ラベル 集中 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 集中 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年2月16日日曜日

いまは“政治休戦”して「新型肺炎対策」に集中! 感染拡大も政府の対応チグハグ…早急に体制立て直しを ―【私の論評】今は挙党一致で、武漢肺炎の撲滅と、革新的な危機管理計画を実行できる体制築くべき(゚д゚)!


     新型コロナウイルス対策本部の会合で発言する安倍首相。
     左は加藤勝信厚労相=1日、首相官邸

中国・武漢発の新型肺炎の感染が拡大するなか、安倍晋三政権の対応がチグハグだ。戦いはむしろ、これからが本番である。早急に体制を立て直すべきだ。

 例えば、武漢からチャーター機で救出した邦人の帰国費用、1人約8万円は政府が負担する方針という。当初は本人負担のはずだったのに、与党の一部が異を唱え、途中で方針転換した。

 政府が強制的に帰国させたならともかく、帰国は本人の意思を尊重した結果である。救援機が飛ばなかったら、すぐ帰れなかったのも明白だ。それなら、政府に感謝して、本人が負担するのは当然ではないか。

 公明党など与党の一部は「これは災難」「緊急事態に余儀なくされた結果だ」などと理由を挙げた。そんなことを言ったら、地震でも台風でも政府が全部、カネを出す話になりかねない。人気取りで言ったのだとしたら、とんでもない勘違いである。

 第1陣で帰国した中では、帰国後の検査を2人が拒否した。「強制帰国」ではなかった証拠である。政府の詰めが甘かったから、後になって右往左往している。

 外国人の入国制限についても、安倍政権は「湖北省滞在者の外国人」に限って制限する方針を決めた。これも甘い。武漢市長は都市を閉鎖する前に「500万人が街を出た」と認めている。中には、感染者もいたはずだ。

 それなら、感染者は上海や北京など他都市や外国にも散らばっている。入国制限の対象を湖北省に限っていたら、他からの感染を食い止められないのは自明である。

 安倍政権の入国制限は、世界保健機関(WHO)が「世界的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言したのを受けて、発動された。そんなWHO頼みの判断自体が間違っている。WHOの事務局長が中国に甘いエチオピアの元外相で、中国に及び腰なのは、周知の事実ではないか。

 米国やオーストラリア、シンガポールなどは、いち早く「過去2週間以内に中国に滞在した外国人」の入国を制限した。日本も手遅れにならないうちに、制限対象を中国全土に広げるべきだ。

 細かい話で言えば、帰国者の宿泊を民間のホテルに任せたのも問題だった。ホテル側の善意は評価したいが、本来、これは政府の責任で「隔離と検査」を実施すべき話である。後になって、警察施設などが用意されたが、対応が後手に回ったのは否めない。

 政府の対応が甘いままだと、世界から日本に対する信頼を失いかねない。そうなったら、東京五輪・パラリンピックの開催も危うくなる。国際オリンピック委員会(IOC)が何を言おうと、選手たちが「日本に行きたくない」と言い出したら、おしまいだ。

 いま、日本は世界で一番厳しい防疫体制を敷いて当然の立場にある。必要があるなら、新規立法も検討すべきだ。

 与党内は「ポスト安倍」をめぐる思惑も交錯しているが、そんな駆け引きをしている場合ではない。いまは政治休戦して、新型肺炎対策に集中して取り組んでほしい。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

【私の論評】今は挙党一致で、武漢肺炎の撲滅と、革新的な危機管理計画を実行できる体制築くべき(゚д゚)!
確かに、武漢肺炎の感染が拡大しているにもかかわらず、安倍政権の対応チグハグでした。そのためでしょうか、内閣支持率が下がっています。

共同通信社が15、16両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は41・0%で、1月の前回調査から8・3ポイント下落しました。「桜を見る会」の疑惑に関し、安倍晋三首相が「十分に説明していると思わない」は84・5%と依然高く、首相の国会対応への批判が背景にあるとみられます。新型コロナウイルス感染拡大による日本経済への影響について「懸念」「ある程度懸念している」との回答が計82・5%に上りました。

支持率に関しては、森友学園問題を巡る決裁文書改ざん発表後の18年3月の調査で9・4ポイント急落して以来の大幅下落でした。回答は固定電話513人、携帯電話516人でした。

ただし、1月前回調査では、「桜を見る会」の疑惑も追求されいましたし、この頃はまだ新型肺炎に関しては、まだ報道されておらず、やはり新型ウィルス感染拡大への対処がチグハグなことが、大きく影響しているものと考えられます。

さて、危機的状況の時に過去の政権はどのように対応してきたのか、振り返って見たいと思います。疫病に関しては、今回のような規模では、現自民党以外の政権は経験したことはなく、地震による震災は自民党以外の政権でも経験していることから、比較のため震災の時の対応を見てみようと思います。

関東大震災のとき、総理大臣は交代中、内閣は不在でした。2011年3月11日には、日本を襲った100年で3度目の大震災ともいわれる大地震が発生しました。

2カ月前の3月11日、民主党菅直人首相は絶体絶命のピンチでした。

「献金については、事務所に確認したところ、いただいている」

午前中、参議院決算委員会で、背広姿の菅は苦しい表情で答弁しました。

2011年度予算は自然成立が決まったものの、予算関連法案は成立のメドが立っていませんでした。内閣支持率も20%まで下落した(2月21日発表の朝日新聞の調査)。

2月下旬から専業主婦の年金救済問題で迷走が始まりました。苦境が続いていたときに、首相自身の在日外国人からの違法献金疑惑が飛び出したのです。不人気のまま4月の統一地方選を迎えれば、惨敗必至で、4月下旬に進退極まる可能性がありました。

ところが、3月11日の午後2時46分、マグニチュード9.0の大地震が襲ったのです。防災服に着替えた菅は6時過ぎ、与野党党首会談に臨む。自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表とも「全面協力」を表明し、一転して「政治休戦」となりました。未曽有の大災害で、「救国」「挙国一致」「総力結集」が世論になりました。一瞬にして事実上の大連立体制が出来上がったのです。菅は九死に一生で息を吹き返しました。

明治時代に建設された浅草にあった凌雲。震災当時日本で一番高い12階建ての建物だった

大震災は1923(大正12)年9月1日の関東大震災(マグニチュード7.9)、95(平成7)年1月17日の阪神大震災(同7.3)に次いで、この100年で3度目でした。関東大震災は死者・行方不明が10万5000人余、被害総額は約46億円(当時のGDPの約28%)、阪神大震災は6400人余、被害は約10兆円(GDPの約2%)、東日本大震災は約2万6000人で、被害総額は20兆円(GDPの4%超)を超えました。

関東大震災のときは、実は政権交代の真っただ中でした。8日前の8月24日、加藤友三郎首相が病没しまし。28日に後継の山本権兵衛元首相(海軍大将)に組閣の大命が下ったのです。政党側は第一党の政友会が内部分裂を起こしていて、山本の強力な指導力が求められ、9年ぶりに首相に返り咲きました。

   後藤新平。1857年生まれ。関東大震災後に内務大臣兼帝都復興院総裁。当初の復興案は、
   規模縮小を余儀なくされたが、今日の東京の骨格が造られた。

山本は9月1日の朝、東京市長の後藤新平を参謀役にして組閣を始めました。閣僚の人選を進めていたとき、午前11時58分32秒に大震災が襲いました。

内務大臣に決まった後藤は大蔵大臣に日本銀行総裁の井上準之助を推しました。翌2日に自ら日銀本店に向かいました。路上で井上の車と出合ったので、自分の車に乗せ、自邸に連れていって説得しました。

