ラベル 貢献 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 貢献 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年11月19日月曜日

【瓦解!習近平の夢】ペンス氏、「中国共産党」への宣戦布告 講演で宗教弾圧を指摘―【私の論評】日本も世界の"信教の自由"に貢献すべき(゚д゚)!


ペンス副大統領

 「国際社会は一体となって、各地の残虐行為をやめさせなければならない」

 キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ法王庁)が声明を出すなど、これまで70年近く、対立する関係にあったのが、“無神論者”の集団、中国共産党が統治する中国だった。

 世界各国のカトリック教会において、司教の任命権はバチカン、すなわちローマ法王にある。だが、中国政府はそれを「内政干渉だ」と拒絶し、共産党の主導で、バチカンとは独立した形でカトリック団体を設立し、独自に司教の任命を行っていた。

 一方、キリスト教に帰依する中国国内の人民たちは、中国政府の監視や干渉から逃れて活動する教会、いわゆる「地下教会」へ通っていた。信者数が増え、規模が大きくなった地下教会に対して、中国政府は、見せしめ的にカトリックの神父や、プロテスタントの牧師を拘束したり、教会や関連施設を破壊するなどの弾圧を続けていた。

 そのようななかで、今年9月下旬、「バチカンが中国と司教任命権問題で暫定合意」という衝撃のニュースが世界を駆けめぐったのだ。しかも、習近平政権が、ウイグル、チベット民族などへの宗教弾圧をますます強めていることを、人権団体やジャーナリストが、数々の証拠とともに告発していた最中の、いわば「あり得ない合意」だった。

 中国のキリスト教信者数は、政府の公式統計によると、プロテスタントが3800万人、カトリックが600万人とされている。ここに「地下教会」へ通う信者も含めると、総計で2倍強の9000万人以上と推測されている。

 習政権は4月、『宗教白書』という文書を発表したが、ここには、「宗教の中国化を進める」と記されていた。地下教会を含む宗教組織を、今後、共産党の管理下に置き、党を支持するよう誘導していく算段であることが分かる。

 事実「宗教情報員」システムも稼働している。中国統一戦線工作部に任命された情報員の主な仕事は、宗教活動を含む一般住民の生活と、「隠れた危険」をはらむ思想や活動を、各地区の宗教事務局に適宜報告することだ。情報員にはわずかながら報酬も支払われるが、反対に報告を怠ると罰金が科される。これはまさに、毛沢東時代の文化大革命と同じ、チクリ社会であり恐怖政治の幕開けである。

 それにしても、なぜバチカンが暫定合意したのか?

 「欧州でカトリック教徒の教会離れ、信者減が顕著に進んでいたから」との解説もあるが、“無神政党”に乗っ取られるとの危機感がなければおかしい。

 マイク・ペンス米副大統領は10月4日、ワシントンのハドソン研究所で講演し、「邪悪な中国共産党」との戦いを呼びかけた。ペンス氏は敬虔(けいけん)なカトリック信者でもある。「(宗教を含む)自由と民主」「法の下の平等」「人権」という価値観を持たない、習政権への宣戦布告である。

 日本の政財官界もいい加減、「神の存在なき隣国」との付き合い方を、抜本的に見直すべき時に来ているはずだ。=おわり(ノンフィクション作家・河添恵子)

【私の論評】日本も中国の"信教の自由"に貢献すべき(゚д゚)!

米国の国務省は5月29日、各国の信教の自由に関する2017年版報告書を発表しました。報告書では特に北朝鮮について、宗教活動に携わった人々が処刑・拷問・殴打・逮捕の対象になるなど、「苛酷な状態」に置かれていると指摘されています。


北朝鮮では、宗教の自由を侵害する事例が昨年だけで1304件発生しており、政治活動や宗教活動が理由で政治犯収容所に拘束されている人々が、約8~12万人に上るとの推計も示されています。

「宗教の自由問題」担当の特別大使として、2月からトランプ政権の国務省に加わったサム・ブラウンバック氏は、同日の記者会見で、「米朝首脳会談でも、信教の自由の問題が議論のテーマになる」との見通しを示しました。

自身もローマ・カトリック信者であるサム・ブラウンバック氏

トランプ大統領は5月3日、信仰に関する新しい部署「信仰・機会イニシアチブ」をホワイトハウスに設置する大統領令に署名しました。

9日付クリスチャン・トゥデイによると、トランプ氏は、「この部署の役割は、宗教団体が平等に政府の基金に預かり、信条を実践する権利を平等に持つことを保証するものです。この措置を取る理由は、多くの問題や大きな課題を解決する上で、信仰の方が政府よりも力強いことをわれわれは知っているからです。神よりも力強い存在はありません」と述べています。

米国や他国における信教の自由を守ろうとするトランプ氏の決意の表れとも捉えられます。

今回発表された報告書の中では、チベット仏教徒、ウイグルのイスラム教徒、法輪功の学習者などに対して、中国政府が行っている宗教弾圧についても言及されています。

5月30日付大紀元時報では、「中国は憲法で、国民には宗教と信仰の自由があると定めているが、中国共産党の利益にならない宗教を『脅威』と定め、支配と統制を行っている」「中国共産党政府は『愛国的な宗教活動』だけを認めており、登録されていない宗教の信仰者に対しては拷問、心身の虐待、拘束、不当な有罪判決を下している」と報じられました。

トランプ米政権は、世界の宗教の自由を保護する立場を強く打ち出しており、7月25~26日に宗教の自由を推進する閣僚級会合を開催しました。


米ワシントンD.C.で80か国の外相が出席した閣僚会議が中心となる、宗教の自由週間では、Bitter Winterが司会を務めるディスカッションが開幕イベント(上 写真)となり、中国で行われているウイグル族、法輪功、全能神教会への弾圧について話し合いました。

この会議において、弾圧されている各宗教の当事者に取材したレポーターによると、それぞれが口をそろえて述べていたことは、「アジアの大国である日本への期待」でした。アジアの多くの国が中国の経済力に依存している中、日本を頼りにしている人権活動家が多いことがうかがえます。https://jp.bitterwinter.org/tag/ministerial-to-advance-religious-freedom/

また、このレポーターによば、中国や北朝鮮で、「信教の自由」を求めて中国共産党や金正恩政権の弾圧に耐える人々の話に触れることで、「信教の自由」がいかに大切なものであるかを実感できるとしています。

ペマ・ギャルポ氏

日本に亡命しているチベット人学者のペマ・ギャルポ氏は、「宗教がなければ、善悪の区別ができません。善悪の区別がないところに、正義はありません」と述べました。日本人へのメッセージを求めると、「日本の方には、現在、どれほどの自由を享受できているのかを認識するとともに、他の国で自由を奪われて苦しんでいる人々にも関心を持っていただきたい」と述べました。

そもそも、中国や北朝鮮の独裁政権が国民を拘束して拷問したり、あらゆる自由を奪ったりしているのは、人間を「機械」としか見ていないためです。その背景には、神も仏も信じない「無神論国家」であることがあります。日本としても、アジアに信教の自由を広める動きを後押しする必要があります。

日本国憲法20条には「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」とあります。信教の自由は具体的には、(1)内心における信仰の自由、(2)宗教活動の自由、(3)宗教結社の自由の3つを意味します。

