2016年3月22日火曜日

ネーミング効果でマクドナルドに負けた「民進党」―【私の論評】自民党の劣化コピーである民主党の本質はさらに劣化して民進党に引き継がれた(゚д゚)!

ネーミング効果でマクドナルドに負けた「民進党」

マクドナルドはいろいろ揶揄されながらも、ハンバーガーのネーミング募集を行ったことも効を奏し、全店売上が1月前年比30.9%増、2月24.5%増と結果を出しています。たとえ評価されなくとも、注目を集めることがマクドナルドには必要だったのでしょう。嫌われるよりも忘れてしまわれるほうが怖いということでしょうか。さて民主党と維新の合併による党名変更のプロモーション効果はどうだったのでしょうか。

マクドナルドのハンバーガーネーミング募集で決定された名前 写真はブログ管理人挿入
FNNの調査で、民進党に「期待しない」が68.6%と多数を占め、ネガティブな反応だったことは誰もが予測していたことだと思います。それはそうとして、実は民主党も維新も、また両党の合併もまったく注目されず、話題にならなかったはずが、新しい党名を求める維新のゴリ押しを民主党が飲んで、世論調査まで行って決めたことで、マスコミへの露出頻度があがったはずです。

さて、その効果がどうだったのでしょうか。それは、「期待するか」「期待しないか」ではなく、民主党から民進党に変わって支持率があがったかどうかで見たほうが適切だと思います。それで民主と維新の支持率の変化を見てみました。

FNNの直近3月の調査では支持率が12.8%といちおう合併、党名変更前よりもわずかですが支持率は上昇しており、いちおうの効果はあったように見えます。しかし、グラフに示したように維新分裂前の、民主と維新の支持率合計にはほど遠く、期待値の低さから見ると、瞬間風速で終わってしまいそうです。



【本社・FNN合同世論調査】内閣支持率、微減の46・3% 政党支持率は自民36・7%、「民進党」は12・8% 「民進党に期待しない」68・6%(1/2ページ) - 産経ニュース

この間の動きを見ると、戦術・交渉力としては民主党よりも維新が長けていて、民主党がいいように維新の生き残り策として利用された恰好になっています。いかにも民主党執行部の戦略不全、状況対応力の欠如を象徴しているようです。

いまは目先の議席数にこだわっても、小選挙区制の下では、一回の選挙で、風の吹きようで数は激変します。それよりは誰を支持層とし、それらの支持層にとって、どのようなビジョンと政策をだせるかどうかを固めるというのが競争戦略としては王道なはずです。

戦略もなく、戦術を駆使する能力もないとなると、政権交代の可能性による拮抗力どころか、野党として政権をチェックする力も期待できません。議員としてどう延命するのかで策を弄しているとしか見えない状態では、まもなく、民進党の存在意義はなにかが問われてくることは間違いないと思います。

【私の論評】自民党の劣化コピーである民主党の本質はさらに劣化して民進党に引き継がれた(゚д゚)!

マクドナルドは、ネーミング募集キャンペーンで成功し、業績が上向いています。このネーミングのハンバーガー私も、食べてみましたが、結構美味しかったです。食べ物ですから、最低限美味しくないと駄目ですね。

いろいろキャンペーンをやったにしても、ハンバーガー自体が美味しくなければ、実施しても売上は伸ばすことはできないと思います。これは、最低限必要なことで、その上で様々な販売促進策などがうまくいくのです。

マクドナルドのネーミングキャンペーンでは商品はすでに決まっていて、名前だけがきまっていな
かった。しかし民進党のネーミングキャンペーンでは商品が決まってないうちから名前を募集した?

それでは、ハンバーガーの世界では、商品そのものが美味しいということは、政治の世界では何に当てはまるのでしょうか。

それは、当然のことながら、政党の綱領であり、綱領に基づいて打ち出される政策や、その政策を実現するための法案であり、商品が美味しいということは、綱領や政策が、有権者にとって現実的でありかつ、望ましく希望を持たせるものであるということです。

では、民進党の綱領とはどのようなものなのでしょうか。さて、それでは民進党の綱領とはどのようなものなのでしょうか。これについては、まだはっきりとは決まってないようです。

綱領について、はっきりしているのは以下のことくらいです。
民主党と維新の党は、27日に結成する民進党の綱領について「立憲主義を守る」などと明記することを了承しました。 
綱領ではこのほか、原発に頼らない社会を目指すことなどを盛り込んでいます。原案での「2030年代原発稼働ゼロを目指す」は盛り込まれませんでした。また、規約では、初代代表の任期を「今年9月末日まで」とすることや、代表のリコール規定について、国会議員と地方議員らの半数が求めた場合、代表を解任できるとしています。
さらに、党の政策を決める「次の内閣」の閣僚に、国会議員だけでなく民間人を起用できる規定を盛り込みました。再び政権を担う時にスムーズに移行する狙いです。綱領や規約は27日の結党大会で正式決定します。 
また、民進党の英語名は「The Democratic Party」とし、直訳すると、これまでの民主党と同じ意味にすることを決めました。 
綱領、規約案は27日の結党大会で正式決定するそうです。
さて、このことからもわかるように、まだはっきりとは決まっていないということです。具体的には、「立憲主義を守ることと、原発に頼らない社会を目指す」ということです。

次に、目玉の政策はどのようになるかということも、未だはっきりとは決まっていませんが、どのようなものが出てくるのか、現時点でわかっていることのみ、以下に掲載します。

民主党と維新の党は選挙を戦うために合流したのでしょうが、果たして政策面で両党は合致しているのでしょうか。

民主党と維新の党は、安全保障に関してはそれほど大きな政策の違いはありません。

例えば、安保関連法について、両党は「後方支援はするが、周辺事態法の枠だ」と主張しています。周辺事態法とは、日本周辺の地域で、日本の平和や安全に大きな影響を与える事態が起こった場合、自衛隊が米軍に行える後方支援の内容を定めたものです。

安倍内閣は周辺事態法を改正しましたが、民主党、維新の党とも「周辺」を外して、安倍政権は地球の裏側まで行けるようにしたと主張しています。しかし、現状では、行けるという可能性は、否定できないだけであり、今の法体系では、それは現実には不可能です。しかし、民主党と維新の党は、どんな場合であっても「周辺」以外には行けないようにすべきであり、それが自民党との大きな違いであるかのように強弁しています。

