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2019年2月24日日曜日

【田村秀男の日曜経済講座】消費税増税素通りの無責任国会 デフレの悪夢を招き寄せるのか―【私の論評】IMFにも米財務省にも指摘された、日本の消費税増税の非合理(゚д゚)!

【田村秀男の日曜経済講座】消費税増税素通りの無責任国会 デフレの悪夢を招き寄せるのか

 今通常国会は小役人による厚生労働省の統計不正追及に終始し、国民経済を左右する10月からの消費税率引き上げはそっちのけだ。消費税増税はデフレという悪夢を招き寄せかねないのに、真剣な論戦がないのは国政の責任放棄ではないのか。

 「悪夢」と言えば、安倍晋三首相が先の自民党大会で旧民主党政権をそう決めつけた。首相はその前の国会施政方針演説で「デフレマインドが払拭されようとしている」と明言した。首相は、国民にとっての民主党政権時代の最大の悪夢はデフレ不況であることを念頭に、アベノミクスがデフレ病を克服しつつあると誇示したかったのだろう。

 ニュースを見ると、人件費や物流費の上昇を受けて今春以降、牛乳、ヨーグルト、カップ麺、高速バス運賃などの値上げが予定されている(18日付産経朝刊)。物価が全般的かつ継続的に下がるというのが経済学教科書でいうデフレの定義だが、生活実感には必ずしもそぐわない。

 物価がたとえ上がっていても、賃金上昇が追いつかないと、デフレ圧力というものが生じる。懐具合がよくないのだから消費需要が減退する。低販売価格を強いられる企業は賃上げを渋る。こうして物価が下落に転じ、賃金も道連れになる。それこそがデフレの正体だ。こじれると賃金が物価以上に下がる。

 政府がわざわざ国民生活をデフレ圧力にさらすのが消費税増税だ。モノやサービス全体を一挙に増税で覆いかぶせる。平成9年度、橋本龍太郎政権が消費税率を3%から5%に上げると、物価は強制的に上がったが、名目国内総生産(GDP)の成長が止まった。その後、物価下落を上回る速度で名目GDPが縮小する長期トレンドに陥った。



 上述したように、消費税増税後、産業界全体が賃金や雇用を減らすようになり、物価の全般的な下落と国民全体の所得減が同時進行する悪循環が起きた。グラフを見よう。旧民主党政権が発足した平成21年以降の名目GDP、GDP全体の物価指数であるデフレーターと日銀による資金供給(「マネタリーベース」)の前年同期比の増減率を比べている。旧民主党政権下では、リーマンショック後のデフレから抜け出せない中、23年3月の東日本大震災に遭遇するとGDP、物価ともマイナスに落ち込んだ。

 思い起こせば、旧民主党政権は確かに無策そのものだった。筆者は22年初め、経済学者の故宍戸駿太郎筑波大学名誉教授らとともに政権を奪取した旧民主党の鳩山由紀夫首相(当時)に直接会って、財政ばかりでなく金融でも量的拡大策をとるよう進言した。鳩山氏は大きな目をくるくる回しながら聞き入れ、「そうですね、金融緩和は重要ですね」と同意した。

総理大臣だった頃の鳩山由紀夫氏


 だが、日銀は一向に動かないままだ。しばらくたったあと、たまたま国会の会議室で出会った鳩山元首相に問いただすと、「官房長官を通じて、日銀に申し上げたのですが、断られました」とあっさりしたものだった。

 日銀の白川方明総裁(同)は金融政策ではデフレを直せないという「日銀理論」の権化のような存在だ。白川日銀が東日本大震災後、資金供給を増やしたのはつかの間で、資金を回収する引き締めに戻し、デフレを高進させた。

財務官僚は、うぶな旧民主党政権を消費税大幅増税の踏み台にした。野田佳彦首相(同)は言われるがままに消費税増税に向けた旧民主、自民、公明の3党合意を成立させた。税率を3%、2%の2段階で引き上げる内容だった。

 省内では「欧州でもそんな大幅な引き上げは景気への悪影響を懸念して避け、小刻みな幅にとどめる」との慎重論が出たが、幹部は「民主党政権の今こそ千載一遇の好機だ」と一蹴した。デフレを放置し、慢性デフレを悪化させる消費税増税にのめり込んだ旧民主党は、衆院総選挙で脱デフレと大胆な金融緩和を唱える安倍自民に惨敗した。

 安倍政権は異次元金融緩和を中心とするアベノミクスで景気を拡大させたが、26年度の消費税率8%への引き上げで大きくつまずいた。デフレーターもGDPも大きく落ち込んだあと、輸出主導で少し持ち直したが、昨年後半は2四半期連続で名目GDPが前年同期比マイナスになった。

 頼みの外需では米国景気拡大が止まった上、中国経済は昨年後半から減速が目立つ。トランプ米政権による対中制裁関税の追い打ちで中国の景気悪化は加速する情勢だ。安倍首相がそれでも消費税率10%を実施するなら、「悪夢」という言葉はブーメランになって自身を襲いかねない。

【私の論評】IMFにも米財務省にも指摘された、日本の消費税増税の非合理(゚д゚)!

日本の消費増税をめぐる議論は、全部嘘です。

「日本は1000兆円の借金を抱えていて財政が破綻する。財政再建のために、消費税を増税するしかない」これは、明らかな嘘です。

「日本は少子高齢化が進んでいて、社会保障の財源が足りないから、消費税を増税するしかない」これも、完璧な嘘です。

しかし日本のメディアでは、そのような「嘘の言説」だけ流します。結果として、そのような嘘が日本ではあたかも「まじめな議論」として通り、まことしやかに語られるどころか、様々な理由で増税に反対すれば、倫理的におかしいなどと批判されてしまうことすらあります。

逆に「消費税に関する議論は嘘ばかりだ」と声を上げると、白眼視される雰囲気さえあります。それは長い年月をかけて培われてきた、日本の「特殊な言論空間」以外の何者でもありません。

消費税の議論は、主に3つあります。
1 財政破綻論 
2 社会保障論 
3 景気論
このうち、1の財政破綻論が嘘であることは、2018年10月にIMF(国際通貨基金)が発表したレポートで世界中にバレてしまいました。これについては、このブログでも掲載したことがあります。
コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論―【私の論評】財務省は解体し複数の他官庁の下部組織として組み入れ、そのDNAを絶つべき(゚д゚)!

IMFのレポートの内容は、私が従来から主張していたことと同じです。まず財政は、資産と負債の両方が書かれたバランスシート(貸借対照表)で見るものであり、資産と負債の差額である純資産(ネット資産)で判断するものです。

純資産で見ると、日本の財政はバランスが取れており、むしろ健全である、というのが私が主張してきたことです。

IMFレポートも、国の財政は負債だけでなく、資産と併せて見るべきものだと指摘しています。その観点から見ると、じつは日本の財政はG7中、カナダに次いで健全であることが示されています。

またIMFが発表するまでもなく、日本の財政が破綻状態にないことは、世界中の金融のプロたちはよく知っています。

その証拠に、世界で経済的リスクが高まると、決まって「リスク回避」や「安全資産への逃避」を理由に円通貨が買われ、円高になります。経済リスクがあるときに、財政破綻の可能性が高い国の通貨を買う人はいません。先進国のなかでも日本が財政破綻する可能性は低いと知っているから、安全な資産として円が買われるのです。

ところが、財務省は「1000兆円の国の借金」ばかりを喧伝し、マスコミも同じことしか書きません。

しかし借金の額だけを見ても、前述のバランスシートで判断しなければ国の財政のことはわかりません。増税を目論む財務省は、自分たちにとって都合の悪いIMFレポートには触れてほしくなさそうですが、このレポートは世界に向けて公表されたものであり、世界の誰でも読めるものです。

「日本の財政は破綻しそうにない」事実が世界に公開され、「財政破綻だから増税する」という財務省のロジックは、まったく根拠のないものであることが明確になりました。

次に、2 の社会保障論も全くの嘘です いま増税派は、財政破綻論から増税論を語るのは分が悪くなってきたと思ったのか、「社会保障費のための消費増税」という論点に軸足を移しています。

かいつまんでいえば「少子高齢化が進み、年金・医療などの社会保障の財源が足りなくなる。消費税を増税しなければならない」という論です。

しかし、この論も全くの嘘で、間違いといわざるをえません。なぜなら年金、医療、介護の3つの社会保障は、基本的には税ではなく「保険方式」で運営されているからです。実際、世界のいずれの国でも古今東西、社会保障を税で賄うなどという途方もない嘘を言ったのは、日本の財務省とそれに追随する日本のマスコミや識者だけです。

最後に、3 の景気論です。

安倍首相は、リーマンショック級のことがなければ消費増税を行なう、といっていますが、一ついえば世界経済、とくに英国のEU離脱の行方が心配です。

私は、英国のEU離脱は世界経済にリーマンショック級の影響を与える可能性がある、としてきました。その当時は「合意ある離脱」が前提であり、英国政府の予測では、GDPに与える悪影響は3・6~6.0%でした。

いまは「合意なき離脱」を覚悟せざるをえない状態であり、そのインパクトは二倍程度でしょう。であれば、まさにリーマンショック級になるのは避けられないと思います。

米中貿易戦争での中国の景気ダウンも心配です。

中国はまだ成長率6%台といっていますが、この数字が当てにならないのは誰でも知っています。本当に6%台なら景気対策の必要はないでしょうが、中国は20兆円台の減税をやろうとしています。

そのなかで、いま16%の消費税率(増価税率)を10%へ引き下げるとしています。あの中国ですら消費減税しようとしているのですから、これもリーマンショック級といって良いでしょう。

日本としては政策総動員を準備すべきであり、このタイミングで消費増税をするのは間違いです。リーマンショック時に「蚊に刺されたような」と楽観視し、適切な政策が打てずに大混乱したことを忘れてはいけません。

そうして、最後に米国財務省の動きも掲載しておきます。

米国財務省による米外国為替半期報告書に次のような記載があります、"In Japan, growth also has become more uncertain, with setbacks highlighted by a large, tax-induced contraction in the second quarter."