「未曽有の大震災が発生した。この惨状を目の前にして躊躇している場合ではない。復興には財政、金融における君の手腕がどうしても必要だ。大蔵大臣を引き受けてもらいたい」

井上は応諾しました。

後藤新平は、関東大震災後に与党立憲政友会の内務大臣兼帝都復興院総裁でした、当初の復興案は規模縮小を余儀なくされたが、今日の東京の骨格が造らました。もし、後藤新平の計画通りに、東京の復興がすすめられていたとしたら、大東亜戦争で米軍に爆撃されたとしても、東京は焼け野ヶ原にならずにすんだだろうといわています。

後藤新平の帝都復興計画は、それほど革新的なものだったのです。立憲政友会(りっけんせいゆうかい、旧字体:立憲政友會)は、戦前の帝国議会において日本最初の本格的政党内閣を組織した政党で、明治後期から昭和前期の代表的な政党です。略称は政友会(せいゆうかい)です。

関東大震災は正午前でしたが、阪神大震災は午前5時46分に発生しました。時の首相は自民、社会、新党さきがけの三党連立による村山富市で、史上2人目の社会党委員長でした。

村山は回顧録『そうじゃのう…』(辻元清美・インタビュー)で、地震発生は首相公邸で朝6時のNHKのテレビニュースを見て知ったと述べています。

「警察庁から来ている秘書官がおってだな。……7時半ごろ電話がかかってきて……被害の状況はわからんけれども、相当大きくなりそうですよというような意味の連絡があった。それで、僕は8時ごろ官邸に出た」

政府の災害の所管は当時、国土庁防災局でしたが、宿直を常備する体制ではなかったため、国土庁も担当する警察庁出身の首相秘書官の金重凱之が兵庫県の警察の情報に基づき、首席秘書官だった園田原三(元社会新報編集長)を通じて村山に連絡を入れました。園田が当日の村山の行動を振りかえっています。

「火曜日で、10時から閣議があった。総理は8時45分に官邸で報道陣にコメントした。その段階では被害状況を把握していない。午前中は甚大になる危険性ありというだけ。正午過ぎに死者203人と聞かされて、エッと驚いた。それからです」

被害状況の把握に手間取り、首相官邸の動きは鈍いものでした。被災者救出など政府の震災対策が本格化するのは、地震発生から6時間以上が経過してからで、初動の遅れに批判が集中しました。(文中敬称略)

阪神大震災

民主党の菅政権のときにも、様々な問題に対する対応が遅れがちで批判をうけました。結局菅政権は、崩壊し、民主党野田政権のときに、選挙で負けて、民主党は下野し、自民党の安倍政権が成立し今日に至っています。

東日本大震災の直後には、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表とも「全面協力」を表明し、一転して「政治休戦」となりました。ネットをみていると、東日本震災があっても、自民党は民主党をせめていたなどの記載などが散見されますが、それは単なる印象操作であり、震災直後からしばらくは、「政治休戦」体制が続いており、自民党が政権与党を徹底的に批判しだしたのは、復興の目処がたってからのことです。

今日の野党は、武漢肺炎が深刻になりつつあったときも「桜問題」で、安倍政権を追求し続けていました。

最近、この武漢肺炎がより深刻になってからも、「桜問題」を追求し、武漢肺炎でも、政権を批判しようとしています。

民主党政権時代の最大野党自民党とは、あまりにも違いすぎます。野党が一時的にでも「政治休戦」をせずに、与党を批判し続ければ、今度は野党に批判が集まり、野党の支持率は地に落ち、政権与党の支持率があがることでしょう。

そのような不毛なことはやめ「武漢肺炎」が、終息の兆しがみえるまでは、「政治休戦」をして、超党派で武漢肺炎の撲滅にあたるべきです。撲滅の兆しがみえたときに、「政治休戦」を採りやめれば良いのです。

そのようなこともせずに、今時のような危急存亡のときに、倒閣運動ばかりに力を入れていれば、やがて国民の怨嗟の声が、野党に向けられることになります。

自民党内も、「武漢肺炎」撲滅のため一致して事にあたるべきです。特に、親中派は、一時的にでも良いですから中国への忖度などはやめて、日本国の命を最優先して、とくにかく「武漢肺炎」を撲滅のため安倍総理に協力すべきです。

親中派も、この危急存亡のときに、中国に忖度を続ければ、日本も中国なみに、武漢肺炎の罹患者や死亡者が増えて、日本を危険に晒した首謀者として、国民から怨嗟の声があがることになるでしょう。

とにかく、今は挙党一致で、武漢肺炎の撲滅と、そうして後藤新平が革新的な帝都復興計画立案したように、革新的な危機管理計画を立案し、それが実行できる体制築くために邁進すべきです。

【関連記事】

新型肺炎が中国経済を崩壊させる…中小企業の3分の1が1カ月以内に倒産の危機に―【私の論評】新型肺炎が中国経済を滅ぼすのではない、自ら滅びる運命だったのだ(゚д゚)!

【田村秀男のお金は知っている】「新型ウイルス、経済への衝撃」にだまされるな! 災厄自体は一過性、騒ぎが収まると個人消費は上昇に転じる―【私の論評】今のままだと、新型肺炎が日本で終息しても、個人消費は落ち込み続ける(゚д゚)!

【有本香の以読制毒】新型肺炎、中国の感染者は「10万人超」か 安倍首相「渡航制限の拡大を躊躇なく行う」に安堵も…政府は果断な対応を―【私の論評】中国の都市封鎖という壮大な社会実験は共産主義と同じく失敗する(゚д゚)!


2018年7月31日火曜日

日銀官僚の理不尽な行動原理 金融機関重視する裏に天下り…政策に悪影響なら本末転倒だ―【私の論評】日銀は銀行ではなく日本国民のために、金融政策に集中すべき(゚д゚)!

日銀官僚の理不尽な行動原理 金融機関重視する裏に天下り…政策に悪影響なら本末転倒だ

高橋洋一 日本の解き方

日銀は31日の金融政策決定会合で、「0%程度」としている長期金利の
誘導目標の柔軟化を正式決定した。一定の金利上昇を容認する。写真は
記者会見する黒田東彦総裁=同日午後、日銀本店

日銀は30、31日の金融決定政策会合で、「金融政策を柔軟化する」「緩和長期化が金融機関に与える副作用の対策を検討する」などと報じられた。マスコミ報道で「副作用」といっても、「市場機能の低下」「金融機関経営に及ぼす影響」など抽象的な表現しか出てこないことがほとんどだ。

 「金融機関経営に及ぼす影響」とは、マイナス金利になっていることで、この運用金利では調達金利との利ざやが小さく、金融機関は儲からないということだ。

 「市場機能の低下」と、もっともらしいことをいうが、これも金融機関の儲けがなくなると、金融資本市場がうまく回らないという市場関係者の思い込み(自己保身)に過ぎない。

 実際には、日銀が金融機関から「この金利水準では儲からないから何とかしてくれ」と常日頃、愚痴を聞かされているので、それを「副作用」と表現しているだけだ。「市場機能の低下」は付け足しでしかないのだが、日銀としては金融機関のために金融政策を行うとは言えない建前があるので、市場機能の問題を前面に出して「副作用」を説明してきた。こうした複雑な背景があるので、一般の人には日銀が何を言っているのか理解できないだろう。

 日銀が金融機関を重視するのは、金融政策を行う主体であるとともに、金融機関の監督という準行政的な機能もあるからだ。前者をマネタリー、後者をプルーデンスという。

 実は、日銀内の仕事としてはマネタリーの部分はごくわずかで、多くは「銀行の中の銀行」として金融機関との各種取引を通じたプルーデンスである。プルーデンスは「日銀官僚」が天下るときにも有用であるため、日銀マンの行動に金融機関重視がビルトインされているとみたほうがいい。