さらに、集団的自衛権の行使についても、今のところ、民主・維新は「米艦防護」は認める方向で考えています。朝鮮半島で戦争が起こった場合、参加した米艦が北朝鮮や中国から攻撃されたときに、日本は防護するというものです。これも、法案審議のときとは矛盾しているようです。審議のときは、何が何でも反対としか聞こえませんでした。

そうして、これが唯一の「集団的自衛権の行使」だと言っています。つまり、ホルムズ海峡での機雷掃海などを含むその他の行使は一切認めないというものです。しかし、これでは、先日も述べたように、もしトランプが大統領になったとしても、あるいは別の候補がなったとしても、集団的自衛権の片務性として、今後アメリカから批判の対象になる可能性が大です。

昨年決定された安保関連法案

次に経済対策ですが、これは党内一致をみていないようです。特に民主党内での不一致があります。

民主党内部にはアベノミクスの失敗したとする一派がいます。そうして、これが貧富の格差を広げたいう意見があります。だから次の選挙では、政策に「経済の成長」ではなく、「格差是正」を入れ込むべきだというのです。

エコノミストの水野和夫氏は、「もはや日本に成長はない。資本主義は終わりだ」と述べていますが、こうした考えに賛同する勢力は民主党には少なからず存在しています。成長は厳しいのだから、格差是正や資源の分配を重点的に考えるべきだというわけです。

しかし、一方で同じ民主党内で、「経済の成長」を入れ込むべきだという意見もあります。経済は生き物だから、成長を考えなければ格差是正もできない。さらには、「格差是正」を強調し、「資本主義は終わり」という考え方は、あまりに左翼的過ぎるというものです。

しかし、現実には、金融緩和はかなり功を奏して、雇用状況は良くなっています。はっきりとそれが、統計数値上に現れています。唯一の失敗は、8%増税です。このことをはっきりと認識している議員は、金子洋一参議院議員などごく少数です。

安倍政権になってから、金融緩和で雇用状況が良くなっているのは一目瞭然

このように、民主党内部では「経済政策」という点で完全に二つに割れています。果たしてこの状態で、維新の党と合流した民進党として、まともな経済政策をまとめることができるのでしょうか。

特に、維新の党の江田憲司は、かつて『財務省のマインドコントロール』という著書を書いたこともある人です。彼は、増税には反対でしょう。増税するしないは、次の選挙で大きな争点になる可能性が大です。

その他は、目玉政策について、何も見えてきません。

現状は、このような状況です。

マクドナルドのハンバーガーとは随分違います。マクドナルドの場合は、すでに商品ができあがっていて、それに名前をつけるというキャンペーンを行いました。

民進党の名前のつけかたは、マクドナルドであれば、商品がまだほとんど決まっておらず、北の食材を用いる新商品というくらいのことしか決まっていない時期に、ネーミングキャンペーンを行っているようなものです。これでは、新党のキャンペーンもうまくいくはずがありません。

本来であれば、綱領も骨子は出来上がっていて、それに基づいた、有権者がを惹きつける目玉政策も概要はできあがっていて、それらを公表したその上で、ネーミングを募集すべきでした。

そうして、綱領や目玉政策も、当然のことながら、美味しいもの、有権者にとって希望が抱けるような内容にすべきでした。

しかし、これでは全く順番が違います。これでは、上記のようにネーミングの変更をしても、マクドナルドのように、業績を伸ばす、政治でいえば、支持率などが上がるということにつながらないのは当然のことです。

順番が違うということは、民主党では以前にもこのブログに掲載したことがあります。それは、民主党の公募のポスターです。以下に、その記事のリンクを掲載します。
<民主党>自民党政権と対決する覚悟ある人公募―【私の論評】キャッチをみれば、民主党の末路が見える(゚д゚)!
この記事に掲載した、民主党の公募のサイトのキャッチコピーは以下のようなものです。

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私は民主党のこのキャチコピーに関して掲載しましたが、結論は以下のようなものです。
結局自分たちは何をしたいのか、日本という国をどのようにしたいのか、全くそれがみえてきません。だから、先にあげた、人材募集においても、あのような到底理解しがたい、まるでブラック企業のようなキャッチ・コピーしか出来ないのだと思います。 
民主党政権の三年間も酷いものでした、結局何も決められず漂流していただけです。 
キャッチコピーをつくるのは、おそらく民主党でも、他の党でもその道のプロが作成するのだと思います。そうして、作成するときには、幹部などから民主党をどのようにしたいのかとか、日本をどうしたいのかということをインタビューし、その他要望も聴き出すでしょう。誰が作成するにしても、キャッチコピーをつくるには、この手続きは欠かせません。 
しかし、民主党には明確なそれがなかったので、キャッチコピーもあのようなものになってしまったのだと思います。 
もう民主党の行く先は、見えてきたようです。結局、安倍総理個人や、自公政権に対してネガティブ・キャンペーンばかり繰り返し、衰退して過去の社会党のようになるのが関の山です。
民主党は、今年に入ってから以下の様ポスターも作成しています。


 

公募のキャンペーンサイトと同じく、これも自虐的です。キャッチコピーでも、ポスターでも、結局自分たちは何をしたいのか、日本という国をどのようにしたいのか、全くそれがみえてきません。

そのような状態で、コピーやポスターなど作成しても、まともなものができるはずがありません。

それは、民進党にも引き継がれているようです。そもそも、党名を決めるのに、綱領も目玉政策もはっきり決まってない状態で作成するのですから、一体どうなっているのかと言いたいです。順番が狂っています。

結局、民進党も単なる選挙互助会に過ぎないのだと思います。そんなことをいうと、自民党もそうなのですが、民主党はもともと自民党のコピーのような政党であり、しかも、コピーした分だけ、劣化していました。この劣化コピーは、さらに劣化コピーされて民進党にも引き継がれたようです。

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2016年3月21日月曜日

中国不法漁船を爆破 インドネシアが拿捕して海上で 「弱腰」から「見せしめ」に対応―【私の論評】ルトワックが示す尖閣有事の迅速対応の重要性(゚д゚)!


