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2020年7月28日火曜日

米国、中国に“宣戦布告”…米英が水面下で戦争の準備、テロ支援国家に指定の可能性も— 【私の論評】トランプの5人の騎士が、中共の息の根を止める!(◎_◎;)

米国、中国に“宣戦布告”…米英が水面下で戦争の準備、テロ支援国家に指定の可能性も
文=渡邉哲也/経済評論家

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官

 アメリカと中国の対立が、お互いの総領事館を閉鎖し合うという異例の事態に発展している。

 アメリカがテキサス州ヒューストンの中国総領事館を「スパイ活動および知的財産窃盗の拠点」という理由で閉鎖し、対抗措置として、中国は四川省成都の米総領事館を閉鎖した。そのため、今度はアメリカが次に何をするかが注目される。仮に追加の制裁に動けば、中国も再び対抗し、応酬がエスカレートしていくだろう。

 ここで問題になるのは、「タイミング」と「さじ加減」だ。アメリカとしても、自国への悪影響を考えれば、時間をかけて段階的にデカップリング(切り離し)を進める方が得策だと思われる。マスク問題などにみられるように、日本を含む西側諸国は中国に依存している部分もあるため、急激なデカップリングは危険をはらむことになる。生産や調達の代替が可能になってからでないと、国内への影響が大きくなりすぎてしまうわけだ。

 しかし、時間がかかりすぎると、その間に中国はさまざまな方法でアメリカへの対抗手段を確保し、安全保障上のリスクが拡大しかねない。そのため、猶予期間は限られており、今は嵐の前の静けさとも言える状況なのだ。

 これらの背景には、中国が香港国家安全維持法を一方的に施行した問題がある。これは、香港に保障されていた「一国二制度」を反故にすると同時に、自由主義社会への挑戦状とも言えるものである。

 アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は演説で「習近平国家主席は破綻した全体主義思想の真の信奉者」「中国共産党から自由を守ることは私たちの時代の使命」などと語り、対中強硬路線を改めて打ち出した。これは、事実上の宣戦布告といえる発言だろう。

米英と中国の対立が激化、戦争の準備へ

 また、悪化する米中関係に、香港問題の当事者であるイギリスおよびイギリス連邦が加わる形で混迷を極めている。

 イギリスは香港に居住する約290万人の「英海外市民」について、ビザなしでイギリスに滞在できる期間を6カ月から5年間に延長し、市民権の取得を促す緩和策を発表した。また、香港政府と結んだ犯罪人の引き渡し条約の停止を表明し、2027年までに中国企業の華為技術(ファーウェイ)を次世代通信規格「5G」から完全排除する方針を決定した。

 これらの動きに猛反発した中国は、英海外市民が持つ旅券を「有効な旅券として認めない」と表明し、さらに追加措置の行使も示唆している。イギリスおよびイギリス連邦としては自国の旅券を否定されたことになり、これは戦争の理由として十分なものだ。今後は、相互主義に基づき、中国の旅券を無効化するかどうかが注目されるが、その場合は香港市民の出国に大きな制限が課せられることになってしまう。

 また、ポンペオ国務長官はイギリスのボリス・ジョンソン首相、ドミニク・ラーブ外務大臣と会談を行い、香港問題などでの連携を確認し、中国と対峙するための連合構築も示唆した。さらに、アメリカのマーク・エスパー国防長官は年内に訪中し、対話の手段を探る意向を示しているが、これらの動きは戦争の準備行為とみることもできるだろう。


 そもそも、領事館や大使館の閉鎖というのは宣戦布告の正当な理由となる行為であり、戦争の前段階と言える動きだ。


 また、中国が国家的に、全米の領事館を通じて極左暴力集団「ANTIFA」や黒人差別に対する抗議デモ「「Black Lives Matter」を主導し、援助したとの報道も出てきている。アメリカはこれらの動きに対して背後関係を含めて徹底的に調査するとしており、事実関係が確認されれば、国内のテロ行為の陽動および支援ということで、テロ支援国家の指定に向けて動き出すことも考えられる。


 テロ支援国家に指定された場合、輸出管理におけるアメリカ原産の割合が25%から10%にまで引き下げられ、ハイテク関連製品などの輸入はほぼできなくなる。また、金融制裁など追加オプションを発動する大義名分にもなり、中国に対して北朝鮮と同様の処置が可能になるわけだ。

 米中対立は、今後も予断を許さない状況が続きそうである。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】トランプの5人の騎士が、中共の息の根を止める!(◎_◎;)


トランプの5人の騎士が中共をこらしめる?