 筆者は役人時代、プルーデンスは金融庁に任せればいいという考え方であったが、日銀はプルーデンス重視だった。銀行の収益悪化は、人工知能(AI)対応が遅れたという構造的な側面もあり、必ずしも低金利だけが原因とはいえない。

 プルーデンス重視が、マネタリーに悪影響を与えては本末転倒だ。マネタリーではマクロの物価と雇用だけをみていればよく、ミクロの金融機関経営は考慮されるべきではない。

 報道では副作用対策で日銀内に温度差というが、日銀プロパーはプルーデンスばかり見ているので、外部から日銀に来た人とプロパーの間でマネタリーに対する意見の差があるだけではないか。日銀は「副作用」という言葉で金融機関を支援するのはやめたほうがいい。

 現在でも、日銀は金融機関向けの当座預金に付利している。金融機関による一般事業者向けの当座預金は、臨時金利調整法により無利息であるにもかかわらずだ。日銀の付利により、金融機関は2000億円ほどの小遣いをもらっていることになる。これは、政府特権である通貨発行益の一部を金融機関に移転していることであり、国会での議論が必要だ。いずれにしても、日銀はマネタリーに特化すべきである。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日銀は銀行ではなく日本国民のために、金融政策に集中すべき(゚д゚)!

日銀は、本日の金融決定政策会合の結果を受けて以下の文章を公表しています。以下にその文書のリンクを掲載します。
強力な金融緩和継続のための枠組み強化
この日銀公表文を全部読むと、消費増税もあり物価が上がりそうにないから金利引き上げを(準備)するというふうに見えます。しかしこれでは、ロジックが真逆です。日銀の金融機関擁護の金利引き上げと増税擁護の姿勢を変えなければ、これからも物価がこれからも上がりそうもありません。

物価が上がったから、金利を引き上げるというのが当たり前でというか、これが常道です。日銀は、これからも常道を踏まないつもりなのでしょうか。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は、マネタリーではマクロの物価と雇用だけをみていればよく、ミクロの金融機関経営は考慮されるべきではない。日銀はプルーデンスではなく、マネタリーに特化すべきとしています。

この日銀は、プルーデンスに注力するあまり、過去においてはマネタリーで大失敗をしています。

GDPの伸び率がゼロだった「失われた20年」

日本はバブル崩壊後、長らくデフレに悩まされ、経済成長率も他の先進国と比して著しく低く「一人負けの状態」が続き、また失業率も高く「失われた20年」とも呼ばれてきました。その要因は何であったかといえば、結論からいえば、バブルという羹に懲りてデフレを長引かせた日銀の誤りによるものです。

①日本のバブル期は、一般的に1987(昭和62)年から1990(平成2)年までを言います。
 この間の経済指標は 経済成長率(実質)が4~5%、失業率が2~2.7%、インフレ率が0.5~3.3%とまったく問題ないレベルであり、「失業する人も少ないし、給与も上がり、みんながハッピー」の「理想的な経済」でした。

東京株式市場は1989年12月29日に3万8916円という過去最高値を付けた

②一方、資産価格である株や土地の価格だけが異常に上昇しました。

バブルとは、「資産価格の上昇」と定義できます。株価は89年末がピーク、地価はタイムラグがあり91年頃がピークとなりました。

③インフレ率が上がらず、株や土地という資産価格だけが上がる場合は、金融政策で見ると何か別の理由があると考えられます。

④その頃、証券会社は税制の抜け穴を利用した「財テク」の営業を行い、株価が異常に上昇していました

当時、大蔵省証券局は、証券会社が損失補填する財テクを営業自粛(事実上の禁止措置)させる大蔵省証券局通達を89年12月26日に出しました。これにより、その年の大納会で3万8915円となった株価は、1990年の終わりにかけて2万3000円くらいまでに下がりました

⑤他方、1990年3月に大蔵省銀行局長通達「土地関連融資の抑制について」が出されました。

これは、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える措置(いわゆる総量規制)でした。これにより地価は、その後、下落しました。

上記の④と⑤によりバブルは沈静化していきました。ところが、一方で日本銀行が同じ時期に金融引き締めをしてしまったのです。

今から考えれば、これがバブル処理における最大の失敗でした。この致命的な間違いにわってバブルの後遺症が大きくなったのです。そもそもバブルの原因は金融緩和ではありませんでした。

だから、バブルつぶしのために金融引き締めすることが正しかったはずもありません。資産バブルを生んだ原因は、法の不備を突いた営業特金や土地転がしなどによる資産売買の回転率の高さでしたが、日銀は原因分析を間違え、利上げという策を実施してしまったのです。

日銀は物価の番人ですが、物価に株や土地の資産価格は含まれていません。本来、日銀は消費者物価指数のような一般物価を眺めながら対策を講じていれば良いのですが、株価の値上がりが自分たちの金融緩和のせいだと思ってしまったのです。
ここで公定歩合と日銀の金融引き締めの経緯を辿ってみます。

公定歩合は、1980(昭和55)年8月に日銀が9%から8.25%に引き下げて以来、87年2月に3%から2.5%に引き下げるまで10回にわたり引き下げられました。これは、多分に大蔵省の要請(実態は指示に近い)によるものです。

しかし日銀は、バブル当時の1989年5月に公定歩合を2.5%から3.25%に引き上げ、同年10月も引き上げました。さらに、バブル退治の「平成の鬼平」と言われた三重野康氏が同年12月に日銀総裁となり、就任直後の12月に引き上げ、さらに90年3月にも引き上げました。バブルがほぼ沈静化した8月にも引き上げ、公定歩合は6%となりました。

バブル退治の「平成の鬼平」と言われた三重野康氏

一般物価ではなく、株や土地の値上がりに対しては、日銀ではなく大蔵省や国土庁(現・国土交通省)がまず対応すべきものです。少なくとも、90年8月の利上げは不要だったと言わざるを得ないですが、さらに大きな問題は91年7月に6%から5.5%に下げるまでに時間がかかったことです。

下げのタイミングが遅れると、その後の引き下げは後追いとなって景気が回復に寄与することはありません。このように大蔵省との対抗心から、バブル期に日銀は金融引き締めという間違った金融政策をしました。このような経緯から、かつては大蔵省は金融緩和が好き、日銀は金融引き締めが好き、という本当にバカげた話が語られるようになってしまいいました。

過去にこのような大失敗をした日銀です。銀行に泣付かれてまたまた、マネタリーを間違えるということもなきにしもあらずです。マネタリーは雇用と物価、特に物価の上昇・下降速度をみていれば、間違いようがありません。少なくとも上記のような、とりかえしのつかない「失われた20年」を招いてしまうようなことはあり得ません。

にもかかわらず、日銀は、間違えってしまったのですから、いかに日銀のマネタリーの部分に、プルーデンスの部分が大きく影響していたかを示すものです。

二兎を追う者は一兎も得ずという諺もあります。もともとの日銀官僚は、まともに数字も読めず、20年間も金融政策を間違えてきたのですから、日銀にはそういう体質が深く染み付いていると考えるべきです。政治家や国民がぼんやりしていると、日銀はまた「失われた20年」どころか、「失われた40年」を招いてしまうかもしれません。

これから、ふたたび誤った金融政策が行われないためにも何とかして、日銀を金融政策に集中させ、過去の間違いを繰り返させるべきではありません。

【関連記事】

2012年10月11日木曜日

グーグルがApp Storeに忍び込ませたスティーブ・ジョブズの名言―【私の論評】ジョブズ氏は、ドラッカーのイノベーションの原則を守り、さらに日本的な考え方でそれを補強していた!!