インドネシア海軍によって爆破される不法操業の漁船
インドネシアは20日、領海内で不法操業をしていたとして拿捕(だほ)した中国漁船を海上で爆破した。地元メディアが21日、一斉に報じた。「海洋国家」を目指すジョコ政権はその一環として、不法操業船の取り締まりを強化、「見せしめ」として外国籍の違法漁船を爆破してきたが、中国漁船への対応には慎重だった。

インドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 スシ海洋・水産相は20日、植民地時代のインドネシアで最初の民族団体が結成された日にちなんだ「民族覚醒(かくせい)の日」の演説で、「大統領の命令で、法に基づく措置を執行する」と述べ、違反が確定した外国漁船41隻の爆破を発表した。

爆破は船から乗組員を下ろした後で海軍などが行った。報道によると、うち1隻は中国漁船(300トン)で、カリマンタン島西沖で少量の爆発物で沈めた。

スシ海洋・水産相
 インドネシア近海は豊富な漁業資源に恵まれ、外国漁船の違法操業が野放し状態になっていた。ジョコ大統領は取り締まりを指示、今年3月までに外国漁船計18隻を爆破した。だが、20隻以上摘発した中国籍の船は爆破せず、議会などから「弱腰」との批判が出ていた。中国漁船の爆破は今回が初めてとみられる。

今回、他に爆破した漁船は、ベトナム5隻、タイ2隻、フィリピン11隻など。

ジョコ氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が中国と領有権を争う南シナ海問題で「法に基づく解決」を主張。インドネシア自身は中国と領有権問題はないとしているが、中国が領海域と主張する「九段線」がナトゥナ諸島を含めている可能性が強く、警戒を強めている。

中国外務省の洪磊報道官は21日の定例記者会見で、中国漁船爆破について、「建設的に漁業協力を推進し、中国企業の合法で正当な権益を保証するよう望んできた」と不満を示し、インドネシア側に説明を求めたことを明かした。

【私の論評】ルトワックが示す尖閣有事の迅速対応の重要性(゚д゚)!

先日は、アルゼンチン海軍が、中国漁船を撃沈しました。それについては、このブログでも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【動画付き】アルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈 違法操業で「警告無視」―【私の論評】トランプ米大統領が誕生すれば、日本は安保でアルゼンチンなみの国になれる(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事ではアルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈したことを掲載しました。

そうして、この記事では日本がかつて、北朝鮮籍とおぼしき不審船を銃撃したことや、ロシアで中国籍の船をロシアの沿岸警備艇が撃沈、乗組員が死亡したことなども掲載しました。

このような措置をすることは、国際的には常識です。このようなことをしなければ、それこそ、中国や、北朝鮮などからも、「弱腰」とみられ、領海などなきがごときの行動をする漁船がでてくることになります。

そうして、最近の日本はそのような状況になっています。これは、どこかで変えなければならないでしょう。かつて、北朝鮮の不審船を追跡して、銃撃し、その不審船は、どうあがいても拿捕されることは免れないと断念し、自爆しました。その船は回収され、一般公開されていました。

にもかかわらず、民主党政権のときには、尖閣で海上保安庁の船が中国の船に体当たりされ、日本側の反応は腰砕けで本当にお粗末でした。

中国の海洋進出の暴走が明らかになった現在、このような対応では、ますます中国が増長するばかりです。

さて、日本においては、こうした中国漁船の行動だけではなく、中国公船が領海を侵犯したり、航空機が領空を侵犯するのは、日常茶飯事になっています。

このような状況にどのように対応したら良いのか、なかなか結論は出ません。しかし、軍事戦略の大家であるルトワック氏は、最近日本に対する提言も入った、新しい書籍を出しています。それが以下の書籍です。

中国4.0 暴発する中華帝国 (文春新書 1063)
新書版で、分量も少ないながら、かなり読み応えのある書籍です。私は、本日キンドル版を購入して、もう読了しました。

以下に簡単にこの書籍を紹介します。

2000年以降、「平和的台頭」(中国1.0)路線を採ってきた中国は、2009年頃、「対外強硬」(中国2.0)にシフトし、2014年秋以降、「選択的攻撃」(中国3.0)に転換した。来たる「中国4.0」は? 危険な隣国の未来を世界最強の戦略家が予言する!
戦略家ルトワックのセオリー
・大国は小国に勝てない
・中国は戦略が下手である
・中国は外国を理解できない
・「米中G2論」は中国の妄想
・習近平は正しい情報を手にしていない
・習近平暗殺の可能性
・日本は中国軍の尖閣占拠に備えるべし
以下に、この書籍にも取り上げられている、中国の主張する領海である九段線を図示します。


ルトワックは、そもそも、この九段線の元となった地図は、中国が実効的な支配力をほとんど持たなかった時期に国民党(現台湾)の軍の高官が酔っ払いながら描いたものであり、こんな馬鹿げたでっち上げの地図に拘る必要など初めから無いとしています。さらに、空母の建造も中国にとって、カネの無駄遣いでしかないとしています。

以下には、ルトワックのこの著書には出ていかなった九段線を前提とした、第一列島線、第二列島線を図示します。


九段線は、もとは破線で書かれていて、線の数が九つあるので九段線と称されていますが、牛の舌のような形をしている事から牛舌線とも呼ばれ、日本では赤い舌と表現されているものです。

この線は、上記でも掲載したように、もとは国民党の中華民国が1947年に設定したものです。国民党を追い出した中国共産党はこの境界線を踏襲して、1953年から国内の地図に九段線を明記するようになりました。

中国が九段線で南沙諸島の領有権を主張してから60年以上が経過しています。そして、その時間的な経過をもって、さらなる領有権の根拠としているのです。

上の図には中国が軍事上の制海権確保の目標とする第一列島線と第二列島線も示しています。これも今はまだ夢物語として放置していると、何十年か後には、中国側の主張が長く反論されなかった事を根拠に太平洋の島々の領有権を主張するようになるかもしれません。

