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2020年7月15日水曜日

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア— 【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)

「消費減税」猛烈に反対する財務省の理屈…建前も本音も木っ端みじん! それでも財務省のいいなりの学者、財界、メディア 
高橋洋一 日本の解き方


 
 英国が飲食、宿泊、娯楽業界の付加価値税の時限的引き下げを発表した。すでにドイツは引き下げを実施している。日本でも自民党の若手や国民民主党などが減税に積極的だが、現状で減税に反対する人はどんな人なのか。その理屈は妥当なのだろうか。

 コロナ・ショックは消費需要の消失という形で現れるので、消費需要をアップさせる政策が望まれる。そのため可処分所得を増加させる減税や給付金が有力な政策手段だ。特に、消費に直接的に働きかける消費減税は、現状では交付に時間がかかる給付金と異なり、家計がその果実をすぐに受けることができるというメリットがある。

 もちろん企業サイドへの補助金や給付金も政策としてはあり得るが、配布基準など公平性の確保が難しい。消費者サイドへの減税や給付金のほうが問題が出にくい。

 しかし、消費減税には、財務省が猛烈に反対する。財務省のいいなりの経済界、財政学者、マスコミも反対だろう。経済界は法人税の減税、財政学者はポストの確保、マスコミは軽減税率の確保とそれぞれ目的は異なるが、財務省の肩を持つ。

 消費税は1989年の創設以来、97年4月、2014年4月、19年10月の3回しか増税していない。ほぼ30年間で3回、つまり10年に1回なので、1回引き下げるとまた上げるのが大変だというのが財務省の本音ではなかろうか。

 もちろん、建前は社会保障財源が少なくなり、高齢化社会に対応できないというものだ。しかし、そもそも消費税を社会保障目的税としている国はないので、両者をリンクして考えること自体がナンセンスだ。社会保障の充実であれば、社会保険料で対応するのが、国民にも分かりやすく納得できる方法で、消費税は無関係であるべきだ。

 「1回下げると上げにくい」というのは、今回のようなコロナ対策では心配することではない。ドイツも英国も消費減税は一時的な措置であり、恒久的ではない。

 例えば、2次補正の予備費は10兆円であり、うち5兆円はまだ使い道が決まっていない。ここに2000億円を追加すれば、消費税率を10%から8%への2%減税を1年間実施できる。これなら既に財源を用意できているので、社会保障の支出に関する心配も杞憂(きゆう)となり、財務省の建前の理屈も本音も木っ端みじんになる。

 こういうとき、財務省は消費減税の声が大きくならないように、近い議員に働きかけることが多い。先日、安倍晋三首相のところに税収を上げるような政策を申し入れた議員らはその一例と筆者はにらんでいる。もちろん、「税収を上げるような」とは成長戦略の意味も含むので、増税ではないという言い訳もちゃんと用意されているが、「将来世代にツケを残さないように」と、今回の補正が通貨発行益で賄われていることを無視しているのは、意見の出所が推察できる。

 いずれにしても、消費減税とは言わないことは、海外の消費減税の日本への影響力を弱める結果となっている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】安倍総理は、次のちゃぶ台返しで、財務省の嫌がる”家賃補填、休業補償の拡充””消費税減税”を実行せよ!(◎_◎;)
米国も当然減税します。トランプ米政権はすでに6月の段階で、新型コロナウイルスの追加経済対策として、労使双方が負担する「給与税」の減免の検討に入りました。

トランプ政権はコロナ以前から様々な減税策に取り組んでいる

同税は年1.2兆ドル(約128兆円)の税収がある基幹税で、実現すれば2017年末以来の大型減税となります。米経済は失業率が10%を超えて戦後最悪の水準になると予想され、減税とともに雇用の受け皿となるインフラ投資も打ち出す方針です。

トランプ大統領は6月3日、米テレビ番組で「雇用を立て直すため、給与税減税が必要だ」と表明しました。米政権と議会は新型コロナ対策として、既に過去最大の3兆ドル弱もの財政出動を決めています。トランプ氏はさらに給与税の全面免除を議会に働きかける方針で、1兆ドル規模の追加の財政出動となる可能性があります。

これまでの新型コロナ対策は、中小企業(従業員500人以下)の給与支払いを連邦政府が肩代わりする雇用維持策などが中心で、倒産や失業を防ぐ「止血」に焦点を当てていました。ただ、米経済は4~6月期の実質成長率が前期比12%減、年率に換算すれば40%ものマイナスになると予測されます。失業率も10%を大きく超えそうで、新たに雇用の受け皿の確保が必要になっています。

トランプ氏が減免対象に挙げた給与税は、全歳入の3分の1を占める基幹税です。社会保障費の財源として労使がそろって給与の6.2%分を納税する仕組みで、全面免除すれば企業と労働者の双方の負担減となります。

法人税の引き下げなどを盛り込んだ17年末の「トランプ税制」は、年間の減税規模は1500億ドルでした。給与税を全額免除すれば年1兆ドル規模の巨額減税となります。

トランプ氏としては、大統領選挙の兼ね合いもあり、ここぞというときに、超大大型減税を打ち出すのは、確実です。

英国スナク財務相
上の記事にもあるとおり、英国も当然減税です。英国のスナク財務相は8日、飲食店など新型コロナウイルスの影響が大きい業種を対象に、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)を現行の20%から5%に引き下げると発表しました。同日発表した総額300億ポンド(約4兆円)の追加経済対策の一環とされています。
英国では飲食店や劇場などが4日に再開したのですが、客足の戻りが鈍いため、減税によって消費を促し、雇用維持につなげる狙いです。15日から来年1月まで半年間の期間限定。減税規模は41億ポンドを見込んでいます。
新型コロナを受け、ドイツも1日から年末までの期間限定で、VATを19%から16%に引き下げました。食料品などを対象にした軽減税率も7%から5%にしました。
さて、減税を実行する予定の英国ですが、15日イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会のテンレイロ委員は、同国の景気回復が「不完全なV字型」になる可能性が高いとの見通しを示しました。

消費者が新型コロナウイルスの流行を警戒するほか、社会的距離を確保する戦略で経済活動が制限され、失業が増える見通しというのです。

同委員はロンドン・スクール・オブ・エコノミクス主催のオンラインイベントで「行動反応を踏まえると、英経済の見通しは、引き続き国内外の新型コロナ感染症の流行状況に左右される」と指摘しました。

「感染拡大ペースが緩やかに低下すると想定した場合、国内総生産(GDP)が途中で遮られる形の不完全なV字型の軌道をたどるというのが、私の基本シナリオだ。四半期ベースで最初に回復するのは第3・四半期になるだろう」と述べました。

同委員は「強制的な休業だけが原因だった支出の落ち込みについては、すでに急激な回復の兆しが見られる」と指摘。

「ただ、リスク回避姿勢の継続や、一部セクターでの自主的な社会的距離戦略、また他のセクターに依然適用されている規制、失業全般の増加を背景に、回復は中断されるだろう」と述べました。