グーグルがApp Storeに忍び込ませたスティーブ・ジョブズの名言:


121010_gmail_steve_ipad.jpg
グーグルのこういうところ、いいね。

上の画像はApp StoreにあるGmailアプリのスクリーンショットなんですが、よく見てみるとここに、ついこのあいだ亡くなってから1年が経ったアップルの創業者スティーブ・ジョブズの名言が載っていることをThe Next Webが発見しました。

その名言がこちら。日本語訳も一緒に。
That's been one of my mantras -focus and simplicity. Simple can be harder than complex. You have to work hard to get your thinking clean and simple. But it's worth it in the end because once you get there, you can move mountains.
集中することとシンプルであることは私の信念である。シンプルであることは複雑であることよりも難しい。思考を整理し、シンプルになるまで考えぬかなければならない。しかし、それにはものすごい価値がある。もし、それを達成することができれば、山をも動かせる。

今のいままで全然気づかれてなかったってことなのか、最近こうなったのかわからないですが、これを忍ばせたグーグルの担当者、粋なことしますね。

121010_gmail_steve.jpg

The Next Web via ラシカル開発記
Gmail[App Store]
(鈴木康太)

【私の論評】ジョブズ氏は、ドラッカーのイノベーションの原則を守り、さらに日本的な考え方でそれを補強していた!!



上の記事に掲載されていた、以下の名言は、素晴らしいです。集中することと、シンプルさの重要性を力強く訴えています。何回読んでも、ぐっときます。
That's been one of my mantras -focus and simplicity. Simple can be harder than complex. You have to work hard to get your thinking clean and simple. But it's worth it in the end because once you get there, you can move mountains.
この名言に近いことは、ドラッカー氏も何十年も前から語っていることです。それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。


詳細は、上のURLからご覧いただくものとして、この記事には、「イノベーションに成功するには3つの心得」、「イノベーションの三つのタブー」を掲載しています。


心得のうち、ドラッカーが、第一にあげているのが以下です。
第一に、集中しなければならない。複数の異なる分野でイノベーションに成功することはほとんどない。あのトーマス・エジソンさえ、発明を発明したといわれるほど発明の方法論に通暁しながら、電気の分野でしかイノベーションを行なわなかった。
 イノベーションには、勤勉、持続、献身を必要とする。集中することなくして、これらのものを手にすることはできない。知識は多分野のものを必要とするであろう。だが、目指すものについては、集中がなければならない。 
タブーの第一は、以下です。
 第一に、凝り過ぎてはならない。凝り過ぎは失敗の元であり、生産者側の自己満足にすぎない。懲り過ぎた財・サービスに大事な時間とおカネを使う者はいない。博物館で見せてもらえばよい。  
 大きな事業にしたいのであれば、時間もおカネもさほど余裕のない人たちが、気軽に買って気軽に使えるものでなければならない。ドラッカーは、組み立て方や使い方の凝ったイノベーションは、ほとんど例外なく失敗してきたという。 
凝りすぎてはならないという言葉を使っていますが、これは、要するにシンプルさを追求せよと言っているのと同じことです。

イノベーションには、『集中』と、『シンプル』が必須であることをまさに、ドラッカー氏が原理原則として示し、ジョブズ氏が、実践して見せたということだと思います。

ジョブズ氏がドラッカーの提唱した、イノベーションの心得と、タブーについて知っていたかどうかは、わかりませんが、それは別として、自ら実践していたということは間違いありません。


それから、ジョブズ氏は、日本文化にも傾倒していました。これも、以前このブログに掲載したことがあります。


詳細は、上のURLをご覧いただくものとして、庭園デザイナーであり、曹洞宗徳雄山建功寺住職でもある、枡野 俊明氏は、以下のようにジョブズ氏について語っています。
「ジョブズの手がけたアップル製品には一切の無駄がなく、枯山水のような美しさがあります。彼は、毎日鏡に向かい『今日が人生最後の日だとしたら、今日やることはこれでいいのだろうか』と問いかけたと言います。今やりたいことに集中する、まさに禅の発想です」 
私は、ドラッカーのイノベーションの原理原則をジョブズ氏が実践し、ジョブズ氏は、その原理原則を貫くために、日本文化に傾倒し、良いところを取り入れていたのだと思います。ドラッカーの名言には、他にも様々なものがありますが、私の好きなものに、"社会にone more thingを付け加えよ"というものがあります。社会に、もう一つ何かを付け加えることを生きがいにせよということです。これも、もともとの日本人の考え方に馴染むものだと思います。これも、イノベーションの本質を語っています。イノベーションとは、技術に関するものではなく、社会に関するものであり、社会を変えるものです。


そうして、現在の私たちは、ジョブズ氏の大成功をみるときに、特に日本文化が大きな役割を果たしていることをすっかり忘れているのではないかと思います。、

多くの人が、グローバル化とか、英語の能力向上だとか、皮相なことにとらわれすぎ本質を見失っていると思います。今の私達が、世界に通用するイノベーションを実践しようとした場合、まずは、日本文化の伝統を思い返すべきなのではないかと思います。ドラッカー氏が、「武士道とは死ぬことと見つけたり」という考え方を体現していたこと、常にシンプルさを追求していたことの根底には、昔の日本人の価値観や、物の考え方に大きな影響を受けていたという事実に思いを馳せるべきと思います。

皆さんは、どう思われますか?


【関連記事】






2012年9月7日金曜日

あの会社も、社員教育にゲーミフィケーションを取り入れている―【私の論評】ゲーミフィケーションは、組織戦略の一環として実施されるべきものである!!



「ゲーミフィケーション」とは何か、いま一度確認を。 『ゲームの力が会社を変える』(岡村健右著 日本実業出版社)はこの言葉について、「ゲーム以外の分野にゲーム的要素を組み込むことで、ユーザーのモチベーションやロイヤリティなどを高める手法を指す言葉」であると解説しています。 

つまりは日常生活の様々なシーンにゲーム的な要素を組み込んでしまおうという発想です。わかりやすい例を挙げるなら、たとえば買い物をすることでポイントが貯まるカード、あるいはブログのアクセスランキングなどもこの範疇に収まります。ゲーム性を高めることによって、「やる気」を刺激しようというわけです。 本書では「ゲームを続けるのが楽しいと思う仕組み」を図式化しています。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】ゲーミフィケーションは、組織戦略の一環として実施されるべきものである!!
詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、図式と、結論部分のみ掲載しておきます。まず、図式は下です。

上の図式し、何かを習得したいという欲望を感じ、インセンティブを目的としてチャレンジし、達成したり、達成することで報酬を受け、やる気になるようなフィードバックを受けるうちに、最終的に習得に至るというわけです。
そうして、結局言いたいことは、以下のようなことです。
1.企業は社員のモチベーションを高める効果を期待することができる。 
2.社員は、仕事やコミョニケーションにゲーム感覚を自然なかたちで取り込んでいくことができるようになる。 
3.さらにそれらが結果的には、仕事全体に合理性と有効な結果を与える。


上の、記事では、買い物でポイントが貯まるとか、ブログのアクセスランキングも、ゲーミフィケーションであるとしていますが、これは、確かにわかりやすい事例です。ポイントが貯まる、ランキングなどで、人々は確かに動機づけられます。職場でも同じことです。日々ただ、淡々と仕事をしてもらうより、ゲームのように、目標など明白にして、段階別にスキルが習得できるようにするなどの工夫をすれば、それをしないよりもはるかに効果があがると思います。
昨年中国のサイトを賑わした裸でゲームをする女子
さて、このゲーミフィケーション、ただ闇雲に実施しただけではうまくはいかないと思います。やはり、組織戦略というものがあり、それに基づき実施されるべきものと思います。それなしに、実施している企業のうわべだけを真似て、ただ実施しても、混乱するだけできっとうまくいかないことでしょう。