ここ最近立て続けに、オブライエン補佐官、FBIのレイ長官、バー司法長官が、相次いで対中政策の演説を行ないました。また、中国共産党を厳しく批判してきたポンペオ国務長官も、上の記事にあるように、演説をしました。

オブライエン氏は6月24日、アリゾナ州フェニックス市での講演で、「中国共産党がマルクス・レーニン主義を信奉する全体主義の政党である」「習近平主席は自分をスターリンの後継者としている」と述べ、「米国が中国共産党に対して受動的で未熟な時代は終わった」「中国共産党の信条と陰謀を暴くことは、米国人だけでなく、中国人や世界の人々の福祉のためでもある」としました。

FBIのレイ長官は今月7日、米シンクタンク・ハドソン研究所での演説で、中国共産党の対米攻勢について、民主国家への勢力浸透、秘密情報網の構築、大量のサイバー攻撃などあらゆる手段を用いたことで、米国経済および国家安全に計り知れないダメージをもたらしたと述べました。

同氏によると、中国共産党によるスパイ活動は2500件に達し、この10年で中国がらみの経済スパイは1300%増加したそうです。約10時間ごとに中国人が関わるスパイ事案が発生しているといいます。

バー司法長官は16日、ミシガン州での講演で、中国共産党の世界征服の野望にいかに対応するかが、21世紀に向けて全米ひいては全世界が直面する最も重要な議題であるとし、「世界の偉大な古代文明の一つを鉄拳で支配する中国共産党は、中国の人々の計り知れない力、生産性、創造性を悪用し、ルールに基づいて構築された世界秩序を覆そうとしており、それによって世界で独裁政権が定着することを目指している」と述べました。

それに続き、ブログ冒頭の記事にもある、27日のポンペオ長官の演説です。

米トランプ大統領の元首席戦略官のスティーブ・バノン氏は7月20日、米FOXニュースとのインタビューで、トランプ大統領は中国共産党に対して「一貫性のある計画」を持っており、それによって中国共産党を解体していくとの見解を述べました。

同氏によると、まず中国共産党と「対抗」し、次に中国共産党を「崩壊させる」という2つのステップで計画を進めている。「最初に立ち向かい、それから中国共産党を打ち負かし、彼らの虚勢を暴くという総合的な作戦を目にすることになるだろう」というのです。

バノン氏は、トランプ大統領の陣営が、中国共産党の脅威に対抗するため、ロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官、クリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官、マイク・ポンペオ国務長官、そしてウィリアム・バー司法長官という「四騎士」を配置していると述べました。

「この4人は、技術や情報戦、経済戦で中国共産党と対峙するほか、同盟国とともに南シナ海で開放的な海洋秩序を構築し、中印国境紛争でインド側を支援するなど、一貫性のある包括的な戦争計画を立てている」

トランプ政権が、中国共産党の脅威に対抗するため、配置した「四騎士」

また、バノン氏は「私は財務長官の参戦を望んでいる」と述べ、「この戦争計画はすでに目の前に浮かんでいる。米国に侵入した中共ウイルス(CCP Virus、新型コロナウイルス)と同じレベルの一貫性を維持する必要がある」としました。

南シナ海では依然として緊張の高まりが続いています。17日付けの米政府系メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、最新の衛星画像で、中国当局が南シナ海のパラセル諸島最大の島であるウッディー島(中国名・永興島)に、戦闘機8機を配備していることが確認されたといいます。

米軍も南シナ海への軍事関与を強化しています。米海軍の「ニミッツ」と「ロナルド・レーガン」のニミッツ級航空母艦(原子力空母)2隻は17日、南シナ海で2回目の演習を行いました。また、米空軍のE-8C偵察機1機が過去1週間で4回も、中国の海岸に対して接近偵察飛行活動を行ったのは極めて異例のことです。