しかし、九段線ですら、妄想にすぎないのですから、第一列島線や第二列島線は虚妄に過ぎません。しかし、中国はこれを虚妄とは思っていないのです。

中国の九段線内への進出

ルトワック氏は『中国4.0』で、中国の平和的台頭すなわち国際秩序を尊重しつつ発展する政策をChina1.0とするなら、2009年以降突如として攻撃的な態度に変貌した政策をChina2.0としています。

これは、中国の対外認識の誤り(周辺国は金で言う事を聞くだろう)と中国自身の経済成長がアメリカを追い抜くと言う誤った認識と、近代100年にわたる中国人民の国を侵略された恥の意識を拭いたいと言う感情的暴発が拍車をかけて実行されることになりました。

しかし、それは玉突きのように、フィリピン、ベトナム、日本の反発を招きアメリカとともに対中包囲網の形成を促してしまいました。そこで、選択的に攻撃を控えるところと引き続き強い態度をとる対象をわけると言うのがChina3.0です。

ここ最近の日本への融和的態度もその一環です。では、China4.0とは何か。それは、ルトワックが提唱する中国が今後とるべき戦略的態度の事ですが、現在の中国には採用することが無理な政策です。すなわち、南シナ海からの撤退、尖閣からの撤退です。しか、著者によれば、外交や外国を知らず、内向きの中国にはそれができずに、自滅的な方向へのめり込んでいくだろう予言しています。

このような中国の戦略的誤りは、過去のアメリカによるイラク侵攻、日本の真珠湾攻撃と対比されています。これらの誤りはみな、感情的暴発により誤った方向へ国を導いたのです。

また、著者は、習近平は、ソ連共産党と国そのものを崩壊させたゴルバチョフと同じ道を歩んでいるとみています。彼の進める反腐敗闘争は、金銭を代価に活発に活動した共産党員の活力を奪い、また彼への反発を強めていると判断しているのです。

ルトワック氏は、習近平の反腐敗運動は、ゴリバチョフ氏のペレストロイカと同じようなものであるとみなしているのでしょう。

ソ連共産党と国そのものを崩壊させたゴルバチョフ

この書籍の最後には、日本への尖閣防衛のための助言が掲載されています。どうなるか分からない不安定さを持つ中国に対応するために、無理に大局をみるより現実的な個々の事象に対応するべく準備せよというものです。

日本側が、独自かつ迅速な対応を予め用意しおくように進言しています。しかも、各機関相互間の調整を重視するよりも、各機関が独自のマニュアル通りに自律的に行えるようにしておくべきとしています。

たちば、海上保安庁は即座に中国側の上陸者を退去させ警戒活動にあたり、外務省は諸外国に働き掛けて、中国の原油タンカーやコンテナ船などの税関手続きを遅らせるという具合です。とにかく、「対応の迅速さを優先させる」ことを強調しています。

自衛隊による対馬での島嶼防衛対応訓練
各機関が、このようなマニュアルを用意しておき、即座に動くことが肝要であることをルトワックは主張しているのだと思います。各機関が綿密に共同して行動していては、迅速さに欠けて、あれよあれよという間に、南シナ海で中国が実施したように、いずれ軍事基地化され、既成事実をつくられてしまってからは、これを取り消すことは至難の業になるからでしょう。

各機関が独自に動けば、初期の対応はかなり迅速にできるはずです。無論、海上自衛隊も、マニュアルに従い、独自に動き、尖閣有事の際には、別行動をしている海上保安庁の巡視船の行動を見守り、それではとても歯がたたないまでに、事態が悪化した場合、迅速対応するという形になるでしょう。

そうして、中国側は、日本の迅速な対応に拒まれ、結局何もできないうちに、なし崩しになって終わってしまうということになると思います。

こうした、迅速な初期対応が終わった後に、その後の対応に関して、各機関が綿密に共同して行動すれば、良いということです。とにかく迅速さが一番ということだと思います。多少拙速であったにしても、中国側に既成事実を作られるよりは、遥かに良いということです。

ルトワック氏の提言があるなしにかかわらず、日本としては、尖閣有事の際のシナリオと、そのシナリオに対応したマニュアルは作成しておき、迅速に行動して、中国に全く付け入る隙を与えないという姿勢を貫くべきです。

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2016年3月20日日曜日

経歴詐称ショーンK氏 「役者的才覚の持ち主だった」との評―【私の論評】自らの言説に、まともな検証能力もなく言論活動をする輩の言説を信じるな(゚д゚)!

経歴詐称ショーンK氏 「役者的才覚の持ち主だった」との評

ショーン・マクアードル川上氏

視聴者の多くがあっけにとられた展開だった。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、ショーンK氏をめぐる騒動について分析した。

* * *

ショーン・マクアードル川上氏の経歴詐称が発覚し、メインキャスターをつとめるはずだった報道番組(フジ)の他、多数の番組を降板した。関係者はさぞ迷惑だったと思うが、世の中はこの騒動の話題でもちきり。「経歴詐称」という、これまでも度々あった珍しくもない詐欺的行為に、今回世間の視線が集中しているのはなぜなのか?

騒動を「劇場型ドラマ的出来事」としてとらえてみると、騒ぎの理由や背景が少し見えてくるのかもしれない。ショーン氏の特徴を5つ挙げてみると--。

【1】ルックス

バタ臭いイケメン顔。今や整形疑惑まで囁かれているが、もしこの人が日本人離れした彫りの深い顔立ち「でなかった」としたらどうだろう? こんなにあちこちの番組や広告等に抜擢されただろうか。こんな騒動になっただろうか。

【2】よそおい

スーツ姿がいかにもデキるビジネスパーソンを体現。イタリアン・コンチネンタル風の、適度にシェイプしたボディライン。さっそうと着こなすオシャレ度の高さ。日本のビジネスマンにはなかなかマネができないスマートさがあった。

3】身のこなし

ふとした手の動かし方、置き方。指先や手の表情、目線の置き所が人柄を物語ることをよく知っていた。プロフィール写真の視線や顔の向き、表情の作り方の巧さもプロの役者並み。

【4】声の質
深く響く低音、まったりとした美声。声も才能の一つ。その声を、しぐさや表情とからませる術も見事だった。

【5】話し方

速度、間合いの取り方には工夫の痕跡が。ゆったりと話すためには、敢えてそうしようという意図や自覚が必要だ。余裕と落ち着きが身に付いているかのような、いわば自己演出力を感じさせた。

