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2016年7月14日木曜日

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか―【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか

政治的な信念は語るが、都政に関する公約は出てこなかった鳥越氏=12日午後
東京都知事選(31日投開票)が14日、告示される。政党の支援なしで出馬する小池百合子元防衛相(63)に対し、自民、公明与党は増田寛也元総務相(64)を推薦し、民進党と共産党など野党4党は「憲法改正反対」を掲げるジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)を支援する。後出しジャンケンで目立った鳥越氏だが、中国の軍事的脅威などがあらわになるなか、特異な発言を連発していた。

「参院選の結果を受けて、昨日(11日)夕方ごろに決めた。改憲の流れを変えたい」

鳥越氏は出馬の動機について、12日の記者会見でこう語った。都政がテーマになるべき都知事選だが、具体的な政策や公約は語られなかった。ただ、「国政の代理戦争」といえる動きを、メディアは大きく取り上げた。

ジャーナリストとして著名な鳥越氏だが、最近は、安倍晋三政権が進めた安全保障法制などを厳しく批判してきた。

2014年8月に放送されたNHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」では、日本を取り巻く東アジアの安全保障情勢について、次のように語った。

「(日本は)安全でなくなったとか、日本の国が攻められるような感じになってきたという声がある(中略)。みなさん、日本の平和が侵されるような状況になっているという大前提でお話になっているが、そんなことは虚構です。そんなの、ありませんよ。どこの国が攻めるんですか」

「確かに空気として、尖閣諸島(沖縄県)が何となく危ないなとか、中国が近くまで来ているとか、北朝鮮がミサイル打っているというのはあります。しかし、それはすぐ、日本がそれで攻められるのか。日本の国民の命が危ないのか。そんなことはないですよ」


動画はブログ管理人挿入

中国は南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地化し、周辺諸国と衝突している。東シナ海の日中中間線付近にも、軍事転用可能な海洋プラットホームを多数建設している。中国メディアは尖閣だけでなく、沖縄全体を「中国のもの」と公言している。中国漁船は、東京・小笠原諸島周辺でサンゴを強奪している。北朝鮮は弾道ミサイルの開発を続けている…。

テレビ発言は2年前だが、鳥越氏は今でも「中国や北朝鮮の脅威はない」と言い切るのか。

世界で評価されている自衛隊のPKO(国連平和維持活動)にも、特異な持論を持っている。

鳥越氏は同じ番組で、「カンボジアに自衛隊がPKOで行ったとき、道路をつくったが、1年後に取材に行ったら完全に道路は消えてしまっていた。雨が降って。(PKO活動は)無駄です」と言い放ったのだ。

昨年6月には、鳥越氏は安保法制の反対集会に駆け付け、「国民が反対をしていることを無視して進むのは独裁以外の何者でもない。あのアドルフ・ヒトラーがやろうとしていることと同じだ。安倍政権ではなく『アベドルフ政権』だ」などと、安倍首相を激しく罵っている。

なるほど、鳥越氏は「民共勢力」との強い親和性を持った候補といえそうだ。ただ、都知事には1300万都民の生命と財産を預かる責任がある。鳥越氏の現状認識で大丈夫なのか。

【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

上の記事には、"NHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」"の動画を掲載しました。しかし、この動画はいずれ削除されてしまう可能性も大きいので、以下にこの動画の一部、特に鳥越氏の発言の部分を切り取った動画を以下に掲載しておきます。



とにかく、上の記事でも指摘する通り、日本には攻め込む国などないの一点張りであり、攻めこむ国があるなどと思い込むのは妄想だといわんばかりです。これは、最近問題になっている、高所平気症と似たような症状です。

さらに、鳥越市氏は他の番組で、日本の都道府県数が55であると発言したことがあります。

これについて、ツイートをしたところ、都道府県に関しては興味深い反応がありました。

そのツイートの内容を以下に掲載しておきます。
もしかして鳥越さんは1都9道2府43県として、朝鮮八道を加えているのでは?だと55で合ってるwいつの時代の話だか。時を越える老人の発言だから気にしない方がいいと思います。
確かに、朝鮮八道を加えると、55にはなります。

ちなみに、朝鮮八道(ちょうせんはちどう)は、李氏朝鮮(朝鮮王朝)が朝鮮半島に置いた8つの道(行政区画)のことです。


400年以上にわたって同一の区分が用いられたため、「八道」は転じて「朝鮮全土」のことも指しました。鶏林八道(けいりんはちどう)と呼ぶ事もあります。8つに区分された道は、現在も地域的なまとまりとして捉えられています(朝鮮の地方)。また、現在の韓国と北朝鮮の行政区画の基礎にもなっています。

朝鮮八道とは、具体的には、以下の8つの道です。「首都近郊」を意味する京畿道を除く7つの道の名は、主要な2つの都市の名を並べたものです。
八道語源
京畿道(キョンギド)首都近郊を意味する
忠清道(チュンチョンド)忠州+清州
慶尚道(キョンサンド)慶州+尚州
全羅道(チョルラド)全州+羅州
江原道(カンウォンド)江陵+原州
平安道(ピョンアンド)平壌+安州
黄海道(ファンヘド)黄州+海州
咸鏡道(ハムギョンド)咸興+鏡城

少し話がずれてしまいました。さて、もう一度12日の出馬の記者会見に話を戻します。以下に、その動画を掲載します。



この動画をご覧いただければ、例えば先にも指摘したように、「私はみなさんご承知の通り、現在76歳です、昭和15年生まれです、終戦時(昭和20年)に二十歳でした」という発言は、2つの意味でジャーナリスト鳥越俊太郎を象徴していると思います。

まず第一点、この人は、昔から数字にはかなり弱いです。上での述べたように、昭和15年生まれなら終戦時昭和20年は五歳です。二十歳では、全く計算が合いません。

そして第二点、この人昔から物言いが不遜であり、思いあがっているか、言葉遣いを知らないということです。これは、多くの人が指摘しています。

自分の年齢76歳を表明するのに前置きして、「みなさんご承知の通り」などよく言えまるものだと思います。彼は、年齢も広く世間に知れ渡っているほどに有名なジャーナリストではありません。「みなさんご承知の通り」という言葉の使い方を、間違えています。

そうして、東京都の出生率を「他府県に比べて高いが」と言った後で、裏方からメモで「東京都の出生率は47都道府県で最低」と訂正を余儀なくされています。

ここでも、どのような文脈で東京都の出生率を用いたのか、具体的に発言を遡(さかのぼ)り、訂正しながらも、主張したいことの骨組みはぶれてはいないことを説明すればよいのに、メモを見て恥ずかしげもなく訂正するだけでした。

他にもご本人も「準備不足」を認めてはいるのですが、それにしても以下のような発言は気になります。

「都政の問題点は時間がなかったので良く分からない」

「政策はまだ考えてない、後で選挙公約にしてお渡しします」 

「五輪にどれくらいの金が掛かるか具体的な数字は今押さえていない」

「他の候補者の公約は関心がなかったから知らない、これから勉強する」

ほとんど、すべてがこれからなのです。準備不足もたいがいにしろと言いたくなります。自分で調べられなかったら、誰かに調べさせ、俄勉強するか、覚えられないならメモを持ってくるくらいのことはすべきでした。