マーク・エスパー米国防長官は21日、中国共産党が過去1年間に南シナ海で軍事的挑発行為を繰り返し、地域的緊張を高めているとし、中国共産党と対峙する可能性に備え、アジア全域に米軍を配置していると述べました。

このブログでは、様々な根拠から中国は、世界のいずれかで局地戦を行う可能性が高いことを主張してきました。

トランプ政権による、四騎士の配置は、これに対する牽制と、中国が何らかの局地戦や米国へのテロ攻撃、浸透工作などを実施した時の、備えであると考えられます。

安全保障関連だけではなく、司法や、国内の治安維持も含めた総合的対応を目指していることを示すものです。従来は、中国にはサラミ戦術などでしてやられてきた米国ですか、今度はたとえサラミ戦術であろうとなんであろうと、中国が何か行動に出た場合、それを最終的には軍事力を用いてでも絶対に阻止するという意思の現れです。

さて、バノン氏は5番面の騎士としての財務長官の登場を望んでいるようですが、これはどういうことかといえば、中国による対米投資の本格的な制限等を実行することを意味していると解釈できます。いやそれどころか、中国が所有する米債権の無効化や、ドルと人民元の交換停止などの、措置もあり得るかもしれません。

5人目の騎士? ムニューシン米財務長官
ただし、現状では、ブログ冒頭の渡邊氏の記事にもあるように、「タイミング」と「さじ加減」から行って、本格的な財務的措置は、今のところ米国にとっても害が大きすぎると考えているのでしょう。

米国としては、米国と中国デカップリング(切り離し)が進んだ段階で本格的な財務的制裁措置を行えば、米国にとっても害が少なくなると考えているのでしょう。

今の段階では、四人の騎士が、中国が米国外であろうと、米国内であろうと、何か手を打って来た場合、迅速に対応できる体制ができていることを表明したという段階でしょう。そうして、実際に何かが起きれば、迅速に手を打つでしょう。

そうして、何かが起これば、この四人は互いに緊密に連携して対応をするというような、愚かなことはしないでしょう。そんなことをすれば、”Too Late”ということになりかねません。

この四人は、何かが起これば、自分ができる範囲の中ですぐに行動を起こし、その後に連絡を取り合うことになるでしょう。これで、どのような中国の迅速な動きも、制することができるでしょう。

そうして、いずれ5人目の騎士、ムニューシン米財務長官が加わり、米国による中国への本格的制裁が始まることになるでしょう。

最後の財政的制裁措置に関しては、すぐに全部を展開することはないとしても、大統領選挙の前に、かなり衝撃的な手を一つくらいは、打つ可能性があると思います。

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2018年12月9日日曜日

機密戦争勃発! 米英が中国駆逐へ、ファーウェイ&ZTEの5G覇権“徹底排除” 識者「中国通信分野の『終わりの始まり』」―【私の論評】現代のコミンテルン、中国の5G世界制覇を阻止せよ(゚д゚)!

機密戦争勃発! 米英が中国駆逐へ、ファーウェイ&ZTEの5G覇権“徹底排除” 識者「中国通信分野の『終わりの始まり』」

トランプ氏(右)と習近平氏の戦いが本格化してきた   写真はブログ管理人挿入

 ドナルド・トランプ米政権の主導で、世界各国で中国IT企業を締め出す動きが加速化している。背後には、中国製通信機器などを通じて、政府や軍事、企業の機密情報が盗まれ、共産党独裁国家が「軍事・ハイテク分野での覇権」を握ることを阻止する、強い決意がありそうだ。米国で今年8月に成立した「国防権限法」と、機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」の存在とは。中国排除の動きは民間企業にも広がりつつある。

 カナダ西部バンクーバーの裁判所は7日、中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の創業者の娘で、同社副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟容疑者の保釈の可否をめぐる審理を開いた。

孟晩舟容疑者

 カナダ検察当局は、孟容疑者が2009~14年に子会社のスカイコムを利用して、米国がイランに科している制裁を逃れた疑いがあると指摘。有罪なら禁錮30年以上の刑が科される可能性があるとした。

 今回の逮捕劇が、単なる「イラン制裁逃れ」で終わらないことは、世界中が認識している。

 ファーウェイの創業者は人民解放軍出身の任正非・最高経営責任者(CEO)であり、同社は「完全否定」しているものの、中国政府や情報当局との密接な関係が指摘されてきたからだ。