同委員は、物価の下押し圧力がしばらく続く公算が大きいと予想。需要には「かなりの下振れリスク」があると述べました。

「必要に応じて、経済を下支えするさらなる対策に賛成票を投じる用意が依然としてある」としています。

マイナス金利については、ユーロ圏などで、おおむね前向きな結果が出ているとの認識を示しました。

次回の金融政策委員会の決定は8月6日に発表されます。

金融政策委員会は先月、債券買い取り枠を1000億ポンド拡大することを決定。政策委員9人のうち8人が買い取り枠の拡大に賛成する一方、チーフエコノミストを務めるハルデーン委員は、景気の回復が「これまでのところ非常にV字型」だとして反対票を投じました。

新型コロナウイルスを受けて、世界では巨額の財政・金融政策が打ち出されています。これら刺激策はすでに4月の段階で、世界GDPの3%超に匹敵する規模となっている他、政策金利の追加利下げや量的緩和プログラムが開始となり、中央銀行からは低金利の融資ファシリティが提供されています。

米国における刺激策の第一段はGDPの6%相当で、経済を幅広く支援する内容となっています。しかし、外出禁止などロックダウンによる生産損失が出ている事から、この刺激策を使ってリセッション入りを回避する事は不可能です。

とはいえ、失業率の行き過ぎた伸びを防ぐ観点から刺激策は必要不可欠であり、最終的な経済回復局面で力を発揮するでしょう。そうして、先にも述べたように、トランプ政権は第二段の対策として、大規模減税を計画しているのです。

そうして、欧米では何らかの原因があって、景気がかなり落ち込んだ場合には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和というのが〝定番政策”になっています。

だから、コロナ禍による経済による落ち込みにも、この定番政策が実行されるため、財政出動としての減税策は当然の如く実行されるのです。間違っても、増税とか、減税しないという選択肢はないのです。日本も、早くこのようになって欲しいです。

一方日本違います。何かと、財務省が邪魔をします。4月17日、安倍首相のちゃぶ台返しがありました。「所得制限つき、1世帯あたり30万円の現金給付」が覆り、「所得制限なし、1人一律10万円の現金給付」となりました。このブログではこの政策変更は正しいと評価しました。

30万円の所得制限をつけた給付だと、確認などに時間がかかり、ひょっとすると今でも給付が十分進んでおらず、そのことで、安倍政権は自民党内外から責められ、国民からも不興を買ったに違いありません。これは、倒閣に結びついた可能性が十分あります。無論財務省主導によるものでしょう。



安倍総理は、当初から10万円、所得制限なしの給付を考えていたようですが、岸田氏任せたところ、いつの間にか30万円の所得制限の給付に切り替わっていたというのが、真相のようです。そのため、安倍総理の岸田氏への信頼は崩れたようです。

これで、安倍総理による岸田氏への総理の席の禅譲という話は、消えたようです。

安倍首相には2度目の〝ちゃぶ台返し〟で、家賃補填、休業補償の拡充と消費減税を是非実現してもらいたいです。

最近東京では、感染者数が増え、コロナ感染の第二波が始まるのではと危惧されています。現史上では東京都も政府も有効な手立てを打ちあぐねています、これは、潤沢な資金で、大規模な家賃補填、休業補償の拡充ができれば、それを前提として様々な手段を講じることができるはずです。

ただし、安倍総理のまわりは緊縮イデオロギーに染まった人たちが囲っています。それだけではなく、30万円給付のような、もっともらしい政策等で第二、第三の倒閣運動が企てらている可能性もあります。

与野党問わず政治家は相変わらずですし、軽減税率という〝毒まんじゅう〟を喰らった新聞も、社会保険料の据え置きや法人減税というニンジンをぶら下げられた経済界も財務省の味方です。

それでも第1弾の緊急経済対策はギリギリながらも合格でした。安倍総理の政策は、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟に近づいています。そうして国民のマクロ経済政策への理解は、東日本大震災のときよりはるかに高まっています。これが日本経済復活への一縷の望みです。

ただ若い世代には、ずいぶんとマクロ経済への理解は、広まったようですが、高齢世代は、経済情報の情報源は、テレビのワイドショーなので、財務省やその走狗どもの言いなりです。しかも、高齢者の方が人口が多いのです。まだまだ、油断できません。

とにかく、安倍総理のもとで、景気が落ち込んだ時、落ち込みそうな時には、大規模な財政出動・無制限の金融緩和という先進国の〝定番政策〟が実現できるように道筋をつけていただきたいものです。総理大臣がちゃぶ台返しをしないと、まともな経済対策ができない今の日本は異常です。

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2020年4月15日水曜日

コロナ禍で「増税」主張する学者…GDP減らして失業を増やす 東日本大震災でも失敗の“悪手” ―【私の論評】中国ウイルス恐慌で地獄が始まるのに、それでも安倍政権は消費減税だけはしたくないのか(゚д゚)!

高橋洋一 日本の解き方

復興税は未だに徴収され続けている

 2011年の東日本大震災の後、復興増税が行われた。今回のコロナ・ショックの際にも増税を主張している経済学者がいるが、危機の際に増税するというのは世界標準の経済政策なのか。

 経済政策を考える際、標準的なフレームワークは、総供給と総需要がどのように変化するかを考える。総需要は、民間消費、民間投資、政府需要、純輸出で構成される。総供給は、基本的には生産関数であり、人口、総資本、技術などが構成要素である。

 1973年と79年のオイル・ショックでは、生産基盤の一つであるエネルギー価格が外的要因で一気に上昇した。これは生産関数での価格上昇になるので「供給ショック」であり、国内総生産(GDP)の下落と一般物価の上昇という形になる。その場合、総需要を増加させる景気刺激策ではなく、供給に働きかける政策が主体となる。

 2008年のリーマン・ショックでは、不良債権問題に端を発する金融機関の倒産によって需要が一気に飛んだ。日本では金融機関の痛手は少なかったが、海外の需要減により輸出減少となった。これは「需要ショック」で、同時に一般価格の低下、失業の増加があった。

 こうしたショックに対しては、総需要を増加させるような財政政策と金融政策の一体発動が世界各国で行われた。ただし、日本では、十分な財政出動・減税が行われず、金融緩和も不十分だった。日本だけが金融緩和されなかったので、一方的な円高が進み、輸出が減少、内需増加の効果を外需減少で相殺してしまった。

11年の東日本大震災では、東日本の一部の生産設備に打撃があった。電力などの供給がネックになり、供給力は落ちると一部の経済学者は考え、供給ショックであるとした。供給ショックだと考えると、復興政策は、総需要を増加させる政策では適切ではないという結論になる。

 しかし実際には、東日本大震災は、供給政策にはほとんど影響を与えず、生産収縮を見越した需要減少が一気に生じた。要するに、供給減とともにそれを上回る需要減があったのだ。

 ここで必要だったのは、積極財政と金融緩和だったのだが、それと真逆な復興増税が行われた。

 さて、今回のコロナ・ショックも、世界的なサプライチェーンの分断という供給ショックの様相もあるが、やはり人の行動制限に伴う経済活動の縮小を通じて需要が一気に消滅したことの影響が大きい。要するに、供給ショックとともにそれを上回る需要ショックがあったと考えるべきだ。

 特に、日本ではコロナ・ショックの他に、消費増税ショックと東京五輪1年延期ショックがある。これらは需要ショックである。この点で増税を選択する余地はない。

 仮に供給ショックであったとしても、ほとんどの場合、増税は悪手であり、一般物価を上げない代わりにGDPを大きく減少させ、失業をさらに増加させる。そもそも経済ショックの際に増税することはありえないのだ。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】中国ウイルス恐慌で地獄が始まるのに、それでも安倍政権は消費減税だけはしたくないのか(゚д゚)!

