1月段階で準備を始めるべき経済対策について4月に入ってもまだ議論していることにも驚かされますが、日銀人事に示された程度の税財政策に対する問題意識なのですから、政府与党と国民の意識との乖離は著しいものだと想定するべきでしょう

自民党若手有志による消費減税を柱とする政策要望の記者会見も開催されましたが、執行部は与党案として消費増税減税並みの給付を行うことで応じただけでした。むしろ、政府与党として断固たる消費減税の拒否の姿勢を見せつけた状況となっています。

実際、これらの若手議員は消費税減税へのゼロ回答はもとより、今回の問題だらけの補正予算に賛成票を入れるだけの事実上マシーンでしかありません。実際、消費減税法案の作成を参議院法制局に依頼するという具体的な行動を起こしたのは、100人超存在するとされる自民党若手有志ではなく、僅か2名の会派でしかない前述のN国の浜田聡参議院議員だったことは何とも皮肉です。

仮に今回減税に失敗した場合、今後、消費減税は未曽有の経済危機の時ですら選択できなかった政治的な禁忌として扱われていくことになるはずです。緊急時ですら手も足もでなかったことは平時では尚更難しいものとして記憶されてしまうことになります。

むしろ、それが狙いで一連の与党内でのプロセスが行われているのではないかと穿った見方をしたくもなるくらいです。

せめて与党・野党を問わず減税を主張している国会議員は、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通すべきでした。この人事は目先の経済対策だけでなく、今後5年間の金融政策の方向性を左右するものです。



党議拘束を理由に減税派の国会議員らは過去に増税を支持した人物に対して賛成票を入れるなら、表面上は減税派だけれども本音は増税派とみなされても仕方ないてしょう。

世論調査では国民が経済対策として求める政策は消費税減税が圧倒的です。今、試されていることは、国会議員が消費減税を求める国民の真の代表であるか否かということです。誰のため・何のための政治なのか、明確になる瞬間だと言えるでしょう。

もし、与党・野党を問わず減税を主張している国会議員が、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通していれば、事態は変わる可能性もありました。

いずれ中国ウイルスは終息でしょう。終息したまさにその時、財務省とその取り巻きは、またコロナ復興税などを画策しはじることでしょう。その時、安倍総理は、コロナ復興税の見送りと復興税の廃止、消費減税、追加経済対策ならびに、憲法改正を公約として、衆院解散・総選挙に打ってでるべきです。

おそらく、現時点ではこれだけが、安倍総理の唯一の起死回生策と思われます。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正もかなわず、歴史には、消費税を二度あげ、コロナ復興税で日本経済を悪化させた総理大臣として歴史に名を刻まれることになるでしょう。

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2020年4月2日木曜日

【国家の流儀】マスク2枚?ふざけるな! 国民熱望“消費税減税”なぜやらないのか! 「国民は俺たちに従っていればいい」官尊民卑の意識まる見え―【私の論評】終戦直前の軍官僚の物資隠匿体質DNAを、強く引き継いだ財務省の動きを封じよ(゚д゚)!


安倍晋三首相(右)は,岸田氏や財務省が反対する消費税減税{を突破できないのか

 中国発の新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済を直撃している。生産や消費に甚大な影響が出ており、日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)の大企業製造業の景況感は7年ぶりのマイナスになった。東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5都府県では「医療崩壊」の危機が近づいており、もし事態が深刻化・長期化すれば、さらなる打撃は必至だ。政府は、リーマン・ショック時を上回る、かつてない規模の経済対策を断行する方針だが、マスク2枚は配れても、国民が熱望する「消費税減税」は盛り込まれない見通しという。どうして、政治家や官僚は減税を嫌うのか。評論家の江崎道朗氏が集中連載「国家の流儀」で迫った。


 共同通信社が3月26~28日に実施した全国緊急電話世論調査によると、望ましい緊急経済対策は「消費税率を引き下げる」が43・4%でトップだ。だが、政府与党の間では、減税は不評で、給付や和牛券のようなクーポン券が好まれている。

 例えば、自民党の岸田文雄政調会長は同月22日のNHK番組で、与野党内にある消費税減税論について、「下げるときも大きなコストと時間を要する。事前の買い控えが生じてしまう逆の効果も想定される」と否定的な考えを示した。

 公明党の石田祝稔政調会長も同番組で、「現金とクーポン券のハイブリッドが良い」との考えを示した。

 その理由は簡単だ。給付やクーポン券だと、「困った国民を政府が助けてあげた」という構図になり、政治家や官僚たちは優越感を維持できるからだ。もっとも、彼らは給付の原資が国民の税金であることをすっかり忘れているのだが。

