2020年4月17日金曜日

国が「休業補償」を実施しても財政破綻の心配などない カネケチらず国民の命守れ! ―【私の論評】財務省の緊縮病に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊される(゚д゚)!

国が「休業補償」を実施しても財政破綻の心配などない カネケチらず国民の命守れ! 
高橋洋一 日本の解き方

新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業要請の補償について、東京都は独自に行う方針だが、国は実施に消極的だ。東京以外の道府県は必ずしも財政事情が良くないので、国が出てきてくれないと大規模な補償は難しいのが実情だ。

 これについて安倍晋三政権で首相補佐官をしていた磯崎陽輔参院議員は、ツイッターで「全額休業補償をすれば、国は、財政破綻します。国名を挙げれば失礼ですが、イタリアと同じような状況になります。それは、医療崩壊へとつながるのです」と書いていた。


 これに対し、筆者は「もしこのような間違った財政破綻論にとりつかれていたら確実に『Z(財務省)緊縮病』患者。全額休業補償に必要なのはせいぜい数兆円レベル。これで財政破綻といいきるのは、1、2、…9、10、『たくさん』という人笑笑。その程度の財源作りなら教えますよ笑」と書いた。

 一般論だが、事業が厳しくなると、事業主は経費を減らそうとする。これが人件費にまで及ぶと休業や従業員の解雇となる。解雇の場合、労働者には失業保険が手当てされ、休業の場合には事業主には手当てに要した費用が雇用調整助成金として支給される。ともに、雇用を守るためのセーフティーネットだ。どちらも不正受給はいけないが、法律に基づくものは大いに活用すべきだ。

 国は、休業補償には及び腰であるが、雇用調整助成金の枠組みの中ではある程度の対応をしようとしている。

 ということは、経費のうち人件費以外の固定費などについては補償したくないという意思表示がうかがえる。ここでも、「Z緊縮病」のケチケチ根性丸出しなのだ。

 一体どれくらいの金額が必要なのか。大ざっぱな計算であるが、緊急事態宣言の区域である7都府県の国内総生産(GDP)合計はほぼ250兆円。休業要請するのは、経済活動別分類でいえば、宿泊・飲食サービス業、教育、その他のサービスが中心だ。それらの付加価値額は全体の10%程度として、経費と利益を全て補償したとすれば年間ベースで25兆円となる。

 仮に補償期間を3カ月(0・25年)として経費率8割とすれば、経費全てを補償する場合、25×0・25×0・8=5兆円。補償期間1カ月で全額でなく8割補償とすれば、必要金額は1・3兆円にしかならない。この程度であれば、国債を発行し、日銀が買いオペ対象にするだけで、インフレを起こすこともなく、簡単に捻出できる。

 一方、地方公共団体には、日銀の通貨発行益という奥の手はない。財政余裕度を示す財政調整基金(2018年度末)について、東京都は8428億円だが、大阪府は1489億円、神奈川県が591億円、千葉県が465億円という状況で、1兆円を超す支出を地方公共団体に求めることはできない。

 新型コロナウイルスに対しては、人と人との接触率を減らすのが当面の課題だ。早く打ち勝つためにもカネをケチってはいけない。国民の命を守るのは国の責務だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省の緊縮病に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊される(゚д゚)!

私達は今、二つの危機に直面しています。一つは、新型コロナウイルス感染拡大の危機です。この危機に対して安倍首相は4月7日、7都府県を対象に「緊急事態」を宣言し、外出自粛によって感染拡大を抑制する方針を示しました。経済的損失を覚悟のうえで国民の大半は「政府の要請」に協力するでしょう。

もう一つは、「日本経済は戦後最大の危機に直面している」(安倍首相)ことです。この危機を乗り切るため、同じ日に、安倍首相はGDPの2割に相当する「108兆円」の緊急経済対策を発表しました。


それでなくとも昨年10月の消費増税で景気は悪化していました。そこに新型コロナの影響で日本経済は本年度GDPでマイナス10%、実に55兆円もマイナスになるのではないかと言われています。

その穴埋めを政府の財政出動でしておかないと、国民経済は致命的な打撃を受ける。このため政府は今回、108兆円もの緊急経済対策(補正予算)を打ち出したのです。

ただしこの数字はこのブログでも以前述べたように、「事業規模」です。多くの経済学者が指摘しているように「真水」、つまりGDPを押し上げる効果がある政府の財政支出がいくらかが重要なのです。

実はこの108兆円には昨年12月に閣議決定された26兆円の経済対策の未執行分が入っています。よって、新規対策は82兆円。しかも中小企業向けに実施する納税や、社会保険料の支払い猶予のための26兆円は「財政支出」ではありません。

実際の「真水」に相当するのは「大変困難な状況に直面している家庭(一世帯30万円)、児童手当の上乗せ、中小・小規模事業者に対する現金給付と地方税減免」8兆円、「医療体制の整備と治療薬の開発」2.5兆円、「観光や農林水産業への補助金」8.5兆円などで、総計で20兆円に満たないと言われています。

現に、この補正予算に伴う新規国債発行額は16.8兆円です。量としては不十分です。この財政出動の出し渋りをした事務方のトップは、財務省の岡本薫明事務次官です。

財務省の岡本薫明事務次官

しかもこの財政出動の恩恵を直に受けることができるのは、一部の人に限られます。今回の2つの危機は、国民すべてに襲いかかってきています。よって、「給付金を一律10万円配布すべきだ」という案が与党や野党の一部からも出されていたのだが、これを否定したのが麻生太郎財務大臣でした。

公明党代表山口氏の要請もあり、政府・与党は4月16日、減収世帯限定の30万円給付を取り下げ、「国民1人あたり一律10万円給付」という異例の決定をしました。これは、当然といえば当然です。

緊急経済対策をめぐって、公明党は来週から審議予定の今年度の補正予算案を組み替えて現金10万円を一律に給付するよう求め、15日に自民党幹部と協議し、また山口代表が16日朝、安倍総理に電話で実現を改めて求めました。

これを受け安倍総理は、麻生副総理兼財務大臣と会談したほか、自民党の二階幹事長、岸田政調会長らを呼び、公明党との協議内容の報告を受けた上で、引き続き調整に努めるよう指示しました。山口氏としては、減額世帯限定の30万円給付だけでは、与党支持者の不興を買うのは必至であるとみたのでしょう。正しい判断でした。

一方、「日本の尊厳と国益を護る会」など自民党の若手議員約100人が消費税を一時的に減税すべきだと主張しましたが、これを却下したのが甘利明・自民党税制調査会会長でした。

甘利明・自民党税制調査会会長

ところが、今回の危機は簡単に収まりそうもないです。よって改めて真水の追加、つまり「一律給付」だけではなく、「消費減税」に踏み切ることで、国民一丸となって2つの危機に立ち向かう態勢を整えるべきではないでしょうか。自民党若手と野党の一部の奮闘を期待したいです。

一律給付が実現したのですが、消費税減税もしくは撤廃も実現すべきです。復興税もやめるべきです。コロナ禍は長期戦なので、給付金は必要とあれば何度でも実施すべきです。消費税減税も絶対必要です。一度の給付金では低所得層が持ち堪えられません。今後必要があれば、何度か実施すべきです。

財務省の緊縮に愛想よく付き合っていれば、日本経済は確実に破壊されることになります。

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