--つまり、ニュースやワイドショーという「枠組」の中で、ふられた「役割」を上手に演じていた。その意味においては役者・ドラマ的才覚の持ち主だったと言えるだろう。

事務所社長も、彼の本名は「川上伸一郎」であり、テレビやラジオで名乗っていた「ショーンK」はビジネスネーム、いわば「芸名」だと認めている。そう、すべて「芸」なのだ。

ドラマには3つの構成要素がある。役者、演出、そして脚本。ショーン氏の場合は役者として、また自己演出家としてある種の才覚があった。しかし、脚本についてはどうだろうか。ちょっとお粗末だったと言わざるをえないのでは。

コメンテーターとしての解説を何度聞いても、どこかの新聞に書いてあるようなことが多く、ハッとさせられるような独自性や鋭い批評性は感じとれなかった。この人にしかない視点とか自身の哲学による切り口といったものは、残念ながら少なかったのではないか。

脚本・セリフは凡庸。それでも人気者になったのはなぜか?

人が情報を受け取る時、何を感じ取っているだろうか。言葉の「意味」はさして比重が大きくない、という指摘をしたのは心理学者アルバート・メラビアンだ。相手に与える影響のうち言葉の内容は7%、声や表情などによる印象の方が格段に大きいという。もちろん全てのケースにあてはまる法則ではないとしても、私たちの想像以上に声や表情が威力を発揮している、ということだろう。

つまり、「この人の話をちょっと聞いてみよう」と視聴者の関心をかきたてたこと自体が、ショーン氏の芸人としてのウリであり演技の力だったのだ。

そもそも新聞も、当初は文字を「読む」のではなく「耳から伝える」スタイルから始まっている。人々は耳から出来事を知り、事件を生々しく想像したり感じとったりしてきたのだ。新聞売りは鈴を鳴らして人々を集めて記事の要所を読み上げて売ったし、家庭内では字を読める者が家族に読んできかせていた(『明治メディア考』)。

活字を読むスタイルが一般化し新聞が浸透しても、テレビのワイドショーや報道番組は無くならなかった。なぜだろうか?

情報とは、「情」を「報」じるものだから。活字を一人で黙読するだけではなく他人の口からもう一度、出来事について聞いてみたい、耳から情報を吟味したい。そんな「情」への欲求も、私たちは密かに持っているのでは。

ショーン氏の経歴詐称は許されることではないけれど、彼のコメント内容がどこかの新聞記事の焼き直しだったとしても、「耳から情報を伝える」という新聞当初の役割だけは演じ切れたのかもしれない。そう思わないと、やりきれない。

【私の論評】自らの言説に、まともな検証能力もなく言論活動をする輩の言説を信じるな(゚д゚)!

ショーンKについては、世の中で大騒ぎになっているようなので、私自身は、彼についてほとんど何も知らないといって良い程知らなですが、いろいろ思うところがあり、掲載することにしました。

時間を我がものにするライフスタイル | 東洋経済オンライン 現在は削除されています。以下同じ。
それと、上の記事では、ショーンKが役者などとして優れていることをあげていますが、私自身は、感性が全く違うのか、ショーンKが格好が良いなどと思ったことは一度もありません。むしろ、どことなく胡散臭く、蔭があり、最初からあまり良い印象を持つことはできませんでした。イケメンなどという人もいますが、私の印象ではどことなく、バランスが崩れていて、とてもイケメンとは見えませんでした。

それと、私はショーンKの詐称した学歴に近い人も知っていますが、中には学歴が高いだけで、相当胡散臭い人もいましたし、そのすべての人が高学歴だからといって、大成功しているとは限りません。やはり、学歴だけではなんとも言えない部分があります。だから、私自身は、ショーンKはそういう高学歴の胡散臭い系の人間なのかとも思っていました。

様々な人が、ショーンKについて、分析していましたが、上の記事が結構後に出されたものであるせいか、まとまっているので、掲載することにしました。

ショーン・マクアードル川上氏に関しては、私自身は、この人が出演している番組をまともに見たことは一度もないですし、テレビをつけてみると、たまたま彼が発言しているのを何度か見かけたことがあるだけです。しかし、その発言をしっかり聴いたことはありません。

番組で話をしていても、聞き流すことがほとんどでした。やはり、上の記事でもあるように"コメンテーターとしての解説を何度聞いても、どこかの新聞に書いてあるようなことが多く、ハッとさせられるような独自性や鋭い批評性は感じとれなかった。この人にしかない視点とか自身の哲学による切り口といったものは、残念ながら少なかったのではないか"ということだと思います。

このような感覚は、実は池上彰氏に関してもそのように感じます。無論池上彰氏は、経歴詐称などの事実はありませんが、どうもまともに聴くきがせず、この方の番組を最初から最後まできちんと聴いたということは一度もありません。いつも、聞き流しているか、テレビのチャンネルを変えてしまいます。

このようなこともあったせいでしょうか、ショーンKに関しては、このブログでは一度も掲載したことがありません。池上氏に関しては、二度ほど掲載したことがあります。

一つは、池上氏の見解について、反論するものです。その記事のリンクを以下に掲載します。
浜田宏一内閣官房参与 4月の消費税率引き上げ判断「極めて慎重に―【私の論評】当たり前のど真ん中が通じない、池上彰のような愚かな人がまだ存在する、金融緩和の効果は十分でている、やめたり増税すればまた元に戻るだけ、元に戻したい人は日本の敵!!
池上彰氏

この記事は、2013年7月19日金曜日のもので、未だ8%増税が決まっておらず、それに関する議論が行われていた時期のものです。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、池上彰氏がアベノミクスに関して、全く見当違いの批判をしていることを批判しました。以下に、池上氏の検討違いのアベノミクス批判の部分のみコピペします。
 アベノミクスというのは、安倍政権が打ち出した景気回復のための経済政策です。この政策には、3本の矢と呼ばれる3つの分野があります。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」そして「民間の投資を引き出す成長戦略」です。前の2つは要するに「ミニバブルを起こす」「バラマキ」といったショック療法で、最後の1つは「日本経済の体質改善」といえるでしょう。
そもそも、こんな見当違いを語るのですから、私自身池上氏には、この時点でうんざりして、彼の他のコメントも聴きたくなくなりました。