 一方、減税となると、国民から取る税金が減って政府の権限が弱まってしまうと感じて嫌なのだ。要するに、増税派と減税拒否派たちからは、自覚しているかどうかは別にして、「俺たちが福祉、手厚い社会保障を構築して国民を守ってあげているのだから、国民は俺たちに従っていればいい」という官尊民卑の意識が垣間見える。

財務省


 この「福祉国家」の名のもと、増税を繰り返す政治家と官僚たちは必然的に国民生活と民間の経済活動にあれこれと干渉するようになる。よって「福祉国家は隷属への道なのだ」-。こう警鐘を鳴らした経済学者がいる。オーストリア人のF・A・ハイエクだ。

 彼は1944年に『隷属への道』を上梓し、福祉を名目にした増税は、官僚組織の肥大化と、国民の自由に対する抑圧を生むと訴えた。このハイエクの政治哲学に基づいて減税と民間の企業活動への規制緩和、つまり「小さな政府」を求める人たちのことをリバタリアン(libertarian)と呼ぶ。

 米国の保守派の一翼を担う彼らは「福祉や環境を名目に、いろいろと規制を設け、民間ビジネスを妨害する官僚組織のために高い税金を払うなんて真っ平ごめんだ。貧しい人の支援ならば教会に多額の寄付をした方が効果的だ」として政治家を突き上げ、減税を要求する。彼らは保守でありながら、増税を認めた「保守」政治家に対しても容赦なく「落選」運動を仕掛ける。

 そうした政治家と納税者たちとの厳しい緊張感の中で、リバタリアンに支援されたドナルド・トランプ大統領は今回、早々に大規模「減税」を含む2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策を決定したわけだ。

 日本にもリバタリアンがいれば、「いざというときに役に立たないのなら税金を減らせ。政治家と官僚は、われわれ納税者の雇用者に過ぎないことを忘れるな」と、政府と政治家を一喝しているに違いない。リバタリアンからすれば、減税は政府に対する要望ではなく、納税者としての権利なのだ。

 ■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、現職。安全保障や、インテリジェンス、近現代史研究などに幅広い知見を有する。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞した。他の著書に『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』(PHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』(扶桑社)など多数。

【私の論評】終戦直前の軍官僚の物資隠匿体質DNAを、強く引き継いだ財務省の動きを封じよ(゚д゚)!

世界最大の資産運用会社ブラックロックのローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)は2019年の年次報告書をこのほど公開し、「新型コロナウイルス終息後の経済は、政府と中央銀行の経済支援策が奏功して順調に回復する」との見方を示しました。

これまでの金融危機時には政府の対応の遅れが景気回復の足かせになったのですが、2兆ドル(約220兆円,GDPの10%)の経済刺激策や金融市場への流動性供給という迅速な対応で、今回の危機を乗り切ると指摘しました。

フィンク氏は年次報告書冒頭の投資家に宛てたメッセージで「金融市場で働いてきた44年間でこんな経験は初めてのこと」と新型コロナが生命や金融市場、企業に及ぼしている打撃について驚きを込めて語りました。「景気や金融市場が好転するのがいつになるのかは誰にもわからない」としつつ、「景気は着実に回復すると信じている」と強調しました。

その背景として、米連邦準備理事会(FRB)が金融市場への流動性供給で素早く対応したことや政府による2兆ドルの経済対策の迅速な投入が奏功するとみています。政府の対応が遅れて危機が深刻化した08年の金融危機の「教訓が生かされた」と指摘しました。同時に当時の危機は金融市場の構造的問題が根底にあったが、今回はそれがない点も政府の対策がこれまで以上に効果を発揮する理由と説明しています。

運用資産が7兆ドル超と世界最大のブラックロックは今回の相場急落で、運用する上場投資信託(ETF)の一部が急激な資金流出に見舞われました。フィンク氏は「世界中の市場で働く当社社員の9割は在宅勤務になっている。顧客投資家と電話やテレビ会議で密に連絡をとり、市場の混乱を乗り切りたい」と強調しました。

米国では、悲観的な考えの人が多いようですが、私自身は、このローレンス・フィンク氏の見方に賛成です。もし、新型コロナウイルスが今年の夏あたりに終息した場合、その後の経済の伸びは凄まじいものになり、年度末においては、年間を通して経済だけみるとコロナウイルス禍などなかったかのような状況になるのではないでしょうか。