任正非

 中国の習近平国家主席は、国家戦略として「中国製造2025」を掲げている。米国の最先端のハイテク技術などを吸収して、25年までに中国を製造強国にするもので、トランプ政権は「中国の軍事的覇権に拍車をかける」と警戒している。

 米国が、この「ハイテク技術吸収の先兵」と受け止めているのが、ファーウェイであり、同じく中国通信機器大手「中興通訊(ZTE)」なのだ。中国が、第5世代(5G)移動通信システムで世界の主導権を握ろうとすることを断固阻止する構えといえる。

 トランプ大統領は今年8月、「近代史において、最も重要な投資だ」と語り、国防権限法案に署名し、同法が成立した。この法律は、ファーウェイやZTEなど、中国IT5社を「米国の安全保障上の脅威」と名指しし、米政府機関や米政府と取引のある企業・団体に対し、5社の製品を使うことを禁止している。

 まさに、「米中新冷戦」の一環であり、孟容疑者の逮捕は、米国による「事実上の宣戦布告」と受け止められなくもない。

 この「中国ハイテク排除」の動きは、米国の同盟国中心に広がっている。特に注目されるのが、米英両国を中心に情報機関の相互協定を結び、最高の機密情報を共有する「ファイブ・アイズ」(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の存在と動きだ。

 英秘密情報部(SIS、通称MI6)のアレックス・ヤンガー長官は3日、孟容疑者の逮捕が公表される前に行った講演で、「われわれの仲間が行っているように、中国政府と密接な関係にあるファーウェイの次世代高速通信システム(=5G)に依存すれば、情報網を危機にさらす危険がある。とりわけ軍事関連の通信を傍受されれば、戦略が筒抜けとなって安全保障上の脅威となる」と述べていた。

アレックス・ヤンガー長官

 米国とオーストラリア、ニュージーランドでは、すでにファーウェイ排除の動きが進んでいる。英国の通信大手グループも、5Gについてファーウェイ製品排除の方針を表明した。孟容疑者はカナダで逮捕された。

 日本は2013年に特定秘密保護法が成立したことで、米国などから防衛やスパイ、テロなど、安全保障に関わる機密情報が入るようになってきた。日本政府も7日までに、ファーウェイやZTEの排除方針を決めた。将来の「ファイブ・アイズ+1」もありそうだ。

 中国情報に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏は「中国共産党は、ファーウェイとZTEを競争させながら、世界の覇権を握ろうとしている。これに対し、ファイブ・アイズを中心に『中国が、世界の移動通信システムの拠点を握ることを絶対に許さない』という強い方針がある。5Gの覇権を握られたら、政府の機能がダウンするぐらいのことをやられる可能性もある。いまや、『自由主義陣営vs中国共産党』という構図になっている。自由主義陣営は本気になり、不退転の決意で動いているだろう。中国の通信分野での『終わりの始まり』が見えてきたのではないか」と語っている。

【私の論評】現代のコミンテルン、中国の5G世界制覇を阻止せよ(゚д゚)!

すでにアメリカでは、8月の国防権限法の成立によって、米政府機関および米政府と取引がある企業でのファーウェイとZTEの機器の使用が禁じられるようになりした。ファーウェイの携帯にはバックドアが組み込まれ、個人情報が抜かれていることが明らかとなったからです。

トランプ大統領の安全保障チームは、今年1月に3年以内に政府による5Gのネットワークの構築を検討するとしていました。中国の諜報活動に対抗するために、AT &T、ベライゾン、Tモバイルなどのモバイル通信会社の仕事を引き継ぐ形で行うといいます。

危惧されるインフラへのサイバー攻撃

日本政府は、日本の通信インフラに与える影響を考慮して、ファーウェイやZTEを規制すべきだが、対応は後手に回っています。

一方、アメリカは、議会を中心に着実な手を打ってきました。

最終的には外国投資委員会(CFIUS)によって阻止された3Comに対する買収案件に見られるような、ファーウェイの技術獲得を疑問視した米議員は、徹底的な調査を開始。6年前の2012年、米下院情報委員会は、その調査に基づく詳細なレポートを発表しています。