準備不足を認めた上でも、記者会見をつぶさに拝聴して、私が感じた素直な感想は、準備不足で片づけられないであろう発言の不確かさです。この方は、知的に大丈夫なのかということです。

たしかに、普通に生活するならあれでも良いと思います。しかし、都知事になるには知的水準に問題があるのではないかと思います。

知事候補者としての主義主張以前に、公の場所である記者会見で話す内容としては、あまりに話がまとまりがないですし、あまりにも発言内容にミスが目立つ上、肝心なところはすべて堂々と「準備不足なのでこれから勉強します」です。

しかし、東京都の出生率が最低なのことも、オリンピックの概算予算も押さえていないというのはいかがなものかと思います。それくらい、俄勉強もしないで、東京都の知事に立候補して記者会見を開催しても良いものなのでしょうか。

民主党の岡田代表が、「大変な実績」があるジャーナリストと評する、鳥越氏がこのような初歩的なことを間違えたり、答えられないというのは、はたして「準備不足」の問題として片付けられるのでしょうか。

会見全体のまとまりのないダラダラ感ともあわせて、知的な意味で候補者としては、とても相応しいとは思えません。

しかし、このことについて、どのメディアも伝えていません。鳥越氏には、誰の目にも明々白々な重要なファクトとして、知事候補者としては知的に問題があるというこの事実について、どのメディアも報道していません。

以上は、主に、先日の記者会見を見た上で私が、抱いた感想です。

他にも最近は、鳥越氏の日々の発言にかなり問題があるようです。それに関しては、産経新聞で阿比留瑠比氏が指摘していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
阿比留瑠比の極言御免】都知事選、野党候補は大丈夫か?
野党4党幹部らと団結する鳥越俊太郎氏(中央)。左から社民党・又市征治幹事長、民進党・
枝野幸男幹事長、鳥越氏、共産党・小池晃書記局長、生活の党・川島智太郎事務総長=12日、
東京都千代田区・衆議院第二議員会館
この記事では、上で述べたきたことの他に、高市早苗総務相の米議会勤務歴、日本会議、安倍晋三政権はテレビ報道の監視チームなどについて、すべて憶測で間違って語っていたことが掲載されています。

上記のような、数々の言い間違い、準備不足、憶測でものを語る性癖など、これはジャーナリストの流儀にも背くものですし、無論とても東京都知事としても相応しいとは思えません。現状では、都知事候補者として、知的水準に問題があります。

私は、東京都民ではないので、知事選挙に投票することはありませんが、都民は最低限上のような事実を知った上で投票すべきです。

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2016年1月10日日曜日

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制



防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。

高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。

海上自衛隊のP3Cは、アフリカ・ソマリア沖での多国間の海賊対処活動に参加し、約3か月ごとに日本とアフリカを往復している。これまではシンガポールやタイなど南シナ海から比較的離れた基地を給油地に利用してきた。これを、往路は従来通りだが、復路についてベトナムやフィリピン、マレーシアなど南シナ海周辺の基地を優先的に利用するようにする。訪問先では防衛交流も進める予定だ。

【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

このニュースあまり大きく日本ではあまり大きく報道されませんが、これは、いずれ日本の海上自衛隊が、南シナ海の中国の動き、特に艦船や潜水艦の監視を定期的に行うための前触れではないかと思います。中国にとっては大きな脅威だと思います。

これを予感させる出来事として、昨年は、海自のP3Cは、南シナ海でフイリピンと共同訓練を行っています。それに関連する記事を以下に掲載します。
海自P3C機、南シナ海上空を飛行 フィリピン軍と共同訓練 連携の強さ誇示
流氷観測に向かう海上自衛隊第2航空群の哨戒機P3C=青森県八戸市
 フィリピン軍との共同訓練のため同国西部パラワン島入りしている海上自衛隊のP3C哨戒機が23日、南シナ海上空での飛行を開始した。中国が岩礁埋め立てを進めるスプラトリー(中国名・南沙)諸島にも近い同島で自衛隊部隊が活動するのは初めてで、南シナ海の実効支配を強める中国に対し、存在感とフィリピンとの連携の強さを誇示する機会となった。 
 海自隊員14人とフィリピン軍の3人が乗り込んだP3Cは23日午前6時(日本時間同7時)すぎ、パラワン島を離陸。同島西80~180キロの南シナ海で実施される本番の訓練は24日の予定で、この日は周辺をフィリピン空軍機と一緒に飛行した。 
 海自鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)の第1航空群所属のP3Cと隊員約20人は、21日に現地入り。27日に帰国の途に就く。
この記事は、昨年6月23日のものです。

この対潜哨戒機あまりここ北海道とは関係のないものと思っていましたが、そんなこともはありません。昨日は以下のような記事が掲載されていました。
海上自衛隊P3C哨戒機、今冬初の流氷観測 
オホーツク海の流氷を観測する海自のP3C
 海上自衛隊第2航空群(青森県八戸市)は警戒中のP3C哨戒機が9日、オホーツク海上で、この冬初めて流氷を観測したと発表した。 
 流氷は北海道網走市から北へ約280キロの海上をゆっくり南下。大きさは幅約5キロの帯状で、薄く南北方向に広がっているという。 
 昨冬の初観測は12月31日だったが例年、1月上旬に観測され、今年も平年並みという。 
 札幌気象台によると、オホーツク海沿岸から肉眼で見える「流氷初日」は平年並みの今月中旬になりそうだという。
このオホーツク海の海自PC3の流氷観測は、おそらく冷戦時代の旧ソ連に対する対潜哨戒活動の名残であると思われます。

もちろん、P3Cの役割は流氷観測や海賊の監視だけではない。「対潜哨戒」つまり、日本周辺海域を航行する潜水艦の警戒・監視が主要な任務です。

これに関しては、昨年5月8日に産経ニュースが以下のような記事を掲載しています。
【メガプレミアム】哨戒機P3C 職人芸で敵潜水艦を追い詰める「世界一いやらしい部隊」
海上自衛隊第2航空群所属の哨戒機P3Cの機窓
から見える別のP3C=3月4日、青森県八戸市
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、実際にP3Cがどのようなことをしているのか、海自の対潜哨戒活動の凄さを示す部分を以下に掲載します。