ただし、コロナウイルス禍が長引いたとき、そうはならないでしょうが、コロナウイルスの感染が終息した後には猛烈な勢いで経済が伸び、比較的短期に回復するでしょう。

なぜこのようなことを自信を持っていえるかといえば、まずは、ローレンス氏が指摘しているように、2兆ドル(約220兆円、GDPの10%)の経済刺激策や金融市場への流動性供給という迅速な対応があるからです。

さらに、以前このブログでも示したように、香港がSARSに見舞われたときの事例があるからです。当該記事のリンクを以下に示します。
【田村秀男のお金は知っている】「新型ウイルス、経済への衝撃」にだまされるな! 災厄自体は一過性、騒ぎが収まると個人消費は上昇に転じる―【私の論評】今のままだと、新型肺炎が日本で終息しても、個人消費は落ち込み続ける(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくもとして、一部を引用します。
 参考になるのは、SARS流行時の香港と広東省の経済動向だ。グラフはSARSの流行前から消滅時にかけての香港の個人消費と広東省の省内総生産(GDP)の前年同期比の増減率推移である。香港では、ふだんは喧騒に包まれている繁華街に出かける人の数が少なくなったと聞いた。広東省は上海など長江下流域と並ぶ「世界の工場」地帯で、生産基地が集積している。 
 香港の個人消費は、SARS発症前の01年後半から前年比マイナスに落ち込んでいる。これは米国発のドットコム・バブル崩壊の余波と9・11米中枢同時テロを受けた米国のカネ、モノ、人への移動制限による影響のようだ。 
 低調な消費トレンドが、SARSの衝撃で03年半ばにかけて下落に加速がかかった。しかし、SARS騒ぎが収まると、個人消費は猛烈な勢いで上昇に転じた。
 対照的に広東省の生産はSARSの影響が皆無のように見える。むしろ、流行時の02年秋以降から生産は目覚ましい上昇基調に転じている。
 今回への教訓はシンプルだ。本来、景気は循環軌道を描くわけで、基調が問題なのだ。弱くなっているときに新型ウイルスという経済外の災厄に国民や市民、企業が巻き込まれても、災厄自体は一過性で、基本的な景気のサイクル軌道が破壊されることはない。
一言で言えば、基本的な経済政策に間違いがなければ、経済外の災厄に見舞われても、災厄自体は一過性であり、経済はすぐに回復するのです。

これについては、この記事でもあげように経済以外の災厄として、戦争もあります。経営学の大家ドラッカー氏は、経済統計をみただけでは、後の歴史家は、第二次世界大戦があったことに気づかないかもしれないと言っています。

なぜなら、米国では戦時中には、戦争遂行のために、大量に様々な兵器などが製造され、それらがGDPに計上されるため、経済統計ではさほど、落ち込みは見られません。戦争が終わると、兵器製造なとは低調となりますが、今度はある程度制約のあった消費が伸びます。だから、年度で見た場合は、戦争の痕跡がみつからないほどに、経済は悪くはならなかったのです。

ヨーロッパや日本の場合も同じです。ただし、ヨーロッパや日本の場合は、米国のように経済が大きくはなかったので、国民はかなり耐乏生活を強いられましたが、それにしても、兵器等の製造は、かつてないほどの勢いで実施されたため、それがGDPに計上され、国民の生活実感からはかけ離れていたのですが、GDPだけみていると、さほど落ちたように見えないのです。

ただし、この記事でも解説したように、日本だけは特殊事情がありました。日本でも、終戦直後には凄まじい勢いで国民の消費意欲は高まったのですが、それは暫く満たされることはありませんでした。それは軍(陸軍省、海軍省などの官僚による、外務省等も隠匿していたとされている)による大量の物資の隠匿があったからです。

とはいいながら、隠匿物資も国富の中には統計上では存在したわけですから、多くの人が想像していたよりは、終戦直後の日本は本当は窮乏していたわけではなかったのです。事実統計上では、戦前の7割の国富が温存されていたのです。

確かに、日本の都市部は爆撃などで焼け野が原になっていたのですが、地方では生産拠点が残されていたため、多くの人々が考えているように、日本全土が焼け野が原となって、日本はゼロからスタートしたわけではないのです。周辺国などから比べるとはるかに有利な条件からスタートしたのです。

ただし、大量の物資(米、小麦粉、金塊、その他ありとあらゆるもの)が隠匿されていたので、暫くの間耐乏生活を強いられたため、多くの人々がゼロからのスタートと思ってしまったのです。もし、官僚が物資を隠匿していなければ、国民は当初から生活にあまり窮することなく、ましてや裁判官が餓死するなどの痛ましいことはおこらず、戦後をスタートすることができたはずです。