これを日本語に翻訳すると、

「第2四半期の消費税増税という政策的逆行(setback アベノミクスの経済成長路線を妨げた・逆行)のせいで景気後退してしまったので、日本の経済成長率の見通しはより不透明になりつつある」です。

この報告書の本編は以下のリンクからご覧いただけます。


第2四半期の消費税増税とは、2014年の4月の8%への消費税増税を指します。米国財務省は、これが失敗し景気後退したとはっきり述べているわけです。

米国財務省が日本に対して増税を延期しろって直接言うと内政干渉になってしまいますから、婉曲的な表現にして、その中で増税延期を迫っているとみるのが妥当な見方だと思います。これについては、日本のマスコミは完全無視です。

トランプ大統領はなぜ「日本の消費税」に怒るのか、安倍総理は理解しているのか?

このブログで過去にも述べたように、トランプ政権は、日本の消費税を日本の輸出産業に対する補助金のようにみなしていて、反対しています。さらに、米国では元々消費税は不公平な税制とみなしています。これに関しては下の【関連記事】のところに当該記事を掲載しておきますので、詳細を知りたいかたはこの記事をご覧になって下さい。

世界にリーマン級の危機が訪れているにもかかわらず、わざわざ増税するのには何か魂胆があると米国側にみられて、実際増税すれば、それへの対抗措置として日米通商交渉で関税を上げられてしまうということにもなりかねません。

以上に述べたように、これだけのリスクがあり、IMFと米国財務省からも指摘されているのに、なぜ来年消費税を10%に上げるのは異常といっても過言ではないです。

【関連記事】

コラム:日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論―【私の論評】財務省は解体し複数の他官庁の下部組織として組み入れ、そのDNAを絶つべき(゚д゚)!

2018年11月19日月曜日

【瓦解!習近平の夢】ペンス氏、「中国共産党」への宣戦布告 講演で宗教弾圧を指摘―【私の論評】日本も世界の"信教の自由"に貢献すべき(゚д゚)!


ペンス副大統領

 「国際社会は一体となって、各地の残虐行為をやめさせなければならない」

 キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)が声明を出すなど、これまで70年近く、対立する関係にあったのが、“無神論者”の集団、中国共産党が統治する中国だった。

 世界各国のカトリック教会において、司教の任命権はバチカン、すなわちローマ法王にある。だが、中国政府はそれを「内政干渉だ」と拒絶し、共産党の主導で、バチカンとは独立した形でカトリック団体を設立し、独自に司教の任命を行っていた。

 一方、キリスト教に帰依する中国国内の人民たちは、中国政府の監視や干渉から逃れて活動する教会、いわゆる「地下教会」へ通っていた。信者数が増え、規模が大きくなった地下教会に対して、中国政府は、見せしめ的にカトリックの神父や、プロテスタントの牧師を拘束したり、教会や関連施設を破壊するなどの弾圧を続けていた。

 そのようななかで、今年9月下旬、「バチカンが中国と司教任命権問題で暫定合意」という衝撃のニュースが世界を駆けめぐったのだ。しかも、習近平政権が、ウイグル、チベット民族などへの宗教弾圧をますます強めていることを、人権団体やジャーナリストが、数々の証拠とともに告発していた最中の、いわば「あり得ない合意」だった。

 中国のキリスト教信者数は、政府の公式統計によると、プロテスタントが3800万人、カトリックが600万人とされている。ここに「地下教会」へ通う信者も含めると、総計で2倍強の9000万人以上と推測されている。

 習政権は4月、『宗教白書』という文書を発表したが、ここには、「宗教の中国化を進める」と記されていた。地下教会を含む宗教組織を、今後、共産党の管理下に置き、党を支持するよう誘導していく算段であることが分かる。

 事実「宗教情報員」システムも稼働している。中国統一戦線工作部に任命された情報員の主な仕事は、宗教活動を含む一般住民の生活と、「隠れた危険」をはらむ思想や活動を、各地区の宗教事務局に適宜報告することだ。情報員にはわずかながら報酬も支払われるが、反対に報告を怠ると罰金が科される。これはまさに、毛沢東時代の文化大革命と同じ、チクリ社会であり恐怖政治の幕開けである。

 それにしても、なぜバチカンが暫定合意したのか?

 「欧州でカトリック教徒の教会離れ、信者減が顕著に進んでいたから」との解説もあるが、“無神政党”に乗っ取られるとの危機感がなければおかしい。

 マイク・ペンス米副大統領は10月4日、ワシントンのハドソン研究所で講演し、「邪悪な中国共産党」との戦いを呼びかけた。ペンス氏は敬虔(けいけん)なカトリック信者でもある。「(宗教を含む)自由と民主」「法の下の平等」「人権」という価値観を持たない、習政権への宣戦布告である。

 日本の政財官界もいい加減、「神の存在なき隣国」との付き合い方を、抜本的に見直すべき時に来ているはずだ。=おわり(ノンフィクション作家・河添恵子)

【私の論評】日本も中国の"信教の自由"に貢献すべき(゚д゚)!

米国の国務省は5月29日、各国の信教の自由に関する2017年版報告書を発表しました。報告書では特に北朝鮮について、宗教活動に携わった人々が処刑・拷問・殴打・逮捕の対象になるなど、「苛酷な状態」に置かれていると指摘されています。


北朝鮮では、宗教の自由を侵害する事例が昨年だけで1304件発生しており、政治活動や宗教活動が理由で政治犯収容所に拘束されている人々が、約8~12万人に上るとの推計も示されています。

「宗教の自由問題」担当の特別大使として、2月からトランプ政権の国務省に加わったサム・ブラウンバック氏は、同日の記者会見で、「米朝首脳会談でも、信教の自由の問題が議論のテーマになる」との見通しを示しました。

自身もローマ・カトリック信者であるサム・ブラウンバック氏

トランプ大統領は5月3日、信仰に関する新しい部署「信仰・機会イニシアチブ」をホワイトハウスに設置する大統領令に署名しました。

9日付クリスチャン・トゥデイによると、トランプ氏は、「この部署の役割は、宗教団体が平等に政府の基金に預かり、信条を実践する権利を平等に持つことを保証するものです。この措置を取る理由は、多くの問題や大きな課題を解決する上で、信仰の方が政府よりも力強いことをわれわれは知っているからです。神よりも力強い存在はありません」と述べています。

米国や他国における信教の自由を守ろうとするトランプ氏の決意の表れとも捉えられます。

今回発表された報告書の中では、チベット仏教徒、ウイグルのイスラム教徒、法輪功の学習者などに対して、中国政府が行っている宗教弾圧についても言及されています。

5月30日付大紀元時報では、「中国は憲法で、国民には宗教と信仰の自由があると定めているが、中国共産党の利益にならない宗教を『脅威』と定め、支配と統制を行っている」「中国共産党政府は『愛国的な宗教活動』だけを認めており、登録されていない宗教の信仰者に対しては拷問、心身の虐待、拘束、不当な有罪判決を下している」と報じられました。

トランプ米政権は、世界の宗教の自由を保護する立場を強く打ち出しており、7月25~26日に宗教の自由を推進する閣僚級会合を開催しました。


米ワシントンD.C.で80か国の外相が出席した閣僚会議が中心となる、宗教の自由週間では、Bitter Winterが司会を務めるディスカッションが開幕イベント(上 写真)となり、中国で行われているウイグル族、法輪功、全能神教会への弾圧について話し合いました。

この会議において、弾圧されている各宗教の当事者に取材したレポーターによると、それぞれが口をそろえて述べていたことは、「アジアの大国である日本への期待」でした。アジアの多くの国が中国の経済力に依存している中、日本を頼りにしている人権活動家が多いことがうかがえます。https://jp.bitterwinter.org/tag/ministerial-to-advance-religious-freedom/

また、このレポーターによば、中国や北朝鮮で、「信教の自由」を求めて中国共産党や金正恩政権の弾圧に耐える人々の話に触れることで、「信教の自由」がいかに大切なものであるかを実感できるとしています。

ペマ・ギャルポ氏

日本に亡命しているチベット人学者のペマ・ギャルポ氏は、「宗教がなければ、善悪の区別ができません。善悪の区別がないところに、正義はありません」と述べました。日本人へのメッセージを求めると、「日本の方には、現在、どれほどの自由を享受できているのかを認識するとともに、他の国で自由を奪われて苦しんでいる人々にも関心を持っていただきたい」と述べました。

そもそも、中国や北朝鮮の独裁政権が国民を拘束して拷問したり、あらゆる自由を奪ったりしているのは、人間を「機械」としか見ていないためです。その背景には、神も仏も信じない「無神論国家」であることがあります。日本としても、アジアに信教の自由を広める動きを後押しする必要があります。

日本国憲法20条には「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」とあります。信教の自由は具体的には、(1)内心における信仰の自由、(2)宗教活動の自由、(3)宗教結社の自由の3つを意味します。

つまり、たとえ反社会的な内容であっても、個々人の心の中で信仰し、行動として表さない限りにおいては何ら制約を受けません。そして、布教活動を始めとする宗教活動や宗教団体を結成することに対しても自由が与えられています。

ただし、宗教活動が反社会的であったり犯罪行為を伴う場合は、その自由も制約を受けざるを得ないことはいうまでもありません。また、宗教団体の信教の自由と個人のそれとを同等に論じることはできないです。個人の自由を基本とする現行の憲法下では、宗教団体を構成する個人の信教の自由がまず優先されると考えられます。

このような日本では、たしかに特定の宗教に属している個人を弾圧するなどということはありません。

また、昔から八百万の神として、神々を受け入れ、他国に比較すると、互いに過激な摩擦を起こすこともなく、他国にみられる宗教戦争もなく、長い間過ごしてきたという伝統もあります。

そのような日本は、信教の自由を強く主張できると思います。だからこそ、先にも掲載したように、弾圧されている各宗教の当事者口をそろえて「アジアの大国である日本への期待」を述べたのでしょう。

【関連記事】

2018年3月3日土曜日

韓国の盗作イチゴ、日本の被害額は220億円… 農林水産相も指摘―【私の論評】中国・韓国がTPPに参加できないのはまさにこれが理由(゚д゚)!