このレポートにおいて、とりわけ危惧されているのが、送電網など重要な社会基盤(インフラ)の通信を握られることです。

海外での事業収益が全体の6割を占めるファーウェイは、アメリカでの国防権限法の成立直前に、ロビー活動を展開。アメリカからファーウェイを排除すれば価格競争の制限となるため、消費者が不利になり、かつ、イノベーションも妨げると主張しました。

ところが、「安ければいいだろう」ということで、送電網にファーウェイの機器が使用されている場合、電気、ガス、金融機関、水道や鉄道など、サイバー攻撃を簡単に仕掛けられる危険と隣り合わせになります。9月に北海道で起きた地震の際の「停電パニック」を、中国は簡単に引き起こせるということです。

アメリカが国防権限法に基づいて成立させた対米投資強化法において、重要なインフラへの投資も規制の対象とするなど、商業の論理より、安全保障を優先したのはこのためです。

国防権限法成立以前の2017年12月、米上下両院の情報委員会のメンバーである議員がFCC(米連邦通信委員会)を通じ、AT&T社がファーウェイの携帯を顧客に提供することを断念させています。私企業の事業計画を、国民の安全保障を理由として変更させた事例として参考になります。

監視カメラ産業に群がる投資家たち

また、次世代の大容量通信を可能にする5Gが、監視カメラの顔認証技術などと結びつけば、監視社会がより一層強化されます。

現在のところ、中国政府は2020年までに6億2600万台の監視カメラを設置する予定です。

監視カメラの技術で有名なのが、中国のハイクビジョンとダーファ・テクノロジー。この2社で世界の監視カメラ市場のシェアの4割を超えます。

ハイクビジョンは、中国の治安当局に対し、「少数民族に属するかどうか」を判定する技術があるとして自社の製品を売り込んできました。新疆ウイグル自治区のウルムチで、3万台の監視カメラを設置する計画を受注するなどし、昨年だけで売上を30%伸ばしています。

ハイクビジョンに関しては、株式の4割を国有の軍需企業のCETCが保有するなど、中国共産党と密接な関係がある企業。2018年4月に米インテロス・ソルーションズが公表したレポートでも、ファーウェイやレノボとともにアメリカが警戒すべき企業の一つとして挙げられています。

しかし金融業界は、倫理的なリスクのある中国のテクノロジー企業を「買い」だと推奨し、間接的に一般の投資家たちを中国の人権弾圧に加担させています。投資家たちも知ってか知らずか、「人種主義」の片棒を担いでしまっているのです。

日本に目を転じれば、ソフトバンクがファーウェイと5Gの実証実験を行い、中国の5Gの規格化に手を貸しています。だがファーウェイが次世代通信規格の開発に成功すれば、ウイグル人等の弾圧、中国人の総監視社会の完成を間接的に支援することになります。

監視カメラと5Gがつくる全世界監視

それだけでないです。中国は、スマートシティを国内で構築し、そのネットワークを巨大経済圏構想「一帯一路」の沿線地域である東南アジアなどに輸出します。つまり中国の5G戦略は、中国の監視モデル体制の世界への輸出でもあるのです。

これは現代版コミンテルンともいえます。1919年にレーニンが発足させた共産党の国際組織であるコミンテルンは、全世界の共産主義化と全世界同時革命をその使命としました。実際大東亜戦争中には、米国の中枢、そうして日本の中枢にもソ連のスパイであるコミンテルンが深く浸透していて、日米戦争のきっかけを工作しました。現代は、それが5Gや監視カメラ、AIの技術によって可能となるのです。

第5回コミンテルン(共産主義インターナショナル)のプラカード。
1924年6月17日-7月8日 モスクワで行われた。

中国のスパイ進出の先進国ともなったオーストラリアでは、ファーウェイに対し、次世代通信規格である5Gを使った同国の無線ネットワークへの参入を禁止しました。第4世代(4G)では、5割超の通信設備にファーウェイを採用しているのにもかかわらず、です。