つまり、たとえ反社会的な内容であっても、個々人の心の中で信仰し、行動として表さない限りにおいては何ら制約を受けません。そして、布教活動を始めとする宗教活動や宗教団体を結成することに対しても自由が与えられています。

ただし、宗教活動が反社会的であったり犯罪行為を伴う場合は、その自由も制約を受けざるを得ないことはいうまでもありません。また、宗教団体の信教の自由と個人のそれとを同等に論じることはできないです。個人の自由を基本とする現行の憲法下では、宗教団体を構成する個人の信教の自由がまず優先されると考えられます。

このような日本では、たしかに特定の宗教に属している個人を弾圧するなどということはありません。

また、昔から八百万の神として、神々を受け入れ、他国に比較すると、互いに過激な摩擦を起こすこともなく、他国にみられる宗教戦争もなく、長い間過ごしてきたという伝統もあります。

そのような日本は、信教の自由を強く主張できると思います。だからこそ、先にも掲載したように、弾圧されている各宗教の当事者口をそろえて「アジアの大国である日本への期待」を述べたのでしょう。

【関連記事】

2012年9月28日金曜日

【動画あり】天使のような歌声で『君が代』を歌う女子高生 / 視聴者「神々しい歌唱力。涙が出る。」−【私の論評】ニッポン人が忘れたアメリカのゲーミフィケーション活用サイトにみる「大義」


【動画あり】天使のような歌声で『君が代』を歌う女子高生 / 視聴者「神々しい歌唱力。涙が出る。」

『君が代』といえば、学校の入学式、卒業式などの行事やワールドカップやプロ野球の開幕戦などで歌われる、言わずと知れた日本の国歌だ。

有名なスポーツの試合でプロの歌手が君が代を歌い話題になることはよくあるが、2010年に開催された第82回選抜高校野球大会で野々村彩乃さん(当時広島音楽高校3年)が歌った君が代の独唱があまりに美しすぎると、現在でも話題になっている。

野々村さんの歌声を聴いた視聴者は「世界一の国歌である。是非もない。聞くだけで涙が出る。」や「神々しい歌唱力。涙が出る。」などのコメントを残し、大絶賛の嵐。

現在野々村さんは声楽家として活躍しており、東日本大震災チャリティーコンサートを開催するなど幅広い活躍をしているようだ。しかしこんなにも美しい歌声で国歌を聴くと、本当に心へ響くものだと実感した。

参照元:Youtube kyuu38
この記事の続きこちらから?

【私の論評】ニッポン人が忘れかけたアメリカのゲーミフィケーション活用サイトにみる「大義」


この動画素晴らしいです。ニッポン人(日本の伝統文化を継承していない日本人という意味)は、別として、日本人なら誰もが感動するものだと思います。今回は、ニッポン人が忘れた、「大義」に関して掲載します。そうして、最近脚光を浴びているアメリカのゲーミィフィケーションの要素を取り入れた、サイトであるStackOverflowというサイトにおける「大義」についても掲載します。

「君が代」は、国民国歌であり、国という一つの日本人のまとまりに対する 気持ちや忠誠心を表現している歌です。これに対してなぜ、上の記事のように感動している人が多数存在するのか、私たちは、今一度考えてみる必要があります。私は、このブログにいく度か、「大義」に関して掲載したことがあります。大義というと、今のニッポン人は、ほとんど忘れていて、何か軍国主義の断片か、それとも、単なる懐古趣味の産物であるかのように思っているようです。しかし、そんなことはありません。

「大義」は、どのような社会にも、コミュニティーにでもあるものです。会社や、学校、役所など、どこにでもあるものです。国家が一つにまとまっているのなら、その国家にも、「大義」は存在します。この「大義」がなければ、どのコミュニティーも、組織もいずれ瓦解します。どのような組織も社会にしても、そもそも「大義」があるから成り立っているのです。

三島由紀夫氏
では、大義とは何でしょうか?これを思い起こすには、やはり、三島由紀夫氏が生前に語っていた言葉を思い起こすべきと思います。その言葉とは以下のようなものです。

「人間は、自分のためにだけ、生きていけるほど強くはない。自分以外のために生きるということが大義であります」

大義の本当の意味は、「自分以外のために生きる」ということです。そうして、三島氏はわざわざ付け加えませんでしたが、「人間は、自分のためだけに死ねるほど強くはな。自分以外のために死ぬということが大義でもあります」ということもその裏返して定義の中に含めていると思います。

三島由紀夫氏
無論後者のほうは、普段は、なかなかあり得ないことですが、平和な日本でも、緊急災害時には、起こり得ることです。こんなときに、多くの人が、自分のためだけに生きている人であれば、大変なことになることは十分予想できます。この大義を多くのニッポン人が忘れています。試みにサイトで「大義」を検索してみたところ、どの内容も上の三島由紀夫氏が語っていたような内容を掲載していませんでした。

いくか調べてみたのです、調べた中には、本来の意味での大義は掲載されていませんでした。以下は、Goo国語辞書の内容です。
1 人として守るべき道義。国家・君主への忠義、親への孝行など。「―に殉じる」
2 重要な意義。大切な事柄。「自由平等の―を説く」
このうち、1のほうの定義は、三島氏の定義に近いですが、全く同じではありません。これは、ごく狭い範囲の定義にすぎません。それともっと、驚いたことには、私が調べたいくつかのいわゆる「和英」のサイト辞書を調べでは、「自分のために生きるのではなく他のために生きる」という三島氏の定義は、掲載されていません。ちなみに下は、weblioというサイトの「大義」の英語訳です。
〈正義〉 justice; 【形式ばった表現】 righteousness
〈目的〉 a (great) cause
平和の大義のために
【形式ばった表現】 in [for] the noble cause of peace.
明らかに、正義、目的とは、三島由紀夫氏の言う「大義」は異なります。正義、目的とは、大義よりももっと、下の概念です。このこと一つとっても、日本では、「大義」の元々の意味か忘れされていると思います。ちなみに、三島氏の本来の定義を英語で記せば以下のようになると思います。

"Taigi" means that person is not strong so as to live in for only oneself, but strong enough for othrs, and person is not storong so as to die in for only oneself, but strong enought for others.

このこと一つとっても、日本では、この大義という言葉の本来の本来の意味は、ほとんど忘れ去られているのだと思います。しかし、自分のためにだけ生きるニッポン人は、どんなに努力しても、頭が良くても、人気があっても、強くは生きられないのです。そうして、上の記事で、「君が代」を歌う少女に多くの人たちが、感動してしまうのは、こうした本来の意味での「大義」のために生きるということを無意識に思い起こさせるからではないかと思います。だから、きっと、日本では、まだまだこの「大義」という考えは、死滅したというわけではなく、多くの人の顕在意識ならびに、潜在意識中に残っているのだと思います。特に、潜在意識の中には強く残っているのだと思います。

乃木希典
この「大義」というと、日本では本来忘れてはいけない、人物がいるのですが、今のニッポン人は、ほとんど忘れています。それは、誰かといえば、乃木希典です。正論という思想誌に以下のようなタイトルの記事が掲載されていました。そうして、その要約が、izaといサイトに掲載されていました。そのURLを以下に掲載します。