カーリング女子日本代表「LS北見」が食べていたことで、一躍世間の注目を集めた韓国産のイチゴ。メンバーからは「びっくりするぐらいおいしくてお気に入りでした!」との発言も飛び出すが、その一方、この発言に頭を抱える面々も。3月2日の会見で斎藤健・農林水産相が「日本から流出した品種をもとに韓国で交配されたものが主だ」と指摘したように、根深い“盗作イチゴ”問題が存在するのだ。

 ***

 「残念です! 彼女たちが食べたのは本当に韓国のイチゴだったのでしょうか」

 と悔しがるのは、「とちおとめ」「スカイベリー」などで出荷量、販売額ともに全国1位で、“イチゴ王国”を標榜する栃木県農政部経営技術課普及情報担当である。

 「ゲームの最中から、あの“もぐもぐタイム”でイチゴを召し上がる率が高かったので気になっていたんです。もちろん『とちおとめ』や『スカイベリー』なら言うことなしですが、韓国から近い九州産のイチゴかな、などと思っていました。でも、鈴木夕湖選手から『韓国のイチゴ』と明言されてしまって……残念です」

 韓国で開催されている平昌(ピョンチャン)五輪なんだし、メダルも取れたんだから、堅いことを言うな、という向きもあるだろう。ハーフタイムに彼女たちが食べて、売り切れ状態になったチーズケーキ「赤いサイロ」に続きたいと思っているわけではない。イチゴ農家関係者には看過できない、とても「そだねー」などと言っていられない事情があるのだ。社会部記者がいう。

 「昨年6月、農林水産省は、日本のイチゴが韓国に流出したことで、日本産イチゴの輸出機会が奪われ、5年間で最大220億円の損失。また、およそ1300億円といわれる韓国のイチゴ市場からのロイヤリティの損失は、年間16億円になるとの試算をまとめたのです」

9割以上が日本産
 農水省に聞いてみよう。

 「そうですね、現在の韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が流出した日本の品種をもとに開発された品種なのです。例えば、韓国で開発された『クムヒャン(錦香)』は日本の『章姫(あきひめ)』と『とちおとめ』を交配に用いていますし、『ソルヒャン(雪香)』は日本の『章姫』と『レッドパール』といったものです。これらの日本の品種は韓国へ流出してしまったものなのです。それらの日本の品種が、韓国で育成者権を取得できていれば、現在もロイヤリティは入ってきたわけです。また韓国はこうした品種のイチゴをアジア各国に輸出もしておりますので、日本が流出を防げていれば、アジアへの輸出は日本産で代替できていただろうという試算なのです」(農林水産省食料産業局知的財産課種苗企画班)

 流出といえば穏やかだが、平たくいえば盗まれたのである。

 「1993年に開発され国内産だけだったはずの『とちおとめ』が、東京の青果市場に“輸入”されたのは2001年のことでした。市場関係者から、韓国産が出ていると連絡が入ったのです。ええ、堂々と『とちおとめ』を名乗っていたから、連絡が来たんでしょうね。韓国名で出荷すればわからなかったと思うのですが、当時はそれほど知的財産の意識も低かったんでしょう」(前出の栃木県農政部経営技術課普及情報担当)

韓国内で日本の種苗が盗まれる

 愛媛県宇和島市のイチゴ農家、西田朝美さん(故人)が3年をかけて交配し開発された『レッドパール』は、韓国人から種苗を分けてくれと日参され、何度も断ったが、根負けして品種を分けたという。それが韓国内で盗まれたのだ。西田さんと共に韓国に招かれ、栽培の講師を務めたという赤松保孝さんが振り返る。

「西田さんと何度も韓国へ行って、各地で栽培の仕方を教えたんだ。韓国の人が喜んでくれればと思ってね。一時は韓国のイチゴの6割は『レッドパール』になったそうだけど、そのうちの3分の2は盗まれた種苗だったそうだ。220億円? 最近の話はわからないけど、ちゃんと売れていたら西田さんが生きていたら大金持ちになっていたかもしれないね。当時は韓国で種苗法が通らなかったから……」

 そう、韓国には法律がなかったのだ。社会部記者が言う。

 「国際的には、育成者権を守る国内法整備を進める『ユポフ(UPOV)条約(植物の新品種の保護に関する国際条約)』があり、日本は82年に批准しています。その後、91年に、育成者権の存続期間を延長した新条約に改正され、韓国が加わったのは2002年のこと。それでようやく韓国もイチゴを権利対象にすることを検討し始めたのですが、イチゴを保護対象から外してしまったのです。その期間はユポフ条約の延長期間の限界である10年間、つまり12年まででした」

 ユポフ条約では、海外への譲渡開始後4年以内でなければ、海外での品種登録はできない。それゆえ、「とちおとめ」も「レッドパール」も韓国で品種登録することはできなかった。その代わり、12年に登録されたのが“ウリジナル(韓国オリジナル)”の「錦香」や「雪香」というわけである。

 余談だが、韓国では「イチゴ大福」をめぐり、2店が“元祖”の争いをしたこともあるという。勝手にやってろ!と言いたいところだが……、

北海道産の「白いんげん」も流出

 農水省は、今年度予算を組み、東アジアでの流出の実態をつまびらかにしていくという。

 「すでに流出してしまったものに関しては、対策の取りようがありません。しかし、新たな品種に関しては権利化を進めていきます。え? カーリングですか。ええ、ああ、話は聞いていますが……それについてはコメントいたしかねます」(前出の農林水産省食料産業局知的財産課種苗企画班)

 日本ブランドの流出はイチゴに限らない。LS北見の故郷・北海道北見市でも育てられている白いんげん「雪手亡(ゆきてぼう)」の種苗は、中国に盗まれ、収穫されて日本に輸出されたこともある。

雪手亡

「雪手亡」は和菓子の白あんにも使われる。LS北見の選手たち、“もぐもぐタイム”には、国産をご賞味あれ。

【私の論評】中国・韓国がTPPに参加できないのはまさにこれが理由(゚д゚)!

韓国が過去に日本のいちごの種苗を盗んでいたということが話題になっていますが、いちごでこの有様ですから、他の農産物や、工業製品などはどのようなことになっているか推して知るべしというところです。

このようなことをしていると、一見得したとか、濡れ手に粟で儲けたようにも思えるかも知れません。しかし、世の中そのように単純ではありません。このようなことばかりしている国は、自由貿易などはできません。実際、韓国はTPPに参加できません。

2018年3月1日、韓国・毎日経済は「米国のスティーヴン・マヌーチン財務長官が日本主導のTPP(環太平洋連携協定)への再加入に関するハイレベル協議が始まったことに初めて言及した」と伝えました。 

米国のスティーヴン・マヌーチン財務長官


記事によると、マヌーチン財務長官は現地時間の先月27日に開催された米国商工会議所主催の投資説明会で、TPPに関するハイレベル協議に言及し「ドナルド・トランプ大統領は(TPPへの再加入を)再び検討するだろう」と述べました。マヌーチン財務長官は「今のところ優先的な内容ではない」と前提をつけたといいますが、記事は「米国の利益のためにTPP再加入の可能性があることを示唆したとみられる」と伝えています。

また、「韓国は現在、トランプ大統領からかつてないほど強い圧力を受けている」とし、「ソーラーパネルと洗濯機へのセーフガード(緊急輸入制限措置)に続き、鉄鋼への53%の関税賦課決定も目前に迫っている」と説明。「このような状況の中、アジア地域で日米を中心とした貿易同盟の議論が急進展したら韓国が孤立してしまうと懸念する声が高まっている」と伝えています。

最後に「米国の一方的な保護貿易措置に続き、TPP問題にも直面している韓国の選択肢は限られている」と指摘。仁荷大学のジョン・インギョ対外副総長の「韓国が今TPPに参加する場合は既存の立場をそのまま受け入れなければならないが、それは国内的にかなり難しい。しかし、もう少し積極的に関心を表明することは必要だ」とのコメントを紹介しています。

この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「これでも文在寅(ムン・ジェイン大統領)を外交の天才と言える?」「文大統領が韓国に災いをもたらしている」「現政府は北朝鮮と中国にすり寄っている。それで米国からの関心を失った。さらに日本からも無視されている。韓国を属国のように扱う中国にこびを売った結果、今の経済状況になってしまった。韓国経済の未来は暗い」など、文大統領への批判の声が寄せられています。

また「韓米関係が最悪という事実をやっと悟ったようだな」「韓国は1人ぼっちだ」など、孤立する韓国についてため息交じりの意見も見られました。

どうやら、韓国のネットユーザーもなぜ韓国がTPPに加入できないのか、その根本的な理由を理解していないようです。

中国もTPPには加入できません。それは、現在の中国は、民主化、経済と政治の分離、法治国家が十分なされてないというところが問題になるからです。これらが、ある程度進まいないとTPPには入れません。

なぜなら、このへんが良くできていない国がTPPに入ると、自由貿易を阻害することになるからです。はっきりいえば、このような国では不当に低賃金で労働者が働かされたり、品質が守られなかったりで、結局のところ自由貿易によって、その国のブラック的なものが、様々な農産物や製品に上乗せされた形で輸出(不当に低価格だったり、不当に品質が低いということ)されてしまい、自由貿易を阻害するからです。

ちなみに、ベトナムはTPPに参加するために、国営企業の改革を行います。TPPに入るというのなら、中国もそれこそ、国内の構造改革をしなければならなくなります、それは到底無理なことです。だからこそ、中国は入れないのです。

そうして、中国が入らないということは、反対の側面からみれば、中国に対する環太平洋諸国による包囲網の構築にもなります。最近米国が参加を打診しているのは、このような側面もあるからです。


韓国もブログ冒頭の記事の「いちご」などの種苗を盗むようなことが横行している国であり、そもそも知的財産権などを守るという意識が希薄な国ですから、そもそも最初からTPPの対象ではなかったのです。

離脱した米国を除く11カ国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に韓国が関心を示し、参加に向け交渉を主導する日本政府に事務レベルで接触していることが先月23日、分かりました。合意した11カ国によるTPP11に乗り遅れれば、アジア太平洋地域の成長を自国に取り込めないとの危機感が韓国側にはあるとみられます。これに対しTPP参加国は2019年の早い時期の発効を目指しており、日本政府もまずは11カ国での発効を優先させる方針です。

複数の日本政府関係者が明らかにした。このほど韓国から問い合わせを受けたといいいます。韓国側は協定の詳細を確認し、参加の可否を探っているとみられます。

TPPには韓国のほかコロンビアや英国など複数の国・地域が関心を寄せています。米国も1月下旬、トランプ大統領が再交渉を条件にTPPへの復帰を示唆しました。TPP11の協定文は「ほかの国の加入を歓迎する」と明記し門戸を開いています。