捜索用レーダー、熱源を探知する赤外線暗視装置、鉄の塊である潜水艦が航行することで生じる磁場の乱れをつかむ磁気探知機(MAD)、敵が発する電波を手がかりに位置を特定する電波探知装置(ESM)、そして海中に投下し潜水艦のスクリュー音をとらえる音響探知機(ソノブイ)。ハイテク機器を駆使して敵潜水艦を追い詰めるP3Cだが、海自関係者は「最後は人間の目がものを言う」と口をそろえる。
訓練では海自の潜水艦が“敵”としてP3C部隊と攻防戦を繰り広げる。ある海自の潜水艦乗組員は「日本のP3C部隊は世界一いやらしい部隊だ。米国の部隊と比べても、逃げるのが難しい」と明かす。P3Cパイロットは「一度発見した潜水艦を見失うなんてことがあれば、恥ずかしくて基地に帰れなくなる」と語り、こう続ける。 
「レーダーや音響のデータを分析して敵潜水艦を見分ける技術は職人芸のように徒弟制度で伝えられる。こういう分野は日本人が得意とするところだ」 
P3C部隊は2人のパイロットのほか、警戒・監視に必要な情報を集約して指示を出す戦術航空士(TACCO)、音響やレーダーなどを分析する対潜員ら11人で構成される。このチームワークで敵潜水艦を捜索し、追い詰め、有事となれば攻撃するのだ。 
流氷観測を行う第2航空群の担当地域は日本海北部や北海道周辺海域。冷戦時代は旧ソ連海軍の動向を探る最前線と位置付けられていた。近年になって再びロシア海軍の動きが活発になっているとはいえ、冷戦後の焦点は中国が海洋進出を進める南西方面に移っている。
東シナ海南部をカバーする第5航空群(那覇航空基地)には全国各地のP3C部隊がローテーションで応援に駆け付けている。第2航空群も例外ではない。ある隊員は「しょっちゅう沖縄に行っているので、沖縄土産を買って帰っても家族があまり喜ばなくなった」と苦笑する。 
“出張先”は沖縄だけではない。P3C部隊はアフリカ東部ソマリア沖・アデン湾で海賊対処活動も行っており、これも各航空群が順番で派遣される。北方海域の警戒・監視、流氷観測、沖縄派遣、海賊対処活動。これに遭難船舶の救助活動も加わる。 
海自はP3Cの後継機として最新鋭国産哨戒機P1の導入を進めているが、約70機の入れ替えが完了するまでは四方の海に目を光らせ、耳を澄まして敵の動向を探ることになる。
昨年の観艦式に初参加した最新鋭の国産哨戒機「P1」。
「IRフレア」と呼ばれる防御装置を発射。昨年10月18日
旧ソ連に対する対潜哨戒活動は、当時アメリカからの依頼で始められたものです。この哨戒活動に関しては、当時日本への依頼を担当した当事者の人が、数年前にテレビでこのときのことを振り返って「日本には憲法9条もあることだし、安全保障に関して他国と比較すれば、制限があることから、依頼はしてみたものの、まさか本当に実現するとは思っていなかった」と述懐していました。

アメリカ側も、日本がこの哨戒活動を本当に実行し、しかもかなり大規模に実行し、その活動も世界トップレベルにまで上達させるとは思っていなかったようです。

しかし、日本の対潜哨戒能力は冷戦の間にかなり上達し、事実上世界のトップレベルになりました。

ソ連の原潜等に対する日本の海自の長期にわたる対潜哨戒活動は、様々なノウハウを海自にもたらし、今日に至っています。このようなトップの世界一の能力を持つ日本の海自にとって、ソマリアの海賊の監視など本当に朝飯前というところでしょう。

確かに、数年前までは、ソマリア沖の海賊に関してはかなり危険であるとされていましたが、最近はほとんど耳にしなくなりました。実際、ほとんど海自に事前に察知されるので、海賊活動などなかなかできなくなっているのだと思います。

この海自が南シナ海の対潜哨戒活動に参加するということになれば、中国にとってはかなりの脅威です。南シナ海における、戦闘艦、輸送艦、潜水艦、航空機その他の動きが詳細まで丸裸にされ、海自によって把握され、米国や周辺国に逐一知らされることになります。

中国の原潜も、海自の対潜哨戒活動で丸裸にされる
特に中国の潜水艦は、工作技術がかなり劣っているので、その水中での推進は、まるでドラム缶を目一杯ハンマーか何かを叩きながら、すすむような音がするので、日本の海自の対潜哨戒能力からすれば、簡単に把握することができます。

中国が何か不穏な動きを見せれば、今度は間髪を入れずにすぐに妨害されることになります。日本としても、せっかく情報を提供しても、米国あたりが何も行動をしなければ、厳しく詰め寄るべきです。

そうして、このようなことは、冷戦時代の日本が過去旧ソ連に対して実行したように、確実に南シナ海や、東シナ海でも実行できることでしょう。

戦争や武装などにアレルギーの強い日本ですが、なぜか、このような監視活動に関しては、過去の冷戦においては日本でもあまり多くの国民違和感なく受け入れられました。南シナ海や東シナ海の監視活動もそうなることでしょう。

これによって、日本は日本のライフ・ラインを自らの手で守ることも可能です。私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月22日火曜日

【スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒―【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!

【スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒

激怒するオバマ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
オバマ大統領率いる米国が、中国への怒りを沸騰させている。米国が中東問題で忙殺されている間に、中国は南シナ海での覇権強化を進めているうえ、大威圧行動に出てきたというのだ。米軍のB52戦略爆撃機が先々週、中国の人工島上空を飛行したが、これは「誤り」ではなく「意図した軍事行動」との指摘が飛び込んできた。急浮上する「2016年、南シナ海開戦」情報とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「米国は、中国の暴挙を許さない。今回の一件で、中国は内心震えたはずだ。米国は軍事衝突も辞さない。本気だ」

旧知の米軍関係者は緊張した声で、こう語った。「今回の一件」とは、米国防総省が18日に明らかにした“軍事行動”のことだ。概略は以下の通りだ。

《米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島に接近した。中国が『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)以内どころではなく、2カイリ(約3・7キロ)内への侵入だった。ほぼ真上といえる。米国防総省は『意図的ではない。悪天候のため、誤って飛行した』と説明した》
米軍戦略爆撃機B52とその全武装 核兵器も搭載できる
 これに対し、中国国防省は翌19日、「米国側の挑発的行動に対し、あらゆる手段と措置を講じて国の主権と安全を守る」との声明を出した。

ただ、冒頭の米軍関係者の話でも分かるように、核兵器搭載可能なB52の飛行は「誤って」ではない。米国がそこまで激怒しているということだ。少し説明しておく。

中国は以前から国際法を無視して、世界のシーレーンである南シナ海のほぼ全域を囲む9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、「自国の領海だ」と強弁。複数の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化してきた。

こうした暴挙を阻止するため、米国は10月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を、中国の人工島12カイリ内で航行させる「フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦」を決行した。

ところが、この直後、ロシア旅客機墜落事件(10月31日)や、パリ同時多発テロ事件(11月13日)が続発し、米国は中東での過激派組織「イスラム国(IS)」殲滅作戦に集中せざるを得なくなった。トルコ軍機によるロシア機撃墜(11月24日)まで起きた。

中国はこれ幸いと、南シナ海の人工島の軍事基地化を急いだが、米国の同盟国であるオーストラリアと日本が毅然たる姿勢を見せた。

オーストラリア軍の哨戒機が11月25日、「飛行の自由の権利を実践する」として南シナ海上空を飛行した(英BBC、12月15日報道)。若宮健嗣防衛副大臣は翌26日、沖縄県石垣市役所で中山義隆市長と会談し、南西諸島の防衛力を強化するため、陸上自衛隊の部隊を石垣島に配備する計画を説明、受け入れを正式要請した。