これは、以前、いわゆる、ザッポスなどのオフィスが、遊び心満載で、見ているだけ楽しくなるようにつくられていますが、それには、それなりの組織戦略があり、それにもとづいてオフィスづくりが行われていることを述べましたが、それと同じことです。オフィスのあり方は、氷山の一角に過ぎず、目に見える、10%であり、その根底には、90%の組織戦略があるということです。そういった意味で、オフィスのあり方は、戦略を実現するためのビルトイン(組み込み)にすぎないということです。


ゲーミフィケーションもまさに同じことです。オフィスに関する記事の詳細は、以下のURLをごらんいただくものとして、以下にその要点だけ述べさせて頂きます。

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


上の記事の結論は、結局簡単に一言でまとめてしまうと、貢献と集中と目線を高くさせることです。
知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分ではありません。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要です。仕事において成果を上げるには、特別の才能や適性は必要ありません。いくつかの簡単なことを行なうだけで良いのです。そうして簡単な習慣を身につければ良いのです。そうして、そういった習慣が身についたら、また新しい簡単な習慣を身につけること、この積み重ねを重ねることによってのみ卓越性が生まれてきます。このために重要なのは、以下の三点です。 この三点の文末に、ゲームに関連する注釈をいれておきます。
第一が、常に貢献を考えること、考えさせることです。これは簡単なことのように思えて、実はそうではありません。「業績」という言葉が出てきそうになったら、そのつど「貢献」と言い換えるべきです。業績とは、主に売上、利益の数値です。特に営利企業の場合は、これがなければ、どのような行動も成果とはいえません。この業績をあげるためには、会社に働く者すべてが、何がしかの「貢献」をしなければなりません。貢献のないところに、業績はありえません。たとえば、eコマースであれば、誰かが、ユーザービュー数を上げるために、具体的に行動して貢献することにより、ユーザービュー数が上昇し、それが、業績に結びつきます。 (注:ゲームは、何をすれば貢献できるのかが明白になっていないとやりようがない)
第二が、常に集中することです。これも簡単なことに思えますが、そうではありません。集中するには優先順位を決めなければなりません。どのような仕事にも順番があり優先順位があります。その順番や優先順位は、会社によっても、構成員によっても、幾通りもあり、どれが絶対に正しいなどということはなく、これは、実際に働くものでなければ、その内容を決めることはできません。管理職、経営者ができるのは、これをとりまとめることぐらいです。特に新しい事柄においてはそうです。机の上で、新しいことを思いついても、それを実施するのは、自分一人だけではなく、大勢の人にやってもらわなければなりません。大勢の人とはいってもすべてタイプが異なります。得意の分野も、一人一人異なります。同じ成果をあげるにしても、個々人でやり方も順番も異なるのです。そうして、集中するのは、個々人の責任であり、義務でもあります。いくら、管理職が監督しようとも、本当に集中しているのか否かは本人しか確認のしようがありません。 (注:ゲームは集中しないとできない)
第三が、目線を高くさせることです。何をどうしようとも、「世のため人のため」という目線の高さがなければ飛躍は無理です。必ず、欲という落とし穴に落ち込みます。売上をあげる、利益を上げるだけの考えでは成功はおぼつきません。誰もが納得でき、誰をも奮い立たさせられるような、理念を掲げなければなりません。これは、主に経営者の仕事です。そうして考えるだけではなく、全従業員に徹底しなければならないものです。ありとあらゆる機会を利用して、徹底するべきものです。 (注:ゲームには目線を高くさせる、様々なインセンティブが盛り込まれている)
そしてもう一つ。成果を上げるための必須の資質は「真摯たること」です。これなくしては、長期的な成果を望むことは不可能です。 
成果を上げる者は、成果を上げる能力を努力して身につけています。彼らは、成果を上げることを習慣にしています。成果を上げるよう努める者は、皆が皆、そうして、成果を上げられるようになっています。 
まずは、多くの社員に、「成果をあげることは修得できる。そして修得しなければならない」という信念を植え付ける必要があります。 
「何に対して貢献するか、どのような貢献ができるのか」仕事ができる者は自分で考えますし、また、そうさせなければなりません。
ゲーミフィケーションも、上記のような文脈の中で、実施されなければ、結局遊びのようになるか、やっているか、やっていないのかわからないようになってしまい、有名無実になってしまうということになります。
昨年中国のサイト賑わした、夏に裸で自宅でゲームに興ずる女子。同じパソコンに向かうにし
ても、仕事なら嫌がる人もいるが、なぜかゲームだと、やり続けて死んでしまう人もいるくらいだ!!
これに成功している、マクドナルドなどの企業は、堅牢堅固な、組織戦略を持っているからこそ、成功しているのであって、ゲーミフィケーションはそのためのツールであるということです。

それにしても、いわゆる、ゲーミフィケーションは、上記の三点をかなりやりやすくしていることは事実であり、ツールの一つとして、取り入れる価値は十分あると思います。皆さんは、どうお考えになりますか?



【関連記事】

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!


なぜ効率ばかり追求すると利益が減るのか (プレジデント) ―【私の論評】変人を揃えることではなく、成果をいかにあげさせるかが本質なのだ!!






「制限」が創造性を高める理由―【私の論評】企業経営では制限は創造性を高めているが、行政がそうならないのはどうしてか?


2012年8月21日火曜日

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック―【私の論評】なぜ集中しなければならないのか?

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック:

複数の事を同時にしようとすると生産性はガクッと落ちる / マルチタスクの危険を表したインフォグラフィック

複数の仕事、すなわち「マルチタスク」をこなす行為。効率的に時間を使いたいビジネスマンにとって、マルチタスクをマストなスキルと考える人も多いだろう。生産性を高めるためのガジェットやスマートフォンのアプリも次々と開発されている。しかし、マルチタスク状態と気が散っている状態は表裏一体らしいのだ。


ある研究によると、同時に複数の事を効率よくこなせる人は全体のたったの2パーセントであり、その他の98パーセントの人は気が散ってしまって逆効果になっているという。そんな、マルチタスクに関する興味深い実態が表現されたインフォグラフィックが話題となっている。

このインフォグラフィックはOnlineCollege.orgというアメリカの情報サイトが制作したもの。いかに我々が複数のことを同時にしているか、そしてそれが害となっているかを表している。以下がその内容だ。

【職場の実態】
まずはマルチタスク信奉者が最も多いと思われる職場の実態について。
・89パーセントの人が職場でスマートフォンを使用している。
・アメリカ人の45パーセントが一度に多くのことを取り組まなければならないと考えている。
・職場でコンピューターを使う人は10.5分に一度、気が散っている

【学生の実態】
マルチタスクの害は社会人だけでなく、学生にも及んでいるようだ。
・授業中に学生が閲覧するウェブページの62パーセントが授業の内容と関係がないものである。
・平均して、学生は一つの講義あたり65もの新しいウェブページを開いている。



【テレビ視聴時】
仕事や勉強中だけじゃない。テレビを見ながらアメリカ人がついつい同時にやっちゃうことはこんなこと。
・42パーセントがネットサーフィンをする。
・29パーセントが電話で話す。
・26パーセントが携帯メールやチャットをしている

【ついつい見てしまうスマートフォン】
スマートフォンの登場によって、いつでもどこでもメールのチェックやネットの閲覧をすることが容易になった。その結果……
・67パーセントの人がデート中に
・45パーセントが映画館で
・33パーセントが協会でもスマートフォンでメールチェックまたはネットの閲覧をしているという。