東日本大震災で、復興税を推進した財務省とそのとりまきの経済学者らなど、中国ウイルス禍が収まった後に、またコロナ復興税などの名称で新たな増税を目論むかもしれません。これは、完璧に間違いです。今回は、何としてでも阻止すべきでしょう。

新型中国ウイルス問題が深刻化・長期化しつつある中、その経済的影響が強く懸念されています。世界中で都市封鎖が実施されており、各国の生産活動が一時的に停止することにより、株価は数年前に逆戻りして雇用は信じられない規模で失われました。

具体的には、世界経済の中心地である米国が3月26日公表した雇用統計において失業者数は跳ね上がり、ムニューチン財務長官が1929年の大恐慌以来初めて20%を超えるかもしれない、と警告する事態となっています。つまり、これは世界的に未曽有の経済危機がやってきたということを意味します。

ただし、米国は当面は深刻な事態であるものの、中長期的な視点に立つと底堅く回復していく見通しがあります。ホワイトハウス・上下両院は約220兆円に及ぶ緊急経済対策を既に可決しており、両者は更なる経済対策も視野に協議を行う構えを見せています。


また、トランプ政権が実現してきた減税と規制廃止は、米国の産業競争力を向上させて経済の底力を高めてきています。そのため、経済状況が一度上昇軌道に戻り始めればFRBの金融政策との相乗効果を発揮して、米国経済は劇的に復活する可能性があります。米国の現在の景気悪化は深い谷の中でも将来的な希望の光を見出すことできるものだと言えます。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月に「ゼロ金利」への回帰などを決めた際の議事要旨が8日、公表された。一気に大規模な金融緩和を進めることへの異論も出たが、「米経済の見通しが急激に悪化し、著しく不確かになった」との認識のもと、空前の緩和策を決めていました。

しかし、将来的な見通しについて全く光明が見えない国が存在しています。それは我が国日本です。日本の直近の景気状況は2019年10~12月期GDP改定値は年率7.1%減となっています。

政府はGDP減少の理由について様々な屁理屈を述べていましたが、誰がどうみても10月1日から始まった消費増税が影響していることは明らかです。アベノミクスの第二の矢であった機動的な財政政策は逆方向に砕け散った上に、第三の矢である規制改革に至ってはまともに飛んだ形跡すら見当たりません。

第一の矢である金融緩和も、当初は異次元の量的緩和を実行し、かなりの成果をあげ、特に雇用は劇的に改善しました。しかし、日銀は緩和はしてはいるものの、イールドカーブ・コントロールを実施しはじめてから、緩和には抑制的です。いまのままでは、アベノミクスの唯一の成功事例である、雇用にも陰りが見えてくるのは必定です。

したがって、米国経済と違って日本経済はその足腰が弱った状態で新型コロナウイルスに伴う経済危機に直面していることになります。日本政府は自ら転んで骨折したところで、更に交通事故にあったくらい悲惨な状況です。

4月7日に示された危機意識の欠落した補正予算だけでなく、その陰で3月17日に政府から衆参議員運営委員会理事会で示された日本銀行政策委員会の審議委員人事案も注目すべきです。

退任する布野幸利氏に代わって消費税増税容認派と目される中村豊明氏が政府から人事案として示されたのです。同氏は日立製作所取締役を務めた人物であり、産業枠として経済界の代表として送り込まれる人物です。

中村豊明氏

日本銀行政策委員会の審議委員は金融政策決定会合の結果を左右し、一度任命された後は5年間の任期中にそのポストを追われることはありません。当然ながら、日本経済に与える影響は極めて重要なポストです。

米国ではFRB理事の承認プロセスでは連邦議会によって徹底的な振るいにかけられます。過去の金融政策に関する発言はもちろん、その素行についても細かく審査されます。

直近でもトランプ大統領が指名した人事案は人選の問題が指摘されて首尾良く運んでいません。現在の承認プロセスにある人物も過去の金融政策に関する発言と現在の金融政策に関する方針に関しての整合性について連邦議員から問題視されています。

日本のように産業枠などの割り当てではなく、理事候補者の見識・人物が公開の場で問われるのです。その影響力の大きさから行われるべき当たり前のプロセスが踏襲されているのです。

中村豊明氏は12年社会保障と税の一体改革に関する特別委員会公聴会において、日本経済団体連合会税制委員会企画部会長として出席しています。その際、消費税率の引き上げが伴う三党合意について、消費税増税派である経団連の税制改革の責任者として増税賛成の見解を述べた人物です。

20年3月24日参議院財政金融委員会において、浜田聡参議院議員が上記の公聴会での発言について問題視すると、政府は「経団連の立場を述べただけで中村氏の意見では必ずしもない」という趣旨の回答をしましたが、これほどふざけた回答はないでしょう。

同氏は経団連の税制委員会の責任ある立場にあったことは明らかだからです。百歩譲って立場に応じて財政金融政策の見識が左右される人物を国会に推薦すること自体があり得ないことでしょう。

日銀政策委員会の審議委員は政府の税財政政策に関して直接権限を持つわけではないですが、日銀の決定が日本政府の税財政政策に影響を与えることは自明です。

つまり、新型コロナウイルスに伴う経済危機が顕在化していた3月17日、日本政府はこの期に及んで増税派と見られても仕方がない人物を経済政策の重責を担うポストに推薦したのです。

昨年の消費増税はコロナウイルス問題と同様に日本経済に深刻なダメージを与えており、この政府人事案は示す行為は危機感がないというよりも社会常識が欠落した所業だと言えます。

また、政府与党の経済危機への対策案としての補正予算も極めてインパクトに欠けるものでした。政府は補正予算を取りまとめる過程において、その内容について何度も観測気球の報道記事を垂れ流してきました。

その際、未曽有の経済危機に際して、自民党農林部会や水産部会からは和牛商品券などの業界利権丸出しの主張が行われる姿は国民の眼からは極めて奇異なものに映りました。無論これは、立ち消えになりましたが、自民党の議員の中にも緊張感に欠けた愚かな連中がいるのか、白日のもとに晒された形となりました。

なぜ和牛券?