米国と日本、オーストラリアによる「対中包囲網の構築」といえるが、これに中国が大威圧行為で対抗してきたのだ。

防衛省によると、11月27日、中国軍のH-6戦略爆撃機8機、Tu-154情報収集機1機、Y-8情報収集型1機、Y-8早期警戒型1機が、沖縄周辺を飛行し、その半数が東シナ海を周回、もう半数は沖縄本島と宮古島の間を通過して戻ったという。自衛隊は、戦闘機を緊急発進させて対応した。

中国軍のH-6戦略爆撃機
 以下、複数の米情報当局関係者から得た極秘情報だ。

「米国は激怒した。中国は『西太平洋への進出訓練と、東シナ海のパトロール飛行を行った』と説明したが、これは米国と日本、オーストラリアに対する威圧行為に間違いない。『いつでも、西太平洋に展開する米艦艇や自衛隊艦艇、沖縄やグアムの米軍基地、東京などの都市も攻撃できるぞ』という恫喝だ。米国は絶対に許さない」

そして、12月10日の戦略爆撃機B52による「2カイリ以内の飛行」につながるのだ。極秘情報はさらに続く。

「B52飛行直後の11日と14日、オバマ氏と、中国の習近平国家主席は立て続けに電話会談を行った。表向き、『パリ郊外での国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)について』と伝えられているが、当然、南シナ海や東シナ海についても話したはずだ。この時、オバマ氏が激高し、習氏はそれに反論できず、B52の件の公表を『中国側が嫌がった』という情報がある」

防衛省関係者がいう。

「米中電話会談後の16日、オバマ政権は、中国の懇願を無視して、台湾に対してミサイルフリゲート艦2隻など総額18億3000万ドル(約2228億円)相当の武器を売却する方針を決定し、議会に通告した。米国の対中政策は激変した。日米豪中心の対中包囲網が完成し、中国は孤立している。一方、習氏はB52侵入時に手も足も出せず、弱腰だとバレ、軍の信頼を失った。追い詰められる可能性がある」

こうしたなか、「2016年、南シナ海開戦」情報が浮上している。

外務省関係者は「ベトナムの国内が異常に熱くなっている。南シナ海で中国に奪われた権益を取り戻そうと、来年早々、衝突覚悟で動く臨戦態勢に入っているとの極秘情報がある」という。

その時、米国はどう対応するのか。南シナ海の情勢は緊迫している。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!

上の記事では、米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島の2カイリ(約3・7キロ)内への侵入をしたことが取り上げられ、しかもそれを意図して意識して行ったものであるとしています。

しかも、これが大きなスクープのような取り上げ方です。しかし、私としては、このようなことは、スクープでもなんでもなく、アメリカがこのような軍事行動をとるのは、遅きに失したと思います。

この程度の行動は、できれは3年くらい前、望ましくは5年ほど前に行っておくべきでした。そうすれば、現在のような南シナ海や、東シナ海の中国の海洋進出はなかったことでしょう。それにともない、無論のこと、日本の尖閣問題もあそこまで複雑化することもなかつたことでしょう。

今日のアジアの不安定は、その元凶は無論中国ですが、アメリカが中国に対して煮え切らない態度をとり続けたことにも大きな原因があります。

どうして、このようなことになってしまったのか、それは、1970年代のニクソン政権から現オバマ政権まで一貫して国防総省の中国軍事動向を調べる要職にあったピルズベリー氏は最新の自著「100年のマラソン=米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略」が、アメリカで衝撃的であると受け止められているようです。

しかし、私はその事自体が、中国の横暴を許してきた最大の原因ではないかと思います。中国の覇権主義は今に始まったことではありません。にもかかわらず、今頃こうして、『100年マラソン』の書籍にショックを受けること自体が非常に問題だと思います。

まずは、『100年のマラソン』について以下に掲載します。これについては古森義久氏の記事があり、よくまとまっているので、それを以下に一部引用します。
【あめりかノート】中国「100年のマラソン」戦略 古森義久
北京の人民大会堂で開かれた中国全人代
 この書の内容は衝撃的である。もう40年以上も中国の対外戦略を研究してきた同氏が中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの陰で、実は建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしている-と総括するのだ。 
 同書がいまワシントンの外交政策関係者たちの間で熱っぽい議論の輪を広げているのは、米国側のこれまでの対中観や対中政策が著者自身の認識も含めて根本から間違っていた、と断ずるからである。米国の官民は中国に対し「欧米や日本の犠牲になった貧しく弱い国」との認識から始まり、「建設的関与」により中国を最大限に支援してその根幹を強くし、豊かにすれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは巨大な幻想だった、と強調するのだ。 
 だから同書は米国側の年来の「対中関与は協力をもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は米国のようになりたいと願っている」という想定はみな錯誤だったとも断じる。そのうえで次のようにも指摘する。 
 「中国共産党の中核は米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、みてきた」 
 「しかし中国指導部は米国の主導と関与の誘いに従うふりをしながら、国力を強めて米国の覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を『100年のマラソン』として進めている」 
 ピルズベリー氏によると、中国はその世界覇権への野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作を実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は日本が米国の主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。冒頭の中国の日本糾弾もその路線に含まれるわけである。 
 この書は日本の対中政策形成のうえでも重視すべき新たな指針だろう。
『100年マラソン』などの書籍を読まずとも、中国が覇権主義であることは、前々から十分に世界中に知られていることでした。

このブログでも、ブログを解説してから1年後くらいには、中国の覇権主義について警鐘を鳴らす記事内容が多くなりました。それに、中国が日本人の想定するような国でもないし、世界の他の国とは著しく異なる、異形の国であることも掲載してきました。

このブログでは、すでに2010年には、中国の長期国家戦略に関する記事をとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本「衝突の真相を世界に説明」 中国、「対日重視」と「関係修復」に初言及―【私の論評】これから内部分裂でますます、精神病理疾患国家中国は不安定化する!!リスク管理の観点から、中国からは手をひくべき!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では上記に示すような、中国の長期国家戦略を示す地図を掲載しました。この地図は、元々は、櫻井よしこさんが、中国のある情報筋から入手されたものです。

この地図は、2050 年の極東マップですが、この頃には、朝鮮半島は、南北とも中国の一つの省になっており、日本の西半分は中国の東海省に、東半分は日本自治区になっています。

確かに、このような状況を築いてしまえば、建国から100周年の2049年あたりには、経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立できるようになります。

中国と日本の経済力が、衰えることなく、維持発展して、これが一つになれば、アメリカも凌ぐことになります。さらに、日本の高い技術力をや、インフラを手にしてしまえば、軍事的にも今のアメリカを凌ぐ力を得ることになります。

今でも、すでにヨーロッパは黄昏時であり、経済的にも軍事的にも従来の面影はなくなりました。かつての強国ロシアも、今ではGDPは日本の1/5程度しかありません。

本当にこれが、実現すれば、強力な軍事力と経済力を背景に、政治的にも米国を完全に追い抜き、世界一の超大国になり、中国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立できることでしょう。

以前天皇皇后両陛下が中国を訪問された直後に、中国の当時の総理李鵬がオーストラリアを訪問したときに、「日本という国はいずれなくなる」と発言していたという事実があります。これは、日本のテレビ番組の「TVタックル」でも、報道されていました。これを語った李鵬の頭の中には、中国の長期国家戦略戦略があったことは確かだと思います。