【正論】いまの危機は「忠誠心」の喪失に 文芸批評家、都留文科大学教授 新保祐司

詳細は、『正論』をご覧いただくものとして、iZAから結論部分のみを以下にコピペしておきます。
 ≪人間として高貴な価値の実現≫
明治の批評家、北村透谷は、「想像と空想」というエッセーの中で、「吾人もし徒らに現実を軽んじて、只管(ひたすら)空理空論に耽(ふけ)ることあらば、人間として何の価値あるを知らざるべし」として、「空想に耳を傾くるは、今日を忘れ又た明日をも忘れんとするにて、人間として戦ふべき戦場を逃出でんとする卑怯(ひきょう)武士に過ぎず」といった。乃木も内村も「人間として戦ふべき戦場」で「理想」のために「痛烈」に戦った人であり、「空想」に逃げる「卑怯武士」ではなかった。  
しかし、今後の日本人が人間としての高貴な価値を実現していくためには、忠誠心を回復しなくてはならず、その対象を「空想」のうちにではなく、「純粋な痛烈な理想」のうちに見いださなくてはならない。この忠誠心の「一番純粋な痛烈な」典型が、乃木大将という人物に具現されている。没後百年の今日、現代の日本人は乃木大将の精神を小林秀雄的にいえば「上手に思い出」さなくてはならない。(しんぽ ゆうじ)
上の記事、『ニッポン人が人間として、高貴な価値を実現していくためには、忠誠心を回復しなくてはならず、その対象を「空想」のうちにではなく、「純粋な痛烈な理想」のうちに見出さなくてはならない』としています。まさにその通りです。そうして、この「忠誠心」昔でいえば「忠義」は、「大義」と同義と見て良いと思います。ただし、「大義」といった場合、「忠誠心」「忠義」よりももっと広くて、上位の位置付けになると思います。

乃木希典
やはり、戦後のニッポン人は、「大義」を見失っていたと言わざるを得ません。それに、大義は、個人が強く生きられるかどうかという次元だけではなく、もっと重要な側面があります。それは、先に述べたように大義なき、コミュニティー、組織、社会、国家はいずれ破綻するということです。

さて、この大義といったとき、私は、昔は日本のほうがはるかに、「大義」を重んじる国であったのに、今では、アメリカのほうが、大義を重んずるようになってきたのではないかと危惧してしまいます。それも、最新の分野での、ITの最新の分野でそのようなことがみられるのです。

どういうことかというと、私がこのブログにも以前述べたように、私は、Corseraというアメリカの一流大学の講義が受けられるサイトで、現在「ゲーミフィケーション」の講義を受けていますが、その中で、アメリカでももっとも成功していて、手本となるあるサイト事例を知りましたが、そのサイトがまさに、「大義」を重んじており、「大義」にもとづき、多くの人たちが協力しあうようにデザインされているのです。

その、サイトの名称は、"StackOverflow"というものです。このサイトの主な内容と、これに関する創設者の公動画など、非常にコンパクトにまとまっていたので、以下に百式というブログからコピペしておきます。

『Stack Overflow』から学ぶ最近のコミュニティ構築術

 so_top
最近個人的に注目しているのがStack Overflow。エンジニアのためのQ&Aサイトですが、短期間(半年)ですでに80万投稿、月間1600万PVを達成しています。なぜこのコミュニティがうまくいっているのか、ReadWriteWebで紹介されていました。
なんとも興味深いのでかいつまんでご紹介。最近のコミュニティサイトに必要な要素がうまいことちりばめられているのではないか、と思います。かいつまんでいうとコミュニティをうまくまわしていくには次の9つの要素が必要とのことです。
9_so_strategies_may_09
↑ この9つね。
    1. 投票機能
    ユーザーに投票させる機能ですね。Stack Overflowでは質問者がベストアンサーを選べるようになっていて、2位以降は投票数でランキングされます。これはYahoo!知恵袋とかもそうかな。
    1. タグ
    この質問に関連する他の質問も読んでみたい!というときありますよね。そうしたときにタグは必須ですな。
    1. 編集機能
    個人的にはこれが一番すごいと思うのですが、Stack Overflowではユーザーが質問も回答も編集することができます。そうすることで質の高いQ&Aが出来上がる、という仕組みです。「人の回答勝手に編集するな!」となりそうですが、編集履歴が全部見れるようにしているのでうまくいっているようですね。
    1. バッジ
    これも秀逸。ユーザーにさまざまな種類のバッジを与えています。これがあることでユーザーのモチベーションもアップ、同時にユーザー同士の評価もできますね。 so_badge
    ↑ たとえばこんな感じ。うまいっすね。
    1. カルマ
    ユーザーがこのコミュニティで活動すればするほどカルマポイントがたまる、という仕組みですね。投票したり投稿したりするとたまります。なお、Spolskyさんいわく「小額の報酬は絶対うまくいかない」とのこと。 so_users ↑ ユーザーランキングも重要ですよね。
    1. プレサーチ
    これは質問を投稿するときに関連する質問を検索してくれる機能ですね。はてなの人力検索なんかでも実装されています。これによって重複する質問をおさえられますね。
    1. SEO
    Stack Overflowの質問にはすべてパーマリンクがついており、質問の内容がそのままURLになっています。検索エンジンにとってわかりやすいのだとか。まぁ、そうかもですな。日本語だとここらへん難しいですよね(Amazonみたいになっちゃいますな)。
    1. パフォーマンス
    Stack Overflowは8 Core Xenon、マイクロソフトのSQLサーバーを使い、2台で全部さばいているそうです。昨今はオープンソースで無料で、という風潮ですが、お金をかけて最小台数で構成、という戦略らしいです。
    1. 最初が大事
    こうしたコミュニティは最初が大事。閑古鳥がないているようでは誰も寄り付きません。そこですでに有名なCoding HorrorのJeffさんを誘ったとのこと。Spolksyさんのブログとあわせて初日から一定数のユーザーを確保したようです。なーるほど。
    個人的には「編集機能」「バッジ機能」が秀逸だと思っているのですがいかがでしょうかね・・・。またここでは語られていないですが、「匿名でもある程度できる」というのも重要かと。ちなみにログインにはOpenIDを使っていますね。最初の敷居が下げてあるのもなかなかですな。

スタックオーバーフローのゲーミフィケーションの手法を、コミュニティー全体がどうのように受けとめるかが非常に重要であることを示しています。コミュニティーの誰かが投稿すると、他のメンバーがその投稿を評価します。すべてのメンバーは、他のメンバーの評価を受けることができます。

このサイトでは、バッジなどのゲーミフィケーションの要素をとりいれて、コミュニティーに貢献する人には、高い評価が与えられ、それが、コミュニティー全体に周知されるようになっています。コミュニティーは、大きくなってくると、新たなメンバーとの目的のずれによって、分離する傾向があります。これに対処するために、様々なゲームの力学を用いているのです。それによって、高い評価を得た人は、他の人の投稿を編集、タグ付、改変したり消去できるようになっています。

私の表現力が足りないため、なかなか伝わらない部分があると思いますが、このサイトではとにかく、自分だけが、何かを学べるとか、ためになるというだけではなく、ゲーミフィケーションを含む様々な機能が駆使されており、とにかく、他のメンバーのために活動する人が高く評価される仕組み導入し、実際、コミュニティー全体に奉仕するように、様々な手法を用いているということです。