ただ、日本政府はTPP11について「ガラス細工のようなもので、変更することは考えていない」(安倍晋三首相)との立場です。一部を修正すると“玉突き”で変更が必要となり、収拾がつかなくなるからです。このため、まずはTPP11を発効させた上で、参加国を増やす構えで、韓国を含む参加国の拡大も発効後に検討することになりそうです。

韓国などがTPP11に関心を高めているのは、貿易・投資を高いレベルで自由化した経済圏が、アジア太平洋地域に誕生することが確実になったからです。

TPP11参加国の合計の経済規模は世界の国内総生産(GDP)の約14%。米国の離脱で一時は漂流も懸念されたましたが、1月に協定文が確定し、3月8日にチリで署名式を開きます。

一方、韓国は米国などと2国間の自由貿易協定(FTA)を軸に通商戦略を進めていましたが、日本が2013年7月にTPP交渉に入ると方針転換し、同年11月にTPP参加国と協議する方針を表明しました。しかし、昨年1月、米トランプ政権がTPP離脱を表明して以降は、参加国との本格的な交渉が途絶えていました。

それにしても、先に述べたように、いちごの種苗にみられるように、知的財産権を軽視するような国は、TPPには入れません。韓国も、抜本的な構造改革が必要になるわけです。

しかし、私としては、このブログにも以前書いたように、韓国はそんなことを考えよりも先似、量的金融緩和をして、雇用、特に若者雇用を改善すべきです。その後、グローバル化の美名のもとに伸ばすことのなかった、内需を拡大するべきです。

TPPに加入するなどのことは、これが終わってからにすはべきです。雇用改善、内需拡大をしないうちに、TPPに加入して、仮に自由貿易ができるようになったにしても、一部のグローバル企業が潤うだけであって、雇用や家計への打撃は解消されることなく、放置されることになってしまいます。

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2016年7月23日土曜日

尖閣について報道されず?沖縄県の大手2紙と中国の「ただならぬ関係」―【私の論評】小池百合子氏も指摘していた反日沖縄地方2紙の思い通りにはならない(゚д゚)!

尖閣について報道されず?沖縄県の大手2紙と中国の「ただならぬ関係」

「沖縄タイムス」と「琉球新報」の偏向報道の疑いを識者が論じている 
中国のプロパガンダのような報道が多く、情報を正しく得られていないという 
中国船の領海侵犯や地元漁船への威嚇もほとんどの県民が知らないとのこと
22日、米軍北部訓練場(沖縄県東村〈ひがしそん〉など)のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)
の移設工事に反対する人々 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
2紙合わせると沖縄県世帯のほぼ100%近いシェアを誇るという「沖縄タイムス」と「琉球新報」ですが、無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』の著者・伊勢雅臣さんは、「両紙とも中国のプロパガンダ機関かと思うような偏向報道が多く、沖縄県民は尖閣海域の危険性などの情報を正しく得られていない」との懸念を示しています。その実態、どのようなものなのでしょうか。

仲裁裁判所の南シナ海裁定は「紙くず」と言う中国外務省

中国が軍事要塞化を進めつつある南シナ海で、フィリピンが起こしたオランダ・ハーグでの仲裁裁判所の判決が下った。中国が主張する南シナ海の「歴史的権利」は根底から否定された。

中国外務省の幹部は「判断は、紙くずであり無効だ」と粗暴な反発を示し、仲裁裁定でフィリピン漁民らの伝統的漁業権が認められたスカボロー礁に接近した同国漁船を、中国海警局とみられる監視船が妨害した。

東シナ海でも同様に、尖閣諸島周辺海域に武装した中国海警局の船が21日連続で侵入するなど、領海侵犯が常態化している。

尖閣諸島が属する八重山市の地元紙「八重山日報」編集長の仲新城(なかしんじょう)誠氏の新著『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』で、尖閣海域で中国の公船に追われた経験が紹介されているので、その実態を見てみよう。

1,000トン級の中国公船3隻に包囲された漁船

平成25(2013)年5月12日夜、仲新城氏や石垣市議会議員・仲間均氏を乗せた6人乗りの漁船「高洲丸」が石垣島を出発した。出発前に海上保安庁の職員が「島には上陸しないでください」「中国公船には接近しないでください」と注意した。

石垣島から一晩かけて、約170キロ北の尖閣海域に入る。13日早朝から釣りを始めると1メートル級のハマダイやカンパチが次々と水揚げされて、漁業資源の豊かさが実感できた。

高洲丸
午前9時半頃、遠巻きに見守っていた海上保安庁の巡視船から、ゴムボートが近寄ってきて「中国公船が魚釣島の北西から南下しています。挑発しないでください」と伝えた。

午後1時頃、中国の海洋監視船3隻が次々と視界に入ってきた。それぞれ1,000トン級の艦艇で、近くを航行するだけで、わずか6人乗りの高洲丸は転覆してしまいそうだ。

気がつくと、南小島を背にした高洲丸の前と左右に中国監視船が取り巻いている。このまま距離を詰められると逃げられない。しかし、周囲には海保の巡視船9隻がひしめいており、中国公船が高洲丸に近づこうとするたびに、巡視船が猛スピードで間に入る。3対9では勝ち目がないと判断したのか、中国公船はそれ以上、近づこうとはせず、睨み合いとなった。
しかし海保の巡視船がいなければ、どうだったか。 
高洲丸は包囲されて動けなくなり、恐らく中国公船から乗組員が「臨検」のため乗り込んできたことだろう。そのまま拿捕(だほ)され、…高洲丸乗員は中国本土に連行されていたかもしれない。
尖閣海域で日本漁船が拿捕されれば、中国としては尖閣の領有権を世界にアピールする絶好の機会になる。この時、日本の実効支配は、まさに試されていたのだ。 
(『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』)
寝ずに高洲丸を守っていた海保巡視船

中国公船と海保巡視船の睨み合いが続く中で、巡視船からゴムボートが近づいてきて「大丈夫ですか」と声をかけてきた。「釣りができる場所に移動したい」と仲間氏が言うと、職員は巡視船と連絡をとった上で「移動していいです」と答えた。

中国公船と対峙している状況でも、「領海内で操業している日本の漁船は何があっても守る」という海保の強い決意とプライドを新仲城氏は感じた。

ただ、その場で「操業しているところを中国公船に見せてやろう」ということになり、釣りを再開した。中国公船の乗組員が、ビデオカメラで高洲丸の操業の様子を撮影している。
尖閣付近で高洲丸を追尾した中国の公2席の船 仲間均氏提供
やがて夕闇が周囲を包んで、中国公船も姿を消した。中国公船が去っても、高洲丸の周辺にはずっとゴムボートが待機し、巡視船が遠巻きの監視を続けている。操業を終えた高洲丸乗組員は就寝したが、午前3時頃、仲間氏が目を覚ますと、すぐ近くにまだゴムボートがいて、海保の職員が目を光らせていたという。
「職員の赤い顔を見ると、寝ていないことが分かる。領海を守るために日夜、奮闘している海保に敬意を表したい」(仲間氏)。同乗者の誰もが海保をたたえた。領海と漁業者を守る使命感と勇気を、日本人として誇りに感じた。
(同上)
こういう海保の奮闘がなければ、南シナ海のように尖閣海域も中国の海となり、日本漁船は中国公船に拿捕されるか駆逐され、いずれは尖閣諸島も軍事基地化されていたであろう。

「沖縄本島では尖閣について何も報道されていない」

しかし、このような中国公船の領海侵犯や地元漁船への威嚇が繰り返されている実態を、沖縄県民のほとんどが知らない。八重山日報以外の県紙や地元紙がまともに取り上げないからである。

県紙というのは沖縄タイムスと琉球新報の二つで、合計30万部、沖縄県の約56万世帯でほとんど100%近いシェアも持つ。距離の関係で、県民が読売や朝日などの全国紙を手にする機会はほぼ皆無である。

高洲丸の乗員の一人が、中国公船に包囲された経験を記事にしてもらおうと、県紙の記者に話したが、全く乗ってこなかったそうだ。両紙とも中国公船による領海侵犯を全く報じないか、小さなベタ記事で伝えるだけである。

八重山日報が社会面で尖閣の危機を大きく報じると、インターネットで記事を読んだという那覇市の住民から電話があり、「沖縄本島では尖閣について何も報道されていない。こんなことが起きているのを初めて知った」と非常に驚いていたという。

両紙は尖閣の危機を報じるどころか、中国のお先棒担ぎをしている。平成25(2013)年6月、中国人民解放軍の幹部が、尖閣や南シナ海での周辺国との争いについて「(領有権問題の)棚上げを支持する」と表明したことを受けて、琉球新報は「対話のシグナル見逃すな」と題する次のような社説を掲げた。
日中双方が領土ナショナリズムを沈静化し、尖閣問題を軟着陸させる知恵を絞ってもいいころだ。…尖閣の領有権問題は根本的解決策が見つかるまで棚上げを再確認してはどうか。日本の実効支配を維持し、武力衝突回避策や日中共同資源開発など包括的なルールを新設する。尖閣の海を絶対に戦場にしてはならない。
(同上)
沖縄タイムスも「『棚上げ』を対話糸口に」と題して、同様の社説を掲げた。尖閣問題に関心のある本土の人間が沖縄を訪れるたびに「全く危機感がない」と嘆くのは、こうした「報道しない自由」と「お花畑主義」の紙面しか読んでいないからである。

中国のプロパガンダ機関

中国共産党系の新聞「環境時報」に掲載された論文によると、中国側の言う「棚上げ」とは、尖閣周辺海域を日中双方の漁船が操業でき、中国公船も日本の巡視船も自由に往来できるようにすることである。

両紙のような意見が「県民の総意」とされてはたまらないと、仲新城氏は八重山日報に次のような論説を掲載した。
尖閣の地元である八重山の住民としては「棚上げ」など断じて認められない。…簡単に言うとその時点で、自分の所有権があいまいであると認めたことになるからだ。相手はそこにつけ込み、後は自分に有利な時期を選んで、必ず争いを再燃させてくる。…安易に「争いを棚上げしよう」という人が国内でも非常に多いことに、驚きを禁じ得ない。
(同上)
戦争したくなかったら「棚上げ」にしろ、というのは、中国側の脅しである。それを認めたら、さらに中国は次の一歩を進めて来ることは、南シナ海を見れば明らかである。「尖閣の海を戦場にしてはならない」ので「棚上げ」に応じよ、というのは、中国側の主張をそのまま代弁しているに過ぎない。