新型中国ウイルス問題が表面化した1月段階で準備を始めるべき経済対策について4月に入ってもまだ議論していることにも驚かされますが、日銀人事に示された程度の税財政策に対する問題意識なのですから、政府与党と国民の意識との乖離は著しいものだと想定するべきでしょう

自民党若手有志による消費減税を柱とする政策要望の記者会見も開催されましたが、執行部は与党案として消費増税減税並みの給付を行うことで応じただけでした。むしろ、政府与党として断固たる消費減税の拒否の姿勢を見せつけた状況となっています。

実際、これらの若手議員は消費税減税へのゼロ回答はもとより、今回の問題だらけの補正予算に賛成票を入れるだけの事実上マシーンでしかありません。実際、消費減税法案の作成を参議院法制局に依頼するという具体的な行動を起こしたのは、100人超存在するとされる自民党若手有志ではなく、僅か2名の会派でしかない前述のN国の浜田聡参議院議員だったことは何とも皮肉です。

仮に今回減税に失敗した場合、今後、消費減税は未曽有の経済危機の時ですら選択できなかった政治的な禁忌として扱われていくことになるはずです。緊急時ですら手も足もでなかったことは平時では尚更難しいものとして記憶されてしまうことになります。

むしろ、それが狙いで一連の与党内でのプロセスが行われているのではないかと穿った見方をしたくもなるくらいです。

せめて与党・野党を問わず減税を主張している国会議員は、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通すべきでした。この人事は目先の経済対策だけでなく、今後5年間の金融政策の方向性を左右するものです。



党議拘束を理由に減税派の国会議員らは過去に増税を支持した人物に対して賛成票を入れるなら、表面上は減税派だけれども本音は増税派とみなされても仕方ないてしょう。

世論調査では国民が経済対策として求める政策は消費税減税が圧倒的です。今、試されていることは、国会議員が消費減税を求める国民の真の代表であるか否かということです。誰のため・何のための政治なのか、明確になる瞬間だと言えるでしょう。

もし、与党・野党を問わず減税を主張している国会議員が、政府が示した日銀人事に反対票を入れることくらいの筋を通していれば、事態は変わる可能性もありました。

いずれ中国ウイルスは終息でしょう。終息したまさにその時、財務省とその取り巻きは、またコロナ復興税などを画策しはじることでしょう。その時、安倍総理は、コロナ復興税の見送りと復興税の廃止、消費減税、追加経済対策ならびに、憲法改正を公約として、衆院解散・総選挙に打ってでるべきです。

おそらく、現時点ではこれだけが、安倍総理の唯一の起死回生策と思われます。そうでないと、安倍総理は念願の憲法改正もかなわず、歴史には、消費税を二度あげ、コロナ復興税で日本経済を悪化させた総理大臣として歴史に名を刻まれることになるでしょう。

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2017年9月13日水曜日

【日本の解き方】右も左も「消費増税派」ばかり… マスコミや学者にも重い責任、ポスト安倍はリスク取れるか―【私の論評】増税一辺倒で自民も万年野党に堕ちる(゚д゚)!

【日本の解き方】右も左も「消費増税派」ばかり… マスコミや学者にも重い責任、ポスト安倍はリスク取れるか

岸田文雄政調会長
 自民党の岸田文雄政調会長は報道各社のインタビューで、消費税率10%への予定通りの実施を主張したという。

 「ポスト安倍に名前が挙がる人は増税派ばかりだ」と以前の本コラムにも書いたが、岸田氏の発言の意味を考えてみよう。

 まず一つは、「その考え方を貫く」という見方だ。これは消費増税路線をしっかりやり抜くということなので、岸田氏が後継首相になれば、消費増税は決定的だ。

 もう一つは「今の段階で法律で定められているとおりに話し、無難に対応した」という見方だ。この場合、来年末ごろの実際の決定時期になるまで消費増税するかどうかはわからない。

 現時点で岸田氏の発言の真意は不明だ。ただし、岸田氏が、増税に理解があった宮沢喜一元首相の一族であり、姻戚関係に増税指向の財務省官僚が多いので、消費増税路線の公算が大きいとしておこう。このため、可能性は低いものの後者のようにもし岸田氏が消費増税の方針を撤回したら、大きなサプライズになるだろう。

 いうまでもなく、大半のマスコミ論調は消費増税に偏っている。これは、新聞を軽減税率の対象にするというエサを与えられたので、マスコミ勢力が消費増税になびいている面もあるのだろう。

 世論も多くは消費増税を仕方ないと思っている。そのため、マスコミも反消費増税を主張したところで、多くの購買者を獲得できないと思っているフシもある。

 増税派は世論に対しても手を打っているようだ。「消費増税しないと社会保障が回らない」というロジックだ。これは、本コラムで何回も書いたが、社会保障を保険原理で運営するという世界の流れと逆行している。

 消費税を社会保障目的税とする先進国はないが、それは、保険料を払えない人の分を所得税の累進部分で補填(ほてん)するという保険原理があるからだ。保険原理に徹するには、税と保険料を一緒に徴収する歳入庁の設置が不可欠であるが、財務省は頑として受け付けない。結局、保険原理を無視しているという暴挙について一般国民が知らなさすぎる。

 これは、学者や専門家の責任でもある。消費税を社会保障目的税とする先進国はないという単純な事実すら主張する人がいないのは驚きだ。消費税は社会保障ではなく、本来は地方の税であるという基本原理を、日本維新の会を除く政党がほとんど理解していないのが実情だ。

 こう書いていくと、増税の延期や凍結の障害となりそうな人は数多い。逆にいうと、増税の延期や凍結を主張する政治家は極めて少ない。というか、ポスト安倍政権が消費増税を実施する確率は、今の安倍政権よりかなり高まるだろう。

 安倍首相は口では「予定通り消費増税を実施する」と言っているが、過去に2回も増税をはねつけた過去がある。ポスト安倍はそうしたリスクを取らない確率が高いのが現実だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】増税一辺倒で自民も万年野党に堕ちる(゚д゚)!

消費税の社会保障目的税化は、「社会保障を保険方式で運営する」という世界の流れに逆行するもので、これを行っている国は世界では日本以外にありません。

消費税の社会保障目的税化が間違いは、1990年代までは大蔵省の主張でもありました。ところが、1999年の自自公連立時に、財務省が当時の小沢一郎・自由党党首に話を持ちかけて、消費税を社会保障に使う、と予算総則に書いたのです。なお、平成12年度の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中で、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述があるくらいです。

与党3党会談に臨む(左から)小沢一郎自由党党首、小渕恵三首相、
神崎武法公明党代表(東京・首相官邸)(2000年04月01日)
こうした世界標準の論理からすれば、消費税を社会保障目的税にするのではなく、社会保障は保険料で賄うほうが望ましいです。しかし、今の日本では世界で常識になっている税・保険料の徴収インフラができていません。このために、税・保険料の徴収漏れが予想されており、これが不公平感にもつながっています。

税・保険料の徴収インフラとは、国税庁と年金機構が一体化する歳入庁を創設することです。歳入庁ができれば、国民にとっても一ヵ所で納税と保険料納付が済むし、行政の効率化にもつながります。

海外では、米国、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが、歳入庁のもと、税と社会保険料の徴収の一元化を行っています。東ヨーロッパの国々でも傾向は同じで、歳入庁による徴収一元化は世界の潮流です。

歳入庁の創設は税と保険料の歳入増にもつながります。国税庁が把握している法人数と年金機構(旧社保庁)が把握している法人数は80万件も違うことから、保険料の徴収漏れが12兆円程度との推計もあり、実際に国会でも議論されています(浅尾慶一郎 http://asao.net/blog/report/3592)。
こうした推計に異論もあるかしれませんが、計算内容について重箱の隅をつつくより、実際に歳入庁を作ることに意味があります。歳入庁は、社会保障を保険方式で行いつつ、同時に不公平も解消する王道だからです。

しかし、歳入庁の創設は財務省が大反対しています。国税庁は財務省の植民地になっており、国税権力を財務省が手放したくないからです。第一次安倍政権で旧社保庁を解体し、歳入庁を創設のうごきもありましたが、財務省は激しく抵抗しました。民主党は、政権交代時に歳入庁を公約していたのですが、その後撤回しました。