コミュニティー全体に奉仕するということ、これまさしく、「大義」です。こうした、自分のためだけというのではなく、他のメンバーのために活動するように仕向ける様々な工夫が、このサイトを支えているのです。そうして、このサイトは大成功しています。この根底には、やはり、人は、大義のために活動することにより、さらに動機付けされることを示しています。

このサイトでは、いわゆる「大義」を重んじるように様々な仕掛けがなされていて、このコミュニティーの価値観ともなっています。こういった、最新のサイトにも、「大義」を実現するために、最新の手法であるゲーミフィケーションの要素を取り入れているのです。そうして、まさに、このコミュニティーに大義の考え方を根付かせるのに成功しています。

さて、ゲーミフィケーションは、日本では、昨年あたりからその重要性について、いわれるようになりました。アメリカのでは、この手法がずいぶん進んでいて、しかも、サイトのコミュニティーの、大義を根付かせるというところまで、進んでいるわけです。


さて、大義を忘れたニッポン人このようなことができるのでしょうか?アメリカもともとは、個人主義的な考え方かが幅を効かせてきた国です。しかし、過去には、こうした大義を忘れた、たとえば、極端な市場原理主義や、夫婦別姓など極端なミーイズムともいわれる、大義を忘れた行動により、すっかり社会が荒廃してしまいました。

しかし、その反省の上にたって、様々な試みがされるようになってきました。それが、たとえば、大義を重んじるようようにデザインされた、ストックオーバーフローのようなサイトの興隆などにみられるわけです。そうして、消費の面では、いわゆるスペンド・シフトという動きが顕著になってきています。これに関しては、本題ではないので、このサイトの過去の記事を参照してください。

サイトも、それにアクセスする人々とのコミュニティーです。このサイトを活用する人が、それぞれ、個人の利益のためだけ、「自分のためにだけ生きる」ようにサイト使っているようでは、そのサイトは、大義を失いいずれ破綻するのです。そうして、アメリカでも、日本でも、活動を停止したり、他のサイトに飲み込まれたサイトはあまたあります。

サイトひとつとっても、「大義」が重要であり、かけがいのないものなのです。サイトで大義を実現した、アメリカ、もっと大きなことでも、「大義」に目覚めていくかもしれません。その動きは確かにあります。


かつて、大義を当たり前のように思っていた日本人、しかし、この当たり前は、戦後の誤った個人主義的教育によって、失われつつあります。しかし、今でも大義を心にとめているからこそ、このブログの冒頭の神々しい少女の「君が代」に感動する人も多いということです。アメリカでは、ITの最新の分野で、「大義」が重んじられており、それが、人々を惹きつけてやまないのです。

「大義」を忘れかけているニッポン人は、これから新しい強い産業、強い日本を再興するためにも三島氏がいう、本来の意味ででの「大儀」の考え方や、必乃木希典大将が具現していた「忠誠心」が要不可欠であることを再認識すべきです。この「大儀」「忠誠心」を現代風に再構築して、ありとあらゆる分野に活用していくべきです。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?



【関連記事】

あの会社も、社員教育にゲーミフィケーションを取り入れている―【私の論評】ゲーミフィケーションは、組織戦略の一環として実施されるべきものである!!


【日本共産党 しんぶん赤旗】きょうの潮流―【私の論評】何を血迷っているのかさっぱり理解できないこの潮流?!!ネット上ではお笑いネタに過ぎない、この感性?

君が代起立命令は合憲=元教員の敗訴確定-再雇用拒否訴訟・最高裁―【私の論評】日本国民として、国歌斉唱は当たり前、それが嫌なら日本国民を辞めるしかない!!






2012年9月7日金曜日

あの会社も、社員教育にゲーミフィケーションを取り入れている―【私の論評】ゲーミフィケーションは、組織戦略の一環として実施されるべきものである!!



「ゲーミフィケーション」とは何か、いま一度確認を。 『ゲームの力が会社を変える』(岡村健右著 日本実業出版社)はこの言葉について、「ゲーム以外の分野にゲーム的要素を組み込むことで、ユーザーのモチベーションやロイヤリティなどを高める手法を指す言葉」であると解説しています。 

つまりは日常生活の様々なシーンにゲーム的な要素を組み込んでしまおうという発想です。わかりやすい例を挙げるなら、たとえば買い物をすることでポイントが貯まるカード、あるいはブログのアクセスランキングなどもこの範疇に収まります。ゲーム性を高めることによって、「やる気」を刺激しようというわけです。 本書では「ゲームを続けるのが楽しいと思う仕組み」を図式化しています。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】ゲーミフィケーションは、組織戦略の一環として実施されるべきものである!!
詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、図式と、結論部分のみ掲載しておきます。まず、図式は下です。

上の図式し、何かを習得したいという欲望を感じ、インセンティブを目的としてチャレンジし、達成したり、達成することで報酬を受け、やる気になるようなフィードバックを受けるうちに、最終的に習得に至るというわけです。
そうして、結局言いたいことは、以下のようなことです。
1.企業は社員のモチベーションを高める効果を期待することができる。 
2.社員は、仕事やコミョニケーションにゲーム感覚を自然なかたちで取り込んでいくことができるようになる。 
3.さらにそれらが結果的には、仕事全体に合理性と有効な結果を与える。


上の、記事では、買い物でポイントが貯まるとか、ブログのアクセスランキングも、ゲーミフィケーションであるとしていますが、これは、確かにわかりやすい事例です。ポイントが貯まる、ランキングなどで、人々は確かに動機づけられます。職場でも同じことです。日々ただ、淡々と仕事をしてもらうより、ゲームのように、目標など明白にして、段階別にスキルが習得できるようにするなどの工夫をすれば、それをしないよりもはるかに効果があがると思います。
昨年中国のサイトを賑わした裸でゲームをする女子
さて、このゲーミフィケーション、ただ闇雲に実施しただけではうまくはいかないと思います。やはり、組織戦略というものがあり、それに基づき実施されるべきものと思います。それなしに、実施している企業のうわべだけを真似て、ただ実施しても、混乱するだけできっとうまくいかないことでしょう。

これは、以前、いわゆる、ザッポスなどのオフィスが、遊び心満載で、見ているだけ楽しくなるようにつくられていますが、それには、それなりの組織戦略があり、それにもとづいてオフィスづくりが行われていることを述べましたが、それと同じことです。オフィスのあり方は、氷山の一角に過ぎず、目に見える、10%であり、その根底には、90%の組織戦略があるということです。そういった意味で、オフィスのあり方は、戦略を実現するためのビルトイン(組み込み)にすぎないということです。