【マルチタスクの副作用】
以上の通り、マルチタスクは日常で行われているわけだが、いくつかの研究で以下のようなマルチタスクの「副作用」が指摘されているという。
・複数のことを同時にしようとすると、生産性は40パーセント落ちる。
・仕事中に電話やメールで気が散ると、IQが10ポイント下がる。これは一晩眠らないことによる影響、またはマリワナを吸った際に生じる影響の二倍に匹敵するという。
・デスクワークの仕事をする人は平均して、気が散ることによって一日に2.1時間を無駄にしている。年間にすると546時間だ。
・勉強中にメールやチャットをすると学業成績が下がる。
・運転中に携帯を使うと反応力が鈍る。



このように、これでもかというほどにマルチタスクの負の側面が指摘されている。便利なガジェットが登場しても、それを上手に使いこなすことは実はとても難しいのかもしれない。マルチタスクができる2パーセントと逆効果になっている98パーセント。あなたはどちらだろうか?
(文=佐藤 ゆき

参照元:Mashable(英文)


【私の論評】なぜ集中しなければならないのか?
さて、上の記事では、マルチタスクの弊害、要するに集中しないことの弊害を掲載していました。ただし、なぜ集中しなければならないのかについては、掲載していません。そこで、今日は、集中することの意義など私の経験も含めて掲載させていただきます。


まず、私の経験としては、上の記事をみていて、私が学生のときに、家庭教師をやっていたときのことを思い出しました。私は、家庭教師をするにあたってまずは、対象の子供が普段どのように勉強をしているかをチエックすることからはじめました。いくつも、チェックするのですが、たとえば、英語など明日リーダーの授業がある前の日に、英語の予習を実際に目の前でやってもらいチエックをしていました。予習のやり方をみると、集中力のある子とそうではない子との間にはかなり相違があります。

集中力のある子は、予習の手順がはっきり決まっています。たとえば、まずは、リーダーを読んで、意味のわからない単語を調べます。単語が分かった段階で、黙読、音読をします。2度読んでみてもわからない場合は、再度単語の意味を調べたり、場合によっては、参考書を引っ張りだして、調べます。そうして、最後にどうしてもわからないところは、ピックアップして、授業で質問することにします。子供によって、順番が違ったり、少し異なることを付加したりする場合もありまずか、たいていはこんな具合です。それも、毎回手順が決まっており、よどみなく終了して、だいたい、30分くらいで終わります。長くても1時間以内です。



そうして、このような子は得てして、成績も良く、成績が悪かったとしても、多少手直ししてやれば、すぐに、成績があがります。

一方集中力の欠く子供は、手順が決まっておらず、読んだかと思うと、単語を調べたり、参考書を調べたり、また、読んでみたり、途中で鉛筆を削ってみたりと、手順が一定していません。それも、毎回順序が違ったりします。そうして、予習が終わった後でも、自分がわからない箇所がはっきりしません。そうして、時間も、1時間近くかかるのが普通です。そうして、何回か、予習をチェックすると、毎回順序が違ったりします。こういう子は得てして、成績も悪く、このような子には、最初から教えたりせず、まずは、予習のやり方をその子の特性を把握しつつ教え、毎回そのとおりにさせることから始めます。しかし毎回同じやり方が身につくと、その後は、成績が徐々にあがっていきますし、本人も勉強の仕方が身についてかなり楽になったようです。


やはり、集中して、一度に一つのことを実行することは効果があるようです。

さて、では、どうすれば、集中できるようになるかについて掲載したいと思いますが、それに関しては、私の拙い経験を披瀝するよりも、ネットを見ていただければ種々様々な方法が掲載されています。これは、人によっても異なるので、自分で自分にあった方法を探していただければ良いと思います。


最後に、なぜ集中しなければならないのかを、以下に掲載させていただきます。なお、下の文章は、ほとんどがドラッカーの言葉によるものですが、私自身の頭に入っていることを掲載しますので、特に、ドラッカーのどの書籍のものであるかは、特に掲載しません。

なぜ集中しなければならないかといえば、それは、成果をあげるためです。上の例のように、何かを学ぶというのであれば、短時間に正確にものごとを身につけることです。営利企業であれば、最終的に経済的な利益に結びつく、成果をあげるということです。


成果をあげる秘訣を一つだけあげるとすれば、それは集中です。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしません。

行なうべき貢献を分析すれと、驚くほど多くの重要な仕事が出てくるものです。時間を分析すれば、真の貢献をもたらす仕事に割ける時間は、あまりに少ないことが理解できます。多くの人にとって、どのように時間を管理したとしても、時間の半分以上は依然として自分の時間ではありません。

多くの人にとって、時間の収支は常に赤字であるのが普通です。真に生産的な半日あるいは2週間を手に入れるには、厳しい自己管理とノーと言うだけの不動の決意を必要とします。


人には驚くほど多様な能力があります。人はよろず屋です。しかし、その多様性を生産的に使うには、それらの多様な能力を一つの仕事に集中することが不可欠です。あらゆる能力を一つの成果に向けるには集中するしかないのです。

時間と、労力と、資源を集中するほど、実際にやれる仕事の数と種類が多くなります。これこそ、困難な仕事をいくつも行なう人の秘訣です。上の集中力のない子どもの例のように、成果を上げられない人のほうが成果を上げている人よりね長く働いているのが普通です。

 成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っています。したがって自らの時間とエネルギー、組織の時間とエネルギーを一つのことに集中します。最も重要なことを最初に行うべく集中するのです。

だかこそ、集中しなければならないのです。

こんなことをブログに書いておきながら、本日は、このブログマルチタスクの一環として書いてしまいました。やっぱり駄目ですね、普段なら小一時間で書いてしまうのに、本日は、余計な他のタスクと一緒にやらざるをえなかったので、ものすごく時間がかかってしまいました。やはり、マルチタスクはダメだということを痛烈に反省することになりました(笑)。




【関連記事】

一日を消費者ではなく「生産者」としてスタートしよう!−【私の論評】まともな第一人者は誰もがやっていることだが、できない人が多いのはなぜか?







2012年8月17日金曜日

「Shopify」の社内は遊び心がいっぱい!(仕事場探訪)―【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!



職場に楽しいことがたくさんあったら、きっと仕事にも良い影響があるはずです。これぞまさに楽しい仕事場という例をひとつ、ご紹介します。いつもの「仕事場探訪」の番外編として、ECプラットフォーム提供サービスを行うカナダのShopify社の仕事場をのぞいてみることにしましょう。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】オフィスづくりは、組織づくりそのものだ!!オフィス作りだけでは意味がない!!


ささて、素敵で遊び心のあるオフィスなど、最近ては、いろいろなサイトに紹介されるようになってきました。上の記事のshopipyのオフィスもそうした事例の一つです。そうして、上のライフハッカーの記事もそうなのですが、こうしたオフィスの紹介をする際に、なぜオフィスがそのようになっているのか、その背景までは説明しません。これでは、バランスを欠いていると思います。



オフィス作りの根本は、何かといえば、そのものずばり組織づくりの一環です。上記のようなユニークなオフィス作りするには、それなりに企業の組織づくりというものがからんでくるはずです。組織づくりが元にあり、その組織戦略にもとづいて、このようなオフィス作りがされているのです。



オフィス作りだけみて、それがどうのこうのと論評しても、それは、氷山の一角にすぎないわけで、それは全体の10%を示すだけで、氷山の一角の下には、企業独自の組織戦略があるわけで、それが、90%を占めているわけです。そうであれば、10%をみるだけではなく、90%を見る必要性があるわけです。


それに、皆さんも、もうお気づきのはずです。どこかの会社の総務部の人あたりが、このようなオフィスをみて、その場で見えることだけ真似したとしても、会社は何も変わらないと思います。かえって混乱するだけで、良いことは一つもないでしょう。だからこそ、今回は、組織づくりについて述べていきます。そうして、本日は、私の理想とするオフィスの写真んとともに掲載していきます。ただし、これは、理想というよりは、妄想かもしれませんが・・・・・・・・・・(笑)!!