政権交代した当時の民主党は、過去のしがらみなしで社会保障と消費税を考えられたはずです。もし、まともに考えていれば、民主党の地域主権を主張する立場から消費税は地方に税源移譲すべきでした。

同時に、社会保障は、とりあえず給付付税額控除の方向で考え、そのための社会インフラとして「歳入庁」を創設すべきでした。そうすれば、持続的な社会保障のために、所得・法人税と保険料のベストミックスを考えることになったはずです。その際、年金の世代間不公平や各種社会保障の縦割りも議論されたはずです。

民主党はこうした大きな方向性なしで議論し、制度論として必ずしも優れていない自公時代のものをコピーしたものですから、「社会保障と税の一体改革」とは名ばかりの「消費税増税大綱」になってしまいました。民主党がどんなに説明しても、8%の消費税増税は政権交代して歳出が膨らんだのを穴埋めしたにすぎません。

2014年には、当時の民主党を含む野党各党が、「歳入庁」設置や一括交付金の復活を盛り込んだ行財政改革推進法案を衆院に提出したこともありましたが、民主党の右往左往ぶりは滑稽なものでした。

政権交代はしたが何もできなかった民主党政権

さて、そもそも年金の現状は、どのようなものか、年金バランスシートをみてみましょう。データとしては、毎年の政府バランスシートの文中で書かれているモノを利用します。1999年度版(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/prev_fy2002/bs1309.pdf)と2014年度(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2014/national/fy2014-gassan.pdf)からのデータで、年金バランスシートを作成すると、以下の通りです。



保険料について、将来見通しどおりに進むのであれば、年金バランスシートも破綻することはないので、年金の脆弱性を見る場合のポイントは、①過去債務に対する将来保険料部分、②将来の年金給付の水準ということになります。

①については、これまで年金給付を約束しているが、その財源はなく将来保険料に依存しないと仕方ない部分なので、これが小さい方が年金は健全といえます。1999年度版と2014年版を比べると、455兆円から680兆円に増加しているが、15年間という期間を考慮すればそれほど深刻ではありません。

②については、マクロ経済スライドも導入されているので、将来の年金給付の調整があります。しかも日本の年金給付水準はそれほど高くないので、それほど脆弱ではありません。

むしろ心配があるのは、きちんと保険料を徴収できていないおそれです。

これは、消えた年金問題で発覚した旧社会保険庁の体質が、今でも残っているようで心配です。旧社会保険庁は解体されたが、それでも不祥事は絶えないです。

2010年10月、機構職員と社保庁OBが官製談合で逮捕されました。2013年4月には、過去の記録ミスによる支給漏れを支払う「時効特例給付」が行われておらず、約10億円の未払いが発覚しました。そして、2015年5月に125万件の情報流出問題を起こしました。

こうしてみると、歳入庁構想に話が戻ってしまう。やはり歳入庁は必要なのです。

歳入庁構想

そもそも、消費税は社会保障目的税ではありません。これはどうすべきかというと、消費税は地方税にすべきという結論になります。消費税は一般財源ですが、国が取るか地方が取るかという問題になるが、地方分権が進んだ国では、国でなく地方の税源とみなせることも多いです。

これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)、地方は応益税(各人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致します。

ヨーロッパの国は一国の規模が小さく、GDPでみても日本は欧州の国が7つ、8つくらい集まった規模です。ヨーロッパの場合にはサイズが小さく、日本からみれば地方単位であるので、EUを一つの国として、その中に地方があり、それぞれで消費税を導入しているという見方もできます。

また、地方分権の進んだ国では、オーストラリアのように国のみが消費税を課税し、地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアのように国と地方が消費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように国は消費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式があります。

これらを見ると、世界でも、分権度が高い国ほど、国としての消費税のウエイトが低いことが分かります。

都道府県と他国のGDPの比較 ヨーロッパ国々のサイズは小さく、日本からみれば地方単位
いずれにしても、自公民の3党合意に基づく、消費税を社会保障目的税とする社会保障改革は行き詰まっています。社会保障を人質にとり、消費増税を迫るのはいかがなものでしょうか。

消費税の社会保障目的税を前提とすることは妥当なのでしょうか。世界の先進国で、消費税を社会保障目的税としている国はありません。どこの国も、社会保障は保険料財源が基本で、保険料を払えない人のために、所得税の累進課税で金持ちから賄っています。3党合意や社会保障改革の見直し、消費税をどうすべきか議論するのは急務です。

このようなことを無視して、消費税の社会保障目的税化を是として、消費税の10%増税につきすすめばとんでもないことになります。

また、日本はデフレに舞い戻り、その時の政権がどの政権であれ、短命に終わるのは必定です。それこそ、第一次安倍内閣が終焉し、その後麻生政権までのように、短命な政権がいくつか続くことになります。

そのときに、経済対策がまともな政党がでてきて、消費税の社会保障目的税化はそもそも、根本的に間違いであり、歳入庁を設立し、「消費税増税大綱」ではなく、まともな「社会保障と税の一体改革」を打ち出し、消費税を地方に税源移譲することを公約に打ち出したとしたら、自民党はこの野党にとって変わられるかもしれません。

そうして、このブログでも述べているように、その党が政権をとった後に、財務省を解体し解体した旧財務省を他省庁の下部組織にして、財務省の息の根をとめることができれば、その政党は長い間与党の地位を独占することになるでしょう。

このようなことがおこれば、かつての民主党、今の民進党も自分たちが政権の座についていたときに何をすべきだったかわかるようになるかもしれません。ただし、そのときにはそもそも、民進党は存在していないかもしれませんが・・・・・・・・

そうして、このようなまともな野党が出てきた後には、その後自民党は下野したままで、長年万年野党の地位に甘んじることになることでしょう。そのようなことになりたくなければ、自民党は10%増税は見送りし、財務省が嫌がる歳入庁の設置に早期に踏み切るべきです。

ポスト安倍には、増税をすることのほうが自民党によほどハイリクスであること、しっかり自覚していただきたいものです。

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2016年5月18日水曜日

国の借金1000兆円超」に騙されてはいけない 純債務残高は米英より健全 ―【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!


マスコミの得意な報道 ミスリーディングも甚だしい

国の借金が1049兆円になったという報道があったが、国の財政の実態については誤解も多い。

ここでいう「国」とは政府のことであるが、マスコミ向けの統計数字はいろいろある。代表的なものとして「国の公債残高」「国と地方の長期債務残高」「国債及び借入金残高」という3つの違う概念があり、それぞれは2016年度末で838兆円、1062兆円、1191兆円と見込まれる-と最新の財務省のパンフレットに書かれている。

「国と地方の長期債務残高」は、国債残高に地方債などを加えたものだし、「国債及び借入金残高」は、地方分を入れないかわりに短期証券等を加えている。

今回発表されたのは「国債及び借入金残高」の15年度末の数字1049兆円だ。ちなみに昨年の財務省パンフレットには、15年度見込みとして1167兆円と書かれていた。

内訳を見ると、見込みと実績のそれぞれで、普通国債で807兆円と805兆円、借入金等で63兆円と64兆円、財投債98兆円と96兆円、政府短期証券199兆円と84兆円となっており、パンフレットに書かれていた見込み額は100兆円以上も過大な数字になっていた。