そうして、この官僚の隠匿という姿勢は今も変わっていないようです、特に財務省にはその姿勢がいまでも強いです。

昔の官僚は、隠匿という厳密には非合法のやり口を使ってまで、単純に大量の物品や金塊などを隠匿しましたが、現在財務官僚は、日本国の貸借対照表でいえば、右側の負債ばかり強調して、左側の資産については何もいわず、日本国は借金まみれだという言説を流布し、挙げ句の果てに、税と社会保障の一体改革などと、ぬかしてなにかといえば、増税をしたがります。

そのおかけで、古今東西日本だけで行われた、震災の復興に復興税などというあり得ない増税をし、その後も8%、10%と増税を繰り返してきました。これは、終戦末期の官僚が大量に物資を隠匿したのと変わりありません。

   終戦直前に物資隠匿を行った官僚らの、DNAを強く引き継いだと
   みられる財務省事務次官岡本薫明氏

ただ、大蔵省、今の財務省の官僚がスマートに合法的に実行しているだけの違いです。どうも、日本の官僚にはこうした体質が染み付いているようです。これは、いずれ何とかしなければならない重大問題です。

10%増税で、個人消費が落ち、昨年10月から12月の、GDPが7%台のマイナスになっていたところに、今回のコロナウイルス禍です。それに、このブログに以前示したとおり、真水の経済対策ということでは、全く不十分です。

このままだと、日本は米国のようにコロナ禍が終息しても、経済がすぐに回復することはありません。そのようなことを避けるためにも、減税は必須ですし、経済対策ももっと大きなものにする必要があります。

このようなことを言うと、すぐに「安倍政権が悪い」「安倍総理が悪い」などという人もでてくるでしょうが、たしかにその側面は否めないものの、政権ばかりをせめていれば、終戦直後から続いている官僚の物資隠匿体質引き継いだかのような、財務省の現状の隠匿体質はいつまでも是正されないでしょう。

官邸と、財務省の戦いはこれからも続くでしょう。これは、安倍政権後もそうなるでしょう。ただし、今は官邸と財務省の戦いで官邸側が勝利するまで待っている余裕などありません。

今のままでは、徐々に経済がかなり悪くなるだけです。おそらくリーマン・ショックのときのように、震源地の米国やその悪影響を受けた英国が、リーマン・ショックからいち早く回復したにもかかわらず、日本だけが回復せず一人負けしたように、コロナショックからの回復でも日本だけが遅れてしまうことになります。

そのようなことにならないためにも、安倍総理は現状ではできる対策をなるはべく早く実行した上で、次の衆院選で減税と、大型景気対策を公約に掲げて、大勝利して、財務省の動きを封じて日本の景気回復を米国なみにはやくできるようにしてほしいものです。

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2020年1月29日水曜日

新型肺炎が日本経済に与える影響、SARSと比較、訪日客減少で7760億円押し下げか―【私の論評】インバウンド消費の激減は、消費税減税で補うどころかありあまる効果を期待できる(゚д゚)!

新型肺炎が日本経済に与える影響、SARSと比較、訪日客減少で7760億円押し下げか

中国の空港の国内線のゲート

新型肺炎の世界的な感染拡大が懸念されているなか、野村総合研究所(NRI)はインバウンド需要の減少による日本経済への影響について、2002年11月に発生が確認されたSARSとの比較をもとに、その試算を公表した。

新型肺炎と2003年に拡大を見せたSARS発生時と現在との大きな違いは、中国及びその他地域からの訪日観光客の急増。2002年と2019年の間に、中国からの訪日観光客数は21.2倍、訪日観光客数全体では6.1倍にも増加しているため、NRIでは、新型肺炎によって訪日観光客が減少し消費額が落ち込んだ場合、日本経済に与える悪影響はSARSの発生時よりも格段に大きくなる可能性があるとしている。

SARSの影響による訪日観光客数の減少分として2003年1月時点での訪日観光客数の前年同月比と2003年全体の訪日観光客数の前年同月比との差を比較すると、訪日中国人観光客数は-13.0%、訪日観光客全体では-15.4%となる。

新型肺炎の影響によって、2020年の訪日観光客数がこれと同じ割合で減少すると仮定した場合、中国からの訪日観光客数の減少は2020年の日本のGDPを2650億円押し下げ、訪日観光客数全体では7760億円押し下げると試算した。後者については、GDPを0.14%押し下げる計算になる。