「即刻辞職し信を問え 民意に背く歴史的汚点」

尖閣危機については頬かむりの両紙は、こと普天間米軍基地の辺野古移転に関しては、大上段に構える。

仲井真・前沖縄県知事が平成25(2013)年12月に、政府が普天間飛行場の移設に向けて申請した辺野古沿岸部の埋め立てを承認した翌日、琉球新報は承認を伝える記事とともに、1面に「即刻辞職し信を問え 民意に背く歴史的汚点」と題した社説を掲載。社会面見開きで「知事、独り善がり」「県民『屈しない』」との大見出しを並べて仲井真前知事を糾弾し、辞職を迫った。

沖縄タイムスも「知事居直り 強弁」「民意 背信に怒号」などの大見出しを並べ、さらに2ページの見開きで、知事を糾弾する50人以上もの「県民の声」を顔写真入りで報道した。

この居丈高な物言いは、赤旗や人民日報ならいざ知らず、自由民主主義国の報道機関としてはどうであろう。確かに仲井真知事は普天間の県外移転を公約しており、それを翻した決定ではあったが、状況によって政策を変えなければならない時もある。「即刻辞職を」という前に、世論調査をして真の「県民の総意」がどこにあるのか事実で示すべきではないか。

沖縄メディアの「脚本・演出」を実現する「主演俳優」

平成26(2014)年11月、3選をかけた仲井真氏を打ち破って、県知事となったのが翁長雄志(おなが・たけし)氏だった。翁長氏はかつては自民党県連の要職を歴任し、普天間基地辺野古移設の旗振り役だった人物である。それが一転して、辺野古移設反対を前面に掲げて勝ったのである。

翁長氏が県内移設反対に「転向」したのは、那覇市長時代だった。米軍の新型輸送機オスプレイの沖縄配備反対で先頭に立ち、「保守系でありながら、反基地を訴える闘士」「良識派」として両紙はさかんに持ち上げた。

翁長沖縄県知事
沖縄県知事選では、それまで保守系候補が4連勝していた。焦りを深めていた反基地派は「革新系候補では勝てない」として、辺野古移設反対の一点に絞って、保守系の翁長氏を担ぎ出した。

翁長氏は「自分は選挙の勝ち方を知っている」「勝つためには何でもする」と公言していた人物である。県外移設を打ち出すことで、沖縄を独占する両紙に絶賛され、革新系の票もとれて、知事の座が確実になると踏んだのだろう。

石垣市の中山市長は平成26(2014)年12月に開かれた市議会で、知事選について、こう語った。
私の率直な感想では、メディアが仲井真知事に対するネガティブキャンペーンを張った。沖縄の民意というが、どれほどの住民が正確な情報を得て投票したのか危惧している。八重山、宮古では県紙より地元紙の購読部数が多いことで仲井真氏が勝った。
(同上) 
言ってみれば、翁長氏は沖縄メディアの「脚本・演出」を忠実に実現する、偉大な「主演俳優」なのだ。
(同上)
と仲新城氏は言う。翁長氏が国連演説で使った「新基地建設」「自己決定権」も両紙が頻繁に使う偏向報道用語である。

舞台に立つためには何でもする、という俳優と、反基地を唱えるなら誰でも良い、という脚本・演出家の野合コンビが16年ぶりの革新派勝利をもたらしたのである。

沖縄の偏向報道空間を打破するには

一方の仲井真氏の方は、県内移設を容認する根拠として「普天間飛行場の危険性除去を」と繰り返すだけだった。危険性除去というなら、県外移設の方がましなので、これでは説得力がない。

県内移設を説くならば、仲井眞氏はこう主張すべきだったと、仲新城氏は言う。

尖閣を守るためには、現時点では米軍の抑止力が必要だ。尖閣に近い沖縄本島に米軍がいることが、最大の抑止力になる。
(同上)
しかし、仲井真氏は尖閣問題については「平和的に解決すべきだ」としか語らなかった。これが仲井真氏の敗因だったと仲新城氏は指摘する。

仲井真氏も「尖閣」と口にするだけでも右翼呼ばわりする両紙を恐れたのだろう。「沖縄の政治家の多くは保守系と呼ばれる人も含め、県紙に批判されることを恐れ、発言や行動を萎縮させている」という(同上)。

中国公船の尖閣諸島海域での侵略を語らず、米軍基地を沖縄から追い出そうとする2紙の姿勢は、中国の戦略と完全に一致している。その2紙が沖縄の言論空間を独占し、歪めている。そして、その戦略は、日本全体においても左傾マスコミによって広められているのである。

ただし、まだ手はある。八重山日報をインターネットで見た那覇市の住民が、尖閣の実態を知って驚いたという事例が良いヒントである。新聞の独占はインターネットで打ち破れる。自由な言論空間さえ実現すれば、中国のお先棒担ぎをする両紙のいかがわしさは、白日の下に曝される。

本誌の読者も、メールやフェイスブック、ツイッター、ブログなど、様々な手段を使って、自由な言論空間作りに協力されたい。それが日本の自由民主主義を守る国民の責務である。

【私の論評】小池百合子氏も指摘していた反日沖縄地方2紙の思い通りにはならない(゚д゚)!

沖縄県の地元2紙の偏向ぶりは、随分前からあったことです。これは、最近、東京都知事に立候補した小池百合子氏も過去に指摘していたことです。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
小池百合子元防衛相が沖縄メディア批判 「言っていることが県民を代表していると思わない」―【私の論評】反日地方紙は、変わらない!!ならば、俺たちの手で引導をわたしてあげよう!!
小池百合子氏
この記事は、2013年3月27日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
小池百合子元防衛相が異例のローカルメディア批判を繰り広げた。矛先を向けられたのは、沖縄のメディアだ。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移転問題をめぐり、現地メディアが辺野古移設に反対する世論を煽っているとの見方を披露した。 
沖縄のメディアで大きな影響力を持つとされるのが、琉球新報と沖縄タイムスの2大県紙。産経新聞などの保守系メディアが両紙を批判することはしばしばだが、閣僚経験者が特定地域の地元メディアを批判するのは珍しい。
反日沖縄地方二紙


ブログ冒頭の記事で、沖縄メディアの「脚本・演出」を実現する「主演俳優」とされてた、翁長知事は辺野古移設反対を公約にして県知事選を戦い当選しました。しかし、翁長知事が当選した瞬間に辺野古移設は中止したかといえばそうではありませんでした。

翁長知事は、辺野古移設反対を公約にして当選しても中止させることはできません。なぜなら辺野古移設はすでに決まっていたからです。法治国家である日本で、既に合法的な手順を経て決まっていた辺野古移設を、移設反対を公約にした政治家が当選したとしても中止させることはできません。

与那国島への自衛隊配備を巡って、隊員と家族の移住による経済効果などを訴える賛成派と、有事に攻撃目標となる危険性を指摘する反対派で町が二分されてきました。13年の町長選で賛成派の外間守吉町長が3選しました。

自衛隊配備を受け入れるか否かの権限は町長にあります。議員や住民にはありません。外間守吉町長が受け入れに賛成したから防衛省は14年4月から駐屯地の工事を開始しました。

15年2月には陸自配備の賛否を問う住民投票が行われましたが、賛成が上回りました。外間守吉町長は反対が上回ったら受け入れないと宣言していました。もし、反対が上回ったら陸自配備は中止していたでしょう。

宮古島への陸上自衛隊配備計画を巡り、下地敏彦市長は20日の市議会6月定例会の一般質問で、市民の生命財産や国土の保全、国民の安全を確保する観点から「宮古島への自衛隊配備については了解する」と受け入れを表明しました。下地市長が受け入れに賛成したから宮古島への陸上自衛隊配備は決定しのです。

与那国島、宮古島に見られる通り、自衛隊配備を受け入れる権限は地元の首長にあります。首長が反対すれば、国は配備することはできません。

辺野古も地元の辺野古区、名護市長が移設に反対している時は政府が移設したくてもできませんでした。辺野古区、島袋名護市長がV字型滑走路にすることで賛成し、政府と確約を交わしため辺野古移設は決まりました。これは、政府が一方的に決定したものではありません。

辺野古移設は政治的に2010年に決着しました。それは与那国島の陸自配備や宮古島への陸上自衛隊配備と同じです。辺野古の場合は海の埋め立て工事が必要であり、埋め立ては公有水面埋立法に則ったものでなければならないし県知事の承認が必要でした。防衛局は県に埋め立てを申請しました。県から申請承認を得たのが2013年の12月でした。

政府は埋め立て承認を得たので埋め立て工事のためのボーリング調査を始めました。もし、海の埋め立てがなかったら2010年に辺野古飛行場建設工事は始まっていたでしょう。
県知事選の時に翁長雄志候補が辺野古移設反対を公約したのは移設を決定した後ですので、反対している翁長候補が当選しても辺野古移設を中止することができないのは明らかでした。翁長候補は本来実現不可能なことを選挙公約にしたのです。

安倍政権が辺野古移設の意思がある限り翁長知事が移設を阻止できないのは確実です。できるのはせいぜい工事を引き延ばすくらいです。翁長知事は無駄な抵抗をしているだけです。翁長知事がどんな奇策を用いたとしても辺野古移設を中止にすることは不可能です。

安部政権は紆余曲折があって辺野古基地建設を中断していますが、辺野古埋め立て工事を再開するために政府は埋め立て承認取り消しに対する国の是正の指示に沖縄県の翁長雄志知事が応じないのは違法として、違法確認訴訟を起こしました。

承認取り消しは違法ですから、安部政権が裁判に勝つのは確実です。日本国は、法治国家です。翁長知事が違法行為をしても、違法行為であることを判断するのは法廷ですから、訴訟を起こし、司法の判断を仰がなくてはならないです。だから違法確認訴訟を起こしたのです。しかし、判決が下るまでは辺野古の埋め立て工事は中断しなくてはならないでしょう。

安倍政権が辺野古移設を最優先とするなら、翁長知事が埋め立て承認の取り消しをした時に翁長知事の取り消しは違法であると県に通知し、辺野古移設工事を続行すべきだったかもしれません。