いずれにしても、債務だけをいろいろな数字で説明しても不十分で、本当の国(政府)の財政状況を示すには、バランスシート(貸借対照表)が不可欠だ。

筆者は大蔵官僚だった1995年、初めて国のバランスシートを作った。2003年度版から正式に公表されている。ところが、マスコミはバランスシートを読めないのか、あまり報道されていない。

今年1月、国の財務書類として公表されたものを見ると、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円であることがわかる。

こうした話をすると、「国の金融資産といっても社会保障基金の積立金は取り崩せない」という人が出てくるが、本当にバランスシートを読んでいるのか筆者は怪しいと思っている。

バランスシートをみれば、資産側の社会保障基金積立金は負債側の公的年金預かり金と見合っており、ネットで債務残高を見るときには意味がないからだ。財務省の言いなりになっているのだろう。

さらに重要なのは、政府だけではなく、「関連会社」を含めた連結ベースのバランスシートだ。これも公表されているのだが、重要な組織である日銀が連結対象になっていない。そこで、日銀を含めて連結ベースのバランスシートをみると、ネットの債務残高は170兆円にまで減少してしまう。

これが、本当の債務残高の姿である。国内総生産(GDP)比でみると2割以下であり、米国や英国と比較しても小さい。このような状況だから、現時点では財政破綻の可能性は極めて小さく、国債金利がマイナスになるのも納得できる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!

国(政府)の借金が1049兆円になったという報道の代表的なものをあげておきます。読売新聞の報道です。
「国の借金」、1049兆円…7年ぶり減少
 財務省は10日、国債など「国の借金」が2015年度末時点で1049兆3661億円と、14年度より3兆9911億円減ったと発表した。

国がお金を短期で借りるために発行する政府短期証券が大きく減ったためだ。日本銀行のマイナス金利政策などの影響で、利回りが低下した政府短期証券への需要が少なくなった。 
 残高が前年度より減ったのは08年度以来、7年ぶり。ただ、国民1人当たりの借金は約826万円となる計算で、危機的な財政状況に変わりはない。 
 財務省は3か月ごとに、国債と借入金、政府短期証券それぞれの残高の合計を発表している。国債の残高は910兆円だった。
このような報道と並んで、よく報道されるのが、下のようなグラフです。そうして、おどろおどろしく、国民一人あたりの換算で、826万円の借金などと報道されます。

■国の借金の推移(単位:兆円、2016年3月末)

このような報道をするものですから、多くの人は、「大変だ」「とんでもないことになる」などと思い込んでしまうわけです。

しかし、この捉え方は全くの間違いです。高橋洋一氏の上の記事から、日本(政府)の財務状況をまとめておくと、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円です。

要するに財務省が公表し、その公表を鵜呑みにして各メディアが報道する国の借金という概念は非常におかしいです。そもそも、国の借金という言い方自体もおかしいです。本来は、政府の借金とすべきです。

国=政府ではないです。国ということであれば、日本国は借金どころか、対外金融純資産(すなわち、日本国が外国に貸し付けているお金)は、過去20年以上も世界一(毎年5月に発表されます。最新の数字では41兆円です)です。ここからして、日本国が借金をしているという考え方は全くの間違いです。

日本は国としては、借金どころか、世界で一番外国に金を貸し付けている国ということです。だから、断じて、日本国が借金まみれというのは全くの虚構です。

ただし、政府は借金をしています。しかし、日本国には政府の他にも、家計、銀行、民間企業などの経済主体があります。それらも合わせた、日本国全体では日本国は、借金がないどころか、世界一金を貸し付けている国ということになります。

では、政府の借金はどうなのかといえば、高橋洋一氏が上の記事で指摘している通り、まずはグロス(総額)でみれば、確かに14年度末でも、国債を含めた負債総額1172兆円ですが、政府の資産総額は、680兆円ですから、負債から資産を差し引いたネット(正味)でみれば、492兆円なのです。おそらく、15年度末はこれよりも低くなっていると思います。

これは、本当に簡単にたとえることができます。ある人がジーンズの右ポケツトに1000円の借用書が入っていたとして、左ポケットに600円入っていたとして、この人の借金はいくらでしょう。確かにグロスでは1000円ですが、正味では400円です。

右ポケツトと左ポケツト?
普通個人の場合でも、その人の借金総額を見る場合、お金以外のものならそういうわけにはいかないかもしれませんが、お金を持っていれば、その個人の借金はグロスではなく正味で見るのが正しい見方でしょう。

しかし、なぜか政府の借金となると、主管省庁である財務省はグロスで公表し、メディアも財務省が公表したグロスの数値をそのまま報道します。これは、本当に奇異な習慣です。

そうして、さらに、政府の下請けである日本銀行も含めたバランスシートで、政府の借金を計算すると、ネットの債務残高170兆円です。GDPを500兆とすれば、GDP比で34%程度に過ぎません。

同じ見方で、イギリス、米国を計算すると、イギリスGDP比で60%程度、米国は80% (両方とも昨年の値)程度です。これで、日本が財政破綻するとか、国債が暴騰するなどということはあり得ないことがわかります。 実際、国債の金利はほとんどゼロに近いです。この状況を、国の借金1000兆円を信じる人たちは、どのように説明するのでしょうか。

もう、こんなまやかしは続けるべきではありません。この状況なら、消費税をあげる必要などそもそもありません。

一般の人々がこの途方もない嘘を、信じこんでしまうのはある程度は仕方ないと思います。しかし、この嘘を流布する官僚や学者、信じこんでしまう政治家やマスコミなど、もうそろそろ排除すべき時ではないかと思います。こんな連中によってたかって、10%増税など実行されてはたまったものではありません。

このような官僚、学者、政治家、マスコミは日本を悪くするだけです。

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2014年9月29日月曜日

【NewsPicks】経営学は経営の役に立つのか第2回 ビジネスにおける「学者」と「理屈」の意義―【私の論評】経営には原理・原則がありそれを多くの人々が知ることにより、社会は確実に変わる。しかし、知識ある者は、常に理解されるように努力する責任があることを忘れてはならない(゚д゚)!

【NewsPicks】経営学は経営の役に立つのか第2回 ビジネスにおける「学者」と「理屈」の意義

理屈じゃないから、理屈が大切

今回は、「なぜ学者が実務家とやり取りすることに意義があるか」について説明していきましょう。

最初に下図をご覧ください。理屈(論理)と理屈でないものの比率は一緒です。8割は理屈では説明がつかないにしても、ビジネスのもろもろのうち2割は、やはり何らかの理屈で動いているわけです。「ここまでは理屈だけれども、ここから先は理屈じゃない」というように、左から右へと考えてみてください。すると、「理屈じゃないから、理屈が大切」という逆説が浮かび上がってきます。
ストーリー_図01-2ai-01



何が理屈かをまるでわかっていない人には、「理屈じゃない」ものが本当のところ何なのかもわかりません。私も実務家の方々と議論しているときに、「まぁ、理屈としてはそうですが、現実は理屈じゃないので……」と言われることが少なくありません。しかし、私の経験からすれば、「現実は理屈じゃない」という声に迫力を感じる実務家に限って、総じて理屈っぽく、論理的なのです。