以上のようなことから、「100年のマラソン」の内容などは、このキーワード自体は別として、概念的には多くの人がすでに理解していることでした。このブログでも、これを前提に中国の問題をブログに掲載し続けてきました。

そうして、このブログでも、何度か掲載してきたように、現代の大陸中国は元々侵略国家です。それに関しても、このブログで何度か掲載したことがありますが、最も最近の記事のリンクを以下に掲載します。
【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から中国が侵略国家であることを示す部分を以下に引用します。
日本では、あまり知られていないことですが、新疆ウィグル自治区は現中華人民共和国が独立したときには存在せず、現中国が建国して以降に侵略によって無理やり中国の版図に収めたものです。それは、新疆ウィグル自治区だけではありません。それは、以下の地図をご覧いただければ、お分かりになると思います。 
上の地図にはでてはいませんが、朝鮮半島の上にあたる、中国の東北部も、大東亜戦争中に日本が建国させた満州国がありましたが、ここも厳密にいえば、もともとは大陸中国とは異なる満州族(ツングース系民族)が住む外国のようなものでした。
このように、現中国は独立後に膨張して現在の版図になったものです。それだけに飽きたらず、尖閣列島、南沙諸島にまで膨張しようとしてきたのが、つい最近までの中国の状況でした。
このように中国は建国当初から、侵略国家であり、中国建国当初は、経済的も軍事的にも遅れていたため、自分たちでも与することができる、周辺の弱小な国だけを侵略しました。

その後ベトナムを侵略しようとして、中越紛争を起こしましたが、米国を打ち負かしたベトナムは、当時の中国にはあまりに強すぎて、撤退を与儀なくされました。

また、中ソ国境紛争などであわよくば、ソ連領にも侵略しようとしましたが、その当時のソ連は、軍事的に数段上で、とても中国の手に終えるものではありませんでした。これに関しては、後にソ連が崩壊した後のロシアと講和をして、一方的にロシア側に譲歩して、現在に至っています。

現在のロシアは経済的には、中国のGDPの1/5程度のGDPしかない小国に成り果てましたが、軍事的には技術力などは圧倒的にロシアのほうが勝っており、未だとても中国など手に負える相手ではありません。

現モンゴルは、ロシアの緩衝地帯という意味もあり、中国が侵略しようとすれば、ロシア軍がでてくるか、ロシアがモンゴルに対して、積極的に軍事協力を行うことが予想され、苦戦が強いられることが予想されるので、中国も今のところ、侵略できない状況です。

しかし、近年中国は海軍力を増強したため、海軍力が弱小な国しかない、南シナ海に海洋進出を始めたわけです。さらに、日本は、経済的にも軍事的にも決して弱小ではない(海軍はアメリカに次いで世界第二位)のですが、平和憲法なる規制があって、与し易いので、東シナ海や尖閣に手を伸ばしたのです。

そうして、中国はこの方面でいろいろやってみて、米国の顔色を伺っていたてのですが、米国は抗議はするものの、直接的な軍事行動に出なかったので、中国が増長して、今日のような結果を招いてしまったのです。

以上のようなことから、「100年のマラソン」など最初からわかり切ったことであり、これに関して今更脅威を感じるなどとは、はっきり言わせてもらえれば、あまりにも感受性が鈍いとしか言いようがありません。

感受性が鈍った原因として、アメリカの世論は、90%がリベラルで、わずか10%が保守であり、かつ親中派、媚中派も多かったため、中国の成長幻想の集団催眠にかかり、中国はいずれ大国となり、米国と対等のビジネスパートナーになると思い込んだためです。

しかし、異質の中国は、とても米国の考えているようなビジネス・パートナーとはなりえません。まずは、経済は破綻しかけています、そのいきつく先は、中進国の罠にどっぷりとはまり抜け出せなくなることです。そうなれば、今後中国の経済が発展することもありません。

軍事的にも本格的にアメリカと南シナ海で対峙することになれば、数時間で負けます。そもそも、中国の「100年のマラソン」は、中国の中華思想からでてきたものであり、根拠も何もありません。

もともと、中国は第二次世界大戦後に独立した国であり、大東亜戦争時には日本と戦ったこともありません。直接先進国と本格的な戦争などしたことはありません。だから、戦争の悲惨さなど知りません。さらに、毛沢東施政下においては、大躍進や文革で数千万人にものぼる死者を出した国です。もともと、人命は尊重しない国です。

このような国が本格的に超大国妄想を抱いて、それに突き進めば、それが成就されることはないにしても、アジアに様々な災いをもたらすのは明らかです。

アメリカは、このような妄想を打ち砕き、中国に対して身の丈を知らしめるべきです。そうすることにより、アジアの平和と安定がより確かなものになります。

いずれ中国はいくつかの国々に分裂し、ほとんど国が特に珍しくもないありふれた、アジアの独裁国家の一つに成り果てます。ひょっとする、そのうち一国くらいが、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現して、中間層を増やしこれらに活発な経済・社会活動を行わせるようになり、驚異的に発展するかもしれません。

しかし、そのときは、今の中国のように身の丈知らずの妄想をいだくことなく、まともな国になるかもしれません。

今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の対応の遅れが、アジアの安定と平和を脅かしたと言えそうです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年6月30日火曜日

【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!

【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!


【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!

上の動画で佐藤優氏は、中国の海洋膨張は終わるとしています。なぜかといえば、それどころではない状況が、中国に起こっているからです。それは、東トルキスタンと言われる、現在は中国領である新疆ウィグル自治区、その他キルギスさらに、カザフスタンの東部を含む地域には、すでにイスラム国の影響が及んでいるからです。

佐藤氏にいわせると、中央アジアに第二イスラム国ができるあがるのは、時間の問題であるとしています。現状は、イスラム国から随分とテロリスト・グループが入っており、キルギスあたりでは統治不能の状態になっているそうです。そうして、新疆ウィグル地区にも相当過激派が入っている状態になっているそうです。

これに関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「イスラム国」“報復テロ”におびえる中国 弾圧で国外逃亡のウイグル族が合流―【私の論評】少数民族抑圧政策により、ここ数年毎年暴動が年平均10万件以上発生する中国で、イスラーム過激派のテロは苛烈さを極めることになる(゚д゚)!
新疆ウィグル自治区の暴動における犠牲者 写真はブログ管理人挿入以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部以下にコピペさせていただきます。
 「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、中国政府は国内にテロが“飛び火”することへの警戒を強めている。中国では、ウイグル族に対する弾圧政策の結果、イスラム教徒らの国外逃亡が相次いでおり、出国後に「イスラム国」に合流するケースも少なくないとされる。中東でテロのノウハウを学んだ者が帰国し、中国当局への「報復テロ」に打って出る可能性が現実味を帯びているのだ。 
 「習近平国家主席体制になって、ウイグル族への弾圧は激しさを増している。新疆ウイグル自治区にはイスラム教徒が多く、耐えかねて、逃げ出した人々の中には、『イスラム国』に加わる者もいるようだ。こうした人々が報復してくることは十分に予想される」 
 中国事情に詳しい評論家の石平氏はこう指摘する。 
 石平氏は「中国にとってイスラム国によるテロは人ごとではなく、当局も警戒し始めている」と語る。 
 当局が危ぶんでいるのは国内でのテロだけではない。中国はイラクなどに巨大な石油利権を持っており、中国が開発する油田などがテロの標的になる可能性も否定できないからだ。
日本では、あまり知られていないことですが、新疆ウィグル自治区は現中華人民共和国が独立したときには存在せず、現中国が建国して以降に侵略によって無理やり中国の版図に収めたものです。それは、新疆ウィグル自治区だけではありません。それは、以下の地図をご覧いただければ、お分かりになると思います。