しかし、県議会選挙と参議院選挙があるので、選挙を有利に展開するために、安倍政権は対立路線ではなく和解路線を選択したのです。和解路線が順調に進めば県議会選挙と参議院選挙を勝っていたはずなのですが、20歳の若い女性が元海兵隊に暴行殺害遺棄されるという残虐非道な事件が起こり、県民の反米軍基地が高まって県議会選挙と参議院選挙では、敗北しました。

しかし、選挙が終われば勝敗に関係なく、辺野古移設工事を再開する方向に進めるのが安倍政権の方針です。選挙に勝っても負けても翁長知事との対立関係は同じであるし、翁長知事の主張とやり方に変化はありません。

安倍政権が辺野古工事を進めるためには安倍政権のほうから法廷闘争に持ち込むしかないのです。翁長知事の承認取り消しを違法だと主張して辺野古移設工事を続行しながら法廷闘争を続けていれば工事はずっと続けることができたが、安倍政権は裁判所の提案した根本案と暫定案で暫定案を受け入れて県と和解し、訴訟を取り下げて、ボーリング調査を中止しました。

そして、翁長知事との協議を始めました。工事を再開するには協議で翁長知事が辺野古移設を認めるようになれば良いのですが、翁長知事が辺野古移設を認めることは100%なありません。協議を続ける間は辺野古工事は再開できません。


安倍政権が辺野古工事を再開するには法廷闘争をして、翁長知事の埋め立て承認取り消しが違法であるとの判決を勝ち取る以外にありません。

21日午前に官邸で開かれた政府・沖縄県協議会で提訴方針を伝えられた翁長知事は「訴えが可能となる日を待っていたかのように直ちに提訴する判断が示されたことは非常に残念だ」と述べ、国の姿勢を批判しました。

協議では翁長知事が工事再開は絶対に認めることはないので工事再開はできません。一方、埋め立て承認取り消しに対する国の是正の指示に翁長知事が応じないのは違法だとして、不作為の違法確認訴訟を福岡高裁那覇支部に提起したのですが、翁長知事は政府を批判はしても訴訟を止めることはできません。これが法治国家におけるの政治というものです。

政府による22日の提訴後は、地方自治法の規定に基づき「15日以内」に福岡高裁那覇支部で第1回口頭弁論が開かれます。判決までは「数カ月程度」(政府関係者)の期間を要する見通しです。



政府側は和解で中断を確認した「埋め立て工事」に該当しないシュワブ陸上部の「再編成事業」について工事を再開する意向を示しました。県側は辺野古基地建設を前提とした工事ではないか確認する必要があるとして、後日、詳細を説明するよう政府に求めたのですが、実は翁長知事は辺野古埋め立てに瑕疵があるといって埋め立て承認の取り消しをしたのであって、辺野古移設中止を政府に要求したのではありません。

辺野古移設が不当であるから中止するように要求するには2010年の辺野古移設決定が不当であると主張すべきなのですが翁長知事は2010年の辺野古移設決定が不当であるとは主張していません。辺野古埋め立てが不当であると主張しているのです。そのため、シュワブ陸上部の「再編成事業」は翁長知事の承認取り消しとは関係がないため工事を再開するのに県の了承は必要がありません。

辺野古移設と高江のヘリパッド移設が選挙の季節で滞っていたのですが、安倍政権はこれから二つの移設をスムーズに進めることでしょう。

翁長知事は国が違法確認訴訟を提起したことについて「国の強固な態度は異常だ。強行に新基地建設を進めることは、民主主義国家のあるべき姿からはほど遠い」と批判し、高江でヘリパッド建設を再開したことに関しては「強行に工事する政府の姿勢は到底容認できない」と抗議しまし。そして「オスプレイを配備する根拠がみえていない。オスプレイが訓練するのははっきりしている。説明がないまま着工すべきではない」と非難しました。

機動隊が反対する市民や車両などを除去したことについては「強制的に排除する事態が生じていることは県民に大きな衝撃と不安を与えるもので残念だ」と不快感を示しました。マスコミも高江のヘリパット工事再開を強行だと安倍政権と警察を非難しています。

翁長知事やマスコミは安倍政権を非難し、県民の安倍政権へのイメージを悪くしているのですが、安倍政権の辺野古の法廷闘争、高江のヘリパット建設を止めることはできません。

翁長知事もマスコミも安倍政権の政治を止めることはできません。法廷闘争で安倍政権は勝ち、辺野古の埋め立て工事を再開するのは確実です。高江のヘリパッドが建設されるのも確実です。

高江のヘリパッドの位置を以下に示します。下の地図の北部訓練場の付近にあります。


北部訓練場を拡大したのが、以下の地図です。


以上で明らかなように、いくら沖縄地方2紙が、反対しようと、翁長知事があらん限りの奇策を弄しても、いずれ確実に辺野古に基地は移転されますし、高江のヘリパッドの建設も確実に行われます。

結局、この法治国家日本において、翁長知事も沖縄地方2紙も徒労に終わるであろうことを時間と金をかけて執拗に行っているということです。

どうして、このようなことになるのでしょうか。結局、ブログ冒頭の記事にもある通り、中国が後ろで糸をひいているせいだと思います。

同じ糸をひくにしても、まともな法治国家であれば、このようなことにはならないのでしょうが、中国が糸をひくとこういうことになるのかもしれません。

何しろ、中国という国は、法治国家ではありませんし、建国以来選挙もないので、議会制民主主義からは程遠い国です。民主化もされておらず、政治と経済の分離もなされていません。

だから、中国の感覚では、日本の沖縄でも、中国国内のよう最終的には、人治でなんとでもなるという思い込みがあるのではないでしょうか。さらに、政治と経済が深く結びついているので、金で政治的問題もいくらでも解決できるという思い込みがあるのです。

そのため、メディアを手懐けたり、沖縄の人間の一部を手なづけたり、日当を支払ってでも、間接的に金を支払って大規模なデモ隊を派遣したり、翁長知事に肩入れしたり、国政レベルでも親中派・媚中派を増やしたりすれば、ひよっとして、辺野古の基地移転はおろか、沖縄から米国海兵隊を追いやったり、自衛隊も駐屯させないようにできると思い込んでいるのかもしれません。

しかし、法治国家ではそのようなことはあり得ません。日本は戦前から法治国家だったという歴史があることを、中共は理解していません。これに関しては、日本人でも理解していない人がいます。

たとえば、大東亜戦争中に、飛行場にゼロ戦を運ぶために、軍が飛行場までの道路を拡幅しようとしたのですが、裁判となり、軍が裁判に負けたため、拡幅はならず、飛行場までゼロ戦を分解して牛車で運んだという事例があります。

法治国家日本においては、戦前から合法的に何かをしようとするときには、法律を遵守しなければ、何もできません。こういう例を出すと、まるで中共の代弁者のように、拷問で死亡したとされる人の例を出して、「昔の日本は暗黒で、軍部は思い通りに何でもできた」と屁理屈を主張する人もいますが、このような事例はそれが事実だったにしても、あくまで、組織の一部の人間による非合法なものであって、無論表立って人を殺すなどということはできません。

結局、沖縄地方2紙や翁長知事も何もやり遂げることができないでしょうから、このようなコストパフォーマンスの低いやり方は日本のような法治国家では通用しないことに遅まきながら中国もいずれ気付くでしょう。

その時は、本格的に武力で攻めて沖縄を奪取するか、あるいは諦めるかのいずれかです。無論、日本としては、諦めさせるほうに持っていくべきです。

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2016年7月14日木曜日

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか―【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

鳥越氏はいまも「中国と北朝鮮の脅威はない」と言い切れるのか

政治的な信念は語るが、都政に関する公約は出てこなかった鳥越氏=12日午後
東京都知事選(31日投開票)が14日、告示される。政党の支援なしで出馬する小池百合子元防衛相(63)に対し、自民、公明与党は増田寛也元総務相(64)を推薦し、民進党と共産党など野党4党は「憲法改正反対」を掲げるジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)を支援する。後出しジャンケンで目立った鳥越氏だが、中国の軍事的脅威などがあらわになるなか、特異な発言を連発していた。

「参院選の結果を受けて、昨日(11日)夕方ごろに決めた。改憲の流れを変えたい」

鳥越氏は出馬の動機について、12日の記者会見でこう語った。都政がテーマになるべき都知事選だが、具体的な政策や公約は語られなかった。ただ、「国政の代理戦争」といえる動きを、メディアは大きく取り上げた。

ジャーナリストとして著名な鳥越氏だが、最近は、安倍晋三政権が進めた安全保障法制などを厳しく批判してきた。

2014年8月に放送されたNHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」では、日本を取り巻く東アジアの安全保障情勢について、次のように語った。

「(日本は)安全でなくなったとか、日本の国が攻められるような感じになってきたという声がある(中略)。みなさん、日本の平和が侵されるような状況になっているという大前提でお話になっているが、そんなことは虚構です。そんなの、ありませんよ。どこの国が攻めるんですか」

「確かに空気として、尖閣諸島(沖縄県)が何となく危ないなとか、中国が近くまで来ているとか、北朝鮮がミサイル打っているというのはあります。しかし、それはすぐ、日本がそれで攻められるのか。日本の国民の命が危ないのか。そんなことはないですよ」


動画はブログ管理人挿入

中国は南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地化し、周辺諸国と衝突している。東シナ海の日中中間線付近にも、軍事転用可能な海洋プラットホームを多数建設している。中国メディアは尖閣だけでなく、沖縄全体を「中国のもの」と公言している。中国漁船は、東京・小笠原諸島周辺でサンゴを強奪している。北朝鮮は弾道ミサイルの開発を続けている…。

テレビ発言は2年前だが、鳥越氏は今でも「中国や北朝鮮の脅威はない」と言い切るのか。

世界で評価されている自衛隊のPKO(国連平和維持活動)にも、特異な持論を持っている。

鳥越氏は同じ番組で、「カンボジアに自衛隊がPKOで行ったとき、道路をつくったが、1年後に取材に行ったら完全に道路は消えてしまっていた。雨が降って。(PKO活動は)無駄です」と言い放ったのだ。

昨年6月には、鳥越氏は安保法制の反対集会に駆け付け、「国民が反対をしていることを無視して進むのは独裁以外の何者でもない。あのアドルフ・ヒトラーがやろうとしていることと同じだ。安倍政権ではなく『アベドルフ政権』だ」などと、安倍首相を激しく罵っている。

なるほど、鳥越氏は「民共勢力」との強い親和性を持った候補といえそうだ。ただ、都知事には1300万都民の生命と財産を預かる責任がある。鳥越氏の現状認識で大丈夫なのか。

【私の論評】なぜかメディアで指摘されない、鳥越氏の知的水準(゚д゚)!