「いやー、ビジネスなんて理屈じゃないよね」ということで、のっけからけもの道を爆走しているだけでは、肝心の野性の勘をつかめないはずです。

野性の嗅覚が成功の8割にしても、2割の理屈を突き詰めている人は、本当のところ何が「理屈じゃない」のか、野性の嗅覚の意味合いを深いレベルで理解しています。「ここから先は理屈ではなくて気合だ」というふうに気合の輪郭がはっきり見えています。だからますます「気合」が入り、「野性の勘」に磨きがかかる。「理屈じゃないから、理屈が大切」なのです。

経営や戦略を相手にしている以上、法則定立は不可能です。しかし、それでも論理はある、「論理化」は可能だという主張です。ストーリーとしての競争戦略も「法則はないけれども、論理はある」という立場に立って、優れた戦略ストーリーの論理を明らかにすることを目的としています。

そして、その論理というのは、「イノベーションが大切だよね!」というほど元も子もない話ではありません。もう少し考えてみたほうがいい何か、しかもそれは実務の「けもの道」を走っているだけでは、なかなか見えない何かなのです。


楠木 建
一橋大学教授








上の記事は要約記事です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】経営には原理・原則がありそれを多くの人々が知ることにより、社会は確実に変わる。しかし、知識ある者は、常に理解されるように努力する責任があることを忘れてはならない(゚д゚)!

News Picks ロゴ


皆さんは、NewsPicksをご存知でしょうか。新しいタイプのニュース・サイトです。今まで、いろいろなニュース・サイトのアプリをパソコンや、スマホ、タブレットで使用してみましたが、結局長続きせず、最初は見ても、後からはほとんど使わなくなるということがほとんどだったのですが、このサイトはこれからも使い続けると思います。

日本国内の、いわゆる普通のメディアなどに掲載されている犯罪・災害などのニュースは掲載されていませんが、主要なニュースをほぼ網羅されています。これは、犯罪などに関しては、サイトでみるまでもなく、通常のニュース・メデイアで十分であるとの考えでわざわざ掲載しないのだと思います。

しかし、通常のメディアだけだと、見逃してしまいそうにもかかわらず重要なものが掲載されているようです。そうして、この方針は良いと思います。

御嶽山の噴火のニュースなど、サイトで長々と、何度も掲載されても、確かにあまり意味はないと思います。そんなのは、テレビで十分です。

そうして、このサイトの魅力は何といっても、twitterとの連携がすごいことです。それも、ただ単に、twitterにニュースに関するコメントを掲載できるというだけではありません。なかなか優れものの機能があり、使い勝手かかなり良いです。

この使い勝手の良さもあってか、結構有名人も使っています。あの堀江貴文さんなども使っています。

これは、言葉で説明しても、なかなかご理解いただないと思いますので、是非一度ご覧になって下さい。以下にリンクを掲載しておきます。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、本日の主題は、NewsPicksの紹介を兼ねては、いますが、それが本題ではありません。

本題は、このニュース・サイトに掲載されていた、連載企画であるブログ冒頭の記事です。

私は、この記事に興味をひかれたので、読了後すぐにコメントしました。

本日は、まずはそのコメントの内容を以下に掲載します。
私は、経営学を専攻はしませんでしたが、学生の頃からドラッカーの書籍を読んで、感動し経営学がドラッカー氏が語っているようなことを意味するのであれば、経営学は本当に役に立つと確信しています。
特に、最近では、企業内の資料である『新・時流人』という会長のお言葉をまとめた、書籍の原稿を執筆しましたが、その時にも非常に役にたちました。会長の言葉の真の意味が、ドラッカーの書籍ではこういうふうに掲載されているという具合に確認することができました。

執筆した書籍の表紙

書籍ができあがってから、結局書籍の八割が、表現は異なるものの、ドラッカー氏のいう経営の原理原則であり、後の二割が、会長ご自身の哲学のようなものということに気付きました。
しかも、会長自身は、あまりドラッカーの書籍を読んでいるといこともないようでしたので、経営には原理原則というものがあるという結論に至りました。
しかしながら、こうした会長が原理原則を自らの経験を踏まえて、誰にでも解りやすく平易な言葉で語っていたことには、改めて感動を覚えました。いくら原理原則を知っていても、それを本当に理解してもらうには、ただ原理原則を語れば良いというものではありません。多くの人々に理解できる言葉や、事例を用いなければ、誰も納得しません。
最近もドラッカー氏の"Management revised edition"を読みましたが、構成や力点の置き方が多少異なり、事例などが新しいものに置き換わっているものもありましたが、原理原則はそのままで、今でも十分に通用するもであると思いました。
経営学か全く役にたたないという方は、ドラッカー氏の書籍を読んだことがないか、読んだとしても、その本質を理解していないということではないかと思います。あるいは、教える側にも問題があって、うまく伝わらないだけではないかと思います。
そうして、ドラッカー氏の書籍を読んでいて感じるのは、まさに、経営に法則や定理はないということです。こんなものがあったら、誰も苦労しません。しかし、それでも原理・原則はあるということです。
そうして、原理・原則に従い日々の問題に取り組めば、それを知らないよりは、はるかに様々な事柄に対処しやすくなります。
私は、多くの人々がドラッカー氏が語っていたような、経営学の本質を学べば、社会は随分変わってくると思います。
私は、経営学という学問を正式に学んだことはありませんが、ドラッカー氏を抜いて現代の経営学を語ることはできないと思います。

ドラッカー氏のように、経営学の原理・原則について考えぬいた人はいないのではないかとさえ思っています。
ドラッカー氏


なぜなら、現在であれば、多くの人々が、ドラッカー氏のマネジメントにおける原理・原則を下敷きとして、様々な現象を説明したり、理解したり、積み上げたりすることが容易にできますが、その下敷きを創った人がドラッカーです。

ドラッカー氏以前にも、マネジメントについて考えた人は大勢いますし、先人の研究があったからこそ、ドラッカー氏もマネジメントの体系化ができたのではありますが、どれも部分的であって、全体像に関して考察して、体系化したのはドラッカー氏がはじめてだからです。

今の私達は、このようなものがすでにあるのですから、マネジメント関連のことで、いろいろ考えたり、疑問などがあった場合には、他の書籍や、コンサルタントにあたる前に、まず一度はドラッカー氏の書籍を熟読するべきと思います。

熟読すれば、必ずそこには、すくに役立つことや、すぐにではなくても、いずれ役に立つ原理原則がみつかるはずです。無論、特定の事柄にすぐに役立つ法則や定理などはみつかりませんが、多くの事柄に適用できる、珠玉の原理原則が散りばめられていことに気づくはずてす。

そうして現代の私達が最も気をつけなければならないことは、ドラッカー氏の語る以下の言葉です。
知識ある者は、常に理解されるように努力する責任がある。知識労働者は、直接にものを生産するわけではない。
生みだすアイデアや情報を誰かに使ってもらうことで、いわば間接的に生産する。だから、市場を理解すると同時に、組織における上下左右の人間が何を必要としているかを知らなければならない。さらに、自分のアイデアの内容や情報の価値を彼らにわかってもらう事が不可欠だ。
現在の仕事は、従来から比較すると、どの仕事も高度な知識労働となっています。だから、多かれ少なかれ、どの人の仕事もある程度以上は専門的になっています。現在では、ある人の仕事は、別の人にとっては、すぐに理解できるような簡単なものではありません。

特定の専門的知識を有する人々の中だけで、話が通じて事が足りるということはないのです。多くの人々にわかってもらえなければ、専門化した現在の知識は全く役に立たないのです。だからこそ、伝えることが本当に重要になってくるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値―【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!