日本は中国の5G覇権を迎え撃つ戦略を持て

イギリス、オーストラリア、さらにロシアでも規制に向けて動き始めている。

10月12日付のロイター紙のスクープによると、中国の海外投資や国内工作に対抗するために、年初よりアングロサクソンの国際諜報同盟「ファイブ・アイズ」に日本とドイツとを加え、情報が共有されているといいます。

アングロサクソン圏では、早くから対中包囲網の構築の必要性が共有され、そこに日本もドイツも加わってほしいという要請があったと見て良いでしょう。

ところが、日本にはスパイ防止法がないために秘密保全の措置がまだ不十分です。一刻も早くスパイ防止法を制定する必要があります。

さらに中国のサイバー攻撃から国民を守るためにも、中国製の監視カメラや次世代通信規格を日本の産業から排除すべきです。

先にも述べたように米通信大手AT&TはFCCの警告を受け、ファーウェイの携帯を顧客に提供するのを断念しています。日本も、「国民の安全」を守るために、政府が私企業の事業計画を変更させることも視野に入れるべきです。

日本は、来年からポスト5G の研究開発に乗り出すといいます。欧米諸国と協調しつつ、6Gで中国を迎え撃つ戦略が急務となります。

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2016年5月18日水曜日

国の借金1000兆円超」に騙されてはいけない 純債務残高は米英より健全 ―【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!


マスコミの得意な報道 ミスリーディングも甚だしい

国の借金が1049兆円になったという報道があったが、国の財政の実態については誤解も多い。

ここでいう「国」とは政府のことであるが、マスコミ向けの統計数字はいろいろある。代表的なものとして「国の公債残高」「国と地方の長期債務残高」「国債及び借入金残高」という3つの違う概念があり、それぞれは2016年度末で838兆円、1062兆円、1191兆円と見込まれる-と最新の財務省のパンフレットに書かれている。

「国と地方の長期債務残高」は、国債残高に地方債などを加えたものだし、「国債及び借入金残高」は、地方分を入れないかわりに短期証券等を加えている。

今回発表されたのは「国債及び借入金残高」の15年度末の数字1049兆円だ。ちなみに昨年の財務省パンフレットには、15年度見込みとして1167兆円と書かれていた。

内訳を見ると、見込みと実績のそれぞれで、普通国債で807兆円と805兆円、借入金等で63兆円と64兆円、財投債98兆円と96兆円、政府短期証券199兆円と84兆円となっており、パンフレットに書かれていた見込み額は100兆円以上も過大な数字になっていた。

いずれにしても、債務だけをいろいろな数字で説明しても不十分で、本当の国(政府)の財政状況を示すには、バランスシート(貸借対照表)が不可欠だ。

筆者は大蔵官僚だった1995年、初めて国のバランスシートを作った。2003年度版から正式に公表されている。ところが、マスコミはバランスシートを読めないのか、あまり報道されていない。

今年1月、国の財務書類として公表されたものを見ると、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円であることがわかる。

こうした話をすると、「国の金融資産といっても社会保障基金の積立金は取り崩せない」という人が出てくるが、本当にバランスシートを読んでいるのか筆者は怪しいと思っている。

バランスシートをみれば、資産側の社会保障基金積立金は負債側の公的年金預かり金と見合っており、ネットで債務残高を見るときには意味がないからだ。財務省の言いなりになっているのだろう。

さらに重要なのは、政府だけではなく、「関連会社」を含めた連結ベースのバランスシートだ。これも公表されているのだが、重要な組織である日銀が連結対象になっていない。そこで、日銀を含めて連結ベースのバランスシートをみると、ネットの債務残高は170兆円にまで減少してしまう。

これが、本当の債務残高の姿である。国内総生産(GDP)比でみると2割以下であり、米国や英国と比較しても小さい。このような状況だから、現時点では財政破綻の可能性は極めて小さく、国債金利がマイナスになるのも納得できる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】嘘を流布する官僚や学者、信じこむ政治家やマスコミは排除すべき時だ(゚д゚)!