上の記事には、"NHKスペシャル「シリーズ日本新生 『戦後69年 日本の平和を考える』」"の動画を掲載しました。しかし、この動画はいずれ削除されてしまう可能性も大きいので、以下にこの動画の一部、特に鳥越氏の発言の部分を切り取った動画を以下に掲載しておきます。



とにかく、上の記事でも指摘する通り、日本には攻め込む国などないの一点張りであり、攻めこむ国があるなどと思い込むのは妄想だといわんばかりです。これは、最近問題になっている、高所平気症と似たような症状です。

さらに、鳥越市氏は他の番組で、日本の都道府県数が55であると発言したことがあります。

これについて、ツイートをしたところ、都道府県に関しては興味深い反応がありました。

そのツイートの内容を以下に掲載しておきます。
もしかして鳥越さんは1都9道2府43県として、朝鮮八道を加えているのでは?だと55で合ってるwいつの時代の話だか。時を越える老人の発言だから気にしない方がいいと思います。
確かに、朝鮮八道を加えると、55にはなります。

ちなみに、朝鮮八道(ちょうせんはちどう)は、李氏朝鮮(朝鮮王朝)が朝鮮半島に置いた8つの道(行政区画)のことです。


400年以上にわたって同一の区分が用いられたため、「八道」は転じて「朝鮮全土」のことも指しました。鶏林八道(けいりんはちどう)と呼ぶ事もあります。8つに区分された道は、現在も地域的なまとまりとして捉えられています(朝鮮の地方)。また、現在の韓国と北朝鮮の行政区画の基礎にもなっています。

朝鮮八道とは、具体的には、以下の8つの道です。「首都近郊」を意味する京畿道を除く7つの道の名は、主要な2つの都市の名を並べたものです。
八道語源
京畿道(キョンギド)首都近郊を意味する
忠清道(チュンチョンド)忠州+清州
慶尚道(キョンサンド)慶州+尚州
全羅道(チョルラド)全州+羅州
江原道(カンウォンド)江陵+原州
平安道(ピョンアンド)平壌+安州
黄海道(ファンヘド)黄州+海州
咸鏡道(ハムギョンド)咸興+鏡城

少し話がずれてしまいました。さて、もう一度12日の出馬の記者会見に話を戻します。以下に、その動画を掲載します。



この動画をご覧いただければ、例えば先にも指摘したように、「私はみなさんご承知の通り、現在76歳です、昭和15年生まれです、終戦時(昭和20年)に二十歳でした」という発言は、2つの意味でジャーナリスト鳥越俊太郎を象徴していると思います。

まず第一点、この人は、昔から数字にはかなり弱いです。上での述べたように、昭和15年生まれなら終戦時昭和20年は五歳です。二十歳では、全く計算が合いません。

そして第二点、この人昔から物言いが不遜であり、思いあがっているか、言葉遣いを知らないということです。これは、多くの人が指摘しています。

自分の年齢76歳を表明するのに前置きして、「みなさんご承知の通り」などよく言えまるものだと思います。彼は、年齢も広く世間に知れ渡っているほどに有名なジャーナリストではありません。「みなさんご承知の通り」という言葉の使い方を、間違えています。

そうして、東京都の出生率を「他府県に比べて高いが」と言った後で、裏方からメモで「東京都の出生率は47都道府県で最低」と訂正を余儀なくされています。

ここでも、どのような文脈で東京都の出生率を用いたのか、具体的に発言を遡(さかのぼ)り、訂正しながらも、主張したいことの骨組みはぶれてはいないことを説明すればよいのに、メモを見て恥ずかしげもなく訂正するだけでした。

他にもご本人も「準備不足」を認めてはいるのですが、それにしても以下のような発言は気になります。

「都政の問題点は時間がなかったので良く分からない」

「政策はまだ考えてない、後で選挙公約にしてお渡しします」 

「五輪にどれくらいの金が掛かるか具体的な数字は今押さえていない」

「他の候補者の公約は関心がなかったから知らない、これから勉強する」

ほとんど、すべてがこれからなのです。準備不足もたいがいにしろと言いたくなります。自分で調べられなかったら、誰かに調べさせ、俄勉強するか、覚えられないならメモを持ってくるくらいのことはすべきでした。

準備不足を認めた上でも、記者会見をつぶさに拝聴して、私が感じた素直な感想は、準備不足で片づけられないであろう発言の不確かさです。この方は、知的に大丈夫なのかということです。

たしかに、普通に生活するならあれでも良いと思います。しかし、都知事になるには知的水準に問題があるのではないかと思います。

知事候補者としての主義主張以前に、公の場所である記者会見で話す内容としては、あまりに話がまとまりがないですし、あまりにも発言内容にミスが目立つ上、肝心なところはすべて堂々と「準備不足なのでこれから勉強します」です。

しかし、東京都の出生率が最低なのことも、オリンピックの概算予算も押さえていないというのはいかがなものかと思います。それくらい、俄勉強もしないで、東京都の知事に立候補して記者会見を開催しても良いものなのでしょうか。

民主党の岡田代表が、「大変な実績」があるジャーナリストと評する、鳥越氏がこのような初歩的なことを間違えたり、答えられないというのは、はたして「準備不足」の問題として片付けられるのでしょうか。

会見全体のまとまりのないダラダラ感ともあわせて、知的な意味で候補者としては、とても相応しいとは思えません。

しかし、このことについて、どのメディアも伝えていません。鳥越氏には、誰の目にも明々白々な重要なファクトとして、知事候補者としては知的に問題があるというこの事実について、どのメディアも報道していません。

以上は、主に、先日の記者会見を見た上で私が、抱いた感想です。

他にも最近は、鳥越氏の日々の発言にかなり問題があるようです。それに関しては、産経新聞で阿比留瑠比氏が指摘していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
阿比留瑠比の極言御免】都知事選、野党候補は大丈夫か?
野党4党幹部らと団結する鳥越俊太郎氏(中央)。左から社民党・又市征治幹事長、民進党・
枝野幸男幹事長、鳥越氏、共産党・小池晃書記局長、生活の党・川島智太郎事務総長=12日、
東京都千代田区・衆議院第二議員会館
この記事では、上で述べたきたことの他に、高市早苗総務相の米議会勤務歴、日本会議、安倍晋三政権はテレビ報道の監視チームなどについて、すべて憶測で間違って語っていたことが掲載されています。

上記のような、数々の言い間違い、準備不足、憶測でものを語る性癖など、これはジャーナリストの流儀にも背くものですし、無論とても東京都知事としても相応しいとは思えません。現状では、都知事候補者として、知的水準に問題があります。

私は、東京都民ではないので、知事選挙に投票することはありませんが、都民は最低限上のような事実を知った上で投票すべきです。

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2016年4月26日火曜日

【豪次期潜水艦】共同開発相手はフランスに決定 日本の「そうりゅう型」は落選 中国の圧力に日和る?―【私の論評】保守も指摘しない、日豪共同開発の頓挫が日本にとって良いことのこれだけの理由(゚д゚)!

【豪次期潜水艦】共同開発相手はフランスに決定 日本の「そうりゅう型」は落選 中国の圧力に日和る?

フランス提案の潜水艦のデザイン
オーストラリアのターンブル首相は26日、記者会見し、日本、ドイツ、フランスが受注を争っていた次期潜水艦の共同開発相手について、フランス企業に決定したと発表した。日本は、官民を挙げて、通常動力型潜水艦では世界最高レベルとされる「そうりゅう型」を売り込んだが、選ばれなかった。

ターンブル氏は、造船業が集積する南部アデレードで会見し「フランスからの提案が豪州の独特なニーズに最もふさわしかった」と選考理由を述べた。さらに、海軍装備品の中でも最も技術レベルが必要とされる潜水艦が「ここ豪州で、豪州の労働者により、豪州の鉄鋼で、豪州の技術により造られるだろう」とし、豪州国内建造を優先した姿勢を強調。7月に実施する総選挙に向けてアピールした。

地元メディアによると、ターンブル氏は25日夜、フランスのオランド大統領に電話をし、結果を伝えたという。

日本は受注競争で、「そうりゅう型」の実績や性能の高さ、日米豪の安保協力深化を訴えた。一方、フランス政府系造船会社「DCNS」は潜水艦の輸出経験が豊富で、現地建造による2900人雇用確保など地元経済への波及効果を早くからアピールしてきた。

次期潜水艦は建造費だけで500億豪ドル(約4兆3千億円)で、オーストラリア史上最高額の防衛装備品調達。アボット前首相は日本の潜水艦を求めたが、支持率低迷で昨年9月にターンブル氏に政権を追われて交代。ターンブル氏が経済連携を重視する中国は、豪州側に日本から潜水艦を調達しないよう、圧力をかけていた。

【私の論評】保守も指摘しない、日豪共同開発の頓挫が日本にとって良いことのこれだけの理由(゚д゚)!