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2013年3月2日土曜日

政権批判ばかりのメディアや「ダメダメ」論の学者はもういらない! いま、国民が知りたいのは「どうしたら暮らしが良くなるのか」である!―【私の論評】これからは、「良くなる」「良くできる」論が幅を効かせて行く時代!!潮目の変化を見れない政治家やマスコミは没落していくのみだし、没落したほうが世のため人のため!!

政権批判ばかりのメディアや「ダメダメ」論の学者はもういらない! いま、国民が知りたいのは「どうしたら暮らしが良くなるのか」である!:
2013年03月01日(金)


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[ 長谷川幸洋「ニュースの深層」 ]
政権批判ばかりのメディアや「ダメダメ」論の学者はもういらない! いま、国民が知りたいのは「どうしたら暮らしが良くなるのか」である! 
[長谷川 幸洋]
首都圏で売れている夕刊紙の編集者と懇談していたら「最近は読者の関心が株一色。株の話を書かないと売れない」とぼやいていた。その夕刊紙は激しい政権批判が売り物で、民主党政権の時代は民主党を批判し、いま安倍晋三政権になったら安倍を「これでもか」という調子で批判している。

【私の論評】これからは、「良くなる」「良くできる」論が幅を効かせて行く時代!!潮目の変化を見れない政治家やマスコミは没落していくのみだし、没落したほうが世のため人のため!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、確かに「ダメダメ」論はもううけないです。上の記事の、要旨は以下のようなものです。
 読者は夕刊紙や週刊誌に立派な能書きや上から目線のご託宣を求めているわけではない。政権の打ち出す政策がピンぼけばかりで、生活が苦しくなる一方なら、激しい政権批判の紙面でも売れる。だが、ひと儲けできるチャンスが目の前にあるなら、能書きより「どうすれば儲かるのか」という話に関心が向かうのは当然だ。
斉藤誠一教授 何やらこの人の顔が「ダメダメ」に見えてくる

そうして、御託宣の事例として、斉藤誠一橋大学大学院教授の27日付朝日新聞オピニオン欄の以下の記事内容をあげています。
エネルギー、食料の価格が上昇しているところに円安が進めば、ガソリンや灯油、野菜の値段はさらに上がる。給与明細の額が増えても必需品価格がもっと上がれば、暮らし向きは悪くなる。・・・小泉構造改革で問題になった『格差』がもっと顕著になる可能性があります 。
 そうして、学生に向けての言葉として、以下のような内容もあげています。
斉藤教授は「デフレの要因は、日本経済の国際競争力が弱くなったからです」とも言う。それじゃ、どうしたらいいのかと言えば「日本がこれだけ高い生活水準 の経済を保とうと思ったら、それに見合う労働の質が必要。いつも学生に言っています」と指摘する。つまり「もっと勉強しろ」だ。
本当に、うんざりですね。この気持ち良くわかります。本当に日本のマスコミや、学者のとくに「ダメダメ」論にはあきれかえって、うんざりです。やれ、金融緩和をすれば、ハイパーインフレになるとか、金融緩和してもダメだとか、日本経済はダメだとか、日本はダメだとか、日本人はダメだとか、民主党はダメはわかるにしても、発足してから半年もたっていない安倍政権がダメだとか、「もう!!いい加減にせいや!」!といいたくなります。

これに似たような苛立ちについては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。

【注目】BBC アベノミクスは正しい―【私の論評】犬HKは、BBCのように自国政府が成功しそうなことを賛美するどころか、4月4日に安倍総攻撃を企んでいるだと?!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ようするに、BBCはイギリスの国営放送ですが、このBBCがアベノミクスは正しいと報道しており、特に日本に長期滞在しているBBCの特派員が、アベノミクスを賛美しているというのに、日本のNHKはそれどころか、4月4日にさらなる安倍総攻撃を企んでいるらしいという内部情報があるというものです。

オリンピックに出場するアスリートは、「ダメダメ」など言っている暇はない!!

「ダメダメ」どころか、NHKは、あくまで日本を弱体化させる方向にしか動かないし、しかも、本社内に中国中央電子台の日本支局が収まっているという、公共放送としてしては、とち狂っているとしか思えない変態反日公共放送です。

しかも、社員の平均年間賃金が、1700万だとか?これが、まともな公共放送だったら、ある程度賃金が高いことも「うらやましい」ですみますが、カネはいっぱいとって、反日をやっているなどということでは、そのうち誰も受信料を払わなくなるのではないかと思います。こんな放送局はすぐにも解体して、まともな公共放送をできるようにすべきです。このブログにも掲載したように、Huffington Post(このインターネット新聞そのものは、リベラル派だが、立場を明確にしているので、ニュースソースとしては信用できる)のようインターネットを活用したより中立的な公共放送を日本にもつくるべぎです。犬HKはもういりません。


こんな傍若無人な犬HKがのうのうと存続できる日本ですから、「ダメダメ」論などまだましなほうで、まだまたはびこるかもしれません。

そういわれてみれば、先日も、玄葉元外務大臣の国会での質問をとりあげましたが、この質問には、安倍総理もあきれかえって、一蹴しましたが、本当に民主党のお家芸の「ブーメラン」になってしまいました。 泥を被るとか、被らないとかそんなことはどうでもいいです。 TPPに関して、文書化したことの意味もりかいせずに、わけのわからない不毛な論議ばかりしていました。これは、結局のところ玄葉氏の安倍自民党政権に対する「ダメダメ」論以外の何ものでもありません。なぜこんなことになったのか、このブログでは、その背景を掲載しました。その記事のURLを以下に掲載しておきます。

【政論】玄葉氏よ、お前もか ブーメランの「お家芸」継承―【私の論評】ポストモダン(脱近代)社会の七つ作法を知らなけれ、政治家はもとよりそもそも社会人にもなれない!!現代はそういう時代だ!!


詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、なぜこんになに稚拙になってしまうのか、その背景をポスト・モダンという切り口で、とりあげました。

玄葉氏もダメ顔になっている?
しかし、このブログの冒頭の記事は、もう潮目がかわって、「ダメダメ」論は許容されなくなってきているということを示しています。確かに潮目は変わっています。

反リフレ派や財政破綻派は最近元気がありません。反リフレ派は、金融緩和などしたら、ハイパーインフレになるといい触れ回っていました。財政破綻派も、あたかも、すぐにも日本が財政破綻するように触れ回っていました。私は、反リフレ派や財政破綻派などただ「ダメダメ」と言っているだけではなく、日本経済が良くなる方向性を示すべきだと思っていました。

無論、それがすみやかな増税なんていう愚かなことを言われても困りますが・・・・・・・・。デフレの時期に増税すれば、ますます、経済が落ち込むのは明らかですらか、増税をしない前提で、経済を良くする方向性を示すべきと思います。

「ダメダメ」論など皆うんざりしていると思います。私も聴きたくありません。それくらいなら、経済でも、会社でも、個人でも、コミュニティーでも、社会でも「良くなる」「良くできる」論を論じるべきです。こんな時代には、政治でも、金融でも、社会でも、どのように努力すれば、「良くなる」、「良くできる」のかその方向性を論じることが時流にあっていると思います。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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