2003年5月単月の数字を見ると、中国からの訪日観光客数は前年同月比-69.9%、訪日観光客数全体では同-34.2%とかなり深刻な影響が生じたが、SARSが訪日観光客数に影響を与えたのは数か月程度と比較的短期間にとどまった。仮にそれと同程度の影響が1年間続くと仮定し、同様に計算をしてみると、新型肺炎の影響で日本のGDPは2兆4750億円、0.45%も押し下げられる計算となる。

この試算は2020年1月27日に発表されたもの。 NRIでは、日本人の個人消費悪化の影響、企業の生産活動停滞の影響、海外経済減速の影響なども加わってくる可能性があるとしている。

新型肺炎がインバウンド需要の減少を通じて日本経済に与える影響試算

【私の論評】インバウンド消費の激減は、消費税減税で補うどころかありあまる効果を期待できる(゚д゚)!

インバウンド消費を過大に評価する人がいて、中には日本経済の発展≒インバウンド消費の拡大などと言い出す識者もいて、本当に噴飯ものといわざるをえないところがあります。

これについては、以前のこのブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
消費税10%ショック! やはり「景気後退」が始まったかもしれない―【私の論評】インバウンド消費等元々微々たるもの、個人消費に勝るものはない(゚д゚)!
麻生財務大臣
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、旅行の経済に関わる部分をこの記事より引用します。
平成29年の日本人国内旅行消費額は、21兆1,130億円(前年比0.8%増)となり、うち宿泊旅行が16兆798億円(前年比0.3%増)、日帰り旅行が5兆332億円(前年比2.3%増)です。 
日本人国内延べ旅行者数は、6億4,751万人(前年比1.0%増)となり、うち宿泊旅行が3億2,333万人(前年比0.7%減)、日帰り旅行が3億2,418万人(前年比2.8%増)です。

なぜか、インバウンドばかりに目がいきますが、やはり日本人の旅行者のほうが圧倒的に実数も、消費もはるかに大きいです。現状のインパウンドの4.5兆円と比較すると、20兆円規模です。

少子高齢化の影響もあってか、日本人の延べ旅行者数は、減る傾向にはありますが、消費額の推移をみると、だいたい20兆円台で推移しています。インバウンド消費(18年で4.5兆円)よりもはるかに大きいことがわかります。 
インバウンド消費停滞の経済全体へ影響は限定的である一方、日本経済の成長をはっきり押し下げるのは消費増税による緊縮財政政策の悪影響です。当然日本人の国内旅行での消費も減ることになるでしょう。 
インバウンド消費は、GDPの1%に過ぎないのですが、日本人による個人消費はGDPの60%を占めます。個人消費が冷え込めば、インバウンド消費がかなり増えたとしても、それは帳消しになります。
新型肺炎の問題が起こるまでは、インバウンド消費が徐々に増えるだろとうということで、観光産業などを中心にこれに期待するむきも多かったのですが、もはやその期待は打ち砕かれたとみるべきです。

こちらは、札幌です。もう少しで「さっぽろ雪まつり」が開催されます。今年は、2月4日から開催の予定ですが、今年は新型肺炎により、観光客が大幅に減ることが予想されます。

「さっぽろ雪まつり」にも毎年、海外から観光客が訪れていますが、今年は期待できないでしょう。

「さっぽろ雪まつり」に限らず、今年は様々なイベントで国内外の観光客が激減するのは、はっきりしています。

最近の新型肺炎の広がりかたのスピードは、増しているようです。そうして、どうなら人から人への感染も広がっているようです。今のところとどまるところを知らないようです。

であれは、わたしたちとしても、最悪を想定しておくべきです。最悪の場合は、中国の習近平の国賓としての訪問は当然のことながら、中止されるか延期されるでしょう。オリンピックもそうなる可能性は否定できません。

札幌では、東京オリンピックのマラソンが観戦できるものと、期待していましたが、それもなくなるかもしれません。

インバウンド消費が、かなり冷え込むことは最早明らかです。

そうして、これに対する最も単純ですぐにできる対策があります。それは、昨年10月に10%にあげた消費税を元に戻すか、5%に減税すことです。

現状は、危急存亡の時と言ってもよいくらいです。このときくらいは、このような手段を用いるべきです。そもそも、日本では税金というものは、増税の一方方向しかないと思われているようですが、それ自体が間違いです。