上の地図にはでてはいませんが、朝鮮半島の上にあたる、中国の東北部も、大東亜戦争中に日本が建国させた満州国がありましたが、ここも厳密にいえば、もともとは大陸中国とは異なる満州族(ツングース系民族)が住む外国のようなものでした。

このように、現中国は独立後に膨張して現在の版図になったものです。それだけに飽きたらず、尖閣列島、南沙諸島にまで膨張しようとしてきたのが、つい最近までの中国の状況でした。

しかし、この膨張はいっときあるいは、永遠に止まるかもしれません。確かに中国の西端にある新疆ウィグル自治区を含む中央アジア一帯が、第二のイスラム国になってしまえば、大変なことです。海洋進出どころではありません。中国とししては、この方面の版図の確保と治安の維持を最優先に考えなければなりません。

テロリスト組織である、現状のいわゆるイスラム国のある地域は、イラクとシリアにまたがっており、直接的に支配しているのはこの地域ですが、その他間接的に影響力を与えることのできる地域はかなり広大な地域になっています。

これらの地域は、古くから独裁者の圧政に苦しんできた地域であり、昔から激しい民族対立のあった地域です。というより、そのこと自体が、ISISを生み出す土壌となっていました。まさに、現在の新疆ウィグル自治区は、同じような状況下にあります。

イラクとシリアにまたがるISISが支配する地域
ちなみに、ISISが自分たちの版図であると主張するのは以下です。ISISが掲げる理想の領土は過去のイスラム国家の最大版図(ウマイヤ朝など)を目指しているので、スペインや、中央アジアもしっかり奪還対象地域となっています。無論現在の中国領である新疆ウィグル自治地区も対象です。


新疆ウィグル地区では、今のところは中国が人民解放軍などを送り込み、暴動など鎮圧していますが、それでもとんでもない状況になっています。

それは、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国のチベット族やウイグル族 3人集まると即懲罰の対象に―【私の論評】中国領琉球島速報!!在琉球小日本人三人以上集合懲罰対象的行為厳禁!!小日本軍国主義打倒!!中華思想勝利!!敵的小市民日本人抹殺是正義!!てなことになったら手遅れですよ(゚д゚)!
支那人によるウイグル人虐殺
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は2013年のものですが、この当時から新疆ウィグル自治区ではとんでもないことになっていました。その部分を以下に引用します。
 ウイグルでは毎年、14歳から25歳前後のウイグル人女性数万人が、故郷から遠く離れた大都市に連れて行かれます。彼女たちは寮生活をしながら不当に安い賃金で働かされます。その上、ウイグル語を禁じられ、生活習慣も変えられて、挙げ句の果てに漢民族の男と無理やり結婚させられるのです。ウイグル人男性は結婚相手を奪われることになります。ウイグルの血を先細りさせ、やがて途絶えさせるのが共産党の狙いだと見ていいでしょう。 
 チベットやウイグルでは、3人を超える集まりは、それがどれほど他愛のない平和的な集まりであっても罰せられます。学校の教室にはカメラが設置され、教師が民族の言語や文化について子供たちに教えないよう監視されています。新疆ウイグル自治区では街中の至るところに6万台もの監視カメラが設置されています。 
 さらにウイグルの人たちは核実験でも苦しめられてきました。2008年に『中国の核実験』(医療科学社)を出版した札幌医科大学教授の高田純氏によれば、1996年までの約30年間にウイグル自治区のロプノルで46回の核実験が行なわれ、その影響で少なくとも19万人以上が死亡しました。
古来いわゆる大帝国は、侵略した土地においては、最初は地元民を弾圧したようですが、それだけでは統治が不可能なので、地元民の自治や宗教を認めたり、宥和策をとるのが普通でした。ローマ帝国もそうでし、かつてのイギリス帝国によるインド統治もそうでした。しかし、中国はそうではありません。これでは、地元民が納得するはずはありません。

 それとウィグル人は基本的には、イスラム原理主義です。無論、元々ISISに親和的という意味ではなく、元々のイスラムの教えを守る気風が強いということです。

中国はこうしたウィグル人の心情を逆なでするようなことばかりしています。最近も以下のような報道がありました。
酒を飲まないウイグル人はイスラム原理主義者、ラマダン直前に嫌がらせビール祭りを開催―中国
新疆ウイグル自治区ホータン地区ニヤ県の農村で、ラマダン直前(18日から)の6月15日に共産主義青年団主催のビール祭りが開催された。その目的は
“現代生活によって農村の文化生活を活発にすること、違法な宗教伝播の余地を減らすこと、農村の思想・文化・世論の陣地を占領すること、村の党組織の凝集力を高めることにより、農村に調和と安定をもたらすこと”
とのこと。 
以前にも記事「禁酒・禁煙する奴はイスラム原理主義、中国政府が新疆で宣伝活動」で取り上げましたが、ブルカ禁止やヒゲ禁止といった干渉がエスカレートし、禁酒を禁止、ラマダン中のレストラン休業は禁止、雑貨店には必ず酒を置くことなどの規定が追加されるなかで、「みんなの前でビールを飲むことを強制」という新技が追加されたもよう。
現中国は、植民地支配とか、信託統治などの経験がないためでしょうか、宥和策など全く眼中にないようで、未だにこのような愚かな統治しかできないようです。

このままでは、中国は大きなつけをはらうはめになることでしょう。おそらく、これから、第二イスラム国の影響が強く及ぶようになるか、最悪の場合は新疆ウィグル自治区内そのものが、その版図に収まることになってしまうかもしれません。

もし、そのようなことになれば、過去のように公安警察や、人民解放軍をもってしても、訓練を受けた過激派、自分の命もいとわず自爆テロをする過激派などにより、治安の維持は困難になってしまいます。

ところで、フィリピンのアキノ大統領が今月5日に東京・内幸町の日本記者クラブで行った記者会見で、中国国営新華社通信の記者の質問に逆に問いかける一幕があったことを皆さんはご存知でしょうか。

日本記者クラブで記者会見するフィリピンのアキノ大統領
アキノ大統領は今月3日に都内で行った講演で、南シナ海で地域の緊張を高めている中国を戦前のナチス・ドイツにたとえました。新華社の記者はこの発言について、「中国にナチスという言葉を使うことをどう思うか。中国人の感情を傷つけると思わないのか」と質問しました。 
これに対し、大統領は「誰の感情も害するつもりはない」と断った上で「中国の人々に聞いてみたい」と切り出しました。そして、「あなた方がフィリピンの立場だったとして、海岸線の西側が奪われ、東側だけを維持することになったとしたら、『わが国の航路の半分をどうぞ』と言うだろうか。どの国も喜んでそうするとは思わない」と述べていました。
このアキノ大統領の言葉、意味深長です。海岸線の西側が奪われて、東側だけ維持するとは、何を指しているのでしょうか。