ゲーミフィケーションもまさに同じことです。オフィスに関する記事の詳細は、以下のURLをごらんいただくものとして、以下にその要点だけ述べさせて頂きます。

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


上の記事の結論は、結局簡単に一言でまとめてしまうと、貢献と集中と目線を高くさせることです。
知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分ではありません。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要です。仕事において成果を上げるには、特別の才能や適性は必要ありません。いくつかの簡単なことを行なうだけで良いのです。そうして簡単な習慣を身につければ良いのです。そうして、そういった習慣が身についたら、また新しい簡単な習慣を身につけること、この積み重ねを重ねることによってのみ卓越性が生まれてきます。このために重要なのは、以下の三点です。 この三点の文末に、ゲームに関連する注釈をいれておきます。
第一が、常に貢献を考えること、考えさせることです。これは簡単なことのように思えて、実はそうではありません。「業績」という言葉が出てきそうになったら、そのつど「貢献」と言い換えるべきです。業績とは、主に売上、利益の数値です。特に営利企業の場合は、これがなければ、どのような行動も成果とはいえません。この業績をあげるためには、会社に働く者すべてが、何がしかの「貢献」をしなければなりません。貢献のないところに、業績はありえません。たとえば、eコマースであれば、誰かが、ユーザービュー数を上げるために、具体的に行動して貢献することにより、ユーザービュー数が上昇し、それが、業績に結びつきます。 (注:ゲームは、何をすれば貢献できるのかが明白になっていないとやりようがない)
第二が、常に集中することです。これも簡単なことに思えますが、そうではありません。集中するには優先順位を決めなければなりません。どのような仕事にも順番があり優先順位があります。その順番や優先順位は、会社によっても、構成員によっても、幾通りもあり、どれが絶対に正しいなどということはなく、これは、実際に働くものでなければ、その内容を決めることはできません。管理職、経営者ができるのは、これをとりまとめることぐらいです。特に新しい事柄においてはそうです。机の上で、新しいことを思いついても、それを実施するのは、自分一人だけではなく、大勢の人にやってもらわなければなりません。大勢の人とはいってもすべてタイプが異なります。得意の分野も、一人一人異なります。同じ成果をあげるにしても、個々人でやり方も順番も異なるのです。そうして、集中するのは、個々人の責任であり、義務でもあります。いくら、管理職が監督しようとも、本当に集中しているのか否かは本人しか確認のしようがありません。 (注:ゲームは集中しないとできない)
第三が、目線を高くさせることです。何をどうしようとも、「世のため人のため」という目線の高さがなければ飛躍は無理です。必ず、欲という落とし穴に落ち込みます。売上をあげる、利益を上げるだけの考えでは成功はおぼつきません。誰もが納得でき、誰をも奮い立たさせられるような、理念を掲げなければなりません。これは、主に経営者の仕事です。そうして考えるだけではなく、全従業員に徹底しなければならないものです。ありとあらゆる機会を利用して、徹底するべきものです。 (注:ゲームには目線を高くさせる、様々なインセンティブが盛り込まれている)
そしてもう一つ。成果を上げるための必須の資質は「真摯たること」です。これなくしては、長期的な成果を望むことは不可能です。 
成果を上げる者は、成果を上げる能力を努力して身につけています。彼らは、成果を上げることを習慣にしています。成果を上げるよう努める者は、皆が皆、そうして、成果を上げられるようになっています。 
まずは、多くの社員に、「成果をあげることは修得できる。そして修得しなければならない」という信念を植え付ける必要があります。 
「何に対して貢献するか、どのような貢献ができるのか」仕事ができる者は自分で考えますし、また、そうさせなければなりません。
ゲーミフィケーションも、上記のような文脈の中で、実施されなければ、結局遊びのようになるか、やっているか、やっていないのかわからないようになってしまい、有名無実になってしまうということになります。
昨年中国のサイト賑わした、夏に裸で自宅でゲームに興ずる女子。同じパソコンに向かうにし
ても、仕事なら嫌がる人もいるが、なぜかゲームだと、やり続けて死んでしまう人もいるくらいだ!!
これに成功している、マクドナルドなどの企業は、堅牢堅固な、組織戦略を持っているからこそ、成功しているのであって、ゲーミフィケーションはそのためのツールであるということです。

それにしても、いわゆる、ゲーミフィケーションは、上記の三点をかなりやりやすくしていることは事実であり、ツールの一つとして、取り入れる価値は十分あると思います。皆さんは、どうお考えになりますか?



【関連記事】

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!


なぜ効率ばかり追求すると利益が減るのか (プレジデント) ―【私の論評】変人を揃えることではなく、成果をいかにあげさせるかが本質なのだ!!






「制限」が創造性を高める理由―【私の論評】企業経営では制限は創造性を高めているが、行政がそうならないのはどうしてか?


2012年8月17日金曜日

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!



職場に楽しいことがたくさんあったら、きっと仕事にも良い影響があるはずです。これぞまさに楽しい仕事場という例をひとつ、ご紹介します。いつもの「仕事場探訪」の番外編として、ECプラットフォーム提供サービスを行うカナダのShopify社の仕事場をのぞいてみることにしましょう。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


ささて、素敵で遊び心のあるオフィスなど、最近ては、いろいろなサイトに紹介されるようになってきました。上の記事のshopipyのオフィスもそうした事例の一つです。そうして、上のライフハッカーの記事もそうなのですが、こうしたオフィスの紹介をする際に、なぜオフィスがそのようになっているのか、その背景までは説明しません。これでは、バランスを欠いていると思います。



オフィス作りの根本は、何かといえば、そのものずばり組織づくりの一環です。上記のようなユニークなオフィス作りするには、それなりに企業の組織づくりというものがからんでくるはずです。組織づくりが元にあり、その組織戦略にもとづいて、このようなオフィス作りがされているのです。



オフィス作りだけみて、それがどうのこうのと論評しても、それは、氷山の一角にすぎないわけで、それは全体の10%を示すだけで、氷山の一角の下には、企業独自の組織戦略があるわけで、それが、90%を占めているわけです。そうであれば、10%をみるだけではなく、90%を見る必要性があるわけです。


それに、皆さんも、もうお気づきのはずです。どこかの会社の総務部の人あたりが、このようなオフィスをみて、その場で見えることだけ真似したとしても、会社は何も変わらないと思います。かえって混乱するだけで、良いことは一つもないでしょう。だからこそ、今回は、組織づくりについて述べていきます。そうして、本日は、私の理想とするオフィスの写真んとともに掲載していきます。ただし、これは、理想というよりは、妄想かもしれませんが・・・・・・・・・・(笑)!!


実は、これに近いことはこのブログでも述べたことがあります。それは、8月14日の記事であり、タイトルは以下のようなものでした。

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!

詳細は、この記事をみていただものとして、ここでは結局、結論は以下のようなものでした。
成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要なのです。昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本なのです。
そうして、このようなことを実践するため、デュポンでは、研究者は自分の時間の1/3を、自分の担当の仕事とは、一見、何ら関係ないないことの研究調査に当てなければいけないようになっています。こうして、新しいものに否が応でも目が向けられるように、組織にビルトインされているということです。


こ のようなビルトインインは、デュポンだけではありません。Googleは、勤務時間の20%を自分のプロジェクトに充てるという独自の勤務ルール「20%タイム」を設けていることで知られています。Googleからリリースされている、サービスの50%はここから生まれているとのことで、従業員のモチベーション対策のみならず、実際のビジネスでも有効に機能しています。


3Mでも「勤務時間の15%を自分で選んだプロジェクトに充てる」という制度が導入されています。他の多くの会社でも、こうしたビルトインを行っている会社があります。それにこうしたビルトイン「20%」タイムだけではありません。

あのザッポスにも、独特のビルトインがあります。このザッポスですが、この会社は、靴のeコマースで世界一の企業であり、Amazonでさえ、競争するのをやめて、ザッポスを傘下に収めてしまいました。傘下に収めたといえば、何やら、普通の感覚では、Amazonが勝利したように受け取られがちですが、そうではありません。実際、ザッポスは、Amazonの傘下に収まっても、経営者も変わらず、従業員もひとりもくびにならず、社名変更も何もなく、従来どおりのザッポスとして運営されています。


