2024年11月6日水曜日

「斎藤元知事のまさかの当選は」兵庫県知事選の現状と見通しについて―【私の論評】斎藤元彦氏の失職の背景と日本の伝統的コミュニケーションの重要性

「斎藤元知事のまさかの当選は」兵庫県知事選の現状と見通しについて

まとめ
  • 兵庫県知事選には過去最多の7人が立候補し、斎藤元彦氏の失職が背景にある。
  • 県議会の不信任決議を受け、斎藤氏は失職し、再選を目指して選挙に臨む。
  • 現在の情勢調査では、前尼崎市長の稲村和美氏がトップ、斎藤氏が2番手とされ、清水貴之氏は苦戦している。
  • 斎藤氏のパワハラやおねだりの噂が報じられ、県政の混乱を招いたが、彼の支持者も一定数存在する。
  • 投票態度を決めていない有権者が多く、情勢は流動的で、斎藤氏の巻き返しの可能性も残されている。



 兵庫県知事選挙が10月31日に告示され、11月17日に投開票される。この選挙には過去最多の7人が立候補し、注目されているのは失職した斎藤元彦氏の再選を目指す姿勢である。彼はパワハラや公金不正支出の疑惑を受け、県議会が全会一致で不信任決議を下した結果、知事の職を辞することとなった。

 立候補者には、前尼崎市長の稲村和美氏がトップ候補とされ、前参議院議員の清水貴之氏や、共産党推薦の医師、大澤芳清氏も名を連ねている。稲村氏は自民党や立憲民主党からの支援を受けており、これまでの政治対立を超えた異例の連携が見られる。斎藤氏は失職後も積極的に街頭活動を行い、支持回復に努めているが、彼に対する逆風は依然として強い。

 特に、斎藤氏の失職には「既得権益」をめぐる争いが影響していると言われている。彼は、県政に長年携わってきた元知事らが築いてきた既得権益に手を出した結果、政敵からの攻撃を受け、「虎の尾を踏んだ」との声も上がっている。この背景には、斎藤氏が実施した施策や行動が、既存の権益を損なう可能性があったことがある。

 また、斎藤氏に対する疑惑の発端となったのは、西播磨県民局長の告発であり、彼の告発文がメディアや県議に広まったことで騒動が拡大した。これにより、斎藤氏はメディアから厳しい scrutiny を受け、失職に追い込まれた。

 投票の態度を決めていない有権者が多く、情勢は不透明であるが、稲村氏が既得権益の代弁者と見なされるようになれば、斎藤氏にも再びチャンスが生まれるかもしれない。果たして、斎藤氏の「まさかの逆転」が実現するのか、投開票日が注目されている。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】斎藤元彦氏の失職の背景と日本の伝統的コミュニケーションの重要性

まとめ
  • 斎藤元彦氏にはパワハラの噂があるが、具体的な証拠はないため、信憑性に疑問が残る。
  • 2017年の豊田真由子氏問題のように明確な証拠がないにもかかわらず、斎藤氏への批判はメディアの報道に基づいて広がっている。
  • 斎藤氏の改革により、公共事業、土地利用、補助金配分で既得権益勢力から強い反発を受けた可能性がある。
  • 反対派には兵庫県を良くしたいという共通の思いはあるが、個人利益を優先する勢力もいる。
  • 日本の伝統的なコミュニケーションの価値が薄れつつあり、互いを理解し合う姿勢が薄れた日本に危機感を感じる。
兵庫県は百条委員会を開催したが・・・・・

斎藤元彦氏が失職に至った背景に、彼がパワハラや「おねだり」をしたとする噂がある。しかし、現時点で具体的な動画や録音といった証拠は一切存在しない。このブログでも、証拠がないためにこれらの噂を取り上げることは避けてきた。今の時代、誰もがスマホを持ち歩き、何かあれば即SNSで広がる。斎藤氏が本当に頻繁にパワハラをしていたなら、動画が出回り、百条委員会でも取り上げられていたはずだが、そのような事実は見当たらない。

例えば、2017年の豊田真由子氏の例を振り返ってみよう。彼女は秘書に「このハゲー」と罵倒する録音が公開され、社会的批判を浴びた結果、議員辞職に追い込まれた。あの録音が示したのは、単なるパワハラではなく、明確で強烈な証拠であった。しかし、斎藤氏にはそのような具体的な証拠は存在せず、メディアの報道や告発文をもとに話が広まったに過ぎない。

それでも彼は知事職を辞し、再び選挙に挑むという決断を下した。この背景には、反対勢力が根強く絡む既得権益の存在が囁かれている。まず、公共事業の受注に関する権益が挙げられる。兵庫県内のインフラ整備で特定の建設会社が優先的に受注する構造があり、斎藤氏がそれを改めようとしたことが、既存の業者からの反発を招いたのだ。また、土地利用に関する権利も争点となった。斎藤氏が新たな開発を試みるたびに、既存の権利を守ろうとする団体が強く反発したのである。

さらに、補助金や助成金の配分においても、長年支援を受けてきた業界や団体が斎藤氏の改革姿勢に反発した。兵庫県内には強固な政治ネットワークが根を張り、その恩恵に預かる勢力が、斎藤氏の行動に猛反発したわけである。この複雑に絡み合う既得権益が、彼の失職へとつながっていった。

豊田真由子氏の件を思い出すと、当時このブログでも、彼女のパワハラをドラッカーのコミュニケーション論から分析した。ドラッカーは、コミュニケーションを単なる情報のやり取りではなく、互いが理解し合うプロセスとして捉えた。コミュニケーションとは、「私たち」の中の一人からもう一人に伝わるものとしている。


豊田氏の場合、秘書との間に「私たち」といえる関係が成り立っていなかった。単なる指示や罵声が響くだけで、真のコミュニケーションはなかったのだ。彼女は「このハゲー」というショックで自分の要求を通そうとしたが、結果は無残なもので、元秘書はそれを暴言と捉えたのだ。

斎藤元彦氏についてはどうか。彼と反対派が「私たち」として関係を築くことは難しいかもしれないが、彼らが兵庫県を良くしたいという思いを抱えている点は共通しているだろう。だが、反対派の中には既得権益に執着し、個人の利益を優先する者もいるかもしれない。結局、この戦いに結論を下すのは、兵庫県民でしかない。選挙を通じ、県民が誰を選ぶかで未来が決まるのだ。


それにしても、最近の日本は、コミュニケーションが疎かになってきたと感じる。現政権内ですら、そのような傾向が見られる。最近ではコミュ障なる得体の知れない言葉が独り歩きしている。わざわざドラッカーのコミュニケーションの原則を持ち出さなくても、一昔前の日本人なら、敵対していても言葉を通じて互いを理解し合えたものだ。

惻隠の情や和、気配り、信義仁礼知忠恕といった古き良き価値観を、今の日本は忘れつつあるのではないだろうか。日本に根ざした本来のコミュニケーションのあり方を振り返り、他人と誠実に向き合うことの重要性を再認識すべきだと、保守派として私は強く訴えたい。

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