その時々の経済の状況に応じて、増税(景気が加熱した場合)したり、減税(景気が悪くなった場合)するというのが、まともなやり方です。

そうなると、個人消費は回復するどころか、伸びます。インバウンド消費の減少を補ってあまりあるほどになるはずです。

無論、日本国内でも新型肺炎の脅威が消えさらなければ、減税しても当初は消費の伸びは鈍いかもしれませんが、少なくとも日本国内での感染が終息すれば、景気はもりもり回復することでしょう。

今の日本にとって重要なのは、国内での新型肺炎の感染を終息させ、海外からの感染者をシャットアウトし、減税により、経済を良くすることです。

インバウンド消費が倍になるよりも、日本国内個人消費が数%でもあがったほうが、日本経済への影響はよほど大きいです。

さらに、個人消費があがれば、当然のことながら、日本の国内旅行での消費額や、旅行回数なども増えることが予想されます。新型肺炎前に、海外にいっていた人たちが、国内旅行に回帰する可能性が大きいからです。そうなると、観光業も日本人観光客により潤うことが予測されます。

SARSと、今回の新型肺炎により、私達は、インバウンド消費に頼ることが、いかに脆いことが学んだはずです。外国からの観光客は、来るもの拒まずという姿勢は崩さなくてもよいですが、まずは国内の消費を拡大し、国内観光客数や消費額を増やすことが先決です。それによって、安定した基盤をつくり、海外で今回の新型肺炎のようなことがあっても、余裕をもって対処できるようにしたいものです。

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2016年5月29日日曜日

消費税増税2年半延期 安倍首相が麻生、谷垣氏らへ方針伝達 麻生氏は「解散」主張―【私の論評】安倍総理は、伊勢志摩サミット声明に盛り込んだ「機動的財政政策」で衆院選大勝利(゚д゚)!

消費税増税2年半延期 安倍首相が麻生、谷垣氏らへ方針伝達 麻生氏は「解散」主張



安倍晋三首相は28日夜、首相公邸で麻生太郎副総理兼財務相、自民党の谷垣禎一幹事長、菅義偉官房長官と会談し、来年4月に予定している消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで再び延期する方針を伝えた。国会会期末の6月1日にも発表したい考えで、政府・与党内の調整を急ぐ。

会談で首相は、消費税率の引き上げを「2年半延期したい」と伝えた。これに対し、麻生、谷垣両氏は財政規律維持の観点から予定通りの増税を求めて異論を唱え、引き続き協議することになった。

増税烈士の麻生、谷垣両氏
麻生氏は「再延期するなら衆院を解散して国民の信を問うべきだ」とも主張した。首相は同調せず、菅氏は公明党に配慮して衆参同日選を見送るべきだとの考えを示した。

連立与党の公明党も社会保障の財源確保のため再延期には否定的な立場をとってきた。首相は近く、同党の山口那津男代表とも会談して理解を求める。

26日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の世界経済に関する討議で首相は、現在の状況が「リーマン・ショック前の状況と似ている」と指摘。世界経済が直面するリスク回避のため、あらゆる政策をとることで合意した伊勢志摩サミットの議論を踏まえ、政策を総動員して対応する方針を示していた。

首相は28日の政権幹部との会談でも、同様の観点から消費税増税の再延期の必要性を説明した。再延期については27日の記者会見では「是非も含めて検討し、参院選前に明らかにしたい」と語っていた。

ただ、首相は26年11月に消費税増税を1年半延期して衆院を解散した際に「再び延期することはない」と断言。その後は、20年のリーマン・ショックや23年の東日本大震災級の事態の発生を再延期の条件としていた。 

首相は新たな経済対策を盛り込んだ28年度第2次補正予算案の編成に向けた検討にも入った。補正の規模は5兆~10兆円程度になるとみられ、近く閣議決定する「骨太の方針」や「ニッポン1億総活躍プラン」から施策を盛り込む。

【私の論評】安倍総理は、伊勢志摩サミット声明に盛り込んだ「機動的財政政策」で衆院選大勝利(゚д゚)!

さて、消費税増税見送りはこれで決まったと見て良いと思います。なぜなら、いくら麻生、谷垣両氏が財政規律の立場からこれに反対したとしても、増税すればさらに個人消費は落ち込み、税収が減ることは過去の三度の3%、5%、8%増税のときであまりにもはっきりしすぎているからです。

むしろ、財政規律を重視するというのなら、10%増税はすべきではないです。にもかかわらず、なぜ増税するかといえば、財務省が税金の配賦権限を強め、さらに霞が関で絶大な権力を得ようという魂胆があり、財務省がそれを目指して、税と社会保障の一体改革などとして、無理やり増税が正しいというキャンペーンを繰り返し、政治家や新聞などのマスコミなどを巻き込んできたからです。