国(政府)の借金が1049兆円になったという報道の代表的なものをあげておきます。読売新聞の報道です。
「国の借金」、1049兆円…7年ぶり減少
 財務省は10日、国債など「国の借金」が2015年度末時点で1049兆3661億円と、14年度より3兆9911億円減ったと発表した。

国がお金を短期で借りるために発行する政府短期証券が大きく減ったためだ。日本銀行のマイナス金利政策などの影響で、利回りが低下した政府短期証券への需要が少なくなった。 
 残高が前年度より減ったのは08年度以来、7年ぶり。ただ、国民1人当たりの借金は約826万円となる計算で、危機的な財政状況に変わりはない。 
 財務省は3か月ごとに、国債と借入金、政府短期証券それぞれの残高の合計を発表している。国債の残高は910兆円だった。
このような報道と並んで、よく報道されるのが、下のようなグラフです。そうして、おどろおどろしく、国民一人あたりの換算で、826万円の借金などと報道されます。

■国の借金の推移(単位:兆円、2016年3月末)

このような報道をするものですから、多くの人は、「大変だ」「とんでもないことになる」などと思い込んでしまうわけです。

しかし、この捉え方は全くの間違いです。高橋洋一氏の上の記事から、日本(政府)の財務状況をまとめておくと、14年度末で、上記の国債を含めた負債総額が1172兆円、資産総額が680兆円だ。つまり、国債を含めた債務残高は、負債から資産を差し引いたネットでみれば、492兆円です。

要するに財務省が公表し、その公表を鵜呑みにして各メディアが報道する国の借金という概念は非常におかしいです。そもそも、国の借金という言い方自体もおかしいです。本来は、政府の借金とすべきです。

国=政府ではないです。国ということであれば、日本国は借金どころか、対外金融純資産(すなわち、日本国が外国に貸し付けているお金)は、過去20年以上も世界一(毎年5月に発表されます。最新の数字では41兆円です)です。ここからして、日本国が借金をしているという考え方は全くの間違いです。

日本は国としては、借金どころか、世界で一番外国に金を貸し付けている国ということです。だから、断じて、日本国が借金まみれというのは全くの虚構です。

ただし、政府は借金をしています。しかし、日本国には政府の他にも、家計、銀行、民間企業などの経済主体があります。それらも合わせた、日本国全体では日本国は、借金がないどころか、世界一金を貸し付けている国ということになります。

では、政府の借金はどうなのかといえば、高橋洋一氏が上の記事で指摘している通り、まずはグロス(総額)でみれば、確かに14年度末でも、国債を含めた負債総額1172兆円ですが、政府の資産総額は、680兆円ですから、負債から資産を差し引いたネット(正味)でみれば、492兆円なのです。おそらく、15年度末はこれよりも低くなっていると思います。

これは、本当に簡単にたとえることができます。ある人がジーンズの右ポケツトに1000円の借用書が入っていたとして、左ポケットに600円入っていたとして、この人の借金はいくらでしょう。確かにグロスでは1000円ですが、正味では400円です。

右ポケツトと左ポケツト?
普通個人の場合でも、その人の借金総額を見る場合、お金以外のものならそういうわけにはいかないかもしれませんが、お金を持っていれば、その個人の借金はグロスではなく正味で見るのが正しい見方でしょう。

しかし、なぜか政府の借金となると、主管省庁である財務省はグロスで公表し、メディアも財務省が公表したグロスの数値をそのまま報道します。これは、本当に奇異な習慣です。

そうして、さらに、政府の下請けである日本銀行も含めたバランスシートで、政府の借金を計算すると、ネットの債務残高170兆円です。GDPを500兆とすれば、GDP比で34%程度に過ぎません。

同じ見方で、イギリス、米国を計算すると、イギリスGDP比で60%程度、米国は80% (両方とも昨年の値)程度です。これで、日本が財政破綻するとか、国債が暴騰するなどということはあり得ないことがわかります。 実際、国債の金利はほとんどゼロに近いです。この状況を、国の借金1000兆円を信じる人たちは、どのように説明するのでしょうか。

もう、こんなまやかしは続けるべきではありません。この状況なら、消費税をあげる必要などそもそもありません。

一般の人々がこの途方もない嘘を、信じこんでしまうのはある程度は仕方ないと思います。しかし、この嘘を流布する官僚や学者、信じこんでしまう政治家やマスコミなど、もうそろそろ排除すべき時ではないかと思います。こんな連中によってたかって、10%増税など実行されてはたまったものではありません。

このような官僚、学者、政治家、マスコミは日本を悪くするだけです。

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