日本の「そうりゅう型」潜水艦
日本では、「そうりゅう型」潜水艦が落選したことについて、否定的に捉える人も多いですが、私自身は良かったのではないかと思います。
その理由をいくつかあげておきます。

まず第一に、潜水艦の海外との共同開発、現地生産ということになれば、本来戦争アレルギーの民進党・共産党が大反対するはずですが、これに対して不思議なほど何の反応も示していません。

オスプレイの配備などには、共産党は前から大反対しています。民進党では、オスプレイに関しては対応が分かれています。

民進党の原口一博元総務相(衆院佐賀1区)が19日の熊本地震に関する党災害対策本部の会合で、被災者のための救援物資輸送を行っている米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、安全性を理由に「やめてほしい」と述べていました。

山尾志桜里政調会長は20日の記者会見で、オスプレイの活用について「党として何か判断をしてコメントをする段階ではない」と強調。民進党として安倍晋三首相に同日行った申し入れでもオスプレイには触れておらず、民進党内で見解が分かれています。

おそらく、親中派はオスプレイに反対しているのだと思います。何しろ、オスプレイが配備されたことにより、尖閣などの有事があった場合、米軍は大量の海兵隊員を迅速にピンポイントで大量に運ぶことができます。

オスプレイは、日本の自衛隊にも配備するという話もあり、自衛隊に配備されてしまえば、自衛隊も米軍と同じように、大量の自衛隊員を迅速にピンポイントで運ぶことができます。

これは、本当に中国が嫌がるわけです。だから、パヨクはオスプレイをことさら忌み嫌います。沖縄でもパヨクが、大反対運動を展開しています。

輸送支援を行う米軍のオスプレイから物資を運ぶ自衛隊員ら =18日午後、熊本県南阿蘇村
このオスプレイの事例をみれば、日本の「そうりゅう型」潜水艦がオーストラリアとの共同開発するということにでもなれば、中国が嫌がるということで、共産党も、民進党も大反対するはずです。しかし、なぜか何の反対もありません。これは、不思議です。そうして、わかりやすいです。

結局「そうりゅう型」潜水艦がオーストラリアと共同開発ということになると、オーストラリアを仲介して、潜水艦の技術が中国に伝わるということなのだと思います。そうして、それは、中国にとって良いことです。

何しろ、中国の潜水艦の技術水準はかなり低くく、日本の潜水艦、それも特に「そうりゅう型」潜水艦の技術水神は段違いに高く、静音性から中国の原潜を圧倒できます。

「そうりゅう型」潜水艦はほとんど無音と言って良いくらい静かで、これは、中国側の技術水準をもってしては、補足できません。これに対して、中国の潜水艦は、まるでドラム缶をドンドンと叩きながら水中を進むようなものと形容されるくらい騒々しいですから、そもそも最初から発見しやすいですが、日本の対戦哨戒能力は世界一ですから、中国の潜水艦の位置などすぐに発見できます。

これだと、最初から勝負にならないわけで。中国海軍は、日本海軍とは比較にならないほど脆弱で、戦争状態になれば、中国海軍は戦う前に、海の藻屑と消え去る運命です。

これほどの、「そうりゅう型」潜水艦がオーストラリアで共同開発ということになれば、オーストラリア経由で、中国に「そうりゅう型」潜水艦の技術が伝わるということになるのだと思います。そうして、中国の潜水艦の建造技術が格段に上がれば日本にとっかかなりの脅威です。

中国は、本当はそれを目論んでいたのだと思います。しかし、そんなことはおくびにも出さず、あたかも中国は「そうりゅう型」潜水艦の日豪共同開発に反対しているような素振りをして見せたのでしょうが、日本のパヨクに対しては、オスプレイ反対のときのように、日豪共同開発に反対させるようなことは全くしなかったのでしょう。

日本のパヨクは、中国からは、間接的にも直接的にも指示がなかったので、特に日豪共同開発に異議も唱えなかったのでしょう。

米軍のF35戦闘機
第二に、そもそも、オーストラリア側が要求していたのは「そうりゅう型」ではなく「改そうりゅう型」のフルスペック現地生産です。これだと、すべての技術がオーストラリアに移転されてしまう恐れがあります。

武器輸出大国のアメリカでさえ、 韓国に対して戦闘機の核心的技術情報の提供を拒みました。韓国は、米ロッキード・マーチンのステルス戦闘機F35を購入する代わりに、同社から技術支援を受けて2025年までに国産戦闘機を開発する予定でしたが、同盟国である米国が核心技術4種類の提供を拒否しました。

アメリカは、中国に接近する朴槿恵大統領の姿勢をみて、最新鋭の戦闘機の核心的技術を韓国に提供すれば、それが韓国経由で中国に流れるとみて、提供を拒否したともののようです。

日本は、武器輸出経験に乏しく、かつアメリカのように武器のダウングレード版の製造・輸出の経験もありません。アメリカに圧倒的にこのような経験では、劣る日本が 技術流出対策ができるとは思えません。

さて、「そうりゅう型」の性能や特徴など、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「日本以外なら中国の勝利意味する」豪潜水艦共同開発で米政府―【私の論評】世界の海から原潜が消える日も?中国が最も恐れる怪物 改「そうりゅう」(゚д゚)!
「そうりゅう型」潜水艦 「うんりゅう」
さて、この記事では、「そうりゅう型」潜水艦の、性能や特徴などについて掲載しました。この記事をご覧いただければ、「そうりゅう型」潜水艦がいかに優れているか、通常型潜水艦としては世界でトップであること、原潜には及ばないものの、かなりの潜水時間があることなどがおわかりになると思います。

この記事を書いたときには、私自身は、まだ潜水艦の日豪共同開発が決まれば良いと、不覚にも思っていました。

しかし、それは今思い返すと全くの間違いでした。この記事ではー表題にもある通り、豪潜水艦共同開発「日本以外なら中国の勝利意味する」と米政府が声明を出しています。だから、単純にアメリカでさえ、このような主張をするのだから、日豪共同開発は良いことだと思いました。

しかし、考えてみると、日本の潜水艦の技術はアメリカも欲しがる高度なものです。それに、アメリカはF22戦闘機を輸出していません。日本にも売りませんでした。そのアメリカがこのような主張をするのは、アメリカも、日本の潜水艦の情報を知りたいからに違いありません。

日本は技術的には優れています。だから、日本も戦闘機も自前で作ることができるはずです。しかし、従来のアメリカは日本にそれを許しませんでした。米国で作成したもののダウングレード版を高く売りつけるというやり方で、日本に武器を調達させてきました。

本来なら、日本の潜水艦技術を欲しいなら、日本に直接要求すべきでしょうが、それをすると、日本の武器輸入に関する要望に応えるなどのかなりの譲歩を迫られることになります。

ところが、オーストラリアから間接的に、日本の潜水艦技術を入手するということになれば、オーストラリアは日本から比較すれば、技術的にも、経済的にも軍事的にもかなり遅れているため、これに対して払う代償は少なくてすみます。

だからこそ、潜水艦の日豪共同開発に賛成し、これが駄目になれば、中国の勝利とまで言って見せたのです。何のことはないです。米中で日本の潜水艦技術を手に入れようとしていたのです。

オーストラリアのアボット前首相(左)と、ターンブル現首相(右)
第三に、現在のターンブル首相は、親中的でであるということがあります。昨年9月オーストラリアの自由党の党首選でターンブル氏が勝利を収め、新首相に就任することが決まりました。安倍晋三首相を「最高の友人」と呼んで日豪の蜜月関係を築き、共通の同盟国である米国とともに安全保障関係の強化も進めて中国を牽制(けんせい)したアボット氏の退陣で、日本の対豪戦略は見直しを迫られることになりました。

ターンブル新首相について、「中国寄り」と懸念する声が豪州国内で広がり始めました。親族に中国共産党の元幹部がいると指摘されるほか、枢要な情報インフラであるブロードバンド網の構築に中国企業を参入させようとするなど、安全保障政策への影響を懸念する声が上がっていました。

台湾メディアなどによると、問題の人物は新首相の長男アレックス・ターンブル氏(33)の義父にあたる91歳の人物。アレックス氏は北京に語学留学中、この人物の娘イボン・ワン氏と出合い、2012年に結婚しました。義父は文化大革命の最中に米国で学び、中国に戻った後は中国共産党の研究所に勤め、政府に提言していたといわれます。

ターンブル家と長年つきあいがあるコラムニストのクリストファー・ジョイ氏は豪経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューへの寄稿で、こうしたつながりのせいで、米豪の情報機関が「ターンブル首相は安保政策や中国の脅威への対応が甘い」との懸念を抱いていると指摘していました。

このような首相に変わったのですから、日本も米国が朴槿恵が中国寄りの姿勢を見せたことに警戒して、戦闘機の核心的技術を韓国に提供しなかっのですから、日本も当然のことながら、潜水艦の核心的技術をオーストラリアに提供すべきではありません。


以上のような観点は、なぜか日本の保守の方々もあまり指摘していませんでした。私自身も、最初は気づかなかったのですが、日本の民進党や共産党が反対しないといことで、不思議に思い、いろいろ調べてみて、このような結論に至りました。

結局のところ、潜水艦日豪共同開発の頓挫は、日本にとっては非常に良いことです。これで、中国への潜水艦技術移転はかなり防御できることになりました。

そうして、オーストラリアにとっても、特に「そうりゅう型」を導入しなくても、デメリットはさほどないです。なぜなら、中国の対潜哨戒能力はかなり低いので、フランスの開発した潜水艦でも、中国にとっては比較的発見しにくいということがあります。

中国は、「そうりゅう型」の日豪共同開発には大反対の意向を示していましたが、中国も一枚岩ではありません。大反対の派閥もあれば、賛成の派閥もあることでしょう。

アメリカもさすがに中国ほどではありませんが、派閥があります。今回は、日豪共同開発に賛成のほうが上まわったので、議会も賛成にまわったと考えられます。

今回の共同開発には、豪、米、中、日、仏、独および個々の国の派閥の思惑が複雑に絡み合い虚々実々のかけ引きが展開されたに違いありません。

日豪共同開発が決まれば、短期的にみれば、中国にとっては脅威です。しかし、長期的にみれば、中国にとって豪からの技術漏洩が期待できます。

実際、豪では、情報漏えいの懸念もあります。たとえば、次期潜水艦の共同開発相手について地元メディアなどが先週、日本が落選し、ドイツとフランスのどちらかに絞られたと報道したことに関し、オーストラリア国防省が、国家機密が漏れた疑いがあるとして連邦警察に捜査を依頼したことが分かっています。

豪は無論のこと、米、中も日本の高度な潜水艦技術は垂涎の的であることは確かです。そうして、中国にとっては日本の海軍力が脅威であることも確かです。それについては、以下の2013/07/08公開の以下の動画をご覧になってください。


この動画をご覧いただいてもおわかりになるように、現在日本の海軍力は、中国よりかなり上です。それは、日本の対潜哨戒能力が高いことと、「そうりゅう型」潜水艦等の技術的優位性によるところも大きいです。

この優位性は、将来にわたっても、維持強化すべきであって、外国勢特に中国には秘匿すべきものです。これが、新幹線の技術のように盗まれれば、外国に売り込みがしにくくなるどころか、日本の安全保証の根底が揺るがされることになります。

それにしても、日本国内でも、このような主張をする人は、左右上下にかかわらず、あまりいませんでした。そこが非常に気がかりです。


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