最近発表された今年1月〜3月期のGDPの発表をみても、どう考えても増税すべきでないことは、あまりにもはつきりしすぎています。それについては、このブログでも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
やはり嘘だった財務省の「増税の影響は軽微」 衆参ダブル選再燃も―【私の論評】政府は私が中学の時に味わった、鮮烈なアハ体験を国民に味合わせるべきだ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より2016年1〜3ガ突きのGDPのポイントと、うるう年効果に関する表、ならびに最近のGDPの推移を以下に再掲します。


本年度2月のうるう年効果、公表されたGDPの値から"うるう年効果"を控除したのが実質値


さて、公表されたGDPの1月〜3月の値は、実質成長0.4%で、年率換算では1.7%です。しかし、この値は無論のこと、うるう年効果は相殺されたものではありません。うるう年効果を相殺すると、1月 〜3月期のGDPの修正値は、0.1%、年率換算では0.5%です。

これをみれば、ぎりぎりプラスであり、もし海外情勢などの何か別な悪い要因が少しでも重なれば、マイナスになった可能性は大です。

これではとても、実質経済が安定しているとはいえません。ちなみに、昨年の10月〜12月もマイナスでした。2期連続でマイナスになれば、マクロ経済学では不況期入とみなしますから、日本経済はぎりぎりで、不況期入にはならなかったわけです。

この状況をみれば、8%増税の悪影響は明白であり、この上さらに来年の4月から、10%増税ということにでもなれば、とんでもないことになったことでしょう。

この状況をみて、アベノミクスは失敗などという人も多いですが、現在のところ金融緩和の政策が奏効して、雇用環境がかなり良くなっています。今春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高とななりました。

文部科学省と厚生労働省が今月20日発表した。2011年に最低(91・0%)を記録した後、5年連続で改善し、これまでの最高だったリーマン・ショック前の08年3月卒(96・9%)を上回りました。高卒の就職率もかなり改善しています。金融政策は成功しているのです。少し前までは、非正規雇用ばかり増えているなどと語っている人もいましたが、これをみれば、もはやどう考えても正規雇用も増えつつあるのは明らかです。


中には、まだ「実質賃金がー」と叫ぶ方もいるようですが、これははっきり間違いです。これは最初からわかっていることですが、雇用情勢が急激に改善しているときには、実質賃金は下がります。

このようなことは常識で考えてもわかります。今季高卒や大卒の採用が大幅に改善しているわけですから、大企業などで高卒や大卒を大量にある企業が雇用したとします。従来よりも、高卒・大卒の若くて、賃金が低い人の構成比率が増えるわけですから、会社全体の平均賃金は下がります。国全体でも同じことです。

だから、正確にいえば、8%増税が大失敗であったことは疑う余地がありません。これで、増税せよという人の神経が全く理解できません。さらにこのブログには、何度か掲載したきたように、現状認識として今の日本の財政状況は悪くはありません。連結政府(統合政府)のB/Sでネット債務残高のGDP比は40%以下で米英より良い状況です。財政再建は一般論として必要でも今の状況で優先順位はかなり低いです。仮に必要としてその手法として増税は間違いです。現状では、経済成長が最適です。

麻生氏、谷垣両氏は一体この現実をどう認識しているのでしょうか。彼らの言動は、増税のための増税と主張しているようにしか見えません。彼らは、増税烈士というあだ名がふさわしいかもしれません。

ところで、衆院解散で衆参ダブル選挙になるかどうかは、まだ五分五分の状況です。

この状況に関して、日経新聞では以下の様に論評しています。
12年12月に発足した安倍政権は安倍、麻生、菅の3氏と、経済再生相だった甘利明氏をあわせた「3A1S」で運営していた。1月に甘利氏が政治資金問題で辞任に追い込まれた後は「2A1S」の状態が続いています。 
しかし、増税再延期と同日選をめぐる結果が出れば、首相を頂点とした麻生、菅両氏の三角関係が、二等辺三角形なのか、そうでないのかがはっきりする。
麻生氏は再延期に反対し、同日選に賛成。一方、引き続き公明党と足並みをそろえる菅氏は再延期派で、同日選には否定的だ。28日夜の会合でも、首相は2人の意見の違いを把握できたはずだ。 
 サミット成功とオバマ米大統領の歴史的な広島訪問という大きな実績を築き、首相は勢いに乗る。ただ、政治決断の着地の仕方によっては、自身を支える政権幹部との関係を変えるリスクもある。
しかし、現実にはさらなる日経新聞の予想を上回るサプライズも考えられます。それは、8%減税が大失敗だったことははっきりしているわけですから、この悪影響を取り除くために、消費税減税を行い消費税を5%にして、その是非を問うために、衆院を解散して、衆参同時選挙にするというサプライズです。