経営方針もAmazonから指示されるということもなく、従来通り、ザッポスの経営者が実施しています。変わったことといえば、Amazonは、ザッポスに対して、直接投資ができるということだけです。実際、ザッポスの経営者も、従業員もAmazonの傘下に入ったことを敗北ではなく、自分たちの勝利ととらえています。

話を元に戻しますが、このザッポスにも、ビルトインがあります。ザッボスは、eコマースの会社ではありますが、顧客からのクレームや、注文を直接ザッポスのコールセンターで受け付けています。そうして、このコールセンターでは、驚くべきサービスがビルトインされています。それは、お客の注文やクレームを受けたコールセンター要員は、お客様都合により、電話が長引いたとしても、お客様との通話時間に、その制限はないというものです。


実際、あるとき、ザッポスの特集をテレビで放映したさいに、あるザッポスの社員は、お客様との会話でいままで最長は、8時間だったとしています。それに、日々3時間くらい電話をかけてくる顧客は、けっこういるそうです。それも、すべて会社の方針で、制限なしに受け付けるようにしています。

他社でも「20%」ルールやザッボスのようなルールは導入していなくても、導入している事柄がたくさんあります。


あまりに数が多すぎて、全部のビルトインを掲載することは不可能ですから、以下に重要なものだけかいつまんで掲載させていただきます。そうして、以下のビルトインは、ほとんどドラッカーの書籍を参考にしたものですが、私はもはやドラッカーの言葉については、ほとんど記憶しているので、以下で、この言葉は、ドラッカーの書籍のどこに掲載されているものであるというようなことは紹介しません。あらかじめことわっておきます。

貢献と集中と目線を高くさせること

知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分ではありません。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要です。仕事において成果を上げるには、特別の才能や適性は必要ありません。いくつかの簡単なことを行なうだけで良いのです。そうして簡単な習慣を身につければ良いのです。そうして、そういった習慣が身についたら、また新しい簡単な習慣を身につけること、この積み重ねを重ねることによってのみ卓越性が生まれてきます。このために重要なのは、以下の三点です。


第一が、常に貢献を考えること、考えさせることです。これは簡単なことのように思えて、実はそうではありません。「業績」という言葉が出てきそうになったら、そのつど「貢献」と言い換えるべきです。業績とは、主に売上、利益の数値です。特に営利企業の場合は、これがなければ、どのような行動も成果とはいえません。この業績をあげるためには、会社に働く者すべてが、何がしかの「貢献」をしなければなりません。貢献のないところに、業績はありえません。たとえば、eコマースであれば、誰かが、ユーザービュー数を上げるために、具体的に行動して貢献することにより、ユーザービュー数が上昇し、それが、業績に結びつきます。


第二が、常に集中することです。これも簡単なことに思えますが、そうではありません。集中するには優先順位を決めなければなりません。どのような仕事にも順番があり優先順位があります。その順番や優先順位は、会社によっても、構成員によっても、幾通りもあり、どれが絶対に正しいなどということはなく、これは、実際に働くものでなければ、その内容を決めることはできません。管理職、経営者ができるのは、これをとりまとめることぐらいです。特に新しい事柄においてはそうです。机の上で、新しいことを思いついても、それを実施するのは、自分一人だけではありません。多くの人がこれを実施しなければ、大きな貢献とはなり得ません。

第三が、目線を高くさせることです。何をどうしようとも、「世のため人のため」という目線の高さがなければ飛躍は無理です。必ず、欲という落とし穴に落ち込みます。売上をあげる、利益を上げるだけの考えでは成功はおぼつきません。誰もが納得でき、誰をも奮い立たさせられるような、理念を掲げなければなりません。これは、主に経営者の仕事です。そうして考えるだけではなく、全従業員に徹底しなければならないものです。ありとあらゆる機会を利用して、徹底するべきものです。

そしてもう一つ。成果を上げるための必須の資質は「真摯たること」です。これなくしては、長期的な成果を望むことは不可能です。


成果を上げる者は、成果を上げる能力を努力して身につけています。彼らは、成果を上げることを習慣にしています。成果を上げるよう努める者は、皆が皆、そうして、成果を上げられるようになっています。

まずは、多くの社員に、「成果をあげることは修得できる。そして修得しなければならない」という信念を植え付ける必要があります。

「何に対して貢献するか、どのような貢献ができるのか」仕事ができる者は自分で考えますし、また、そうさせなければなりません。

特に、貢献という考え方は、当たり前のようにみえて、近代組織の歴史は短く、せいぜい前世紀に現在のすべての組織の原型が出来上がったばかりです。近代組織ができあがる前は、多くの人は、大きな組織に属したこともなく、また組織から貢献を求められることはなく、所定の作業を所定通り実施すれば、それで仕事をしたとみなされました。しかし、知識社会に突入した現代組織においては、それだけではすみません。


それだけで済ましたいなら、アルバイトで十分です。現代の知識労働者は、「自分のできることで、他の人ができないことで、自分がやれば貢献できること」を自分で見出し、自分で実行して、成果をあげるこ とにより、貢献し続けなければならないのです。これは、昔のやり方に慣れた人にとっては、驚天動地の大変化です。民間企業、その中でも、先進的IT企業は、こうした驚天動地の大変化の先兵なのです。

そうして、このようなことに慣れていない人は、かなりプレッシャーを感じると思います。とにかく、会社にただ出てきて、決まった時間を過ごて、決められたことをすれば、仕事になるというわけではないのです。それどころか、どんな格好をしていようと、無駄時間をつかうがつかうまいが、そんなことは全く関係ないのです。考えてもみてください。自分がザッポスのコールセンター要員だったとしたら、顧客との会話が制限されていれば、楽ですが、制限されていなければ、最終的には、どんな顧客にも満足してもらわなければなりません。それも、自分で考えて、自分で貢献しなければならないのです。


であれば、事務所の雰囲気など、なるぺくプレッシャーが生じないようにすることが良いに決まっています。逆にオフィスを自由な雰囲気にすることによって、木っ端役人のように、定時に出社して、自ら創意工夫も何もなく、定められた通り作業をして、定時に退社すれば、それで良いなどということはないということ知らしめているということもできます。だからこそ、Googleや、ザッポスや、冒頭のshopifyのようなオフィスができあがるのです。

多くの革新的な会社が、上記の三点を徹底するために、あるゆる努力をしているのです。この三点は、かなり集約しているので、この中に包括されてしまうもので他にもいろいろあります。たとえば、コミュニケーションの取り方、チームワークの仕方、ITの使い方、その他あげればきりがありません。

そうして、各々の会社が経営者はいうにおよばず、社員も、この三点を実現するために、日々努力しています。そうして、こうしたやりかたは、会社の生い立ち、経営者の考え方、組織文化によっても、会社ごとにかなり異なります。だかこそ、他社の人が、オフィスだけみて、それだけを真似しただけでは、会社は変わらないのです。各々の社員が一見自由きままにしているように見えて、そこには、一定の秩序があるのです。その本質を見抜かない限り、うわべだけ真似したとしても、業績には結びつかないのです。皆さんは、どうお考えになりますか?