当然フィリピンの西岸に位置する南シナ海における、中国の環礁の埋め立てなどを示しているのでしょうが、私はそれだけではないと思います。

中国の動向は、フィリピンにとっては死活問題ともなりかねませんから、アキノ大統領は、当然中国に迫る第二のイスラム国の脅威について熟知していると思います。そうして、この質問をした中国人記者もそのことを知っているのは当然のこととして、アキノ大統領は皮肉を込めてこの言葉を語ったのではないでしょうか。

この言葉の裏の意味は、「中国の西側にも、第二イスラム国の脅威が迫っているではないか。フイリピン西岸で、環礁の埋め立てなどやってる場合じゃないぞ。そんなことをするくらいなら、まずは自分の頭の上のハエを追い払え」ということではなかったかと思います。質問した中国人記者もこれには、二の句が継げなかったのではないかと思います。

残念ながら、集団的自衛権などで「戦争が起こる」などと愚かな印象操作をする日本のマスコミは、精神疾患もしくは認知症を患っているとしか思えません。自分の国に迫る脅威を認識できないのですから、このような中国に迫る脅威を認識することはできないようです。

中国にそのような危機が迫り、中央アジアが本当に第二イスラム国の版図になってしまえば、その影響がいつ他のアジア諸国に及ぶのか、全く保証の限りではありません。

日本の安全保証は、こうしたことも視野に入れて考えなければなりません。今のマスコミや、野党など勉強不足もはなはだしいので、それはできないと思います。

本当に平和ボケというのは、いかんともしがたいです。そんな日本の状況などとは関係なく、中国は大変なことになりそうです。今のところ、中国はAIIBなどの乗るかそるかの、重要案件を抱えているため、対外的なイメージを毀損したくないので、このような危機についてはおくびにも出しませんが、今後半年以内くらいには、中国もこの脅威の存在を隠しきれなくなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年5月2日土曜日

習主席に脅威 側近に“黒いカネ”爆弾 「反腐敗運動」トップ自ら汚職疑惑 ―【私の論評】通常の権力闘争か、クーデターから中国分裂まで発展するのか(゚д゚)!


習近平
「一族が巨額資産を保有」と米紙に暴露された中国・習近平国家主席。その権力基盤が揺るぎかねない重大懸念が浮上している。「反腐敗運動」を主導する腹心、王岐山・中国共産党中央政治局常務委員ら政権中枢幹部のスキャンダルが炸裂(さくれつ)しそうなのだ。背後で暗躍するのは「権力ハンター」「闇の帝王」などの異名を持つ謎多き政商と、失脚した大物幹部を兄に持つ実業家。中南海(党・政府所在地)に激震をもたらす爆弾情報とは-。

「スキャンダルが公になれば、『反腐敗運動』は頓挫しかねない。それだけに、われわれの同胞はみな事の成り行きに注目している」

中国共産党の高級幹部の子弟「太子党」関係者はこう声を潜める。

中国人社会の間で注目を集める「スキャンダル」とは、習政権を支える王岐山氏に関するものだ。

習氏が推し進める「反腐敗運動」で、腐敗官僚たちを次々と血祭りに上げている「党中央規律検査委員会」。その書記を務める王氏は、取り締まり側の現場責任者として辣腕(らつわん)をふるってきた。運動を、政敵潰しと国民の人気集めに利用してきた習氏にとって、政権の屋台骨を支えるキーマンともいえる。

王岐山
その王氏に関する不穏な情報が出回っている。

「郭文貴氏という中国人実業家が、亡命先の米国で受けた米国メディアでのインタビューが発端だ。このなかで郭氏が、王氏自身も過去に汚職に関与していた…とほのめかした。事実なら、『反腐敗運動』の取り締まり側のトップが腐敗していたことになり、運動そのもの、ひいては習政権の正当性が問われることになる」(先の太子党関係者)

郭文貴
習政権中枢の大物幹部のスキャンダルを握っているとされるこの郭氏。最近まで謎多き人物として正体が知られていなかった。

複数の中国メディアによると、年齢は48歳で、「謎の実業家」「権力ハンター」などの異名を持ち、155億元(約2976億円)の資産を持つとされる。

習政権にとっての脅威はこれだけではない。

習氏に失脚させられた令計画・人民政治協商会議副主席の弟、令完成氏の存在だ。

令完成
 「2人の動向にピリピリしているのは間違いない。習政権は『反腐敗運動』への国民の支持によって持っているようなもので、その正当性を覆すようなスキャンダルがこのタイミングで出るのはまずい。政権運営に響く、そうした事態だけは避けたいと思っているはずだ」(鳴霞氏)

赤い帝国に衝撃は走るか。

【私の論評】通常の権力闘争か、クーデターから中国分裂まで発展するのか(゚д゚)!

習近平の腐敗撲滅運動に関しては、以前もこのブログに何度か掲載しました。最近のものではクーデターがあり得ることを掲載しました。ブログ冒頭の記事からは、クーデター一歩手前まで言っている様子が見て取れます。

習近平に相対する勢力はまずは王岐山をスキャンダルで失脚させ、彼らから見れば習近平の暴走を止めようという腹です。これが成就すれば、習近平の腐敗撲滅運動は頓挫します。

これでも、頓挫しなければ、いよいよクーデターの実行をするということで、様々な画策や裏取引がなされているはずです。

しかし、ここで今一度私達は、中国という国の内情をもう一度見つめなおしておく必要があります。多くの人々が中国幻想に酔ったり、酔った人々の言論活動に幻惑されたりして、中国という国の本質を見失っています。

中国には、まともな先進国にみられるような、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされていません。無論、先進国のそれらが、理想的なものかといえば、そんなことはなく全く満足のいくものではありません。しかしながら、すくなくとも形式上は存在します。中国の場合、形式どころか、はなから微塵もありません。

中国のという国は、一応国と名乗っていますが、私達日本人の概念や、まともな他の先進国の概念にはあてはまらない、集団組織です。

中国をまともな国とみなしてはいけない

まずは、多民族国家であり、これは何もチベットや、ウイグル、内モンゴル、満州などに多民族が多く存在するというにおよばず、中国全体が多民族の集合体です。そうして、現中国は、これらの地域を侵略して乗っ取って現在の版図を形成しています。

そのためもあってか、建国以来年平均で毎年平均2万件もの暴動がありましたてが、2010年あたりからは、おそらく毎年平均10万件以上の暴動が発生し、それ以来政府も公表しなくなりました。

そうして、経済的には2008年のリーマン・ショック時に事実上破綻しています。ただし、海外から資金の流入などで、今まで何とか自転車操業でやりくりしてきたものの、2014年に日本が金融緩和に転じたことから、その経済の破綻ぶりが、表に出るようになりました。

また、中国には中央にも、地方にも日本のような先進国にみられるような、選挙制度はありません。建国以来一度も選挙をしたことがありません。だから、言葉の厳密な意味で中国には政治家は存在しません。存在するのは、すべて官僚です。