8%増税は、大失敗とわかったわけですから、まともに考えればこの道もあり得るわけです。8%増税をそのままにして、新たな経済対策を組んだとしても、少なくとも10兆円、できれば20兆円クラスの対策でなければ、焼け石に水です。

無論、これはやってできないわけではありません。財源をどうするのかなどとい話もありますが、それはたとえば、為替特会労働特会もあるわけで、特に雇用情勢が良くなりかつ円高傾向の現在では、労働特会を主に用い、為替特会を為替対策に使いつつも余剰の分も一部使うなどの方法でも、十分すぎるほどです。

しかし、これには欠点もあります。経済対策は長期にわたっては続けられないということです。一方、8%増税も含めて、消費税増税は一度増税されると、それは不可逆的で永遠につづくものと見られています。

実際、過去には消費税は、上がる一方で、下がることはありませんでした。だから、経済情勢はどうであれ、一度決まった消費税率は下がることはないと思われています。

これでは、結局大規模な経済対策を行っても、それは一時のことであり、一度あげられた消費税率は、永遠に下がらないものと多くの国民は、思っているため一時の経済対策を行っても、長期的には消費が冷え込む恐れがあります。

しかし、ここで消費税を5%に減税したらどういう効果があるでしょうか。無論、8%増税の悪影響を取り除くことができます。しかし、これは一つの効果でしかありません。もう一つ大きな効果があります。それは、一時上がった消費税は下がることもあり得ると多く国民に理解してもらえることになります。これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中です。増税、減税は政府がその時々で採用する財政政策の一つすぎないのです。

マクロ経済循環 そもそも増税論者の頭の中にはこの循環がないのでは?まさか
政府がお金を支出するとそれは、この世の中から消えると思っているのでは?
そもそも、増税は緊縮財政の一つの手法です。これは、景気が良すぎでインフレのときなどに景気を冷ます効果があります。

一方減税は、積極財政の一つの手法です、景気が悪くてデフレのときなどに景気を浮揚させる効果があります。

安倍総理は、今回減税して、消費税を5%に戻し、今後政府は景気が悪すぎのときには消費税減税を、景気が良すぎの時には消費税増税をするという機動的な財政政策を行うことを宣言して、その是非を衆院選でその是非を国民に問うようにすべきです。実際に安倍総理は、伊勢志摩サミットの共同宣言で「機動的財政政策」という文言を盛り込んでいます。この言葉、マスコミなどはネガティブに受け取っているようですが、ポジティブに受け取ると、このようにも解釈できます。

同時に、日銀も不景気のときには、金融緩和を景気が良すぎるときには、金融引き締めという機動的な金融政策を行うことも、宣言して、衆院選でその是非を国民に問うようにするのです。できれば、それを実行できるように、日銀法の改正も宣言すると良いと思います。

そのような宣言して、衆院選に勝利できれば、財務省や日銀が政府の意向に沿わない、財政政策や、金融政策を実行しようと思ってもできなくなくなります。

これは、サプライズ中のサプライズです。これを実行して、過去の日本のように15年以上もの間デフレスパイラルの泥沼に沈むようなことが二度ないようにしていただきたいものです。これを宣言して、実行すれば、あっという間に日本経済は、回復軌道にのります。

このような衆院解散であれば、解散そのものと減税という2つの大サプライズを起こすことができます。

そうして、この2つとサプライズは大いに有り得ることです。もう、安倍総理も国民も、日銀と財務省に悩まされることにはうんざりです。そうして、上記のような要求は当たり前のど真ん中の、マクロ経済のど真ん中の政策を日銀や財務省に実行してほしいというだけで、根拠も明確ですし、説明をすれば、大多数の国民も認めるでしょうから、市場もかなり好感するでしょうし、衆院選も大勝利になります。

これは、たとえ衆参同時でなくても、まずは今回は参院選だけで、消費税見送りをして、その後に衆院を行うにしても、これを争点にすれば、かなりの大サプライズです。伊勢志摩サミットでも声明に盛り込んだ、「機動的財政政策」により機動的に景気が過熱したときには増税、景気が落ち込んだときには減税をその時々の経済状況に応じて実行することを宣言すれば、日本の経済政策の分岐点にもなる画期的なことになります。

衆参同時であろうが、衆院単独であろうが、ぜひとも実行していただきたいものです。

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