【関連記事】

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!

なぜ効率ばかり追求すると利益が減るのか (プレジデント) ―【私の論評】変人を揃えることではなく、成果をいかにあげさせるかが本質なのだ!!






「制限」が創造性を高める理由―【私の論評】企業経営では制限は創造性を高めているが、行政がそうならないのはどうしてか?



2012年3月29日木曜日

忙しさを可視化する「プロジェクト横断機能」などが追加! 「ブラビオ・プロジェクト」がバージョンアップ−【私の論評】iPadなどのモバイルで、これを使うとものすごく効率的なのだが?!

忙しさを可視化する「プロジェクト横断機能」などが追加! 「ブラビオ・プロジェクト」がバージョンアップ


以前ライフハッカーでも紹介したガントチャートでプロジェクト管理できる「ブラビオ・プロジェクト」が、このほどバージョンアップ。5人以下のグループならずっと無料で使える、というおサイフにやさしい特長はそのままに、20以上の機能が追加されました。(上画像は、ブラビオ・プロジェクトの画面、クリックくすると拡大します)

【私の論評】iPadなどのモバイルで、これを使うとものすごく効率的なのだが?!



詳細は、上記の記事をみていただくものとして、今回の改定の主なところを以下に掲載します。それと、本日は、いろいろなプロジェクト・チーム等の写真を掲載します。

『プロジェクト横断ビュー』
『タスクリンク』
『マイルストーン』
『達成率の実装』
『ツールバーの搭載』
『CSVファイルの入出力』、『エクセルファイルへの出力』への対応(β機能)

以上を柱に、細部を含めると、20もの機能が付加されたということです。


このサービス、以前もチェックしてみましたが、素晴らしいの一言でした。そうして、横断ビューとか、マイルストーンは、是非とも加えて欲しいと思っていましたが、今回の改定で、それらは付加されるたことは、無論のこと、それ以上の機能がふんだんに付加されました。

5人までなら無料で使えるということなので、大企業でも、いわゆる係、中小でも、課単位なら十分使えます。自営業なら、これで十分です。また、有料版は、ジョイントベンチャーをするようなゼネコンなどはネットワーク管理などが必要ですが、それ以外であれば、どの業界でも十分に使えるものと思います。

私もこれを、無料版で使用しています。今は、個人でカレンダー風に利用しているだけですが、それでも、なかなか使えます。私の場合は、iPadで使用していますが、これはなかなか良いです。

実際iPadで使用してみて、最近なぜ、企業がiPadを導入したがるのか良く理解できました。このようなガントチャートなど、従来は、パソコンのファイルに格納されていたと思います。これだと、パソコンの画面をみないと、チャートを閲覧できません。そうすると、かなり不便です。iPadだと、これをいつも携行すれば、外出先であろうと、出張先であろうと、会議中だろうと、いつでも閲覧したいときに、閲覧できます。

そんなものは、印刷してしまえば良いではないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、私のように一人でカレンダー的に使っているのなら、それも可能ですが、普通のプロジェクトでは、少なくも、数人多ければ、数十人はかかわるわけで、これだけ多人数のものを印刷してすべて持ち歩くなどということは、不可能です。まして、今回の改定にあった、負荷状況や、空き状況を俯瞰するようなことは、紙ベースではほとんど不可能です。

私は、残念ながら、一人で使っていて、大人数で使ったことはないのですが、それにしても実際に使っていると、これをIPadで使うことのメリットは、十分想像できます。これは、紙ベースのものは、無論のこと、パソコンベースのものより、はるかに使い勝手が良いと思います。プロジェクトにかかわる人がすべて、iPadにブラビオ・プロジェクトをいれておいて、全員が同じものをみて、同期、共有をしているということは、凄いことだと思います。




会議のときにも、全員で同じものをみて、たとえば、空き状況などみて、プロジェクトを前倒しするとか、組み直すということがかなり柔軟にその場で、すぐにできます。さらに、出張などで、会議に出られなかった人も、同期しているので、すぐにその変更をリアルタイムで知ることができます。

従来、紙で書いたガントチャートや、パソコンに入れたものでは、できないことです。パソコンに入れたものでも、実際に運用する場合は、紙ベースでということが多かったと思います。そうなると、何か変更といっても、変更自体がかなり手間がかかるので、変更もしないで、進めていて、いつの間にか、有名無実になり、マイルストーンもまもれず、最終期限を守るために、残業・徹夜の連続になるということが多かったのではないかと思います。このようなことを防ぎ、より柔軟な管理・調整をするためにも、現在多くの米企業でiPadを導入しているのだと思います。


それから、ガントチャートが描けるアプリなど、App Storeや、Google Placeなどで探してみましたが、「ブラビオ・プロジェクト」に匹敵するような、同期、共有機能など含む高機能なものはありませんでした。これは、先日もこのブログに掲載したように、App Store、Google Placeなどの、課金体制が、月額課金などに対応していないためだと思います。

このような高機能な、サービスでは、一度の課金ということになれば、かなり割高にしなければならなくなります。そうなると、ほとんど売れなくなることになります。かといって、低価格で販売すれば、その後のクラウドの運営が困難になり、ユーザーに末長くサービスを提供できなくなります。だからこそ、「ブラビア・プロジェクト」は、App Storeではなく、iPadに最適化した上で、Web上で提供し、課金も開発会社が、独自で月額課金するという形にしているのだと思います。

先日は、Googleが、月額課金を導入することをこのブログに掲載しました。そうすることにより、Googleは、Google Playで、高機能なクラウドを用いた、Appも提供できるようになると掲載しました。こうなれば、「ブラビオ・プロジェクト」に匹敵するサービスが、Appとして提供されるようになると思います。そうして、他にも高機能なAppが多数提供されるようになれば、Apple側も、月額課金に踏切り、同じようなサービスを提供するようになると思います。


このようなことを通じて、企業ユースでも、かなり使いやすくなると思います。そうして、企業の業務の効率化が図られるようになると思います。しかし、そんなときに、水をさすようで悪いのですが、以下のドラッカー言葉を忘れないようにしたいものです。

「成果をあげるには、自らの果たすべき貢献を考えなければならない。手元の仕事から顔を上げ目標に目を向ける。組織の成果に影響を与える貢献は何かを問う。そして責任を中心に据える」


いくらすぐれた、ツールを用いたとしても、ツールはツールにすぎないわけであって、プロジェクト・チームの全員が成果をあげるために、自らの果たすべき貢献が何であるかがわかっていなければなりません。ドラッカーは、このことのケーススタディーとして、「役に立たない設計図を精緻につくりあげる設計部門ほど、無用のものはない」と語っています。結局いくら、素晴らしい道具を使ったからといって、個々人が貢献をして、成果をあげられないというのであれば、意味はないということです。この前提を忘れないようにして、このようなサービスを使っていきたいものです。





【関連記事】


特報!グーグル、初の月額課金制度を4月にも開始:日経ビジネスオンライン:−【私の論評】月額課金によって、タブレットやスマホは、クラウドを駆使して、世の中を変えていく!!


iPad/iPhoneアプリ開発、コストはどれだけかかる?―ITはユビキタスそうして、非営利になる?


「パーソナルクラウド台風」2014年に向けた5つのメガトレンド―【私の論評】様々なクラウドの可能性が広がる!!