デフレの時期に、政府が金融緩和策と積極財政を行うというのは、あまりにまともな政策であり、政府が実行する政策としては、はっきりいってこれが王道であって、古今東西で当たり前のど真ん中の政策です。私は、当面日本は、成長戦略などという得体の知れないものよりも、金融緩和、積極財政を強力に推し進めるのが筋というのは、当たり前のど真ん中過ぎて、本来ならばこのようなことは議論の余地がないと思います。

本来、この日本でしなければならな議論は、金融緩和、積極財政を実行するというのは、当たり前のど真ん中で、誰も否定しようもなく、議論するとすれば、金融緩和策や、積極財政とはいっても、様々なやり方があることと、タイミングの問題もありますから、それらを議論すべきであって、金融緩和や積極財政がどうのこうのというの、愚の骨頂だと主もいます。

しかし、池上氏は、それを真っ向から否定するというのですから、話にも何にもなりません。ただし、池上氏のこの論評は、自身の判断によるものではなく、他の識者や、新聞、テレビなどの請売りにの過ぎないようです。請売りであっても、請け売るべき人の選択を完璧に間違えています。だから、自分では、あまり意識していないのでしょうが、非常に害があります。

その他、池上氏について掲載したのは以下の記事です。
池上彰氏コラム掲載拒否 30人超の朝日記者がツイッターで異議-【私の論評】人は自分のために生きていけるほど強くはない。大義を知らない朝日新聞の記者のように、多くの国民が国家に対する大義を忘れてしまえば、日本国家はいずれ崩壊することになる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、この記事では、池上氏のコラムを朝日新聞が掲載拒否したということで、その事実関係をこの記事には、掲載しましたが、池上氏論評などはほとんど掲載していません。この記事の主題は、朝日新聞の批判することでした。

以上のように、池上氏に関しては、このブログでは、まともに彼の論評を掲載したことはありません。私は、池上氏の話は、なせがどうしてもまともに聴けないので、以前からどうしてかとと思っていたのですが、その謎が解けたFBでのコメントがありました。

それは、イスラム問題の日本での第一人者ともいえる、池内 恵氏のFBでのコメントでした。そのコメントを池内氏のFBからコピペさせていただきます。

池内恵(さとし)氏
ある程度の年代の人にしかわからない話です。
‪#‎父が食卓で語ってくれた深イイ話‬ 
「世間の人は、鈴木健二ってすごい物知りですねー何でも知っててすごいですね、なんて言うんだ。そんなわけないだろう。全部他人が研究したものを誰かが下調べして、それをさも自分が知っているかのように暗記して喋っているだけだ。」
こんなことは別に私の父だけでなく学者なら誰でも言っていたことだろうが、「池上彰」について、絶対に思い出さないといけないはずの「鈴木健二」にほとんど誰も言及しないことに気づくと、父の慨嘆を思い起こす。
鈴木健二は『気くばりのすすめ』が大ベストセラーになったが、その理由は彼が「クイズ面白ゼミナール」の司会者だったからだ。いつの時代にも「クイズ面白ゼミナール」は求められていて、あの時代は鈴木健二が、今は池上彰が担っている。NHKの誰かからそれを求めるというのが、日本人の国民性と言うことなのか。
しかしこういう流用に流用を重ねる番組に自説が断片的に取り上げられると、こちらが書いた本の方があたかも「鈴木健二=池上彰」から取ってきたかのように言い出す人が世間には出てくる。
まあ、世間の賞賛とは「あんなに暗記できるなんてすごい」とかいう程度だったりするのだろう。相手にはしていられないが、池上彰=鈴木健二だ、ということぐらいは年配の方は認識して欲しい。池上彰=鈴木健二個人には対象とするテーマに関するいかなる検証能力もないことを理解した上で、その上で消費するなら一向に構わない。 
クイズ面白ゼミナール - Wikipedia『クイズ面白ゼミナール』(クイズおもしろゼミナール)は、1981年4月9日から1988年4月3日までNHK総合テレビで放送されていた教養クイズ番組である。
JA.WIKIPEDIA.ORG
https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi/posts/10202699819735677

鈴木健二氏
クイズ面白ゼミナールは昔、見た覚えがありますが、さりとて彼がどのようなことを言っていたのか、忘却の彼方です。その当時、テレビにでて語ったいた他の人や、無論、他の人で、書籍などを読んでその人の言っていることを覚えている人は大勢いるのですが、鈴木健二氏というと、本当に何も覚えていません。きれいさっぱり頭のなかから消えました。

そういわれてみれば、私は鈴木健二氏が全盛の頃、丁度ドラッカーの書籍を読み始めたのですが、ドラッカーの書籍に書いている事柄は今でも、鮮明に覚えていることが多数あります。

やはり、請売りばかりして対象とするテーマに関するいかなる検証能力もない人の話は時が経つとともに忘れてしまうのだと思います。

池上彰氏や、鈴木健二氏に対する私の評価はこのようなものですが、ショーンKとなると、さらに、新聞や、テレビの請売りをうまく話しているだけという印象です。

このショーンKに対する擁護論などもありますが、私自身は、この擁護論には絶対に与しません。



ショーンKに幻惑された人は、自分の考え方などに偏りがないかもう一度ご自分を再点検されたほうが良いと思います。

ただし、私自身は、ショーンKに対して、いわわる言論人としてのあり方について批判していますし、擁護論には全く与することはできませんが、ショーンKの役者としての能力や、芸人としての能力に対しては、そうは思いません。あれだけ、多くの人を幻惑できたのですから、その能力を活かす場所は他にあったと思います。

それに、学歴だけがすべてではないと思います。学歴がなくても、言論活動をしている人もいます。たとえば、YouTuberとして活躍しているKazuya氏などその典型です。