実は、これに近いことはこのブログでも述べたことがあります。それは、8月14日の記事であり、タイトルは以下のようなものでした。

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!

詳細は、この記事をみていただものとして、ここでは結局、結論は以下のようなものでした。
成長の基盤は変化します。企業にとっては、自らの強みを発揮できる成長分野を探し出し、もはや成果を期待できない分野から人材を引き揚げ、機会のあるところに移すことが必要なのです。昨日を組織的に切り捨てるとともに、資源を体系的に集中することが、成長のための戦略の基本なのです。
そうして、このようなことを実践するため、デュポンでは、研究者は自分の時間の1/3を、自分の担当の仕事とは、一見、何ら関係ないないことの研究調査に当てなければいけないようになっています。こうして、新しいものに否が応でも目が向けられるように、組織にビルトインされているということです。


こ のようなビルトインインは、デュポンだけではありません。Googleは、勤務時間の20%を自分のプロジェクトに充てるという独自の勤務ルール「20%タイム」を設けていることで知られています。Googleからリリースされている、サービスの50%はここから生まれているとのことで、従業員のモチベーション対策のみならず、実際のビジネスでも有効に機能しています。


3Mでも「勤務時間の15%を自分で選んだプロジェクトに充てる」という制度が導入されています。他の多くの会社でも、こうしたビルトインを行っている会社があります。それにこうしたビルトイン「20%」タイムだけではありません。

あのザッポスにも、独特のビルトインがあります。このザッポスですが、この会社は、靴のeコマースで世界一の企業であり、Amazonでさえ、競争するのをやめて、ザッポスを傘下に収めてしまいました。傘下に収めたといえば、何やら、普通の感覚では、Amazonが勝利したように受け取られがちですが、そうではありません。実際、ザッポスは、Amazonの傘下に収まっても、経営者も変わらず、従業員もひとりもくびにならず、社名変更も何もなく、従来どおりのザッポスとして運営されています。


経営方針もAmazonから指示されるということもなく、従来通り、ザッポスの経営者が実施しています。変わったことといえば、Amazonは、ザッポスに対して、直接投資ができるということだけです。実際、ザッポスの経営者も、従業員もAmazonの傘下に入ったことを敗北ではなく、自分たちの勝利ととらえています。

話を元に戻しますが、このザッポスにも、ビルトインがあります。ザッボスは、eコマースの会社ではありますが、顧客からのクレームや、注文を直接ザッポスのコールセンターで受け付けています。そうして、このコールセンターでは、驚くべきサービスがビルトインされています。それは、お客の注文やクレームを受けたコールセンター要員は、お客様都合により、電話が長引いたとしても、お客様との通話時間に、その制限はないというものです。


実際、あるとき、ザッポスの特集をテレビで放映したさいに、あるザッポスの社員は、お客様との会話でいままで最長は、8時間だったとしています。それに、日々3時間くらい電話をかけてくる顧客は、けっこういるそうです。それも、すべて会社の方針で、制限なしに受け付けるようにしています。

他社でも「20%」ルールやザッボスのようなルールは導入していなくても、導入している事柄がたくさんあります。


あまりに数が多すぎて、全部のビルトインを掲載することは不可能ですから、以下に重要なものだけかいつまんで掲載させていただきます。そうして、以下のビルトインは、ほとんどドラッカーの書籍を参考にしたものですが、私はもはやドラッカーの言葉については、ほとんど記憶しているので、以下で、この言葉は、ドラッカーの書籍のどこに掲載されているものであるというようなことは紹介しません。あらかじめことわっておきます。

貢献と集中と目線を高くさせること

知識があって、理解力があり、懸命に働くだけでは十分ではありません。成果をあげるにはこれらとは違う何かが必要です。仕事において成果を上げるには、特別の才能や適性は必要ありません。いくつかの簡単なことを行なうだけで良いのです。そうして簡単な習慣を身につければ良いのです。そうして、そういった習慣が身についたら、また新しい簡単な習慣を身につけること、この積み重ねを重ねることによってのみ卓越性が生まれてきます。このために重要なのは、以下の三点です。


第一が、常に貢献を考えること、考えさせることです。これは簡単なことのように思えて、実はそうではありません。「業績」という言葉が出てきそうになったら、そのつど「貢献」と言い換えるべきです。業績とは、主に売上、利益の数値です。特に営利企業の場合は、これがなければ、どのような行動も成果とはいえません。この業績をあげるためには、会社に働く者すべてが、何がしかの「貢献」をしなければなりません。貢献のないところに、業績はありえません。たとえば、eコマースであれば、誰かが、ユーザービュー数を上げるために、具体的に行動して貢献することにより、ユーザービュー数が上昇し、それが、業績に結びつきます。


第二が、常に集中することです。これも簡単なことに思えますが、そうではありません。集中するには優先順位を決めなければなりません。どのような仕事にも順番があり優先順位があります。その順番や優先順位は、会社によっても、構成員によっても、幾通りもあり、どれが絶対に正しいなどということはなく、これは、実際に働くものでなければ、その内容を決めることはできません。管理職、経営者ができるのは、これをとりまとめることぐらいです。特に新しい事柄においてはそうです。机の上で、新しいことを思いついても、それを実施するのは、自分一人だけではありません。多くの人がこれを実施しなければ、大きな貢献とはなり得ません。

第三が、目線を高くさせることです。何をどうしようとも、「世のため人のため」という目線の高さがなければ飛躍は無理です。必ず、欲という落とし穴に落ち込みます。売上をあげる、利益を上げるだけの考えでは成功はおぼつきません。誰もが納得でき、誰をも奮い立たさせられるような、理念を掲げなければなりません。これは、主に経営者の仕事です。そうして考えるだけではなく、全従業員に徹底しなければならないものです。ありとあらゆる機会を利用して、徹底するべきものです。

そしてもう一つ。成果を上げるための必須の資質は「真摯たること」です。これなくしては、長期的な成果を望むことは不可能です。


成果を上げる者は、成果を上げる能力を努力して身につけています。彼らは、成果を上げることを習慣にしています。成果を上げるよう努める者は、皆が皆、そうして、成果を上げられるようになっています。

まずは、多くの社員に、「成果をあげることは修得できる。そして修得しなければならない」という信念を植え付ける必要があります。

「何に対して貢献するか、どのような貢献ができるのか」仕事ができる者は自分で考えますし、また、そうさせなければなりません。

特に、貢献という考え方は、当たり前のようにみえて、近代組織の歴史は短く、せいぜい前世紀に現在のすべての組織の原型が出来上がったばかりです。近代組織ができあがる前は、多くの人は、大きな組織に属したこともなく、また組織から貢献を求められることはなく、所定の作業を所定通り実施すれば、それで仕事をしたとみなされました。しかし、知識社会に突入した現代組織においては、それだけではすみません。


それだけで済ましたいなら、アルバイトで十分です。現代の知識労働者は、「自分のできることで、他の人ができないことで、自分がやれば貢献できること」を自分で見出し、自分で実行して、成果をあげるこ とにより、貢献し続けなければならないのです。これは、昔のやり方に慣れた人にとっては、驚天動地の大変化です。民間企業、その中でも、先進的IT企業は、こうした驚天動地の大変化の先兵なのです。