2012年2月29日水曜日

もしかして“仕事をしたつもり”になってない?−【私の論評】原点はドラッカーに!! 読むなら原点を読もう!!

もしかして“仕事をしたつもり”になってない?

□ 結構、一生懸命仕事している
□ まわりもそれを認めていて、非難する人はいない
□ でも、成果があまり出ない
これに当てはまる人、いませんか? 正直、私はちょっとドキッとしました。

毎日くたくたになるまで働いて、その努力は認めてもらえても、結果が出せない……。自分は違うと思っていても“仕事をしたつもり”を意外とやってしまっているかもしれません。

なぜこのようなことになってしまうのでしょうか?

『仕事をしたつもり』によると、ルールや体裁を整えることこそが自分の仕事になってしまっていること、さらにそれに疑問を持たないことが原因とのこと。

例えば、会議。何枚もの凝った資料を作成するより、1枚の箇条書きの資料を用意し、空いた時間を考えることに費やすほうが有用なのではないでしょうか。例えば、おしゃれなお店の地図。デザイン重視のため、なかなかお店にたどり着けず、結局検索し直すことになっていませんか。

などなど、この他にもよく考えてみれば無駄だなあと思うことが、本書には多々事例として載っていて、「確かに……」と読み終わった後、ぐうの音も出ませんでした。

何も考えずに仕事をしたつもりでいれば、失敗しても咎められることはなく、残業するからお金も沢山もらえ、頑張っているように思わせることができるので、“仕事をしたつもり”は根深い慣習になっているようです。

でも、一見良いことづくしで得をしているようなこの状況は、ほんの目先の話で、今後転職や独立など転機を迎えたとき、仕事生活を全うできるかは不安がよぎります。

この甘い蜜を吸っている状況に危機感や退屈感を持った人は、どうすればいいのでしょうか。それは、
・「なぜ」としつこく考えること
・そもそもの目的はなんなのか前提を考えること
この2つを日々意識することだそうです。当たり前のことのようですが、意外と忘れがちかもしれません。

皆さんも“仕事をしたつもり”から抜け出してみませんか?

【私の論評】原点はドラッカーに!! 読むなら原点を読もう!!

さて、上の記事は書籍『もしかして"仕事ををしたつもり"になってない?』の内容を掲載したものですが、これを読んでいてすぐに、ピンときたのですが、これは、結局ドラッカーが著書でいっているところの、『貢献』ということだと理解できました。結局、いくら働いたとしても、上司、同僚、部下そうして会社あるいは顧客に貢献しなくては、何にもならないという、ある意味当たり前といば、当たり前のことです。




しかし、上の書籍では、この「当たり前」のことが意外とできていないことを主題としているのだと思います。この時点で、私には、全くこの書籍に対する興味を失いました。なぜなら、この書籍を読むくらいならドラッカーの『マネジメント』を読見返したほうが、はるかに価値があるように思えたからです。


特に、いわゆるマネジメントに関するものでは、ほとんどの書籍がドラッカーの焼き直しのようなものです。ドラッカー氏が残した書籍を超えるようなものはほとんどないと思います。そうして、いわゆ体系として掲載されている書籍に関しては、ドラッカー氏を超えることはないと思います。表面的には、なにやら新しいことを掲載されてるように見えても、結局は、ほとんどがドラッカーの焼き直しで、事例が新しいに過ぎません。


これを納得していただくため、ドラッカー氏の書籍から、『貢献』という言葉が含まれているものをいくつかピックアップしておきます。どの文章も、いくつかの書籍から私自身がまとめたものです。しかし、考え方はすべてドラッカー氏のものです。




〈知識労働者と貢献〉
組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。組織の活動や業績とは、企業の場合新製品を出すことであり、市場で大きなシェアを獲得することである。病院の場合は、患者に優れた医療サービスを提供することである。組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。命令に従って行動すれば良いというわけにはいかない。自らの貢献について責任を負わなければならない。




〈管理者について〉
管理者の仕事は、組織の目標によって規定される。しかも実体がなければならない組織の成功に対し、目に見える貢献を行わなければならない。管理者の仕事は、極力大きなものにしなければならない。明示的に制約されない限り、あらゆることについて権限を持つものとしなければならない。

彼らの仕事は上司ではなく、仕事の目標によって方向づけされる。それは、組織が遂行すべき課題のゆえに存在する。ほかに理由はない。事業全体の成果を指し示し、ここのところは私が貢献したと言えなければならない。情報の中継点にとどまってはならない。



〈組織の優劣について〉
組織の優劣は、平凡な人間をして非凡なことをなさしめるか否かにある。企業がどれほどのものかは、それら3つの問いに社員のどれだけが、なんのためらいもなく、即座にイエスと答えられるかによって知ることができる。その問いとは、

「あなたは敬意をもって遇されているか」「あなたは貢献するうえで必要な教育訓練と支援を受けているか」「あなたが貢献していることを会社は知っているか」である。

どのように、優れたビジネスモデルにしても、組織構造にしても、人のエネルギーがあってこそのものである。だが、そのためには最高の力を発揮してもらい、最大の貢献をしてもらうための手立てを講じなければならない。



〈組織の精神について〉
“業績への貢献”を企業の精神とするためには、誤ると致命的になりかねない“重要な昇進”の決定において、真摯さとともに、経済的な業績を上げる能力を重視しなければならない。致命的になりかねない“重要な昇進”とは、明日のトップマネジメントが選び出される母集団への昇進のことである。それは、組織のピラミッドが急激に狭くなる段階への昇進の決定である。

そこから先の人事は状況が決定していく。しかし、そこへの人事は、もっぱら組織としての価値観に基づいて行なわれる。重要な地位を補充するにあたっては、目標と成果に対する貢献の実績、証明済みの能力、全体のために働く意欲を重視し、報いなければならない。

さて、これはドラッカーの書籍から、『貢献』というキーワードを含んでいる文章わたしが恣意的にいくつかピックアップしたものです。ドラッカーの書籍には、この『貢献』ということばが頻繁にでてきます。

そうして、皆さん私の言いたいことはもうおわかりでしょう。この書籍などの著者の方々には、商売の邪魔をしているようで申し訳ないのですが。やはり、読むならドラッカーを読みましょうということです。たとえば、上の書籍きっとわかりやすく書いているのだとおもいます。

だから、とっつきやすくて最新は良いかもしれません。しかし、上記の書籍では、おそらく、マネジメントの一部分をピックアップしているのみで、全体を体型的に述べているわけではないと思います。だから、書いてある事例のときは良いかもしれませんが、ドラッカーの書籍のように、体型的に原理原則が書かれているわけではありません。であれば、いずれ、読んでも忘れてしまうことのほうが多いと思います。しかし、ドラッカーの書籍の場合は、全体像が浮き彫りにされています。特に、「マネジメント」はそうだと思います。後から何度読み返してもまた、新しい発見があったりします。

いずれにしても、かなり多くの書籍が結局部分的にドラッカーの書籍を局面ごとに焼き治して、ドラッカーの書籍とは異なる事例を掲載して一見理解しやすそうにみせているだけといっても過言ではありません。

だからこそ、ドラッカーを読むべきと思います。皆さんは、どう思われますか?



【関連記事】


特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...