そうして、この国の官僚は全員が完璧に腐敗しきっています。官僚でトップクラスにのぼるためには、他の官僚を手懐けるために、低位の官僚には直接金を、高位の官僚には利権を与えて、自分で荒稼ぎできるように取り計らいます。こういうやり方で、周りの官僚を手なづけて、自分の側につけることてができる人間が、高位に登ります。

ある官僚がとてつもなく能力があったにしても、直接金やモノをくれたり、さらに利権をくれてやったりしなければ、誰もその官僚につかないので、結局高位につくことはできません。日本の官僚の腐敗は、中国のそれと比較すとまるで天使の戯れ事のように清らかなものです。日本の官僚の腐敗など、中国人からみれば、何が問題であるのか理解が及ばないことでしよう。

これは、建国当時から変わりありません。誰一人例外もありません。習近平も、他の幹部もすべて、自ら巨大利権を獲得して、手下の官僚に金をばらまいたり、利権を分け与えたりしています。それができないものは、中国では幹部になれません。ましてや、どう頑張ってみたところで、絶対に主席になどなれません。

アメリカだって、本質的には大きな利権を手にしたものが、大統領になりやすいし、利権も金もない人間はどうあがいても、大統領にはなれないというのも事実ですが、そんなことなど霞んでしまうほど、中国の場合は、直接的な金やモノのやりとり、利権のやり取りが行われています。選挙制度がないので、このようなことにさらに拍車がかかってしまうのだと思います。

中国の政治風土がそういう土壌なのですから、習近平自身も腐敗しているし、習近平の配下のものも全員腐敗しています。腐敗で失脚させられたものや、させられたものの肉親や縁者など、当然そう思っています。

権力闘争なら、切った張った、殺し殺されという具合で、正々堂々とやれば良いものを腐敗撲滅などという美名のもとに、実行するものですから、犠牲になったほうは、恨み骨髄ということになります。

それと、中国は一般の日本人が考えているように、一枚岩ではありません。こういうと、日本だって一枚岩ではないといわれるかもしれませんが、中国と比較すれば、日本は強固な一枚岩です。

どういうことかといえば、日本では選挙制度というものがあるので、民主党政権のときには、民主党を与党とした政権が政治を担います。ここで、いくら自民党あたりが頑張ってみても、次の選挙で勝たなければ、どうにもならず、民主党政権下での政治が続いたわけです。

しかし、中国は選挙がないということで、そんなことにおかまいなくして、たとえば習近平が失脚すればそれで政権も実質的におしまいです。だから、中国の政治は当然一枚岩どころか、複数の派閥の権力抗争の結果にかなり左右されます。ブログ冒頭の記事にもみられるように、中国には上海閥とか、太子党などの派閥があります。

ここで中国の派閥について概説しておきます。以下の概説少し前のものなので、内容は多少異なっているとろもありますが、基本的には現在も同じです。

■中国八大派閥概説

(1)太子党
説明不要のボンボン派閥。国家主席の習近平を筆頭に、失脚した薄煕来、俞正声など中央政治局から軍(劉源)・国営企業(胡錦濤の息子胡海峰、ムービースタアの息子温雲松など)・金融系(江沢民の息子江綿恒)まで幅広く活躍中。


(2)団派:
これまた説明不要の大勢力・ユース組織たる「共産主義青年団」出身の政治家たち。胡錦濤を筆頭に李克強、李源潮、汪洋など。現在では団派が地方のトップのうち1/3を占めているという見方も。
胡錦濤

(3)江派(上海閥):
前国家主席江沢民の影響を強く受けている利権集団。現在は呉邦国、賈慶林、李長春、賀国強、周永康と中央常務委員でも大多数を占めているものの、18大では大幅に数を減らすことが確実視されている。大ボスがいつまで表舞台に立っていられるかが勝負の分かれ目。
江沢民

(4)地方実力者
地方勤めを歴任しながら出世してきた実力派。次期18大では薄煕来は失脚してしまいましたが、汪洋、俞正声などが常務委員昇格確実な情勢ですが、他にも
郭金龍・北京市長(四川→チベット→安徽→北京)
王岷・遼寧省党書記(江蘇→吉林→遼寧)
栗戦書・貴州省党書記(河北→陝西→黒龍江→貴州)
などがこれに該当。地方を廻っているうちに歳をとるのが問題点。郭金竜なんかあと2~3年早くチベットのトップに立っていれば……。てくらいな人物と聞いていたんですが。
(5)エリート:
トップの習近平(法学博士号)、そして李克強(経済学博士号)がともに博士号を取得しているように、領導たちの高学歴エリート化が顕著に進んでいる。他にも高い専門性をもって国営企業のトップクラスから地方の領導へと転身する人物(例:張春賢・張慶偉・郭声琨など)や海外の大学を卒業した海亀族(楊潔チ外交部長)などが該当。天下の名門・金日成総合大学を卒業された張徳江副総理を海亀派のエリートと判断するかは、みなさんのお好きにしてください。
(6)中央官僚:
党や国務院での各中央弁公室勤めが長く、そこを出世の足がかりとした人々。天安門事件の時に泣きながら趙紫陽総書記に傘をさしていたムービースタアなんかが典型ですな。一昔前の「テクノクラート」と同類の概念ですが、なかでも「秘書派」という秘書経歴のある人物が上司の覚えめでたく出世を駆け上るパターンが多く、国務院の各部門トップは秘書経験者が大半を占めているとのこと。
(7)清華・北大閥:
文字通り、中国の双璧・清華大学と北京大学出身者。胡錦濤・呉邦国・習近平が清華大学出身者で、李克強・薄煕来・李源潮が北京大学出身。ちなみに文系理系の別も面白く、常務委員は理系出身者が多数を占めるのに対し、中央政治局委員になるとほぼ半々、地方のトップになると文系の方が多くなるという逆転現象が発生しています。
(8)職業役人:
元々は三農(農民が貧しく、農村が立ち遅れ、農業が発展しない)問題の対応策の一つとして、95年ごろから大学生卒業生を農村の幹部として派遣してきた制度がきっかけ。企業や役所勤めを経験することなく幹部役人「村官」を経験することから職業役人と呼称されています。現在では約20万人の「村官」がいると言われており、未来の中央政治を担う人材を輩出するだろうと言われています。
現代中国は、主に上記で示した、8つの派閥の権力闘争の均衡の上に成り立っています。これらの派閥が互いにくっついてみたり、離れてみたり、妥協したり反目して、中国の政治の方向が決まります。この均衡を腐敗撲滅運動で破ったのが、習近平です。

習近平の腐敗撲滅運動が、通常の権力闘争で終わるのか、それともさらにクーデターにまで発展し、挙句の果てに中国自体が分裂するのか、ここしばらくは、予断は許されない状況になっています。実際に、最悪の事態になれば、現中国が分裂するということもありえます。

このブログも今後注意深く中国の状況をみまもりながら、中国が分裂して弱小国になることを期待しながら、何か変化があれば、また掲載させていただきます。

それにしても、このおかしげな、まともな国とはいえない、集団組織ははやく分裂して、まともな国家を形成していただきたいものだと思います。それが、現中国の人民のためであるし、アジアの平和と安定には不可欠だと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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