そうして、このようなことに慣れていない人は、かなりプレッシャーを感じると思います。とにかく、会社にただ出てきて、決まった時間を過ごて、決められたことをすれば、仕事になるというわけではないのです。それどころか、どんな格好をしていようと、無駄時間をつかうがつかうまいが、そんなことは全く関係ないのです。考えてもみてください。自分がザッポスのコールセンター要員だったとしたら、顧客との会話が制限されていれば、楽ですが、制限されていなければ、最終的には、どんな顧客にも満足してもらわなければなりません。それも、自分で考えて、自分で貢献しなければならないのです。


であれば、事務所の雰囲気など、なるぺくプレッシャーが生じないようにすることが良いに決まっています。逆にオフィスを自由な雰囲気にすることによって、木っ端役人のように、定時に出社して、自ら創意工夫も何もなく、定められた通り作業をして、定時に退社すれば、それで良いなどということはないということ知らしめているということもできます。だからこそ、Googleや、ザッポスや、冒頭のshopifyのようなオフィスができあがるのです。

多くの革新的な会社が、上記の三点を徹底するために、あるゆる努力をしているのです。この三点は、かなり集約しているので、この中に包括されてしまうもので他にもいろいろあります。たとえば、コミュニケーションの取り方、チームワークの仕方、ITの使い方、その他あげればきりがありません。

そうして、各々の会社が経営者はいうにおよばず、社員も、この三点を実現するために、日々努力しています。そうして、こうしたやりかたは、会社の生い立ち、経営者の考え方、組織文化によっても、会社ごとにかなり異なります。だかこそ、他社の人が、オフィスだけみて、それだけを真似しただけでは、会社は変わらないのです。各々の社員が一見自由きままにしているように見えて、そこには、一定の秩序があるのです。その本質を見抜かない限り、うわべだけ真似したとしても、業績には結びつかないのです。皆さんは、どうお考えになりますか?




【関連記事】

「あえてダラダラすること」があなたの毎日に健康と創造力をもたらす―【私の論評】常に新しいものに目がいくように、組織づくりをしておくことが肝要である!!

なぜ効率ばかり追求すると利益が減るのか (プレジデント) ―【私の論評】変人を揃えることではなく、成果をいかにあげさせるかが本質なのだ!!






「制限」が創造性を高める理由―【私の論評】企業経営では制限は創造性を高めているが、行政がそうならないのはどうしてか?



2012年8月13日月曜日

【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!

【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も:


【ロンドン=内藤泰朗】テロや警備員不足、ストなど多くの不安を抱えながら開幕したロンドン五輪は12日、無事その幕を閉じた。


英中央銀行のイングランド銀行は先週、英国経済が長期的なゼロ成長に突入したとの展望を発表した。景気後退期にどこまで変革をもたらすことができるのか、将来への懸念が消えたわけではない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかも五輪の成功は、皮肉なことに開催地ロンドン市長で、キャメロン氏と同じ保守党の異色政治家として知られるボリス・ジョンソン氏の政治的立場を強化し、両者による政争を予感させている。

エリザベス女王を中心とした英国の伝統と、発展を求める若い世代の変革に向けた挑戦の物語は、第二章に入った。

レリン・フランコ。美女の国・パラグアイの女子槍投げ代表選手
この記事の詳細は、こちらから!!



【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!


大失敗した、英国の増税策の概要をみよう。2010年5月に発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権はさっそく付加価値税率17・5%を11年1月から20%に引き上げる緊縮財政政策を決定しました。他にも銀行税を導入するほか、株式などの売却利益税の引き上げ、子供手当など社会福祉関連の予算削減にも踏み切りました。

他方で法人税率を引き下げ、経済成長にも一応配慮しましたた。こうして国内総生産(GDP)の10%まで膨らんだ財政赤字を15年度までに1%台まで圧縮する計画でしたが、このまま低成長と高失業が続けば達成は全く困難な情勢です。



窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策に踏み切りました。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行した中央銀行だ。

上のグラフを良く見てほしいです。BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込みました。マネタリーベース(MB)とは中央銀行が発行した資金の残高のことです。BOEは08年9月の「リーマン・ショック」後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切りましたが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していました。


インフレ率は5%前後まで上昇しましたが、そんなことにかまっておられず、今年5月にはリーマン前の3・7倍までMBを増やしました。そうして、この事実は、このブログでも以前紹介したように、反リフレ派がいう、「不況だかといって大量に増刷すれば、ハイパーインフレになる」というおかしげな理論を裏付ける格好のケーススタディーとなっていました。

幸いというか、全く当たり前のことですが、インフレ率は需要減退とともにこの5月には2・8%まで下がりました。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっています。

しかもポンド札を大量に刷って市場に供給するので、ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいます。それでも、イギリス経済は、未だ不況のままで、先日もこのブログで述べたように、EUの不況もあり、結局ロンドンは地元観光客も、EUの観光客も例年に比較しても少なく、閑古鳥が鳴いていたという状況で、経済波及効果はほとんどありませんでした。

ここで話を日本に話をもどすと、参院で消費増税法案が採決され、電力料金引き上げや来年からの東日本大震災復興増税などに加え、家計に負担がのしかかりますが、さっそく懸念されるのはデフレ不況のさらなる深刻化です。

このイギリスの状況をみれば、消費税増税など狂気の沙汰としか思えません。上で、見たように、わずか1年もしないうちに、経済が悪化して、イングランド銀行が、増刷せざるを得なくなっています。こんな事実をみても、増税一本で進む、民主党、自民党、公明党など、異常カルト集団にしか見えないのは、私だけでしょうか。それに、財務省も、日銀も、増税は経済に良い効果をもたらすなどと、とんでもないことを言っています。一体、日本の中枢はどうなってしまったのでしょうか?

リーマンショックは、2008年でしたが、その後増税に踏み切り緊縮財政を取ったイギリスは猛烈な不況に陥りました。しかし、メディアを含め政府、財務省、日銀、はこのことは発表しません。


現在、消費税増税法案が、参院を通過したばかりですが、このまま増税してしまえば、日本もイギリスと同じようになることでしよう。なんでこんな袋小路にわざわざはまらなければならないのでしょう。

イングランド銀行は、増税後に大増刷をやっていました。これは、順番が逆です。増税前に、大増刷をすべきでした。そうしていれば、大増刷により、インフ気味となり、景気が加熱します。そうなったときに、増税すれば、ベストのタイミングでした。そうすれば、景気の加熱も冷ますこともでき、税収も増え、財政再建もできたことでしょう。

順番を間違えれば、日本もイギリスと全く同じことになります。まずは、日銀あたりがデフレ対策として、大増刷を行い、政府も財政支出を増やし、インフレ傾向にして、インフレが加熱した後に、増税すべきです。



ものごとには、順番と、集中すべきことがあります。それを間違えれば、とんでもないことになります。その事例は、日本国内でも、このブログでも掲載したように、昭和恐慌のとき、国外では、上のイギリスの例が典型的です。そのような、例が世界にはゴマンとあるにもかかわらず、今や、マスコミなど、もうすでに、増税は規定路線であるかのような報道ぶりです。

消費税増税法案は、参院を通過したとはいえ、まだ、本決まりではありません。景気条項は、まだ生きており、再来年の4月に増税するためには、来年の秋にそのときに政権を担っている政府が決定する必要があります。

09年7月の衆院解散
来年の秋といえば、まだ、1年あります。その間に選挙があれば、有権者として、増税しないと公約する政党に投票すべきです。



【関連記事】
五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?





特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣―【私の論評】岩屋外務大臣の賄賂疑惑が日本に与える影響と重要性が増した企業の自立したリスク管理

特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...