彼は、学歴を詐称することもなく、自分は高卒であることをはっきり自身の動画で述べています。その上で、言論活動をしており、著書なども出しています。

そのKazuya氏が、ショーンKについて解説している動画を以下に掲載します。


Kazuya氏も言論人として活躍しているのですから、ショーンKもそのような道はあったのだと思います。

一方Kazuya氏は、日々動画作成などで、研鑽を積んでいます。今のところ、言論活動は、YouTubeやニコ動、書籍などに限られていますが、最近では新聞にも寄稿しています。いずれ、テレビでの言論活動もできるようになるかもしれません。

しかし、ショーンKも、池上彰氏なども言論人としての資格はないと思います。少なくとも、言論人としては、自分が言論する内容に関する、検証能力が求められるはずです。自分の行う言論に関して、それが正しいと信じる理由を自分なりに調べたり、思考した結果を人々にわかりやすく語ることができない人間など、そもそも最初から言論人面をすべきではありません。

池上彰氏や、鈴木健二のような人も、言論人のような行動をするから批判するのであって、アナウンサーとか、芸人や役者としてテレビのバラエティー番組で司会をするというのなら、別に何の問題もないと思います。

また、言論人でなくても、言論をする事自体は、自由であるべきです。しかし、公の電波を使った、公共放送などでは、すべきではありません。

しかし、今回の事件は、様々な社会の歪みを私達の前に白日の元に晒したと思います。

そもそも、政治家や、マスコミや、官僚、大学教授などでも、自分の語っている対象に関して、まともな検証能力もなく言論活動をする人は多いです。

このブログにもよく掲載する8%増税などに対して積極的に後押ししたり、賛同したりした人達などその典型です。これは、具体的な氏名もこのブログに掲載したことが何度かあります。

この中で、言論活動を活発にしない人はまだ良いのですが、テレビなどで積極的に言論活動をしている人たちは、ショーンkのように学歴詐称はしていないものの、ショーンKなどと同じく言論人面などすべきではありません。

害悪を撒き散らすだけです。それに、何年かすれば、鈴木健二のように忘れ去られてしまう存在に過ぎないです。全く時間と、エネルギーの浪費です。

今後私たちは、テレビ、新聞、雑誌、その他のメディアでも、言論活動をする人たちの言うことを鵜呑みにするのではなく、そもそも、こういう人たちが、言論人として自らの言論の正しさを検証できるうる人物なのが、品定めして話を聴くべきものと思います。

特に、メディアは、言論人の言論を掲載するというのなら、その言論人が言論人としてまともな人間なのかしっかりと検証してから用いるべきでしょう。

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2016年3月19日土曜日

英国高速鉄道に日立製作所の新型車両「あずま」 ロンドンで公開、2018年に運行―【私の論評】鉄道発祥のイギリスが日本の車両を導入する一方インドネシアは中国の新幹線劣化コピーで頓挫(゚д゚)!


18日、ロンドンで公開された日立製作所製の英鉄道車両「ヴァージン アズマ(あずま)」
英鉄道会社ヴァージン・トレインズは18日、日立製作所から納入された「都市間高速鉄道計画(IEP)」の「ヴァージン・あずま」を、ロンドン市内のキングス・クロス駅で公開した。日立製作所が笠戸事業所(山口県)で製造して英国内で試験走行してきた高速鉄道車両「クラス800」で、2018年からロンドンと英北部スコットランドのインバネス間で運行を開始する。

ヴァージン・トレインズによると、イースト・コースト本線を走行することから日本語で東を意味する「あずま」と名付けられた。日立製作所が開発した新型車両で、コンパクトなデザインで最新の省エネ技術を取り入れた駆動システムを採用、運転速度は最高で時速125マイル(201キロ)。設計上時速140マイル(225キロ)まで出せる。

電化区間は架線から電力供給し、非電化区間は床下のエンジンと発電機ユニットから電力供給できる「バイモード技術」を採用、電化・非電化両区間の直通運転ができる。日立製作所は「軽量化など日本で培ってきた技術が生かされている」とアピールした。

ヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、「『あずま』によってイースト・コースト本線は21世紀の英国で最も洗練された先進的な路線となる」と語った。

公開された車両は、昨年1月英国に搬送され、試験走行を実施。同社は、英運輸省からIEP向けに122編成(866両)を受注しており、このうち12編成分(76両)は笠戸事業所で製造、残る110編成分(790両)は英中部ダラム州ニュートン・エイクリフで今年初めから本格稼働を始めた車両製造工場で順次製造する。

その他同社では「クラス800」を2017年からグレート・ウエスタン本線で営業運転を開始する。

ヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、「『あずま』によってイースト・コースト本線は21世紀の英国で最も洗練された先進的な路線となる」と語った。

リチャード・ブランソン氏
 公開された車両は、昨年1月英国に搬送され、試験走行を実施。同社は、英運輸省からIEP向けに122編成(866両)を受注しており、このうち12編成分(76両)は笠戸事業所で製造、残る110編成分(790両)は英中部ダラム州ニュートン・エイクリフで今年初めから本格稼働を始めた車両製造工場で順次製造する。

その他同社では「クラス800」を2017年からグレート・ウエスタン本線で営業運転を開始する。

【私の論評】鉄道発祥のイギリスが日本の車両を導入する一方インドネシアは中国の新幹線劣化コピーで頓挫(゚д゚)!

上の記事だけを読んでいると、イギリスの鉄道事情に詳しくない方だと、よくわからないと思いますので、以下にその概要を解説します。

イギリスは、国鉄が1社あるわけではなく、20社以上の会社がそれぞれ独立運営しています。

イギリスの国内線はすべて全席自由席です。本来、乗車券のみ(指定券不要)で乗車可能。たとえ満席でも立って乗車可能です。

必ず座りたい方は駅窓口で座席を予約して無料の指定券をもらうことも可能です。ただ、イギリスの鉄道は座席指定が最初からできない鉄道会社(8社(下記参照))も存在します。

以下に、イギリスの主な鉄道路線図を掲載しておきます。

London発着の主な路線図


ChilternRailwaysAbellioGreterAnglia
VirginTrainsSouthWestTrains
LondonMidlandsTrainsFirstGreatWestern
VirginEastCoastSouthern
GrandCentralSouthEasternTrains
FirstHullTrainsThameslink
GreatNorthern/Thameslink
マーク:事前予約可能

ブログ冒頭の記事に出てくる、ヴァージン・トレインズによると、イースト・コースト本線は、上のチャートでは、黄緑色の線です。たしか、インバネスまでは行っていないはずで。この路線の終着駅は、エジンバラで、そこからはスコットレイルに乗り換えて、インバネスまでいくはずだと思います。

VirginEastCoastが延長して、インバネスまで行くようになったのでしょうか。しかし、それも変です。この路線図は最新のもののはずです。このあたり、ご存知の方がいらっしゃったら是非教えて下さい。

London発着以外の主な路線図


ScotrailLondonMidlandsTrains
CrossCountryEastMidlandsTrains
FirstTrainsPennineExpressFirstGreatWestern
ArrivaTrainWalesNorthernRail
VirginTrains
マーク:事前予約可能








それにしても、鉄道の先進国どころか、生みの親であるイギリスに鉄道後進国の日本の日立の車両が用いられるというのですから、これは素晴らしいことです。

確か、商用鉄道としては、 1825年イギリスのストックトン・ダーリントン間を結ぶ鉄道が世界初だったはずです。

このようなイギリスの鉄道会社で日立の車両が用いられるというのですから、本当に日本の技術水準は高いのだと思います。

日立といえば、日本の新幹線の車両も製造しています。やはり、イギリスのような島国の場合、日本の新幹線のような高速鉄道が適しているのだと思います。

フランスには最高時速500kmもだせる、TGVがあります。しかし、フランスなどヨーロツパ大陸は山岳地帯のスイスなどを除いては、平地が多く鉄道路線も直線部分が多いし、高低差もあまりありません。だからこそ、500kmも出せるのです。ただし、これは、後に述べるように試験車では、それだけ出そうと思えば出せるということです。

日本の新幹線は、TGVのように高速は出せませんが、それは日本の国土の特殊事情によるところが大きいです。日本は、狭い国土で、平地も少なく、線路もどうしても曲がりが多く、高低差が激しいです。このようなところでは、時速500Kmも出すのは非常に危険です。

だからこそ、現状の最高速度は320Kmに制限してあるのです。そうして、実際の営業時の最高速度は、時速300kmです。そもそも、駅間が相当広くないとメリットがあまりないので、この位の速度にとどめてあるのです。

なお、試験車では、700系の先行試験車である300Xが営業線での高速走行試験で443.0Km/h、フランスのTGV-Atrantiqueが、やはり試験車両で建設中に515.3km/hを達成しており、これが国内外の最高速度記録です。フランスの記録はき電電圧のアップ、下り勾配の利用等特別な条件での結果であり、営業運転で採用できる方法ではありません。

営業運転で一番最高速度が高いのは、300km/h運転の500系新幹線電車です、営業運転ではTGVも同じく300km/hです。これ以上速度を増すとすれば、やはりもう、現状の方式で無理で、リニアモーターカーということになるでしょう。

細かい説明は、しませんが、輸送効率ということになると、やはり日本の新幹線が世界でトップということになります。

それに、安全性も実証済みです。日本の新幹線は、阪神淡路大震災でも、東日本大震災においても、大事故になるということはありませんでした。さらに、事故率は世界で一番少ないです。

新幹線の人身事故といえば、三島駅乗客転落事故と、これは記憶に新しい、昨年6月東海道新幹線の車内で焼身自殺を図った男のせいで、女性の乗客が1名亡くなられた他、十数名の重軽傷者が出るなどしたとても痛ましい事件くらいなものです。

この事件があったときの、ツイートを以下に掲載します。
しかし、これは新幹線の安全性の問題ではなく、あくまで人為的なものです。新幹線の安全性や、信頼性は、これらの事件で揺らぐことはありませんでした。

だからこそ、イギリスのヴァージン・トレインズも日本の日立の車両に決めたのは、もっともなことだと納得できます。

鉄道発祥のイギリスの鉄道会社が新幹線の技術を持つ日本から車両を導入するというのに、あのインドネシアはどうしてしまったのでしょう。

今日もインドネシアの高速鉄道に関して以下のようなニュースが入ってきました。
中国ようやく5キロ区間だけ建設許可 受注のインドネシア高速鉄道 残る区間なお買収めど立たず 
 インドネシア運輸省は19日までに、ジャワ島の高速鉄道計画(全長142キロ)を担う合弁会社「インドネシア中国高速鉄道」に対し、設計図が提出された5キロの区間の建設認可を出した。残る137キロの区間については必要資料が提出され次第、順次審査するという。 
 同社は認可を得た区間の工事を近く始める予定で、2019年初旬に完工、同年5月に開業するとしている。だが、残る区間の認可がいつ出るのかがはっきりしない上、用地買収のめども立っておらず、計画の先行きにはなお不透明感が漂う。 
 同計画では今年1月に着工式典が行われたが、運輸省の許可が下りず、工事は始まっていなかった。
なんと、たった5キロ区間ですよ、50キロでなくて、5キロです。これって、高速鉄道で走ったら、どのくらいで走り抜けてしまうのでしょうか。ほんの一瞬ですね。

なんということでしょう。 今からこの有様では、これから一体どのくらいかかるのか、想像もつきません。

やはり、中国は海外で事業を展開するのは、無理なのだと思います。中国のアフリカ投資は、のきなみ失敗しています。それは、おそらく、海外での事業の展開も、国内でやるように、地元民のことなど何も考えず、自分たちの都合で、ただ箱物を作るという具合にすすめるからです。

しかも官僚の鶴の一声でやってきたので、何でも自分勝手にすすめることができのですが、他国ではそうはいかないということだと思います。本来まともな国なら、地元の人々の意見も聴きながら、地元に役立つようにしようとするのですが、中国の場合はそんなことは一切考慮せず、自分たちの都合だけで、実施したきたので、相手のニーズを汲み取るなどということが一切できないし、相手と一緒に作りあげるという観念がないのだと思います。

それに、イギリスのヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、中国の高速鉄道など、日本の新幹線の劣化コピーに過ぎないことを当然知っているのだと思います。

そんなところから、導入すれば、安全性は極度に低いですし、たとえ安く導入できたとしても、安全性の面からいえば、やはり安物買いの銭失いということになりかねません。

インドネシアのジョコ大統領は、まさに安物買いの銭失いをしたと思います。


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